ゆとり開発 ~普通の場所でのゲーム作り~

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渡辺訓章 (kuni-soft) http://www.din.or.jp/~ku_/index.htm IGDA日本 同人・インディーゲーム部会(SIG-Indie)第1回研究会「同人・インディーゲーム開発の現状と課題」 http://www.igda.jp/modules/news/article.php?storyid=1633

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ゆとり開発 ~普通の場所でのゲーム作り~

2009年5月2日

渡辺訓章

前提

熱意は冷めやすく、上書きされやすい。

ゲーム作りを始めるのは簡単でも、

続けるには刺激が不可欠。

危機感

競う相手

成功イメージ

しかし一般的な学校では刺激に乏しく、

完成までたどり着けないことも多い。

危機感→湧かない 進路には、ほぼ影響しない。

競う相手→見当たらない スタートラインと方向性が近い人が、身近にいつつ身内でないことは希。

成功イメージ→不鮮明 登竜門と呼べるようなパスは存在せず、噂話や極端な成功例しか伝わってこない。

無理をして刺激を作ることも可能。

機材や資料に投資して、後には引けない状況に追い込む。

仮想敵を探し出し、勝つ前提でイメージトレーニング。

個人開発なら短期的には有効かもしれないが、

多人数の場合はメンバー間に温度差が

現れることが多く、一丸となっての実行は難しい。

ならば、少ない刺激でも開発を持続できる

方法を考える。

完成したら得るものがあると我慢せず、今現在の楽しさを重視する。

作ったゲームで遊ぶ楽しさと、作ること自体の楽しさを区別しない。

自分達に優しい、そんな「ゆとり開発」を。

ポイント1

「まかせない」

作業を進める能力はあっても、不特定多数に

見せること、値段を付けて売りに出すことに

慣れているかは別問題。

作業が遅れている。

明らかに本調子ではない。

サボっているようにも見えない。

まだ見ぬ買い手に狼狽している様子を感じたら、

素直に自分の意見を伝えて、頼んだ頼まれたの

個人間の関係に帰着させることが重要。

個人が意見を代表する点では

一般的なディレクター職と似てはいるが、

「勝手なことをさせない」目的は含まれない。

決定稿に限らず「アイディアだけでも」

「いつでも」「いくつでも」受け取ると言っておき、

本人では決めかねない時のみ指示を出して

責任を持つことで、最低限の自主性は確保する。

ポイント2

「またせない」

ゲーム作りに興味を持ってくれたとしても、

それが何番目の興味なのかは解らない。

参加者個人の作品作りとの兼ね合いも必要。

作業が遅れている。

なんとなく飽きてきている。

こんなとき、未完成なことを責めるより

完成している部分を評価することが大切だが、

そればかりでも完成に近づかない。

他者の都合で試行錯誤のループが途切れるのを

極力排除し、自分の作品にならずとも、

自分達の作品だと思ってもらうことが重要。

データのコード埋め込みを排除し、バージョン

管理システムや共有サーバを導入することで、

技術的な制限によるラグは解消できる。

が、それだけでは十分ではない。

試行錯誤はプレイヤーの反応もあってこそ。

ネットでの連絡だけでなく、生の空気も忘れずに。

途中連絡は、必要性より「見たい」「見せたい」を

基準にすることが大切。溜め込まず短いスパンで。

ポイント3

「あせらない」

開発中止には繋がらない、

ペースの整った順調な遅れならば問題はない。

但し、仕切り直しは重要。

遅れが取り戻せて、やっと±0になるような

状況を続けるより、現状を新しいスタートラインに。

まとめ

同人界隈が立派になった今だからこそ、

影響されてハードルを上げすぎないため、

あえて買い手を意識しないことも有効。

余談1

「馴れ合いですか?」

馴れ合いです。但し、来る者は拒みません。

身内に向けて極端すぎる作り込みを行い、

外部の人がついてこれるかは気にしないほど

挑戦的な仕様に。これで皆が幸せです。

より多くの人に楽しんでもらうための工夫は、

(越えたい)壁に当たってからでも遅くはありません。

余談2

「とはいえコミケは大きすぎ」

「順調な遅れなら気にするな」とか、

あんまり大声で言って良いのかは疑問です。

デモやプレゼンなど、未完成品のアピールでも

構わない場が、どこかに欲しい頃かもしれません。

それはそうとニコニコ動画の、「~してみた」という

スタンスは素敵です。

作品だけでなく作者も表に出ることで、

成長の過程までも楽しめますから。

余談3

「アジャイル開発との共通点」

短いスパンでのテスト(プレイ)重視や、

直接の意思疎通が前提など、

意外とあるかもしれません。よく知りませんけど。

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