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改正 獣医療法施行規則の概要

北里大学獣医学部伊藤伸彦

獣医療法施行規則の改正(放射線診療)

改正前

エックス線装置

改正後

エックス線装置

・診療用高エネルギー放射線発生装置

・診療用放射線照射装置

・診療用放射線照射器具

・放射性同位元素装備診療機器

放射性医薬品

・診療用放射性同位元素

・陽電子断層撮影診療用放射性同位元素

放射線治療などの品質保証が求められる。

動物医療で核医学診断とPET検査が可能となった。

獣医療法施行規則の改正によって高度な放射線診療が法的に整備された。

放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律と二重規制

獣医療法施行規則の主な改正点

届出に関する事項(各種放射線施設を追加)

高度放射線診療の設備基準

放射線障害防止のための安全管理体制

エックス線装置等の放射線防護

管理義務に関する事項

線量等の算定方法

届出に関する事項

届出が必要な装置、医薬品等

エックス線装置

診療用高エネルギー放射線発生装置 リニアック装置等

診療用放射線照射装置  テレコバルト等の密封線源治療

診療用放射線照射器具  校正用または治療用密封小線源

放射性同位元素装備診療機器   血液照射装置等

診療用放射性同位元素   骨シンチグラフィ等の核医学

陽電子断層撮影診療用放射性同位元素   FDG-PET

診療施設開設の届出

獣医療法第3条前段 [開設後10日以内]に1.開設者の氏名、住所、獣医師である旨2.診療施設の名称3.開設場所4.開設年月日5.診療施設の構造設備の概要及び平面図  (放射線診療関係を除く6号から11号)12.管理者13.獣医師の氏名14.診療業務の種類15.法人の場合の定款、寄付行為16.その他* 届出者の名前は、開設者が届出ること

第1条第1項

エックス線装置の届出

製作者名、型式、台数

エックス線高電圧発生装置の定格出力

構造設備及び予防措置の概要(エックス線障害)

エックス線に従事する獣医師の氏名・経歴

  

定格出力の管電圧 10kV以上 1MeV未満

規制の変更無し

第1条第1項6号

診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の届出

診療用放射性同位元素とは、医薬品である非密封の放射性同位元素で陽電子断層撮影診療に用いるものを除く

陽電子断層撮影診療用放射性同位元素とは、医薬品である非密封の放射性同位元素で陽電子断層撮影診療に用いるもの 

第1条第1項11号

今回は、以下の検査に限定されている①馬に用いるTc-99m 骨シンチグラフィ②犬猫に用いるTc-99m各種シンチグラフィ③犬猫に用いるF-18 PET検査

診療用放射性同位元素/陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の種類・形状・年間使用予定数量(Bq)

診療用放射性同位元素/陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の種類ごとの最大貯蔵・1日最大使用・3月間最大使用予定数量(Bq)

構造設備及び予防措置概要(放射線障害防止)

使用する獣医師の氏名・経歴

放射線管理責任者(第7条第1項)の氏名・経歴

通知により、事前の届出、立入検査(毎年)等を求める予定。

高度放射線診療設備の基準

等価線量と実効線量(単位:シーベルトSv)

等価線量

放射線の人体への影響は、与えるエネルギーの量だけでなく、放射線の種類による違いも考慮する必要がある。等価線量は組織・臓器に与えられる吸収線量に、放射線の種類を考慮した放射線荷重係数をかけて求める。

実効線量

放射線被ばくによる全身の健康影響を評価するための量である。実効線量は、組織当たりの等価線量に組織荷重係数を乗じたものを、各組織の分を加算して算出される。組織や臓器ごとに、(吸収線量×放射線荷重係数×組織荷重係数)を計算し、全身について合計した線量である。

診療用高エネルギー放射線発生装置使用室の施設基準

高エネルギー放射線の遮へい能力

操作室

処置室

遮へい壁の例

ライナック室

操作・治療計画室

散乱線が漏れ出ないように迷路状になっている。

鉛と鋼板の扉

診療用放射性同位元素使用室、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室

診療室(陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の場合には、別途に操作室が必要)

準備室(放射性医薬品の分注など)

受診動物の収容室(注射、待機、収容)

貯蔵施設(貯蔵箱または貯蔵室)

保管廃棄室

排水設備(貯留槽、希釈槽を含む)

排気設備(フィルタ等を含む)

汚染検査場所

更衣設備

*PET/CT:CTの単独使用可能

北里大学における核医学施設

獣医療用放射性汚染物(廃棄物)

診療用放射性同位元素、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された物

診療用放射性同位元素又は診療用放射性同位元素によって汚染された物

保管廃棄、農林水産大臣に指定されたものへ廃棄の委託

陽電子断層撮影診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素によって

汚染された物

一般の獣医療用廃棄物

・1日最大≦5TBq*・他との混入がない・封後、7日間保管

放射線障害防止のための安全管理体制

放射線管理責任者

  診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を使用する場合

   放射線管理責任者を選任

第1種放射線取扱主任者免状を有する者、放射性同位元素の取扱いに必要な知識及能力を有する者

第7条

常勤の獣医師をもって充てるよう、通知で指導

放射線障害の予防に関する規程

a. 診療用高エネルギー放射線発生装置b. 診療用放射線照射装置c. 診療用放射線照射器具

d. 放射性同位元素装備診療機器e. 診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素

a~eを備えた場合、放射線障害予防規程を作成*e.を備えない場合は、放射線障害防止法の予防規程に代えることができる。

第7条の2

管理義務に関する事項

放射性医薬品を投与された飼育動物の退出基準

平成20年 月 日農林水産省告示第 号

飼育動物の

種類

犬及び猫

放射性同位元素

の種類

Tc-99m

Tc-99m

F-18

診療の種類

骨シンチグラム検査

各種シンチグラム検査

陽電子断層撮影検査(FDG)

退出の基準

投与後48時間以上

投与後48時間以上(投与量>150MBq)

投与後24時間以上(投与量≤150MBq)

投与後24時間以上

放射線診療従事者等

エックス線装置

診療用高エネルギー放射線発生装置

診療用放射線照射装置

診療用放射線照射器具

放射性同位元素装備診療機器

診療用放射性同位元素

陽電子断層撮影診療用放射性同位元素

上記の取扱い、管理、これに付随する業務に従事し、常時管理区域に立入るもの

第13条

放射線診療従事者等の被ばく防止実効線量限度:              

   基本   女子***     妊娠中女子  緊急作業(除;女子)     

100mSv/5年* 5mSv/3月****   1mSv      100mSv最大50mSv/年**       (内部被ばく)

等価線量限度:

          眼の水晶体    皮膚    妊娠中(腹部表面)   

          150mSv/年  500mSv/年    2mSv

緊急作業     300mSv    1Sv(除;女子)

*:平成13年4月1日から5年ごとに区分した各期間                        **:4月1日を始期とする1年   ****:4/1、7/1、10/1、1/1、を始期とする3月間管理      ***:妊娠の可能性がない、妊娠の意思がない旨管理者に書面で提出した者を除く    妊娠中:本人の申出等により、管理者等が妊娠の事実を知った時から出産までの間

第13条

注: 18歳未満の者はエックス線装置以外は従事者になることができない。   一時立入者についても、100μSv/hを超える場合には、線量測定が必要である。

外部被ばくと内部被ばくの測定

管理区域

外部被ばく 内部被ばく

従事者

従事者

胸部 腹

1cm線量当量 or70μm線量当量

従事者

吸入

経口摂取

誤って摂取:その都度

通常:

1回/3月間妊娠中:

1回/1月間

第14条

管理区域

放射線診療従事者等の遵守事項

従事者

しゃへい

距離

時間

空気中濃度限度

表面密度限度

飲食

実効線量限度 等価線量限度

第16条

診療動物の保定                  

基本的に保定具又は医薬品により行うこと

診療用高エネルギー発生装置、診療用放射線照射装置

上記以外の放射線装置等で、困難な場合

  ・利用線すい内に診療従事者の身体が入

   らないように注意

  ・保定をする者は、防護衣・防護具(手袋、前掛

   け、メガネ等)着用

第16条

研修及び教育訓練診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を備えた場合、

   担当獣医師には関連学会等が行う研修を受けさせる  (初めて診療を行う前、少なくとも3年に1度は継続して研修受ける)

放射線診療従事者等への教育訓練    (エックス線診療従事者を含む)

    *管理区域に入る前、少なくとも1回/1年実施、

研修又は教育訓練の記録    ・研修の受講年月日又は教育訓練の実施日    ・研修受講者/訓練を受けた者の氏名    ・研修又は教育訓練の内容(仕事の内容に合わせて)     記載し、5年間保存  

第16条の2

獣医師の研修項目

放射線防護に関する関連法規

放射線診療を行う施設の概要

放射線診療従事者等の放射線被ばく管理

放射線測定

放射線診療の原理と臨床応用

診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の取扱いと防護

獣医療用放射性汚染物の取扱い

診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を投与された動物の取扱い

 

放射線診療従事者等の教育訓練(担当獣医師、診療補助者、専任の清掃者及び常時立入る者)

放射線の人体に与える影響

放射線防護に関する関連法規

エックス線装置、診療用高エネルギー放射線発生装置又は放射性同位元素の安全な取扱い

放射線障害の予防規程あるいは院内規程

初めて管理区域に立ち入る前及び1回/1年*十分な知識及び技能を有する者は省略可

エックス線装置等の定期検査

エックス線装置(定期的に)

診療用高エネルギー放射線発生装置

診療用放射線照射装置

測定 1回/6月間 記録 5年間保存

*別に定期的に自主的な保守点検を実施

第17条

放射線の量の測定

   基本:診療開始前

       1回/1ヶ月   例外:1回/6ヶ月放射性同位元素による汚染の状況

   基本:診療開始前

       1回/1ヶ月   例外:その都度又は連続して

記録の保存:5年間     

放射線障害が発生するおそれのある場所の測定(管理義務)

記帳

1週間あたりの延べ使用時間

 1年ごとに閉鎖3年間保存

第19条

エックス線装置

診療用高エネルギー放射線発生装置

診療用放射線照射装置

診療用放射線照射器具

事故の場合の措置

地震 火災その他の災害

盗難 紛失その他の事故

放射線障害、障害のおそれ

通報放射線障害の防止に

努めること

都道府県知事

第20条

その他市長村長

事故に関する記録を5年間保存

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