adhd.co.jp4 5 自閉スペクトラム症とは...

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STR-P490(R1)2017年11月作成禁無断転写 ©2017 Eli Lilly Japan K.K.

(参考資料)田中康雄 監修:大人のAD/HD【注意欠如・多動(性)障害】 講談社:2009田中康雄:もしかして私、大人の発達障害かもしれない!? すばる舎:2011独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター:障害者職業総合センター 職業センター 支援マニュアルNo.7:2012

●軽度発達障害フォーラム http://www.mdd-forum.net/

●一般社団法人 日本発達障害ネットワーク(JDDnet) https://jddnet. jp/

●NPO法人 えじそんくらぶ http://www.e-club. jp/

●一般社団法人 日本自閉症協会 http://www.autism.or. jp/

支援機関、情報提供サイト(2017年10月現在)

ADHDサポートサイト

監修 (五十音順)奈良県立医科大学 医学部 看護学科 人間発達学 教授 ●飯田 順三先生一般社団法人 日本発達障害ネットワーク 理事長 ●市川 宏伸先生

名古屋大学 大学院医学系研究科 精神医学・親と子どもの心療学分野 教授 ●尾崎 紀夫先生社会福祉法人 恩賜財団母子愛育会 愛育研究所 愛育相談所 所長 ● 齊藤 万比古先生

こころとそだちのクリニック むすびめ 院長 ●田中 康雄先生一般社団法人 日本うつ病センター 理事長 ● 樋口 輝彦先生東海大学 医学部 専門診療学系精神科学 教授 ●松本 英夫先生

http://www.adhd.co.jp/otona/

2 3

目 次 はじめに

忘れ物やミスが多い、上司や同僚、お客さんとのコミュニケーションがうまく

いかない、提出物の期限が守れない、大事なものをなくしてしまう、仕事や家事の

段取りが悪い、空気が読めないと怒られる…など、一つひとつは大したことの

ないように思える問題で、仕事や生活面に何らかの支障をきたしている人が多く

いることがわかってきました。

こういったことは誰にでもあることですが、頻繁に起きていて、子どものころ

からずっとそうだったという場合、もしかしたらそれは努力不足などではなく、

生来の発達のアンバランスが関係している可能性もあります。

発達のアンバランス、いわゆる発達障害とは、生まれもった発達上の個性(特性)が

あることで、日常生活に困難をきたしている状態をいいます。発達障害の代表的

なものとしては、自閉スペクトラム症、限局性学習症、ADHD(注意欠如・多動症)

などがあげられます。これらの特性をもつ人たちは、障害とは気づかれにくく、

必要なサポートを受けられずに困っていることがあります。また、多くの人は

自分なりの工夫や対策を考えて努力していますが、それにもかかわらずなかなか

状況が改善されません。そのため、自分自身を責めたり、本人が怠けている、

悪気があってやっている、あるいは親の育て方のせいといった非難や誤解に

さらされたり、つらい状況に置かれがちです。

しかし、こうした問題は、本人の努力不足や家族のせいではなく、脳の発達特性に

よるものであると考えられます。

本人や周りの人が、その人の発達特性を理解し、適切に対応することで、生活上

の悪循環を断ち切り、状況を改善していくことができます。

本冊子が皆さんの生活改善の一助となれば幸いです。

はじめに . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3

自閉スペクトラム症とは . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4

限局性学習症とは . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5

ADHDとは . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6

日常生活における困りごと . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7

ADHDでは何が起こっているのでしょうか? . . . . . . . . . . 10

ADHDとうまくつきあおう . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 12

   あの有名人もADHD? . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13

相談できるところ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 14

「      」のご紹介 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 15

成人期のADHDの自己記入式症状チェックリスト . . . . . . . 16

子ども時代の自分チェック . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18

子どものころや、中学、高校時代を思い出してみましょう . . . . . . . 22

COLUMN

4 5

自閉スペクトラム症とは

自閉スペクトラム症では、「社会的コミュニケーションおよび対人関係」、「こだ

わり」の特性がみられます。自閉スペクトラム症は発達障害の1つであり、遺伝と

環境の双方が関与して起こりますが、育てられ方が原因で起こるものではあり

ません。注意欠如・多動症(ADHD)などの他の発達障害や、他の精神疾患、身体

疾患が併存していることも多くみられます。

●社会的コミュニケーションや対人関係の問題:▶ 通常の会話のやりとりが苦手であったり、ほかの人と感情を共有することが少ないという特徴があります。

▶ 相手の表情や身ぶり手ぶりから、気持ちを読み取ることが苦手です。▶ 実際に目の前にないものや、架空の事柄を想像したり空想することが難しい場合があります。また、仲間に対する興味が薄いという特徴がある場合もあります。

●「こだわり」の問題:▶ 物を並べたり、叩くといった単調な行動を繰り返すという特徴がある人もいます。▶ 同じ習慣への強いこだわりがあり、少しの変化にも苦痛を感じることがあります。▶ 興味の範囲が狭く、特定のものにこだわるという特徴があります。▶ 聴覚、嗅覚、触覚、視覚など、特定の感覚が非常に敏感または鈍感な人もいます。

  「自閉スペクトラム症」※の症状

※「自閉スペクトラム症」には、「自閉症」「アスペルガー障害」と診断されていた疾患も含まれています。

自閉スペクトラム症の人たちは、生活に困難を抱えながらも外からはそれがわかり

にくいため、発達の問題があることに気づかれにくい場合があり、「わがままで

自分勝手」、「空気を読まない」などと言われ、つらい思いをしてきました。こうした

人たちの特徴は、性格の特徴ともいえますが、この特徴が著しく、社会生活を

営むうえで本人や家族、周りの人が困っていたりつらい思いをしているならば、

適切に行動できるよう対処法を考えたり、支援を受ける必要があります。日々の

困難が積み重なると、精神的にも辛い状況となり、他の精神疾患を併発するなど、

二次的な問題につながる可能性もあるためです。

限局性学習症とは

限局性学習症とは、知能には大きな問題がなく、目も見え、耳も聞こえている

のに、「読む」、「書く」、「計算する」といった学習技能のいずれか1つ以上が

うまくできない状態をいいます。英語では「Specific Learning Disorders」と

いいます。

限局性学習症の診断は非常に慎重に行われる必要があります。

生活支援としては、書くことが苦手な人ではパソコンを使う、計算が苦手な人

では電卓を活用する、また書き写すことが苦手な人ではカメラで記録するなど、

それぞれにあったツールを活用することで、困難を補うことができます。

育てられ方などが原因ではないかと誤解されることもありますが、発達障害の

1つであることをご理解ください。

●「読む」ことの問題:▶ 誤った発音をする、文章の文字や単語を抜かして読む、読んでいるものの意味を理解することが難しい、などの状態です。

●「書く」ことの問題:▶ 誤った文字を書く、句読点を間違える、単語の中に誤った文字が混じる、文法的な誤りの多い文章を書く、などの状態です。

●「計算する」ことの問題:▶ 数の感覚、計算の正確さに困難がある、数学的推理の正確さに困難がある、などの状態です。

  「限局性学習症」※の症状

※「学習障害」はDSM-5(精神疾患の世界的な診断基準の最新版)では「限局性学習症」に名称変更されました。本冊子では新しい名称を採用しています。

p.14[相談できるところ]もご参照ください。

6 7

  ADHDの症状の変化

ADHDとは 日常生活における困りごと

ADHDの症状は、個人によっても違いますし、環境によってもあらわれ方が異なり

ます。「どうして自分はこうなのかな?」と思っていたことは、実はADHDの症状が

原因かもしれません。ここでは、日常生活の場面ごとにおける、ADHDの症状の

あらわれ方の例を紹介します。

ADHDは発達障害のひとつです。現在広く用いられている診断基準では、12歳に

なる前からその症状がみられるものとされています。

これまで、ADHDの症状は年齢を重ねると治まる傾向にあるとされてきましたが、

最近の研究では、約60%の人で成人期にも症状が残るといわれています。個人差は

ありますが、大人のADHDは、子どものころと比べて多動性が弱まり、不注意が

目立つ傾向にあるようです。

特にお困りの症状があれば、この表のような言葉で医師に説明すると伝わり

やすいでしょう。

ただ、こうした症状がある人がすべてADHDというわけではありません。ADHDに

似た症状を示す障害は他にもあるため、最終的な診断をくだすためには、他の

障害や病気ではないことを確認する必要があります。

また、ADHDには自閉スペクトラム症などの他の発達障害や、他の精神疾患、

身体疾患が併存していることも多くみられます。他の障害や疾患が合併している

と、ADHDの症状が見極めにくくなったり、治療効果や将来に影響を及ぼしたり

する可能性があるため、併存症の有無も適切に診断する必要があります。

シーン1 職場や学校で

主に多動性 が原因となって起こりやすいこと

●会議中あるいは仕事中(授業中あるいは勉強中)に落ち着かず、そわそわしてしまう

●貧乏ゆすりや机を指先で叩くなどのくせがやめられない

主に衝動性 が原因となって起こりやすいこと

●会議中(授業中)に不用意な発言をしてしまう●思ったことをすぐに言動に移してしまう

主に不注意 が原因となって起こりやすいこと

●会議や仕事(授業や勉強)に集中できない●仕事(課題)に必要な物をなくしてしまう、忘れる●仕事(課題)の締め切りに間に合わない●仕事(課題)を最後まで終えることが難しい●仕事(課題)でケアレスミスがよくみられる

●座っているべきときに落ち着いて座っていることが難しい●遊びや余暇活動におとなしく参加することが難しい●過度におしゃべりをする

●落ち着かない感じ●貧乏ゆすりなど、目的のない動き

●質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう●順番を待つのが難しい●他の人がしていることをさえぎったり、邪魔したりしてしまう

●思ったことをすぐに口にしてしまう

●衝動買いをしてしまう

●勉強などで不注意な間違いをする●課題や遊びの活動で注意を集中し続けることが難しい●興味のあることには集中しすぎてしまい切り替えが難しい●話を聞いていないようにみえる●課題や活動を順序だてて行うことが難しい●同じことを繰り返すのが苦手●必要なものをなくしてしまう、忘れっぽい●注意が長続きせず、気が散りやすい

●仕事などでケアレスミスをする

●忘れ物、なくし物が多い●約束や期日を守れない、間に合わない

●時間管理が苦手 ●仕事や作業を順序だてて行うことが苦手

●片付けるのが苦手

子どもの症状 大人の症状

多動性

衝動性

不注意

8 9

日常生活における困りごと(続き)

主に多動性 が原因となって起こりやすいこと

●家事をしているときに、別のことに気を取られやすい●おしゃべりに夢中になって家事を忘れてしまう

主に衝動性 が原因となって起こりやすいこと

●衝動買いしてしまう●言いたいことを我慢してイライラする

主に不注意 が原因となって起こりやすいこと

●部屋が片付けられない●外出の準備がいつも間に合わない●家事を効率よくこなせない●お金の管理が苦手

主に多動性 が原因となって起こりやすいこと

●おしゃべりを始めると止まらない●自分のことばかりしゃべってしまう

主に衝動性 が原因となって起こりやすいこと

●衝動的に、人を傷つけるような発言をしてしまう●ささいなことでもつい叱責してしまう

主に不注意 が原因となって起こりやすいこと

●約束の時間にいつも間に合わない●約束を忘れてしまう●人の話を集中して聞けない

シーン2 家庭で シーン

3 人間関係

10 11

前頭前野

ADHDの症状には、自分の注意や行動をコントロールする脳の働き(実行機能)のかたよりが 関係していると考えられていますが、詳しい原因はまだわかっていません。

実行機能は前頭前野とよばれる大脳の前側の

部分で調節されます。ADHDの人は、前頭前野

を含む脳の働きにかたよりがあると考えられて

います。

また、脳の神経伝達物質(脳内の神経細胞の間で情報をやりとりする物質)である

ドパミンやノルアドレナリンの働きがADHDの人では不足気味であることがわかって

います。これらの神経伝達物質の機能が十分に発揮されないために、ADHDの症状

である不注意や多動性があらわれるのではないかと考えられています。

最近では、神経伝達物質の不足を改善し、情報伝達をスムーズにするお薬が登場して

います。

神経伝達物質の働き ADHDの状態

外で受け取った刺激の情報は神経を通して脳に伝わります。脳はさまざまなところから入ってくる情報を統合・判断し、何をするかの指令を出します。脳から出される指令の情報は、神経を通って体に伝わります。

「コップを握る」という指令

「冷たい」という刺激

神経系は神経細胞がいくつもつながって構成されており、神経細胞と神経細胞の間にはすき間があります。途切れることなく情報を伝えるために、このすき間(シナプス間隙)で働いているのが、神経伝達物質です。

神経細胞

シナプス間隙(神経細胞と神経細胞のすき間)

かんげき

情報伝達の方向

脳の中にはノルアドレナリン、ドパミンなど数多くの神経伝達物質があります。神経細胞から放出されたノルアドレナリン、ドパミンなどは、隣の神経細胞の神経伝達物質受容体に結合し、情報を伝達します。

神経伝達物質受容体

神経伝達物質(ノルアドレナリン・ドパミン)

情報伝達

受容体に結合しなかった神経伝達物質は、トランスポーターとよばれる取り込み口から元の神経細胞に再び取り込まれます。(再取り込み)

ADHDでは、トランスポーターが過剰に働き、ノルアドレナリンやドパミンなどの神経伝達物質を再取り込みしすぎてしまう可能性が考えられています。

シナプス間隙の神経伝達物質が足りない

神経伝達物質が受容体に結びつきにくくなり、情報伝達を十分に行えなくなってしまいます。

ADHDの特徴である不注意、多動性などの症状があらわれます。

ぜんとう ぜんや

ADHDでは何が起こっているのでしょうか?

神経伝達物質受容体

神経伝達物質のトランスポーター(再取り込み口)

注)「神経伝達物質」とは、脳の神経細胞の間で情報伝達を担う物質を指します。

  前頭前野の関連   神経伝達物質の関連

ADHDの治療は、環境調整などの心理社会的治療からはじめます。心理社会的治療の効果や、周囲との状況から判断し、必要であれば薬による治療を組み合わせていきます。現在日本においてADHD治療薬として承認されている薬は注意欠陥/多動性障害治療剤(選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)(カプセル、内用液)、中枢神経刺激剤(錠剤)の2種類です。

12 13

ADHDとうまくつきあおう

ADHDの診断を受けることにより、問題が解決するわけではありません。しかし

診断は、現在の困難の原因を見極め、自分の特性や状態に応じた適切な対策を

検討していく第一歩となります。正しく向き合うための、いわば道しるべといえる

でしょう。

ADHDも含めた発達障害では、「その人が持っている特性により、生活に支障を

きたしているか」が問題です。言い換えれば、ADHDの特性はそのままでも、

暮らし方を見直し、生活するうえでの支障がなくなれば、それはもう障害と

とらえる必要はなくなるのです。

実際、ADHDの特性を持ちながら、社会で活躍している方は少なくありません。

自分を知り、得意なことを活かしましょう。得意なことを活かすことによって、

苦手なことは、克服するのではなく、より楽になる工夫を見つけましょう。

ADHDを「治す」のではなく、「もともと持っている特性を活かして豊かに生きる」。

その補助として医療を利用する。そんなイメージで、自分の特性とつきあって

いく方法を見つけていくことが大切なのではないでしょうか。

ADHDは1990年代後半から社会的に注目を集めるようになったので、新しい概念と思われがちですが、実はかなり以前から存在していたと考えられています。ADHDを抱えながらも偉業を成し遂げた歴史上の人物は多数存在し、発明王のトーマス・エジソンもその1人と考えられています。エジソンは小さいころから度を越した知りたがり屋で、授業中に「なぜ?」という質問を繰り返して教師を困らせたり、なぜ物が燃えるのかを知りたくて家の納屋を全焼させたり、ガチョウの卵を自分でふ化させたくて小屋で何時間も卵を抱えていたりしたそうです。こうしたエジソンの好奇心に母親だけは理解を示し、好奇心のおもむくままに探究することを全面的に応援しました。そしてエジソンは自分の興味のある研究に没頭し、発明家になったのです。発明家になってからも、1つの事柄が行き詰まると、すぐ次の事柄にチャレンジしていたといわれています。ADHDの特性ともいえる、そうした旺盛な好奇心と豊かな創造性があってこそ、生涯で1,300もの発明を成し遂げられたのではないでしょうか。エジソンのほかにも、例えば織田信長、坂本龍馬、モーツァルト、ベンジャミン・フランクリン、アルバート・アインシュタインなどは、ADHDだったのではないかといわれています。近年では、人気バンドSEKAI NO OWARIのボーカルFukaseこと深瀬慧さんや、オリンピックで多数の金メダルを獲得した水泳のマイケル・フェルプス選手が、自身がADHDであることを公表しています。

織田信長戦国時代の武将であり、天下統一を目指して強力な中央集権の

基礎を築いた。

坂本龍馬幕末に活躍した志士であり、

江戸幕府の終焉と新時代の到来に大きな役割を果たした。

モーツァルト18世紀後半の音楽家であり、幼少期よりたぐいまれな才能を

発揮して活躍した。

アルバート・アインシュタイン数々の業績により現代物理学の父ともいわれる物理学者で、

1921年にノーベル物理学賞を受賞した。

ベンジャミン・フランクリンアメリカ建国の父といわれる政治家であり、

現在も100ドル紙幣にその肖像が使われている。

あの有名人もADHD?COLUMN

14 15

「     」のご紹介

成人のADHDでの日常的なお悩みや不安、疑問にわかりやすくお答えしている

webサイトです。

ADHDに関する基本的な情報に加えて、患者さんの動画などを含めた具体的な

実例についてもご紹介しています。

受診前に、診断や治療のイメージをつかむことができ、また、お近くの病院を

探すこともできます。

ぜひ、アクセスしてみてください。

※2017年10月現在 本サイトは予告なく変更する場合があります。

相談できるところ

  目的にあわせて相談できる機関相談先は、診断を受けられる医療機関と、そのほかの関連機関に大きく分けられ

ます。相談したい内容によって、適切な相談先を選びましょう。

子どもの発達障害は主に児童精神科、小児精神科、小児神経科といった専門医が対応します。しかし、大人の発達障害の専門医は少ないため、多くの場合、一般の精神神経科や心療内科などを受診して、必要に応じて専門医を紹介してもらいます。

●医療機関  精神神経科、心療内科など診断を受けたい

発達障害者支援センターや地域療育センターは、家庭や職場など、日常生活のさまざまな相談に応じてくれます。

総合精神保健福祉センターや自治体の福祉担当窓口は、福祉相談のほかに、障害者手帳の申請についても聞くことができます。発達障害者に対する独自の手帳制度はありませんが、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の交付基準に該当する場合、手帳の交付を受けることができます。各自治体により対象者が異なる場合があるので、お住まいの福祉担当窓口にお問い合わせください。

●発達障害者支援センター●地域療育センター●総合精神保健福祉センター●自治体の福祉担当窓口  など

就職に向けての職業準備支援や、就職先の紹介などを頼むことができます。また、職場へのジョブコーチ※の派遣も行っています。※ジョブコーチ:発達障害がある人に、仕事の進め方を実践的に指導する役割です。

●地域障害者職業センター ●ハローワーク

具体的な対策を知りたい

仕事について相談したい

当事者同士の情報交換や、経験者からのアドバイスを聞くことができます。

●民間の支援団体 ●患者・家族会  など話を聞いてほしい

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成人期のADHDの自己記入式症状チェックリスト(ASRS-v1.1) 7. つまらない、あるいは難しい仕事をする際に、不注意な間違い

をすることが、どのくらいの頻度でありますか。

8. つまらない、あるいは単調な作業をする際に、注意を集中し続けることが、困難なことが、どのくらいの頻度でありますか。

9. 直接話しかけられているにもかかわらず、話に注意を払うことが困難なことはどのくらいの頻度でありますか。

10. 家や職場に物を置き忘れたり、物をどこに置いたかわからなくなって探すのに苦労したことが、どのくらいの頻度でありますか。

11. 外からの刺激や雑音で気が散ってしまうことが、どのくらいの頻度でありますか。

12. 会議などの着席していなければならない状況で、席を離れてしまうことが、どのくらいの頻度でありますか。

13. 落ち着かない、あるいはソワソワした感じが、どのくらいの頻度でありますか。

14. 時間に余裕があっても、一息ついたり、ゆったりとくつろぐことが困難なことが、どのくらいの頻度でありますか。

15. 社交的な場面でしゃべりすぎてしまうことが、どのくらいの頻度でありますか。

16. 会話を交わしている相手が話し終える前に会話をさえぎってしまったことが、どのくらいの頻度でありますか。

17. 順番待ちしなければならない場合に、順番を待つことが困難なことが、どのくらいの頻度でありますか。

18. 忙しくしている人の邪魔をしてしまうことが、どのくらいの頻度でありますか。

非常に頻繁頻繁時々めったに

ない全くない

成人期のADHD自己記入式症状チェックリストは、世界保健機関(WHO)と成人期ADHD作業グループ(Adler氏、Kessler氏、Spencer氏ら)の協力により作成されました。

Lenard Adler, MD:ニューヨーク大学医学部 精神・神経医学科 准教授 レナード・アドラー医学博士Ronald Kessler, PhD:ハーバード大学医学部 ヘルスケアポリシー部門 教授 ロナルド・ケスラー医学博士Thomas Spencer, MD:ハーバード大学医学部 精神医学科 准教授 トーマス・スペンサー医学博士

ADHD-ASRS Screener v1.1 and ADHD-ASRS Symptom Checklist v1.1 are copyrighted by the World Health Organization.

The scale was translated by Toshinobu Takeda, MD, PhD, Ryukoku University.

パートB

1. 物事を行なうにあたって、難所は乗り越えたのに、詰めが甘くて仕上げるのが困難だったことが、どのくらいの頻度でありますか。

2. 計画性を要する作業を行なう際に、作業を順序だてるのが困難だったことが、どのくらいの頻度でありますか。

3. 約束や、しなければならない用事を忘れたことが、どのくらいの頻度でありますか。

4. じっくりと考える必要のある課題に取り掛かるのを避けたり、遅らせたりすることが、どのくらいの頻度でありますか。

5. 長時間座っていなければならない時に、手足をそわそわと動かしたり、もぞもぞしたりすることが、どのくらいの頻度でありますか。

6. まるで何かに駆り立てられるかのように過度に活動的になったり、何かせずにいられなくなることが、どのくらいの頻度でありますか。

非常に頻繁頻繁時々めったに

ない全くないパートA

本チェックリストは、ADHDの症状があるかどうかを確かめるためのものです。

医療機関を受診する際に、現在の症状をチェックしてお持ちいただくと、診察の参考になります。

本チェックリストはパートA、パートBの2部構成となっています。パートAの結果は、ご自身でADHD症状の有無を確認するのに役立ちます。 パートBの結果は、医師にとって役立つ情報となりますので、もし医療機関を受診される可能性がある場合、チェックをしてください。(パートBは、ご自身の確認用ではありません)

このチェックリストは、医師に相談する際に症状を的確に伝えるためのものであり、診断結果を表すものではありません。ADHDの症状と似た症状を示す精神疾患は多く、ADHDとこうした疾患とを区別するためには慎重な診断が必要です。このリストをチェック後、受診の際に本冊子をお持ちください。

それぞれの症状がみられる頻度に最も近い回答欄にチェックをつけてください。

このチェックリストは、医師に相談する際に症状を的確に伝えるためのものであり、診断結果を表すものではありません。ADHDの症状と似た症状を示す精神疾患は多く、ADHDとこうした疾患とを区別するためには慎重な診断が必要です。このリストをチェック後、受診の際に本冊子をお持ちください。

注意

パートAの色がついている部分に4つ以上のチェックがついている場合、ADHDの症状を持っている可能性が考えられます。

18 19

子どものころからこんなことありませんでしたか?

不注意1

子ども時代の自分チェック

細かいことに注意ができない、または学校での学習やそのほかの活動で不注意なミスをしてしまう

(a)

チェック

課題や遊びのあいだに集中し続けることが難しい

(b) 直接話しかけられても、聞いていないように見えるといって注意される

(c)

学校の宿題やお手伝いなど、指示されたことをやりとげることが難しい

(d) 課題や活動を順序よく行うことが難しい

(e)

テストや宿題のような根気がいる課題をさける、またはいやいや行う

(f) 課題や活動に必要なものをなくしやすい

(g)

周りからの刺激で気が散りやすい

(h) ほかの人より忘れっぽい(i)

チェックチェック チェックチェック

チェックチェック

チェックチェック

主に12歳より前の症状をチェックしてください。ADHDの診断基準(DSM-5にもとづく)

20 21

手足をそわそわと動かしたり、いすの上でもじもじしてしまう

(a)

これらの症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヵ月持続したことがあり、その程度は発達の水準に不相応で、社会的および学業的/職業的活動に直接、悪影響を及ぼすほどである:

不注意/1 多動性および衝動性2

注:それらの症状は、単なる反抗的態度、挑戦、敵意の表れではなく、課題や指示を理解できないことでもない。青年期後期および成人(17歳以上)では、少なくとも5つ以上の症状が必要である。

(b) 動きまわってはいけない状況で、落ち着かない

(c)

遊びやクラブ活動中におとなしくしていることが苦手

(d) じっとしていることが苦手(e)

おしゃべりしすぎることがある

(f) 質問が終わる前に答えてしまう

(g)

順番を待つことが難しい(h) ほかの人が話しているところに割り込んでしまう

(i)

チェックチェック

チェックチェック

チェックチェック

チェックチェック

チェック

授業中など、座っていなければいけないときに、立ちあがってしまう

日本精神神経学会(日本語版用語監修), 高橋三郎・大野裕(監訳):DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院, 2014

不注意または多動性‐衝動性の症状のうちいくつかが2つ以上の状況(例:家庭、学校、職場;友人や親戚といるとき;その他の活動中)において存在する。

不注意または多動性‐衝動性の症状のうちいくつかが12歳になる前から存在していた。

これらの症状が、社会的、学業的、または職業的機能を損なわせているまたはその質を低下させているという明確な証拠がある。

その症状は、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患(例:気分障害、不安症、解離症、パーソナリティ障害、物質中毒または離脱)ではうまく説明されない。

1 2  および/または  によって特徴づけられる、不注意および/または多動性‐衝動性の持続的な様式で、機能または発達の妨げとなっているもの:A

B

C

D

E

多動性および

衝動性

2

ADHDをもっとよく知りたい方は

大人のADHD患者さん向けwebサイト

スマートフォンでご覧になる場合はQRコードを読み取って下さい。

マンガで分かるADHD「ブラックジャックによろしく」もwebサイトで配信中

22 23

子どものころや、中学、高校時代を思い出してみましょう

子どものころや、中学、高校時代の出来事も、診察の参考になります。受診する際には、こちらのページも記入してみましょう。

幼稚園、保育園のころ(自分ひとりで思い出せないときは、両親など周りの人に聞いてみましょう)

いつごろ例)4歳

どこで例)保育園

どんな様子だったか例)みんなとお遊戯できず、1人で好きなことをしていた

小学校低学年のころ

いつごろ例)7歳

どこで例)教室での授業中

どんな様子だったか例)よく歩きまわって先生に怒られていた

小学校高学年、中学校、高校のころ

いつごろ例)13歳

どこで例)体育館での部活中

どんな様子だったか例)集団行動ができず、友達とよくけんかをしていた

つらかった思い出、失敗体験

理解してくれた人たち、よい経験

どのようなことがありましたか?

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