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A generator for unique quantum
numbers based on vacuum states
真空状態に基づいた量子乱数発生器
Christian Gabriel, Christoffer Wittmann, Denis Sych,
Ruifang Dong, Wolfgang Mauerer, Ulrik L. Andersen,
Christoph Marquardt and Gerd Leuchs
Nature Photonics 4, 711-715 (2010)
平野研究室 大矢翔太
本論文の概要
ホモダイン検出器を用いて、
真空状態に対して直交位相振幅測定を行い
乱数を作成した
発表の流れ 1.乱数の基礎知識
2.本論文を理解するための基礎知識
2.1真空状態
2.2ホモダイン検出
3.実験
3.1実験装置
3.2観測の理論
3.3乱数の作成方法
3.4実験結果
4.実験データの解析方法
情報エントロピー
ハッシュ関数
5.まとめ
乱数の用途 乱数って必要?
→乱数は有益なものであり、様々な場面で使用
されている
シミュレーション・・・ギャンブル
暗号技術・・・量子暗号
1.乱数の基礎知識 乱数の作成方法 1.1 擬似乱数の場合
古典的なコンピュータのアルゴリズムを用いる
例:rand関数
メリット→早く、実行が簡単
そのために
これらの乱数は擬似乱数と呼ばれている
初期値とアルゴリズムさえわかれば
もう一度同じ乱数を作成可能
作成された乱数列はランダムに見える
しかしながら
完全に決定論的
1.乱数の基礎知識 乱数の作成方法 1.2 古典的ノイズを用いる物理乱数の場合
ランダムに見える古典的ノイズを測定し、乱数作成
安全性
ソフトウェアを用いる方法<ハードウェアを用いる方法
しかしながら
純粋な古典的システムは、
原理的には決定論的性質を持っている
カオス的な振る舞いをする半導体レーザー 熱雑音
1.乱数の基礎知識 乱数の作成方法 1.3 量子乱数発生器
量子状態の観測結果は完全にランダム
自己共役演算子 (物理量 )
を測る 確率1/2で
確率1/2で
ビット値
0
1
(量子力学Ⅱ参照)
状態を何度も用意して測定を何度も行えば乱数を作成することができる。
2.本論文での乱数作成方法
量子乱数発生器
今回はホモダイン検出を行い、真空状態を測定することにより、乱数を作成した。
・真空状態とは?
・ホモダイン検出とは?
2.1 真空状態
量子的な 調和振動子の集まり
基底状態での エネルギー 2
0
E
波動関数
0
)( x
x
ゼロ点振動
24
1
0
2exp)( x
mmx
量子化された電磁場
等価
(量子力学Ⅰおよび熱・統計力学Ⅱ参照)
)()(ˆˆ),(ˆ tkzitkzi
xeaeaiAtzE
†1]ˆ,ˆ[
†aa
2.予備知識 量子論に基づくホモダイン検出
信号光とLO光を重ね合わせてできる2つの出力の差を検出
11
2.予備知識 ホモダイン検出と直交位相振幅
それぞれの光子数演算子を考える。
直交位相振幅
xx ˆˆ †
pp ˆˆ †
エルミート演算子
測定可能な物理量 (量子力学Ⅲ参照)
3.実験装置図と実験方法
PC
ホモダイン検出
真空場
LO
LO光の波長λ :1500nm 16bit analog to digital card サンプリングレート:2Msample/sec
BS ADC
3.観測の理論
今回観測する真空場
xxx d0
x :直交位相振幅演算子 の固有状態
''xxxx
x
)( x :基底状態の波動関数
)( x
x
を中心に広がるガウス関数 0x
3.観測の理論
今回観測する真空場
xxx d0
'x
x
x
を測定 0 において 確率 2
)'( x で が得られる
2
)( x
3.データのプロット方法
'x
x
x
を測定 0 において 確率 2
)'( x で が得られる
count横軸: の値 縦軸: のカウント数
カウント数は に比例 2
)'( x
x
x
3.3実験結果
X-quadrature
3.3実験結果
X-quadrature
LO光を入射していない時に測定を行うと、電気的ノイズを測定することができる
古典的ノイズ
3.乱数の作成方法
x
count
10
であれば
であれば 0x
0x
x の値を測定
0
1
ビット値
ビット数はどこまで増える? 確率が等しくなるように区切りに分け、多くのビットを振り分ければ、高速で乱数列を作成することができるのではないか。
0 1
0 0
0 1
10
1 1
x x
count count
dx)(
21
x
x dx)(
22
1
x
x
x dx)(
2
l
x
x
1x
2x
3x
例 4分割
区切りの数とビットの関係
0 1
0 0
0 1
10
1 1 x
x
count
count
nl 21
1l
n
:区切りの数
:ビットの数
例 4分割
224
4区切りの場合2ビット
区切りを多くすればビットをいくらでも多くできる!?
古典的ノイズを用いずに乱数生成
x
LO光を入射していな
い時に測定を行うと、電気的ノイズを測定することができる
筆者たちの主張
最悪の状況を考え、古典的なノイズは乱数生成には使用せずに乱数を作成したい
乱雑さの起源 古典的ノイズ
量子ゆらぎ
情報エントロピーとハッシュ関数について知る必要がある
情報量
)(log)(2
apaI
)( aP)(2
aP)(1
aP
起こる確率が小さいものほど情報量が大きくなる
I(a)
a:確率変数
単位:bit
12
1
1
事象 が起こる確率をp(a)とするときに、事象 が起こったことを知らされたとき受け取る情報量
aa
情報エントロピー
状況の不確定度を示す
)a(log)a()a()a()A(i2ii
1
ippIpH
i
n
i
→情報量の期待値
n21
a,,a,aA
A:ある事象系
n個の事象は排反
生起確率の総和は1
n
i
ip
1
1
情報量 の期待値を とすると )a(i
I )A(H
簡単のため を と略記 )a(i
p ip
情報エントロピー
i
i
ippH
2log)A( bit
本論文での情報エントロピーの構成要素
classquanttotal)()()( XHXHXH
使えるエントロピーがない場合を考える
classtotalquant)()()( XHXHXH
class)( XH total
)( XHと は実験結果から求められる
本論文での情報エントロピーの計算
vac1
1 2
vac
totallog)(
i
l
i ippXH
vac
ip
1l
: 番目の区切りに出現する確率
:区切りの数
X
count
具体例:4分割の場合
1 0
0 0
0 1
1 1
i
1x
2x
3x
4
1
ip )4,3,2,1( i
bit244
1log
4
1)(
2
XH
具体例 4分割の場合
本論文での情報エントロピーの計算
class1
1 2
class
classlog)(
i
l
i ippXH
class
ip
1l
: 番目の区切りに出現する確率
:区切りの数
X
count
i
1x
2x 3
x
ビット数に対応する
と の推移 total)( XH
class)( XH
電気的ノイズ
Bit数と の関係
classtotalquant)()()( XHXHXH
bit5)(total
XH
bit75.1)(class
XH
bit25.3)(quant
XH
quant)( XH
3.25 bit/sample × 2 Msample/sec = 6.5 Mbit/sec
ハッシュ関数 得られた乱数列に対してハッシュをかけ圧縮することによって、古典的なノイズを消去する。
任意長の入力系列を固定長の出力系列に変換する関数
入力が少しでも変わると、出力が大きく変化する
SHA-512
・・・512ビットを出力する一方向ハッシュ関数
30
本論文でのデータのビット化
x
1. カウント数が同じになるように32個の区切りに分ける
2. 各々の区切りに5ビットのラベルを付け、データの
ビット化
3. 得られた乱数列に対し、ハッシュをかけた。
01010
0110 1
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
count
0101001101
0と1が同じ確率で現れるか
作成した乱数列に対し、 統計的な観点から乱数の質を評価
統計検定
本論文で使用する検定 TestU01 : 大量の乱数検定を行える
具体例
乱数の質を評価
テスト結果 Test ハッシュあり ハッシュなし
SerialOver 2/2 1/2
CollisonOver 8/8 8/8
BirthdaySpacings 7/7 7/7
ClosePairs 19/19 18/19
SimpPoker 4/4 0/4
CouponCollector 4/4 0/4
Run of U01 2/2 0/2
Permutation 2/2 1/2
CollisionPermut 2/2 1/2
MaxOft 8/8 0/8
SampleProd 2/2 0/2
SampleMean 1/1 0/1
SampleCorr 1/1 0/1
AppearanceSpacings 2/2 0/2
WeightDistrib 4/4 0/4
139/139 75/139
まとめ
6.5Mbit/sec の量子乱数発生器の実現
古典的ノイズを消すために乱数列を圧縮することにより、
乱雑さの起源として量子ゆらぎのみからなる乱数を作成した
ハッシュをかける前のデータは全テストのうち54%で不合格となった
ハッシュをかけた後のデータは全テストで合格となった。
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