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1
アプタマーのヒトゲノム情報からの探索
及びコンピューター内進化
東京農工大学 大学院工学研究院
生命機能科学部門
教授 池袋一典
Target Library Kd(nM)
HIV-1 integrase RNA 10
FIV reverse transcriptase RNA 4.2
HIV-1 reverse transcriptase ssDNA 2
Thrombin ssDNA 25
Taq DNA polymerase ssDNA 0.04
高い結合能を示すアプタマーの例
•in vitroで探索できる。→未同定蛋白質に結合するアプタマーを探索できる。
• 全合成でき化学修飾が容易。• 高温で変性しても元に戻る。• 構造変化を設計できる。
分子認識素子としてのアプタマーの利点
3叉路型アプタマー
NAR, 2000
研究の背景
3
診断Diagnosis
治療薬Therapeutic compounds
新規治療薬の開発Development of new medicines
既存治療薬の選択Choice of
existing medicines
既知診断マーカーの測定Measurement of exsiting markers
新規診断マーカーの測定Measurement of
new markers
Cell SELEX
精製した膜蛋白質
従来のSELEX
Bound pool精製した膜蛋白質 標的細胞
+Library
Cell
+
Cell-SELEX
精製工程が不要。生理状態下で標的分子に結合するアプタマーを探索可能。未同定膜蛋白質に対してもアプタマーを探索可能。
標的細胞
標的細胞には結合しないことがある
5
従来技術とその問題点
アプタマーを探索するのには、通常SELEX法が用いられるが、以下の2つの大きな問題があ
り、高い結合能を持つアプタマーを探索することが容易ではない。
1)実験で用いるライブラリの多様性の制限。
2)PCR増幅課程における有望なアプタマー
の欠落。
わずか1万分の1のオリゴDNAしか探索されていない
未探索空間に存在する大部分のオリゴDNAの結合能を調べる方法の開発が必須
SELEXの実験上の制限1
SELEXで用いるnmolのDNAライブラリー:
1014 配列しか存在しない
30-mer のDNAライブラリー: 1018 配列を含む
アプタマーの塩基配列空間
PCR増幅過程において
増幅されやすい配列が存在する
安定な二次構造を形成するオリゴDNAは
増幅されにくい。
SELEXの実験上の制限2
容器や担体に結合するオリゴDNAが増幅されてしまう
1. SELEXによるアプタマーの探索
2. 進化模倣アルゴリズムによるアプタマーの改良
in silico maturation
繰り返す
進化模倣アルゴリズムを用いたアプタマーの改良
in silicoでの次世代配列の決定
標的分子に結合するアプタマー in vitroでの
アプタマーの機能評価
・・・
アプタマー1
アプタマー2
アプタマー n
1. 特性検討、順位付け、配列選択(実験)
・・・
1位の配列
2位の配列
N位の配列特性検討
1位の配列
2. 配列操作(コンピューター内)
2位の配列3位の配列
上位の配列が選択されやすいように比重を変更する
変異導入
交差
点変異
3. 次世代ライブラリーの合成(実験)
in silico maturation法の工程
アプタマー評価結果
結
合
能
約480種のアプタマーを設計・評価
飛躍的に向上
①遺伝的アルゴリズムによる進化②シャッフリング1による進化③シャッフリング2による進化
①
②
③
Streptococcus mutans結合アプタマーの改良Streptococcus mutans結合アプタマーの改良
G-quadruplex (G4) を形成するアプタマーAptamers obtained in our laboratory
G-quadruplex (G4) structure
Motif : G2+N1-7G2+N1-7G2+N1-7G2+
タンパク質のある種のβ-structures にG4構造が結合しやすいことを発見した。(Anal. Chem., 2012)
GG
GG
GG
GG
ヒトゲノム上の遺伝子のプロモーターの40%にはG4形成可能配列が存在する。
GG
GG
GG
GG
Gene
Huppert and Balasubramanian, Nucleic Acids Res., (2007)
1. テロメア2. 各遺伝子のプロモーター領
域
我々は蛍光G4リガンドとDNAマイクロアレイを用い、ヒトやマウスのゲノムの CpGアイランドの2000箇所程度にG4が形成されている可能性があることを実験で確認した。
ヒトゲノム上に存在するG4構造
Angew. Chem. Int. Ed. (2013)
QCS1 GGNGGNGGGGNGGQCS2 GGGNNGGNNGGGNNNGGGGQCS3 GGGNGGGNGGGNGGG
転写開始地点
1kb 1kb
標的遺伝子
G2+N1-6G2+N1-6G2+N1-6G2+
G-quadruplex candidate sequence (QCS)
1. ヒトゲノム上の標的遺伝子(標的タンパク質をコードする遺伝子)のプロモーターに存在するG4形成可能配列の検索
… …
3. SPR等による標的タンパク質への結合評価
Quick & easymethod of
aptamer screening
(PLOS ONE, 2013)
ヒトゲノムの塩基配列からのアプタマーの探索G4 promoter-derived aptamer selection (G4PAS)
2. 候補配列の化学合成
Without heparin-binding domain With heparin-binding domain
VEGFA(Vascular Endotherial Growth
factor)PDGF-AA
(Platlet-derived Growth Factor -subunit)
PDGF-BB(Platlet-derived Growth Factor -
subunit)HGF
(Hepatocyte growth factor )HB-EGF
(Heparin-binding EGF-like growth factor)
aFGF(Acidic fibroblast growth factor)
bFGF(Basic fibroblast growth factor)
Annexin 2(Annexin A2)
ApoE4(Apolipoprotein E4)
CS protein(Circumsporozoite protein)
PLGF(Placenta growth factor)
TNF-(Tumor necrosis factors )
結合評価結果
3/9 bound
2/14 bound
8/8 bound
1/1 bound
1/1 bound
7/7 bound
1/8 bound
VEGF(Vascular Endotherial Growth factor)
PDGF-AA(Platlet-derived Growth Factor -
subunit)PDGF-BB
(Platlet-derived Growth Factor -subunit)
HGF(hepatocyte growth factor )
HBEGF(Heparin-binding EGF-like growth
factor)
aFGF(acidic fibroblast growth factor)
bFGF(basic fibroblast growth factor)
Annexin 2(Annexin A2)
ApoE4(Apolipoprotein E4)
CS protein(Circumsporozoite protein)
PLGF(Placenta growth factor)
TNF-(Tumor necrosis factors )
G4PASの結果まとめ
3/9 sequences bound
2/14 sequences bound
8/8 sequences bound
1/1 sequences bound
1/1 sequences bound
1/8 sequences bound
19個のタンパク質に対してG4PASによるDNAアプタマー探索をし、
8個について得ることができた。
ヘパリン結合部位を持つもの: 1/7 ヘパリン結合部位を持つもの: 7/12
Kd 値は10-7 - 10-9 M 程度。
DNA conc. : 10 nM~1000 nM
Mutant 1 2 3 4 5 6 7
Name Sequence (5' to 3')VEGFA G4 aptamer GGGGCGGGCCGGGGGCGGGGTCCCGGCGGGGCGGVEGFA G4 Mut1 GTTGCGGGCCGGGGGCGGGGTCCCGGCGGGGCGGVEGFA G4 Mut2 GGGGCGTGCCGGGGGCGGGGTCCCGGCGGGGCGGVEGFA G4 Mut3 GGGGCGGGCCGTTTGCGGGGTCCCGGCGGGGCGGVEGFA G4 Mut4 GGGGCGGGCCGGGGGCGTTGTCCCGGCGGGGCGGVEGFA G4 Mut5 GGGGCGGGCCGGGGGCGGGGTCCCTGCGGGGCGGVEGFA G4 Mut6 GGGGCGGGCCGGGGGCGGGGTCCCGGCGTTGCGGVEGFA G4 Mut7 GGGGCGGGCCGGGGGCGGGGTCCCGGCGGGGCGT
1000 nM500 nM
100 nM50 nM10 nM
VEGFプロモーター変異DNAの結合能解析
…
……
…
ReplicationPairingCrossover
Mutation
…
Selection of evolved sequences
Name Sp(HGF) HGFap1 1.9HGFap2 2.6HGFap3 2.8
Identified HGF aptamers by G4PAS
3 rounds(Repeat 3 times)
Aptamer with high specificity
Evaluation of specificity in vitro
SPR measurement& calculation of Sp(HGF)
Sp(HGF) =Ka(HGF) / Ka(HBEGF) Specificity index:
In silico maturationによるアプタマーの結合特異性の改良
In silico maturationによる結合特異性の向上
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新技術の特徴・従来技術との比較
• コンピューターを用いてアプタマーの塩基配列を組み換えるin silico maturation法により、アプタマーの探索領域を拡大し、注目しているアプタマーの機能を10倍以上改良することに成功した。
• ヒトゲノム上に存在するG-quadruplex構造形成可能
塩基配列に着目し、標的蛋白質に結合するアプタマーを探索する方法を開発し、時間と労力を圧倒的に削減することに成功した。
• 上記2つの方法を組み合わせて、結合特異性が優れたアプタマーを短期間に開発できる。
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想定される用途
• 疾病や健康状態の新規な指標と考えられる蛋白質やペプチドに対し、DNAアプタマーを獲得することができ、その簡易検出システムを構築することができる。
• 簡易検出に要求される、アプタマーの各種の特性(結合特異性等)を10倍以上改良できる。
• 本手法は治療薬としてのアプタマーの開発煮も応用でき、かつ本手法でアプタマーの修飾の種類や部位等最適化できる。
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実用化に向けた課題
• 現在、手法論についてはほぼ確立できたと考えられる。今後具体的な標的分子への適用を重ねる必要がある。
• 開発者らは今後の新規マーカータンパク質について具体的な情報及びその解析法を持っていない。
• 実用化に向けて、アプタマーの修飾及び非天然核酸塩基の導入は効果的と考えられるが、そのノウハウを持たない。
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企業への期待
• 具体的な新規マーカータンパク質とその特性解析方法を有する企業との共同研究を希望。
• 核酸の修飾及びオリゴDNAへの非天然核酸の導入方法及びこれらの生体内での効果に関する知見を有する企業との共同研究を希望。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :アプタマーの製造方法
• 出願番号 :PCT/JP2013/068901(WO2014/010640)
• 出願人 :国立大学法人東京農工大学
• 発明者 :池袋一典、吉田亘
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お問い合わせ先
東京農工大学
先端産学連携研究推進センター
TEL 042-388-7550
FAX 042-388-7553
e-mail suishin@ml.tuat.ac.jp
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