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特定非営利活動法人 日本医療政策機構

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2020年 9月 7日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの

国際的な供給体制に関する提言

日本医療政策機構

予防接種・ワクチン政策推進プロジェクト

スペシャル・アドバイザー

鴨下 一郎1 / 武見 敬三2 / 古屋 範子3 / 黒川 清4

日本医療政策機構は、2020年より予防接種・・ワクチン政策推進プロジェクト・ 国際潮流と日本の予防接種政策~

求められる次の打ち手~」を実施している。本企画では、当分野における産官学民のオピニオンリーダーや関係

団体が、アドバイザリーボードとして結集し、ワクチンが平時そして有事にもたらす価値やそのために求められ

るコミュニケーションの在り方、ライフコースにわたるワクチン接種の重要性や、ワクチン未接種世代へのアプ

ローチ方法などの課題を抽出し、解決の方向性を提示する。

また、スペシャル・アドバイザーとして参画していただいている方々の助言の下で提言の実現を目指す。本プロ

ジェクトにおけるこれまでの議論を踏まえ、・ 新型コロナウイルス感染症・ COVID-19)ワクチンの国際的な供給体

制に関する提言」を、本プロジェクトのスペシャル・アドバイザーから以下の通り提案する。

ワクチンの開発や分配は市場のメカニズムのみに依拠せず、多国間の枠組み等を通じ「 国際公共財」として

真に公平な形で実現されるべきである

ワクチンの安全性「 有効性を確認することは極めて重要であり、迅速な対応ができる体制づくりが求められ

ワクチン接種の優先順位については、透明かつ開かれた議論を多分野横断的な知を結集し実施することが重

要である

多国間主義が様々な要因によって挑戦を受け、COVID-19の影響が途上国だけでなく先進国にも甚大な影響を与え

る中、ワクチンの調達および分配は、国際協調主義のもとで、COVAXファシリティー5に代表される多国間で共同

購入をする枠組みに基づいて実現されるよう努力をすべきである。また、ワクチンは被接種者だけでなく未接種

者の健康も、感染拡大の連鎖を抑制することによって、公衆衛生に資する・ 公共財」としても広く認識されてい

る。COVID-19 のような特徴を有している疾患については、国際社会が互いに脅威排除のために取り組むことが求

められており、そのために 国際公共財」としての認識の下で対策を実施することが重要である。

一方で、安全性や有効性に関する議論は避けては通れず、副反応が生じた際に備え、迅速な対応をできる体制構

築をしたうえでの予防接種プログラムが実施されるべきである。また、新たな情報について国際的にも共有され

るメカニズムが重要である。ワクチン接種の優先順位については、分科会で議論が進められているが、透明かつ

開かれた議論であることに努め、最新の学際的な知見をもとにし、ワクチン忌避・ Vaccine Hesitancy)が生じない

ような丁寧な情報発信・共有にも配慮が求められる。

2021年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するにあたり、この公共財が世界各地にあまねく広

がるように努める必要がある。

1 衆議院議員/ 国民の健康増進を推進する議員の会 ワクチン予防議員連盟) 会長 2 参議院議員/ 自由民主党 新型コロナウイルス関連肺炎対策本部感染症対策ガバナンス小委員会 委員長

3 衆議院議員/ 国民の健康増進を推進する議員の会 ワクチン予防議員連盟) 会長代行

4 特定非営利活動法人 日本医療政策機構 代表理事 5 COVAXファシリティーは、世界保健機関 WHO: World Health Organization)、感染症流行対策イノベーション連合 CEPI: Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)や Gaviワクチンアライアンス Gavi: The Global Alliance for Vaccines

and Immunization)などの支援を受けて構築された共同購入の枠組みであり、日本政府も 6月下旬に関心を示しているが最終的な拠出については検討中である

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