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早稲田大学SolidWorksを1,100ライセンス導入。新入生全員のノートPCにSolidWorksをインストールして、日常文房具として活用

2007年2月、早稲田大学の理工学術院は、SolidWorksの教育版1,100ライセンスを導入した。 また創造機械工学科では、CADとCAEを理工学系学生の日常必需品と位置づけ、ノートPCにインストールして新入生全員に配布した。1,100ライセンスの導入は、過去にない規模であると同時に、学生個人が持ち歩くノートパソコンへ配布して、ユビキタス教育のツールとして活用するという形態も日本の大学としてきわめて珍しい。今回の先進的な取り組みが実現したのは、理工学術院機械工学科の高西淳夫教授の研究室におけるSolidWorks導入の成功実績が反映している。

SolidWorks教育版1,100ライセンスを一気に導入した理工学術院2007年2月、早稲田大学の理工学術院は、3次元CAD「SolidWorks」の教育版1,100ライセンスを導入し、大学のカリキュラムとして採用した。また、理工学術院創造理工学部の総合機械工学科では、新入生約160人の全員が個人用ノートパソコンを持ち、これへ大学が購入したSolidWorks

教育版をインストールして、3次元CADと解析ソフトを、ノートや文房具の一種として、日常的に利用できるようにした。「機械工学系の学生にとって、3次元CADのソフトは、ノートとエンピツの次に大切なコモディティです。ノートPCを起動したら最初に表示されるのが3次元CADの画面であってもいいと思うくらい日常的にあたりまえの文房具として使わせたい」と語るのは、早稲田大学 理工学術院機械工学科の高西淳夫教授である。「思いついた図をメモしてそのまま重心と重量を概算してみたり、講義の内容を入力し、数値を変えてシミュレーションしてみたり、熱流体の実習・実験結果を解析してみたりと、使い方は幅広い。Windows完全準拠の3次元CADというのは、メインの製図作業はもちろんのこと、力学や土木工学など、さまざまな科目で手軽に利用できるのが魅力なのです」と高西教授は言う。すでにPCを持っている学生を含めて、すべての新入生の個人用PCにSolidWorksをインストールし、保守サポートやトラブル対応をするのは大変な手間であるが、早稲田大学の理工メディアセンターを運営している情報支援課が、全面的な理解と支援を提供してくれたことから、今回の個人全員配布が可能になった。総合機械工学科では、2007年度前期はSolidWorksをそれぞれの科目でスポット的に活用し、後期から、本格的にカリキュラムへ組み込んでの展開となる。

高西研究室は「設計期間を3分の1に短縮」してきた実績SolidWorksが本学カリキュラムで大規模導入された背景には、産学連携、グローバル展開など、さまざまな成果をあげている高西研究室で、SolidWorksが日常的な研究支援ツールとして活用され、「設計期間を3分の1に短縮」という大きな成果をあげているという実績への評価が反映している。1970年に故・加藤一郎教授を中心としたグループがWABOTプロジェクトを開始して以来、早稲田大学は、人型ロボットの世界最先端の研究の場として知られてきた。2000年に開設されたヒューマノイド研究所はその中核を担っている。ヒューマノイド研究所にはいくつかのグループがあるが、高西淳夫教授率いる高西研究室では、学部の4年生と大学院修士/博士課程の学生約40名が、2足ヒューマノイドロボット、汎用2足ロコモーター、情動表出ヒューマノイドロボットのほか、唇/指/腕などを使って限りなく人に近いメカニズムで演奏を行う人間形フルート演奏ロボット、音声合成ではなく声帯/肺/舌などを使ってしゃべる人間形発語ロボットなど、約10種類のプロジェクトに取り組んでいる。高西研究室では、5~6年前からSolidWorksと解析ソフトウェアCOSMOSWorksの組み合わせを利用するようになったが、現在では、10プロジェクトのすべてで、構想から設計、プレゼンテーションなどありとあらゆる場面で、ごくあたりまえのツールとして駆使している。3次元CADと解析ソフトを活用することで、たわみや重心の計算や、動く部分の干渉チェックが楽にできるうえ、解析を繰り返すことで設計精度を上げられる。結果として、各種ロボットの設計期間を約3分の1に短縮することができたのである。

製図、力学、土木工学など、さまざまな科目で日常的に利用3次元ものづくりの時代に日本の産業を引っ張っていける「ドライビングフォース」育成高西研究室では、干渉チェック、解析シミュレーションで、設計期間を約3分の1に短縮産学連携、グローバル連携も、3次元データでスムーズ

2007年4月作成

160名の新入生は全員がSolidWorks教育版をインストールした個人用ノートパソコンを持つ。ライセンス貸出機能を利用して授業以外でも学生が24時間、学内外において学習が出来る環境を整えた。

2007年に125周年を迎えた早稲田大学は、さ

まざまな改革を行った。2008年に100周年を迎

える理工学部も大きく変わった。医学系などへ対

象領域を拡大したうえで、基幹理工学部、創造

理工学部、先進理工学部という3つの学部に再

編成を行い、これら3学部・研究科と総合研究所

を理工学術院という大きな枠組みで統合したの

だ。

今回、Solidworksの大量導入の中心となった

創造理工学部の総合機械工学科には、4学年で

約640人が所属している。

産学連携、グローバル連携の人々の中心に3次元データ高西研究室は、ロボット研究を軸足に置きながら、心理学など他の学術分野との相互啓発を促進したり、技術移転を積極的に行って企業のビジネスチャンス拡大に貢献している。開発期間の大幅短縮は、産学連携の効果を高めるうえでも大きな意義を持っている。グローバルな学術連携も年を追って拡大している。高西研究室では、イタリア、フランス、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、カナダ、米国、中国、台湾、 韓国、スーダンなど、常時8~10人の海外からの学生や研究者を受け入れている。中国が15年 計画で進めている国家的ハイテク研究発展計画「863プロジェクト」など、アジア各国の国家規模のプロジェクトについても、共同でシンポジウムを開催するなど積極的な支援を行ってきた。「2足ヒューマノイドロボットWABIAN-2は、福岡・博多の商店街を歩いて話題になりましたが、 実は、WABIAN-2は、イタリアでも台湾でも作っています。設計情報のベースが図面ではなく  3次元CADデータであるため、設計情報を世界中でうまく共有できるうえに、WindowsソフトのSolidWorksであるから、さまざまな領域にどんどん派生させていくこともできるのです」と高西 教授は続けた。ロボットは、機械工学、電子・電気工学、ソフトウェア開発という3つの分野の最先端技術を統合して、チームワークで作りあげるものだ。さまざまな国のさまざまな分野の人が、アイデアを出し合い実験し、ものづくりをし、ディスカッションをする。その多くの人をつなぐ輪の中心になるのは、言語を超えたコミュニケーションを実現できる3次元CADである。「理論の理学とものづくりの工学を一体のものとして学ぶべきだと考えたのが大隈重信の先見性であり、早稲田大学理工学部の出発点です。以来100年間にわたって、早稲田大学の理工学系は、世界をリードする研究者や工学者を数多く輩出してきました。われわれは、世の中が3次元もの づくりの時代へと移行する現代においても、日本の産業を引っ張っていける『ドライビングフォース』を育成していかなければなりません。3次元CADや解析ソフトをメモ用紙代わりに使いこなす日常は、そこへ至るために不可欠な一歩です」と高西教授はしめくくった。

早稲田大学東京都新宿区戸塚町

創立: 1882年(前身である東京専門学校が創立)学部校正: 11学部、17大学研究科、2付属高校概要:早稲田大学は2007年に125周年を迎えた。理工学部も2008年に100周年を迎え、医学系などへ対象領域を拡大し、基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部の3つの学部に再編成を行った。これら3学部・研究科と総合研究所を理工学術院という大きな枠組みで統合した。

早稲田大学 理工学術院機械工学科教授 高西淳夫先生

http://www.waseda.jp/

WABIAN-2は、イタリアでも台湾でも作っています。設計情報のベースが図面ではなく3次元CADですから、設計情報を世界中のどこでも共有できるのです。」(高西教授)

〒108-0022 東京都港区海岸3-18-1 ピアシティ芝浦ビルTEL.03-5442-4001(代表)FAX.03-5442-6256(代表)E-mail:info@solidworks.co.jpURL:http://www.solidworks.co.jp

チャレンジ : 早稲田大学理工学術院は、次なる100年に向けて、新機軸の統合エンジニアリング

教育を企画。そのために不可欠なツールとして 

選択したのが、3次元CADと解析ソフトだった。

3次元データを自在に扱い、3次元でものを発想

できる人材を育成する「3次元ものづくり教育」は

創造性を重視する早稲田大学の大変革への取り

組みと目指すところが合致したのである。

ソリューション : 「SolidWorks教育版

2006-2007」は、3次元CADの機能に加えて、 

構造解析/機構解析/熱流体解析ができる解析用

ソフトと、教職者・学生向けの操作マニュアルを 

ワンセットにして提供している。

しかも、SolidWorksのネットワークライセンスは

設定した日数だけ、ライセンスを切り離すことが

できる。つまり、一定のライセンス数を大学が導入

すれば、学生が自分のノートPCにインストールし

て持ち帰り、自分の個人用ソフトウェアのように 

活用できる。サーバー側で設定した貸出し期間が

過ぎると自動的にライセンスが戻るため、管理負

荷をかけることなく、在学生だけを確実にカバー

できるのである。

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