抗がん剤を 原則1 抗がん剤での プライミング絶対...

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抗がん剤を漏らさないための5原則

原則1

原則2 原則3

原則4 原則5

抗がん剤でのプライミング絶対禁止

抗がん剤投与終了後,びん針を抜かない(前投薬は抜きさし可)

最後の抗がん剤投与後,ウォッシュアウトを行う

投与終了後の輸液セット末端部を外さない

抗がん剤投与済みシリンジを外さない

 本章では,第2章で抗がん剤投与過程における問題点が浮き彫りになったことを踏まえ,1滴も漏れない抗がん剤曝露対策の具体的な進め方について解説します。

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5原則を守るためのカギ! プライミングの工夫と側管の利用プライミング法にはどのようなものがあるのか プライミング法にはいくつかの方法があります。

①�抗がん剤が輸液ボトルに

混入されている場合1)

 生理食塩水でラインを事

前にプライミングし接続す

る。

②�抗がん剤が輸液ボトルに

混入されていない場合1)

 プライミングしてから抗

がん剤を混入する。

③�調製時に薬剤師がプライミング施行

 薬剤師がBSC(安全キャビネット)内で

行う。

④�生理食塩水による��

プライミングバッグの利用

 数本の輸液セットを1本の

生理食塩水のボトルでプライ

ミング可能。

生食生食で

プライミング 抗がん剤 輸液セットを接続

抗がん剤→

生理食塩水

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⑤バックプライミング(逆流法)

 本書推奨のプライミング法。通常の

プライミング時とは逆に薬液が流れ

る。輸液セットは2本必要である。

 このようにプライミング法にはさまざまな方法があり,各施設の

状況に合った方法を選択する必要があります。

 「原則1」を守れるからといって,その他の原則が守れなかったら,結局は抗がん剤が漏れてしまう投与管理になってしまいま

す。つまり, すべての原則をクリアできることを前提として,抗がん剤投与過程全体を視野に入れた曝露対策をすることが大切です。 当院では,側管を利用することも考慮してバックプライミング法を採用しました。なぜなら,この方法が5原則すべてを対策するの

に有効かつ容易な手段と判断したからです。

 次に,5原則すべてを守った当院の方法を解説します。

生食 抗がん剤

 重要なのは,単にプライミング法の対策「原則1:抗がん剤でのプライミング絶対禁止」をするのではなく,5原則すべてが守れるような投与管理をすることです。

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5原則をすべて守るための投与管理 まず,「原則1:抗がん剤でのプライミング絶対禁止」を守るために,下記の対策をとります。

 これにより,「原則1」と「原則3」がクリアできることになります。

 そして,回路を組み立てる際は,下記の流れで行うようにします。

抗がん剤

生食

患者さんへ

先に接続することで抗がん剤のプライミングを防ぐ

接続

ボトルにさす前に回路を組み立てる

側管輸液セット末端部をプライミング前にメインルートへ接続する

バックプライミング法を採用⬇

バックプライミングをするには側管が必要⬇

プライミングだけの使用では生理食塩水が余るため「原則3:最後の抗がん剤投与後,ウォッシュアウトを行う」も

同時に考え⬇

プライミング,ウォッシュアウト兼用とする。メインルートを生理食塩水にすることで,ウォッシュアウト忘れも防止できる

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抗がん剤でのプライミングを防止するための 対策のまとめ

 次に,抗がん剤終了後のボトルの取り扱いについて「原則2:抗がん剤投与終了後,びん針を抜かない」方法を管理します。 下の写真のように輸液ボトルからびん針を抜くことは,抗がん剤

患者さんへ

生食

側管を利用

すべて生理食塩水

バックプライミング(逆流法)

◎メインルートを生理食塩水にする◎プライミング・ウォッシュアウト兼用で使用◎ウォッシュアウト忘れを防止

輸液ボトルからびん針を抜かない

抜かない!

輸液ボトルから抜いたびん針

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