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第46回 Prowise Business Forum

なぜ企業は

オープンソースを使わないのか

ITpro 副編集長高橋 信頼

2010年11月18日

自己紹介

• ITpro オープンソース/Linux 2003 〜

http://itpro.nikkeibp.co.jp/oss/

自己紹介

• Android Developers’ Inn

http://itpro.nikkeibp.co.jp/android/developinn/index.html

自己紹介

• 日経コンピュータ 1991〜– メインフレーム、オフコンからUNIX、PCサーバーへ

の「 ダウンサイジング」が始まる

• 日経オープンシステム( 現日経SYSTEMS)  創刊に参加 1993〜– オープンシステムの時代、オープンソースの出現

• ITpro オープンソース/Linux 2003〜– オープンソースソフトウエアが当たり前の存在に•基幹システム、モバイル、デジタル家電、クラウド

•オープンへと向かう ITの力学

• オープンであることにより –情報が増え、ノウハウが増える–競争によりコストが下がる– ノウハウを持った人材が増える

– ユーザーにとっては有利だが「 隠すこと」で儲けたいベンダーには逆風– と同時に、新しいプラットフォームが企業情報シス

テムの要件を満たすには時間がかかる

しかしOSSが企業情報システムに浮上してから10年が経過

今日のお話

• OSSの最前線– ミッションクリティカルシステム– クラウド– モバイル、デジタル家電–政府・ 自治体– アジア

• なぜOSSを使わないのか–使わない理由は何か–不安、OSSのデメリットの解決策

ミッションクリティカルOSS

• 東証の取引システム「arrowhead」はLinux

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100104/342801/

ミッションクリティカルOSS

東証 arrowheadのアーキテクチャハードウエアの3重化により信頼性、オンメモリーDBで性能を確保するhttp://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070105/258102/

ミッションクリティカルOSS

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20100415/347111/

「一般にメインフレームで200億円、オープンシステムで100億円と言われる銀行の勘定系を80億円で」

ミッションクリティカルOSS

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20100309/345566/

OSはLinuxStrutsやSpring Framework、HibernateといったOSSフレームワークも活用

ミッションクリティカルOSS

• 東京ガスの地震防災システム 「 Supreme」–地震発生時にガスを止めるライフラインシステム–バックエンドはRuby– フロントエンドはマイクロソフトのSilverlight

RubyWorld Confernece 2010でのティージー情報ネットワーク 武藤紀之氏の発表より

http://www.rubyworld-conf.org/ja/program/A-6/

クラウドを支えるOSS

写真はGoogleのアナリスト向け資料 http://investor.google.com/pdf/20060302_analyst_day.pdf より引用

GoogleのサーバーはすべてLinux

クラウドを支えるOSS

• GoogleとOSS– LinuxやPython、Sambaなど多く のOSSを活用– Android、Chrome、Google Web

Toolkit、Google日本語入力(Mozc)などのソフトをOSSとして公開– Pythonの作者Guido van Rossum氏や、      

“ Linus Torvaldsの右腕”Andrew Morton氏など多くのOSS開発者が在籍

– OSSプロジェクト支援サイト Google Code を開発者に無償公開

クラウドを支えるOSS

• クラウドコンピューティングの基盤ソフトの多くがオープンソース

クラウドを支えるOSS

• Hadoop - 分散処理ミドルウエア– Googleの処理基盤のOSS実装、Yahoo!の技術者

が中心となり開発

– POSデータ解析や、会計バッチ処理、銀行の顧客口座値洗い処理などで活用

日経コンピュータ9月15日号 特集「クラウド育ち」のOSS、主役にhttp://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NC/20100910/351913/

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20100820/351294/

インターネットサービスを支えるOSS

- Linux,PHP,MySQLなど

- Linux,Perl,MySQLなど

- FreeBSD,PHP,MySQLなど

- Linux,Perl,MySQLなど

インターネットサービスを支えるOSS

• Rubyを利用しているサイトの例

モバイルを支えるOSS

• スマートフォンはオープンソースが主役– iPhone、iPadのiOS(Mac OS)のコアはオープン

ソースのMach(Darwin)

– Androidは全体がオープンソース

モバイルを支えるOSS

• ドコモの携帯電話はほとんどオープンソースOS• P(パナソニック)とN(NEC)はLinux

• F(富士通),D(三菱電機),SH(シャープ)はSymbian

モバイルを支えるOSS

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20100423/347430/

モバイルを支えるOSS

• 携帯電話のソースコードがダウンロードできる

http://www.nttdocomo.co.jp/support/utilization/application/develop/source/

政府・自治体のOSS導入

• オープンソースカンファレンス.Government(2010.9/11-12)

– 政府・ 自治体関係者が導入事例を報告

http://www.ospn.jp/osc2010-gov/

自治体のOSS導入事例

大館市 OSS IP電話導入

会津若松市 OpenOffice導入

四国中央市 OpenOffice導入

箕面市 Linuxで中古PC再生

屋久島町OSS HP管理システム導入

徳島県 HP管理システムをOSS公開

島根県 Rubyで県HP構築、OSS公開

長崎県 県システムをOSSで構築・公開

塩尻市 Ruby図書館システム導入浦添市 OSSシンクライアント導入

豊川市 OpenOffice導入

二宮町(現 真岡市)Linux導入

八代市 SNSをOSS公開

自治体のOSS導入事例

•  長崎県–県庁システムをLinux、MySQL、PHPなど利用し開

発。オープンソースソフトウエアとして公開。徳島県に提供http://osvfn.com/–県庁システムをクラウドサービスとして他自治体に提供– メインフレームをLinux, OpenCOBOL, MySQL,

Perlなど利用しダウンサイジング移行中。年間7億円の運用コストを3億円に圧縮予定

自治体のOpenOffice.org導入事例

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20100824/351416/

例えば会津若松市はPC840台の85%を移行し5年間で1500万円のコスト削減を見込む

政府OSS支援事業は年間約5億円

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20100217/344720/

政府のOSS導入事例

• アイディアボックス、行政刷新会議のshiwake.go.jp

– 費用は1カ月半のクラウド運用費を含め約95万円

– OSSのSugarCRMベース、コア部分をOSSとして公開

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20100527/348566/

「公共的な意味を持つプロジェクトはソフトも公共財となるべき」                    (開発した社団法人 オープンビジネスソフトウエア協会)

アジア各国政府のOSS推進組織

http://www.cicc.or.jp/japanese/kouenkai/pdf_ppt/pastfile/h20/OSS09030601

出典:財団法人 国際情報化協力センター

アジア各国のOSS推進政策例

• ベトナム: 政府のIT関連部門のサーバーを100% Linuxに

• 韓国 : 電子政府調達でOSS優先

• 中国 : 政府教育部が36のLinuxセンター設立

• インド: 政府機関がLinuxディストリビューション   「 BOSS」開発

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20061124/254753/

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090316/326635/

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20091020/339175/

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20070314/265191/

日中韓のOSS普及推進協力

• 北東アジアOSS推進フォーラム

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081104/318441/

2003年から日中間3国で開催、2010年(韓国ソウル)で第9回

あなたの知らないオープンソース

• SourceForgeには26万以上のOSSプロジェクト

http://sourceforge.net/

業務アプリケーションのOSSも

• 顧客管理/商談管理(CRM/SFA)、                   人事給与・ 勤怠、 ERP( 統合業務ソフト)

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20070717/277655/

数多く の日本発OSS

デジタル家電を支えるOSS

• VIERA, BRAVIA, AQUOS,REGZAもLinuxを採用

デジタル家電を支えるOSS

• ビデオカメラ,デジカメ,HDDレコーダ,カーナビなどのソースコードをダウンロードできる

http://www.sony.net/Products/Linux/

MicrosoftもOSSを公開

IronRuby、F#など

http://www.microsoft.com/japan/opensource/

ハードウエアもオープンソースに

日経エレクトロニクス2009年4月6日号表紙

ハードウエアもオープンソースに

• 設計情報を公開したワンボードコンピュータArdino

http://arduino.cc/

ハードウエアもオープンソースに

• オープンソース・ハードウエア• Sunがプロセッサの設計図をオープンソース化

ハードウエア記述言語

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071212/289326/

ハードウエアもオープンソースに

• 日本のオープンソース・ ハードウエア SUSUBOX

FPGAやCPLDに書き込めるLSIのデータを公開

http://www.susubox.org/

なぜOSSを使わないのか

• 国内ITベンダーが考えるOSSのメリット

IPA 第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査(2009年度調査)http://ossipedia.ipa.go.jp/doc/201

メリットは「コスト」「特定ベンダー依存からの脱却」「情報」「ソースコード」

なぜOSSを使わないのか

• 国内ITベンダーが考えるOSSのデメリット

IPA 第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査(2009年度調査)http://ossipedia.ipa.go.jp/doc/201

ベンダー企業の不安は「サポート」「永続性」「製品計画」

OSSの不安、デメリットへの対策

• サポート → OSS開発者が在籍するサポート企業の利用

– 例: Red Hat(Linux)

ネットワーク応用通信研究所(Ruby)

SRA OSS(PostgreSQL)

    電通国際情報サービス(Seasar2)

– 複数のOSSを組み合わせたスタックとしてサポートを提供する企業もある

例: 野村総合研究所、サイオスなど

OSSの不安、デメリットへの対策• 永続性 → ソースコードが存在する

•メーカー製ソフトでも消えることはある

•必要とされるOSSは、多くの場合、別の開発者や別プロジェクトにより継続される–例: namazu

OpenCOBOL

OSSの不安、デメリットへの対策

• 製品計画がない → 自ら開発に参加して機能を盛り込む

–例: 日立製作所がLinuxカーネルデバッグツールを開発    富士通がメモリーホットプラグ機能などを  Linuxに追加

なぜOSSを使わないのか

• ユーザーが考えるOSSのデメリット

IPA 第3回オープンソースソフトウェア活用ビジネス実態調査(2009年度調査)http://ossipedia.ipa.go.jp/doc/201

ユーザー企業の不安は「人材」「サポート」「信頼性・安全性」

なぜOSSを使わないのか

• 企業情報システムの目的は経営に資するシステムを「 信頼性」「 使い勝手」「 コスト」のバランスを取りながら提供すること

• ある企業のCIO「 技術の流行を追いかけるな」

OSSはオープン化というIT技術の大きな流れの上にある

一過性の流行ではない

なぜOSSを使わないのか

• 「 OSSだから使えない」、「 OSSだから安くなる」ではなく、、ただ単に「 使えるOSS」と「 使えないOSS」があるだけ。–作り込みが必要ならOSSの方が高くなることは当然

あり得る

• 使用実績は以下のようなサイトで調査できる– IPA OSS iPedia http://ossipedia.ipa.go.jp/

– The Linux Foundation OSS Database http://www.linux-foundation.jp/ossdatabase

OSSの不安、デメリットへの対策

– The Linux Foundation OSS Database

約400のOSSを「使用実績多数」「使用実績あり」などに分類、事例にリンクhttp://www.linux-foundation.jp/ossdatabase

OSSの不安、デメリットへの対策

– IPA OSS iPedia

事例や基礎知識、ソフトウエアの評価・検証・チューニングの報告書を掲載http://ossipedia.ipa.go.jp/

OSSの不安、デメリットへの対策

• 小規模・ 情報系から始めて大規模・ 基幹系へ

– NTTグループのPostgreSQL導入計画

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081007/316327/

5年間累計で20~30億円TCO削減を計画

OSSの不安、デメリットへの対策

• クラウドを介して利用する–背後にあるのはOSS、運用はクラウドベンダーに

例:Google App Engine

OSSの不安、デメリットへの対策

• アプライアンスなど製品に組み込まれた形で利用

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20101018/353111/

NTTデータのクラウドシステム「Lindacloud」

OSSの不安、デメリットへの対策

• OSSコミュニティに参加する– メーリングリスト参加だけでも情報が得られる–参加者の技術レベルが議論からわかる–会合に参加してみる•例: オープンソースカンファレンス

ご静聴ありがとうございました

質問,ご意見をお待ちしております

nob@nikkeibp.co.jp

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