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後悔しないための後悔しないための RDBMSRDBMSはじめの第一歩はじめの第一歩

奥野 幹也@nippondanjimikiya (dot) okuno (at) gmail (dot) com

@qpstudy 2013.07

免責事項

● 本プレゼンテーションにおいて示されている見解は、私自身の見解であって、オラクル・コーポレーションの見解を必ずしも反映したものではありません。ご了承ください。

リレーショナルモデルとは。

クイズ!!

リレーショナルモデルにおけるリレーションとは、テーブル間のリレーションシップのことである?

○ ×

リレーションとは

● ある物事に対する事実の集合

≒ テーブル リレーション

集合の性質

● 重複がない● NULL がない

– 実際に存在する値のみ● 要素間に順序がない

– 例え数値でも。

米国

中華人民共和国

日本

オーストラリア

スウェーデン カメルーン

リレーションの構成部品

● 見出し(ヘッダ)+本体(ボディ)● 見出し(ヘッダ、 headding )

– 属性の集合– 集合なので順序はない

● 本体(ボディ)– ヘッダと同じ属性を持つ組(タプル)の集合

● 属性(アトリビュート)– 名前と型(タイプ)

● 属性値– 属性で定義された型を持つ値– ≒ 列(カラム)

● 組(タプル)– ヘッダで定義された属性に対応した属性値の集合– ≒ 行

リレーションのイメージ

見出し

国名 / 文字列 国番号 / 整数

本体

地域 / 文字列

国名:日本 ,国番号: 81,地域:アジア

国番号: 86,国名:中華人民共和国 ,

地域:アジア

国番号: 61,国名:オーストラリア ,

地域:オセアニア

国名:米国 ,国番号: 1,地域:北米

地域:アフリカ ,国名:カメルーン ,

国番号: 237

地域:欧州 ,国名:スウェーデン ,

国番号: 46

SQL との対応

リレーショナルモデル SQL

関係(リレーション) テーブル

属性(アトリビュート) カラム

組(タプル) 行

対応する概念だが性質は異なる。

クイズ2!!

リレーションは二次元的な構造を持つ。

○ ×

例題「2次元の平面上で

半径 2 の円に含まれ、かつ x と y が共に

整数である座標の集合」※ 円上の点は含まれるものとする。

半径 2 の円に含まれる座標の集合

2次元?

x

y

さらに次元が増えると?

3次元空間上で半径 2 の球に含まれ、かつ x 、 y 、 z が共に整数である座標の集合

4次元空間上で(以下略)

リレーションのイメージ

● 2次元に見えるのは錯覚– 2次元(紙)の上に描けばどんな絵でも2次元– 表現されているものが2次元というわけではない

● n 個の属性を持つリレーションは n 次元空間上にプロットされた点の集合ようなもの

● 数値の代わりにドメインが次元の軸になるイメージ。

データ型=ドメイン

● 属性が取りうる値の有限集合– 無限でないのはコンピュータで扱う値だから– 32 ビット整数なら 232 通り

● 同じ種類のデータ型であっても属性ごとに意味は異なる– 身長と体重の比較にどんな意味が?– 演算結果には意味がある:例) BMI

リレーショナルモデルの特徴

● ポインタがない– 扱いが容易

● 実質的な標準的インターフェイス= SQL– 集合の操作– 宣言型言語– ただし SQL とリレーショナルモデルには齟齬があり!

● リレーショナルモデルを端から無視した使い方は大抵アンチパターン

リレーションの演算

リレーションの演算

● 演算の入力も結果もリレーション– n 個のリレーションの演算の結果、 1 個のリレーションが返る

– 整数と整数の足し算の結果が整数なのと同じ● 集合操作に基づく演算

– 和、差、直積、射影、制限、結合 etc

リレーションのイメージ(再掲)

見出し

国名 / 文字列 国番号 / 整数

本体

地域 / 文字列

国名:日本 ,国番号: 81,地域:アジア

国番号: 86,国名:中華人民共和国 ,

地域:アジア

国番号: 61,国名:オーストラリア ,

地域:オセアニア

国名:米国 ,国番号: 1,地域:北米

地域:アフリカ ,国名:カメルーン ,

国番号: 237

地域:欧州 ,国名:スウェーデン ,

国番号: 46

制限

制限

射影

射影

属性名変更

国名 / 文字列 国番号 / 整数 大陸 / 文字列

属性名変更

国名 / 文字列 国番号 / 整数 地域 / 文字列

拡張

国名 / 文字列 人口 / 整数 面積 /

Decimal (km2)

拡張

国名 / 文字列 人口 / 整数 面積 /

Decimal (km2)

人口密度 /Decimal ( 人 /km2)

和( UNION )

和( UNION )

積( INTERSECT )

積( INTERSECT )

差( DIFFERENCE )

差( DIFFERENCE )

直積( PRODUCT )

a b

c d

x

y

z

直積( PRODUCT )

xa b

za bya b

yc dxc d

zc d

結合( JOIN )

b y

c z

a x

y 2

z 3

x 1

結合( JOIN )

1a x

2b y

3c z

豆知識

● 直積( Product )と積( Intersect )はいずれも結合( Join) の特殊なケース

– 直積・・・共通する属性がひとつも存在しないケース– 積・・・すべての属性がまったく同じケース

リレーションの演算は分かったけど

SQLとどう関係あるの?

SELECT の実態

SELECT select_list

FROM table_reference

WHERE where_condition

SELECT の実態

SELECT

FROM

WHERE

射影

直積

制限

クイズ3!!

次の SELECTは正しく実行されるか?

○ ×

SELECT weight / POWER(height, 2) AS bmiFROM body_shapesWHERE bmi > 25

SELECT における評価の順序

SELECT

FROM

WHERE

3 射影

1 直積

2 制限

リレーショナルモデルにおける更新とは

驚きの事実。

リレーションは更新ができない!!

関係変数( Relvar )

● リレーションは「値」● 値と変数

– C 言語の場合– int a = 1;

● 変数 a に代入される値は変更できるが 1 という値そのものは不変

● 関係変数– リレーションを格納するための変数– 変数は刻々と変化する

SQL における更新とは

● テーブルはリレーションと関係変数の両方を兼ている。● リレーショナルモデル的には、 SQL の更新は変数への代入と操作のショートカットと考えると良い。

● 例) INSERT– r = r UNION new_rel

リレーションの正規化

クイズ 4 !!

リレーションの正規化はそれほど重要ではない。

○ ×

ミッション: ”データの 論理的”整合性を保つ

論理的な不整合とは?

name fighting_style age

範馬刃牙 総合格闘技 19

範馬勇次郎 総合格闘技 38

愚地独歩 空手 57

ビスケットオリバ 怪力 40

ビスケットオリバ 柔道 42

花山薫 素手喧嘩 20

烈海王 中国拳法 30

烈海王 ボクシング 30

どっちが正しい?

重複があると矛盾が起きる!!(原因になる)

用語 1● 命題

– ある物事について記述した文章で、その意味が正しいかどうか、つまり真なのか偽なのかを問えるもののこと

– 例)ポチは犬である● 述語

– 命題の中の固有名詞をパラメータ化したもの– 例) x は犬である

● 命題関数– 述語から意味を取り除いて関数化したもの。値を代入した場

合の評価結果は述語と同じ。– 例) F(x)

● 閉世界仮説– リレーションは事実の集合

● 事実=真となる命題– → リレーションに含まれる組の属性値の組み合わせ 真– → それ以外の属性値の組み合わせ すべて偽

論理的に矛盾しているデータは、どちらが正しいかいくら考えても

分からない!!

正しい答えが得られないデータベースは

無価値!!

矛盾をなくすための王道それが正規化!!

クイズ 5 !!

テーブルに主キーがあれば正規化は完了している。

○ ×

正規化理論

● リレーションから重複を排除するためのデータベース設計理論

– 関係理論の上に成り立っているが、関係理論とは別の理論

● 第一正規形( 1NF )〜第六正規形( 6NF )– 3NF と 4NF の間に BCNF というものがある。超重要。– より高次の正規形のほうが重複が少ない(望ましい)状態になる。

– ただし最終目標は 5NF

用語 2● 候補キーとスーパーキー

– あるリレーションにおいて、タプルの値を一意に決めることができる属性の集合で、規約のもの(それ以上減らすことができないもの)を候補キーという

– 候補キーのスーパーセット、つまり余分な属性を含んだものをスーパーキーという

● すべての属性を含む集合は常にスーパーキー● 関数従属性( Functional Dependency - FD )

– あるリレーション R の見出しの 2 つの部分集合を A 、 Bとする。 R の要素の全てのタプルにおいて、 A の値が同じならば B の値も同じである場合かつその場合だけに限り、 B は A に関数従属すると言い、 A → B と記述する。

– → スーパーキー 見出しの任意の部分集合● 自明な FD

用語 2 解説

name fighting_style age

範馬刃牙 総合格闘技 19

範馬勇次郎 総合格闘技 38

愚地独歩 空手 57

ビスケットオリバ 怪力 40

ビスケットオリバ 柔道 40

花山薫 素手喧嘩 20

烈海王 中国拳法 30

烈海王 ボクシング 30

FDname の値が同じならage の値は常に同じ

候補キー図に描くときは

アンダーラインをひく

1NF● 要件:テーブルがリレーションであること。

1.行が上から下に順序付けされていない。2.列が左から右に順序付けされていない。3.重複する行は存在しない。4.それぞれの行と列の交差点(つまり列の値)は、ドメイン

(データ型)に属する要素の値をちょうどひとつだけ含んでいる。

5.全ての列の値は定義されたものだけであり、かつそれぞれの行において常に存在する。

繰り返しグループ

name fighting_style

範馬刃牙 総合格闘技

範馬勇次郎 総合格闘技

愚地独歩 空手

ビスケットオリバ 怪力

花山薫 素手喧嘩

海王烈 中国拳法

name fighting_style1 fighting_style2

範馬刃牙 総合格闘技 NULL

範馬勇次郎 総合格闘技 NULL

愚地独歩 空手 NULL

ビスケットオリバ 怪力 柔道

花山薫 素手喧嘩 NULL

海王烈 中国拳法 ボクシング

属性追加

同じ性質のものじゃね?

アトミックな属性とは?

name fighting_style

範馬刃牙 総合格闘技

範馬勇次郎 総合格闘技

愚地独歩 空手

ビスケットオリバ 怪力柔道

花山薫 素手喧嘩

海王烈 中国拳法ボクシング

2つ入ってるので分解可能

それ以上分解できないような属性

※ 属性の中に繰り返しグループがある。

属性のデータ型

● アトミック– ≠ スカラ– 文字列はアトミックか?

● substring で分解可能● データ型=ドメイン

– ドメインという有限集合に含まれる要素の「ひとつ」– ひとつの値として扱えるものならどんなデータ型でも良い

● 配列、ベクトルやリレーションを属性にすることも可– SQL にはないデータ型でもリレーショナルモデル的には

アリ● SQL にはないデータ型を扱いたい場合には工夫が必

要– ポインタ、 NULL は不可

1NF の例

name fighting_style

範馬刃牙 総合格闘技

範馬勇次郎 総合格闘技

愚地独歩 空手

ビスケットオリバ 怪力

ビスケットオリバ 柔道

花山薫 素手喧嘩

海王烈 中国拳法

海王烈 ボクシング

●繰り返しグループなし●重複なし●NULL なし

2NF

候補キーの真部分集合(それ自身は含まないもの)から非キー属性への FDを取り除いた状態。

タプル

候補キー 非キー属性

・・・

FD

2NF でないリレーションの例

name fighting_style age

範馬刃牙 総合格闘技 19

範馬勇次郎 総合格闘技 38

愚地独歩 空手 57

ビスケットオリバ 怪力 40

ビスケットオリバ 柔道 40

花山薫 素手喧嘩 20

烈海王 中国拳法 30

烈海王 ボクシング 30

FDname の値が同じならage の値は常に同じ

FD を解消する

● 無損失分解する– 必要な操作は射影– {name,fighting_style,age}

● FD: name → age● FD を含む属性の射影+FD の非キー属性(この場合

は age )を取り除いた属性の射影● {name,age},{name,fighting_style}

● 逆説– FD があるかどうか疑わしいときには射影によって無損失分解ができるかどうかを試してみるのもアリ。

– 射影 = SELECT DISTINCT

2NF の例

name fighting_style

範馬刃牙 総合格闘技

範馬勇次郎 総合格闘技

愚地独歩 空手

ビスケットオリバ 怪力

ビスケットオリバ 柔道

花山薫 素手喧嘩

烈海王 中国拳法

烈海王 ボクシング

name age

範馬刃牙 19

範馬勇次郎 38

愚地独歩 57

ビスケットオリバ 40

花山薫 20

烈海王 30

正規化するとリレーションが増えまくる?→大丈夫だ、問題ない!!

3NF

非キー属性同士の FDを解消した状態。

タプル

候補キー 非キー属性

・・・

FD

宿題:次のリレーションの FD を解消せよ

name fighting_style groundwork

範馬刃牙 総合格闘技 Yes

範馬勇次郎 総合格闘技 Yes

愚地独歩 空手 No

ビスケットオリバ 怪力 No

花山薫 素手喧嘩 Yes

烈海王 中国拳法 No

BCNF

ボイス・コッド正規形の略。すべての自明でない FDが取り除かれた状態。

残る FDは、非キー属性から候補キーの真部分集合への FD 。

タプル

候補キー 非キー属性

・・・

FD

3NF であって BCNF でない例

name fighting_style school

松尾象山 空手 北辰館

姫川勉 空手 北辰館

丹波文七 柔術 竹宮流

丹波文七 空手 丹波流

長田弘 プロレス FAW

長田弘 柔術 竹宮流

藤巻十三 柔術 竹宮流

FD: school → fighting_style

用語 3● 結合従属性( Join Dependencies - JD )

– BCNF で FD の話は終わり– 4NF〜 6NF は JD の話– Join すると元に戻るような無損失分解– A,B,...,C をリレーション R の見出しの部分集合であると

する。もし A,B,...,C に対応するリレーションを結合した結果と R が同じ場合かつその場合に限り、 R は以下の JDを満たすという。 ☆{A,B,...,C}

JD の例

A B

A1 B1

A1 B2

A2 B1

A2 B2

A3 B1

A3 B2

B

B1

B2

A

A1

A2

A3

4NF

一般的には多値従属性(MVD )を取り除いたものという解説がなされているが、MVDは JDの特殊なパターン。

用語 4● MVD の JD を用いた定義

– A,B,C をリレーション R の見出しの部分集合であるとする。 A,B,C が以下の JD を満たす場合かつその場合に限り、 B および C は A に多値従属するという。☆{AB,AC}

● MVD の記述法– A →→ B– A →→ C

BCNF であって 4NF でない例

name fighting_style match

松尾象山 空手 試合

松尾象山 空手 道場破り

松尾象山 空手 喧嘩

丹波文七 空手 試合

丹波文七 空手 喧嘩

丹波文七 空手 路上

丹波文七 柔術 試合

丹波文七 柔術 喧嘩

丹波文七 柔術 路上

長田弘 プロレス 試合

長田弘 プロレス 道場破り

長田弘 柔術 試合

長田弘 柔術 道場破り

4NF〜 6NF のヒント

● 非キー属性がある BCNF に自明でない JD はない– 何故ならば、候補キーがバラバラになるような射影をとる

と FD が消失してしまう。● FD: → 候補キー 非キー属性

– 自明な JD とは、複数の非キー属性があるリレーションにおいて、それぞれ候補キーを含んだ複数の異なるリレーションに無損失分解できるような JD 。

● 非キー属性のある BCNF は自動的に 5NF または 6NF になる。

5NF

全ての自明でない JDが取り除かれた状態。最終目標地点。

宿題:接続の罠について調べよ

● ヒント– 3 つ以上のリレーションに分解可能な JD で起きる問題– 接続の罠が本当は罠じゃない理由は JD

6NF

自明なものを含めてすべての JDを取り除く。非キー属性は最大でひとつ。

正規化をする上ではあまり意味はない。

クイズ 6 !!

正規化が完了すればデータベース設計のすべての問題は解消している。

○ ×

リレーションの直交性

● 正規化は個々のリレーションの内部の重複をテーマにしたもの

● リレーション同士の重複に焦点を当てたのが直交性

用語 5● 直交したリレーションとは、互いに重複したタプルを含まな

いものを指す。– 見出しが同じ型でもタプルの重複がなければ OK

見出しが異なる場合には単純に比較できない

事態が発生!!

直交性を確認する

● 6NF まで分解して比較する● 重複があればデータベース設計を見なおそう

– リレーションの統合と再編

リレーショナルモデルの限界

クイズ 7 !!

データの保全と検索に関するすべての課題は RDBMSで解決できる。

○ ×

リレーショナルモデルでは扱いが難しいテーマ

● 履歴データ● グラフの探索● ツリーの探索● 行列● 全文検索● 正規表現● ソート● 集計● 空間データ

リレーショナルモデルの外側の世界

● ≒リレーショナルモデル SQL– SQL なら何とかできる部分がある

● 非常に容易なものもある● 例) GROUP BY, ORDER BY

– 扱う対象によってはストアドプロシージャが必要● SELECT を書くときの鉄則

– リレーショナルモデルで解決できる部分はリレーショナルモデルを適用すべし。

– リレーショナルモデルにない操作を行う場合は細心の注意を払うべし。

– リレーショナルモデルに準ずる演算を先にすべし。● オプティマイザが一番活躍できるのはリレーショナルモ

デルの領域

おすすめの書籍

● SQL and Relational Theory– データベースの実践講義は内容が少ないし古いのでお

すすめはしない。● The Art of SQL● プログラマのための SQL● SQL アンチパターン● WEB+DB PRESS

– Vol.68 〜

Q&A!!ご静聴ありがとうございました。