わかもののまちづくりフォーラム...

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わかもののまちづくりフォーラム - 人口減少社会に対応する強い地域づくり

主催者 : NPO 法人 わかもののまち静岡2016 年 10 月 22 日

両角達平

About me・両角達平 ( モロズミ タツヘイ )

88 年生 長野出身 静岡県立大学 国際関係学部 卒

• 東京大学教育学部特別 研究生

• ストックホルム大学教育学部 ( 国際比較教育専攻 ) 修士課程

• フリーランスのライター・研究者

• 生業 : スウェーデン視察コーディネート / 翻訳 / 通訳 / 北欧留学相談 etc.

• ブログ : Tatsumaru Times 編集者

• 「スウェーデンではなぜ 81% の若者が選挙に投票するのか? ( 合同出版 ) 」 – 2017 年 1 月発売!

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~ これまで関わってきた活動 ~

団体 Youth Policy Press オフィスチーム ( ベルリン )

NPO 法人 Rights 日本シティズンシップ教育フォーラム内閣府子ども若者育成支援点検評価会議 構成員 (2011)

日本シティズンシップ教育フォーラム

静岡 YEC (若者エンパワメント委員会 ) 創設・代表POC ( ファシリテーション・対話 ) 創設・代表静岡県立大学学生団体活性化委員会 DD ( 中間支援 )

人口減少社会における若者にやさしいまちとは?

首都: ストックホルム通貨: スウェーデン・クローナ人口: 959.3 万 (2013 年 ) 公用語: スウェーデン語5

スウェーデン流のまちづくりを訪ねる

Strömstad

Strömstad ( ストロームスタッド )• 北海に面した風光明媚な地

方• 人口 6000 人–ただし、人口増!– 2001 年には、「民主主義自

治体」に選ばれる

–まつづくりでは「真正」さが大事 町の中心(波止場)

Strömstad ( ストロームスタッド )• 持続可能性を保った観光振興–海も山も近く、子どもを育てる

のに最適であるという魅力を保つ–ヨーテボリ、オスロなどへ通

勤–別荘申請はほとんど却下。乱開

発を避ける

• “Democracy comes first” • 1990 年代から市全域で、市民

との対話集会• 漁業者、環境保護家、観光業者

との対話の結果、 2009 年に海洋国立公園を開園

前町長さんと

なぜスウェーデンではまちづくりで「 Democracy comes first 」なのか?なぜ、若者参加なのか?

民主主義政策の存在 (demokratipolitiken)

民主主義政策の目標は、ひとりひとりの影響を発揮する機会が強められ、人権が尊重されることである。5つ方針• すべての人の平等な選挙への参加• 被選挙権の平等な行使、選出される機会の拡大• 選挙がないときの、市民の影響力、透明性と参加の向上• 民主主義の意識を高めること• 民主主義を守り、暴力的な過激主義を減らすこと

(Prop. 2008/09: 1 bit 2008/09: CU1, Comm. 2008/09: 83).http://www.regeringen.se/regeringens-politik/demokrati-och-manskliga-rattigheter/

若者政策の目標:

• 若者の実質的な影響力へのアクセスを保障すること• 若者の福祉へのアクセスを保障すること

Power to decide - Rights to welfare 2004

教育の目標:

• すべての生徒の発達と生涯にわたる学びの意欲につながる知識と価値観を教えること• 教育は、スウェーデン社会の基礎

となっている、人権と基本的な民主主義の価値を尊重し伝達することにある• 社会的なコミュニティとの接触と、

社会への積極的な参画を促進する ( 教育基本法 10章・ 11章 )

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民主主義を絶対的な価値観として定め具体化

• 「学校は価値中立とはなり得ない」と認めている• 学校は民主主義を絶対的な価値として浸透に努める• すべての生徒は

• 性別• 人種• 宗教• 信条• ジェンダー• 性的指向• 年齢• 身体障害• その他の侮辱的な扱い

  によって差別されてはならない• 平等と差別禁止の原則、学校の民主主義を教える義務が適用される

政治教育を推奨する学校の副教材

Prata politik ( 政治について話そう )

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民主主義を教えるとは?

スウェーデンの若者が民主的な参加をする場

  

Where do Swedish youths take part in democratic society?

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公式的な参加 (Formal)

社会科の授業

ロールプレイ

模擬選挙

生徒会

政党青年部

全国若者協議会 (LSU)

余暇活動で参加 (Non-formal)

若者会 (SUR)

若者団体 (NGO, スポーツ , 趣味 )

余暇活動施設 (ユースセンター )

非公式な参加(In-formal)

若者文化 / はやり

デモ・抗議活動

消費参加

Andersson et.al Partispace - Deliverable 2.2 Comparative report. https://doi.org/10.5281/zenodo.48113 を参考

若者が参加する「まちづくり」とはどういうことか?Kristinehamn の事例から

事例:クリスティンハム市

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• 人口 : 約 2万4千人• 2004 年 若者・民主主義 課を設置• デモクラシー・コーディネーター設置

• 若者参加の様々な実践・取り組み• 2007 年 若者自治体・オブ・ザイヤーを受賞

デモクラシー・コーディネーターとは?

• 「政治家が若者の声を聞いていない」→ 2004 年に設置

• 役割:若者の声を聞いて、政策に反映させる

• 1 若者の影響力を高める• 2 市民の対話の促進• 3 夏休みの最初の週末対策

• 方法• 若者がいるとこにいく• 「市長」なら何をしたいか聞く• 提案には必ず答える• 市議直通の連絡先を公開

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公共健康部門 統括責任者ユース・デモクラシー・コーディネーターヨハン・エーマン (45)

クリスティンハムの若者民主主義

• 若者フォーラム (YDF) の開催• 提言活動

• 公開ミーティング• 提言書• 行政施策の評価を子ども・若者と

• ユースクリップ : 企画助成金

• デモクラシーカフェ• 政治家との対話の場• クリスティンハムの将来像

• ネットを使った提言• e-提言 (e-förslag) • エラーレポート

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Democracy into practice

なぜ若者の参加がここまで強調されるのか?18

若者の参加が必要な 6 つの理由1. 基本的人権だから by 子どもの権利条約、欧州議会の勧告2. 子ども・若者が排除されなくなるから1. 若者が大人に「挑戦」できなかったり、意見表明ができない状態は、結果的に、若者の脆弱性を高めることになり例えば、経済的搾取、子ども兵士の徴兵、児童売春につながる

(Garison の研究 )3. 若者が、生きる力や能力を高め、自信が持てるようになり、価値観や規範意識、抱負を抱くようになる1. フィンランドの研究4. 政策、公共サービス、実践の質が向上するから1. 計画、実行、評価、あらゆる段階に若者を巻き込むと5. 積極的な市民 (Active citizen) になるためには、訓練が必要だから1. 欧州議会の提言によると、家庭、学校、職場、余暇活動、若者の活動(若者団体・地域のユースワーク)で、民主主義を教えることを怠ると、政治に対してひがみっぽくなり、投票率は下がり、政治家、政党、政治的な若者団体への不信感が募る。さらに、研究によると 市民教育の経験がない若者は、同調圧力により極端な思考に陥り、暴力的な政治活動をしやすくなる。 A European framework for youth policy. Council of Europe

スウェーデン全国若者会 (SUR)20

スウェーデン全国若者会とは?

• 若者の政治・行政の意思決定過程へ影響力を高める• 95 の若者会のうち加盟している若者会は、 37• 全国集会の開催• 会運営のためのリーダーシップ研修•書籍発行• 若者参加のアドバイス•財源:国からの助成金

自治体A

地域 A の若者( Youth Council )

自治体B

地域 B の若者会( Youth Council )

自治体C

地域 C の若者会( Youth Council )

自治体D

地域 D の若者会( Youth Council )

① 各地の若者会のエンパワメント

② 若者会間の交流機会の提供

③ 調査

④ 実践の表彰

① 地域の若者の声を自治体の政策に反映させる

② 地域における若者のエンパワメント

目的

特定非営利活動法人 Rights 小林庸平 作成

スウェーデン全国若者会 (SUR)

スウェーデン全国若者会とは?

21歳の代表ガブリエル 市政に提言できるアプリ

スウェーデン全国若者会とは?

若者会の始め方 1. おもしろそうなことや変化をもたらすことをした若者を集めて、チームをつくる

2. このチームで最初にやることを決める3. 自治体や区の委員会とやり取りをして、

若者会を設立して手伝ってくれる人がいないかどうかを探す。必要であれば資金調達ができるかどうかも聞く

4. 立ち上げのサポートをしてもらうためにスウェーデン全国若者会 (SUR) に連絡をとる

5. ここで初めてスウェーデン全国若者会(SUR) とミーティングをして、全体像を共有して、誰が何をしていくかを決める

6. スウェーデン全国若者会 (SUR) に加盟して、全国のその他のメンバーと会って友達になり、刺激与え合う

若者参加のエッセンスとは? スウェーデンの若者政策に学ぶ

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目標13歳から 25歳のすべての若者が、良質な生活環境に恵まれ、自身の人生を形作る力を持ち、コミュニティの発展に影響力を持てるよ

うになること、

With a focus on young people - a policy of good living conditions, power and influence. (Prop. 2013/14: 191)

特徴

• 学校教育・就業・家庭・政治・余暇活動を横断的にカバー

• 教育庁の元の若者市民社会庁が管轄

• 「若者は社会の問題ではなく、社会のリソース (資源)」

スウェーデンの若者政策とは?

スウェーデンの若者政策の歴史のメッセージ大人の若者への視線の転換• 「そもそも、どうやって私たち(大人が)若者の余暇活動の選択に影響を与えようというのか?」( 1945 年 , 政府報告書 )

消費者化する若者と社会への警告• 「若者が、商品や物品の、さらには自身の人生の『消費者』になってしまい、結果として自身の人生をも自分で決めることができなっている」( 1981, Ej till salu )

スウェーデンの若者参加のポイント

若者は問題ではなく、社会のリソースであり市民である

参加を促す: 資源をつける

基本はオープンアクティビティ

「権利としての参加」から社会への影響へ

基礎は民主主義政策

財源のない若者政策は美辞麗句!

スウェーデンでは約 30億円の助成金を106の子ども・若者団体に拠出 (2014)

助成金を得るための条件

1. 所属は任意2. 2年間の活動実績があること3. 60%の会員が 6歳から 25歳4. 最低でも 6歳からら 25歳の会員が 1000人5. 最低でも五つの県に支部があること

MUCF (http://www.mucf.se/bidrag-till-barn-och-ungdomsorganisationer)

まとめ• どうして日本のまちづくりは、「お祭り」的なのか?

• お金を回すことが、まちづくり、か?• 商店街の賑わい?商業施設の設立?産業振興?• 人口増加社会、高度経済成長期の発想ではないか?

• まちづくりにおける「真正」さとは何か?• 持続可能性:この先、何百年も静岡が残り、市民が真っ当に暮らせるようにするには

どうしたらいいか?• まちづくりとは、市民に託すこと = 民主主義

• 対話ができる市民を育てていく• 招待型の「参加」、つまんなくないですか?

• 人口減少 →少子高齢化 = 若年人口減少 = 高齢者人口の割合は高い → 高齢者の投票率は高い → 政治家は高齢者の票集めをする →社会保障費を割り当てる先は、高齢者優先になる → あれ?若者は??? 若者の声が聞かれなくなり、社会排除が進む → だから若者を巻き込まないといけない

• 出された美味しいものを「自動的に」食べるだけの人生はやめよう• 人生を消去法で選んで、これ以上「人生の消費者」「御用若者」になるのはやめよう

地方の人口減少が進む中で……「若い頃に自分が市政に影響を与えたと実感すれば、いずれ市に戻り貢献したいと思う人も少なくないだろう」

ヨハン・エーマン

大人が未来について語れる地域であれば、子どもは住み続け、戻ってくる

Erland Lundqvuist

クリスティンハム市議アンネ・マリーさんの言葉若い人とともに、よい意思決定をすることが大事であり、それは未来のための計画を若者とともにするというこ

とである。若者には、どんな問題であれすべての問題を議論しても

らう。そもそも、若者だけの問題などない。政治のすべての局

面に若者の影響を確保する必要がある。若者は、大人とは異なった人生を送っている。世代間の違いがあることは スウェーデンでも日本でも同しであ

る。そこで、大人と若者は双方を必要としている。この町をよくするために若者が必要なのだ。

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ご静聴ありがとうございました。

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ドイツ CFC の掲げる「子どもにやさしいまち」• Child Friendly City by UNICEF • まちづくりボードゲーム

• この結果を行政政治サイドに報告して、子どもたちに対して返答してもらう

• 子どもアンケート• 10 – 12歳の 1割に必ず参加• 「学校はどうですか?先生はどうです

か?」• 有識者専門委員会がこのアンケートの検証

結果を町に伝え• 現場調査を行い、 CFC の価値を伝え、妥当性を検証し、町の行動計画を作って策定する

こどもにやさしいまち認定を受ける基準

• 子どもたちの生活環境をとりまく細かい調査シートの記入

• このプロセスを通して、子どもの実体を把握してないことが明らかになる

• 合計 146項目

• 自治体の義務• 市議会で可決• 経費の拠出• 部署を超えたワーキンググ

ループの設置• 4 年間の行動計画を策定• 子どもの参画のプロセスを

するファシリテーターの養成講座なども

• 子どもが何人いるか• 子どもの貧困率• 事故

子どもの実態の把握• 自治体の行政に子ども部門はあるか• 窓口はあるのか• 子どもの権利条例の有無

行政の環境

• どういった場面でどう子どもは参加しているか

• 情報開示だけでなく意思決定に関わっているか

参加

• 学校、保育施設、公園があるのか、•余暇施設はあるのか、• 子どもに優しい住環境はあるのか、•車が通らない道はあるのか、環境、騒音、

環境・施設

• ユニセフとどのように連携しているか外部との連携

「子どもにやさしいまち」調査シートの記入項目

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CSIS 世界若者幸福度調査 (Global Youth Wellbeing Index)

日本はわかものにやさしい国か?Is Japan really youth friendly city?

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