IGDA 日本 SIG-GLOCALIZATION GDC2012報告会

Preview:

DESCRIPTION

IDGA Japan SIG-GLOCALIZATION のスライドです。細かい文字が多いのでPDFをダウンロードいただければと思います。

Citation preview

IGDA Japan SIG-GLOCALIZATIONLocalization Summit 報告会

株式会社サイバーコネクトツー矢澤 竜太

Audio Localization Done Right: Simultaneous Scripting and Recording(オーディオローカリゼーションのススメ: 音声用テキスト制作も録音も並行で)

スクウェアエニックス社マーカス柴山氏谷山輝氏

Crysis Management: Localization from a Developer's Perspective(危機管理: 開発者から見たローカリゼーション)

CrytekJudith Matz 氏

カバーするセッション

アジェンダ● 本報告の目標● SimShipの課題● 両講演の...

● 3行まとめ● 共通点と相違点

● Crytek社のケース● Square Enix社のケース● まとめ● 質疑応答 (10分を予定)

本報告の目的

両講演 (特にスクウェアエニックス社の講演) はすでに Web でしっかりバッチリ紹介済みなので...

両講演を YAZAWA 視点で整理して "明日からのローカライズに活かせる” (戦略/実務) 情報を提供すること

を目的としますスクウェアエニックス社●ファミ通●Gamebusiness.jp Crytek社●4gamer.net

参考URL

SimShipの課題

何で今、みんなしてツール作ったりパイプライン整備しているのかを最初にざっくりと説明します

SimShipの課題

ライター

サウンドチーム

ローカライズチーム

英語翻訳者

各言語翻訳者翻訳準備OK!

Ver.1

承知Ver.1

承知Ver.1

翻訳開始Ver.1

SimShipの課題

ライター

サウンドチーム

ローカライズチーム

英語翻訳者

各言語翻訳者

おしやるかーVer.1

オワタVer.1

イイネ!

SimShipの課題

ライター

サウンドチーム

ローカライズチーム

英語翻訳者

各言語翻訳者修正したー

Ver.2 まだ翻訳中Ver.1

承知Ver.2

承知Ver.2

承知Ver.2

翻訳開始Ver.2

SimShipの課題

ライター

サウンドチーム

ローカライズチーム

英語翻訳者

各言語翻訳者

Ver.1翻訳おわたよ

翻訳オワタVer.2

Ver.3できたー

了解!Ver.3

あばばばばスケジュール...同期...あばば

SimShipの課題

ライター

サウンドチーム

ローカライズチーム

英語翻訳者

各言語翻訳者

Ver.1翻訳おわたよ

翻訳オワタVer.2

Ver.3できたー

了解!Ver.3

あばばばばスケジュール...同期...あばば

音声収録音声収録スケジュールスケジュール

伝達漏れ伝達漏れ伝達ミス伝達ミス

SimShipの課題

バージョンとステータスの管理がテキスト1ライン単位で必要おまけに頻繁に更新される

ローカライズ対象言語の数だけテキストのパラレルワールドが存在

開発サイドからも翻訳サイドからもデータが飛んでくる

この間に翻訳者さんからの質問にも答えるよ

この間、手待ち時間作ったらその分スケジュールが死ぬ

"SimShip、多言語同時ローカライズの時代には、手作業でのローカライズは非現実的なので (死人が出るので)データの一元化と並行作業可能な環境の構築を進めました”

両講演を3行で説明しろといわれたら...

両社とも「膨大な作業量に対処するためのフローとシステム構築」を目指した

共通点

Crytek社のケース:社内ローカライズワークフローの立ち上げ

「Excel手動管理からの脱却」を目標とする上で参考にする事例

Square Enix社のケース:既存ワークフロー/システムの改良

脱却後の方向性を把握するための事例

と把握していただければと思います

相違点

Crytek社のケース

対象: Crysis 2言語数合計: 11プラットフォーム: 3 (PC、Xbox 360、PS3)画面表示テキスト: 60000 ワードオーディオ/字幕: 60000 ワード音声ファイル数: 10000 ライン/言語

➔ "私が入った時は、以前のローカリ経験者が全員やめていた"➔ "以前のプロジェクトは全部手作業でやっていた"➔ "ツールは不安定なものが少しあるだけ"➔ "周囲から得られる情報も信頼性が低かった"➔ "そもそもローカリゼーションパイラインがなかった"

世間の人のイメージ Locベンダーのイメージ テスターから見た私

お母さんから見た私 私が本当にやってる事 開発Teamが私にしたいこと

※開発チームに画像を見せたらノーコメントだったそうです

Subtitle Creator➔文字列 ID➔音声の尺➔各言語字幕データ

(Crysis 2 の開発後に) 社内 UI コーダーが作成"掃除のおばちゃんでも使えるツール” を目指した

➔音声データ➔動画データ➔音声の波形

Consistency Checker➔ビルド時のファイル構成のチェック(つまりローカライズ版のビルド環境は手動だった...?)

Crysis 2を振り返り本当に必要性を感じた機能

◆アセットの移動、保守、管理◆テキスト管理:

➔ ワード数管理➔ 検索➔ インポート/エクスポート➔ 翻訳メモリ➔ 禁止文字検出

◆オーディオの構造管理➔ 言語・プラットフォーム別➔サブフォルダ対応

◆Q&A (翻訳者との質疑応答) 機能◆SKU別の対応 (例えばFMVなど)◆フォントのカスタムジェネレート

(使う文字だけで構成されたフォントファイルの生成) (中国語、フォントで4MBありメモリ死亡/使う文字だけ収録で400KBに)

講演の最後で語られた ”まとめ”

➔オリジナル版のパイプラインを分析、理解しましょう

➔ローカリゼーションの各パイプラインを視覚化しましょう

➔可能なかぎり自動化しましょう

➔ローカリゼーションパートナーの声に耳を傾けましょう➔パブリッシャ EA 社の経験豊富な担当者に助けられた➔前作との用語の統一のためEA社の翻訳メモリシステムを活用

➔開発チームと仲良くしましょう!

個人的印象ゼロからのローカライズ環境構築

➔本当に生産性にインパクトがある点に注力してツール作成

➔パイプラインの "見える化” なしには改善も管理もできない

➔社内リソースで “できることからやる” を見せてくれました

➔今は Excel 力技からデータベース一元管理への移行期間

➔SimShipタイトルを手動で11言語も翻訳管理したら死人が出る (出なくてよかった)

Square Enix社のケースボリューム:

日本語: 約 55 万文字英語: 約 140 万ワード

翻訳言語数: 7 (英・仏・伊・独・西・チェコ・韓)音声ファイル数: 約 18000 ライン/言語

➔ビルドは不安定、何もかもが未確定! ➔部分的にでき上がってくる音声! ➔変わり続けるテキスト!➔ 音声収録は準備ができたものから進める! (イベントの時系列無視)➔ 翻訳、校正、収録が並列的に進行

などなど...他にもたくさんの問題

サウンド、ローカライズ、LSP、レコーディングスタジオの既存のワークフローは完全に機能しない

もう無理

もう無理

メール・会議でコミュニケーションとか“アホみたいに時間を食うし

どう考えても非現実的”

“同時作業を可能にするオーサリングツール” が必要”

コンセプト/仕様補足

その他➔ 外部と仕事もするのでそのときはエクセルにインポート/エクスポートする機能を使ってる➔ 共有ファイルサーバにデータベースを配置➔ DB内データは排他的コントロール

➔ 編集を始めるとロックがかかる。➔ 保存した時点でリリースする、履歴が残る (行単位のバージョン管理システム)

➔ ドッキングビューでGUIレイアウトカスタマイズ可能 (各部署の業務に合わせて調整できるように)➔ スクリプトとボイスの変更点を視覚化する (アイコン変更)➔ テキストステータスはアイコンで

➔ 追加 / 変更 / 削除 / スプリット / マージ / ロールバック / ロールフォワード / 完了➔ 最終的にはニュートラルステータスに戻り、次回以降の変更に備えられる

言語のぶら下げ方 日本語が原語だが、FIGSなどへは英語をピボット言語にする。 そのような時どうやって日本語に入った変更をフランス語にも反映させるかというと… まず新日本語を英語翻訳者が翻訳、保存 システムが英語の確定日時とフランス語確定日時を比較 フランス語の確定日時が古い場合は、フランス語のステータスが「変更あり」に変化する

ツールのコンセプト◆ボイス関連情報の集中管理

「履歴を含めて、原文スクリプトとボイス関連リソースをきっちり管理」「テキストのステータスやト書きを含む翻訳関連情報の管理」

◆急な変更をきっちり記録 (※ライター「あ、それなくなった/変わったよ」)ユーザーインターフェースはわかりやすく、必要な情報にサクッとアクセスできる各部署の各タスクをきっちりサポートする

同時編集可能な環境

英語で講演するかっこいいおふたり

充実の機能

編集履歴保持,

テキストのステータス管理,

台本書き出し,

ビルド時のデータ受け渡し,

音声再生とテキスト編集環境の統合,

ワード数計算,

充実の機能

テキスト形式の用語対訳集検索可,

複数人同時編集時のロック機構,

音声の波形まで表示,

動画も表示,

音声ファイルの分割・統合対応,

...... 凄いよ ......

現状、世界的にもトップクラス!

しかも進化予定!

講演のまとめ

ちゃんとローカライズするには開発の支援が必要 ローカライゼーションは開発サイクルの中に入ってなきゃダメ

“ローカライズ側からしたら最適ではないが、大規模タイトルでは多言語対応・SimShipなしってのはありえない”

“ローカライズプロセスは品質を犠牲にすべきではない、そして品質を達成するにはコミュニケーションが必須”

今後の展望 ◆Webベースのシステムへ

◆外部スタッフとのやり取りにも使えるツールを

講演時の質疑応答まとめ(後ほどお読みください)

Q バックエンドはどうなってるん?バックエンドとしてはプロジェクトに寄って異なるが FF13-2 は Subversion、ただMoomleはそこらへん柔軟なのでどのシステムでもいけます。

Q エクスポートするExcelってどんなん?基本的にモームリのレイアウトと同じ、変更は色ついたりする、色含めてインポート時に反映されます。

Q 日本語オーディオ収録時に入った変更 (アドリブ) をシステムに反映する担当者は?収録に立ち会うサウンドチームの人。

講演時の質疑応答まとめ(後ほどお読みください)

Q 翻訳に出すタイミング、シナリオ書き上がったら出します? それとも日本語音声収録まで待ちます?音声が準備できるまでは待ちませんが、収録後、変更がMoomleに反映されるまでは待ちます (サウンドチームが収録音声をプロセス中)。

Q 音声のマージとスプリット、履歴管理ですが、それってあるラインがシナリオ間で移動されたりしても履歴残るんですか?はい。

Q 翻訳文が返ってきたらビルドに組み込む作業は自動化されてるんですか?はい。

Q CATツールによくある用語集の自動ルックアップは検討されたりしなかった?じっさい、毎回ポップアップとかしてたらちょっとうざいのですけど、あったらいいなとは思います。プロジェクトによってやり方がとても違うので、統一したやり方として導入することはできていないですけれど次のバージョンではやりたいですね。

講演時の質疑応答まとめ(後ほどお読みください)

Q テキストのステータス管理を自動化しようとおもったりは?思ったより処理が複雑だった、結果的に、翻訳者に手動で管理してもらうことにした。これで翻訳者の判断=テキストステータスにできるので。

Q 動画の再生機能ですけど、あれってすべてのカットシーンで使えるんですか?カットシーンだけじゃなくてプリレンダもいけますし、たとえばモーキャプチームから挙がってきたラフな動画とかもやれます。

Q 新タイトルだとどうやって用語集つくったりするん?用語集は常に全言語で作ります。入る用語も言語によって違うと思います。ずっと更新されていきます。テキスト形式でやってます。翻訳者としては、それ以上複雑にする意味もないと思います。

まとめ

SimShip に対応するためのシステムやツールがGDCで取り扱われるようになったのは4年前

Microsoft、SCE、Blizzard、UBISOFT、Crytek、Square Enix 各社が発表

巨大化を続けるパッケージソフトの予算費用回収におけるローカリゼーションの重要性は高まり続け

可能な限り多くの市場にリーチするための効率的な「しくみ」作りはもう......

誰も避けて通れない!

まとめ

でも 大手以外はまだ。着手するなら...

まとめ

今。

質疑応答

www.facebook.com/ryuta.yazawa

@RYAZAWA_CC2

(ご清聴感謝)

Recommended