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セグメンテーションの 考え方・使い方 TokyoR #44 2014/11/1 @horihorio

セグメンテーションの考え方・使い方 - TokyoR #44

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『ビジネス活用事例で学ぶ データサイエンス入門』酒巻隆治、里洋平、SBクリエイティブ、2014年 の第8章 ケース6 – クラスタリング どんな顧客群をターゲットとすべきか? を基に、マーケットセグメンテーションを考えてみます。

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セグメンテーションの 考え方・使い方

TokyoR #44

2014/11/1

@horihorio

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自己紹介

Twitter ID @horihorio

お仕事 分析コンサルタント

興味 統計色々/DB/R/Finance/金融/会計

過去の発表 ここ

最近の出来事

金融以外も色々分析してます

分析設計がしんどいです…

2歳児な子どもに大絶賛嫌われ中です…

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テキストの紹介

買いましょう!!! ※右画像Clickからの購入で、筆者にお金が!

著者解説Blog その1 その2

私の思う本書の特色

活かせる:データ分析で出来る事の実践例

使える:ビジネスでの問題解決には?の視点

見える:データ分析の仕事でのあるあるネタ

親切:内容や手法、Rコードでの解説の姿勢

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本発表でしたいこと

第8章 ケース6 – クラスタリング どんな顧客群をターゲットとすべきか?

内容は… STPアプローチ(※1)の展開例ですが、

こう説明すれば、見通しが良くなる?(※2)

な、通勤電車での読書の妄想を話してみます。

(※1) 解説は最後に。STP: Segmentation, Targeting, and Positioning

(※2) ただお堅いですが…

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目次

1. テキストのサマリ

2. セグメンテーションの理屈

3. セグメンテーションの手法

4. まとめ

5. セグメンテーションのRコード

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1. テキストのサマリ

まずは、テキストの流れを振り返ります

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テキスト第8章の内容 (1)

現状 マス広告や施策で新規ユーザーを獲得してきたが、最近頭打ちに

既存ユーザー施策も打ちたい

あるべき姿 既存ユーザーの理解を図りたい

問題発見 年齢性別で分類しても、施策に繋げにくい

よって、ゲーム上の行動パターンでセグメンテーションをする

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テキスト第8章の内容(2)

データ収集と加工 省略w

データ分析 1. データに主成分を追加

2. セグメント数の範囲kを決定 → 担当者:3~6が望ましい

3. 希望を考慮の上、第1主成分の 分散が最小になる3つと決定

4. 各セグメントの特徴を考える → レーザーチャートを使用

5. 各セグメント毎のKPIを調べる

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テキスト第8章の内容(3)

アクション

1. 分かったこと

ランキング上位層は、5つのセグメントに分類される

「協力しあいたいユーザー」のKPIが高い → 協力を促す施策を検討

2. 今回の分析を自動化し、レポート送信する仕組みを作り、施策のPDCAフローを構築

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2. セグメンテーションの理屈

当然のことを、当然に確認してゆきます

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マーケターの理想って?

理想1. あらゆる人の欲望が完璧に分かる

理想2. 欲望を刺激する、無限の資源や手段が ある(予算、人手、IT技術、などなど)

この2点が揃えば

完璧なOne to Oneの施策が可能!

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でもそんなことって

あり得ない! 理想1. あらゆる人の欲望が完璧に分かる

理想2. 欲望を刺激する、無限の資源や手段が ある(予算、時間、IT技術、などなど)

認識すべきこと

1. 顧客は理解し切れないまま

2. 限られた資源と手段で

施策は行わざるを得ない 2014/11/1 セグメンテーションの考え方・使い方 11 / 36

理由は次節で

そら、そうだ…

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セグメンテーションのそもそも

「分かれている」状態とは

1. 同一セグメント中の顧客は同質

2. 違うセグメントの顧客とは異なる

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規模 規模

何かの基準

何かの基準

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横軸の「基準」とは?

そもそも、目指している成果:売れること

「需要が無いものは売れない」

よって、基準は「需要」とすべき

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規模

需要

何かの基準

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重要な事

話のどこにも「年齢性別」等の属性系が出る必然がない。よって、属性系でセグメンテーションする意味はまずない。

一応…

属性系のセグメンテーションが良さげな商材もある。が、偶然「需要≒属性」なだけ

【例:ひげそり】確かに男性の需要が高い。ただし男性でも、ひげを伸ばす男性は欲しがらない。よって、セグメンテーションには、「男性」との属性より、「ひげを剃りたい」との需要の方がマシ

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3. セグメンテーションの手法

なぜ人の欲望は分からない?を考えます

※なお、煩悩は3~約84,000らしい

(By Wikipedia)

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一旦抽象的に考える

まず、以下の設定をおきます

1. 世界の根源的な需要は、高々有限の 種類で構成される

2. 需要 のみ1単位発生した際の ベクトル を、次のように定義する

3. 我々が観測できる需要は、 の 線型結合で表現される

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有限次元の 線型空間の設定

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理想1. が無理な理由

理想1. あらゆる人の欲望が完璧に分かる

を、言いかえてみる

需要 への個人 のウエイトを とすると、

理想1. の言いかえ

個人 の需要 が、 の線型和で書ける

※あ、切片を としてます…

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理想1. が無理な理由

なぜ「理想1.」は無理なのか?

1. 種類数 は、把握不可能な膨大な数

2. (原理的に に分解可能と知っていても)

データで測ってないものは分からない

3. (測っていても)人間は、同時に3~4つ程度しか理解不能

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1 2

3

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現実との折り合いの付け方

1. 種類数 は、把握不可能な膨大な数 → あきらめる(発想は使えるのでキープ)

2. データで測ってないものは分からない → 手元のデータを精査、データを集める (データ量ではない。データ項目が重要。4章参照)

3. 人間は、同時に3~4つ程度しか理解不能 → データを主成分ベクトルに縮約し、 3~4つ程度で把握できるように変換 → 本テキストでのアプローチ

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【脱線】ファイナンスな方へ

ここでの発想は、以下のパクリです…

需要 に対応する基底ベクトル → Arrow-Debreu 証券

観測できる需要 → 各証券のこと。Arrow-Debreu証券の 線型和で表現される

少数の主成分に縮約 → Factorモデル。CAPM, Fama-French、等々

※CAPM導出の発想は示唆深い…

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4. まとめ

ようやく、STPアプローチの紹介に

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STPアプローチとは

Segmentation

• 市場を需要を示す変数で分割する

• 各市場に対し、どう応えるか、接するのか、消費者の

乗り換えコストとは?を考える

Targeting

• 各市場の魅力を評価(規模、成長率、コスト、等)

• 自社の戦略、強み、資源を基に、狙う市場を決定

• 狙う市場の消費者を見つけ、調査(性別、年齢、等)

Positioning

• 自社の企業イメージを強化し、消費者を惹きつけるよ

うな、自社製品、サービスの位置付けを打ち出す

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STPアプローチとは

Segmentation

• 市場を需要を示す変数で分割する

• 各市場に対し、どう応えるか、接するのか、消費者の

乗り換えコストとは?を考える

Targeting

• 各市場の魅力を評価(規模、成長率、コスト、等)

• 自社の戦略、強み、資源を基に、狙う市場を決定

• 狙う市場の消費者を見つけ、調査(性別、年齢、等)

Positioning

• 自社の企業イメージを強化し、消費者を惹きつけるよ

うな、自社製品、サービスの位置付けを打ち出す

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Segmentation Basis

Segmentation Descriptors

※英語なのは、日本語の定訳を知らないからです…

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考えたいこと その1

マーケティングには、需要を直接捉えるSegmentation Basis の方が有用

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Segmentation Basis

Segmentation Descriptors

Segmentation Basis

Segmentation Basis

Segmentation Descriptors

マーケット全体

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考えたいこと その1

疑問: 消費者の需要を示すSegmentation Basis はどこにあるの?

→ 一般論はない。

消費者の需要は?をとにかく考えるしかない。

ビックデータで何とかなる、とは限らない

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STPアプローチでは、↓は素直でない気が…

→ 代替案はありますが、 時間切れにつきTo Be Continued…

考えたいこと その2

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5.セグメンテーションのRコード

完全に流れから外れたので、最後に…

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補足コメント

テキストが丁寧なので、

本買って読んで ですが…

3点コメントを

注意事項

私は、外部のデータ分析屋な事にご留意

以下x行目とは [著書コードDL元] に従います

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テキストでのコードの勉強例

1. 読みながらコードを動かす

テキストの写経や [コードをDL]

2. 分からないコマンドは、 help([コマンド]) を読む

3. コードを改変し、研究や仕事 での実データで使ってみる

データが手元に用意できない場合は、R備え付けのDatasetや、各種レポジトリから無料調達可能。例えば[ここ]

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その1:

よく使う処理はfunctionでまとめる (3~35行で仕込み、37~46行目で実行)

メリット

可読性、メンテナンス、他人との共有が楽

定常業務に組み込むとき、システム担当部署に別ファイルにして渡せる

同一処理を複数ファイルに繰り返す、が容易 例:f.list <- list.files(); for (i in 1:length(f.list)) {定義function}

のようにする。(実際は applyなどを使え、との声は無視)

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その2:

前処理は caret パッケージが何かと便利 (97~109行目で実行)

雰囲気は、本家HPの前処理で

過去Tokyo.Rでも発表あり

第11回 @dichika caretパッケージの紹介

第38回 @sfchaos 機械学習のモデル構築・評価について

第43回 @kashitan 前処理入門

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補足事項

機械的判断をそのまま鵜呑みにしない (プログラムは、ビジネス要件まで理解してくれない)

私のcaretでの失敗例

Yes/Noの2値を持つ列を含むデータに

1. dummyVarsでダミー変数を作成

2. findLinearCombosで線型従属を検出し、機械的に列を削除

3. Yesのダミー変数を目的変数とするロジスティック回帰を実施

の予定が、上記2.でYes列が削除/No列が目的変数になっており、一晩の処理が無駄に…

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その3:

列名は分かりやすいものを(76, 154, 155行目)

ホントは、”A47”より“Ranking.Point” が良い

弊害1:変数加工や分析の際に想像が働かない

弊害2:本でのようにコード変換を手打ちすると、

大体ミスし、そのまま提出して悪印象が…

→ 人間は大体ミスります(私も何回も経験済)

とはいえ、変数が膨大だと、コード名でないと無理 ※ 千を超えると、1つずつ列名を考えるのも無謀です

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その3 ‘(折衷案):

列名をコード名にする場合、人間語に変換する手段は極力自動化する

例1:事前にコードマスターをDBに保存し、人間語への変換は、必ずDBを参照して変換する

例2:まず、列名を「C34_A47」→「パズコレ_ランキングポイント」のように、機械的な変換が行いやすい対応関係を設定する。次に、変換プログラムを作成し、バージョン管理ソフトの管轄下に置く

自動化によるミス防止は、地味だけど超重要

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参考文献

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参考文献

※ 上司や同僚、お客様方々、を置いておくとすれば

1. 『ビジネス活用事例で学ぶ データサイエンス入門』酒巻隆治、里洋平、SBクリエイティブ、2014年

2. 『マーケティング・サイエンス入門 市場対応の科学的マネジメント 新版』古川一郎、守口剛、阿部誠、有斐閣、2011年

3. “Marketing Engineering: Computer-Assisted Marketing Analysis and Planning, 2nd Ed.,” G. L. Lilien, A. Rangaswamy, Pearson Education, 2002

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