47
[イタリア ドロミーティ山地] プラットフォームエコノミーの勃興() -Uber,Airbnbのビジネスモデル変革の先にあるもの- B-frontier研究所 高橋

プラットフォームエコノミーの勃興(改) Uber,airbnbのビジネスモデル変革

Embed Size (px)

Citation preview

[イタリア ドロミーティ山地]

プラットフォームエコノミーの勃興(改) -Uber,Airbnbのビジネスモデル変革の先にあるもの-

B-frontier研究所 高橋 浩

問題意識 • リーマンショックを契機とした“シェア”文化の広

がりがプレッシャーになってシェアリングエコノミーが台頭した。

• このようなマクロレベルの変化が関連イノベーションを誘発し既存レジームに破壊的影響を与え出している。

• このような傾向は第4次産業革命で示唆される今後の変化を先取りしているのではないか?

• このような仮説の下にUber,Airbnbの分析を通してこれからの時代の変化の性質を探る。

2

目次

1. はじめに

2. 全体俯瞰モデルと遷移経路

3. Uber,Airbnbのビジネスモデル変革

3.1 シェアリングエコノミーの遷移経路

3.2 プラットフォーム理論からの知見

3.3 直接相互作用からの知見

3.4 Uber,Airbnbのビジネスモデル

4. 第4次産業革命時代の変化への示唆

3

1.はじめに

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

1998

2004

2008

2009

Google

facebook

Airbnb

Uber

マウンテンビュー

メンロパーク

サンフランシスコ

サンフランシスコ

2007~2008 リーマンショック

シェアリングエコノミー

5400億ドル

3700億ドル

3兆円(300億ドル)

7兆円(700億ドル) (2015)

(2015)

(初代iPhone 2007)

この間の質的変化をどう捉えるか?

急激な台頭

3位

100万部屋

4

Uberisation≒シェアリングエコノミー

• Uberから発生した分散型カーシェアリングサービスのこと

• 個人運転手がタクシー会社類似のサービスを提供できるビジネスモデル構築でタクシー業界に破壊的影響をもたらしたUberに由来

• モバイル・アプリやウェブなどを利用して利用者とサービス提供者間の情報交換を容易化し、集中的に計画された企業の役割を迂回するデータプラットフォームの活用形態のこと

Wikipediaより

5

参考

• 世界的不況をきっかけにそれまでの消費パターンに批判が発生

・・Botsman and Rogers • 2013年の経営アカデミーの主要テーは・・「問題のある資本主義」

• シェアリングエコノミーが学術研究だけでなく主流経済としても地歩を獲得

・・ Botsman and Rogers 2011; Gansky 2010他

Rachel Botsman

オックスフォード大学客員研究員

6

2011年出版

このような変化が発生した背景

新たな全体を概観する枠組みが必要

マクロ・レベル (ランドスケープ)

リーマンショック

シェアリングエコノミー

メソ・レベル (レジーム)

市場、顧客の嗜好

産業 科学

政策

技術

文化

企業

組織・制度

産業界

ミクロ・レベル (イノベーション)

マクロ・レベルからの影響を受けたイノベーションの誘発

レベル間の相互インターラクション

総合的な質的変化から考える

7

MLP(Multi Level Perspective)理論*1

• “社会的&技術的変化”を提示する進化経済学*2と技術遷移の橋渡し理論

8

Frank W. Geels

(マンチェスター大学ビジネススクール教授)

社会技術 ランドスケープ

社会技術レジーム

ニッチ・イノベーション

*1:Geels, F.W., 2002. Technological transitions as evolutionary reconfiguration processes: a multi-level perspective and a case-study. Research Policy 31 (8/9), 1257–1274.

*2: Nelson, R.R., Winter, S.G., 1982. An Evolutionary Theory of Economic Change. Belknap Press, Cambridge, MA.

2.全体俯瞰モデルと遷移経路

Nelson & Winterの 「経済成長の進化モデル」

• 経済成長をもたらす重要な要因である技術変化に着目

• ミクロレベルの企業行動からマクロレベルの経済全体までを統合的に説明する進化的アプローチを提示

• 各企業が生産コスト低減のイノベーションを行い、 (1)イノベーションにともなう不確実性

(2)イノベーションで得た知識の公共的側面

(3)企業の行動や運のばらつき

などミクロレベルでの知見も含むモデル

• 技術変化についてのミクロレベルの知見に整合的であると同時に、マクロレベルの経済全体の振る舞いも既経済学モデルよりもより良く説明できていると評価

参考

これらは技術変化において特徴的とされ

るもの

9

Richard R. Nelson Sidney G. Winter

MLP理論による変化の遷移のアクティビティ概念図

Frank W. Geels , Johan Schot, “Typology of sociotechnical transition pathways”, Research Policy 36 (2007) 399–417 10

ニッチ・イノベーションと社会技術レジームは規模と安定性は異なるが類似の構造

11

社会技術ランドスケープは他2レベル とは異なる構造

ニッチ・イノベーション 社会技術レジーム

規模 コミュニケーションが小さく不安定 コミュニケーションが大きく安定

安定性 ルールが不安定であり作成途上 ルールが安定しており表現済み

両方とも組織の性質を保有

より簡単な行動を取る「力の勾配」を提供 生物学的進化における土壌条件、河川、湖沼、山脈に匹敵

3レベルの特徴抽出

後から

先行(成熟) 時間

先行

後から(未発達) 時間

後から

先行(成熟) 時間

先行

後から(未発達) 時間

ニッチ・イノベーションがまだ十分に発達していない時にランドスケープ圧力が発生するので遷移経路が大きく予想からズレる可能性あり

ニッチ・イノベーショ

ンが競争的

ニッチ・イノベーショ

ンが共生的

ニッチ・イノベーション先行

ランドスケープ・プレッシャー先行

社会技術 ランドスケープ

社会技術 レジーム

ニッチ・ イノベーション

社会技術 ランドスケープ

社会技術 レジーム

ニッチ・ イノベーション

社会技術 ランドスケープ

社会技術 レジーム

ニッチ・ イノベーション

社会技術 ランドスケープ

社会技術 レジーム

ニッチ・ イノベーション

適応に時間的余裕があり主体的に行動可能

導入の結果、全体が変質する可能性あり

変質に気づかないか意図的に目をつぶる可能性あり

遷移経路 Timing is Critical ニッチ・イノベーション状況と既存レジームに対するランドスケープ圧力のタイミングに着目

12

プレッシャー

共生的

競争的

プレッシャー

共生的イノベーション

競争的イノベーション

プレッシャー プレッシャー

④ニッチ・イノベーションが共生的

③ニッチ・イノベーションが競争的

①ニッチ・イノベーションが先行する

②ランドスケープ・プレッシャーが先行する

変換 再構成

整列解除と再整列 置換

レジーム事業者は開発軌道とイノベーション活動方向の修正で対応できる。

当初は問題解決に寄与するがその後基本アーキテクチャの調整を引き起こす。

ランドスケープ・プレッシャーが大きく破壊的だと、・・ ⇒既存レジームが破壊され置換される。

ランドスケープ・プレッシャーが大きく突然だと、・・ ⇒既存レジームへの信仰が失われ整列解除へ

ニッチ・イノベーションが未完成だと、・ ⇒代替案が無く複数イノベーションが出現。再整列へ

汚水ダメから下水道システムへのオランダの衛生移行 伝統的な工場から量産工場への米国の遷移

帆船が蒸気船に置換(英国) 馬車から自動車への米国での遷移

4遷移経路の名称・特徴と代表的事例

Frank W. Geels , Johan Schot, “Typology of sociotechnical transition pathways”, Research Policy 36 (2007) 399–417

13

3.Uber,Airbnbのビジネスモデル変革

マクロ・レベル (ランドスケープ)

メソ・レベル (レジーム)

ミクロ・レベル (イノベーション)

経済学的

進化経済学と技術

遷移の橋渡し

MLP

ネルソン&ウィンターの 進化経済学

3.1 遷移経路

3.2 プラットフォーム

3.3 直接相互作用

3.4 ビジネスモデル

イノベーションのエンジン

ビジネスモデル (どうして既存企業に打ち勝つのか)

成長理論 プラットフォーム理論 ビジネスモデル論

Uberisation

シェアリングエコノミー

14

ビジネスモデル検討の枠組み 遷移理論

学術世界 ビジネス世界

Uber, Airbnbの遷移経路は何か? 社会技術ランドスケープ:“シェア”文化。

加えて、環境劣化、気候変動なども

社会技術レジーム:移動、旅行、自動車(生産と消費)など

ニッチ・イノベーション:Uberは車、Airbnbは住居に技術的イノベーションを施していない。

⇒それにも関わらず急激な変化が発生し、既存社会技術レジームに破壊的影響を付与

• この状況は⑤⑥条件を満足。⇒「整列解除と再整列」

3.Uber,Airbnbのビジネスモデル変革 3.1 遷移経路

15

どのような整列解除と再整列か?

Chris J. Martin, “The sharing economy:A pathway to sustainability or a nightmarish form of neoliberal capitalism?”, Ecological Economics, 121 (2016) 149–159

分散化 し *

分散化

??? *

クリス・マーチン マンチェスター大学

School of Environment and Development

「社会技術的/経済的構造(レジーム)を分散化し破壊するニッチ・イノベーションを共有している」

16

分散化を実現するプラットフォームの機能と型の変化(1)

17 Peter C. Evans, Annabelle Gawer,” The Rise of the Platform Enterprise A Global Survey” http://thecge.net/wp-content/uploads/2016/01/PDF-WEB-Platform-Survey_01_12.pdf を参考にして作成

時代の潮流

マッチング

相互作用

補完性

エコシステム

トランザクション型

イノベーション型

インテグレーション型

Uber,Airbnbなど

Microsoft, Intelなど

Google, Appleなど

相 関

プラットフォームの機能

プラットフォームの型

Peter Evans Center for Global Enterprise 副社長

3.Uber,Airbnbのビジネスモデル変革 3.2 プラットフォーム

資産小でも広域エコシステム構築可能に!

時代の潮流

企業タイプ

資産が大きい

資産が小さい

混在(中間)

企業構造 垂直統合(VI) +資産規模

プラットフォーム・ エコシステム

事例 企業名とプラットフォーム

GE Predix Daimler Moovel

Apple App store Amazon App store Google Map, Search Facebook SNS

Google Google Play Uber Uber app Airbnb Airbnb app

広域エコシステム&トランザクション型

広域エコシステム

18

分散化を実現するプラットフォームの機能と型の変化(2)

マッチング

相互作用

補完性

エコシステム

トランザクション型

イノベーション型

インテグレーション型

Uber,Airbnbなど

Microsoft, Intelなど

Google, Appleなど

資産が大きい

混在(中間)

資産が小さい

(Apple,Amazon, Google,Facebook)

(GE Predix)

広域エコシステム

専門域エコシステム

Uber,Airbnb

分散化を促進するプラットフォームの流れ

20

分散化を促進するプラットフォームの変化(まとめ)

マッチング 相互作用

クラウド (AWS)

デジタルプラットフォーム構築が容易化

プラットフォーム提供機能が

シフト

プラットフォーマーと専門サービス提供者が分離し多様化

資産小でスピーディーな取組み

プラットフォーム所有者

多数の専門サービス提供者

資産or労働提供とサービスレベル高度化

ステップ1 ステップ2 ステップ3 プラットフォームの変化

エコシステムの変化

21

Uber, Airbnbプラットフォームの概要

Henten, A., Windekilde, I., “Transaction costs and the sharing economy”, 26th European Regional Conference of the International Telecommunications Society(ITS), Spain, 24-27 June 2015

Uberプラットフォーム Airbnbプラットフォーム

22

サービス産業を変革するプラットフォーム

消費財を投資財へ変換するプラットフォーム

Airbnb、Uber

仕事仲介プラットフォーム

グローバル入札 Upwork、Innocentives

時々の非公式ワーク Task Rabbit, Homejoy

ファイナンス仲介 資金調達プラットフォーム Kickstarter、Indiegogo

金融機関置換プラットフォーム

AngelsList、Zopa

M. Kenney, J. Zysman,” Choosing a Future in the Platform Economy :The Implications and Consequences of Digital Platforms”, Kauffman Foundation New Entrepreneurial Growth Conference, Discussion Paper, Amelia Island Florida – June 18/19, 2015

新たな傾向のプラットフォームは他にも登場

Uber,Airbnbは消費財を投資財に変換

サービス提供者と消費者の補完性を両者の直接相互作用の可否から検討できるようにした。

サービス提供者のイノベーションの動機を専門サービス提供者の側面から検討できるようにした。

プラットフォームの存在を既存組織(垂直統合モデルなど)と比較検討できるようにした。

23

Andrei Hagiu

ハーバード・ビジネススクール準教授

プラットフォーム理論への直接相互作用の導入

A. Hagiu, J. Wright, “Multi-sided platforms”, International Journal of Industrial Organization 43 (2015) 162–174

3.Uber,Airbnbのビジネスモデル変革 3.3 直接相互作用

24

改良MSPモデルの定義と 代替ビジネスモデルとの関係

定義1:2つ以上の異なるサイド間の直接的相互作用を可能にする。

定義2:各サイドはプラットフォームに加入(affiliate)する。

専門サービス提供者 消費者

加入 加入

改良MSP

垂直統合

代替ビジネスモデル

直接的相互作用

A. Hagiu, J. Wright, “Multi-sided platforms”, International Journal of Industrial Organization 43 (2015) 162–174

クレジットカード

パスポート

Facebook,LinkedIn

顔写真

過去のクチコミ情報

ゲスト、ホスト相互評価

ホストサービス評価

”SuperHost”

総合的背景チェック

など

25

Airbnbのアルゴリズムビッグデータモデル

相互作用を成立させる信頼性の醸成

専門サービス提供者のモード選択心理

26

条件 MSP >垂直統合 MSP <垂直統合

従業員の努力を奨励するため売上高に基づいて垂直統合企業がボーナスを支給

ボーナス支給制度が柔軟で無い場合

ボーナス支給制度が柔軟でシフトが顕著な場合

販売促進を誘導するため売上高に基づいて専門サービス提供者に可変手数料(≒価格決定権)を許容

MSPによる料金

可変制度の導入が顕著な場合

可変手数料制度が柔軟で無い場合

組織内の一員として 個人経営者として

選択

選択

組織の意思表示

個人経営者向け動機付け

専門サービス提供者の

”新たな働き方” インセンティブ例

27

項目 Airbnbでの例など

労働の分割、専門化による効率向上 ホスト固有の意思による選択

(写真制作や清掃などを自分で実施or外注利用。貸し部屋所有者が運営

を外国語堪能な人に委託。自前価格設定サービス内容ポリシー、・・)

多様な低コスト・サービスの提供

過剰な高取引コスト構造の改善

個別顧客向け価格決定権で価値提供

限定合理性の視点の変更 顧客との直接相互作用による克服

(自前の直接相互作用蓄積による独自の判断が可能)

不確実性の異なる視点での回避

日和見主義の異なる視点での克服

従来にはない資産特異性の実現 多種多様なホスト資産の活用

個別顧客向け個人情報の最大活用 ホスト固有の努力のフィードバック

自分の本質的動機に基づいた労働 多種の裁量権活用による動機改善

28

3.Uber,Airbnbのビジネスモデル変革 3.4 ビジネスモデル

リアル空間

バーチャル空間

プラットフォーム

専門サービス提供者

直接的相互作用

消費者

専門サービス提供者 の資産(空き部屋、車)

支援

専門サービス提供者、消費者の双方がバーチャル空間で相互作用できること、およびマッチングできた成果の対価としてプラットフォーマーに手数料を支払う

空き部屋に宿泊 運転手付き車に相乗り

かなり生々しい内容についての

かなり実態が分かっており、他者の資産や社会ニーズへの敏感な感覚・起業家精神・デザイン力などが必要

Uber、AirbnbはIoT活用モデルでもある Uber

• 2012年から、金曜と土曜の夜間に需要供給の不均衡を解決する動的価格決定方式を導入した。

–週末に高い価格を設定しドライバにより多くのお金を提供する。⇒ドライバーの供給量を増やす。

–価格上昇により意図的に需要減退を起こす。

Airbnb

• 部屋スタイル、不動産タイプ、レビュー数、収容量、場所、季節、ホテルや航空会社の需要、目的地の情報などを考慮した推奨価格をホストに提供する推奨価格アルゴリズムを開始

29

実は、・・ 専門サービス提供者の保有する資産(モノ)を管理する・・

Uber,Airbnbのビジネスモデルの要点

①ランドスケープの変化との共振

②プラットフォーム使用料課金モデルの構築

③信頼性醸成のためのIT活用とそれを推進するリーダーシップ(デザイン指向)

④IoTを活用した専門サービス提供者資産の把握とコントロール(マネジメント指向)

⑤専門サービス提供者と利益相反にならない分担の明確化とインセンティブ提供

30

以上をまとめた、・・

ビジネスモデルは、財務モデルというよりは、ビジネス概念モデル

• 「ビジネスモデルは、ビジネスの組織的、財務的アーキテクチャに他ならない」

・・・H. Chesbrough and R. S. Rosenbloom,2002

• ビジネスモデルの変化駆動要因は次々に発生 勃興してきた知識経済

インターネットや電子商取引の普及

事業活動のアウトソーシングやオフショアリング

世界的な金融サービスの再編

IoTの普及、・・・

シェアリングエコノミー

31

David J. Teece,“Business Models, BusinessStrategy and Innovation”, Long Range Planning 43 (2010) 172-194

マクロ・レベル (ランドスケープ)

メソ・レベル (レジーム)

ミクロ・レベル (イノベーション)

32

どのような新たなビジネス概念モデルか?

① ランドスケープの変化と共振

③ 信頼性醸成のためのIT活用とリーダーシップ ④ IoTを活用した専門サービス提供者資産の把

握とコントロール

② プラットフォーム使用料課金モデルの構築

資源小企業でも柔軟に新ニーズに適応

既存企業と類似課金体系。しかも無駄削減で低価格

⑤ 専門サービス提供者と利益相反にならない分担の明確化とインセンティブ提供

新技術(ビッグデータ、IoT)活用

エコシステム・パートナーとの共存条件の充足

33

財務モデルの特徴としては 専門サービス提供者 プラットフォーマー 消費者

全イベントで毎回徴収

Uber 支払いの70~80%受取り

20~30%のサービス料徴収

支払い

Airbnb 支払いの約90%受取り(一泊時)

6~7%/予約毎徴収from消費者 3%/泊毎徴収fromホスト

支払い

有料ソフトの初回ダウンロード時のみ

iPhone

Appstore 【アプリ開発者】 支払いの70%受取り

30%のサービス料徴収

支払い

Appstoreはサービス有料化では好敵手のGoogle Playの価格戦略を気にしなければならず、Appleの利益に占める比率はさほど高くない。

Uber,Airbnbのサービス・マッチングに伴う手数料課金モデルは必ず徴収できる極めて強力なモデル。しかも自らの責任範囲はバーチャル世界に閉じており、IT投資以外の投資負担が無く極めて美味しいビジネス

Uber,Airbnbからの示唆

社会技術ランドスケープ変化からプレッシャーが発生し、関連ニッチ・イノベーションが発生して、社会技術レジームへ破壊的影響が波及するまでの時間は短縮化している。 サービス享受を決断するまでの結構面倒な調整が達成されている。

スピード゙アップ

チューンアップ

4.第4次産業革命時代の変化への示唆

34

破壊的影響が波及するまでの時間が短縮化された理由

• 資源小企業でも容易に広域エコシステム形成のプラットフォームを構築し易くなったから

• 一般人のITリテラシー向上、PC/スマホの普及

によって、多くの人がプラットフォームに登録して容易にサービス提供者に成れるようになったから

• ニッチ・イノベーションの中味が技術的イノベーション、組織的イノベーション、どちらでも良く、ちょっとした思いつきからでも取り組めるようになったから

スピード゙アップ

35

相乗りサービスとは?

乗車地点から目的地へと走行する際、運転手と一緒になって車を共有し、一人以上の乗客の参加を伴うサービス

充足条件 サービス前またはサービス中に、乗車・降車位置、待機時間、音楽再生、禁煙政策、補償など様々な要素についての合意が必要

サービス特性 活動は短命で、各個別サービスのパフォーマンス期間中、運転手と乗客の同乗が必要

純粋サービスの要件にかなり近い高度な調整を実施している。

相乗りサービスでのサービス条件調整の例

M. Andersson, A. Hjalmarsson and M. Avital, “Peer-to-Peer Service Sharing Platforms: Driving Share and Share Alike on a Mass-Scale”, Thirty Fourth International Conference on Information Systems, Milan 2013.

チューンアップ

36

このような変化と能力は新たな可能性を醸成

• リアルな人間同士が地理的制約を超えて直接相互作用できることが切り拓く新領域の可能性は大きい。(嘗ての小売業とe-businessの関係を想起して)

37

• 企業境界の見直しが発生

• 分散化が推進

• 新たな働き方が可能に

• 新たな企業形態が可能に

そこから

• 新たな働き方を選択できる • 新たな組織が登場する。

そこから

分散モデルと垂直統合モデルの比較

38

モデル比較1:コスト

• Uberの場合は運転サービスそのものにしか

対価は支払われない。一方、タクシー会社は駅前で客待ちしている運転手の時間にも対価を支払っている。

⇒Uberの方が安くなるのは自明

• Airbnbの場合も、空き部屋を貸すので安くな

るのは当然だが、主要都市での調査では、同等ホテルと比較して約半額

コスト・メリットは自明 39

モデル比較2:サービス品質

• a) サービス多様化や適正サービス提供の可能性、b) ニーズ適応スピードの速さ、

• クチコミ/SNS活用などを含め、最新ITの活用との親和性が高い上に、特に特別の顧客に対してのおもてなしで無く、ボリュームゾーンでの多数個別顧客に対するおもてなし実現の能力が大きい。

• 企業組織の一員としてのサービスでは解決し難いモラルハザードに成るプレッシャーの克服も期待でき、個人経営者としての自己の能力を最大限発揮できるインセンティブがある。

サービス品質向上を期待可能 40

少数の人から多数の人へと経済力が移り、経済生活が大衆化へ

新たな分散型・協働型ビジネスモデルが採用される。

垂直統合型で製品やサービスを販売するよりも水平展開型へ

実質的には1960年代に始まったデジタ

ル革命が長期に渡って展開してゆくこと

41

限界費用ゼロ社会とはどんな世界か?

出典:ジェレミー・リフキン、「限界費用ゼロ社会」より

第4次産業革命と強い相関で語られる・・・

ジェレミー・リフキン アメリカの経済社会学者、作家、パブリックスピーカー、政治顧問、活動家

第4次産業革命時代の MLP基盤アクティビティ(想定)

社会技術ランドスケープ

•少子高齢化、人口動態変化、 •環境劣化、資源枯渇、気候変動、 •製品ライフサイクル短縮化、不確実性拡大、 •低成長、格差拡大、“シェア”文化

社会技術レジーム

•資源共有、旅行、移動、雇用市場、・・ •工場、小売、エネルギー、インフラ、交通、都市、家庭、医療

ニッチ・イノベーション

組織的イノベーション: •事前対応型、遠隔対応型、データ活用型、未来予測型・・ •分散化、オープン化、スマート化・・ 技術的イノベーション: •IoT,AI,ロボット、ビッグデータ、クラウド・・ •モジュール化、Plug&Play、シミュレーション・

経済的、社会的、文化的変化がある。

分散化あるいは権限移譲が発生する。

当事者間での相互交流が必要になる。

43

第4次産業革命への示唆(まとめ)

新技術は潜在的にデフレ効果を持つ。 分配手法によっては賃金を圧迫する危険性がある。 多くの人はより安価なサービス享受が可能になる。

クラウス・シュワブ、「第四次産業革命」、ページ47~53を参考に作成

“プラットフォームエコノミーの勃興”とほぼ等価の・・・

世界経済フォーラムの創設者で会長

44

新製品やサービスの多くはデジタル化&プラットフォームを基盤としたものになる。

これは非競合性(独占性)&低価格を特徴とする。

Uber,Airbnbはこれからの時代の先行指標を提供している。

これからの時代に対応するには新たな経済構造や組織構造、人材育成が必要になる。

クラウス・シュワブ、「第四次産業革命」、ページ47~53を参考に作成

プラットフォームエコノミーの将来(一視点)

45

M. Kenney,” Value and Work in the Platform Economy”, BRIE presentation, May 5, 2015

Berkeley Roundtable on the International Economy

Martin Kenney

Professor: Community and Regional Development University of California, Davis

John Zysman

Professor: Political Science University of California, Berkeley

BRIE

• 技術では我々の将来は決定されない。

• 導入/使用ルールがポイントになる。

労働者を費用として見るか、開発され育成される資産として見るか

【企業戦略例】労働者を育成可能な資産と見て開発・育成費用を負担する。

組織は小規模化し、新たな政策や政治課題が出現する。

【公共政策例】社会的権利としてより広範なセキュリティネットを労働者に提供し持続的成長が期待できる社会を追求

46

新しい労働市場

プラットフォームエコノミーの将来(一視点)

Wingham Rowan Policy entrepreneur

フレキシブルに働ける仕事を求めている人は多いが、雇用主を見つけることが難しい。

現代の金融市場(トレーディングなど)で使われている技術を雇用主発掘に活用できるのでは?

低レベルの取引のための市場を開設

各業務の手数料の割合が低い運営団体が運営権を獲得など “細分化された資本主義の世界”のイメージ

• 現在、最も廉価で効率的に実現可能なサービスはマッチングサービス(但し、充分価値が引き出されていない)

• 多様なニーズに対応するプラットフォームが良心的サービス提供者と消費者間の相互作用を誘導できる可能性は存在

【例】プラットフォーム源所有者を自治体とし、運用権を入札、あるいは運用を民間に委託など

• 資本主義のある程度の変質に及ぶのか?

• プラットフォームエコノミーの台頭に向けた多方面での対応や準備が必要そう

47

プラットフォームエコノミーの将来(暫定まとめ)