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Economical Systems Science Lab.
Shibaura Institute of Technology
ライトノベル市場の分析小山 研究室・鈴木 理恵さんの卒業研究です
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Economical Systems Science Lab.
研究背景①:現在の出版市場は減少傾向
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文献 [1] より著者作成
Economical Systems Science Lab.
研究背景②:ライトノベル市場は増加傾向
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※2013 年:初の減少 ・・・一時的なものという見方もある文献 [1] より著者作成
Economical Systems Science Lab.
研究目的• ライトノベル市場の現状を分析
• コミック市場との比較:今後、成長の見込みはあるのか• 成長の一方で「新作が売れていない」といわれるのは本当か• ライトノベル市場もいずれはコミック市場の様になるのか
• コミック市場:メディアミックスは盛んだが市場は縮小
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文献 [1] より著者作成アニメ作品の原作比率の推移 コミック市場推移
Economical Systems Science Lab.
ライトノベルとは• 若者向け小説の一部• コミック・アニメ調のイラストの表紙・挿絵の作品が多い• 一般的なイメージ:「小説」と「マンガ(コミック)」の中間• 各レーベルでコンテストを開催:新人発掘• 販売形態:文庫と新書が中心
• 主に文庫
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Economical Systems Science Lab.
レーベル・単行本数 • レーベル数・単行本数
・・・増加傾向• 単行本数平均 ・・・大きな変動なし→ 多くのレーベルからほぼ同量のライトノベルが出版されている→ 新規参入が多く、競争が激しい
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20062007
20082009
20102011
20122013
20140
10
20
30
40
50
60
0
500
1000
1500
2000
2500
レーベル数単行本数 / レーベル数単行本数(右軸)文献 [8] より著者作成
Economical Systems Science Lab.
書店による売上数の推移• 文献 [5] にあった2店のライトノベルの販売部数 / 店舗数• 「くまざわ書店」グループ:一般向け書店• コミックとらのあな:オタク向けコンテンツ中心に販売• トップは変動が激しいため特定の順位を調査
• 文庫: 10,20,30 位• 新書: 10,15,20 位
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文庫本販売数 / 店舗数:コミックとらのあな
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文献 [8] より著者作成
Economical Systems Science Lab. 9
文庫本販売数 /店舗数:「くまざわ書店」グループ
文献 [8] より著者作成
Economical Systems Science Lab. 10
新書販売数 / 店舗数:コミックとらのあな
文献 [8] より著者作成
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新書販売数 /店舗数:「くまざわ書店」グループ
文献 [8] より著者作成
Economical Systems Science Lab.
購入傾向• どちらも市場とは異なる動き• 新作:両者ともにほとんど入っていない• 個別の売上:大きな変動は少ないメディアミックス展開の影響• メディアミックスの効果:「くまざわ書店」グループのみ
• 1 巻が特に売れる:新規層の獲得• コミックとらのあな:メディアミックス前に販売数増
• コミックとらのあな:オタク向けコンテンツが中心の書店• ここで関心を集めた作品がメディアミックスされる?
• 新刊が特に売れる:従来のファン>新規層• 同じメディアミックスでも実写の影響は見られない
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現状調査:新人数(新人賞応募数から)
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上:電撃大賞下:小学館ライトノベル大賞• 2014 年以外基本的に増加
• 2014 年:減少したが2012 年と同じ位の応募数
各公式 HP より著者作成
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現状調査:その年にライトノベルを刊行した作家数
• 作家数:年々増加→ 各レーベルから新人が輩出• ライトノベル市場: 2013 年減少→ 市場は下がっても、作家数は 増加
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文献 [8] より著者作成
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現状調査:作家の 1 年あたりの単行本発行数
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• 全体の約 4 ~ 5 割: 1 冊• 3 冊以下:全体の約 8 割
• 一部に執筆速度が速い作家も存在文献 [8] より著者作成
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現状調査:作家の生存数
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• 2010 年までに本を出した作家の約半分が 2011 年以降出版数 0• 出版数 0 の作家:約半分が 2010 年までに出した本が 1 冊 →「読み切り or最終巻」+「新人」と考えられる →多くの新人が 1 冊で終わっている
文献 [8] より著者作成
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コミック市場との比較コミック市場の減少理由• 読む人の減少• コミック誌の販売数の減少:現在では「雑誌<単行本」「雑誌でファン獲得→単行本で拡大→メディアミックスで拡大」 というビジネスモデルの崩壊• メディアミックスの影響:薄れている
• 放送後に売上が下がる• 「売れている作品」と「そうでない作品」の二極化
ライトノベルとの比較• ライトノベル:多くは直接単行本化
• ビジネスモデルの崩壊:考えにくい• 放送後の売上減少・作品の二極化・・・ライトノベルでも発生 →全く異なるとはいえない
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結論• 競争:激しい
• 単行本、レーベル、新人の応募数:増加• レーベルの増加:新規参入
• 出版業では数少ない成長分野• 市場は拡大したが,個別の売上はあまり伸びていない
• 書店での 10 位, 20 位, 30 位の売上はほぼ同じ• 実態は厳しい
• 1 冊しか出さずに消えていく作家が多い →新人が消え、人気作だけが残っている →メディアミックス:人気作を生み出すための手法• メディアミックスの効果が薄れる→減少する?
• コミック市場の様になる可能性は十分ある• メディアミックスを一時的なものにしないことが課題
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Economical Systems Science Lab.
参考文献• [1] 出版科学研究所『出版指標年表』 出版科学研究所 2005 ~ 2014 年度版• [2] 出版科学研究所『出版月報 2010 年 8月号』 出版科学研究所 2010• [3]玉川博章 「現代における青少年向け書籍の発展―ヤングアダルト文庫出版史」 • 『出版研究 35号』 2004 P41 ~ 63• [4]榎本秋『ライトノベル文学論』 NTT 出版 2008• [5]『このミステリーがすごい!』編集部・編 『このライトノベルがすごい!』 宝島社 2005 ~
2015 年版 (2008 年版より編集が『このライトノベルがすごい!』編集部に変更 )
• [6] 新城カズマ『ライトノベル「超」入門』 ソフトバンク新書 2006• [7]『ライトノベル完全読本』 日経BP社 2004• [8] ラノベの杜DB http://ranobe-mori.net/db/• [9] ラノベ作家の統計 http://tma.main.jp/lanobe/author.html• [10] デジタルコンテンツ協会編『デジタルコンテンツ白書 2013』 2013• [11]キネ旬総研エンタメ叢書『“日常系アニメ”ヒットの法則』 キネマ旬報社 2011• [12] 増田弘道『アニメビジネスがわかる』 NTT 出版 2007• [13] 増田弘道『もっとわかるアニメビジネス』 NTT 出版 2011• [14]ORICON STYLE http://www.oricon.co.jp/ • [15] 大森望・三村美衣 『ライトノベル★めった斬り』 太田出版 2004• [16]飯田一史『ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略』 青土社 2012
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ご清聴ありがとうございました
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