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聖地巡礼での街おこし

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Page 1: 聖地巡礼での街おこし

「アニメで街おこし」の現状と課題

小山友介

Page 2: 聖地巡礼での街おこし

話のつかみ

アニメ「たまゆら」(出典:たまゆら公式HP)

アニメ「花咲くいろは」(出典:花咲くいろは公式HP)

アニメ「ガールズ&パンツァー」(出典:ガールズ&パンツァー公式HP)

アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(出典:あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。公式HP)

石川県・湯涌温泉(金沢市郊外)

茨城県大洗町

広島県竹原市

埼玉県秩父市

Page 3: 聖地巡礼での街おこし

話の前提(1)観光形態の変化▶観光の個人化の進展

昔:大規模かつお仕着せ 団体旅行

添乗員がいて、ルートが決まっているパックツアー 今:個人旅行中心

マニアックな場所にも足を運ぶ

見たいモノを自分で決める

→これまで注目されなかった街もチャンス!

Page 4: 聖地巡礼での街おこし

話の前提(2)コンテンツツーリズム▶コンテンツにゆかりのある場所へ旅すること

▶特に大きな名物が無くても観光地になり得る→これまで注目されなかった街もチャンス!

▶どんなコンテンツ? 映画?  TVドラマ? 小説? アニメ? 作品の内容次第で来訪者も大きく変わる

萌えオタ? ミリオタ? レイヤー? フツーの女子も居

る?

▶どんなゆかり? 作品の舞台? 原作者生誕地? イベント? 

Page 5: 聖地巡礼での街おこし

街を売り込む例:フィルム・コミッション▶映画やドラマで街を

撮ってもらおうと売り込む機関 「絵になる場所」を様々な街が積極的にアピール

ロケ地との交渉や撮影許可などを協力

▶様々な経済効果 大きな映画や大河ドラマの場合、撮影自体が大きなお金になる

観光客が増える

Page 6: 聖地巡礼での街おこし

コンテンツツーリズム分類の概念図どんなコンテンツ?

映画 漫画 アニメ ・・・

どんなゆかり?

原作者・制作会社

広義のアニメ

ツーリズム作品の舞台

イベント

▶講義ではアニメツーリズムによる観光まちづくりを議論

▶アニメツーリズムでの例 原作者・制作会社型:境港(水木しげるロード),宝塚(手塚治虫記念館)

作品の舞台:湯涌温泉(花咲くいろは),竹原(たまゆら)

イベント:徳島(マチ★アソビ),洞爺湖( TOYAKOアニメフェスタ)

Page 7: 聖地巡礼での街おこし

いわゆる「聖地巡礼」とは▶アニメ作品の舞台を旅するツーリズム▶他のコンテンツツーリズムと大きな違い

1. 実写ではなく、「描画を行う」コンテンツ2. 既存の観光と比べて、来訪者が圧倒的に若年層主体

3. 来訪者がデジタルガジェットに強い親和性を有する

まとめwikiの記事を参照 twitterで実況中継しながら街歩き

4. アニメに出てきた風景>綺麗なランドスケープ ただの住宅地よりは特殊性が必要だが、 通常の観光地レベルの目新しさは不要

Page 8: 聖地巡礼での街おこし

ネットにある聖地巡礼マップの例

Page 9: 聖地巡礼での街おこし

聖地巡礼者の典型行動:痛絵馬

9

茨城県大洗町 (磯前神社 )

埼玉県秩父市 (札所 17番・定林寺 )

Page 10: 聖地巡礼での街おこし

どんなアニメで聖地巡礼が発生?▶YA(ヤング・アダルト)←聖地巡礼はこちら深夜帯に放送, 1クール( 12回)制作委員会が放送枠を買い取って放送

主に Blu-Ray( DVD)で資金回収▶KF(キッズ・ファミリー)

週末の午前 or午後 6時~ 7時代放送局が制作料を出資、玩具とグッズが収入源

(劇場版除き)長期間放送 ちびまる子ちゃん,クレヨンしんちゃん, NARUTO

ジブリとディズニー

Page 11: 聖地巡礼での街おこし

そもそも、どこが聖地化する?①▶調査地の再来訪意志:高い

現地で聖地巡礼者に調査した結果▶リピート率:一部で驚異的→そもそも、「一度足を運びたい」と思う程度の魅力が 無いと、アニメ聖地化しないことを反映?

→聖地=再発見された( Cランク程度の)観光地?

秩父(あの花)・竹原(たまゆら)ぐらいの街が聖地向き

京都(けいおん!)・高山(氷菓)は他の要素が強い そこまで聖地に執着しない

Page 12: 聖地巡礼での街おこし

そもそも、どこが聖地化する?②▶どんなアニメだと聖地化する?

アニメファンがその場の空気を共有したいアニメ 景色が美しいことは大前提

▶大きな軸は 2つ 感動的なストーリー:あの花 (高校生の)日常系:たまゆら・いろは 特殊系:大洗←分類者泣かせ

ミリタリー系は特殊すぎる・・・

▶下品なギャグ漫画はダメ いくらヒットしても聖地化しない

Page 13: 聖地巡礼での街おこし

聖地巡礼の誕生時期▶アナログ時代( 1980年代~ 90年代)

TVアニメ:解像度の関係で背景雑▶現代的な聖地巡礼:テレビの HD化以後1. テレビ放送のデジタル化:アニメの背景描写の精密化

深夜アニメに特に影響が 一般的な深夜アニメの放送期間:約 12話 (1クール )⇔ 移り変わりが早い:実際の風景をトレスした方が効率的

2. インターネットの普及:コミュニケーション方法の変容 SNS,掲示板,ブログ etc...

場所が「特定」され、あっという間に広まる

気軽に情報を他者へ公開

Page 14: 聖地巡礼での街おこし

現代の聖地巡礼▶きっかけ:「らき☆すた」

2007年 4~ 10月放送 オープニングの一部に鷲宮神社の鳥居の描写 遊び心溢れるオープニング・緻密な背景描写が話題に

Page 15: 聖地巡礼での街おこし

埼玉県鷲宮町(当時)▶人口:約 3万 6千人

現在は合併に伴い久喜市(人口約 15万人)▶名所

鷲宮神社・コスモスふれあいロード・百観音温泉… 鷲宮神社がアニメ「らき☆すた」の影響で全国的に有名に

▶商工会の動き 聖地巡礼者との意見交換 様々な取り組みを協力して進行 良好な関係が構築され,ニーズにも答える結果に

Page 16: 聖地巡礼での街おこし

旧鷲宮町の取り組み▶イベントの開催

声優を招いての神社参拝 地域の祭り「土師祭」での「らき☆すた神輿」の起用

▶様々なオリジナルグッズの販売 キャラクターの住民票の販売も

▶商店街のスタンプラリー スタンプを集めると景品と交換

久喜市商工会公式 HPより引用アニメ「らき☆すた」 (出典:「らき☆すた」公式 HP)

Page 17: 聖地巡礼での街おこし

聖地巡礼の「鷲宮モデル」▶鷲宮町で行われたとりくみ→後の聖地で標準化1. 地域ぐるみ

×一部の商業関係者 ○自治体も巻き込んだ地域ぐるみ2. 版権元の協力

新規描下ろしポスターなどの宣伝用の商材を用意

3. 来訪者向けサービス 聖地巡礼マップなど

4. リピーターの発生努力 定期的なイベント実施

5. スタンプラリーなどの街歩きイベント 作品に登場した特定箇所だけでなく,街全体へ愛着

Page 18: 聖地巡礼での街おこし

聖地巡礼マップの例

岐阜県 高山市

Page 19: 聖地巡礼での街おこし

スタンプラリーの例

埼玉県秩父市

Page 20: 聖地巡礼での街おこし

アニメで街興しする際のボトルネック▶地域の理解

地元の「わかる人」が要所のポジションにいるか 市役所の観光課・商工会青年部・・・

居ないと組織だったキャンペーンが出来ない 来る人と上手く交流できるか

▶制作元:特に版権絵 イベント用ポスターなどで協力してもらえるか

よく似た絵でごまかすことも

グッズ製作の許可が出るか アニメの制作委員会は合意形成が大変→少額の利益しか出な

い街のグッズのために会議で承認などの手間をかけたがらな

Page 21: 聖地巡礼での街おこし

版権絵が使えない場合の例▶岐阜県・高山市(氷菓)

「オンリーイベント」のポスター テーマを限定した同人誌即売会

似せた絵を利用

▶版権元(京都アニメーション) 市の観光課に「好きに使ってください」という許諾絵を一式渡す すごく協力的

しかし,市の観光課から二次許

諾が出ないイベントでは使えな

Page 22: 聖地巡礼での街おこし

近年の変化▶「聖地巡礼」と言う現象の認知拡大▶積極的に「仕掛ける」ように:死屍累々?

よくわからないままに張り切る→空振り 鴨川(千葉県:輪廻のラグランジェ),鯖江(福井県:メガネブ!)

聖地じゃ無いけど聖地巡礼ブームに乗る 分類ではイベント型の一種

典型例: TOYAKO マンガ・アニメフェスタ 木刀に書かれた銘をきっかけに強引にイベントへ

こじつけもいいところだが、来訪者数はそこそこ: 57000人( 2014)

Page 23: 聖地巡礼での街おこし

以下,具体的な事例と調査

Page 24: 聖地巡礼での街おこし

「アニメで街興し」ケーススタディ(ダメな

方)徳島市 マチ☆アソビ

※特定アニメの聖地では無いですが,  色々と示唆に富んだ例です

Page 25: 聖地巡礼での街おこし

「マチ☆アソビ」とは?▶アニメ系コンテンツの複合イベント

目的:“マチをアソビ尽くす” 開催場所:徳島県徳島市「徳島駅」周辺

駅周辺の施設、商店街等を活用

アニメ・漫画などの様々なイベントが開催 開催頻度:年 1~ 3回

初回: 2009年~( 2014年 5月時点で 12回開催) ufotableによる企画・開催

ufotable:徳島県に拠点を置くアニメーション制作会社 徳島駅周辺に「 ufotable cafe」、「 ufotable CINEMA」が存在

代表取締役:近藤光(徳島県出身) 「昔のようにマチに人々が溢れる賑わいを取り戻したい」

2012年 5月に「NPO法人マチ☆アソビ」を設立

Page 26: 聖地巡礼での街おこし

開催場所

マチ☆アソビ公式 HPより

Page 27: 聖地巡礼での街おこし

ポッポ街商店街

両国橋南公園ステージ

新町ボードウォーク

徳島駅前

Page 28: 聖地巡礼での街おこし

新町川水際公園

Page 29: 聖地巡礼での街おこし

来訪者数

vol.1 vol.2 vol.3 vol.4 vol.5 vol.6 vol.7 vol.8 vol.9 vol.10 vol.11 vol.122009年 2010年 2010年 2010年 2011年 2011年 2011年 2012年 2012年 2013年 2013年 2014年

5000

15000

25000

35000

45000

55000

65000

75000

2009 20112010 2012 2013

2014

Wikipediaより作成

【参考】ぼんぼり祭り( 2013年):約1万人コミケ( 2013年 12月):約52万人

Page 30: 聖地巡礼での街おこし

とにかく人は多い

新町橋東水際公園付近

Page 31: 聖地巡礼での街おこし

徳島県徳島市▶総人口:約 26万人(平成 26年 5月現在)▶総世帯数:約 11万 4千世帯(同上)▶名産品:なると金時、すだち、阿波尾鶏、 etc…▶四国八十八箇所の聖地巡礼、阿波踊りなどが有名

Wikipediaより

Page 32: 聖地巡礼での街おこし

商店街の「シャッター街化」▶ 平成 10年~:顧客流出の発生

高速道路網の整備⇒関西圏への顧客の流出 徳島県:四国地方かつ関西地方

▶ 平成 16年~:大型スーパーの撤退 地元資本のスーパーの勢力:強 郊外大型ショッピングセンターへの顧客流出 大型スーパーの撤退 ⇒ 市街地の空洞化の促進

(左):東新町商店街 /(右):ポッポ街商店街

Page 33: 聖地巡礼での街おこし

「マチ☆アソビ」の現状▶ 〇観光、 街興し(✕ or地域活性化)

物販がメイン⇒地域側が潤わず 地域側:アニメファンとの交流✕

ただ場所を借りているだけ・・・?

ファンのためのイベントとしては◎ 声優を招いてのトークショー、業界人の暴露トークショー etc…

▶ ✕地域側との連携 ✕イベントに関する情報の共有

「何のイベントだかさっぱりわからん…」

▶ 宿泊施設、スタッフなどの不足 徳島県:平成 24年度宿泊施設数全国最下位( 34 軒、 2567 室) 各所のゴミ箱が溢れかえる様も…

Page 34: 聖地巡礼での街おこし

まとめ:地方でありがちな失敗▶保守的な地元

自分たち:変わる気が全くない 何か新しいことを学ぶ意欲も無い

▶「白馬の王子」シンドローム:外から幸運が来て欲しい 成功して戻ってきた名士に頼る 東京から来たコンサルタントに頼る ばらまかれた補助金に頼る

うまく補助金をゲット→補助金にある間だけは食える

▶マチ☆アソビ:ダメな方の典型例個人的には,こんな地方は滅びて当然と思います・・・

Page 35: 聖地巡礼での街おこし

余談:別の街で聞いた酷い話「商店街側に決定的に知識が無く,(イベントを)やる気だけあって声は大きい地元の有力店のトップに引きずられている」

「地方の商店街は高齢化が進んでいる。何かをしようとしても新しい知識を入れる力が無い。その結果外部のシンクタンクやイベント業者に丸投げして食われるだけ食われる、と言うことを繰り返している」ココはもっと酷かったのですが,大人の事情により詳細は自粛

Page 36: 聖地巡礼での街おこし

聖地巡礼者への調査結果

Page 37: 聖地巡礼での街おこし

現地調査を何度かしています▶基本的に、イベントの開催日に合わせて院生を現地に派遣し、足で稼いだアンケートを集計したものです 秩父だけ、特にイベントの無い週末調査地 アニメタイトル 調査日 放送年 対象者数石川県金沢市 花咲くいろは 2013年 10月

12日2011年 172名

茨城県大洗町 ガールズ&パンツァー 2013年 10月23日

2012年 60名

広島県竹原市 たまゆら 2013年 11月 3日

2013年 209名

埼玉県秩父市あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

2012年 8月 25日,

10月 8日2011年 102名

合計 543名

※秩父だけ、質問紙の設計が異なるため、データが無い箇所があります

Page 38: 聖地巡礼での街おこし

実際に調査した学生

堀内和哉君

Page 39: 聖地巡礼での街おこし

茨城県大洗町

石川県金沢市

広島県竹原市

埼玉県秩父市

Page 40: 聖地巡礼での街おこし

調査結果:性別・年齢層▶秩父市:女性割合高

他地域: 10 %以下

▶大洗町:年齢層高 秩父市:低

巡礼者の属性: アニメの内容に依存

大洗町

金沢市

竹原市

秩父市

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

56

160

193

72

4

11

16

30

性別比較

男性 女性

大洗町

金沢市

竹原市

秩父市

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2

10

17

14

16

91

86

68

26

80

46

15

14

25

17

4

1

3

1

来訪者年齢層比較

10代 20代 30代 40代 50代

Page 41: 聖地巡礼での街おこし

調査結果:情報の発信

▶ 大洗町:発信型巡礼者の割合 ⇒ 多

▶ 秩父市:追随型巡礼者の割合 ⇒ 多

地域によって情報発信者の割合に違い

大洗町金沢市竹原市秩父市

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

34

58

63

13

9

32

39

12

8

24

52

26

9

55

55

34

SNS・ブログ等への掲載

既にしながら回っている する予定だまだわからない しない

Page 42: 聖地巡礼での街おこし

調査結果:再来訪意志

▶「来たくない」:どの地域でも回答数 0▶大洗町: 8 割が「観光目的」

観光資源:大洗町 ≪ 秩父市 < 金沢市 (湯涌温泉 ) < 竹原市

大洗町

金沢市

竹原市

秩父市

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

48

95

119

43

6

31

37

31

5

41

53

17

0

4

0

9

再来訪意志

観光目的でまた来たい 聖地巡礼でまた来たいイベントが開催されればまた来たい どうも思わない来たくない

Page 43: 聖地巡礼での街おこし

調査結果:リピート数

▶大洗町: 6回以上来訪している人が 6 割以上 60回と回答した人も 竹原市,金沢市: 2 割以下

大洗町

金沢市

竹原市

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

4

44

56

19

96

117

15

25

29

21

4

5

リピート数

1回目 2~ 5回 6~ 10回 11回~

Page 44: 聖地巡礼での街おこし

調査結果:大洗町の「まちあそび」▶大洗町:巡礼者と地域側,巡礼者同士での交流が発生 竹原市,金沢市では確認できず

大規模なイベントであったため?

ヒアリング:×「街興し」 ⇒ 〇「まちあそび」

大洗町・調査風景

Page 45: 聖地巡礼での街おこし

竹原市の「独走」▶巡礼者:アニメの風景と同一の写真を撮影▶竹原市:

商店街の柱を全面ピンク色に 各店舗の看板をアニメ仕様に 商店街ゲートを撤去

一部の巡礼者から反感

広島県竹原市 (発表者撮影 )「たまゆら」劇中画面キャプチャ

Page 46: 聖地巡礼での街おこし

主に 2つのベクトルが存在 「成長ベクトル」,「衰退ベクトル」と命名

• 「鷲宮模倣型」から「地域独走型」へ向かう場合も

• 深夜アニメ:「賞味期限」が存在

限られた期間内にどこまで成長させることができるか

が鍵?竹原市 ?

Page 47: 聖地巡礼での街おこし

調査②参与観察【調査概要】▶調査場所:茨城県大洗町

アンケート調査で最も特徴的な結果▶聖地巡礼者同士のオフ会に同行

アンケート調査時に知り合った聖地巡礼者がメンバー招集

参加者同士:互いの面識ほぼナシ▶イベント日に調査を実施日時 宿泊場所 イベント詳細

2014/6/6, 7, 8 肴屋本店 秋山優花里生誕祭

2014/10/22, 23 大勘荘 西住みほ生誕祭

2014/11/15, 16, 17 足袋豊,大勘荘 大洗あんこう祭り

Page 48: 聖地巡礼での街おこし

2つの行動パターン▶アニメイベント・聖地の撮影のために来訪

基本的にはアニメイベント時にしか足を運ばない?▶地域の人との交流を主な目的として来訪

イベントへはふらっと立ち寄る程度 基本的には聖地巡礼者同士・店主との談笑がメイン 時期を問わずに何度も来訪 地域の活性化を意識し,積極的に商店街内の店舗にて買い物

▶ 互いに「ガルパンクラスタ」,「大洗クラスタ」と呼び区別 「大洗クラスタ」の聖地巡礼者:互いに面識があることが

多い 店主との談笑がきっかけ

両者のクラスタ:あまり顔を合わせることはない 基本的な活動範囲が異なるため

Page 49: 聖地巡礼での街おこし

調査結果:コミュニティ▶「大洗クラスタ」の聖地巡礼者:コミュニティを形成 1つの場所単位でコミュニティが形成

例)喫茶店,旅館

その場所の中にも複数のコミュニティが存在

大洗町:非常に多数のコミュニティが存在 個々のコミュニティ:非常に濃密

強い縄張り意識が発生

排他的な雰囲気を作り出して

しまうことも?

Page 50: 聖地巡礼での街おこし

調査結果:大洗町の「内輪感」▶(一部の)古参による店舗先の集団占拠

商店街の人々との談笑 路上喫煙

新参の聖地巡礼者が近寄り難い雰囲気に 某掲示板・ SNS 等で大洗町に関する悪評も

Twitterより引用

Page 51: 聖地巡礼での街おこし

「まちあそび型」聖地のリスク▶既存の観光客離れ

既存観光客が離れてしまう可能性が存在 「まちあそび型」聖地:街全体を「アニメ一色」にする必要アリ 「萌え」に耐性のない一般観光客からの理解が得られないケースも?

聖地巡礼者も離れてしまった際には,むしろマイナス…? 一度「まちあそび型」聖地にまで発展させると永続的に聖地巡礼者を根付かせる努力が求められる?

喧嘩・縄張り意識などの問題にも注意を払う必要アリ 地域のイメージダウンに繋がる?

一概に「『まちあそび型』聖地が成功モデルである」とは言えない? 地域側:各タイプの聖地のメリット・デメリットを踏まえて街興しに取り組む必要がある

Page 52: 聖地巡礼での街おこし

考察②:参与観察▶大洗町の聖地巡礼者には 2つの行動パターンが存在 「ガルパンクラスタ」,「大洗クラスタ」 「作品クラスタ」,「地域クラスタ」へと一般化

「作品クラスタ」:作品自体を好んでいる聖地巡礼者

「地域クラスタ」:地域の人との交流を好んでいる聖地巡礼

「地域クラスタ」:作品自体も好んでいる

▶他の聖地:「地域クラスタ」も少なからず存在 アンケート調査実施時より 大洗町と比較:圧倒的に少

「地域クラスタ」の数は聖地の発展度合いに比例?

Page 53: 聖地巡礼での街おこし

成長ベクトルを辿るにつれて「作品クラスタ」が「地域クラスタ」へ 「地域クラスタ」が多い「まちあそび型」聖地が街興しの鍵を握っている?

「まちあそび型」聖地:リスクも存在…

Page 54: 聖地巡礼での街おこし

まとめに変えて

総合考察

Page 55: 聖地巡礼での街おこし

アニメ聖地巡礼は特需?契機?▶アニメの場所を巡る:せいぜい 1~ 2回

短期間のブーム時だけの特需? リピーターになってもらう契機?

▶特需なら・・・ 最適政策:限定グッズを作って売りまくる

ぶっちゃけ、地域はどうでも OK 典型的な萌えアニメ?

▶契機なら・・・ 最適戦略:リピーター歩留まりを上げる

アニメ聖地以外の魅力が重要

個性が強いアニメ?

Page 56: 聖地巡礼での街おこし

来訪者の再来訪意志:強い

▶「来たくない」:どの地域でも回答数0▶大洗町:8割が「観光目的」 観光資源:大洗町 ≪ 秩父市 < 金沢市(湯涌温泉) < 竹原市

大洗町

金沢市

竹原市

秩父市

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

48

95

119

43

6

31

37

31

5

41

53

17

0

4

0

9

再来訪意志

観光目的でまた来たい 聖地巡礼でまた来たいイベントが開催されればまた来たい どうも思わない来たくない

Page 57: 聖地巡礼での街おこし

リピート数:一部の地域で驚異的

▶ 大洗町: 6回以上来訪している人が 6 割以上 60回と回答した人も 竹原市,金沢市: 2 割以下

大洗町

金沢市

竹原市

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

4

44

56

19

96

117

15

25

29

21

4

5

リピート数

1回目 2~ 5回 6~ 10回 11回~

Page 58: 聖地巡礼での街おこし

最終的な着地点は?▶いつかは、飽きられる→撤退をどうするのか

せいぜい持って数年 聖地として維持するのもコストがかかる

▶現在、見えている着地点 元から有力な観光地の場合

観光の1オプションとして残す ガイドブック/観光マップの1コーナーとして生きる

アニメで一時的に注目された地域の場合 祭りで賑わう定番の地位を手に入れる ヒット時に稼いだ知名度が原資

Page 59: 聖地巡礼での街おこし

定番の地位になった例:鷲宮

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 201305101520253035404550

6.59

13

30

4245 47 47 47

鷲宮神社・正月 3ヶ日参拝者数推移

「らき★すた」ブームが去った後も、初詣として定番化

34万人増加

(万人 )

(年 )

出典:毎日新聞デジタル,鷲宮神社:「らき☆すた」聖地の初詣客数47万人「らき☆すた」放送開始

Page 60: 聖地巡礼での街おこし
Page 61: 聖地巡礼での街おこし
Page 62: 聖地巡礼での街おこし

おまけ:ダメコンサルの例▶ 酷いコンサルがとある街に持ち込んだ企画書(下) 「アニメで街興し」の企画書を売り込んできた者 その街にある大学の先生が小山に相談

▶ 補助金でノーリスクで出来ることを強調 イベントをやる人も自分たちの関係者を使う 地元にノウハウもお金も殆ど残らない

企画スライドの一番酷いところを抜粋