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ICANN 49 シンガポール ビジネスダイジェスト

ICANN 49 Business Digest_Japanese

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Page 1: ICANN 49 Business Digest_Japanese

ICANN 49

シンガポール

ビジネスダイジェスト

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ビジネスダイジェストを発行する目的 このダイジェストはICANN公開会議の主な内容を振り返り、ICANNの作業成果の影響を受けるさまざまな業界のステークホルダーや関連業界の方々のためにわかりやすくま と め た も の で す 。 ご 意 見 や コ メ ン ト は 、 I C A N N ビ ジ ネ ス 推 進 チ ー ム ([email protected])までお寄せください。 ICANNの作業、インターネットガバナンス、およびビジネス界からの参加について、関連する企業に最新情報をお届けするため、このビジネスダイジェストの内容は、2つのソーシャルメディアで補完されます。関連するビジネスリーダーが継続的にアイデアを共有、交換する場であるTwitterフィード@ICANN4bizとLinkedInグループICANN for Businessをご利用ください。みなさまの積極的なご参加とご意見をお待ちしております。

要約 2014年3月23~27日、シンガポールでICANN 49公開会議が開催されました。オンライン登録者数2,000名以上、参加者数は1,940名に上り、シンガポールオペレーショナルハブを運営するICANNチームにとって大成功のイベントとなりました。 シンガーポールでICANN公開会議が開催されるのは、今回が初めてではありません。実は、2011年のICANN 41よりも前、記念すべき第1回のICANN会議もシンガポールで開催されたのです。ただし、今回は、2013年8月にICANNシンガポールハブが設立されて以来、初めての地元開催です。シンガポールハブは、ICANNのアジア太平洋(APAC)地域重視を示すものです。スタッフ数は現在市内に8名、地域全体で14名ですが、今後数年間で確実に増加するもようです。 ICANN 49は歴史に残る公開会議となりました。ICANNがとりまとめているIANA機能の監督権限をグローバルマルチステークホルダーコミュニティに移管するという計画が米国政府から発表され、それに対処するための意見と提案をコミュニティから募るプロセスがこの会議で開始されました。シンガポール会議の数日後、2014年4月8日にコミュニティからの最初のフィードバックに基づくドラフト版の提案書が、ICANN Webサイトに掲載されました。最終的な提案をコミュニティ主導で作成し、幅広い支持を得られるように、ICANNは、グローバルステークホルダーコミュニティから意見とフィードバックを集めて盛り込むべく取り組んでいます。意見やフィードバックは、[email protected]メーリングリストに投稿すればいつでも送ることができます。 以下は、主な議題の内容です。

• ICANN 48でのビジネスプログラムの成功を踏まえ、ビジネス推進チームは、 APAC地域対応チームと緊密に連携して、活気のある当地域のビジネスコミュニティを対象に、ICANNの作業成果とそれがビジネスの成功をどう支えているかが伝わるように複数のイベントを開催しました。

• 新しい分野別トップレベルドメイン(gTLD)プログラムが実装フェーズに入り、名前の衝突の問題と、その最後の解決手段であるオークションが議論の中心となりました。ICANN 49は、申請者と新規レジストリが新gTLDの発展についてスタッフと話し合い、レジストリ運営のベストプラクティスについて話を聞く場となりました。

• ICANN 49は、新gTLDを申請したブランドにとって極めて重要な会議でした。 Specification 13が新gTLDレジストリ契約(RA)に採用され、ICANNで「.Brand TLD」と認識されたTLDを運営するレジストリオペレータに適用されるようになったためです。

• インターネットのセキュリティと安定性の問題が、特にIANA機能の監督権限移管に関連して注目を集めました。検索リスト処理や分散型サービス拒否攻撃(DDoS)などは、ネットワークの機能に影響を与えるおそれがあるため、特に企業に関係の深い問題です。

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略語

APAC – Asia Pacific(アジア太平洋)

BGC – The Boston Consulting Group(ボストンコンサルティンググループ)

BCUC – Business and Commercial Users Constituency(ビジネスおよび商用ユーザー部会)

ccTLD – Country code Top Level Domain name(国コードトップレベルドメイン名)

CSG - Commercial Stakeholder Group(商用ユーザーステークホルダーグループ)

DDoS – Distributed Denial of Service(分散型サービス拒否)

DNS - Domain Name System(ドメインネームシステム)

DNSSEC – Domain Name System Security Extensions(DNSセキュリティ拡張)

GAC – Governmental Advisory Committee(政府諮問委員会)

GDD – Global Domain Division(グローバルドメインディビジョン)

GNSO - Generic Names Supporting Organization(ジェネリックドメイン名支持組織)

gTLD - Generic Top-Level Domain name(分野別トップレベル ドメイン名)

IANA – Internet Assigned Numbers Authority(インターネット割り当て番号局)

IDN – Internationalized Domain Name(国際化ドメイン名)

ISIF – Information Society Innovation Fund(情報社会イノベーション基金)

IPC – Intellectual Property Constituency(知的財産権部会)

ISPCP – Internet Service Providers and Connectivity Providers Constituency(インターネットサービスプロバイダおよび接続プロバイダ部会)

RA - Registry Agreement(レジストリ契約)

SSAC - Security and Stability Advisory Committee(セキュリティと安定性に関する諮問委員会)

このレポートで使用されている略語についての詳細は、ICANN GNSOのAcronym Helper

を参照してください。

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開催地紹介:シンガポールと地域について シンガポール会議の開会式には、シンガポール政府からシンガポール情報通信開発庁(IDA)の副長官兼総裁であり、シンガポールネットワーク情報センター(SGNIC)の会長であるLeong Keng Thai氏とシンガポール通信情報担当大臣であるDr. Yaacob Ibrahimが出席しました。 両氏より、シンガポールのインターネット統計について興味深い話がありました。

• 2014年のIT支出額は、前年比約4.4%増の200億米国ドル超と予測されています。 • シンガポールの家庭の約84%はブロードバンドにアクセスできます。モバイル

普及率は156%に達し、モバイル加入者の大半は少なくとも3G接続、24%はすでに4G接続を利用しています。

• シンガポールの企業の80%はブロードバンド接続を利用し、約46%にはWebプレゼンスがあります。

• シンガポールの次世代全国ブロードバンドネットワークでは、家庭と企業の 95%以上に最大1GB/秒の超高速ファイバーブロードバンド接続環境が提供されます。

• 小売サービスプロバイダ間の競争により、消費者は月額40米国ドル未満の料金で1GB/秒の接続を利用できます。

• 企業の場合、高速ファイバー ブロードバンドにより、データセンターの接続コストが削減され、スループットは増加しています。世界への接続環境が整った結果、シンガポールは7,000社もの多国籍企業の拠点となっており、アジアでの業務をサポートするハブとして機能しています。

• eフリクション(摩擦)スコアが31のシンガポールは、インターネット開発への阻害要素がない国として世界で15位にランクされました。この指標は、ICANNがボストンコンサルティンググループ(BGC)に委託したレポートで定義されました。BCGレポート「インターネット経済を円滑に進める」では、国がインターネットの潜在力をフルに引き出すうえでの4つの阻害要素を、1.インフラ関連のフリクション、2.業種関連のフリクション、3.個別のフリクション、4.情報関連のフリクションとして定義しています。

ICANN APACチームは、特に地域内のステークホルダーに向け、ICANN 49 DNSSECの事前トレーニング、SME ビジネス会議「インターネットとビジネス」、DNSフォーラム セッション、アジア太平洋地域の開発ITプロジェクトに関する情報社会イノベーション基金(ISIF)アジアプレゼンテーション)、アジア太平洋地域におけるICANNの取り組み – APACハブの推進戦略および活動に関するレポートなど、一連のイベントを開催しました。

ビジネス推進チームが地域対応チームや地域のステークホルダーと密接に連携し、戦

略的な活動と会議の準備にあたりました。ICANN 49で新たに参加する企業向けに、

ICANN会議の内容と方針策定に積極的に参加している各ビジネスセクター部会につい

て説明する事前ウェビナーは、こちらからご覧いただけます。

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開会式と理事長による開会の挨拶 ICANN 49開会式ではまず、ICANN理事長のDr. Steve Crockerが、前回のシンガポール開催ICANN会議である2011年7月のICAN 41においてICANN理事会が新gTLDプログラムを正式承認したときの短いビデオを紹介しました。Dr. Crockerはまた、米国政府が発表したIANA機能の監督権限移管についても触れました。

Dr. Crockerがシンガポール政府から出席したLeong Keng Thai氏とDr. Yaacob Ibrahimを紹介し、両氏は、シンガポールがICT分野で非常に有利な位置にあること、シンガポール国内のインターネットインフラを保護し開発を進める計画であることを説明しました。

ICANNのアジアステークホルダー対応担当副社長であるYu-Chuang Kuekが登壇し、 ISIF賞を授与しました。ISIFはICTのイノベーションへの重要な貢献に対し、以下の4部門の賞を授与しています。

1. アクセス提供におけるイノベーション

2. 学習とローカリゼーションにおける イノベーション

3. 公益の規範

4. 権利

ICANNのCEO兼事務総長であるFadi Chehadéも登壇し、2年間の在任期間を振り返りながら、現在取り組んでいるトピック、予定されているトピック、今後のフェーズを円滑に進めるためにICANNが重点を置く領域について説明しました。最初に取り上げたのがICANNの中核業務です。

• グローバルドメインディビジョン(GDD)

• グローバルステークホルダー対応(GSE)

• ICANNとIANAのグローバル化

• グローバルインターネットガバナンス

Chehadéは、インターネットエコシステム全体の未来を方向付けるためにいくつかの重要な点について詳細に説明しました。

ICANNとIANAのグローバル化については、IANAの監督権限がグローバルマルチステークホルダーコミュニティに移管されることと、現在のIANA機能に関するICANNの契約が2015年に終了した後の将来的なICANNのグローバルな説明責任との違いを明らかにしました。

グローバルインターネットガバナンスのトピックについては、グローバルなインターネット共同運用およびガバナンスに関するハイレベル協議および将来のインターネットガバナンスに関するグローバルマルチステークホルダー会議(NETmundial)の作業と狙いについて説明しました。

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グローバルドメインディビジョンの業務 ICANNのグローバルドメインディビジョンの作業は、新しい分野別トップレベルドメインを申請した企業や今後の申請を検討している企業にとって重要です。利用可能になったgTLDで新しい名前を登録してオンラインプレゼンスを強化しようと計画している企業もGDDの作業動向をつぶさに追っています。

委任された新gTLDは175を超えるため、シンガポールでのICANN 49は、申請者と新規レジストリが新gTLDプログラムの発展についてICANNスタッフと話し合い、レジストリ運営のベストプラクティスについて話を聞く場を設けました。オークションの実施、名前の衝突、レジストリの立ち上げ、継続的な運用などのトピックについてセッションが行われました。

以下は、ICANN 49で実施されたすべてのグローバルドメインディビジョン(GDD)セッションへのリンク一覧です。

新gTLDプログラム最新情報

名前の衝突

登 録 デ ィ レ ク ト リ サ ー ビ ス : 現状と今後

新gTLDプログラムオークション

TLDの一般的受容

WHOISの後継を探して – 次世代ディレクトリサービス

TLD開始プロセスの経験とレジストリの立ち上げ

IDNバリアントTLDプログラム

TLDレジストリ – 継続的運用

2013 RAA FAQ

サービスが行き届かない地域におけるDNS業界のサポート

IDNルートゾーンLGR公開ワークショップ – 統合および生成パネル

各セッションの概要については、ブログ記事「ICANN 49:シンガポール – グローバルドメインディビジョン(GDD)のセッション」(著者: Akram Atallah、ICANNグローバルドメインディビジョン、プレジデント)を参照してください。

詳細:GDDと新gTLDプログラム

• GDDウェビナー ICANNでは、新gTLDプログラムのトピックに関するさまざまなウェビナーを開催しています。録画の視聴、音声の聴取、プレゼンテーションやQAドキュメントのダウンロードが可能です。今後開催予定のウェビナーについての情報も掲載されています。

• 発表 新gTLDプログラムに関して、契約の統計を含む最新情報を入手できます。

• 新gTLDプログラム統計

プログラムの各フェーズを通過したアプリケーションの速報。毎週更新されます。

ICANN49出席者の間で特に関心の高かったトピックは、Specification 13、オークション、名前の衝突、商標保護などです。各トピックについては、以降で説明します。

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Specification 13

コミュニティとの数か月に及ぶ共同作業の結果、2014年4月14日にICANNはSpecification 13の対象を認定するプロセスを公開しました。申請フォームをダウンロードできます。ブランドレジストリグループは、本仕様の定義とドラフト作成において重要な役割を果たしました。ブランドレジストリグループについての詳細は、Webサイトを参照するか、ICANN 49のセッションの記録を参照してください。 Specification 13では、「.Brand TLD」と認められたTLDのレジストリオペレータは条件が緩和されます。たとえば、.Brand TLDには、レジストラとの関係について他のレジストリと同様の要件を求められません。新gTLD申請全体の実に1/3が.Brand TLDとして認められる可能性があります。 ICANNは、2013年12月6日、提案されたSpecification 13のドラフト版を「2013年レジストリ契約」に掲載し、パブリックコメントを募集しました。最終ドラフト版は、 ICANN理事会の新gTLDプログラム委員会(NGPC)に検討のために提出され、シンガポールのICANN 49において承認されました。 詳細:Specification 13

• Specification 13に対するパブリックコメントの要約と分析 ICANNのドメインネームシステム(DNS)業界対応担当副社長Cyrus Namaziのブログを参照してください。

• Specification 13 FAQ

新gTLDの競合セットのオークション

新gTLDごとの運営レジストリは1つに限定されるため、複数の団体から同じTLDまたは文字列が申請された場合にはさまざまな方法で解決されます。ICANNは、同じ文字列で競合するレジストリに、当事者間で競合を解決するように促しています。新gTLDプログラムオークションは、文字列競合を解決する最終的な手段です。申請者ガイドブックに含まれるオークションやその他のプログラム要素を定義するための議論には、コミュニティが参加しました。 暫定版のオークション規定は2013年11月1日に公開され、その後コミュニティのフィードバックを反映して改訂されました。改訂版のオークション規定は2013年12月に公開され、ICANN Webサイトでパブリックコメントが募集されました。2014年2月の期限までに23件のコメントが寄せられ、2014年3月5日にパブリックコメントに関するレポートが公開されました。これらのコメントと、シンガポールのICANN 49期間中に新TLD申請者グループ(NTAG)から提起された懸念事項を検討し、オークション規定と入札者契約の最終版が作成されました。新gTLDの申請者は、新gTLDプログラムオークションに参加する前に入札者契約を締結し、また、オークション規定を遵守する必要があります。 詳細:オークション

• 新gTLDオークション Web ページ オークションに関する最新情報。基本を学んだり、新gTLD申請者向けのオークションリソースセクションにアクセスして、オークション規定、入札者契約、入札者フォーム、オークションスケジュールなどの文書をダウンロードしたりできます。

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名前の衝突

企業とそのネットワークオペレータは、「名前の衝突」が起きやすい方法で内部ネットワークが設定されている場合、ネットワークが新gTLDの委任により影響を受けるおそれがあります。名前の衝突は、プライベート名前空間(たとえば、内部ネットワークで、委任されていないトップレベルドメインか、短縮された非修飾名を使用している場合)で使用されている名前の拡張子に接続しようとして、結果的にパブリック DNSをクエリした場合に発生します。プライベート名前空間とパブリック名前空間の管理境界が重なると、インターネットアドレスの検索が思わぬ有害な結果をもたらします。 2013年5月、ICANNは、新gTLDに関連する名前の衝突の範囲とリスクを探る調査を委託しました。その後の一連の提案とパブリックコメント募集の期間を経て、新gTLD衝突発生管理計画の作成、ICANNコミュニティの協力を得ながら「名前衝突発生管理フレームワーク」を作成するためのリーダーの選出、25の新gTLD文字列を除くすべてに適用可能な委任の代替手段に関するレポートの公開に至りました。委任の代替手段では、申請者は従来の衝突緩和対策を採りながら審査期間の初期にいくつかのドメインの選択をブロックすることにより、名前衝突発生審査を待たずに作業を進めることができます。 2014年2月26日、ICANNは、JAS諮問委員による独立したレポート「DNS名前空間衝突のリスク緩和」を公開しました。このレポートでは、ドメイン名衝突の潜在的なリスクを軽減する方法について一連の具体的な推奨事項を提示しています。 ICANNは、2013年夏以降、名前の衝突問題に関する活動を積極的に実施しています。こうした取り組みは14か国、6言語のメディアで取り上げられ、また、世界中100以上のIT業界団体とそのメンバーに潜在的な問題を周知させることができました。さらにこの取り組みは、LinkedIn、Twitter、Facebookのソーシャルメディアを通じて広がっています。 詳細:名前の衝突

• ICANN Webサイトの名前の衝突情報およびリソースハブ。 • 名前の衝突情報キットを入手するには、[email protected]まで

お問い合わせください。 • 公開メーリングリストへの参加:

o 名前の衝突の緩和対策

o 名前の衝突の分析調整

商標の保護

商標を保有する企業やインターネット上で名前や商標を使用することに懸念がある企業はいずれも、こうした資産を保護する方法を知っておく必要があります。自由に使用できるツールが複数あります。新gTLDプログラムの権利保護メカニズム(RPM)には、商標を保護するための未然防止策と事後対応策が盛り込まれています。商標クリアリングハウス、統一早期凍結システム、委任後の商標に関する紛争解決手続きなどの使用手順をわかりやすく示したインフォグラフィックが提供されています。これらは新gTLDプログラムの一環として開発された画期的で重要なメカニズムであり、DNSでの高度な権利保護に役立ちます。商標を保有する事業体は、オンラインでの権利侵害に対抗する防御の最前線として商標クリアリングハウスに商標を記録することを検討する必要があります。

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セキュリティと安定性の問題 DNSのセキュリティと安定性は、ICANN 49で広く取り上げられたテーマです。特に、IANA機能のグローバル化に関連する場合にその傾向がありました。

セキュリティと安定性に関する諮問委員会(SSAC)は、3月27日に公開セッションを開催しました。SSAC会長のPatrik Fältström氏は、最新の2つのSSACレポート、SAC064「検索リスト処理」とSAC065「DDoS攻撃とDNSの活用」について説明しました。

検索リスト処理 勧告SAC064は、2014年2月13日に公開されました。この勧告では、現在のオペレーティングシステムおよびアプリケーションプロセスがどのように検索リストを使用しているかを分析しています。現在の検索リストの動作に関連する問題の概要を説明し、長期的に検索リスト処理を改善するための試案と、短期的にICANNおよびインターネットコミュニティが検討可能な緩和策の両方を提案しています。

検索リストの処理は、初期のRFC(Requests For Comments)では標準化が不十分でしたが、多くのオペレーティングシステムに実装されました。ただし、インターネットが拡大すると、検索リストの動作は多様化しました。アプリケーション(Webブラウザやメールクライアントなど)とDNSリゾルバでは、検索リストの処理が異なります。さらに、こうした動作の一部は、セキュリティとプライバシーの点でインターネットのパフォーマンス問題につながりかねない懸念をエンドシステムにもたらしています。また、新しく委任されたTLDに基づきプロビジョニングされた名前との衝突を引き起こすおそれがあります。 DDoS攻撃とDNS 勧告SAC065は、2014年2月18日に公開されました。この勧告では、大規模かつ深刻化するDDoS攻撃を可能にしている、設計および展開上の複数の重要な未解決問題を分析しています。SSACはこの勧告で、DDoS攻撃がネットワークのインフラと運用の複数の特性を悪用できる一方で、DNSの普及度と重要性から見て保護は難しいうえに緊急を要すると指摘しています。これらのDNSの未解決問題と関連するDDoS攻撃によって、インターネットのセキュリティと安全性は紛れもなく危険にさらされています。

SSACでは、すべてのタイプのDNSオペレータおよびネットワークオペレータに対し、大規模なDDoS攻撃を可能にする設計および展開上の問題への対応措置を直ちに執ることを強く推奨しています。これらの攻撃の規模は徐々に拡大しており、個々の企業、ネットワーク全体、重要なアプリケーションとサービス、さらに国全体を混乱に陥れています。インターネットコミュニティがさらなる対策を採らなければ、攻撃の規模は今後も拡大し続けます。 DNSSEC

企業は、DNSSECを展開することでインターネットのセキュリティを強化できます。 SSACはDNSセキュリティ拡張(DNSSEC)に関する恒例のセッションを開催しました。

誰でもわかるDNSSEC -- ビギナーズガイド DNSSECワークショップ

SSACのレポートと勧告の全一覧は、こちらで参照できます。

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GACの勧告 2014年3月27日、ICANN 49政府諮問委員会(GAC)コミュニケが発行されました。

GACでは、国名と第2レベルの2文字コード(de.bmwなどのcountry.brand)の承認に関するRA補遺に基づくプロセス合理化へのブランドレジストリグループの提案について議論が行われました。GACは、ブランド所有者に、こうした名前への承認を関連する国から直接得るように提言しています。さらに、.Brand申請者のプロセスを容易にするために、GACは個々の要求を必要としない国のレジスタを作成することを提案しました。

新gTLDに関して、このコミュニケは、ベルギーのスパ市と、ある「.SPA」申請者の間で合意が成立した報告を歓迎し、「.AMAZON」文字列に関する決定のタイミングについて懸念を表明しています。GACは、「.INDIANS」文字列と宗教上の理由から 「.RAM」文字列については手続きを進めないようにというインド政府の要求を支持しました。最後にGACは、同じ語の単数形と複数形を許可することで発生しかねない消費者の被害と混乱に関する勧告と、国際政府組織(IGO)および国際赤十字および赤新月社運動に関連する語を保護するための以前の勧告について繰り返し言及しました。

全文は、シンガポールGACコミュニケで読むことができます。

その他のGAC会議の内容はすべてこちらで閲覧できます。

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インターネットガバナンスの展望 インターネットガバナンスの将来に関するグローバルなマルチステークホルダー会議開催が近づくなか、シンガポール会議では、いくつかの公開セッションでインターネットガバナンスの問題について話し合い、コミュニティがサンパウロ会議に参加する計画を立てられるように調整の場を設けました。

ICANNとグローバルインターネットガバナンスサンパウロへの道、さらにその先へ – 非商用ユーザー部会(NCUC)が開催するこのワンデイ イベントは、 NETmundialでおそらく取り上げられる実質的なメイントピックに関するコミュニティ間の集中的な議論の機会を設けることが目的でした。当日のプログラムには、会議の議題、インターネットガバナンスの原則、エコシステム進化のロードマップなどに関する議論が含まれました。

NETmundialにおけるインターネットガバナンスに関するコミュニティ間ワーキンググループ(CCWG) - 2014年4月9日、CCWGはNETmundial会議に向けた寄稿を作成し、提出しました。このセッションは、提出物に対するコミュニティのコメントとフィードバックを集める機会となりました。この文書は、 2014年3月21日までパブリックコメントを募るために掲載されていました。 インターネットガバナンスに関するCCWGについての詳細は、こちらを参照してください。

インターネットガバナンスの問題に関する最新情報 – このセッションでは、近日開催のイベントとインターネットガバナンス分野で進行中のイニシアチブに関する情報を提供しました。具体的には、イスタンブールでのインターネットガバナンスフォーラム(IGF)、国連開発のための科学技術委員会(CSTD)ワーキンググループ拡張協力(WGEC)、および情報社会のための世界サミット(WSIS+10)レビュープロセスを取り上げています。

ブラジル会議の成果に関する文書「NETmundialマルチステークホルダー声明」が公開されています。同会議についての詳細は、www.netmundial.brを参照してください。

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各部会 通常どおり、GNSO 商用ユーザーステークホルダーグループ(CSG)とその部会では ICANNの一連のトピック議題について活発な議論が展開されました。CSGはビジネスユーザーと接続プロバイダの視点を代表するグループです。このグループの役割は、企業、ユーザー、消費者が高い信頼の下、企業間/企業消費者間の取引やコミュニケーションを行う場としてインターネットを発展させるという方向性に沿ってICANNの方針や契約が設定されていることを検証することです。

ビジネスおよび商用ユーザー部会(BC)

BC会議では、ICANN戦略パネルレポートに加え、特に企業が直面している新gTLDの問題(プレミアムリストの問題など)、事前登録、 Sunriseの発表のテーマについて議論が行われました。NETmundial会議で部会メンバーが民間セクターの役割と参加について議論したため、インターネットガバナンスの問題も議題に追加されました。さらに、セッションでは、活動の向上に関するICANNスタッフとの会議も行われました。

インターネットプレセンスがある企業すべてに関係するこれらの問題の詳細は、 www.bizconst.orgを参照するか、[email protected]までお問い合わせください。

知的財産権部会(IPC)

IPCセッションでは、ICANNスタッフメンバーからTLD立ち上げの問題、新gTLDのレビュー、WHOISの精度、契約遵守などさまざまなトピックに関する状況説明がありました。

IPCとその作業についての詳細は、www.ipconstituency.orgを参照してください。

インターネットサービスプロバイダおよび接続プロバイダ部会(ISPCP)

ISPCPでは、IANA機能の監督権限移管の発表が意味するもの、インターネットガバナンスフォーラム、ICANN戦略パネルなど、ICANNの発展に関するいくつかの話題を取りあげました。ISPCPでは、ドメイン名の衝突と、IDNバリアントTLDの影響について引き続き懸念を表明しています。

ISPCPの議題として推進活動も取り上げられました。特に、ISP CEOとのイベント開催計画と、ロンドンでのICANN 50公開会議に向けて対象を絞った働きかけについて話し合いが行われました。

ISPCPの活動に関する詳細は、www.ispcp.infoを参照するか、[email protected]までお問い合わせください。

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その他の資料と役立つ情報

ロンドンICANN 51のフェローシップ申し込み期間が開始

ICANNフェローシッププログラムは、途上過程にある地域と国から参加者を募り、知識を持つメンバーの裾野を広げ、いずれ各地域を代表して経験を発信してもらうことを目指しています。現在このプログラムでは米国ロサンゼルス開催のICANN 51への申し込みを受け付け中です。民間セクターからの参加者をお待ちしています。こちらからご登録ください。登録期間は2014年5月30日までです。

ICANNオンライン学習プラットフォーム

ICANN 48開催中にICANN学習システムが開始しました。この無料の公開オンライン学習プラットフォームは、新しい参加者に対して基礎知識を提供し、ICANNの活動に関する知識を共有することにより、知識を身に付けたICANNステークホルダーの裾野を広げることを目的としています。ICANN学習システムをできるかぎり有用なものにしていくために、ご意見とご要望をお寄せください。learn.icann.orgにアクセスしてアカウントを作成し、コースに登録して学習を開始してください。

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