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企業組織によるソーシャルイノベーション

2011.9.11一橋大学イノベーション研究センター

青島矢一

ソーシャル・イノベーション

社会そのもの変革・改革

社会的課題の解決を目的とした革新 担い手としての「社会的企業(事業体)」と「社会的企業家」への注目

「制度や事業モデルの変革としてのイノベーション」への注目( vs. 技術イノベーション)

社会的企業( Social Enterprise)

社会的課題の解決を一義的なミッションとした事業体

営利企業=利潤の最大化を一義的な目的とした事業体(利潤動機の出資者が最大のステークホルダー)

社会的企業(事業体)の台頭

経済リターンが見込める 経済リターンが見込めない

営利企業営利企業 政府政府

社会的課題解決

営利企業営利企業 政府政府

グローバリゼーション、技術進歩

社会的企業への注目の背景

営利企業における事業の絞り込み 事業性評価の厳しさ増大

かつては独占利潤を享受する代わりに社会のステーツマンとして振る舞っていた企業の変化

激しい市場競争の帰結としての市民生活の荒廃

政府・公的サービスの限界と限定 公的事業の効率性の悪さ、財政問題、民間委託

両者の間隙

グローバル化と技術進歩 社会的課題の見える化(顕在化)

社会的課題を可能にする背景(イノベーションの要素の整備とイノベーション)

付加価値率と営業利益率の乖離

法人企業統計より

社会的課題解決の主体

営利企業 事業性と社会性が直接的にトレードオン関係の場合( ex. 設計の簡素

化が資源節約につながる。環境対策のイノベーション。ユニクロの例)

直接的にはトレードオフでも間接的にはトレードオンの場合( ex.広告としての CSR活動)

資本を集めても支払い能力のないニーズ(基盤的社会ニーズ)には対応できない(水、自然エネルギーなど)。支払い能力のある顧客に対する追加的社会ニーズへの傾倒。顧客ニーズの開拓が課題。

政府・公的機関 事業性と社会性がトレードオフの場合、ニーズに支払い能力がない場

採算性を高めるインセンティブの欠如、ローカルニーズに対する感度の低さ、特定ステークホルダーの影響による資源配分

社会的企業 事業性と社会性がトレードオフの場合を中心に・・・

社会的企業の原理的苦悩

事業性の低いものを請け負う宿命(存在意義)。

事業性を一義的な目的にしないが、しかし事業の継続資金は必要→矛盾の解決→イノベーション 揺るぎない社会的ミッションをもちながら、事業モデルを工夫する必要性(知識創造)

継続的な資源動員のための正当性確保の必要性(資源動員)

これが可能となれば、社会的企業が営利企業による社会的問題解決への参加を促すことにつながる?

(ソーシャル)イノベーション

イノベーションプロセスの2つの要素 「知識の創造」と「資源の動員」

「知識創造」 社会的課題解決を効率的に遂行する新しい仕組み(新結

合)

多くの場合、ニーズは顕在化。それを実現するための技術要素も存在する。それらの新結合によるサービス・モノの新たな生産・提供方法の提供

「資源動員」 通常のイノベーションでは、経済合理性を示せない状態の

中で、いかにイノベーション理由を創造して、活動を正当化するかが鍵。

社会的イノベーションでは、経済合理性を示せないこと自体が問題とはならない、しかし、実現可能性と社会的価値に関する不確実性が伴う点では同様。

資源動員

知識創造

イノベーションの両輪:知識創造と資源動員

自然の不確実性の削減

意図の不確実性の削減

イノベーションの理由の創

事業モデルの工夫:知識創造

社会的余剰資源の活用(効率的資源活用) 受益者の金銭外の関与(ルーム・トゥ・リードの例)

コミュニティの活用(仮設住宅、介護・・)

最適化範囲の拡大による余剰能力の組み合わせ( ex.太陽電池と自動車用蓄電池、水ビジネスと電力の組み合わせ)

顧客を含めたステークホルダー間での協力体制 社会的価値を作り出す共同体(顧客、生産者、出資者、支

援者・・・)

ステークホルダー間の直結

Involvement による動機付け(グラミン銀行・・)

(資源動員の仕組みと不可分な部分が多い)

資源動員を可能にする創造的正当化

イノベーション活動には、「自然の不確実性」(技術的課題解決の不確実性)と「意図の不確実性」(技術に対する社会的ニーズの不確実性)が不可避的につきまとう。

だから、イノベーションプロセスの初期段階で十分な経済合理性を示すことはできないのが普通である。

イノベーション活動の前進に必要とされる資源を獲得するに足るだけの十分な経済的合理性を示すことができない中で、様々な理由を駆使して、イノベーションの正当性を確保することが、イノベーションの実現には重要となる。

イノベーションを進めるための資源不足

イノベーションの各段階で必要な資源動員量/実現される資源動員量

イノベー

ショ

ンの理由の固有性

汎用

固有

少 多

特定レベルの理由の固有 性から平均的に期待される資源動員量

要素技術開発

製品化実用化

事業化 普及

MRc2MRc2’

C1

C2

C3

Rc2

Rc3

MRc3’MRb3

資源動員量の不足

資源動員量の決定要因

潜在的支持者数 資源動員量

支持者一人あたり資源動員力

(資源動員量/支持者数)

支持者出現確率

(支持者/潜在的支持者数)

=XX

支持者数

理由の固有 (汎用)性

( A )

( B ) ( C ) ( D ) ( F )

( E )

創造的正当化のルート

より多くの潜在的支持者への接触する

支持者出現確率の高い母集団へ接触する

新たな理由の創造(応用市場の開拓)

複数の理由の合体(同床異夢の戦略)

資源動員力の高い支持者への接触

→応用可能

社会的課題解決への資源動員

世の中には利潤動機以外で動く数多くの人々がいる(多数の潜在的支援者)。それらの人々の資源をいかに動員するか。

2つの不確実性への対処:実現可能性と社会的価値・意義 貢献の見える化( Kiva、スマートメーター  vs. 募金活

動)

「ルーム・トゥ・リードの強みは、投資家のお金がどこにいくかを明確に見えるようにしている点です(ウッド、 2009)」

実現可能性と社会的価値の浸透活動

社会的理由の創造、重要な支援者の確保

社会的リターンの設計 求められているものは金銭ではなく社会的リターン。OKバ

ジの 500通におよぶレター

社会貢献の願望

世界中に慈善家といわれる人々が足りなくて困るということはないのです。次に、国際援助を実施しようという先進国家に事欠くこともありません。さらに、意味ある仕事をしたいという優秀な若者に欠くこともないのです。個人で何十億ドルも寄付したいという人はたくさんいますし、援助国は現に何十億ドルもの資金を毎年世界中にばらまいているのです。

なぜなら多くの人々はその心の中に、この世の中を少しでも良くしたいという社会的夢と願望を抱いているからです。

(ムハマド・ユヌス、 2009)

共通性と独自性

価値を創造のために顧客環境の深い理解が必要であることは共通であるが、希少性の確保する(付加価値を内部化する)戦略は重要でない。

「出資者→生産者→顧客」というよりは、顧客を含めた参加者が共同して社会的価値を創造するという互恵的な関係の強調。

人々の経済動機ではなく、社会動機に広く訴えて、共同を実現する仕組み(株式市場とは異なる仕組み)

匿名性よりは個別性の重視(技術進歩によって可能になった、分散型統合の仕組みの活用)

顧客ニーズ顕在化よりは実現方法の重要性。