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いまさら聞けない InDesign 乗り換え大作戦

Indesign norikae

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Indesign Start Guide

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いまさら聞けないInDesign乗り換え大作戦

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いまさら聞けないInDesign乗り換え大作戦現在、レイアウトソフトのデファクトスタンダードとなったInDesign。しかし、まだまだ移行を躊躇している人も多い。このパンフレットは、InDesignへの乗り換えを行う際に、不安や使用時の疑問点を解消するための“ポイント”をまとめたものだ。これまでQuarkXPressを使っていた方がとまどう部分や、つまずきやすい部分をわかりやすくまとめてある。

このパンフレットを読むことで、QuarkXPressとはどこが違うのか、またどういった点が便利なのかが理解できるだろう。乗り換えを考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。なお、詳細情報にはWebサイト「InDesignの勉強部屋」における関連ページを記してある。各項目をより詳細に理解したい場合は、サイトにアクセスしてみてほしい。

ブック

ブック長文のドキュメントを作成する場合、複数に分けて作成したファイルはブックでまとめて管理することができる。

関連ページ➡P.05 6

ボックス

フレームフレームには画像フレーム、テキストフレーム、属性をもたないフレーム(図形)がある。テキストや画像は必ずフレームの中に配置する必要がある。

関連ページ➡P.06 8 10

フレームグリッドテキストを配置するためのフレームには、プレーンテキストフレームとフレーム内に文字位置を示す文字枠が表示されたフレームグリッドがあり、フレームグリッドにはフォント、文字サイズ、行間などの書式を設定することができる。 関連ページ➡P.06 8 、P.08 17 18

H&J

文字組みアキ量設定/ジャスティフィケーション和文文字と半角英数字が隣り合った場合の基本的な文字間の調整は文字組みアキ量設定で設定する。また、テキストを両端揃えにした場合の文字間の調整は、ジャスティフィケーションで設定する。 関連ページ➡P.11 26 27、P.12 28

グリッド揃え

ベースライングリッド揃えテキストの行位置は、フレームグリッドはフレーム内にあるグリッド、テキストフレームはドキュメントページに設定されているベースライングリッドまたはカスタム設定したフレーム内のグリッドに揃えることができる。

段落コンポーザ/単数行コンポーザコンポーザはテキストフレーム幅と行長を比較して、最適な文字組みを決定するための機能だ。コンポーザには段落単位で文字組み結果を決定する「段落コンポーザ」と行単位で文字組み結果を決定する「単数行コンポーザ」がある。

関連ページ➡P.10 22

InDesignにはレイアウトソフトに必要とされる機能のほとんどが標準で搭載されている。

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詳細情報各項目の内容をより詳細に理解したい場合には、Webサイト『InDesignの勉強部屋』の「Study Room」にアクセスしてみよう。http://study-room.info/id/

コンバート情報QuarkXPressのドキュメントをInDesignでコンバートした際の注意点やポイント、用語の違いなどを記述してある。

断ち落としガイド/印刷可能領域ガイドページ外には塗り足し領域を示す断ち落としガイド、塗り足しの外側を印刷する場合の範囲を示す印刷可能領域ガイドが表示される。

マージンガイド/段組ガイド/レイアウトグリッドページ上にはレイアウトの基本になる版面位置を示すマージンガイドや段幅を示す段組ガイド、文字を位置示すレイアウトグリッドが表示される。

関連ページ➡P.04 1

カーニング/トラッキング/文字ツメ/文字前(後)のアキ量文字間を手動で調整する場合、半角英数字の文字間はカーニングおよびトラッキング、和文文字の文字間を調整する場合は文字ツメ、文字前(後)のアキ量などを使って調整する。

関連ページ➡P.11 25 26

マスターページ

マスターマスターはすべてのページに共通するデザインパーツを作成しておくためのページだ。InDesignのマスターは、マスターにマスターを適用して親子関係をもつマスターを作成することができる。

関連ページ➡P.04 2 3、P.06 9

ドキュメントページドキュメントページは「レイアウトグリッド」と「マージン/段組」の2つの方法で作成することができる。

関連ページ➡P.04 1、P.05 4 6

出力ファイルの収集

パッケージ作成したレイアウトデータを出力先などに渡す場合、プリフライト機能でデータに問題がないかをチェックしてレイアウトデータと貼り込みファイルや欧文フォントをコピーして集めることができる。

関連ページ➡P.13 33

自動ノンブル

自動ページ番号マスターにテキストフレームを作成して、特殊文字の「自動ページ番号」を入力しておくと、ドキュメントページでページ番号が自動的に入力される。なお、ページ番号は任意の数から開始させることもできる。

フォントセット

合成フォント漢字や仮名文字には和文フォント、半角英数字には欧文フォントといったように、複数のフォントを組み合わせてひとつのフォントのように扱うことができる。

関連ページ➡P.12 30

スタイルシート

スタイルスタイルには段落スタイル、文字スタイル、グリッドフォーマット、オブジェクトスタイル、表スタイル、セルスタイルがある。 関連ページ➡P.07 15、P.08 16

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「レイアウトグリッド」と「マージン・段組」はどのように使いわける?

マスターを作るポイントは?

ローカルオーバーライドを削除したら流し込んだテキストが消えた

 新規でドキュメントを作成する場合、「レイアウトグリッド」と「マージン・段組」の2つの方法がある。どちらの方法で作成するかは、作成するドキュメントの性質やデザインなどから考えて作業性の良いほうで作成するといいだろう。 書籍や雑誌などのように文字が主体のドキュメントは、本文の文字位置を基準にしてレイアウトをする「レイアウトグリッド」で作成し、ポスターやチラシなどのようにビジュアルが中心のドキュメントでは、レイアウトの自由度が高い「マージン・段組」でドキュメントを作成するのが一般的だ。

 InDesignのマスターはほかのマスターに適用して親子関係のあるマスターを作成できるので、簡単にマスターのバリエーションを作成することができる。この機能を活用するポイントは、親になるマスターに共通する最小限のアイテムだけを作成して、レイアウトパターンによって変化する部分は子のマスターに作成すること。作業性が向上する。 たとえば、親マスターにはノンブルや柱文字などの各ページに共通する最小限のアイテムだけを作成し、レイアウトパターンが変化する部分は子マスターで作成すれば、ページに割り当てるマスターを変更するだけでレイアウトパターンを変更することができるようになる。コンバート情報QuarkXPressのドキュメントをInDesignで開くと、マスターページに作成されているアイテムがすべてオーバーライドされた状態でコンバートされる。マスターページとの関連性は保たれているので、そのままでもとくに問題はない。しかし、不用意に編集してしまうことを避けたい場合は、そのアイテムを選択してページパレットのメニュー→「指定されたローカルオーバーライドを削除」を選択するとよい。

 マスターページにテキストフレームを作成した場合、ドキュメントページでテキストを配置したあとで、レイアウトをマスターページと同じ状態に戻すためにページパレットのメニュー→「すべてのローカルオーバーライドを削除」または「指定されたローカルオーバーライドを削除」を実行すると、配置したテキストが削除されてしまう。また、マスターページを再適用した場合は、背面にマスターアイテムが再度コピーされてテキストフレームが重複してしまう。 これらを回避するには、マスターページに本文用のテキストフレームを作成しないで自動配置でテキストフレームを自動的に作成するか、ローカルオーバーライドを削除しないようにする。すでに作成されているドキュメントでどうしてもローカルオーバーライドを削除したい場合は、本文用のテキストフレームを選択してページパレットのメニュー→「選択部分をマスターから分離」を実行し、マスターページのテキストフレームを削除してからローカルオーバーライドを削除する。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 1.0 No.38InDesignの勉強部屋 Study Room CS No.59

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5InDesignの勉強部屋 http://study-room.info/id/

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InDesignの勉強部屋 http://study-room.info/id/

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ドキュメントを見開きで始めたい

ドキュメントを自動バックアップしたい

複数のドキュメントを効率よく管理するには?

自動組版や自動処理はできる?

 InDesignは基本的に片ページでドキュメントが始まるようになっている。また、ページを削除すると、ページが移動して見開きの左右関係が崩れることがある。 このような現象を回避するには、ページパレットのメニュー→「ドキュメントページの移動を許可」を選択してチェックをはずす。なお、見開きで始まるドキュメントを作成したい場合は、3ページのドキュメントを作成して「ドキュメントページの移動を許可」をオフにしてから1ページ目を削除するか、ページパレットのメニュー→「ページ番号とセクションの設定」を選択し、「ページ番号割り当てを開始」を偶数に設定すれば見開きで始まるドキュメントを作成できる。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room CS3 No.27コンバート情報見開きで作成されているQuarkXPressのドキュメントをコンバートした場合、見開きの状態を維持してドキュメントが開かれる。しかし、「ドキュメントページの移動を許可」はオンの状態になっているので、ページを増減させるとページの左右関係が崩れて片ページで開始されるので注意が必要。ページを増減させる場合は「ドキュメントページの移動を許可」をオフにするのを忘れないこと。

 InDesignには自動バックアップ機能は搭載されていないが、自動復元機能が搭載されている。たとえば、作業中にアプリケーションがクラッシュしてしまった場合、アプリケーションを起動すると自動的に復元されたファイルが開かれる。また、自動的に開かれない場合は、自動復元を行ってファイルを開くかを問うメッセージが表示される。 なお自動復元されるデータ(ドキュメント復帰データ)は、環境設定ダイアログのファイル管理にある「ドキュメント復帰データ」で保存場所を変更することができる。ただし、ドキュメント復帰データはレイアウトデータがそのまま保存されているわけではない。大切な作業データは定期的にバックアップをするようにしよう。

 書籍などのようなページ数の多いドキュメントを作成する場合は、章単位などでドキュメントを分けて作成し、ブックでまとめるのが一般的だ。ブックでまとめたドキュメントはページ数が増減した場合に自動的にページ番号を振りなおしたり、スタイルなどの同期をとることができる。また、ブックに登録されたドキュメントが変更されていたり、ドキュメントファイルが移動していると、警告アイコンが表示されてドキュメントの状態を確認することができる。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.33

 InDesignには標準でいくつかの自動処理機能が搭載されている。InDesignタグを使うとテキストを配置するだけで自動的に書式設定が設定される。また、XMLやデータ結合を使うと、テキストや画像を自動的に配置して書式を設定することも可能だ。さらに、より高度な処理を実現するスクリプトを使った自動処理も可能で、AppleScript、VBScript、JavaScriptに対応している。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room CS2 No.33・34

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テキストフレームとフレームグリッドを使い分けるポイントは?

特色を使ったカラー設定と特色のかけ合わせはできる?

マスターアイテムを選択できない

フレームの概念がQuarkXPressと違う? 配置するテキストの性質やデザインで使い分けると作

業性が向上する。 本文やキャプションなどのように、書式が決まっているテキストを配置するなら、フレームに書式を設定できるフレームグリッドを使えば、テキストを配置するだけで書式を設定することができる。また、グリッドフォーマットを登録しておけば、書式の変更などにも素早く対応できるメリットがある。しかし、フレームグリッドはフレームの大きさを変更する場合に自由度が低いため、写真の大きさに合わせてテキストフレームを作成したいようなケースでは、フレームグリッドよりもテキストフレームの方が作業性が良くなる。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.44

 InDesignでDICなどの特色を使いたい場合は、スウォッチパレットのメニュー→「新規カラースウォッチ」を選択し、「新規カラースウォッチ」ダイアログのカラーモードメニューから、使用する特色の種類を選択して特色のスウォッチを登録する。また、特色と特色、特色とプロセスカラーのかけ合わせを作る混合インキや、複数の混合インキを一度に作成する混合インキグループ機能も用意されている。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room CS No.05InDesignの勉強部屋 Study Room CS2 No.50コンバート情報QuarkXPressのドキュメントをコンバートした場合、「白」がRGBカラーのスウォッチとして登録されるので、スウォッチを削除して「スウォッチを削除」ダイアログの「定義されたスウォッチ」で「紙色」に置き換える必要がある。

 マスターに作成したアイテム(マスターアイテム)は、フレームの枠が点線で表示される。また、マスターが適用されたドキュメントページでは、マスターアイテムがロックされた状態で配置されるため、そのままでは選択をして編集することができない。 ドキュメントページに配置されたマスターアイテムを編集するには、command+shiftキーを押しながらクリックして選択するか、ページパレットで編集したいマスターアイテムがあるページのアイコンを選択してパレットメニュー→「すべてのページアイテムをオーバーライド」を選択する。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 1.0 No.08InDesignの勉強部屋 Study Room CS No.59

 ドキュメントにテキストや画像をレイアウトする場合、必ず容れ物になるフレームを作成してその中にテキストや画像を配置する。それはInDesignもQuarkXPressも同じ仕様だが、InDesignはQuarkXPressと異なりフレームの自由度が高い特長がある。 InDesignのフレームはベジェ曲線で作成されていて自由に変形することができるだけでなく、グラフィックフレームにテキストを配置しようとすると、自動的にテキストフレームに変換されてテキストが配置される。また、Illustratorで作成したパス図形をInDesignのドキュメントにコピー&ペーストすると、InDesignのフレームとしてペーストされるのでテキストや画像を配置することができる。ここもQuarkXPressとは異なる点だ。コンバート情報ボックス

フレーム

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InDesignの勉強部屋 http://study-room.info/id/

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配置できる画像のファイル形式は?

オリジナルの線種は作成できる? 表は作成できる?

透明機能は使っても問題ない?

 さまざまな形式の画像を配置できるが、商業印刷物を作成するのであればpsd(Photoshop形式)、ai(Illustrator形式)、pdf、tiff 、eps、indd(InDesignのドキュメント)が利用できる。どの形式を利用するかはワークフローにもよるが、メリットを最大限に活用するならネイティブ(psdおよびai)形式での配置だ。 psd形式は、レイヤーを残して保存することができるので、画像を合成した場合や調整レイヤーを保持したまま貼り込んでおけば、いつでも容易に修正することが可能だ。なお、画像を配置する場合は、複数のファイルを読み込んで配置するマルチプレースだけでなく、Bridgeやフォルダからドラッグ&ドロップで配置することもできる。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 1.0 No.58InDesignの勉強部屋 Study Room CS2 No.06・28InDesignの勉強部屋 Study Room CS3 No.07コンバート情報QuarkXPressのデータをInDesignで開いた場合、単位精度の違いによって画像の縮尺率が異なってコンバートされることがある。

 InDesignには、デフォルトでいくつかの線種が登録されているが、オリジナルの線種を作成することもできる。また、線の始点と終点の形状を設定したり、破線や二重線などを設定した場合は、間隔のカラーを設定することも可能だ。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room CS No.04コンバート情報QuarkXPressのデータをコンバートした場合、ボックスに設定したフレーム(線)の種類によって再現されないものがある。とくに飾り罫のフレームは再現されないので注意が必要だ。

 タブやカンマ区切りのテキストを表に変換したり、表をテキストに変換することができるだけでなく、Microsoft Excelで作成した表の書式を維持したまま配置することもできる。 表は複数のフレームやページにまたがって作成することができ、作成した表はインライングラフィックのような扱いになる。なお、表やセルに設定した体裁は、表スタイルおよびセルスタイルに登録することで、同じ体裁を簡単に再現することが可能だ。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.24InDesignの勉強部屋 Study Room CS No.11・12InDesignの勉強部屋 Study Room CS3 No.14

 出力先の対応状況による。Creative SuiteやPDFでの入稿に対応していればほとんど問題は起きないので、積極的に使うほうが作業効率が向上する。 InDesignには、Photoshopのレイヤー効果と同等の機能が搭載されており、テキストや画像などに簡単に不透明度やドロップシャドウなどの効果を設定することができる。また、PhotoshopやIllustratorの透明を保持したまま配置することも可能だ。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.12・27InDesignの勉強部屋 Study Room CS No.61InDesignの勉強部屋 Study Room CS3 No.08

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フレームグリッドにペーストすると書式が変わった

スタイルシートってある?

レイアウトグリッドと同じ設定でフレームグリッドが作成されない

 フレームグリッドにテキストをペーストすると、コピーしたときと異なる書式でペーストされた経験はないだろうか。これはフレームグリッド自体が書式属性をもっているから。オブジェクトメニューから「フレームグリッド設定」を開いてみるとわかるが、フォントやサイズ、字間、行間などが設定できるのがわかるはずだ。つまり、ペースト時にはこの書式属性でペーストされるというわけだ。なお、「グリッドフォーマットを適用せずにペースト」を実行すれば、元の書式でペーストすることも可能。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 1.0 No.21

 QuarkXPressのスタイルシートの機能にあたるのが、InDesignの段落スタイルや文字スタイルで、基本的な使い方はあまり変わらない。このほかに、フレームグリッドのスタイルともいえる「グリッドフォーマット」や、オブジェクトのスタイルである「オブジェクトスタイル」、表のスタイルである「表スタイル」と「セルスタイル」、さらには段落スタイル内に複数の文字スタイルを入れ子としてもつことができる「先頭文字スタイル」といった機能が用意されている。スタイルを使用することで、ほかのオブジェクトにも同じスタイルが素早く適用できるだけでなく、修正への対応もスムーズだ。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.43InDesignの勉強部屋 Study Room CS No.30InDesignの勉強部屋 Study Room CS2 No.01・35InDesignの勉強部屋 Study Room CS3 No.14コンバート情報スタイルシート

段落スタイル・文字スタイル

 テキストを自動流し込みで配置した場合に、レイアウトグリッドと異なる設定でフレームグリッドが作成されるケースがある。これはグリッドツールをダブルクリックした際に表示される「フレームグリッド設定(ドキュメントデフォルト)」の設定がレイアウトグリッドと異なるため。この設定をあらかじめ、レイアウトグリッドと同じ設定にしておけば回避が可能だ。 なお、すでにテキストを配置したあとにレイアウトグリッドと同じ設定に直したい場合には、フレームグリッドを選択した状態でグリッドフォーマットパレットの[レイアウトグリッド]をクリックする。

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縦中横ってどうするの?

異体字や外字の扱いは?

ぶら下がりはどうすればいい?

 縦組みテキストでは、半角数字や欧文の縦中横処理が必須だ。QuarkXPressでは手作業で文字回転を行う必要があったが、InDesignでは自動で縦中横処理が可能(段落単位で適用する「自動縦中横設定」と文字単位で適用する「縦中横」がある)。特定の桁数までの組数字や欧文を指定できるのはもちろん、1文字単位で半角数字や欧文を回転させたり(縦組み中の欧文回転)、ルビに縦中横を設定することもできる。なお、「文字回転」の機能を使用して、縦中横と同じような効果を与える方法もある。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 1.0 No.19InDesignの勉強部屋 Study Room CS2 No.04InDesignの勉強部屋 Study Room CS3 No.26コンバート情報縦組み中の文字回転

縦中横

 InDesignでは、異体字の使用も非常に簡単だ。字形パレットを使用することで、親文字から異体字に簡単に置換できる。また、QuarkXPressではシフトJISの領域外の字形の使用はできなかったが、ユニコードに完全に対応しているInDesignでは、フォントのもつすべての字形を使用できるのも大きなメリット。とくにOpenTypeフォントを使用した場合には、フォントのメリット(OpenType機能など)を最大限に引き出すことが可能。 作字の必要がある場合でも、SING外字ソリューションにより、Illustratorで作字した文字(グリフレット)をInDesignで使用できる。作成した外字(グリフレット)はInDesignに埋め込まれるため、出力側に外字(グリフレット)を渡さなくても、問題なく出力が可能だ。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.19InDesignの勉強部屋 Study Room CS2 No.25~27

 InDesignのぶら下がりはQuarkXPressと異なり、ぶら下げる約物の分、フレームのサイズを広げる必要はない。「ぶら下がり方法」を指定するだけで、自動的に句読点がフレームの外にぶら下げ処理される。「ぶら下がり方法」も「標準」と「強制」の2種類があり、用途に応じて使い分けが可能だ。「強制」は行末にきた句読点をすべてフレーム外にぶら下げるのに対し、「標準」は行内に収まらない場合のみぶら下げ処理を行う。なお、「ぶら下がり文字」の指定は「禁則処理設定」で行う。コンバート情報ぶら下がりは反映されず、ぶら下がり領域にもテキストが流れるため、テキストフレームのサイズ変更、および「ぶら下がり方法」の指定が必要となる。また、「禁則処理設定」の「ぶら下がり文字」に句読点を設定する必要もある。

インデザインのぶら下がり方法には、「標準」と「強制」の二つがあります。それぞれ行末の処理が異なります。

インデザインのぶら下がり方法には、「標準」と「強制」の二つがあります。それぞれ行末の処理が異なります。

ぶら下がり方法「標準」

ぶら下がり方法「強制」

 インデザインの縦中横は、非

常に高機能だ。指定した桁数で

文字回転できるのはもちろん、

1文字単位での回転も可能だ。

 2001年1月に発売された

InDesign

も現在のバージョンは

CS3。2008年12月には、

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

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 インデザインの縦中横は、非

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 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

 インデザインの縦中横は、非

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

常に高機能だ。指定した桁数で

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

文字回転できるのはもちろん、

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22禁則処理方法や禁則調整方式を教えて

アンカーボックスってあるの?

コンポーザってなに?

 行頭や行末にきてはいけない文字などを指定したのが禁則処理セットだ。QuarkXPressでは「行頭禁則文字」と「行末禁則文字」の指定が可能だが、InDesignではさらに「ぶら下がり文字」と「分離禁止文字」の指定ができる。一般的に拗促音(っ、ッなど)を禁則文字としたい場合には「強い禁則」、したくない場合には「弱い禁則」を選択する。任意のカスタムセットの作成もできる。また、禁則文字がどのように処理されるのかを設定するのが「禁則調整方式」だ。追い込みを優先したり、追い出しを優先したりといった指定が可能。コンバート情報QuarkXPressの禁則処理は、InDesignの禁則処理として新規に読み込まれる。

 QuarkXPressのアンカーボックスの機能にあたるのが、インライングラフィックだ。画像やテキストなどのオブジェクトをテキスト中にペーストすることで、あたかもテキストの一部として扱える機能。テキストに増減があれば、インライングラフィックもそれにあわせて移動する。 なお、CS2からはさらに機能が拡張され、インライングラフィックをテキストフレーム外でも扱えるようになった。このオブジェクトをアンカー付きオブジェクト(左図参照)と呼ぶ。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.65・71InDesignの勉強部屋 Study Room CS2 No.14コンバート情報縦組み時のアンカーボックスは、90°回転して変換されるため、回転角度を修正する必要がある。

 InDesignには、日本語と欧文用それぞれに「単数行コンポーザ」と「段落コンポーザ」が用意されている。「単数行コンポーザ」は、これまでのアプリケーションと同様に1行単位で文字組みを行い、改行位置を決定している。これに対し、「段落コンポーザ」は各行のばらつきが均等になるよう段落単位で改行位置を判断している。そのため、テキストに追加や削除があった場合、修正個所よりも前の行であっても改行位置が変わる場合がある。このような動作を嫌う場合には「単数行コンポーザ」を使用するとよいだろう(デフォルトでは「段落コンポーザ」が選択されている)。 なお、基本的に、テキストがすべて欧文の場合以外は、日本語用のコンポーザを使用する(日本語テキストに欧文用のコンポーザを使用すると、和文組版用の機能はすべてスキップされる)。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.34InDesignの勉強部屋 Study Room CS No.17InDesignの勉強部屋 Study Room CS2 No.49

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InDesignの勉強部屋 http://study-room.info/id/ 11InDesignの勉強部屋 http://study-room.info/id/

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文字組みアキ量設定ってなに?

文字を詰めるのにプラグインは必要?

約物を半角扱いにしたい

 「文字組みアキ量設定」とは、文字と文字の間隔(アキ量)を設定したものだ。たとえば、平仮名と始め括弧類のアキ量は「二分」、カタカナと欧文のアキ量は「四分」といったように設定する。InDesignの文字組みの“キモ”ともいえる設定で、この内容いかんで文字組みの美しさが決まるといっても過言ではない。 「文字組みアキ量設定」は、QuarkXPressの「H&J」の「ジャスティファイ設定」にあたるものだが、QuarkXPressのそれよりもはるかに詳細な設定が可能。文字クラスごとに細かくアキ量が設定できるため、かなり高度に文字組みをコントロールできる。なお、デフォルトで14種類の設定が用意されているが、カスタマイズも可能だ。とはいっても、詳細な設定が可能な分、カスタマイズを難しく感じるユーザーも多いだろう。理屈を理解してしまえば設定の考え方自体はさほど難しくはないので、ぜひチャレンジしてみてほしい。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.76InDesignの勉強部屋 Study Room CS No.25

 カーニングやトラッキングで文字間の調整を行うQuarkXPressでは、素早く美しい文字詰めを行うためには市販のXTensionを利用する必要があった。しかし、InDesignでは標準でさまざまな文字詰め機能を搭載しており、プラグインを購入しなくても高品質な文字詰めが可能だ。 InDesignでは、カーニングやトラッキング(字送り)以外にも、フレームグリッドを使った均等詰め(1H詰め等)や、OpenTypeフォントのもつ詰め情報を参照して文字を詰める「プロポーショナルメトリクス」、文字の前後のアキを詰める「文字ツメ」、「文字組アキ量設定」のカスタマイズなど、さまざまな方法で文字詰めが実現できる。とくに、0~100%の間で詰め幅の調整が可能な「文字ツメ」は、和文組版に最適な文字詰め機能だ。なお、ジャスティフィケーションの「単語間隔」を設定すれば、欧文スペースの調整も可能。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.18InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.87

 句読点や括弧類などの約物を半角扱いで文字組みしたい場合、QuarkXPressではXTensionを使用するか、手作業でカーニングを設定した。InDesignでは、「文字組みアキ量設定」を設定することで、約物を半角扱いにして文字組みすることが可能だ。さらには、句読点のみ、鍵括弧のみ、丸括弧のみ、といったように任意の約物のみを詰めるといったこともできる。あらかじめ目的に応じたカスタムの「文字組みアキ量設定」を作成しておけば、用途に応じて設定を選ぶだけで、目的の文字組みが実現できる。 なお、特定の箇所の約物のみ半角扱いにしたいといったような場合には、「文字前のアキ量」「文字後のアキ量」を「ベタ」に変更してもOKだ。

(文字ツメなし) 美しい文字詰め(文字ツメ30%) 美しい文字詰め(文字ツメ50%) 美しい文字詰め(文字ツメ70%) 美しい文字詰め

あ・字「アキ量 アキ量 アキ量

句読点、括弧類などの約物を半角扱いにするには、「文字組みアキ量設定」をカスタマイズします。

句読点、括弧類などの約物を半角扱いにするには、「文字組みアキ量設定」をカスタマイズします。

にするには、「文字組みアキ量設定」にするには、「文字組みアキ量設定」をカスタマイズします。をカスタマイズします。

句読点、括弧類などの約物を半角扱い句読点、括弧類などの約物を半角扱いにするには、「文字組みアキ量設定」をにするには、「文字組みアキ量設定」をカスタマイズします。カスタマイズします。

にするには、「文字組みアキ量設定」にするには、「文字組みアキ量設定」にするには、「文字組みアキ量設定」にするには、「文字組みアキ量設定」にするには、「文字組みアキ量設定」にするには、「文字組みアキ量設定」にするには、「文字組みアキ量設定」にするには、「文字組みアキ量設定」にするには、「文字組みアキ量設定」をカスタマイズします。をカスタマイズします。をカスタマイズします。

句読点、括弧類などの約物を半角扱い句読点、括弧類などの約物を半角扱い句読点、括弧類などの約物を半角扱い句読点、括弧類などの約物を半角扱い句読点、括弧類などの約物を半角扱い句読点、括弧類などの約物を半角扱い句読点、括弧類などの約物を半角扱い句読点、括弧類などの約物を半角扱い句読点、括弧類などの約物を半角扱いにするには、「文字組みアキ量設定」をにするには、「文字組みアキ量設定」をにするには、「文字組みアキ量設定」をにするには、「文字組みアキ量設定」をにするには、「文字組みアキ量設定」をにするには、「文字組みアキ量設定」をにするには、「文字組みアキ量設定」をにするには、「文字組みアキ量設定」をにするには、「文字組みアキ量設定」をカスタマイズします。カスタマイズします。

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OpenType機能って何?ルビ・圏点は使えるの?

約物をコントロールするには?

フォントセットってあるの?

 OpenType機能とは、OpenTypeフォントだけがもつ機能の総称だ。プロポーショナルメトリクスや合字(リガチャ)、分数、縦組み/横組み用仮名、等幅数字字形などのフォントがもつ特性をアプリケーション側から引き出すスイッチだ。したがって、CIDフォントではこの機能は利用できない。OpenTypeフォントは単に字形が多いだけではなく、使用上の利点がここにある。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.19・59

 InDesignのルビや圏点は、すべてテキストフレーム(またはフレームグリッド)の外側に付く。ルビや圏点のためにテキストフレームの大きさを計算し調整する必要がない。親文字とルビの間隔(オフセット)や、親文字との位置関係も細かく指定可能だ。横組み時に親文字の下(縦組み時には左)に配置もできる。また、ルビが親文字よりも長いときに変形処理をかけたり、縦組み時にはルビの縦中横を自動設定にできる。 これらの設定はすべて、段落スタイルや文字スタイルにも適用できるため、同様のルビ処理がスタイルの適用と同時に自動的に行われる。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 1.0 No.66InDesignの勉強部屋 Study Room CS2 No.04

 約物の正確なコントロールは、組版のクオリティを左右する重要なポイントだ。QuarkXPressで約物のアキをコントロールするには、手作業のカーニングを繰り返す必要がある。組版のコントロールはデフォルトの1種類しかなく、ユーザーはカスタマイズできない。行頭の括弧でさえ逐一手作業が発生する。InDesignではそんな手間ひまをかけなくてもよい。「文字組みアキ量設定」で自由にカスタマイズして、自動で約物をコントロールできる。段落ごとに異なる設定を適用することも可能だ。 段落先頭の起こし括弧類を必ず半角アキで揃えたいなら、「基本設定」の「段落字下げ」で「段落先頭始め括弧類」を「始め括弧全角」にすればよい。同じく中黒を全角で始めたいなら、「詳細設定」の「前の文字クラス」の「段落先頭」を選び、中点類のアキを25%に揃えてしまおう。こうすれば、自動的に中黒は全角となる。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 1.0 No.34InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.76

 InDesignの「合成フォント」機能では、単に字種ごとのフォントを組み合わせるだけでなく、「特例文字」セットを作成して任意の字種のみをフォント変更できる。たとえば、サンセリフ系の英数字中のカンマだけをセリフ系フォントに変更したり、ベースラインを別途設定できる。また、「文字中央で拡大/縮小」を適用すれば、文字サイズの変更は字送りに影響を与えない。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 1.0 No.57InDesignの勉強部屋 Study Room 2.0 No.17コンバート情報フォントセット

合成フォント

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13InDesignの勉強部屋 http://study-room.info/id/

いまさら聞けないInDesign乗り換え大作戦

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プリンタフォントは必要?

PDFの書き出し方は?

出力は安定してる?

ファイルの収集はどうするの?

 InDesignはプリンタフォントを必要としない。使用フォントの種類(OTF、CID、TrueType、Type1)にかかわらず、ローカルマシンに必要なフォントがインストールされていれば、すべての文字が正しく(きれいに)出力できる。したがって、プリンタフォントの有無をチェックしなければならないような前世代的な設定もない。 ただし、一般的なインクジェットプリンタなどの非PS プリンタを使用している場合、文字や画像が粗く出力されることがある。このようなケースでは、一度PDFに書き出してからプリントすれば、プリンタのもつ能力を最大限に生かして出力できる。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 1.0 No.14

 InDesignは、PostScriptファイルを書き出してAcrobat Distillerで変換をしなくても、ダイレクトにPDFを書き出せる。PDF書き出しプリセットには、透明の分割を前提とした「PDF/X-1a」やAdobe PDF Print Engineにも対応する「PDF/X-4」などがあらかじめ用意してある。任意の設定で保存したプリセットを使って、PDF書き出しを行えるのも魅力だ。 PDFは電子送稿の利便性だけでなく、安全な入稿方法として定着しつつある。詳細情報InDesignの勉強部屋 Study Room 1.0 No.48

 InDesignの出力は安定している。InDesignが登場して9年、多くの出力実績とノウハウが蓄積されている。すでにInDesignは経験の浅いニューフェイスではなく、あらゆる現場での過酷なテストに合格しているベテランだ。いまではInDesignの出力ができない印刷会社を探すほうが難しい。 思い起こせば、DTPの歴史の中で、InDesignでの出力がもっとも安定しているのではないか? スタックオーバーフローやメモリエラーの頻発した初期、サードパーティRIPに翻弄させられた頃、OSの構成や機能拡張書類のバージョンなど細部に至るまでまったく同じ環境でなければページネーションが崩れたりした。 現在ではPDFでの出力も定着しつつあり、安定度と信頼性も大きく増している。InDesignの出力での注意事項は、Adobeのサポートデータベースを参考にするとよい。ケースバイケースで、細かい対処法が公開されている。

 InDesignの「パッケージ」機能では、ドキュメント単位またはブック単位で、必要なリンクファイルやフォント(欧文フォントのみ)を収集し、所定のフォルダ内にまとめられる。このとき、自動的に「プリフライト」機能を実行し、 問題があれば警告を発してくれる。詳細なレポートも書き出されるので、レイアウトドキュメントなどのデータ受け渡しの際には、ぜひ利用したい。コンバート情報ファイルの収集

パッケージ

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Bridgeを使おう

プラグインやスクリプトを使おう

サポート体制

 BridgeはCreative Suiteにバンドルするヘルパーアプリケーションだ。単なるビューワーやファイル管理ソフトではない。Creative Suiteアプリケーションのカラー設定を同期したり、ドキュメント中の使用フォントやスウォッチを表示してくれる。Mac OS Xのクイックルックでは見ることができないInDesign(indd形式)やIllustrator(ai形式)のプレビューもBridgeならば閲覧可能だ。コンパクトモードにすれば、Bridgeウィンドウが最前面にあるためレイアウトウィンドウに隠れてしまうことなく、画像配置(ドラッグ&ドロップ)も行いやすい。メタ情報(XMP)やファイル名の連番処理などを一括変換できるのもうれしい機能だ。

 InDesignは標準で高機能を備えているため、いわゆる“定番プラグイン”はない。しかし、データベースとの連動や学参、InCopyとの連携などの分野では、快適な環境を提供するサードパーティプラグインがいくつかある。InDesignの勉強部屋サイト内でも「Plug-in」で国内のプラグインを紹介しているので参考にしてほしい。 InDesignは煩雑な処理を自動化する手段としてスクリプティング環境を用意している。Mac OSではAppleScript、WindowsではVBScript、両プラットフォームでJavaScriptが使用できる。スクリプトはアクションの何百倍も賢くて便利だ。まさにユーザーの手となり目となり、有能なアシスタ

ントとなって働いてくれるだろう。スクリプトパレットの中にはデフォルトでいくつかのサンプルがインストール済みだ。それらを使うだけでもよいし、設定値をカスタマイズしてもよい。また、インターネット上にはたくさんの便利なスクリプトが公開されている。多くのスクリプトはソースを公開しており、ユーザーのカスタマイズも可能である。InDesign英語版用に書かれたスクリプトであっても、日本語版でたいてい動作する。さらに、コンパイラなどの特別な用意はまったく不要なので、意欲さえあればスクリプトはだれにでも書けるだろう。スクリプト世界にはまったく新しいInDesignとの出会いがまっている。

 サポートの種類は多岐にわたっており、その範囲も広い。マンツーマンでのサポートとしては、主にインストールや製品の不具合などに関する90日間の無償サポートのほかに、操作方法などを電話対応してくれる有償サポートがある。 Adobeサイト上には、製品の操作手順などを解説したチュートリアル、トラブル情報や回避方法などが豊富なサポートデータベース、ユーザー同士のコミュニケーションと相互扶助のためのユーザーフォーラム、さらにTipsやイベント情報を受け取れるテクニカルニューズレターなど多くのサポート体制が整っている。これらWeb上のリソースはすべて無償だ。 とくにサポートデータベースは多くの事例から検索でき、運用上の強い味方になるだろう。

移行する際に知っておきたいこと

「InDesignサポート」http://www.adobe.com/jp/support/indesign/

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いまさら聞けないInDesign乗り換え大作戦

Adobe Creative Suite 3の製品体系

 ひと口にAdobe Creative Suite 3といっても、ひとつの製品構成を指しているのではない。下記のように6つの製品体系があるのだ(製品名の横の括弧内は筆者注)。・DESIGN PREMIUM(印刷、Webのデザイナー向け)・DESIGN STANDARD(印刷媒体のオペレーション向け)・WEB PREMIUM(Webデザイナー向け)・WEB STANDARD(Web開発者向け)

・PRODUCTION PREMIUM(映像プロダクション向け)・MASTER COLLECTION(すべての製品を網羅) それぞれの製品構成は下表に示した。InDesign CS3が含まれるのは、DESIGN PREMIUM、DESIGN STANDARD、MASTER COLLECTIONとなる。 Creative Suiteで購入すると、単体製品で揃えるよりも価格が安く、インストールやバージョンアップなどの管理が楽になる。また、Bridgeなどのバンドルアプリケーションや、SING外字の作成環境(DESIGN PREMIUMとDESIGN STANDARDのみ同梱)も手に入る。

お得な購入方法管理数の多い企業では手間とコストを削減できる。また、WindowsからMac OSへ(またはその逆も可)プラットフォームの変更をしたり、ダウングレード申請をすれば、必要に応じて古いバージョンのアプリケーションを使用可能となる。古いバージョンのアプリケーションを店頭などで新規購入するのは不可能なので、こうした場合はこのライセンスプログラムを利用するしかない。 ライセンスプログラムはオープンプライスで店頭やアドビストアなどで直販はしていない。販売店からの見積もりを経て購入となる。TLPよりもたくさんのライセンスが必要な場合は、TLPよりも割引率の高いCLPが用意されている。

 意外と知られていないが、PhotoshopやIllustratorだけでなくInDesign単体製品からもCreative Suiteへアップグレードが可能だ。ただし、アップグレード特典が受けられるのは、過去の主要3バージョンからのみとなる。InDesign CS3の場合、InDesign 2.0までが対象である。InDesignの次期バージョンがリリースされると、InDesign 2.0は対象外となり、新規購入しなければならない。 Adobeサイト上でアドビ製品のオンライン販売をしている「アドビストア」内では、お得なキャンペーンを随時行っている。こうしたキャンペーン情報は「アドビストアメール」でも配信しているので購読をおすすめしたい。 企業などで複数本のライセンスが必要なときは、TLPなどのライセンスプログラムがお得だ。購入ライセンス数に応じてボリュームディスカウントが適用される。製品毎(プラットフォーム毎)に1組のインストールメディアと1つのシリアルが提供され、Web上からライセンス管理までできるので、

DESIGN WEB PRODUCTION PREMIUM

MASTER COLLECTIONPREMIUM STANDARD PREMIUM STANDARD

InDesign CS3 ● ● ●

Photoshop CS3 Extended ● ● ● ●

Photoshop CS3 ●

Illustrator CS3 ● ● ● ● ●

Acrobat 9 Professional ● ● ● ●

Flash CS3 Professional ● ● ● ● ●

Dreamweaver CS3 ● ● ● ●

Fireworks CS3 ● ● ● ●

Contribute CS3 ● ● ●

After Effects CS3 Professional ● ●

Premiere Pro CS3 ● ●

Soundbooth CS3 ● ●

Encore CS3 ● ●

共有機能、サービス、アプリケーションBridge CS3 ● ● ● ● ● ●

Version Cue CS3 ● ● ● ● ●

Device Central CS3 ● ● ● ● ● ●

Dynamic Link ● ●

OnLocation CS3 (Windows版のみ) ● ●

Ultra CS3(Windows版のみ) ● ●

建物 2種 .eps

建物 2種 .eps

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DTPWORLD2008年7月号 Book in Book

いまさら聞けないInDesign乗り換え大作戦

執筆: 市川せうぞー、大橋幸二、森 裕司デザイン: 森 裕司監修:DTPWORLD編集部協力:アドビ システムズ株式会社