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Nakamura Station Booklet Japanese Edition

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design, produce, photo and text by nextstations copyright:(C) 2010-2011 all rights reserved.土佐くろしお鉄道 中村駅リノベーション 01

来ゆう、新!中村駅

幡多地域の拠点として、

四万十川や足摺岬などへの観光の玄関口として、

中村駅は開業以来約四十年間、皆さんにご利用いただきました。

幡多に初めての鉄道が開通したとき、中村駅は大変な賑わいで迎えていただきました。

まるで、生まれたての赤ん坊を祝福していただけたかのように。

それから四十年。人間で言うならば、いちばんの働き盛り。

でもさすがにそろそろ、街の顔や玄関と言うには傷みが目立ってきました。

今日、中村駅の周辺環境やお客様も変わられました。

お客様の数は、開業当時に比べて半分以下。

お子様や学生さんたちはずいぶんと減りました。

自家用車での移動が当たり前になり、街も郊外へ広がりました。

幡多地域での鉄道の役割は、変わりつつあるのかも知れません。

でも世界では、二十一世紀は鉄道の世紀だと言われています。

環境問題を重視するヨーロッパでは各国が競い合って、鉄道ビジネスを繰り広げています。

自動車産業が破綻したアメリカでも、大統領が鉄道を重視する政策に転換を図っています。

中国や東南アジア、南米でも、鉄道を中心にした交通体系の整備が計画されています。

中村駅も、世界に負けてはいられません。

だからこそ今、高知県西部の拠点たる中村駅は、皆さまひとりひとりのために、

この街と地域の、未来のために生まれ変わります。

あの頃の賑わいをもう一度、とは申しませんが、

二十一世紀にふさわしい、幡多地域の身の丈に合った駅へ、

遠方からのお客様が、うらやましがる駅へ、

いつも人の顔が見える、安心できる駅へ。

これからも、ずっと、中村駅はがんばります。

どうぞよろしく。

駅の利用者に向けて、建築の作り手としての想いをメッセージとしてまとめたポスターを製作、工事期間中に駅構内に掲示した

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design, produce, photo and text by nextstations copyright:(C) 2010-2011 all rights reserved.土佐くろしお鉄道 中村駅リノベーション 01

来ゆう、新!中村駅

幡多地域の拠点として、

四万十川や足摺岬などへの観光の玄関口として、

中村駅は開業以来約四十年間、皆さんにご利用いただきました。

幡多に初めての鉄道が開通したとき、中村駅は大変な賑わいで迎えていただきました。

まるで、生まれたての赤ん坊を祝福していただけたかのように。

それから四十年。人間で言うならば、いちばんの働き盛り。

でもさすがにそろそろ、街の顔や玄関と言うには傷みが目立ってきました。

今日、中村駅の周辺環境やお客様も変わられました。

お客様の数は、開業当時に比べて半分以下。

お子様や学生さんたちはずいぶんと減りました。

自家用車での移動が当たり前になり、街も郊外へ広がりました。

幡多地域での鉄道の役割は、変わりつつあるのかも知れません。

でも世界では、二十一世紀は鉄道の世紀だと言われています。

環境問題を重視するヨーロッパでは各国が競い合って、鉄道ビジネスを繰り広げています。

自動車産業が破綻したアメリカでも、大統領が鉄道を重視する政策に転換を図っています。

中国や東南アジア、南米でも、鉄道を中心にした交通体系の整備が計画されています。

中村駅も、世界に負けてはいられません。

だからこそ今、高知県西部の拠点たる中村駅は、皆さまひとりひとりのために、

この街と地域の、未来のために生まれ変わります。

あの頃の賑わいをもう一度、とは申しませんが、

二十一世紀にふさわしい、幡多地域の身の丈に合った駅へ、

遠方からのお客様が、うらやましがる駅へ、

いつも人の顔が見える、安心できる駅へ。

これからも、ずっと、中村駅はがんばります。

どうぞよろしく。

駅の利用者に向けて、建築の作り手としての想いをメッセージとしてまとめたポスターを製作、工事期間中に駅構内に掲示した

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地場産のヒノキ + 間接照明で、お客様の表情を活き活きと照らし出す。

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学生、お年寄り、観光客、ビジネス客などそれぞれの時間を、思い思いに過ごせるためにデザインされた家具を配置した。

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駅前〜待合室〜コンコース〜改札口〜プラットホームの一部まで、床をヒノキ材で統一し、空間の一体感を強調した。

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プラットホームの余剰スペースを、新たに待合スペースとした。四万十川の支流・後川沿いの桜並木を眺めることができる。

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改札口業務を中止したので、誰でも気軽に駅構内に立ち入ることができる。

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列車の窓際で、出迎えや見送りができる。

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木の塊が挿入されたような駅空間のあかりは、駅前広場〜プラットホームへと境界を越えて広がる。

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建築データ施設名称所在地施設用途敷地面積延床面積構造事業主基本設計 + 実施設計 + 監理照明設計施工竣工時期受賞歴

出版物掲載

土佐くろしお鉄道 中村駅高知県四万十市駅前町 7-1鉄道駅662.50㎡694.05㎡(対象となる改装面積 420.00㎡)鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造、一部 2 階建て土佐くろしお鉄道株式会社、国土交通省四国運輸局、高知県nextstations 川西康之 + 栗田祥弘 + 柳辰太郎株式会社ファースト ・ デザイン ・ システム 三島立起佐竹建設 佐竹隆2010 年(平成 22 年)3 月財団法人日本産業デザイン振興会 グッドデザイン特別賞 ・ 中小企業庁長官賞 FRAME magazine (NL) The Great Indoors Award 2011 最終選考上位 5 者日本木材青壮年団体連合会 木材活用コンクール 最優秀賞 林野庁長官賞国土交通省 日本鉄道賞 特別表彰 地方鉄道駅舎リノベーション賞財団法人日本商空間設計家協会 JCD アワード 2010 新人賞NPO キッズデザイン協議会 第 5 回キッズデザイン賞高知県建築監理協会 高知県建築文化賞審査員特別賞財団法人サインデザイン協会 SDA 賞 2010 入選公共の色彩を考える会 公共の色彩賞 10 選入選社団法人鉄道建築協会 鉄道建築協会賞社団法人照明学会 照明普及賞

(2011 年 11 月現在)

日経アーキテクチュア 2010-6-21 号 鉄道ジャーナル 2010 年 8 月号新建築 2010 年 7 月号        商店建築 2010 年 10 月号JR ガゼット 2011 年 4 月号      高知新聞、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞 など多数

リノベーション後 平面図 scale=1/300(A3)

家具断面図(待合室内) scale=1/50(A3)家具断面図(プラットホーム) scale=1/50(A3)

待合室

売店

コンコース

きっぷ売り場

トイレ

外部待合スペース

プラットホーム

駅前広場

竹林タクシーのりば

駅事務室

イベントスペース

リノベーション前 平面図 scale=1/300(A3)

待合室売店コンコース

きっぷ売り場

トイレ

プラットホーム

駅前広場 タクシーのりば

駅事務室

イベントスペース

改札口

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はじめに

四国の西南部、四万十川が太平洋にゆっくり注ぎ込むあたり、かつて土佐の小京都と呼ばれた四万十市にある中村駅構内のリノベーションである。

高知県では行政上 2番目となる拠点都市だが、鉄道がこの駅まで初めて開通したのは、大阪万博が開催された昭和 45年 (1970 年 ) のこと。明治時代以来の悲願であった中村駅開業当時、この街は熱狂的に沸いたという。しかし、ご多分に漏れず、この 40年間で人口は減り、若者の流出と高齢化、中心市街地の衰退、郊外への市街地拡大、車社会への依存が進み、鉄道の利用者も大きく落ち込んでいた。

ところが、この駅本体は 40年前とほとんど変わっていなかった。駅は旧国鉄が建設し、JR 四国に引き継がれ、現在では県や自治体が出資する土佐くろしお鉄道が管理している。

中村駅は、典型的な地方ローカル線の駅である。利用者の多くは地元の学生とお年寄りだが、新幹線接続の JR 直通特急が発着することからビジネス客も多く、四万十川や足摺岬へ向かう観光客やお遍路さんの利用も多い。小さな駅の雑然とした空間に、様々な目的と時間の過ごし方を持つ人々が混在していた。

今回のプロジェクトは国土交通省の補助金事業であり、「改札口外側の駅構内のリノベーションに限定する」という条件が最初に付けられた。駅事務室はもちろん、プラットホームなどの改札口内部は補助金の対象とはならない、というものだった。また、同鉄道の筆頭株主である高知県からも、県産の木材を積極的に活用するよう、強い要請があった。

私たちは徹底して、未来のお客様の味方

私たちはまず「徹底してお客様の視点でデザインを進める」ことを施主と関係者に宣言した。それも現在のお客様ではなく、駅が生まれ変わってからの、そのまた先の未来のお客様である。

施主である土佐くろしお鉄道、すなわち鉄道運行事業者にとって、一番大切なことは安全である。しかし、安全運行に徹しようという気持ちが大きいあまり、お客様へのサービスという視点が抜け落ち、「お客様を管理しよう」とする傾向が強い。例えば「危険品を社内に持ち込まないでください」「お忘れ物のないようご注意ください」を大音量で繰り返したり、注意書きをペタペタと貼りまくることだ。お客様を大きな固まり =マスとしか見ず、お客様とのコミュニケーションをあらかじめ摘み取っておこうという傾向は、東京や大阪などの大都市では必要だろうが、わずか乗降客 3000 人 / 日にも満たない駅では通用しないだろう。中村駅のライバルは、自家用車とロードサイドに広がる都市郊外だ。

私たちは「お客様の待ち時間をどう刷新するか」が駅の競争力向上に欠かせない、と考えた。多様なお客様のそれぞれの過ごし方に応えなければならない。そのためには、多様な家具を配置することが一番なのだが、問題は駅構内の床面積が足

りなかった。旧国鉄が 40年前に建設したこの駅は、「お客様にゆっくり座って過ごしていただく」という思想は全くなかったと言って良い。

そこで私たちは、最初に「駅舎内の床面積が少ないので、改札口を撤去または移動させ、プラットホームの一部エリアを待合室として拡大しましょう」と施主である土佐くろしお鉄道株式会社に提案した。ルールすれすれの提案であり、施主はスポンサーである国や監督官庁である国土交通省への説明責任がある。普通の田舎の役所ならば「絶対反対」となるところだが、この鉄道会社は土佐人気質に溢れた人たちが多く「面白そうだからやってみよう」ということになった。私たちは、こんな素晴らしい人たちに支えられて仕事ができた。

実際、列車が発着するプラットホームの空間は余っていた。かつては 8両編成に郵便車や荷物車が連なった列車が次々に発着し、駅は活気に溢れていたという。現在は特急列車が 3両、普通列車の多くは 1両のワンマンカーだ。私たちは、この閑散とした条件だからこそ実現可能な、都市部の駅では実現不可能なデザインを目指した。

公共空間だからこそ、地場の誇りを贅沢に

木は傷がつく、腐る、割れる、汚れが目立つという声をよく聞く。当たり前のことだ。東京や大阪などの大都市にある駅の家具は、ほとんどが強化プラスチック製である。酔っぱらいがベンチで横に寝込まないよう、わざと座面をデコボコにしてあるのだ。治安の悪さで有名だったニューヨークの地下鉄は、日本の技術で簡単に汚れが拭き取れるように加工してある。つまり、あくまで「鉄道会社という管理側の都合だけ」でデザインされており、利用者の視点に立った考えではない。こんな考え方は、前途が厳しい中村駅では一切通用しないだろう。

私たちは中村駅で、地場のヒノキ材をたくさん使用した。ピンク色になったヒノキ材を集成材にして、家具の座面や間接照明に使用した。駅の利用者が少ないからこそ、お客様ひとりひとりに対話ができる、そんな駅を目指した。

駅前広場からコンコース、きっぷ売り場、待合室、売店、プラットホームの一部に至るまで、床にヒノキを敷き詰めた。鉄道運営サイドの深い理解によって、改札口も解放され、改札の内側と外側という古い概念は、この駅では取り払われた。駅構内に散在した障壁は、どんどん取り払われた。

良い材料を大胆に使った空間だから、お客様は心地よい緊張感を楽しまれるはずだ、と私たちは考えた。高級な調度品や上質なサービスが展開される一流ホテルのロビーでは、大声を上げることもできないし、落書きもできないだろう。駅は、お客様 +空間デザイン +サービスが三位一体となって、未来に向けて育たなければならない。さもなくば、単なる箱モノ投下になってしまう。

改修前の待合室内、テレビが垂れ流し

改修前売店

改修前の改札口

改修前のきっぷ売り場

高知県内各地の材料を探し回った

家具はモックアップを作成して万全を期した

工事中にお客様へ訴える工夫も欠かさず

現役の駅を使用しながらの工事となった

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お客様のお顔を美しく

中村駅がいちばん賑わうのは、朝から午前中だ。夕方 18時を過ぎると、とたんにお客様が少なくなり、お客様が数人程度になってしまう時間帯もある。夜遅くに列車で帰宅する女性のお客様もいらっしゃるのだが、彼女らはこれまで駅近くのコンビニで列車待ちの時間をつぶしていた。これではいけない。

鉄道が安全、駅という公共空間が安心であり続けるためには、お客様ひとりひとりのお顔が活き活きと、はっきり見える必要がある。駅が街の顔として君臨し続ける前提条件として、人が中心にあり続けること。それを演出するデザインを目指した。

車社会の発達は、地方都市から「公共の精神」を摘み取ってしまったように思う。見ず知らずの人と接することがコミュニケーション能力を鍛え、優しさを生み、安心と安全を作り上げてきた。個室から個室へ個室で移動でき、携帯電話でコミュニケーションが完結することで、人々はコミュニケーション能力が低下し、他人に無関心になり、オシャレにも気を遣わなくなった。地方のコンビニやスーパーに、ジャージ姿で買い物に来る輩がその象徴だ。都会の街路や公共空間が華やかに見えるのは、人々が「不特定多数の人々に見られる」という意識に基づいてオシャレをしているからだ。

私たちがデザインした家具は、ちょうどお客様が着席された顔のあたりに目掛けて、間接照明が当たるよう設計している。この駅にいらっしゃっるお客様は、若く美しく見える。駅の待合室が、文字通りヒノキ舞台のように演出され、駅前広場や駅に進入する列車内からもよく見えることを目指した。

今回の照明デザインには、表参道ヒルズなどの照明設計で確かな実績がある株式会社ファースト ・デザイン ・システムの三島氏にお願いしたところ、快く引き受けてくださり、素晴らしい仕事をしていただいた。

現場の人たちと一緒に

当たり前だが、どんな建築物も完成当初は美しい。そのうち、張り紙が壁やガラス面に貼り付けられるようになると、空間の緊張感は封を切ったように、途端に崩れ始める。都市部の駅は広告ポスターが多いが、これは利益率の高い広告収入を生み出している。ところが中村駅の広告収入の1年分は、東京の渋谷駅の1日分にも満たない。にも関わらず、この駅は張り紙が多すぎた。しかし、現場の方々と話していると、無理もない事情が見えてきた。この鉄道会社は、税金で支えられている。当然、地域自治体はもちろん、地域のイベントや活動団体との連携が欠かせず、彼らからポスター掲示の依頼が来ると断ることができないのだ。観光ポスター、花火大会、学校の文化祭、バザールなど、様々な情報が無秩序に張り出されてゆく。結局、大切な時刻表や運賃表も負けじと文字を大きくせざるを得ない。無駄な情報が競い合い、空間としては全く落ち着かない、肝心の大切な情報も伝わらない最悪の状態、これが改修前の中村駅だった。

そこで、私たちは分かり易いルールを設けた。鉄道運賃や時刻表など大切な情報は床上 1800mm以下、広告など優先順位の低い情報は床上 1500mm以下とし、その上には一切情報を置かない。これは施主側とかなり早い段階で合意し、ずっと守っていただいている。人間の目線より上部に情報があると、着席時に落ち着かないものだ。都市部の駅ならば、混雑のため情報を上部に設置しなければならないが、中村駅ではその必要はない。私たちは、掲示されるグラフィックもトータルでデザインするため、サインはもちろん、時刻表や発車表示サイネージ、広告ポスターまでデザインした。

未来のお客様と一緒に育つ

中村駅で最も多いお客様は高校生だ。彼らは 18歳になると自動車免許を取得し、もはや鉄道を利用しなくなる、あるいは都会へ出て行く。しかし、彼らが中村駅を利用する 3年間は、鉄道の心地よさや便利さを売り込む絶好の機会ではないか。10代の思い出は、年を取っても忘れないはずだ。

中村駅は、高校生のお客様を、もてなさなければならない。

そこで私たちは、待合室の明るい窓際に勉強用カウンター机と椅子を用意した。もちろんヒノキを使用し、パソコンや携帯端末に利用できるコンセントや無線LANも装備している。思惑通り、駅の待合室が自習室となり、静かに勉強する姿が当たり前のようになってきた。高校生が勉強していると、公共の場に相応しくない輩は大声で騒ぐことができない。空間のチカラで、お客様の過ごし方が変わってきたとき、私たちは本当に嬉しかった。

自宅ではない、学校や職場でもない、商業施設でもない。駅は、その中間にある新しい生活空間であること。失われた公共の精神を駅で取り戻したい。

私たちの想いは、多くの方々の協力と理解を得て、少しずつ実現しつつある。

ネクストステーションズ

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すべての著作権は、ネクストステーションズに属します。

無断の複製、再配布を禁じます。

駅名看板も地場産ヒノキ製

外部ホームと内部待合室との融合性を高めた

駅構内のサイン、広告もすべて担当した

売店のロゴタイプ

ベンチ + 間接照明 + 売店商品棚

勉強机はお客様から評判が高い

駅の賑わいが、街へとつながって欲しい

川西 康之 + 柳 辰太郎 + 栗田 祥弘