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第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

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第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史. 12.1 ビッグバン宇宙論とインフレーション. 復習 (11.1). 宇宙の進化図. 10 -34 秒. 現在. 137 億年. 宇宙 起源論. 観測的宇宙論. (2006 年 WMAP のプレスリリースより改変 ). 現代宇宙論のパラダイム. 復習 (1.5). 量子論的ゆらぎによる「無」からの宇宙創生. 真空のエネルギー( P=-ρ )に満ちた宇宙. インフレーションによる急激な膨張期. 宇宙起源論. 真空のエネルギーの相転移による潜熱の解放 量子ゆらぎを引き伸ばし、構造の種を形成. - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

Page 2: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

12.1 ビッグバン宇宙論とインフレーション

Page 3: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

(2006 年 WMAP のプレスリリースより改変 )

現在

宇宙の進化図

宇宙起源論

137 億年

観測的宇宙論

10-34 秒

復習 (11.1)

Page 4: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

現代宇宙論のパラダイム

量子論的ゆらぎによる「無」からの宇宙創生

インフレーションによる急激な膨張期

フリードマンモデルで表される減速膨張期

ダークエネルギーによる加速膨張期

真空のエネルギー( P=-ρ )に満ちた宇宙

真空のエネルギーの相転移による潜熱の解放量子ゆらぎを引き伸ばし、構造の種を形成

熱いビッグバン、軽元素の合成宇宙の晴れ上がり第一世代の星の誕生宇宙の再電離(銀河からなる宇宙)

超新星が示す加速膨張

宇宙

起源

論観

測的

宇宙

論復習 (1.5)

Page 5: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

ビッグバン宇宙論の観測的基礎

(3) 軽元素 (H, He, Li など ) の存在率が理論予測と合致 

(1) 宇宙は現在膨張している(ハッブルの法則) 

(2) 宇宙には黒体放射(宇宙背景放射)が満ちている 現在は 2.7K だが昔は熱かった(物質

と放射が熱平衡状態にあった)

昔は宇宙は小さかった

約 140 億年前、熱い宇宙で(最初の3分間に)軽元素が作られた

Page 6: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

観測的宇宙論(ビッグバン宇宙論)の二つの側面

枠組み(万物の入れ物)としての

膨張する(一様等方な)時空

枠組みの中で起こる天体とそれらが織りなす構造

の形成と進化

整合性

こちらは(長い道のりを経て)かなりの精度で分かってきた

現在の研究はこちらに重点が置かれている( 10 章、 11 章)

銀河と大規模構造は、どのようにし

てでき、どのような進化の結果、

現在の姿になったのか?

宇宙論パラメータ

Page 7: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

ビッグバン宇宙論の問題点

(i) 宇宙はなぜ熱い火の玉から始まったのか

(ii) なぜ宇宙マイクロ波背景放射は全天で極めて一様 に近い温度分布を示すのか(地平線問題)

(iii) 現在宇宙に見られる大規模構造はどのようにして できたのか(地平線問題と同種の問題)

(iv) なぜ現在の宇宙は平坦(曲率がゼロ)に見える のか(平坦性問題)

(v) なぜ、宇宙には物質だけが存在して反物質が存在 しないのか(バリオン数生成)

Page 8: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

インフレーション量子論的に見た真空(~10-33cm) は何もない静かな空間ではない素粒子が生成消滅を繰り返している ( 真空の量子ゆらぎ )

真空の相転移

真空のエネルギーの解放

指数関数的な膨張と物質エネルギーの増大

インフレーション理論の詳細は未完成(統一理論が未完のため、インフレーショ

ンを起こす場が不明。インフラトン場とよばれている。) 熱い火の玉宇宙の誕

復習 (1.5)

Page 9: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

地平線問題

A

B

地平線 : その時刻までに因果関係を持てる領域の限界

rH(t)~ c/H(t) ~ c t  a(t) ~ t2/3

ある時刻で地平線外 (r>ct) であった 2 点も、時間が経てば (r~t2/3 なので ) 地平線内に入ってくる。現在地平線内にある 2 点も、過去に遡れば地平線外に出る。

地平線

宇宙膨張

宇宙背景放射 (z~1100) のゆらぎ~ 10-

5

z~1100 時点での地平線は天球上で約 2度

Page 10: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

インフレーション前

晴れ上がり

地平線サイズ

インフレーション終了

現在

観測者背

景放

背景

放射

極めて短時間

Page 11: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

平坦性問題

元々の宇宙がどんな曲率を持っていても、インフレーションの過程で、大きく引き伸ばされて、その一部だけ見ると平坦に見える。

- 宇宙の曲率は誕生後 137 億年たった 現在でも極めて平坦である( Ω0=1 )

- もし宇宙初期に Ω=1 から僅かにず れていたなら、宇宙はあっという間 に潰れたか、急速に膨張して星も 銀河もない宇宙になっていたはずΩp=(1.0 +/- 1x10-60)

http://abyss.uoregon.edu/~js/ast223/lectures/lec18.html

宇宙初期には

であることが必要

Page 12: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

ビッグバン宇宙論の問題点

(i) 宇宙はなぜ熱い火の玉から始まったのか(真空のエネルギー  が解放されて熱になった)

(ii) なぜ宇宙マイクロ波背景放射は全天で極めて一様に近い  温度分布を示すのか(実はインフレーションの前には  地平線内にあったのだ)

(iii) 現在宇宙に見られる大規模構造はどのようにして  できたのか( ii と同じ)

(iv) なぜ現在の宇宙は平坦(曲率がゼロ)に見えるのか(大きく引   き伸ばされた宇宙の一部を見ると平坦に見える)

(v) なぜ、宇宙には物質だけが存在して反物質が存在 しないのか(バリオン数生成:未解決の問題)  ( 2008 年 ノーベル物理学賞 南部、小林、益川先生)

インフレーション理論が問題点を解決

Page 13: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

12.2 宇宙論パラメータとは(厳密な定義があるわけではない)

Page 14: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

一様等方な時空 ( フリードマンモデル ) のパラメータ (1)

a(t): スケールファクタ    a(t=T0)=1 とするK: 空間の曲率(定数)   K=0 は平坦な空間Λ: 宇宙定数ρ: 宇宙のエネルギー密度P: 圧力

状態方程式

w の値を観測的に決めるのが現在の重要課題

(1)

(2)

(3)

Page 15: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

現在の宇宙の膨張率

添字 0 は現在の値であることを示す

宇宙の枠組みに関するパラメータ

一様等方な時空 ( フリードマンモデ ) のパラメータ (2) H0, ΩM , ΩΛ ( Ω0 = ΩM + ΩΛ )

Page 16: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

宇宙年齢( T0 )や宇宙晴れ上がり時点の赤方偏移 (zdec) 、再電離の時期なども重要な宇宙論パラメータ。

一様等方な時空 ( フリードマンモデ ) のパラメータ (3)

H0, ΩM, ΩΛ, T0, ….

( = Ω0 )

( = Ω0 )

( Ω0 = ΩM + ΩΛ = 1) ( ΩM = Ωb + ΩDM )

密度パラメータの表現方法は必ずしも厳密に統一されていないので注意が必要

Page 17: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

(n, σ8, b)構造形成に関するパラメータ

Page 18: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

ΩΛ=0 の場合

宇宙膨張の様子

宇宙膨張の振る舞い

ΩΛ=0 の場合も含む

ダー

クエ

ネル

ギー

がな

い場

合 

  

(常

に減

速)

減速から

加速に転じ

現在

Ω Λ=0

Ω Λ=0

パリティ 2003 年 12月号(Physics Today, 56, No.4, 2003)

復習 (1.4, 1.5)

ΩM=0

ΩM=1

ΩM=4

Page 19: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

12.3 ハッブル定数を巡る大論争H0 ~ 50 or 100?

Page 20: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

ハッブル定数の決定法

= H0 r + vbulk + vrand

bulk motion(揃った運動 )例 : Virgo Infall ( 第 4 章 )

vobs ~ H0 r

vobs = vH + vpec

Peculiar velocity (特異速度 )ハッブル速度(後退速度)

~500km/s?bias in small volume

多数の銀河を観測すれば統計的にキャンセルされる

for Vobs>>1000 km/s

H0 = < >vobs

rgalaxy distance

[ km s-1 Mpc-1]

Page 21: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

H0 =50 or 100? (km/s/Mpc)

Page 22: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

ハッブル定数への道のり

Jacoby et al. 1992,’A Critical Review of Selected Techniques for Measuring Extragalactic Distances’, PASP, 104, 599-662 の図をもとに改訂

PNLF: Planetary Nebulae Luminosity FunctionSBF: Surface Brightness FluctuationGCLF: Globular Cluster Luminosity FunctionEPM: Expanding Photoshere MethodSZE: Sunyaev-Zel’dovich EffectGL: Gravitaional Lensing

GL

EP

SZE

new method(1989 - )

DIR: distance Indicator Relation

HIPPARCOS

primary distance indicator

宇宙

の距

離は

しご

Page 23: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

宇宙の距離はしご(Cosmological Distance Ladder)

通常の測距法

標準光源法(天文特有)

Page 24: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

Short distance scale(de Vaucouleurs)

H0~100 km/s/Mpc

Long distance Scale(Sandage and Tammann)

H0~50 km/s/Mpc

天文学の歴史に残る大論争

ハッブル定数をめぐる論争 ( ~1975 - ~2000)

Page 25: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

Short distance scale(de Vaucouleurs)

Long distance Scale(Sandage and Tammann)

I. ApJ, 223, 351, 1978 II. ApJ, 223, 730, 1978III. ApJ, 224, 14, 1978IV. ApJ, 224, 710, 1978V. ApJ, 227, 380, 1979VI. ApJ, 227, 729, 1979VII. ApJ, 233, 433, 1979

G. de Vaucouleurs passed away on October 7th, 1995 (1918-1995)

H0~50 km/s/Mpc

H0~100 km/s/Mpc

VIII. ApJ, 256, 339, 1982 IX. ApJ, 365, 1, 1990X. ApJ, 446, 1, 1995

Allan Sandage passed away on November 13, 2010 (1926-2010)

‘Steps Toward the Hubble Constant’ ‘The Extragalactic Distance Scale’

I. ApJ, 190, 525, 1974 II. ApJ, 191, 603, 1974 III. ApJ, 194, 223, 1974IV. ApJ, 194, 559, 1974V. ApJ, 196, 313, 1975VI. ApJ, 197, 265, 1975VII. ApJ, 210, 7, 1976

Page 26: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

H0=80±11 or 73±11 km/s/Mpc

Virgo Cluster の距離の不定性

他 8名

(距離測定の原点の不定性)

PASP, 104, 599-662, 1992

さまざまな距離決定法のチームリーダー

基研研究会「 H0=80 をどう考えるか」 素粒子論研究 93(2)

Page 27: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

H0 の比較は非生産的。個々の銀河の距離の精度を確認せよ。

d (SBF)

d (SBF)

d (SBF)

d (SBF)

d (PNLF) d (GCLF)

d (Dn-σ) d (SN Ia)

Page 28: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

12.4 銀河の距離決定法の概観

Page 29: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

銀河の距離決定法(標準光源法)

・一次距離指標(セファイドと RR ライリ)・惑星状星雲の光度関数  (PNLF)・面輝度ゆらぎ (SBF)・距離指標関係 - タリー・フィッシャー関係 - フェイバー・ジャクソン関係 ・ Dn - σ 関係(フェイバー・ジャクソン関係の改訂版)・ Ia型超新星 (SN Ia)・ II型超新星の膨張光球法 (EPM)・ スニアエフ・ゼルドビッチ効果・ クエーサーの重力レンズ像の変光の時間差・ 活動銀河核の変光の時間差 (MAGNUM プロジェクト)

Page 30: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

Madore and Freedman 1991, PASP, 81, 707

セファイドの光度曲線(可視光では、のこぎりの歯状の光度曲線が特徴的。波長が長くなると変光幅が小さくなる)

一次距離指標:セファイドと RR Lyr周期 – 光度関係(波長が長くなるほどタイトになる)

検出は青いバンドが有利だが測光精度は近赤外が高い

セファイド  1 - 50日  0.3 - 2 , ⅠⅡRR Lyr 2 時間 -1日  0.3 - 1.5   Ⅱ   

周期  変光幅 (mag)  種族

斎尾英行 「星の進化」 培風館 New COSMOS Series 1992 より

絶対

等級

(M

V)

色指数  (B-V)

可視光

近赤外

LMC/SMC 中のセファイド(D~0.05 Mpc)

Page 31: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

HST による M100 のセファイドの観測

ハッブルによる M31 のセファイドの観測 Freedman et al. 1994, Nature, 371, 757

(r~15 Mpc; 1-hour exp.)

Tanvir et al. 1995, Nature, 377, 27(r~10 Mpc; 40-min. exp.)

ハッブルの観測:  18 – 19.5 等HST による観測:  25 - 26.5 等

約 1/1000 の明るさまで(距離にして 20倍以上遠方まで)到達

Page 32: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

「銀河系と銀河宇宙」(岡村  1999 )より

ハッブル宇宙望遠鏡キープロジェクト(後述)の成果

セファイドによって距離が測られている銀河

G: ground-based telescope

H: Hubble Space Telescope

Page 33: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

惑星状星雲の光度関数 (Planetary Nebulae Luminosity Function: PNLF)

Page 34: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

Jacoby et al. 1989, ApJ, 344, 704

Page 35: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

Jacoby et al. 1989, ApJ, 344, 704

データベースに関しては  Ferrarese et al. 2000, ApJS, 128, 431 を参照最新の論文  Feldmeier et al. 2007, ApJ, 657, 76

Page 36: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

Tonry & Schneider 1998, AJ, 96, 807.

2倍遠くから見る

星の平均光度単位面積中

の星の数

面輝度ゆらぎ(Surface Brightness Fluctuation: SBF)

Page 37: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

シリーズ論文Tonry et al. 2001, ApJ, 546, 681.

Pahre and Mould 1994, ApJ, 433, 567

(a) 元画像 (b) 滑らかなモデル画像

(c) ゆらぎ = (a)-(b)

(d) (c) を平滑化 (e) =(c)-(d) (f) = (e)2/(b)

(g) 明るい星などのマスク

(h) (f) に (g)を適用

(i) データはリングに分けて解析

実際にはフーリエ変換した周波数空間でパワースペクトルによる解析を行う

Jacoby et al. 1992, PASP, 104, 599

関連する最近の論文Cantiello et al. 2007, ApJ, 660, 942Mould and Sakai 2009, ApJ, 694,1338Blakeslee et al. 2010, ApJ, 724,657Cantiello et al. 2011, A&A, 532, 154

Page 38: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

タリー - フィッシャー関係

Local calibrators

渦巻銀河の円盤の回転速度と絶対等級の間の相関関係

‘A new method of determining distances to galaxies’,Tully and Fisher 1977, A&Ap, 54, 661

実際には、 single-dish の電波望遠鏡で銀河の HI 21cm輝線を観測した時の速度幅(に傾斜角の補正をしたもの)を回転速度の指標として用いた。 電波望遠鏡の

ビームサイズ

速度幅

明るさ(等級)

復習 (5.4)

距離指標関係

Page 39: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

フェイバー - ジャクソン関係 楕円銀河の特定の面輝度 (n mag

arcsec-2) における直径と絶対等級の関係(フェイバー・ジャクソン関係の改訂版)

楕円銀河の中心の速度分散と絶対等級の関係

Dn - σ 関係

‘Spectroscopy and photometry of elliptical galaxies. I - A new distance estimator’, Dressler et al. 1987,, ApJ, 313, 42

‘Velocity dispersions and mass-to-light ratios for elliptical galaxies’, Faber and Jackson 1976, ApJ, 204, 668

Faber-Jackson Dn – σ

等級 (BT)log Dn

log

σ

log

σ

復習 (5.4)

Page 40: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

Ia型超新星

http://apod.nasa.gov/apod/ap981230.html

NGC 4526

SN 1994D

見かけの明るさから距離がわかる

標準光源

銀河全体の明るさに匹敵する

復習 (1.5)

Page 41: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

連星系をなす白色矮星に伴星から物質が降り積もり、 Chandrasekhar limit を越えた時点で collapse し核反応が暴走して爆発

全てのタイプの銀河で出現する

最大光度がほぼ一定である(しかも銀河と同じくらい明るい)

差し替え

スペクトルに水素の吸収線が見られない

スペクトルにケイ素の吸収線が見られる

SN aⅠ

Wheeler 1990, in ‘Supernovae’, eds. Wheeler et al.

Ia型超新星 (SNe Ia)

Page 42: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

一昔前までは、 SNe Ia は、個々の銀河の距離を決めるのではなく、ハッブル定数を決める手段として用いられた

最大光度時の明るさは一定ではない さまざまな補正法

オンデマンドの SNe Ia 探査

(超遠方の超新星)

宇宙の加速膨張

Tammann and Sandage 1995, ApJ, 452, 16 2011 年度ノーベル物理学賞

H0 の決定法ではなくなった

B バンド

V バンド

Page 43: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

演習:  Ia型超新星の真の最大光度が一定とすると、その見かけの明るさ(等級) m を横軸にとり、その超新星の出現した銀河のハッブル速度(後退速度)の対数 (log v) を縦軸にとったグラフを作ると、 log v= 0.2m+C( 定数 ) のように、傾き 0.2 の直線になることを示せ。また、定数 C の値からハッブル定数 H0 が求まることを示せ。このグラフは Hubble Diagram と呼ばれる。

ヒント:ハッブルの法則 (v=H0r) と距離指数の式 m-M = 5log r - 5 を利用する。

Page 44: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

多数の視野で深い撮像観測を約 1月おいて 2回行い、両者を比較することで、分光観測する SN Ia候補を必ず見つけられる

大口径望遠鏡にプロポーザルを出せる

Supernovae Cosmology Project

High-z Supernova Search

二つの国際チームの競い合い

パリティ  2003 年 12月号

2011 年度ノーベル物理学賞

オンデマンドの SNe Ia

http://supernova.lbl.gov/Saul Perlmutter et al.

Brian Schmidt et al.http://www.cfa.harvard.edu/supernova/home.html

撮像観測 1 撮像観測 2

超新星

Page 45: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

爆発して膨張する SN II の大気の「視差」を測る

Distance Ladder を使わない直接法

しかし、大気モデルに不定性が残る

Schmidt et al. 1994, ApJ, 432, 42

II型超新星の膨張光球法(Exppanding Photosphere Method: EPM)

視差

Brian Schmidt

Page 46: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

銀河団形状の球対称からのずれや温度分布の非一様性などが不定要素

スニアエフ - ゼルドビッチ効果

cf. Kobayashi et al. 1996, PASJ, 48, L107.

基礎となる物理過程が良く理解されている

Distance Ladder を使わない直接法

多数の論文ありe.g., Marriage et al. 2011, ApJ, 737, 61

Page 47: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

具合の良い対象天体は多くない

時間差のオーダーは「年」であるので、時間差そのものの決定が観測的には極めて難しい

e.g., Kundic et al. 1997, AJ, 114, 507

レンズモデルにも不定性あり

重力レンズ像の変光時間差Young et al. 1980, ApJ, 241, 507

Page 48: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

可視バンドと近赤外バンドの間の時間差( Δt )

ダストトーラスの内径( cΔt )

Dust Reverberation  (ダスト反響法)

MAGNUM望遠鏡 (2000-2008)(ハワイ、ハレアカラ観測所)

活動銀河核( AGN )の変光時間差

ダストの溶ける温度は約 1500K (一定)

UV光度が分かる

Suganuma et al. 2006, ApJ, 639, 46

Page 49: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

12.5 HSTキープロジェクト    Extragalactic Distance Scale

1. Extragalactic distance scale2. Quasar absorption-line study3. Medium deep survey (parallel observation)

HST の 3 つのキープロジェクトの一つ

Page 50: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

岡村  1999 「銀河系と銀河宇宙」

1999 年頃のハッブル定数の決定状況

Page 51: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

PI: Wendy Freedman

Paper I. ApJ, 427, 628, 1994Paper XXVIII ApJ, 529, 786, 2000Final paper ApJ, 553, 47, 2001

H0=72±4(r)±7 (s) km/s/Mpc

H0=72±8 km/s/Mpcさまざまな距離決定手法の結果の誤差を考慮した

Bob Kirshner Jeremy Mould

HST Key Project Extragalactic Distance Scale

多数の近傍銀河 (local calibrators) の距離をセファイドで決めて、さまさまな距離決定法の calibration を確立する

Page 52: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

この節の内容は、宇宙の加速膨張(ダークエネルギー)が知られていなかった頃の話で、いまではどちらかというと回顧話になりつつある。

12.6 密度パラメータの決定と宇宙年齢の矛盾

Page 53: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

このスライドは、ダークエネルギーの存在が知られる前に作ったものΩ0 = ΩM = Ωb + ΩDM

密度パラメータ( Ω0 )の決定法

(1) (2) (3)

Page 54: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

・ 体積ー赤方偏移関係 (V - z relation; Loh-Spillar test)  

・ 等級ー赤方偏移関係 (m - z relation; ハッブルダイアグラム )   standard candle (brightest cluster galaxies, SN Ia)

・ サイズー赤方偏移関係 (θ - z relation)   standard rod (compact radio source)

・ 銀河計数法  (galaxy count: N(m))

物質による空間の曲がりを観測するので、遠くを見ないとわからない。そのため銀河の進化の影響を受ける。

いろいろやったが、結局、銀河の進化の効果と空間の曲がりの効果を分離できないことが明らかとなった。

(1) 幾何学テスト( Geometrical Test )

Page 55: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

Brightest cluster galaxy をstandard candle として利用

m-z relation (Hubble Diagram)

「銀河が進化しない」とするとパラメータの如何によらず観測と合わない

「銀河が進化する」としてもその進化の程度は未知

Sandage 1988, Ann. Rev. Astr. Ap., 26, 561

結局この方法では Ω0

は決まらない

Page 56: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

Compact radio sources を standard rod として使った

低周波の観測は進化効果の影響があると考えられるが、高周波では影響がないかどうかは不明

θ - z relation

Kaphai 1987, IAU Symp., 124, 251 Kellerman 1993, Nature, 361,

赤方偏移  z

結局この方法では Ω0

は決まらない

低周波数の観測

電波

源の

見か

けのサ

イズ

q0=0

q0=1/2

ユークリッド空間

高周波数の観測

全く異なる結論q0=1/2

q0=1

q0=0

ユークリッド空間

Page 57: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

銀河計数( Galaxy Count ) : N(m)

Djorgovski et al. 1995, ApJL, 438, L13

パラメータは一意に決まらない

結局この方法では Ω0

は決まらない

N(m)

(mag)

Page 58: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

SDSS などの可視光大規模サーベイ、 X 線の広域サーベイなどのデータが充実しつつある

z=18.3

z=5.7

z=1.4

z=0.0

http://www.virgo.dur.ac.uk/new/index.php

Yoshikawa, Jin, Suto 2000, ApJ, 535, 593

(2) 構造形成に基づくテスト

観測データがまだ不十分

Page 59: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

多数の銀河の距離を正確に測る必要がある。

観測が困難(距離を知る必要あり)ダークマターの影響は分からない

バイアス  b

Ω0 を観測から決める手法の一つ(力学テスト)

Vp = Vobs - VH = Vobs - H0 r

銀河の特異速度と密度分布の関係(3) 力学テスト 復習 (4.6)

Page 60: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

Strauss & Willick 1995, Physics Report, 261, 271-434 (Peculiar Velocity Field 研究の 膨大な review: 164 pages)

CMB 静止系での特異速度場超銀河団赤道面での IRAS 銀河の密度

Cetus wall

Virgo Cluster

Pices-Perseus Cluster

Coma Cluster

Great Attractor

Sculptor Void

β = Ω00.6/b = 0.6 ± 0.1

      (b=1/σ8)

今一つ精度が出ない( バイアスの不定性)

Ω0  は決まったか?

0.2 < Ω0 < 0.8 

復習 (4.6)

Page 61: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

12.7 宇宙年齢の矛盾

Page 62: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

7-8 November 1996

第 11回西宮湯川記念シンポジウム (1996)

宇宙年齢の矛盾( The Age Problem )

Page 63: 第 12 章 宇宙論パラメータ決定の歴史

許容領域はここだけ

球状星団の年齢はこれを支持

宇宙年齢の矛盾現在の観測値とその誤差を考えると、球状星団の年齢よりも長い宇宙年齢になるために許される H0 と Ω0 の範囲はきわめて狭い(左図の斜線部分のみ)

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May 7-10, 1996