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R システム化可能性調査事業 使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査 調査報告書 平成 19 3 調査機関:東北経済産業局 実施機関:三菱マテリアル株式会社

平成 19 年3 月 調査機関:東北経済産業局 実施機 …...6.2.3 デジタル家電リサイクルの経済性 6.2.4 今後の課題 第一章 デジタル家電廃棄の実態調査

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Page 1: 平成 19 年3 月 調査機関:東北経済産業局 実施機 …...6.2.3 デジタル家電リサイクルの経済性 6.2.4 今後の課題 第一章 デジタル家電廃棄の実態調査

3R システム化可能性調査事業 使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

調査報告書

平成 19 年 3 月

調査機関:東北経済産業局 実施機関:三菱マテリアル株式会社

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はじめに 1.目的 現在のところ、廃棄台数はまだ少ないと思われているデジタル家電(デジタルカメラ、

薄型テレビ、DVD デッキなど)であるが、その実態は十分に把握されてはいない。一方、

その廃棄台数は、今後、急増することも予想されている。 家電主要 4 品目については、家電リサイクル法によりリサイクルルートが確立されてい

るが、法対象外であるデジタル家電について、将来これらがどこに廃棄されるのか、また

どのようなリサイクルネットワークを構築できるかを調査し、リサイクルシステムの試行

を行っておく必要性は高いと考えられる。 また、一般の白物家電と比較して、デジタル家電にはその性能から、貴金属やレアメタ

ルが高品位に使用されていることは承知の事実であり、その品位は日々進む技術革新によ

って年々減少傾向にあるものの、これらが廃棄され中間処理された後の残渣より、効率よ

く貴金属・レアメタルを回収することは、廃棄コストの低減及び再資源化率向上に関して

重要な要素となる。 今回の調査事業では、モデル地域として東北地方を選び以下のスキームで検討した。

・ デジタル家電の解体 ・・・東日本リサイクルシステムズ株式会社 ・ 乾式製錬による貴金属・レアメタル回収・・・細倉金属鉱業株式会社 ・ 湿式製錬による貴金属・レアメタル回収・・・マテリアルエコリファイン株式会社 小

名浜工場 また、以下の企業の協力を得て調査を進めた。 ・ 貴金属・レアメタルの分析 ・・・三菱マテリアル資源開発株式会社 ・ デジタル家電廃棄の実態調査 ・・・株式会社インテージ ・ 全体取りまとめ ・・・三菱マテリアル株式会社

2.調査項目/検討項目 (調査項目)

① デジタル家電廃棄の現状調査 地方自治体、量販店でのデジタル家電廃棄の現状を調査する。 ② 消費者へのデジタル家電廃棄に関する意識調査

インターネットアンケートなどを利用して、消費者のデジタル家電廃棄に関する意識調 査を行う。 ③ 大手家電メーカーのデジタル家電のリサイクルに関する取り組み 大手家電メーカーに対して、現在のデジタル家電リサイクルに関する取り組みについて ヒアリングを行う。 ④ デジタル家電の貴金属含有部品の貴金属品位調査

解体試験で得られた主にプリント基板を分析して貴金属・レアメタルの含有品位を調

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査する。 (検討項目)

① デジタル家電の効率的な解体方法の検討 収集したデジタル家電の解体試験を家電リサイクルプラントにて行い、効率的な解体方 法を検討する。 ② 湿式製錬法による高品位貴金属含有部品からの貴金属回収に関する技術検討 プリント基板の分析値をもとに、金、銀、プラチナ、パラジウム、インジウムなどの 湿式回収について技術的な検討を行う。

③ 乾式製錬法による低品位貴金属含有部品からの貴金属回収に関する技術検討 プリント基板の分析値をもとに、金、銀、プラチナ、パラジウム、ビスマス、セレン

などの乾式回収について技術的な検討を行う。

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なお、本調査の実施に当たっては、専門有識者、関連企業など構成した委員会「デジタ

ル家電リサイクル検討委員会」を設置し、ここでの討議・指導を得て調査を進め、その成

果を報告書に取りまとめた。

デジタル家電リサイクル検討委員会 委員長 東北大学 多元物質研究所 教授 板垣 乙未生 委 員 東北大学 多元物質研究所 名誉教授 梅津 良昭 いわき市役所 環境部環境課 課長 鈴木 文夫 JOGMEC 金属資源技術グループ 特命調査役 北村 修 シャープ株式会社

環境安全本部環境リサイクル推進部 副参事 矢追 秀事 ソニーファシリティマネジメント株式会社

サイトサポート部EMCS課 統括課長 谷岡 修 株式会社デンコードー 営業本部

ロジスティックスグループ グルプマネージャー 黒崎 誠 オブザーバー 細倉金属鉱業株式会社 取締役社長 高柳 悟 細倉金属鉱業株式会社 取締役製錬部長 西脇 道雄 細倉金属鉱業株式会社 製錬部電錬課 課長 阿部 信二 細倉金属鉱業株式会社 技術課 課長 宮本 和法 マテリアルエコリファイン株式会社

小名浜工場 工場長 加賀美 忠和 東日本リサイクルシステムズ株式会社 主任技師 陶浪 暁彦 株式会社インテージ 営業本部

ソーシャルシステム部ソーシャルソリューショングループ 主任研究員 西 哲生 株式会社インテージ 営業本部

ソーシャルシステム部ソーシャルソリューショングループ 研究員 秋山 貴 事務局 三菱マテリアル株式会社

資源・環境・リサイクル統括室 副室長 近藤 比呂志 三菱マテリアル株式会社 資源・環境・リサイクル統括室 担当課長 星名 久史 三菱マテリアル株式会社 開発部門技術開発室 本橋 英一

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目 次 第一章 デジタル家電廃棄の実態調査 P1~P39

1.1 調査の目的 1.2 調査の内容 1.2.1 消費者調査 1.2.2 家電製品販売店調査 1.2.3 自治体調査

第二章 デジタル家電の解体試験 P40~P57 2.1 調査の目的 2.2 調査対象 2.3 解体工具 2.4 解体結果 2.5 まとめ 資料

第三章 デジタル家電の貴金属・レアメタル含有量調査 P58~P68 3.1 はじめに 3.2 試料 3.3 試料の粉砕 3.4 試料採取 3.5 蛍光X線分析 3.6 ICP発光分析 3.7 まとめ

第四章 乾式製錬での金属回収検討 P69~P182 4.1 調査の目的と概要 4.1.1 調査の目的と概要 4.1.2 調査の概要 4.2 乾式製錬技術を用いた貴金属、レアメタルの回収

4.2.1 デジタル家電基板に含まれる貴金属、レアメタル

4.2.2 非鉄金属製錬所から産出される製品について

4.2.3 銅製錬所について

4.2.4 銅製錬所でのデジタル家電基板の処理について

4.2.5 鉛製錬所の製造フロー

4.2.6 鉛製錬所でのデジタル家電基板の処理について

4.2.7 鉛製錬所でのデジタル家電基板処理の実証試験について

4.3 鉛製錬技術を活用したデジタル家電基板からの貴金属、レアメタル

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回収試験

4.3.1 デジタル家電基板および OA基板の分析結果

4.3.2 ルツボ試験の概要と結果

4.3.3 ルツボ試験の方法

4.3.4 ルツボ試験での特記事項 4.3.5 ルツボ試験の結果

4.3.6 ルツボ試験サンプルの分析結果とデータ解析結果

4.3.7 ルツボ試験のまとめ

4.3.8 キルン試験の概要と結果

4.3.9 キルン試験での特記事項

4.3.10 キルン試験サンプルの分析結果

4.3.11 排ガスの測定結果

4.3.12 キルン試験のまとめ

4.4 既存製錬所を活用したデジタル家電基板処理

4.4.1 銅製錬所と鉛製錬所との間の金属の流れについて

4.4.2 銅製錬所でデジタル家電基板を処理する場合について

4.4.3 鉛製錬所でデジタル家電基板を処理する場合について

4.4.4 乾式製錬技術によるデジタル家電基板からの貴金属、レアメタルの回

第五章 湿式製錬での金属回収結果 P183~P194 5.1 CPUの分析等 5.2 プリント基板の分析等 5.3 使用済みフラットパネルディスプレイの分析等 5.4 リサイクル事業の経済性の検討

第六章 デジタル家電リサイクルの可能性調査 P195~205 6.1 デジタル家電の廃棄量推定とリサイクルの市場規模 6.1.1 デジタル家電の廃棄量の推定 6.1.2 市場規模の推定 6.2 デジタル家電リサイクルの現状と今後の課題 6.2.1 デジタル家電リサイクルの現状 6.2.2 デジタル家電廃棄の実態調査 6.2.3 デジタル家電リサイクルの経済性 6.2.4 今後の課題

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第一章

デジタル家電廃棄の実態調査

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調査の概要

1.1 調査の目的

家電リサイクル法が施行されて5年が経過し、現在、法律の見直しの検討が行われている。法律の見

直しのテーマとして、品目の追加などが考えられる。

そこで、本調査は、 近、市場が拡大しているデジカメ、FPD(フラット式パネルディスプレイ:

液晶・プラズマテレビ)、DVDプレイヤー、携帯電話、CDプレイヤー、MDプレイヤー、ビデオカ

メラなどのデジタル家電製品に関して、現在の市場の状況、使用済み製品の処理実態、消費者や家電販

売店等の使用済み製品に関する意識などの情報を収集し、東北地区(宮城県、山形県、福島県)におけ

る使用済みデジタル家電製品の今後の発生量を予測するとともに、効率的に回収するための方法につい

て検討することを目的としている。

1.2 調査の内容

調査の目的に照らして、消費者調査、自治体調査、企業調査(販売店(家電量販店、中古販売店、地

域電気店)、家電メーカーの業界団体、業界誌出版社)の3種類の調査を行う。

1.3 消費者調査

(1)対象

弊社のWeb調査モニター対象者

(デジタル家電製品のいずれかを現在保有している人で、宮城県または福島県に居住している人を対象

とする。サンプル数は発信数で 430)

(2)方法

インターネット調査を実施

(3)対象品目

デジカメ、FPD(フラット式パネルディスプレイ:液晶・プラズマテレビ)、DVDプレイヤー、

携帯電話、CDプレイヤー、MDプレイヤー、ビデオカメラなど、デジタル家電製品

(4)項目

【デジタル家電製品の保有、廃棄等の実態・意見】

・デジタル家電製品の品目ごとの保有の有無、保有台数、購入時期、今後の使用意向年数

・品目ごとの買い換え経験の有無

・買い換え経験のある製品の処分方法

・買い換え時の有償、無料、逆有償の状況、金額

・今後処分する場合の処分方法(どこに出すか)

・妥当だと思う費用(有償、無料、逆有償の中での選択、妥当な金額)

・廃棄方法に対する意見

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【パソコンの買い換え、廃棄等の実態・意見】

・ 近3年以内の買い換え経験の有無(デスクトップ型、ノートブック型別)

・買い換え経験のある製品の処分方法

・資源有効利用促進法改正の認知状況

・使用済みパソコン製品の回収方法に対する意見

【家電リサイクル法対象家電製品の買い換え、廃棄等の実態・意見】

・ 近5年以内の買い換え経験の有無(テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、エアコン)

・買い換え経験のある製品の処分方法

・家電リサイクル法の認知状況

・使用済み家電製品の回収方法に対する意見

1.4 家電製品販売店(家電量販店、中古品販売店)調査

(1)対象

家電量販店(3社)

中古品販売店(3社)

(2)方法

訪問ヒアリング調査を実施

(3)項目

調査項目は以下の通り

【デジタル家電製品の収集・処理・中古品販売等の現状】

(発生量、処理コスト、中古品販売価格等)

(家電5品目以外に下取りを行っているものはあるのか、あるとすれば、電子レンジなどデジタル

家電以外も含めどのような品目か、また、台数は何台くらいか、どのような処理をしているのか、

中古品として販売、あるいは、中古販売店に売るといったことはないのか)

【デジタル家電製品の収集・処理の今後の方向性】

(家電リサイクル法と同じルートがよいのか、別ルートの方がよいのか、別な方法としてどのような方

法が考えられるのか)

1.5 自治体調査

(1)対象

仙台市、山形市、いわき市、福島市、郡山市の廃棄物担当者

(2)方法

ヒアリング調査を実施

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(3)項目

調査項目は以下の通り

【デジタル家電製品の収集・処理方法】

・一般廃棄物(粗大ごみ、不燃ごみ、可燃ごみ)の収集・処理の方法

・デジタル家電製品の収集、処理台数(実際に出てきているのか、出てきていれば何台くらい出てきて

いるのか、どのように処理しているのか)

【デジタル家電製品の処理に関する意見、希望】

(自治体としてはどのように係わりたいか、メーカーに回収・処理してもらいたいのか、自分たちで

回収・処理したいのか、フリーマーケットでの販売、NPOと連携して修理・販売を行うなどの考えは

ないか)

1.6 業界団体調査

(1)対象

デジタル家電メーカーの業界団体であるJEITA(社団法人電子情報技術産業協会)の

家電リサイクル法担当者

(2)方法

ヒアリング調査を実施

(3)項目

調査項目は以下の通り

【デジタル家電製品のリサイクルに対する対応状況】

・デジタル家電製品のリサイクルに対する調査研究の現状

(業界団体及び家電メーカーでデジタル家電製品のリサイクルに対して、どのような調査や研究が行

われているか)

・今後のデジタル家電製品のリサイクルに対する意見

(デジタル家電製品のリサイクルについて、どのような方法が良いと考えているのか)

1.7 業界誌調査

(1)対象

株式会社リックの担当者

(2)方法

ヒアリング調査を実施

(3)項目

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調査項目は以下の通り

【デジタル家電製品の収集・処理方法】

・デジタル家電製品の生産動向

(デジタル家電製品の 近 5 年間の国内出荷台数の推移、今後の予測)

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調査結果の詳細

1.2 消費者調査

1.2.1 調査の概要

(1)調査地域

宮城・山形・福島

(2)抽出サンプル

弊社と Yahoo との共同によるWeb調査モニター

(3)調査対象属性

15~99 歳 男女

(4)調査期間

2006 年 10 月 4 日~10月 10 日

(5)アンケート回収状況

発信数 430

回収数 327 (うち、有効回答数 324)

回収率 76.0%

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1.2.2 調査結果

(1)デジタル家電製品の保有状況

現在保有している家電製品では、「デジタルカメラ」が80.6%で も多く、次いで「携帯電話」が77.2%、

「ビデオデッキ」が 67.0%と続いている。

また、保有している家電製品を年代別にみても、各年代とも「デジタルカメラ」「携帯電話」の保有

率が高く、ほぼ上位 2 つに入っているが、「ビデオデッキ」が 10 代では 2 位に、40代では 1位となって

いる。

なお、70代では「デジタルカメラ」(71.4%)が 1 位、「液晶テレビ」(57.1%)が 2 位となっており、

「携帯電話」の保有率は 35.7%にとどまっている。

TOTAL n=324

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90(%)

<映像機器>液晶テレビ

<映像機器>プラズマテレビ

<映像機器>DVDプレー

<映像機器>DVDレコー

ー(

HDD内蔵タイプ)

<映像機器>DVDレコー

ー(

HDDがないタイプ)

<映像機器>ビデオデッキ

<映像機器>ビデオカメラ

<音響機器>セットステレオ

<音響機器>携帯型CDプレ

ヤー

<音響機器>携帯型MDプレ

ヤー

<音響機器>ハー

ドディスク

型オー

ディオ携帯プレー

<音響機器>フラッシュメモ

リー

タイプ携帯プレー

ヤー

<デジカメ・携帯電話>デジ

タルカメラ

<デジカメ・携帯電話>一眼

レフタイプデジタルカメラ

<デジカメ・携帯電話>携帯

電話

この中にはない

25.6

5.2

42.3

31.5

7.4

67.0

33.0 32.726.5 24.7

18.212.3

80.6

5.2

77.2

0.9

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<映像機器>液晶テレビ

<映像機器>プラズマテレビ

<映像機器>DVDプレーヤー

<映像機器>DVDレコーダー(HDD内蔵タイプ)

<映像機器>DVDレコーダー(HDDがないタイプ)

<映像機器>ビデオデッキ

<映像機器>ビデオカメラ

<音響機器>セットステレオ

TOTAL 25.6 5.2 42.3 31.5 7.4 67.0 33.0 32.7

10代 0.0 13.3 26.7 26.7 6.7 66.7 20.0 26.7

20代 18.9 8.1 32.4 24.3 2.7 48.6 18.9 24.3

30代 19.1 0.0 51.1 27.7 8.5 74.5 38.3 25.5

40代 32.7 7.7 57.7 38.5 7.7 82.7 53.8 44.2

50代 21.4 5.8 41.7 31.1 7.8 69.9 33.0 34.0

60代 35.7 3.6 33.9 32.1 10.7 57.1 23.2 37.5

70代 57.1 0.0 35.7 42.9 0.0 50.0 28.6 14.3

<音響機器>携帯型CDプレーヤー

<音響機器>携帯型MDプレーヤー

<音響機器>ハードディスク型オーディオ携帯プレ ヤ

<音響機器>フラッシュメモリータイプ携帯プレーヤ

<デジカメ・携帯電話>デジタルカメラ

<デジカメ・携帯電話>一眼レフタイプデジタルカメラ

<デジカメ・携帯電話>携帯電話

この中にはない

TOTAL 26.5 24.7 18.2 12.3 80.6 5.2 77.2 0.9

10代 26.7 40.0 20.0 26.7 60.0 0.0 93.3 0.0

20代 18.9 32.4 37.8 27.0 67.6 5.4 89.2 0.0

30代 12.8 34.0 23.4 8.5 83.0 2.1 93.6 0.0

40代 36.5 25.0 21.2 17.3 80.8 9.6 78.8 0.0

50代 23.3 21.4 12.6 6.8 84.5 1.9 72.8 0.0

60代 35.7 12.5 10.7 10.7 87.5 10.7 67.9 0.0

70代 42.9 28.6 7.1 0.0 71.4 7.1 35.7 21.4

(2)現在保有している家電製品の保有台数

保有している家電製品の保有台数は、どの製品も「1 台所有」との回答が多いが、ビデオデッキやデ

ジタルカメラは、他の製品と比較すると複数台保有している人が多い。

89.2

100.0

77.4

95.1

91.7

61.8

88.8

73.6

83.7

86.3

74.6

75.0

68.6

88.2

55.2

9.6

16.8

8.3

20.7

22.6

12.8

7.5

22.0

15.0

24.5

11.8

24.8

5.1

11.5

6.3

12.0 4.8

10.3

4.9

0.0

7.5

0.0

3.5

2.8

0.0

0.0

0.0

4.6

0.0

2.5

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

2.8

0.0

0.0

0.7

1.2

1.5

0.0

0.0

1.7

0.0

0.0

0.0

0.0

2.8

0.0

0.0

0.0

0.0

3.2

0.0

0.8

0.0

1.7

0.0

0.0

0.9

0.9

0.5

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

<映像機器>液晶テレビ

<映像機器>プラズマテレビ

<映像機器>DVDプレーヤー

<映像機器>DVDレコーダー(HDD内蔵タイプ)

<映像機器>DVDレコーダー(HDDがないタイプ)

<映像機器>ビデオデッキ

<映像機器>ビデオカメラ

<音響機器>セットステレオ

<音響機器>携帯型CDプレーヤー

<音響機器>携帯型MDプレーヤー

<音響機器>ハードディスク型携帯プレーヤー

<音響機器>フラッシュメモリータイプ携帯プレーヤー

<デジカメ・携帯電話>デジタルカメラ

<デジカメ・携帯電話>一眼レフタイプデジタルカメラ

<デジカメ・携帯電話>携帯電話

1台所有 2台所有 3台所有 4台所有 5~9台所有 10台以上所有

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(3)現在保有している家電製品の購入時期

現在保有している家電製品の購入時期については、「2003~2006 年」が も多く、次いで「2000~2003

年」と続いており、2000 年以降に購入した製品が多い。

1990年以前 1991~1993年 1994~1996年 1997~1999年 2000~2002年 2003~2006年覚えていない・

わからない

<映像機器>液晶テレビ 0.0 0.0 1.2 0.0 4.8 89.2 4.8

<映像機器>プラズマテレビ 5.9 5.9 0.0 0.0 5.9 82.4 0.0

<映像機器>DVDプレーヤー

0.0 1.5 2.2 3.6 16.1 58.4 18.2

<映像機器>DVDレコーダー(HDD内蔵タイプ)

0.0 1.0 1.0 0.0 3.9 89.2 4.9

<映像機器>DVDレコーダー(HDDがないタイプ)

0.0 0.0 0.0 0.0 16.7 75.0 8.3

<映像機器>ビデオデッキ 10.6 2.3 7.8 11.1 24.4 12.9 30.9

<映像機器>ビデオカメラ 1.9 5.6 6.5 9.3 30.8 30.8 15.0

<音響機器>セットステレオ 16.0 3.8 11.3 8.5 20.8 19.8 19.8

<音響機器>携帯型CDプレーヤー

8.1 3.5 5.8 7.0 20.9 29.1 25.6

<音響機器>携帯型MDプレーヤー

1.3 0.0 5.0 6.3 31.3 38.8 17.5

<音響機器>ハードディスク型携帯プレーヤー

1.7 1.7 0.0 0.0 11.9 81.4 3.4

<音響機器>フラッシュメモリータイプ携帯プレーヤー

0.0 0.0 0.0 0.0 5.0 92.5 2.5

<デジカメ・携帯電話>デジタルカメラ

0.8 0.0 2.3 3.4 22.2 61.3 10.0

<デジカメ・携帯電話>一眼レフタイプデジタルカメラ

0.0 0.0 0.0 5.9 5.9 64.7 23.5

<デジカメ・携帯電話>携帯電話

1.2 0.4 1.6 5.2 6.4 78.0 7.2

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(4)今後の使用意向

保有している家電製品を、今後何年くらい使用したいと思っているのか尋ねたところ、「液晶テレビ」

では「1~5 年」が 49.4%、「6~10 年」が 41.0%と同じくらいの回答数であり、「プラズマテレビ」で

は「6~10 年」が 58.8%と約 6 割がそう回答している。

なお、上記 2 つ以外の品目では、「1~6年」との回答が多くなっている。

0年 1~5年 6~10年 11年以上

(%)

<映像機器>液晶テレビ

<映像機器>プラズマテレビ

<映像機器>DVDプレーヤー

<映像機器>DVDレコーダー(HDD内蔵タイプ)

<映像機器>DVDレコーダー(HDDがないタイプ)

<映像機器>ビデオデッキ

<映像機器>ビデオカメラ

<音響機器>セットステレオ

<音響機器>携帯型CDプレーヤー

<音響機器>携帯型MDプレーヤー

<音響機器>ハードディスク型携帯プレーヤー

<音響機器>フラッシュメモリータイプ携帯プレーヤー

<デジカメ・携帯電話>デジタルカメラ

<デジカメ・携帯電話>一眼レフタイプデジタルカメラ

<デジカメ・携帯電話>携帯電話

サンプル数/平均

837.3

177.5

1375.2

1025.8

244.1

2173.9

1074.5

1066.0

863.7

803.7

594.5

403.8

2613.8

175.6

2501.9

1.2

0.0

0.0

0.0

0.0

1.8

0.9

0.9

8.1

7.5

0.0

0.0

0.4

0.0

4.4

49.4

35.3

78.8

67.6

87.5

86.2

80.4

72.6

77.9

75.0

81.4

90.0

87.4

58.8

93.6

41.0

58.8

19.7

30.4

12.5

11.5

18.7

21.7

14.0

17.5

18.6

10.0

12.3

41.2

2.0

8.4

5.9

1.5

2.0

0.0

0.5

0.0

4.7

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

Page 17: 平成 19 年3 月 調査機関:東北経済産業局 実施機 …...6.2.3 デジタル家電リサイクルの経済性 6.2.4 今後の課題 第一章 デジタル家電廃棄の実態調査

10

(5)これまでに買い換えた経験がある品目

これまで買い換えたことのある品目を選んでもらったところ、「携帯電話」が 66.0%と も多い回答

となっている。次いで、「ビデオデッキ」の 43.6%、「デジタルカメラ」の 36.4%が 4割前後の回答と

なっているが、その他の品目では買い替えが多くない。また、「買い替えたことはない」との回答も 14.0%

ある。

TOTAL n=321

0

10

20

30

40

50

60

70

(%)

液晶テレビ

プラズマテレビ

DVDプレーヤー

DVDレコー

ダー(

HDD内

蔵タイプ)

DVDレコー

ダー(

HDDが

ないタイプ)

ビデオデッキ

ビデオカメラ

セットステレオ

携帯型CDプレー

ヤー

携帯型MDプレー

ヤー

ハー

ドディスク型オー

ディオ

携帯プレー

ヤー

フラッシュメモリー

タイプの

オー

ディオ携帯プレー

ヤー

デジタルカメラ

一眼レフタイプデジタルカメ

ラ 携帯電話

買い換えたことはない

1.6 0.3

5.62.5 0.6

43.6

17.419.3

8.15.3 4.4 3.1

36.4

1.2

66.0

14.0

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11

(6)使っていた製品の処分方法

製品を買い換えた場合のそれまで使っていた製品の処分方法を聞いたところ、多くの製品において

「とりあえず保管している」の回答が多い。また、「記念品として保管している」「本人用の 2台目以降

として使用している」も 2 品目であり、実際に処分している割合は少ない。

とりあえず

保管してい

記念品とし

て保管して

いる

本 人 用 の

2 台 目 以

降として使

用している

他 の 家 族

が 使 用 し

ている

友人・知人

に売った・

あげた

処 理 費 を

払 っ て お

店 に 引 き

取ってもら

った

〈映像機器〉液晶テレビ 0.0 0.0 20.0 20.0 0.0 40.0

〈映像機器〉プラズマテレビ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 100.0

〈映像機器〉DVDプレーヤー 27.8 0.0 22.2 11.1 5.6 11.1

〈映像機器〉DVDレコーダー(HDD内蔵

タイプ) 37.5 0.0 0.0 0.0 0.0 25.0

〈映像機器〉DVDレコーダー(HDDがな

いタイプ) 0.0 0.0 50.0 0.0 0.0 50.0

〈映像機器〉ビデオデッキ 21.4 0.0 7.9 4.3 2.1 22.9

〈映像機器〉ビデオカメラ 41.1 0.0 7.1 7.1 5.4 8.9

〈音響機器〉セットステレオ 22.6 0.0 4.8 11.3 4.8 16.1

〈音響機器〉携帯型CDプレーヤー 34.6 0.0 7.7 7.7 7.7 3.8

〈音響機器〉携帯型MDプレーヤー 29.4 0.0 11.8 5.9 5.9 17.6

〈音響機器〉ハードディスク型携帯プレ

ーヤー 42.9 0.0 7.1 14.3 0.0 0.0

〈音響機器〉フラッシュメモリータイプ携

帯プレーヤー 50.0 0.0 10.0 10.0 0.0 0.0

〈デジカメ・携帯電話〉デジタルカメラ 33.3 3.4 15.4 14.5 11.1 5.1

〈デジカメ・携帯電話〉一眼レフタイプデ

ジタルカメラ 25.0 50.0 25.0 0.0 0.0 0.0

〈デジカメ・携帯電話〉携帯電話 46.7 8.0 2.8 0.9 0.5 34.9

次ページに続く

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12

お店に下

取りとし

て買い取

ってもらっ

中古品シ

ョップに

売った

回収に回

っている

業者に出

した

自治体に

出した

その他

〈映像機器〉液晶テレビ 0.0 20.0 0.0 0.0 0.0

〈映像機器〉プラズマテレビ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

〈映像機器〉DVDプレーヤー 0.0 11.1 11.1 0.0 0.0

〈映像機器〉DVDレコーダー

(HDD内蔵タイプ) 0.0 0.0 37.5 0.0 0.0

〈映像機器〉DVDレコーダー

(HDDがないタイプ) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

〈映像機器〉ビデオデッキ 2.9 12.1 20.7 5.7 0.0

〈映像機器〉ビデオカメラ 1.8 5.4 12.5 10.7 0.0

〈音響機器〉セットステレオ 6.5 9.7 14.5 9.7 0.0

〈音響機器〉携帯型CDプレーヤー 0.0 7.7 19.2 11.5 0.0

〈音響機器〉携帯型MDプレーヤー 0.0 0.0 11.8 17.6 0.0

〈音響機器〉ハードディスク型携帯プ

レーヤー 0.0 0.0 7.1 28.6 0.0

〈音響機器〉フラッシュメモリータイプ

携帯プレーヤー 0.0 0.0 10.0 20.0 0.0

〈デジカメ・携帯電話〉デジタルカメラ 1.7 3.4 3.4 8.5 0.0

〈デジカメ・携帯電話〉一眼レフタイプ

デジタルカメラ 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0

〈デジカメ・携帯電話〉携帯電話 1.4 0.5 0.9 3.3 0.0

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13

(7)製品引渡しの際の、お金支払いの有無

保有している家電製品の買い換えをした場合、製品引き渡しの際のお金の支払い有無をきいたところ、

「お金を払った」の回答が多いのは、液晶テレビの 66.7%、プラズマテレビの 100%などであった。

一方、DVD プレーヤー・携帯型 MD プレーヤー・ハードディスク型携帯プレーヤー・フラッシュメモリ

ータイプ携帯プレーヤーにおいては、「無料だった」が 100%となっている。

また、「お金をもらった・売った」に回答があるのは、ビデオカメラが 18.8%、セットステレオが 13.8%、

デジタルカメラが 12.5%などである。

お金を払った 無料だった お金をもらった・売った

(%)

<映像機器>液晶テレビ

<映像機器>プラズマテレビ

<映像機器>DVDプレーヤー

<映像機器>DVDレコーダー(HDD内蔵タイプ)

<映像機器>DVDレコーダー(HDDがないタイプ)

<映像機器>ビデオデッキ

<映像機器>ビデオカメラ

<音響機器>セットステレオ

<音響機器>携帯型CDプレーヤー

<音響機器>携帯型MDプレーヤー

<音響機器>ハードディスク型携帯プレーヤー

<音響機器>フラッシュメモリータイプ携帯プレーヤー

<デジカメ・携帯電話>デジタルカメラ

<デジカメ・携帯電話>携帯電話

サンプル数

3

1

6

5

1

82

16

29

8

5

1

1

16

80

66.7

100.0

33.3

20.0

0.0

20.7

18.8

10.3

25.0

0.0

0.0

0.0

6.3

2.5

33.3

0.0

66.7

80.0

100.0

75.6

62.5

75.9

75.0

100.0

100.0

100.0

81.3

92.5

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

3.7

18.8

13.8

0.0

0.0

0.0

0.0

12.5

5.0

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14

(8)製品引渡しの際の、支払い金額と受け取り金額

家電の買い換え時、製品を引き渡す際に支払いをした人数と支払い平均金額は表のとおりである。

人数 支払い平均金額

<映像機器>液晶テレビ2 2,500

<映像機器>DVDプレーヤー2 1,750

<映像機器>DVDレコーダー(HDD内蔵タイプ) 1 400

<映像機器>ビデオデッキ17 800

<映像機器>ビデオカメラ3 350

<音響機器>セットステレオ3 833

<音響機器>携帯型CDプレーヤー2 400

<デジカメ・携帯電話>デジタルカメラ 1 50

一方、お金を受け取った人数と受取り平均金額は、表のとおりである。

人数 受取り平均金額

<映像機器>ビデオデッキ3 3,067

<映像機器>ビデオカメラ3 3,500

<音響機器>セットステレオ4 14,100

<デジカメ・携帯電話>デジタルカメラ 2 7,500

<デジカメ・携帯電話>携帯電話 4 1,000

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15

(9)今後廃棄する場合の処分方法

今後廃棄する場合の処分方法をきいたところ、ほとんどの品目において「処理費を払ってお店に引き

取ってもらう」の回答が多くなっている。

とりあえず保管する

記念品として保管する

本人用の2台目以降として使用する

他の家族が使用する

友人・知人に売る・あげる

処理費を払ってお店に引き取ってもらう

買い換えのときにお店に買い取ってもらう

中古品ショップに売る

回収に回っている業者に出す

自治体に出す

その他

<映像機器>液晶テレビ 4.8 0.0 12.0 14.5 3.6 48.2 9.6 10.8 8.4 4.8 0.0

<映像機器>プラズマテレビ 5.9 0.0 5.9 5.9 11.8 76.5 11.8 0.0 0.0 0.0 0.0

<映像機器>DVDプレーヤー 11.7 0.7 5.8 12.4 10.2 27.7 10.9 11.7 17.5 3.6 0.0

<映像機器>DVDレコーダー(HDD内蔵タイプ)

10.8 1.0 9.8 6.9 9.8 35.3 11.8 8.8 8.8 4.9 0.0

<映像機器>DVDレコーダー(HDDがないタイプ)

12.5 0.0 12.5 12.5 0.0 37.5 4.2 0.0 20.8 0.0 0.0

<映像機器>ビデオデッキ 8.8 1.4 4.1 6.9 5.5 33.6 10.1 13.8 25.8 4.6 0.0

<映像機器>ビデオカメラ 22.4 2.8 2.8 9.3 6.5 29.0 10.3 6.5 17.8 4.7 0.0

<音響機器>セットステレオ 11.3 1.9 2.8 6.6 7.5 29.2 7.5 12.3 22.6 3.8 0.0

<音響機器>携帯型CDプレーヤー

16.3 0.0 4.7 7.0 11.6 14.0 9.3 7.0 33.7 7.0 0.0

<音響機器>携帯型MDプレーヤー

13.8 1.3 2.5 8.8 8.8 18.8 11.3 5.0 30.0 5.0 0.0

<音響機器>ハードディスク型携帯プレーヤー

23.7 3.4 8.5 20.3 11.9 13.6 11.9 5.1 13.6 13.6 0.0

<音響機器>フラッシュメモリータイプ携帯プレーヤー

30.0 7.5 20.0 17.5 12.5 2.5 10.0 7.5 12.5 7.5 0.0

<デジカメ・携帯電話>デジタルカメラ

24.5 3.8 11.9 9.6 10.3 18.0 12.6 4.2 13.0 5.4 0.0

<デジカメ・携帯電話>一眼レフタイプデジタルカメラ

35.3 11.8 11.8 11.8 11.8 17.6 11.8 5.9 5.9 5.9 0.0

<デジカメ・携帯電話>携帯電話 31.6 8.8 1.2 1.2 2.0 42.8 5.2 4.0 3.2 5.2 0.0

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16

(10)製品を引き渡す際の金銭授受に関する意向

製品を引き渡す際、一般にお金を払うが妥当であるか、またはお金をもらうのが妥当であるのか聞い

たところ、どの製品においても「無料が妥当だと思う」の回答が多い。

お金を払うのが妥当だと思う

無料が妥当だと思う お金をもらうのが妥当だと思う

(%)

<映像機器>液晶テレビ

<映像機器>プラズマテレビ

<映像機器>DVDプレーヤー

<映像機器>DVDレコーダー(HDD内蔵タイプ)

<映像機器>DVDレコーダー(HDDがないタイプ)

<映像機器>ビデオデッキ

<映像機器>ビデオカメラ

<音響機器>セットステレオ

<音響機器>携帯型CDプレーヤー

<音響機器>携帯型MDプレーヤー

<音響機器>ハードディスク型オーディオ携帯プレーヤ

<音響機器>フラッシュメモリータイプのオーディオ携

<デジカメ・携帯電話>デジタルカメラ

<デジカメ・携帯電話>一眼レフタイプデジタルカメラ

<デジカメ・携帯電話>携帯電話

サンプル数

324

324

324

324

324

324

324

324

324

324

324

324

324

324

324

33.0

33.3

23.5

22.5

22.8

25.9

19.4

27.2

14.5

14.5

10.8

9.9

11.1

11.7

7.4

48.8

47.5

66.4

60.8

67.6

67.6

69.8

63.9

78.1

77.8

75.0

76.2

75.6

69.4

85.8

18.2

19.1

10.2

16.7

9.6

6.5

10.8

9.0

7.4

7.7

14.2

13.9

13.3

18.8

6.8

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17

(11)お金を払う場合、もらう場合の妥当な金額

製品を引き渡す際に、お金を払う場合・お金をもらう場合、それぞれいくらくらいが妥当であるかの

平均金額は表のとおりである。

支払い妥当金額(平均)

受取り妥当金額(平均)

<映像機器>液晶テレビ 2,437.4 12,398.3

<映像機器>プラズマテレビ 3,129.6 15,548.5

<映像機器>DVDプレーヤー 1,502.0 3,610.6

<映像機器>DVDレコーダー(HDD内蔵タイプ)

1,643.2 7,223.3

<映像機器>DVDレコーダー(HDDがないタイプ)

1,584.5 3,851.6

<映像機器>ビデオデッキ 1,141.1 2,090.6

<映像機器>ビデオカメラ 900.8 5,381.5

<音響機器>セットステレオ 1,785.2 3,734.5

<音響機器>携帯型CDプレーヤー

650.2 1,533.3

<音響機器>携帯型MDプレーヤー

741.5 1,672.0

<音響機器>ハードディスク型携帯プレーヤー

578.9 3,041.3

<音響機器>フラッシュメモリータイプ携帯プレーヤー

570.6 2,137.8

<デジカメ・携帯電話>デジタルカメラ

1,440.3 3,653.5

<デジカメ・携帯電話>一眼レフタイプデジタルカメラ

1,756.6 10,395.1

<デジカメ・携帯電話>携帯電話 504.2 1,468.2

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18

(12)今後廃棄する際に便利と思われる廃棄方法

今後廃棄する際に便利だと思われる廃棄方法をきいたところ、どの製品においても「買い換えのとき

にお店に無料で引き取ってもらってリサイクルする」の回答が多く、3 割~5 割をしめている。次いで

「買い換えのときにお店に下取りとして買い取ってもらってリサイクルする」が続いており、「買い換

えのときにお店に引き取ってもらう」という方法が便利であると考えている。

お店に処理費を払ってリサイクルする

お店に無料で引き取ってもらってリサイクルする

お店に下取りとして買い取ってもらってリサイクルする

ゆうパックや宅配便で直接リサイクル施設に送る

自治体が回収しリサイクルする

その他

(%)

<映像機器>液晶テレビ

<映像機器>プラズマテレビ

<映像機器>DVDプレーヤー

<映像機器>DVDレコーダー(HDD内蔵タイプ)

<映像機器>DVDレコーダー(HDDがないタイプ)

<映像機器>ビデオデッキ

<映像機器>ビデオカメラ

<音響機器>セットステレオ

<音響機器>携帯型CDプレーヤー

<音響機器>携帯型MDプレーヤー

<音響機器>ハードディスク型携帯プレーヤー

<音響機器>フラッシュメモリータイプ携帯プレーヤー

<デジカメ・携帯電話>デジタルカメラ

<デジカメ・携帯電話>一眼レフタイプデジタルカメラ

<デジカメ・携帯電話>携帯電話

サンプル数

324

324

324

324

324

324

324

324

324

324

324

324

324

324

324

18.8

18.5

12.3

12.0

11.7

14.2

12.3

16.0

10.2

9.9

10.2

9.6

8.6

9.0

8.6

35.2

34.9

46.3

41.0

45.1

44.4

43.8

40.7

46.9

46.9

42.3

44.1

44.4

43.8

50.9

33.3

34.0

24.1

29.9

25.3

23.1

26.5

26.5

22.2

22.5

27.2

25.0

27.8

29.6

22.8

1.2

1.2

1.2

1.2

1.2

0.9

0.9

1.2

0.9

1.2

1.5

1.5

2.2

1.5

2.2

10.5

10.5

14.5

14.2

15.1

16.0

14.8

14.2

17.6

17.3

16.7

17.6

15.1

14.5

14.5

0.9

0.9

1.5

1.5

1.5

1.2

1.5

1.2

2.2

2.2

2.2

2.2

1.9

1.5

0.9

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19

(13)最近3年以内のパソコン買い換えの有無

近3年以内にパソコンを買い換えたことがあるかの問いに、デスクトップ型パソコン・ノートブッ

ク型パソコンどちらも、「買い換えなし」の回答が多く 7割を超えている。

買い換えあり 買い換えなし

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

デスクトップ型パソコン

ノートブック型パソコン

26.2

25.0

73.8

75.0

(14)パソコンの処分方法

パソコンの処分方法をデスクトップ型とノートブック型に分けて尋ねた。

デスクトップ型パソコンでは、「本人用の 2台目以降として使用している」が も多く 28.2%、「予備

として保管している」が 21.2%と続いており、処分はされていない。また、「処理費を払ってお店に引

き取ってもらった」が 1.2%、「買い換えのときにお店に買い取ってもらった」が 4.7%、「買い換えの

ときに無料でお店に引き取ってもらった」が 4.7%等と、実際に処分したとの回答は少ない。

デスクトップ型パソコン n=85

0

10

20

30(%)

予備として保管している

本人用の2台目以降として使

用している

処理費を払ってお店に引き取

ってもらった

買い換えのときにお店に買い

取ってもらった

買い換えのときに無料でお店

に引き取ってもらった

エコゆうパックで郵便局から

発送した

友人・知人に売った・あげた

他の家族が使用している

中古品ショップに売った

回収に回っている業者に出し

た 自治体に出した

その他

21.2

28.2

1.2

4.7 4.7

1.2

12.9

15.3

5.9

3.52.4

10.6

ノートブック型パソコンについては、「予備として保管している」が も多く 33.3%、次いで「本人

用の2台目以降として使用している」が28.4%と回答しており、古い製品も本人用として保管しており、

実際に処分した回答が低いところは、デスクトップ型パソコンとの差はみられなかった。

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20

ノートブック型パソコン n=81

0

10

20

30

40(%)

予備として保管している

本人用の2台目以降として使

用している

処理費を払ってお店に引き取

ってもらった

買い換えのときにお店に買い

取ってもらった

買い換えのときに無料でお店

に引き取ってもらった

エコゆうパックで郵便局から

発送した

友人・知人に売った・あげた

他の家族が使用している

中古品ショップに売った

回収に回っている業者に出し

た 自治体に出した

その他

33.3

28.4

2.5 2.5 2.51.2

11.1 11.1

2.51.2

2.5

12.3

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21

(15)2003 年 10 月資源有効利用促進法の改正について

2005 年 10 月に資源有効利用促進法が改正され、使用済みパソコン製品の回収とリサイクルが製造メ

ーカーに義務づけられたことを知っているかたずねたところ、65.1%が「知っている」と回答している。

年代別にみると、10 代の認知率が他の年代より低くなっている。

知っている 知らなかった

(%)

TOTAL

10代

20代

30代

40代

50代

60代

70代

サンプル数

324

15

37

47

52

103

56

14

65.1

40.0

64.9

63.8

63.5

67.0

71.4

64.3

34.9

60.0

35.1

36.2

36.5

33.0

28.6

35.7

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22

(16)使用済みパソコンの回収方法について

使用済みパソコンの回収方法としては、「お店に無料で引き取ってもらってリサイクルする」が 36.1%、

「お店に下取りとして買い取ってもらってリサイクルする」が 32.1%と回答しており、店での引き取り

がよいと考えられている。

TOTAL n=324

0

10

20

30

40(%)

お店に処理費を払ってリサイ

クルする

お店に無料で引き取ってもら

ってリサイクルする

お店に下取りとして買い取っ

てもらってリサイクルする

ゆうパックや宅配便で直接リ

サイクル施設に送る

自治体が回収しリサイクルす

る 回収に回っている民間業者に

出す

その他

16.4

36.1

32.1

3.4

8.3

1.9 1.9

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23

(17)最近5年以内の家電製品(5品目)を買い換えた経験の有無

近 5年以内に家電製品を買い換えたことがあるかきいたところ、どの製品においても「買い換えな

し」の回答が多い。

買い換えあり 買い換えなし

(%)

テレビ

冷蔵庫

冷凍庫

洗濯機

エアコン

サンプ ル数

324

324

324

324

324

37.3

29.0

6.2

32.1

17.6

62.7

71.0

93.8

67.9

82.4

(18)家電製品(テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、エアコン)の処分方法

テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、エアコンについて、どのように処分したか処分方法をきいたとこ

ろ、どの製品においても「処理費を払ってお店に引き取ってもらった」の回答が多くなっている。

予備として保管している

本人用の2台目以降として使用している

処理費を払ってお店に引き取ってもらっ

買い換えのときにお店に買い取っても

らった

買い換えのときに無料でお店に引き取ってもらった

友人・知人に売った・あげ

テレビ 9.9 7.4 36.4 4.1 13.2 4.1

冷蔵庫 0.0 3.2 48.9 6.4 17.0 3.2

冷凍庫 5.0 5.0 45.0 10.0 10.0 0.0

洗濯機 2.9 0.0 42.3 8.7 20.2 1.9

エアコン 5.3 3.5 33.3 3.5 24.6 3.5

他の家族が使用している

中古品ショップに売った

回収に回っている業者に出

した

自治体に出した

その他 不明

テレビ 9.1 0.0 8.3 5.0 5.0 0.0

冷蔵庫 9.6 0.0 5.3 4.3 3.2 0.0

冷凍庫 0.0 0.0 10.0 5.0 10.0 0.0

洗濯機 6.7 1.0 6.7 6.7 3.8 0.0

エアコン 7.0 0.0 8.8 1.8 8.8 0.0

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24

(19)2001 年 4 月家電リサイクル法施行について

2001 年 4 月に施行された家電リサイクル法を「知っている」と 83.6%が回答しており、家電リサイ

クル法の認知度は高いと思われる。

TOTAL n=324

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90(%)

知っている

知らなかった

83.6

16.4

(20)使用済み家電製品の回収方法について

使用済み家電製品のよい回収方法についてきいたところ、「買い換えのときにお店に無料で引き取っ

てもらってリサイクルする」が 47.2%と、他の回収方法に比べ多くなっている。また、「買い換えのと

きにお店に下取りとして買い取ってもらってリサイクルする」が 22.5%、「買い換えのときにお店に処

理費を払ってリサイクルする」が 18.8%と続いており、買い換え時にお店に引き取ってもらうのが良い

と考えている人の割合が高い。

TOTAL n=324

0

10

20

30

40

50(%)

お店に処理費を払ってリサイ

クルする

お店に無料で引き取ってもら

ってリサイクルする

お店に下取りとして買い取っ

てもらってリサイクルする

ゆうパックや宅配便で直接リ

サイクル施設に送る

自治体が回収しリサイクルす

る 回収に回っている民間業者に

出す

その他

18.8

47.2

22.5

0.6

7.1

2.2 1.5

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1.2.3 家電製品販売店調査

【家電量販店】

(1)デジタル家電製品等、5品目以外の家電製品の引き取り

A社 無償で引き取っている。

デジタル家電はほどんど出てこない。 廃棄物業者に出す場合にも大中小(重量ベースで)で製品ごとには台数は出ない。 廃棄物ということでPOSに通していない。 B社

無償で引き取っている。 デジタル家電はほどんど出てこない。

製品ごとの台数は把握していない. C社

音響機器については、セットステレオが一部出てくるが、そのほかはほとんどない。 映像機器は、単純な買い換えのものはない。割れ物(破損したもの)が少々出ている程度。DVDは

ない。 廃家電としてではなく、中古店(ハードオフなど)に流れているのではないか。あるいは、回収業者

やリユース業者なら、それなりに集めているかもしれない 消費者から処理費を徴収している。(デジカメ 500 円、DVDプレーヤー1000 円、それ以上の大きさ

のもの 2000 円)有料化自治体とあまり変わらない。無料で引き取っている自治体もある。 (2)デジタル家電製品等、5品目以外の家電製品の処理方法

A社 廃棄物処理業の処理料金は、地域差はあるが、45~50 円/kg くらい. 液晶テレビなど,配送センターから商品を出し、配送センターから指定引き取り場所や地元の中間処

理業者やシュレッダー業者に渡している。 9 月より、東京と群馬で家電リサイクル法とは別に、テレビ、洗濯機のリユースと輸出業者への引き

渡しを行う。これについては、顧客からは無料引き取り、収集運搬費も取らない。 東北地方は使い切りの文化なのでリユースには回らないが、東京や神奈川では出てくる。 テレビ、冷蔵庫など7年以内のもの対象にリユースを試みたが、東北地方では出てこなかった。 B社 5 品目以外は、地元の処理業者に処理費を払って処理してもらっているため、かなりの負担になって

いる。 C社

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オーブン、電子レンジは出てくる。 掃除機,出てくるが、販売量に比べて少ない。自治体の粗大ごみに出ている。

(3)使用済みデジタル家電製品の回収・処理に対する意見

A社 他の 5 品目と同様、家電メーカーが製造者責任で回収・処理することが望ましい。 B 社 現在の家電リサイクル法が定着してきたので、家電メーカーが指定引き取り場所で回収するシステム

を拡大してほしい。 C 社

引き取り場所を駅にして、鉄道で運んではどうか 車で運ぶので有れば、25 トントラックがリサイクル施設まで運べるように、道路を整備してほしい。

家電リサイクル法にのっていない 400 万台(200 万台輸出、200 万台不明)を消費者に出しやすくす

る工夫が必要 引き取り料金が高い(1250~3000 円) 郡部では家で保管している。全部をリサイクル法ですると管理事務処理が大変。 業界として、問題提起している。価格内部化の方がよいのではないか。 リサイクルの元々の趣旨は、設置を伴うもの、大きなもの(テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン)は

売ったときに回収できる。 テレビは、今は茶の間のメインテレビの買い換え、だから小型のものは廃棄出てこない。

2011 年のとき、初期型の買い換えと 3 年前以前のものは地デジチューナーが入っていないため、廃

棄が出る。地デジチューナーをわざわざ買わず、買い換えることが予想される。2011 年が廃棄のピー

ク 3~5年前に発売されたテレビの修理は高いので、買い換えた方が安い。テレビは取っておかないと

思われる。 古物商か廃棄物処理業の許可がないこともあって、今のところ、回収だけには行かない。買い換えの

ときに引き取り、あとは持ち込み 自治体が引き取ってくれればよいが、家電 4 品目については、引き取りを禁止している。 【中古販売店】

(1)デジタル家電製品等の引き取りと販売

A店 仕入れ原価 4 割、利益 6 割が基本 古いものは、原価 1 割、利益 9 割のものもある。新しいものは、原価 7 割(まれに 9 割)、利益 3 割

(まれに 1 割)となっている。 店頭に並んでいるもので、廃棄するものはない。

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デジタル家電は、すぐに機能アップした新製品が出てくるため、値崩れするため利益率は低い。 現在販売されているものは、だいたい 2000 年頃発売されたものが多い。 ビデオデッキ、ビデオカメラ、ステレオなどは 15 年前のものもある。 現在の当店でのおよその年間販売台数は、液晶テレビ 40 台、プラズマテレビ 20 台、DVDプレーヤ

ー120 台、DVDレコーダー80 台、ビデオデッキ 40 台、ビデオカメラ 100 台、ステレオ 100 台、CD

プレーヤー50 台、MDプレーヤー60 台、形態デジタルオーディオプレーヤー300 台、ICレコーダー

150 台、デジタルカメラ 300 台くらいで、携帯電話はない。 B店 デジカメが少し入ったが、パソコンばかりで、ほとんど入荷はない。 C店 パソコン、プリンターが中心で、デジタル家電の入荷はほとんどない。 (2)今後のデジタル家電製品等の引き取りと販売の予測

A店 メーカーが機能アップに一生懸命なので買い換えのサイクルが早くなっていくると思われる。しかし、

逆に、販売のタイミングを早めないといけないので、中古品販売は難しくなってくる。

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28

1.2.4 自治体調査

【仙台市 廃棄物管理課】

(1)生活ごみの分別方法と回収方法

・家庭ごみ(10kg かつ 45 リットル以下/回) →週 2 回ステーション回収 ・プラスチック製容器包装 →週 1 回ステーション回収 ・缶・びん・ペットボトル・廃乾電池類 →週 1 回ステーション回収 ・粗大ゴミ →戸別収集(申し込み制:有料) ・紙類 →集団資源回収 ・布類 →集団資源回収 ・臨時ごみ →戸別収集(申し込み制:有料) (2)搬入禁止品目

家電 4 品目 → 1.こう購入した販売店または買替えする販売店に依頼

2.仙台市の許可業者に収集を依頼

3.メーカーの指定引取場所に自己搬入

デスクトップパソコン本体、ノートブックパソコン、CRT ディスプレイ、液晶ディスプレイと、同梱

可能なもの(マウス、キーボード、スピーカー、ケーブルなどご購入時の標準添付品) → 1.メーカーなどの受付窓口に連絡

2.仙台市の許可業者に収集を依頼 3.横浜金属商事秋保事業所に自己搬入

バッテリー(充電式電池) → 家電販売店、リサイクル推進課設置のリサイクルボックス

(3)使用済みデジタル家電製品の回収台数

液晶テレビ、プラズマテレビ 実績なし DVDプレーヤー、レコーダー、ビデオデッキトータル 2004 年度 2921 台 2005 年度 3119 台 2006 年度 3600 台(予測値 9 月までで 1827 台) ビデオカメラ 実績なし ステレオ

2004 年度 2455 台

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2005 年度 2595 台 2006 年度 2700 台(予測値 9 月までで 1360 台) CDプレーヤー等 家庭ごみで収集 (4)徴収費用

液晶テレビ、プラズマテレビ、DVDプレーヤー、レコーダー、ビデオデッキ、ビデオカメラステレ

オは、粗大ごみ(有料:400 円/台)

ただし、30cm 以下は家庭ごみ CDプレーヤー等は、家庭ごみ

(5)デジタル家電製品の処理

粗大ごみは、破砕、金属回収、焼却 家庭ごみ 焼却 (6)5 品目以外の処理の意向

家電リサイクル法と同じ方法がよい 【山形市 廃棄物指導課】

(1)生活ごみの分別方法と回収方法

燃やせるごみ →週 2 回 資源物(びん、缶) →週 1 回 ペットボトル →週 1 回 雑貨品、小型廃家電類 →週 1 回

(1 辺の長さが1m 未満のもの、ガスレンジ、アイロン、ラジオなど) *ただし、乾電池、燃料類は抜いてから出す プラスチック類 →週 1 回

水銀含有ごみ →月1回 (乾電池、ニカド電池、ボタン電池、水銀体温計、蛍光管、鏡)

埋め立てごみ →月1回 (ビデオテープ、カセットテープ等)

粗大ごみ →申し込みによる戸別収集 (タンス、本棚、オルガン、ミシン、ファンヒーター等) *ただし、乾電池、燃料類は抜いてから出す (2)搬入禁止品目

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30

家電 5 品目、パソコンなど

(3)使用済みデジタル家電製品の回収台数

把握していない

(4)徴収費用

粗大ごみについては、有料(500 円/個) ただし、自己搬入の場合は無料 (5)デジタル家電製品の処理

破砕、金属回収、残さは埋め立て

(6)5 品目以外の処理の意向

家電メーカーによる回収・処理を望む 【いわき市 環境部環境課】

(1)生活ごみの分別方法と回収方法

燃えるごみ →週 2 回収集 燃えないごみ →4 週に 1 回収集

(大きさ 60cm 未満、重さ 10kg 未満のもの) 小型電器製品・金属類 →4 週に 1 回収集

(大きさ 60cm 未満、重さ 10kg 未満のもの) ドライヤー、粉ミルク缶、やかん、フライパン、電気ポット、体重計など 缶類・ペットボトル →2 週に 1 回収集

びん類 →2 週に 1 回収集 (2)搬入禁止品目

家電 5 品目、パソコンなど

(3)使用済みデジタル家電製品の回収台数

個別品目ごとの数量については把握していない

(4)徴収費用

液晶テレビ、プラズマテレビなど大型ごみに該当するものは、有料 大きさ、重さにより 500~1500 円徴収

その他は、無料

(5)デジタル家電製品の処理

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破砕後、金属回収し、残さは埋め立て処分

(6)5 品目以外の処理の意向

既に実施されている家電リサイクル法の品目拡大、および、リサイクル料金の前払い制度により、既

存のシステムで回収・リサイクルが行われることがよいと考える。 【福島市 清掃管理課】

(1)生活ごみの分別方法と回収方法

可燃ごみ →週 2 回 不燃ごみ →月 2 回 (小型家電 ラジカセ、ビデオデッキ等) (長さ 60cm 未満、重さ 10kg 未満程度のもの) 資源物 →月 4 回 (容器包装、段ボール、新聞紙、雑誌、本) 粗大ごみ →申し込み制、戸別収集 (電子レンジ等) (長さ 60~200cm、重さ 10~100kg) (2)搬入禁止品目

家電リサイクル法対象家電品 家電小売店または収集運搬業者に依頼するか、指定引き取り場所に搬入する パソコン 各メーカーへ依頼する (3)使用済みデジタル家電製品の回収台数

把握していない (4)徴収費用

粗大ごみは有料

(5)デジタル家電製品の処理

破砕後、金属回収し、残さは埋め立て処分 (6)5 品目以外の処理の意向

家電 5 品目と同じ方法がよい 【郡山市 清掃課】

(1)生活ごみの分別方法と回収方法

可燃ごみ 週 2 回

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不燃ごみ 月1回 1mを越えないもの 資源物 月2回(びん、缶、紙)、月 4 回(ペットボトル、プラスチック容器) 粗大ごみ 申し込み制、戸別収集 長さ1m以上、大型のもの *品目ごとに、どこに分類されるか、指定している 燃やして良いごみ MD(ミニディスク)、カセットテープ、カセットケース、CD(コンパクトディスク) 燃えないごみ カセットデッキ、小型家庭用コピー機、CDプレーヤー、CDラジカセ、 ステレオ(ミニコンポ、セパレートを含む) デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ テレビ(液晶型) パソコンの付属機器(ケーブル等)、パソコンのプリンター、パソコンのラック 粗大ごみ 足踏みミシン、エレクトーン、オルガン、ソファー、カーペット、本棚 (2)搬入禁止品目

家電リサイクル法対象家電品 家電小売店または収集運搬業者に依頼するか、指定引き取り場所に搬入する パソコン 各メーカーへ依頼する (3)使用済みデジタル家電製品の回収台数

液晶テレビ等 不燃ごみとして回収しており、個別品目ごとの数量はカウントしていない (4)徴収費用

粗大ごみのみ費用徴収

(5)デジタル家電製品の処理

不燃ごみとして回収後、破砕処理し、可燃物、不燃物、アルミ、鉄に分別している。

(6)5 品目以外の処理の意向

店頭回収を行うなど、家電業界に回収場所を数多く設定してほしい。

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33

1.2.5 業界団体調査

JEITA(社団法人電子情報技術産業協会)では、平成 15年度、及び、平成 16年度に経済産業省

より委託を受け、液晶テレビとPDPテレビのリサイクルに関する調査研究を行い、再商品化率(有価

又は無償でリサイクルプラントから排出する部材のアウトプット質量の比率)と再資源化率(逆有償も

含めて中古部品又は材料としての再利用される質量の比率)を推定した。

液晶テレビで再商品化が確実なのが 33.3%、再商品化の可能性があるものを含めると 50.0%となっ

た。また、PDPテレビは、商品化が確実なのが 39.3%、再商品化の可能性があるものを含めると 54.1%

となった。

液晶テレビの再商品化率・再資源化率の推定

素材及び部品名 質量 素材構成

(g) (%)

素材回収効率

回収率素材回収

効率回収率

金属 2701 35 94 33.3 93 33.1

プリント基板 737 10 50 4.8 50 4.8

汎用プラスチック(表面処理なし)

1771 23 45 10.5 73 16.9

液晶パネルガラス

440 6 15 0.9 61 3.5

蛍光管 46 1 6 0.0 20 0.1

その他プラスチック

1234 16 3 0.5 22 3.6

その他の素材 685 9 1 0.1 1 0.1

合計 7614 100再商品化確実割合

33.3再資源化確実割合

33.1

再商品化MAX

50再資源化MAX

62.2

家電リサイクル法 資源有効利用促進法

再商品化率(予測%) 再資源化率(予測%)

資料:(社)電子情報技術産業協会 平成 17年 3 月経済産業省委託事業報告書

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34

PDPテレビの再商品化率・再資源化率の推定

素材及び部品名 質量 素材構成

(g) (%)

素材回収効率

回収率素材回収

効率回収率

金属 18598 42 94 39.3 93 39.1

プリント基板 5477 12 45 5.6 44 5.5

汎用プラスチック(表面処理なし)

558 1 44 0.6 63 0.8

液晶パネルガラス

8401 19 46 8.8 67 12.7

蛍光管 4382 10 13 1.2 71 7.0

その他プラスチック

3820 9 1 0.1 22 1.9

その他の素材 3147 7 1 0.0 1 0.1

合計 44383 100再商品化確実割合

39.3再資源化確実割合

39.1

再商品化MAX

54.1再資源化MAX

67.0

家電リサイクル法 資源有効利用促進法

再商品化率(予測%) 再資源化率(予測%)

資料:(社)電子情報技術産業協会 平成 17年 3月経済産業省委託事業報告書

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35

1.2.6 業界誌調査

デジタル家電製品の国内出荷動向は、以下の通りであった。 (1) テレビ

ブラウン管テレビから、液晶テレビへの市場の変化が見られる。2005 年度には、液晶テレビが、ブラ

ウン管テレビの出荷台数を超えた。

国内出荷台数の推移(単位:千台)

0

2000

4000

6000

8000

10000

01年度 02年度 03年度 04年度 05年度 06年度

液晶テレビ プラズマテレビ

ブラウン管テレビ ハイビジョンテレビ

01 年度 02 年度 03 年度 04 年度 05 年度 06 年度

液晶テレビ 732 1057 1711 3030 4300 5500

プラズマテレビ 89 205 252 344 460 600

ブラウン管テレビ 8942 8260 6807 5443 3700 2300

ハイビジョンテレビ 313 442 392 322 150 100

単位:千台

資料:01年度~04年度はJEITA、05~06 年度は(株)リックの推定

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36

(2)映像機器

DVDプレーヤーが増加し、ビデオデッキが減少した。また、DVDレコーダーでは、HDD内蔵タ

イプが増えている。

国内出荷台数の推移(単位:千台)

0

2000

4000

6000

8000

10000

01年度 02年度 03年度 04年度 05年度 06年度

DVDプレーヤー DVDレコーダー(HDD内蔵)

DVDレコーダー(HDDがない) ビデオデッキ

ビデオカメラ

01 年度 02 年度 03 年度 04 年度 05 年度 06 年度

DVDプレーヤー 1984 3842 5382 7573 8100 8300

DVDレコーダー(HDD内蔵) 3178 3561

DVDレコーダー(HDDがない) 893 677

ビデオデッキ 5893 4300 2645 1663 1050 700

ビデオカメラ 1361 1507 1729 1584 1500 1450

単位:千台

資料:01年度~04年度はJEITA、05~06 年度は(株)リックの推定

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37

(3)音響機器

ここ数年、携帯オーディオデジタルプレーヤー(ハードディスクタイプ・フラッシュメモリータイプ)

が増加し、MDプレーヤー、CDプレーヤーは減少している。

国内出荷台数の推移(単位:千台)

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

01年度 02年度 03年度 04年度 05年度 06年度

セットステレオ CDプレーヤー

CDラジカセ MDプレーヤー

携帯デジタルオーディオプレーヤー ICレコーダー

ヘッドホンステレオ ホームシアター

01 年度 02 年度 03 年度 04 年度 05 年度 06 年度

セットステレオ 2598 2526 2468 2175 1900 1770

CDプレーヤー 2729 2284 1722 1305 1000 780

CDラジカセ 3198 2432 2012 1893 1670 1470

MD プレーヤー 3180 3168 3213 2793 1560 1060

携帯デジタルオーディオプレーヤー 5500 7000

ICレコーダー 488 714 684 700 700

ヘッドホンステレオ 240 160

ホームシアター 270 290

単位:千台

資料:01年度~04年度はJEITA、05~06 年度は(株)リックの推定

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38

(4)デジタルカメラ デジタルカメラが急速に普及したが、ここ数年やや飽和感も生まれている。

国内出荷台数の推移(単位:千台)

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

8000

9000

01年度 02年度 03年度 04年度 05年度 06年度

デジカメ(合計) レンズ一体型 一眼レフタイプ

01 年度 02 年度 03 年度 04 年度 05 年度 06 年度

デジカメ(合計) 4830 6320 8262 8547 8443 8277

レンズ一体型 7892 7609

一眼レフタイプ 551 668

単位:千台

資料:CIPA

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39

(5)携帯電話・PHS

携帯電話,PHSとも、市場が安定してきている。

国内出荷台数の推移(単位:千台)

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000

01年度 02年度 03年度 04年度 05年度 06年度

携帯電話 PHS

01 年度 02 年度 03 年度 04 年度 05 年度 06 年度

携帯電話 47518 39856 50784 43199 43100 43000

PHS 3253 1238 1414 598 1400 1400

単位:千台

資料:01年度~04年度はJEITA、05~06 年度は(株)リックの推定

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第二章

デジタル家電の解体試験

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2.1 調査目的 デジタル家電(デジタルカメラ、薄型テレビ、DVD デッキ等)市場の拡大に伴い、今後

廃棄されるデジタル家電も増加していくことが想定される。家電リサイクル法対象の一般

的な白物家電と比較し、デジタル家電はサイズ、構成部品等が大きく異なる。またその性

能より、貴金属やレアメタルの含有量が高いことも考えられる。このことから、今後廃棄

量が増加すると想定されるデジタル家電に適した解体方法の検討並びに、貴金属、レアメ

タルの含有量品位を調査することは廃棄コストの低減及び再資源化率向上に関して重要な

要素となる。そこで今調査ではデジタル家電の効率的な解体方法の検討及びその解体によ

る貴金属、レアメタル含有部品の抽出を目的とする。

2.2 調査対象 今回の試験で解体対象としたデジタル家電(以下サンプル)は下記表 1 のとおりである。

これらサンプルはいわき市の協力の元選別を行った粗大ごみ、中古ショップで購入したも

の、及び製造業者からのサンプル拠出品である。比較的小型な粗大ごみや中古品ショップ

での取り扱い量も少ないため、サンプル数が少ないものがある。 表 2-1 解体対象デジタル家電一覧

種類 台数 種類 台数

① ビデオカメラ 2 台 ⑦ プラズマ(PDP)テレビ 2 台 ② デジタルカメラ 5 台 ③ ポータブル MD プレーヤー 4 台

⑧ポータブルフラッシュメモリー プレーヤー

10 台

④ ポータブル CD プレーヤー 7 台 ⑨ ポータブルハードディスクプレーヤー 5 台 ⑤ DVD プレーヤー 6 台 ⑩ 家庭用 TV ゲーム機 12 台

⑥ 液晶(LCD)テレビ 2 台 ⑪ カーナビ 2 台

2.3 解体工具 薄型テレビ、DVD プレーヤーの比較的大きなサンプルからポータブルフラッシュメモリ

ープレーヤー等の小さなサンプルまで対象が幅広いため、数種類の工具が必要となった。

また、パソコンや家電リサイクル法対象の家電で使用しない工具(ルーペ)も新たに必要

となった。使用した工具は下記表 2 のとおりである。尚、対象サンプルの番号は表 1 に対

応する。 表 2-2 使用工具一覧

使用工具 メーカー、型式 対象サンプル(表 1 参照)

電動ドライバー 日立工機、WH6DC ①、②、③、④、⑤、⑥、⑦、

⑩、⑪ 精密電動ドライバー 日東工器、デルボ DLV7020EMV ①、②、③、④、⑧、⑨

ドライバー(-) VESSEL、ボールグリップドライバー

220-6-150 ①、②、③、④、⑤、⑥、⑦、

⑧、⑨、⑩、⑪

はさみ 松坂、万能バサミ ①、②、③、④、⑤、⑥、⑦、

⑧、⑨、⑩、⑪

卓上ルーペ ピーク、イルミネーティングルーペ

1977-C ①、②、③、④、⑧、⑨

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2.4 解体結果 サンプルの解体を行う上で貴金属やレアメタルの含有量が多い部材は基板類であること

から、基板を中心にその他売却できる部材毎に解体を行った。以下の表 3~14 にサンプル

毎の構成素材の平均重量、比率を示す。構成比の円グラフのうち、細かい水玉が基板、縦

線が有価物、荒い水玉が廃棄物を示す。また、サンプル毎の平均解体時間を併記する。又、

解体時の気付き事項については表 15 に示す。 表 2-3 ビデオカメラ

重量(g) 構成比基板 107.0 15.3%フィルム状基板 43.0 6.2%鉄 35.0 5.0%銅 20.0 2.9%プラスチック 223.0 31.9%レンズ部 222.0 31.8%他 48.0 6.9%合計 698.0 100.0%解体時間(分) 20.5 --

基板, 15.3%

鉄, 5.0%

銅, 2.9%

プラスチック,31.9%

レンズ部,31.8%

他, 6.9%

フィルム状基板, 6.2%

表 2-4 デジタルカメラ

重量(g) 構成比基板 54.4 23.5%鉄 12.0 5.2%アルミニウム 10.0 4.3%ハーネス 0.8 0.3%コンデンサー 6.0 2.6%液晶表示部 19.6 8.5%レンズ部 24.4 10.5%プラスチック 96.4 41.6%他 8.0 3.5%合計 231.6 100.0%解体時間(分) 8.0 --

基板, 23.5%

プラスチック,41.6%

他, 3.5%

レンズ部,10.5% 液晶表示部,

8.5%

コンデンサー,2.6%

アルミニウム,4.3%

ハーネス,0.3%

鉄, 5.2%

表 2-5 ポータブル MD プレーヤー

重量(g) 構成比基板 13.0 16.8%鉄 12.5 16.1%アルミニウム 5.0 6.5%読み取り部 12.5 16.1%プラスチック 32.5 41.9%電池 2.0 2.6%合計 77.5 100.0%解体時間(分) 2.5 --

基板, 16.8%

鉄, 16.1%

アルミニウム,6.5%

読み取り部,16.1%

プラスチック,41.9%

電池, 2.6%

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表 2-6 ポータブル CD プレーヤー 重量(g) 構成比

基板 18.0 10.3%ビス 1.4 0.8%読み取り部 34.3 19.6%プラスチック 116.3 66.4%電池 5.1 2.9%合計 175.1 100.0%解体時間(分) 1.6 --

基板, 10.3%

ビス, 0.8%

読み取り部,19.6%

プラスチック,66.4%

電池, 2.9%

表 2-7 DVD プレーヤー

重量(g) 構成比基板(上) 117.3 4.4%基板(電源) 246.7 9.2%鉄 1679.7 62.5%電源コード 70.7 2.6%ハーネス 26.7 1.0%コンデンサ 19.7 0.7%プラスチック 360.0 13.4%読み取り部 165.7 6.2%合計 2686.3 100.0%解体時間(分) 13.0 --

基板(上),4.4%

基板(電源),9.2%

鉄, 62.5%

電源コード,2.6%

ハーネス,1.0%

プラスチック,13.4%

読み取り部,6.2%

コンデンサ,0.7%

表 2-8 液晶(LCD)テレビ

重量(g) 構成比基板 696.0 11.7%鉄 2244.0 37.8%スピーカー 437.0 7.4%アルミニウム 225.0 3.8%ハーネス 46.0 0.8%プラスチック 1885.0 31.8%液晶ガラス 369.0 6.2%ゴム 1.0 0.0%バックライト 31.0 0.5%合計 5934.0 100.0%解体時間(分) 20.4 --

基板, 11.7%

鉄, 37.8%

アルミニウム,3.8%

ハーネス,0.8%

プラスチック,31.8%

スピーカー,7.4%

液晶ガラス,6.2%

ゴム, 0.0%

バックライト,0.5%

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表 2-9 プラズマ(PDP)テレビ 重量(g) 構成比

基板(上) 1457.5 3.2%基板(並) 827.5 1.8%基板(電源) 1280.0 2.8%鉄 20287.5 44.2%アルミニウム 4727.5 10.3%ハーネス 700.0 1.5%コンデンサ 1035.0 2.3%スピーカ 1080.0 2.4%プラスチック 4625.0 10.1%プラズマガラス 4215.0 9.2%保護ガラス 3600.0 7.8%放熱ゴム 1650.0 3.6%ファン 206.0 0.4%他 185.0 0.4%合計 45876.0 100.0%解体時間(分) 47.5 --

鉄, 44.2%

ハーネス,1.5%

コンデンサ,2.3%

スピーカ,2.4%

プラスチック,10.1%

プラズマガラス, 9.2%

保護ガラス,7.8%

ファン, 0.4%放熱ゴム,

3.6%

他, 0.4%基板(上),

3.2%基板(並),

1.8%基板(電源),

2.8%

アルミニウム,10.3%

表 2-10 ポータブルフラッシュプレーヤー(ひょうたん)

重量(g) 構成比基板 5.6 12.5%電池Li-Ion 8.4 18.8%金属 15.6 34.8%液晶表示部 3.6 8.0%プラスチック 11.6 25.9%合計 44.8 100.0%解体時間(分) 2.0 --

基板, 12.5%

電池Li-Ion,18.8%

金属, 34.8%

液晶表示部,8.0%

プラスチック,25.9%

表 2-11 ポータブルフラッシュプレーヤー(まっすぐ)

重量(g) 構成比基板 6.0 16.3%電池Li-Ion 6.8 18.5%金属 16.0 43.5%液晶表示部 2.0 5.4%プラスチック 6.0 16.3%合計 36.8 100.0%解体時間(分) 1.4 --

基板, 16.3%

電池Li-Ion,18.5%

金属, 43.5%

液晶表示部,5.4%

プラスチック,16.3%

表 2-12 ポータブルハードディスクプレーヤー

重量(g) 構成比基板 12.8 11.9%金属 46.0 42.6%ハードディスク 16.4 15.2%電池Li-Ion 13.2 12.2%液晶表示部 4.4 4.1%プラスチック 15.2 14.1%合計 108.0 100.0%解体時間(分) 3.8 --

基板, 11.9%

金属, 42.6%

ハードディスク, 15.2%

電池Li-Ion,12.2%

液晶表示部,4.1%

プラスチック,14.1%

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表 2-13 家庭用ゲーム機

重量(g) 構成比基板(上) 173.5 14.9%基板(電源) 74.5 6.4%鉄 232.7 19.9%ハーネス 18.9 1.6%アルミニウム 26.9 2.3%プラスチック 533.3 45.7%読み取り部 53.1 4.5%他 54.5 4.7%合計 1167.5 100.0%解体時間(分) 6.9 --

基板(上),14.9%

基板(電源),6.4%

鉄, 19.9%

ハーネス,1.6%

アルミニウム,2.3%

プラスチック,45.7%

他, 4.7%読み取り部,

4.5%

表 2-14 カーナビ

重量(g) 構成比基板 462.0 18.0%鉄 1,145.0 44.5%アルミニウム 111.0 4.3%ハーネス 30.0 1.2%ハードディスク 104.0 4.0%スピーカ 3.0 0.1%液晶ユニット 188.0 7.3%プラスチック 168.0 6.5%ファン 13.0 0.5%電池 9.0 0.3%他 339.0 13.2%合計 2,572.0 100.0%解体時間(分) 28.5 --

基板, 18.0%

鉄, 44.5%

液晶ユニット,7.3%

プラスチック,6.5%

ファン, 0.5%

ハードディスク, 4.0%ハーネス,

1.2%

スピーカ,0.1%

アルミニウム,4.3%

他, 13.2%電池, 0.3%

表 2-15 解体時の気付き事項

種類 気付き事項 ビデオカメラ ・ネジを外すことで解体できる

・レンズ部は破砕が合理的 ・フィルム状の基板が多く使用されている

デジタルカメラ ・極小ネジを外すことで解体できる ・レンズ部は破砕が合理的 ・ストロボ部にコンデンサが組み込まれていた

ポータブル MD プレーヤー ・ネジを外すことで解体できる ・読み取り部は破砕が合理的

ポータブル CD プレーヤー ・極小ネジを外すことで解体できる ・読み取り部は破砕が合理的 ・構造が単純だが、樹脂類(筐体)の比率が高い

DVD プレーヤー ・ネジを外すことで解体できる ・読み取り部は破砕が合理的 ・制御基板と電源基板の 2 種類がある

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・鉄の比率が高い 液晶(LCD)テレビ ・ネジを外すことで解体できる

・バックライトの取り外しが必要 プラズマ(PDP)テレビ ・ネジを外すことで解体できる

・ネジの量が多い ・制御基板 2 種類、電源基板の 3 種類がある

ポータブルフラッシュメモリープレー

ヤー(ひょうたん) ・極小ネジを外すことで解体できる ・意匠の関係でネジが見つかりにくい ・Li-Ion 電池が内臓されている

ポータブルフラッシュメモリープレー

ヤー(まっすぐ) ・ネジを外すことで解体できる ・意匠の関係でネジが見つかりにくい ・Li-Ion 電池が内臓されている

ポータブルハードディスクプレーヤー ・ネジを外すことで解体できる ・意匠の関係でネジが見つかりにくい ・Li-Ion 電池が内臓されている

家庭用 TV ゲーム機 ・ネジを外すことで解体できる ・制御基板と電源基板の 2 種類がある ・樹脂類(筐体)の比率が高い

カーナビ ・極小ネジを外すことで解体できる ・鉄の比率が高い ・インダッシュ型は解体に手間が掛かる

2.5 まとめ 今解体調査において目的としていたデジタル家電の解体による貴金属、レアメタル含有部

品の抽出は達成された。デジタル家電には小型な物も多く、ルーペや精密ドライバーを用

いることで効率的に解体できることも確認した。

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ビデオカメラ基板

資料2-1 使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

ビデオカメラ

ビデオカメラ解体後

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デジタルカメラ

デジタルカメラ解体後

デジタルカメラ基板

資料2-1 使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

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ポータブルMDプレーヤー解体後

ポータブルMDプレーヤー基板

資料2-1 使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

ポータブルMDプレーヤー

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ポータブルCDプレーヤー内部

ポータブルCDプレーヤー基板

ポータブルCDプレーヤー

資料2-1 使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

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資料2-1

DVDプレーヤー

DVDプレーヤー 内部

使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

DVDプレーヤー基板

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資料2-1 使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

液晶(LCD)テレビ

液晶(LCD)テレビ 内部

液晶(LCD)テレビ基板

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資料2-1 使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

プラズマ(PDP)テレビ

プラズマ(PDP)テレビ内部

プラズマ(PDP)テレビ上基板

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資料2-1 使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

プラズマ(PDP)テレビ並基板

ポータブルフラッシュメモリープレーヤー

ポータブルフラッシュメモリープレーヤー解体後

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資料2-1

ポータブルフラッシュメモリープレーヤー

使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

ポータブルフラッシュメモリープレーヤー解体後

ポータブルHDプレーヤー

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資料2-1 使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

家庭用TVゲーム機

家庭用TVゲーム機内部

ポータブルHDプレーヤー解体後

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資料2-1 使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

家庭用TVゲーム機

家庭用TVゲーム機内部

家庭用TVゲーム機基板

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資料2-1 使用済みデジタル家電からの貴金属、レアメタルリサイクルネットワーク構築可能性調査

カーナビ

カーナビ解体後

カーナビ基板

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第三章

デジタル家電の貴金属・レアメタル含有量調査

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3.1 はじめに

使用済みデジタル家電部品について、貴金属およびレアメタルがどの程度含有している

かの把握を目的とし、定性分析を実施するとともに主に含有すると思われる元素について

は定量分析を実施して、部品毎の金属含有量の推定をする。 3.2 試料 サンプルは全部で21試料、そのうち基板類が17試料、ガラス類が4試料である。表

1に試料の名称と状態を示す。 表 3-1 試料一覧

項目 名称 姿

ビデオカメラ そのまま

オーディオ そのまま

デジタルカメラ そのまま

ポータブル MD プレイヤー そのまま

ポータブル CD プレイヤー そのまま

液晶テレビ 粗破砕

DVD プレーヤー 粗破砕

電話機 粗破砕

カーナビ 粗破砕

ゲーム機 粗破砕

プラズマディスプレイ(並基板) 粗破砕

プラズマディスプレイ(上基板) 粗破砕

フラッシュメモリーオーディオ(A) そのまま

フラッシュメモリーオーディオ(B) そのまま

ハードディスクオーディオ そのまま

携帯電話 そのまま

プリント

基板

デジタル家電混合 粗破砕

液晶ガラス(A 社) 粗破砕

液晶ガラス(B 社) 粗破砕

プラズマガラス前面 粗破砕ガラス類

プラズマガラス後面 粗破砕

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3.3 試料の粉砕 試料の粉砕については、試料の形状、試料量及び特性に応じて試料分類ごとに実施し、

均一性を確保できるように、できる限り細かく粉砕できる方法を選択し実施した。 ・ 基板類;㈱三力製作所 SF-8 型万能粉砕機(2mm スクリーン) ・ ガラス類;振動ミル 3.4 試料採取 分析に用いる試料の採取法は、できるだけ偏析の無い様に注意を払って採取した。 具体的には、粉砕試料をビニール袋内で充分撹拌し均質化した後、試料を薄く広げて少な

くとも5箇所以上から採取した。また、採取の際は、各地点とも細かい粒度の試料も採取

できるように底部までの全量を採取した。(粉砕試料の量が多い場合は、上記操作を繰り返

して縮分した後に、試料採取を実施した。)

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3.5 蛍光 X 線分析

蛍光 X 線分析法では、通常、微粉末試料をプレス機で圧力を加えて表面の平滑な試料デ

ィスクを作成するか、金属材料を研磨し表面が平滑な試料面を用いて測定試料とする。こ

れは、蛍光 X 線分析が試料表面に X 線を照射して、これにより発生する元素固有の特性 X線を計測しその含有量を測定する原理であるためである。

試料表面の平滑性により測定精度が向上すること、試料の極表面にしか X 線が照射され

ないことから鍍金等の表面処理がなされている試料は部材の元素が低く評価されることが

特徴である。 今回の試料に関しては、樹脂フィルムの上に塩ビ製の 35mmφのリングを置き、その内

側に試料を採取して、プレス機で 30tの圧力をかけ測定ディスクを作成した。しかしなが

ら、基板等が繊維状に粉砕されたためプレス機で成型したディスクが完全に固まらず、ま

た、完全に平滑な測定試料は作成できなかった。そのため表面にフィルムを装着したまま

で測定を行わないと測定室内でディスクが破損する可能性があった。よって蛍光 X 分析装

置の測定元素の範囲は 5B~92U(ガス成分は除く)までであるが、炭素は測定元素から除外し

た。 定性分析のオーダー分析値を算出する方法としてファンダメンタルパラメーター法(FP

法)を用いている。FP 法とは、装置が保有するファクターを用いて各元素の濃度値を強度

より算出し、共存する元素の影響を考慮するとともに算出された濃度値のトータルが10

0%になるように計算を行う方法である。 今回、炭素の測定を行っていないこと、酸素等の測定できない元素が考慮されていない

ことから、有機物および化合物が計算に含まれないため、実際の含有率より高濃度の結果

が得られている可能性が高い。また、試料表面のみの測定であることから測定試料表面に

分布する元素が大きめに算出されていることが考えられる。得られた結果からは、おおよ

その含有率と、どのような元素が含有している可能性があるかの判定に用いる。 表 2 に検出された元素とオーダー分析結果を示す。

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表3-2 蛍光X線定性分析によるオーダー分析結果単位: %

ビデオカメラ

オーディオデジタル

カメラポータブルMD

プレイヤーポータブルCD

プレイヤー液晶テレビ

DVDプレーヤー

電話機 カーナビ ゲーム機プラズマ

ディスプレイ並基板

プラズマディスプレイ上基板

フラッシュメモリーオーディオ

(A)

フラッシュメモリーオーディオ

(B)

ハードディスクオーディオ

携帯電話デジタル家電混合

Ag 1.73 1.20 1.32 1.90 1.99 0.42 1.32 2.62 0.50 0.69 *** 0.56 1.29 1.85 0.81 1.48 0.67 Al 0.89 5.04 1.33 1.74 3.04 3.95 3.35 1.66 2.53 2.38 2.43 2.07 1.78 1.83 2.14 1.35 2.40 Au *** *** *** 0.07 0.00 *** *** *** *** 0.04 *** 0.10 0.20 0.26 0.50 0.35 0.04 Ba 5.20 9.64 7.27 8.45 10.10 3.92 6.31 1.57 6.72 1.98 4.30 6.32 7.10 8.32 11.80 8.69 3.97 Bi 0.22 0.07 0.15 0.05 *** 0.04 0.05 0.12 *** 0.16 0.03 0.06 0.12 *** 0.21 0.10 0.13 Br 17.10 4.29 11.90 2.49 3.89 27.60 20.50 23.10 15.20 29.90 34.30 28.60 2.55 1.07 3.78 10.60 25.30 Ca 6.90 11.60 5.64 5.15 5.93 11.40 12.60 2.54 10.20 11.10 15.10 14.50 6.01 10.10 4.48 4.46 11.80 Cl 0.36 0.12 0.20 0.11 0.16 0.52 0.34 1.37 0.09 0.33 0.20 0.13 0.15 0.13 0.10 0.12 0.23 Co 0.02 0.02 0.03 0.02 0.03 *** *** 0.04 *** *** *** *** 0.04 0.04 0.02 0.03 ***Cr 0.41 0.19 0.25 0.96 0.15 0.05 0.07 0.42 0.08 0.07 0.05 0.07 1.79 0.61 0.08 0.68 0.14 Cu 27.90 28.70 17.70 34.50 26.20 23.00 23.90 19.70 35.90 19.40 21.20 20.90 26.60 19.90 47.40 36.40 24.10 Fe 11.60 8.41 17.50 13.00 13.70 4.55 3.55 12.00 8.08 3.03 2.05 2.86 12.80 9.47 2.84 3.72 5.61 K 0.08 0.09 0.30 0.20 0.14 0.16 0.07 0.08 0.07 0.11 0.11 0.13 0.46 0.90 0.06 0.10 0.11

Mg 0.04 0.18 0.10 0.15 0.19 0.05 0.08 0.14 0.06 0.25 0.29 0.10 0.24 0.37 0.11 0.52 0.17 Mn 0.72 0.12 2.04 1.15 1.22 0.64 0.07 6.06 0.35 0.08 *** 0.04 0.67 0.96 0.14 0.70 0.08 Mo *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** 0.03 0.06 ***Na 0.01 *** 0.03 0.05 0.03 0.02 *** *** *** *** *** *** 0.20 0.27 0.03 *** ***Nb 0.72 0.01 0.11 0.00 *** 0.01 0.01 0.02 0.05 0.02 *** 0.02 *** 0.01 0.01 0.05 0.01 Nd *** *** *** *** *** *** 0.14 0.16 0.08 *** *** *** *** *** *** 0.24 ***Ni 1.46 1.80 2.58 2.84 2.38 0.72 0.63 1.34 1.20 0.57 0.36 0.79 2.89 2.44 3.01 4.81 0.88 P 0.08 0.90 0.08 0.33 0.70 0.09 0.51 0.87 0.27 0.14 0.24 0.10 0.25 0.32 0.33 0.23 0.33 Pb 2.69 0.48 4.79 0.23 0.42 3.27 2.60 2.99 0.42 1.40 0.64 1.16 0.19 0.48 0.18 2.28 1.33 S 1.66 0.95 1.23 1.20 0.93 0.80 0.66 0.35 0.80 0.53 0.97 0.69 0.78 0.73 1.57 1.89 0.69 Sb 1.81 0.92 1.07 0.67 1.11 0.88 1.25 1.42 0.25 2.45 0.28 1.24 0.42 0.23 0.34 0.29 1.01 Si 12.50 12.40 12.90 12.40 14.20 10.10 14.60 10.70 10.80 18.90 13.90 14.60 21.30 25.80 11.10 10.60 15.20 Sn 3.48 8.41 5.70 7.87 6.38 4.66 4.73 4.55 3.68 3.80 1.46 3.01 7.66 8.98 6.06 5.74 4.03 Sr 0.27 0.31 0.25 0.19 0.23 0.28 0.37 0.24 0.18 0.54 0.56 0.53 0.18 0.22 0.13 0.24 0.42 Ta *** *** 0.56 0.90 1.46 *** *** *** *** *** *** *** 0.60 0.58 0.14 0.26 ***Ti 1.69 1.63 1.87 1.46 2.71 1.34 1.45 1.63 1.13 1.63 0.53 0.93 1.90 2.38 1.66 1.81 0.84 W *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** 0.12 ***Y 0.19 *** *** 0.01 *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** 0.01 0.08 ***Zn 0.77 2.16 2.84 1.88 2.49 1.50 0.68 3.84 1.35 0.50 0.92 0.37 1.63 1.60 0.55 1.82 0.53 Zr 0.10 0.33 0.27 0.08 0.17 0.07 0.20 0.43 0.05 0.10 0.13 0.09 0.17 0.19 0.05 0.16 0.05

元素

プリント基板

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62

表3-2 蛍光X線定性分析によるオーダー分析結果単位:%

液晶ガラス(A社)

液晶ガラス(B社)

プラズマガラス(前面)

プラズマガラス(後面)

Ag *** *** 1.35 1.46 Al 5.46 5.59 0.79 0.88 As 3.67 *** *** ***Ba 2.55 33.00 *** ***Bi *** *** 0.06 ***Br *** 0.03 *** ***Ca 19.20 8.56 36.80 33.40 Cl 0.20 0.33 0.04 ***Co *** *** 0.08 ***Cr 0.18 0.15 0.24 0.11 Fe 0.64 0.51 0.92 0.88 Gd *** *** *** 0.33 I 1.29 0.78 *** ***In 0.37 0.21 *** ***K 0.07 0.03 5.06 4.36

Mg 0.23 0.14 0.99 0.91 Mn *** *** *** 0.05 Na *** *** 0.90 0.83 Ni 0.03 0.03 0.03 ***P 0.45 0.23 0.11 0.09 Pb *** 0.59 11.90 11.20 Rb *** *** 0.09 0.08 S 0.02 0.02 0.18 0.16 Sb *** 14.10 *** ***Si 25.10 24.10 39.80 37.00 Sn 0.52 1.20 *** ***Sr 39.50 10.90 0.08 0.08 Ti *** *** 0.46 5.47 Y *** 0.04 *** 0.72 Zn 0.01 0.03 0.02 0.79 Zr 0.59 0.10 0.07 1.20

ガラス

元素

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63

3.6 ICP 発光分析 ICP 発光分析法は、溶液化した試料溶液をプラズマ炎中に導入して各元素固有の発光線

の発光強度を測定し、濃度を測定する分析法である。 今回の試料を溶液化した方法の概要は、まず、試料を王水(塩酸:硝酸=3:1)により加熱

分解し大部分の金属元素を溶解した。洗浄液に塩酸(1+2)を用いてろ過を行い、王水分解溶

液を得た。次にろ過残渣については、ろ紙ごと磁性ルツボに取り灰化して有機物を分解し

た後、フッ化水素酸と硝酸を用いて加熱分解・乾固を行い、フッ化水素酸を用いなければ

溶解しない金属の溶解とけい素の揮散除去を行った。その後王水性にして残渣処理溶液を

得た。このような処理を行ったが主にセラミックと思われる未溶解分が多少残ったが、こ

れらについては、今回処理を行わず棄却した。 これらの試験溶液を用いて ICP 発光分光装置による定性分析と 8 元素の定量分析を実施

し、それぞれの試験溶液より得られた結果を合計して報告値とした。 3.6.1 定性分析 試験溶液を ICP 発光分析装置に導入し、測定可能な金属元素のうち試料を加熱分解中に

揮散させるけい素と硫黄を除いたすべての元素について測定を行い、その結果を表 3 に示

した。定性分析は、各元素について複数波長の発光線について測定を行い、あらかじめ測

定してある各元素の標準溶液との強度比較により含有率を推定する分析である。今回の試

料のように試料組成が複雑な場合、共存成分による影響が大きく同一元素の異なる波長で

違う結果が得られる場合がある。共存成分の影響を考慮しながら含有濃度を推定した。 3.6.2 定量分析 今回定量分析を実施したのは、金、銀、パラジウム、銅、鉛、ビスマス、錫及びインジ

ウムの 8 元素である。定性分析と同様に ICP 発光分析装置により測定を行うが、測定に当

たっては、共存元素の影響調査を行い、影響の無い波長および測定ポイントを選定すると

ともに装置の も適正な測定濃度範囲に試料を希釈することにより、定性分析に比べ正確

度を飛躍的に向上させた測定方法を用いている。 測定結果を表 4 に示した。

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64

表3-3 ICP発光分光法による定性分析結果 単位: %

ビデオカメラ

オーディオデジタル

カメラポータブルMD

プレイヤーポータブルCD

プレイヤー液晶テレビ

DVDプレーヤー

電話機 カーナビ ゲーム機プラズマ

ディスプレイ並基板

プラズマディスプレイ上基板

フラッシュメモリープレイヤー

(A)

フラッシュメモリープレイヤー

(B)

ハードディスクプレイヤー

携帯電話デジタル家電混合

Ag 0.47 0.27 0.35 0.41 0.42 0.07 0.16 0.26 0.21 0.09 0.01 0.05 0.28 0.43 0.32 0.53 0.16Al 0.83 6.00 2.50 1.78 3.58 6.25 7.90 6.66 4.58 3.38 3.88 3.75 0.90 1.40 1.85 1.13 4.13As *** *** *** *** 0.01 0.01 *** *** *** *** *** *** *** *** 0.01 0.02 ***Au 0.09 0.04 0.03 0.10 0.06 0.01 0.02 0.01 0.01 0.02 0.01 0.03 0.11 0.09 0.09 0.16 0.02B 0.14 0.27 0.23 0.15 0.18 0.21 0.31 0.05 0.32 0.19 0.37 0.36 0.06 0.10 0.12 0.12 0.27Ba 3.23 1.65 0.65 1.40 1.15 0.30 0.43 0.47 0.55 0.13 0.23 0.55 1.37 1.58 0.70 2.05 0.28Be *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** 0.01 ***Bi 0.15 0.01 0.04 0.01 0.01 0.01 *** 0.05 *** 0.04 *** 0.02 *** 0.02 *** 0.01 0.03Ca 1.48 2.80 2.10 1.48 1.85 2.35 2.88 0.36 3.00 2.03 3.43 3.48 0.79 1.50 1.25 1.10 2.43Cd *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Ce 0.01 *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Co 0.02 0.01 0.01 0.02 0.01 *** *** 0.01 0.01 0.01 *** *** 0.01 0.02 0.01 0.33 ***Cr 0.03 0.50 0.25 0.75 0.08 *** 0.01 0.35 0.15 0.01 *** 0.01 5.01 1.50 0.25 0.65 0.10Cu 17.73 15.25 26.85 25.88 15.73 15.28 17.56 7.52 29.06 17.52 17.53 20.04 15.75 22.62 50.48 30.12 24.02Dy 0.01 *** *** 0.01 0.01 *** *** *** 0.01 *** *** *** *** 0.01 *** 0.01 ***Er *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Eu *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Fe 4.50 3.00 3.38 4.80 3.80 4.90 1.10 15.07 3.53 4.68 0.68 3.38 19.20 7.68 2.38 5.05 3.58Ga *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** 0.02 *** *** 0.01 ***Gd 0.01 *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** 0.01 0.01 0.01 *** 0.01 ***Ge *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Hf *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Hg *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Ho *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** 0.01 *** *** 0.01 ***In 0.01 0.01 *** 0.01 0.01 *** *** 0.01 0.01 *** *** *** 0.03 0.02 0.01 0.01 ***Ir *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***K 0.04 0.04 0.05 0.06 0.03 0.05 0.03 0.01 0.05 0.04 0.05 0.04 0.06 0.15 0.02 0.03 0.03La 0.04 *** 0.02 0.01 0.01 *** *** 0.02 *** *** *** 0.01 *** *** *** 0.03 ***Li *** *** *** *** *** *** *** 0.02 *** *** *** *** *** *** *** 0.01 ***Lu *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Mg 0.11 0.22 0.15 0.18 0.17 0.08 0.14 0.08 0.12 0.23 0.40 0.15 0.12 0.27 0.12 1.23 0.65Mn 0.46 0.12 0.19 0.31 0.32 0.45 0.01 0.35 0.03 0.03 *** 0.02 0.25 0.40 0.04 0.11 0.02Mo *** 0.01 *** 0.01 *** *** *** *** *** *** *** *** 0.01 0.01 0.01 0.04 0.01Na 0.11 0.11 0.10 0.29 0.10 0.09 0.06 0.03 0.14 0.07 0.14 0.07 0.50 1.03 0.05 0.05 0.06Nb 0.07 *** 0.01 *** *** *** *** 0.01 *** *** *** *** *** *** *** *** ***Nd 0.05 *** 0.02 0.01 0.02 *** 0.01 0.03 *** *** *** 0.01 *** *** *** 0.09 ***Ni 2.28 1.05 1.72 1.85 1.38 0.24 0.52 0.55 0.95 1.68 0.16 0.35 1.14 2.04 1.02 4.01 0.76P 0.02 0.30 0.03 0.13 0.15 0.02 0.14 0.18 0.09 0.04 0.06 0.03 0.07 0.12 0.18 0.09 0.07Pb 3.02 0.19 1.65 0.40 0.16 1.59 1.20 1.76 0.05 1.51 0.35 1.00 0.04 0.04 0.03 1.15 0.90Pd 0.13 *** 0.02 0.01 *** *** *** *** *** *** *** 0.01 0.01 *** *** 0.02 ***Pr 0.01 *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** 0.02 ***Pt *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Re *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Rh *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Ru *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Sb 0.17 0.17 0.20 0.07 0.16 0.18 0.09 0.14 0.05 0.23 0.03 0.13 0.05 0.05 0.03 0.05 0.15Sc *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Se *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Sm *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Sn 3.00 2.51 2.50 4.76 5.51 2.50 2.01 3.01 2.25 2.51 0.75 1.75 1.65 3.00 5.01 3.15 1.95Sr 0.06 0.04 0.05 0.03 0.03 0.03 0.04 0.03 0.03 0.04 0.06 0.07 0.05 0.03 0.02 0.03 0.04Ta 0.18 0.05 0.03 0.02 0.04 *** *** *** *** *** 0.01 *** 0.01 0.30 0.01 *** ***Tb *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Te *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Ti 1.16 0.49 0.25 0.41 0.38 0.13 0.18 0.24 0.19 0.08 0.08 0.22 0.41 0.51 0.20 0.61 0.11Tl 0.01 *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Tm *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***V *** 0.01 *** 0.01 *** *** *** *** *** *** *** *** 0.02 0.01 *** 0.01 ***W 0.02 0.02 *** 0.02 *** *** *** *** *** *** *** *** 0.01 0.02 0.02 0.16 ***Y 0.01 *** *** 0.01 *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** 0.02 ***Yb *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** *** ***Zn 0.93 0.84 1.63 0.80 1.35 2.04 0.53 0.86 1.09 0.86 2.08 0.41 0.17 0.74 0.75 1.67 2.02Zr 0.16 0.10 0.01 *** 0.02 0.02 0.01 0.04 0.01 *** *** *** 0.05 0.03 0.06 0.03 ***

元素

プリント基板

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65

表3-3 ICP発光分光法による定性分析結果単位:%

液晶ガラス(A社)

液晶ガラス(B社)

プラズマガラス(前面)

プラズマガラス(後面)

Ag *** *** 0.10 0.12Al 3.55 3.65 0.21 0.27As 0.32 *** *** ***Au *** *** *** ***B 0.54 0.46 0.03 0.05Ba 0.31 3.05 0.01 0.02Be *** *** *** ***Bi *** *** 0.01 0.01Ca 2.10 2.23 2.09 2.55Cd *** *** *** ***Ce *** *** *** ***Co *** *** *** ***Cr 0.01 0.01 0.01 0.01Cu 0.02 0.03 *** 0.01Dy *** *** *** ***Er *** *** *** ***Eu *** *** *** 0.01Fe 0.06 0.06 0.06 0.05Ga *** *** *** ***Gd *** *** *** 0.03Ge *** *** *** ***Hf *** *** *** ***Hg *** *** *** ***Ho *** *** *** ***In 0.02 0.02 *** ***Ir *** *** *** ***K 0.02 0.03 0.57 0.72La *** *** *** ***Li *** *** *** ***Lu *** *** *** ***Mg 0.35 0.18 0.64 0.71Mn *** *** *** ***Mo 0.01 *** *** ***Na 0.02 0.06 3.35 3.05Nb *** *** *** ***Nd *** *** *** ***Ni *** *** *** ***P 0.05 0.06 0.01 0.01Pb *** *** 1.75 2.00Pd *** *** *** ***Pr *** *** *** ***Pt *** *** *** ***Re *** *** *** ***Rh *** *** *** ***Ru *** *** *** ***Sb *** 0.95 *** ***Sc *** *** *** ***Se *** *** *** ***Sm *** *** *** ***Sn 0.02 0.02 *** ***Sr 1.63 0.81 *** ***Ta *** *** *** ***Tb *** *** *** ***Te *** *** *** ***Ti *** 0.02 0.05 0.11Tl *** *** *** ***Tm *** *** *** ***V *** *** *** ***W *** *** *** ***Y *** *** *** 0.05Yb *** *** *** ***Zn *** 0.01 *** 0.13Zr 0.02 0.01 *** 0.07

ガラス

元素

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66

表4 定量分析結果 単位:%Au Ag Pd Cu Pb Bi Sn In

ビデオカメラ 0.07 0.39 0.15 22.5 3.1 0.18 3.8 0.01未満オーディオ 0.03 0.26 0.01未満 17.2 0.16 0.01未満 2.8 0.01未満デジタルカメラ 0.03 0.32 0.01 29.2 1.6 0.03 3.0 0.01未満ポータブルMDプレイヤー 0.09 0.34 0.01未満 30.7 0.35 0.01未満 5.3 0.01未満ポータブルCDプレイヤー 0.05 0.37 0.01未満 20.8 0.12 0.01 6.4 0.01未満液晶テレビ 0.02 0.06 0.01未満 17.7 1.7 0.01未満 2.9 0.01未満DVDプレーヤー 0.02 0.16 0.01未満 19.0 1.2 0.01未満 2.1 0.01未満電話機 0.01未満 0.24 0.01未満 9.6 1.9 0.04 3.4 0.01未満カーナビ 0.01 0.19 0.01未満 33.0 0.04 0.01未満 2.7 0.01未満ゲーム機 0.02 0.08 0.01未満 19.2 1.6 0.03 2.9 0.01未満プラズマディスプレイ(並基板) 0.01未満 0.01未満 0.01未満 19.6 0.31 0.01未満 0.83 0.01未満プラズマディスプレイ(上基板) 0.03 0.04 0.01未満 21.8 1.1 0.01 2.1 0.01未満フラッシュメモリープレイヤー(A) 0.09 0.26 0.01未満 18.5 0.03 0.01未満 2.0 0.01未満フラッシュメモリープレイヤー(B) 0.07 0.39 0.01未満 25.0 0.02 0.01未満 3.8 0.01未満ハードディスクオーディオ 0.07 0.28 0.01未満 52.9 0.02 0.01未満 5.3 0.01未満携帯電話 0.16 0.51 0.02 34.6 1.3 0.01未満 3.7 0.01未満デジタル家電混合 0.01 0.14 0.01未満 24.5 0.91 0.02 2.1 0.01未満液晶ガラス(A社) 0.01未満 0.01未満 0.01未満 0.01 0.01未満 0.01未満 0.02 0.02液晶ガラス(B社) 0.01未満 0.01未満 0.01未満 0.02 0.01未満 0.01未満 0.11 0.02プラズマガラス(前面) 0.01未満 0.08 0.01未満 0.01未満 1.6 0.01未満 0.01未満 0.01未満プラズマガラス(後面) 0.01未満 0.09 0.01未満 0.01未満 1.9 0.01未満 0.01未満 0.01未満

プリント基板

ガラス

試料名

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3.7 まとめ 3.7.1 分析結果について (1)プリント基板 デジタル家電のプリント基板中の金の含有量は概ね数百 ppm となっており、一般の家電

品では、十数 ppm 程度であることを考えると、デジタル家電のプリント基板は、優良な貴

金属原料であるといえる。銀についても同様に高い含有量となっている。 中でも携帯電話の金の含有量は、0.16%と飛びぬけて高い値となっている。 また、レアメタルについて、鉛フリーはんだの使用状況を見るために、銀、鉛、ビスマス、

錫についても定量分析を行った。はんだそのものを分析指定なので、断定はできないが、銀

系の鉛フリーはんだが多く用いられいる様子が伺える。ビスマス系の鉛フリーはんだが使用さ

れていれば、乾式の鉛製錬にて回収できるが、今回の調査では、ビスマス系はあまり使用され

ていないようである。 (2)ガラス 液晶ガラスには 0.02%のインジウムが含有されいる。これはガラス表面に塗布された透明電

極の ITO に由来するものである。 インジウムは一般的に湿式製錬にて回収されるが、その採算はインジュウム品位で 1%以上といわ

れている。従って、液晶ガラスからのインジウム回収に際しては、できれば中間処理を行うリサ

イクルプラントにて、ガラス表面から ITO を剥離するなどして、インジウム濃度を高める必要

がある。また、ITO を剥離した後のガラスリサイクルについても検討が必要である。 プラズマガラスからは、銀と鉛が検出された、ともにガラス表面に塗布された電極回路な

どの成分であり、ブラウン管ガラスのように鉛ガラスが使用されているわけではない。(2枚のガラスの接合部には。フリットと呼ばれる鉛ガラスが使用されているが、今回この部分

は分析試料には入っていない。) 液晶ガラスと同様に、ガラス表面の塗布物を剥離などして金属原料として非鉄製錬所へ送

り、残ったガラスについては、別途リサイクルの検討をすべきである。 3.7.2 分析方法について 今回、使用済みデジタル家電の貴金属類、レアメタルの含有率の把握のため、蛍光 X 線

分析法による定性分析と酸分解法での ICP 発光分析法による定性分析と定量分析を実施し

た。 蛍光 X 線分析法は測定が非破壊測定であるため、酸分解法では測定できない元素(塩素、

臭素などのハロゲン類)の情報が得られることや、迅速性があることが長所であるが、短所

として、表面に存在する元素を高めに評価することや、解析に FP 法を用いるため、測定で

きない元素を除いて検出された元素の合計を100%とするため、全体に高めの評価をして

しまうことがある。よって、蛍光 X 線分析法の結果は、含有する可能性・含有する場合は

多量か少量かの推定にのみ用いるべきである。

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酸分解を用いた ICP 発光分析法では、ある程度正確な含有量の把握が可能であるが、採

取できる試料量が少量であるため、試料調製時の粉砕粒度、均一性により正確度が大きく左

右される。正確度を増すためには、分析試料数を増やして実施することにより対応可能であ

る。 今回用いた試料調整法(粉砕法)以外に、このような試料に対してはマット融解法、メタル

融解法などの試料調整法がある。 マット融解法は、試料を硫化鉄精鉱とともに加熱融解を行い、融解物を冷却後、微粉砕し

て分析試料とする前処理法である。試料を多量に処理することができ、試料の均質性が高く

なり正確度が上昇する。金、銀、銅などの貴金属類に対しては多くの知見もあり、正確な分

析結果が得られるが、レアメタルなどの融解時での挙動が良く知られていない元素や含有率

の低い元素では、フラックスとして多量の硫化鉄精鉱を混合することから、鉄精鉱中に含ま

れている成分や微量に含有する成分の分析には適さないこと、また、融解中に他の成分と不

溶性の化合物を形成する、もしくは融解中に揮散する可能性もある。 メタル融解法は、試料をそのまま溶解するか、純銅などのフラックスを添加して加熱融解

を行い、金属とスラグを形成し微粉砕した後に分析試料とする前処理法である。この前処理

法もマット融解法と同様に試料を多量に採取でき試料の均質性は上昇し、貴金属類について

は正確度の高い分析が行える前処理法であるが、他の金属については未知の部分が多く正確

な分析ができるかどうかは不明である。 正確な分析を行うためには、分析する目的成分を絞って、それに適した方法を個々の成分

について実施することが重要である。

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第四章

乾式製錬での金属回収検討

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4.1 調査の目的と概要 4.1.1 調査の目的と概要 現在のところ、廃棄台数はまだ少ないと思われているデジタル家電(デジタルカメラ、

薄型テレビ、DVD デッキなど)であるが、今後、急増することが予想されている。 一般に、デジタル家電に貴金属やレアメタルが使用されていることは、周知の事実であ

り、これらデジタル家電が今後廃棄され、中間処理された後の残渣から効率良く貴金属、

レアメタルを回収することは、廃棄コストの低減及び再資源化率向上に関して重要な要素

となる。 使用済みデジタル家電から貴金属、レアメタルを回収するためには、非鉄金属製錬技術

は必要不可欠であり、また、それを効率良く行うためには、既存の非鉄金属製錬所のイン

フラを活用することが重要である。 非鉄金属製錬技術には、大別して乾式製錬技術と湿式製錬技術があるが、本調査では、

乾式製錬技術を担当し、貴金属、レアメタルを回収する技術について報告をまとめる。 デジタル家電に使用されている貴金属、レアメタルは、主にプリント基板(以下基板と

呼ぶ)に濃縮していると考えられるため、具体的には、「乾式製錬技術を活用し、デジタル

家電基板から貴金属、レアメタルを効率よく回収する技術について検討すること」を目的

とする。 4.1.2 調査の概要 デジタル家電から得られる基板の分析値をもとに、非鉄製錬技術(主に鉛製錬技術と銅

製錬技術)についての検討を行う。特に、金、銀、プラチナ、パラジウム、ビスマス、セ

レンなどの乾式処理回収について技術的な検討を行う。 その後、鉛製錬技術に基づいた回収方法を検討し、小規模試験(ルツボ試験)および中

規模試験(キルン試験)を実施する。試験結果から、貴金属・レアメタルの回収について

考察する。 後に、使用済みデジタル家電基板の処理のビジネスモデルについて概説する。 巻末には、二元合金状態図を掲載する。「CONSTITUTION BINARY ALLOYS(HANSEN)

METALLURGY AND METALLURGICAL ENGINEERING SERIES」( McGRAW-HILL BOOKCOMPANY)より

抜粋

Cu と Pb に対する貴金属、レアメタルの状態図に関して抜粋したデータで、乾式製錬技術

を検討する上で、有用な情報を得ることができるので、参考にして頂きたい。

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4.2 乾式製錬技術を用いた貴金属、レアメタルの回収 ここでは、使用済みデジタル家電に使用されている貴金属、レアメタルを、乾式製錬技

術を用いて効率的に回収する方法について述べる。

まず、貴金属、レアメタルが濃縮されていると考えられる「デジタル家電基板」の分析

値を確認し、そこに貴金属、レアメタルが含まれているか確認する。

次に、貴金属、レアメタルを回収する製錬プロセス、特に鉛製錬、銅製錬について説明

する。また、それぞれの製錬の乾式炉でデジタル家電基板を処理し、貴金属、レアメタル

を回収する方法について検討する。

4.2.1 デジタル家電基板に含まれる貴金属、レアメタル

本調査では、実際に各種デジタル家電を分解して、各種デジタル家電基板を採取し、貴

金属、レアメタルの分析を行っている。

このデジタル家電基板(混合)の分析結果を表 2-1 および表 2-2 に示す。なお、表中の

「●」は貴金属に分類される元素もの、「○」はレアメタルに分類される元素をそれぞれ示

している。

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単位:%貴金属(●)

or

レアメタル(○) - ICP発光分光法 蛍光X線分析法Ag ● 0.14 0.16 0.67Al - 4.13 2.40As - *** 0.04Au ● 0.01 0.02 -B ○ - 0.27 -Ba ○ - 0.28 3.97Be ○ - *** -Bi ○ 0.02 0.03 0.13Br - - 25.30

Ca - 2.43 11.80Cd - *** -Ce ○ - *** -Cl - - 0.23Co ○ - *** ***Cr ○ - 0.10 0.14Cu 24.5 24.02 24.1Dy - *** -Er - *** -Eu - *** -

Fe - 3.58 5.61Ga ○ - *** -Gd - *** -Ge ○ - *** -Hf ○ - *** -Hg - *** -Ho - *** -In ○ 0.01未満 *** -Ir ● - *** -

K - 0.03 0.11La ○ - *** -Li ○ - *** -Lu - *** -Mg - 0.65 0.17Mn ○ - 0.02 0.08

表4-1 デジタル家電基板(混合)の分析結果(1)

元素定性分析定量分析

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単位:%貴金属(●)

or

レアメタル(○) - ICP発光分光法 蛍光X線分析法Mo ○ - 0.01 ***Na - 0.06 ***Nb ○ - *** 0.01Nd - *** ***Ni ○ - 0.76 0.88P - 0.07 0.33Pb 0.91 0.90 1.33Pd ○ 0.01未満 *** -Pr - *** -

Pt ● - *** -Re ○ - *** -Rh ● - *** -Ru ● - *** -S - - 0.69Sb ○ - 0.15 1.01Sc ○ - *** -Se ○ - *** -Si - - 15.2

Sm - *** -Sn 2.1 1.95 4.03Sr ○ - 0.04 0.42Ta ○ - *** ***Tb - *** -Te ○ - *** -Ti ○ - 0.11 0.84Tl ○ - *** -Tm - *** -V ○ - *** -

W ○ - *** ***Y ○ - *** ***Yb - *** -Zn - 2.02 0.53Zr ○ - *** 0.05

定量分析 定性分析

表4-2 デジタル家電基板(混合)の分析結果(2)

元素

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表 4-1 および表 4-2 を以下の分類で整理すると、以下の様になる。

分類(1):貴金属またはレアメタルで検出された元素

0.01%未満: In,Pd

0.01%以上: Au,Mn,Mo,Nb,

0.1%以上 : Ag,B,Bi,Cr,Ni,Sr,Ti,Zr

1%以上 : Ba,Sb

分類(2):貴金属またはレアメタルではないが検出された金属

0.1%以上 : Zn

1%以上 : Al,Fe,Pb,Sn

10%以上 : Cu

分類(1)に挙げたものが、今後、回収技術を検討するべき元素の「候補」である。

なお、In と Pd に関しては、定量分析結果が 0.01%未満(100ppm 未満)であったが、金

属価格が高く、濃度が低くても回収する意義があると考え、「候補」の中に残すこととした。

今後、これらの「候補」元素について乾式製錬技術を用いた回収技術について検討して

いく。

4.2.2 非鉄金属製錬所から産出される製品について

前節で、デジタル家電基板の分析結果から、回収技術を検討する元素の「候補」を挙げ

たが、これら全ての「候補」元素を回収目標として検討することは行わない。

もちろん「全ての「候補」元素を回収する目的で、新しい技術を開発し、必要なインフ

ラを検討する」ことも有意義であり、それを否定するものではないが、経済性など効率を

考慮した場合、既存の非鉄金属製錬所のインフラを活用することが有効であり、その検討

の中で「候補」から外れる元素もある。

まず、「既存の非鉄金属製錬所が何を生産しているかを調査し、その結果から、どの貴金

属、レアメタルを回収することができるか」を検討していく。

前節で、分類(2)に挙げた金属は、いわゆる「ベースメタル」と言われるものである。

分類(2)の中から Al と Fe を除くと、Cu,Pb,Sn,Zn となり、それぞれを産出する代表的な

非鉄金属製錬所が存在している。

ちなみにAlを除いた理由は日本国内にAl製錬所が存在しないこと、Feを除いた理由は、

非鉄ではない(すなわち鉄)であることによる。

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各非鉄金属製錬所で生産している製品(合金類を除く)の一例を以下に示す。

(1) 銅製錬所(三菱マテリアル株式会社 直島製錬所)の製品

電気銅、金、銀、白金、パラジウム、粗硫酸ニッケル、硫酸、発煙硫酸、

石膏、銅スラグ(カラックス)

(2) 鉛製錬所(細倉金属鉱業株式会社)の製品 電気鉛、電気ビスマス、三酸化アンチモン、粗銀(Au,Ag,Pt,Pd)、銅鈹(Cu)

(3) 錫製錬所(三菱マテリアル株式会社 生野事業所)の製品 電気錫

(4) 亜鉛製錬所(秋田製錬株式会社 飯島製錬所)の製品 電気亜鉛、電気カドミウム、硫酸 貴金属、レアメタルを生産している製錬所は、銅製錬所と鉛製錬所であることが分かる。

すなわち、デジタル家電基板を銅製錬所と鉛製錬所のインフラで処理すれば、より効率的

な貴金属、レアメタルを回収できると考えられる。 よって以後、銅製錬所と鉛製錬所のプロセスを紹介するとともに、どのプロセスでデジ

タル家電基板を処理できるのか、について説明する。

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4.2.3 銅製錬所(三菱マテリアル株式会社 直島製錬所)について

まず、銅製錬所の例として、三菱マテリアル株式会社 直島製錬所(以下、直島製錬所)

について述べる。

直島製錬所の総合系統図を図 4-1 に示す。

出展:三菱マテリアル㈱ 直島製錬所ホームページ(http://www.mmc.co.jp/naoshima/)

+

図 4-1 三菱マテリアル株式会社直島製錬所の総合系統図

直島製錬所は、銅製錬部門、貴金属製錬部門およびエコタウン施設を有しており、非鉄

金属製錬技術、リサイクル技術、環境保全技術を活用した事業活動を行っている。

銅製錬部門では、銅精鉱およびリサイクル再資源化物などを原料として、電気銅、粗硫

酸ニッケル、濃硫酸、石膏、水砕鍰(カラックス)を生産している。

貴金属製錬部門では、銅電解工場から産出される金銀スライムを原料として、金、銀、

白金、パラジウム、セレンなどを生産している。

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直島製錬所の銅熔錬フローを図 4-2 に示す。

出展:三菱マテリアル㈱ 直島製錬所ホームページ(http://www.mmc.co.jp/naoshima/)

図 4-2 三菱マテリアル株式会社直島製錬所の銅熔錬プロセス

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原料の銅精鉱は、貯鉱舎に貯留され、その他原料とブレンドされ、乾燥機で乾燥され、

乾燥鉱となる。

乾燥鉱は、三菱連続製銅炉(S炉、CL炉、C炉)にて処理され粗銅となり、精製炉を経て

純度 99.5%の製銅となり、鋳造機で鋳造されてアノードとなって電解工場に送られる。

アノードは電解工場で電解精製され、品位 99.99%の電気銅となる。アノード中に含まれ

るニッケルは、粗硫酸ニッケルとして回収し、金、銀、白金、パラジウム、セレン、テル

ル等を含む金銀スライムは貴金属工場で処理される。

また、三菱連続製銅炉(S 炉、CL 炉、C 炉)では、乾燥鉱の処理に伴い二酸化硫黄(SO2)

ガスが発生する。SO2 ガスは、ボイラーによる熱回収、ダスト除去の後、硫酸工場で濃硫酸

および発煙硫酸を生産し、硫酸工場からの排ガスは煙脱硫装置で石膏回収の後、煙突から

排出される。

貴金属工場では、直島製錬所産出の金銀スライム、国内関係銅製錬所や海外製錬所から

のスライムや粗メタル、スクラップなどを原料として処理、精製し、金、銀、白金、パラ

ジウム、セレンを回収する。

直島製錬所の生産品目と生産能力は、以下の通りである。

電気銅 225,000 T/年 (銅アノード 280,000 T/年)

金 60 T/年

銀 480 T/年

白金 360 kg/年

パラジウム 1,500 kg/年

セレン 330 T/年

硫酸 600,000 T/年

発煙硫酸 100,000 T/年

粗硫酸ニッケル 1,500 T/年

水砕鍰(カラックス) 500,000 T/年

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次に、直島製錬所の三菱連続製銅法について、詳述する。

三菱連続製銅法のフローを図 4-3 に示す。

出展:三菱マテリアル㈱ 直島製錬所ホームページ(http://www.mmc.co.jp/naoshima/)

図 4-3 三菱マテリアル株式会社直島製錬所の三菱法フロー

三菱連続製銅法は、S炉(Smelting Furnace:熔錬炉)、CL炉(Slag Cleaning Furnace:

錬かん炉)、C炉(Converting Furnace:製銅炉)更に精製炉を樋で繋いだ構造となってお

り、鉱石装入から粗銅製造まで連続的に行うものである。

三菱連続製銅法は、「設備自体がコンパクトにできることになり、省エネルギー、低コス

ト操業が可能となっている。また、従来法では、各炉間の移動に伴い、不回避的に発生し

ていた亜硫酸ガスの漏煙が防止され、効率よく排ガス処理工場で処理されることにより、

無公害のシステムである。」という特徴を有している。

S 炉において乾燥鉱は、粉炭、硅砂などと、ランスを通じて 50~60%の酸素富化空気と

共に炉内に吹き込まれている。S炉内では、それら原料および副原料が急速に溶解、酸化反

応が進み、Cu 品位 65%のマットと酸化物のスラグになる。S 炉の反応温度は、約 1,200~

1,300℃である。

マットとスラグの混合融体は、オーバーフローして、CL 炉に送られ、そこでマットとス

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ラグに分離される。マットは、さらに、C 炉に送られ、ランスから吹き込まれた石灰石と

30~40%の酸素富化空気と反応し、粗銅まで酸化される。

CL 炉で分離されたスラグは、水砕されて CL水砕鍰(カラックス)となる。

なお、この水砕鍰(カラックス)は、セメント原料、コンクリート用細骨材や、港湾お

よびダム、道路建設、軟弱地盤改良や地盤沈下防止対策用の埋め立て材などの土木用資材、

ブラスト材などに利用されている。

なお、マットは金属硫化物の融体で、鈹(かわ)とも呼ばれる。スラグは、SiO2や Al2O3

を含む酸化物の融体で、鍰(からみ)とも呼ばれる。

4.2.4 銅製錬所でのデジタル家電基板の処理について

銅製錬所でデジタル家電基板を処理する場合、その装入場所は、三菱連続製銅炉の S 炉

(図 4-3 中のスクラップと書かれているところ)になると考えられる。

装入されたデジタル家電基板は S 炉において酸化処理されることとなり、基板に含まれ

る貴金属、レアメタルは、マット、スラグおよび排ガスダストに分かれることになる。

先に、「4.2.1デジタル家電基板に含まれる貴金属、レアメタル」で分類した、表 4-1

および表 4-2 で検出された貴金属またはレアメタルを再掲する。

分類(1):貴金属またはレアメタルで検出された元素

0.01%未満: In,Pd

0.01%以上: Au,Mn,Mo,Nb,

0.1%以上 : Ag,B,Bi,Cr,Ni,Sr,Ti,Zr

1%以上 : Ba,Sb

これらの元素が、マット、スラグおよび排ガスダストに、どの程度の比率で分配される

のかは不明である。

定性的な予想を行えば、以下の様になる。

Au,Ag,Pt,Pd,Ni は、そのほとんどが銅(Cu)とともに、マットに移行し、粗銅、製銅、

アノードとなり、銅電解工場に送られると考えられる。先に述べた様に、Au,Ag,Pt,Pd は電

解工場で金銀スライムとなり、貴金属工場で製品となる。Ni は、電解工場で粗硫酸ニッケ

ルとして回収される。

スラグに移行した元素は、水砕鍰(カラックス)となり、先に述べた様に、セメント原

料などとして販売されている。水砕鍰(カラックス)を全て販売できることは、三菱連続

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製銅法の特徴の一つとなっているが、逆に言えば、「スラグに移行する貴金属、レアメタル

は、回収することが不可能になる」という点が問題となる。

ちなみに、他の銅製錬所においても、「スラグに移行する貴金属、レアメタルは、回収が

できなくなる」点は同様である。

排ガスダストに移行する元素は、煙灰として回収される。

煙灰は大部分が系内に戻されるが、一部は系外に抜き出され、硫酸処理の後、「鉛殿物」

となり、鉛製錬所(細倉金属鉱業株式会社)の原料となっている。例えば、鉛殿物には、

Bi,Sb などが含まれており、鉛製錬所(細倉金属鉱業株式会社)で製品として回収される。

その他「スライムテール」、「熔澱鈹鍰」など、鉛品位の高い「鉛化合物」も、鉛製錬所

(細倉金属鉱業株式会社)の原料となっている。

なお、銅製錬所と鉛製錬所との間の元素の移動については、後に詳述する。

また、銅製錬所において、良い品質のスラグを製造することも重要なポイントとなる。

例えば Al は、スラグの融点を上げるために、S 炉での処理を阻害する元素となる。その

他にも、スラグの品質を悪くするため、処理を好まない元素もある。

しかしながら、Al が入っていては全く処理できないという訳ではなく、処理する量によ

って問題が顕在化することがある様である。

どの程度まで Al などの不純物(阻害元素)を許容できるかについては、そのときの操業

状況によって異なるので、その都度、不純物濃度と処理量を検討する必要がある。

銅製錬所でデジタル家電基板を処理する場合のポイントを以下にまとめる。

・ デジタル家電基板は、溶鉱炉(S炉)で処理される。

・ Au,Ag,Pt,Pd,Ni は、銅製錬工程、貴金属製錬工程で製品として回収される。

・ スラグに移行する貴金属、レアメタルは、回収することが出来ない。

・ 排ガスダストは一部、鉛殿物となり、鉛製錬所に送られて製錬される。

例えば、鉛殿物に含まれる Bi,Sb などは鉛製錬所で、製品として回収される。

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4.2.5 鉛製錬所(細倉金属鉱業株式会社)の製造フロー

鉛製錬所の例として、細倉金属鉱業株式会社(以下、細倉製錬所)について述べる。

細倉製錬所の製造フローを図 4-4 に示す。

図 4-4 鉛製錬所 細倉金属鉱業株式会社の製造フロー

細倉製錬所には、大きく 7 つの工程がある。

R/B 前処理工程 :使用済みバッテリーを解体し、鉛原料の巣鉛(バッテリー内の極板、

ペースト)とプラスチックチップを製造する部門

溶鉱炉工程 :巣鉛およびその他原料(鉛殿物など)をコークスおよび溶剤にて溶

鉱炉で還元し、粗鉛(鉛 96.5%)と水砕鍰を製造する工程

排煙脱硫工程 :溶鉱炉排ガスを脱硫する工程

鉛電解工程 :粗鉛を精製してアノードを鋳造し、それを電解精製して電気鉛

(Pb 99.99%以上)を製造する工程

鉛電解工程では、Au,Ag,Pt,Pd,Bi,Sb が濃縮された鉛電解スライムを

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産出している。

副産工程 :鉛電解スライムを原料として、粗銀、電気ビスマス、三酸化アンチ

モンを製造する工程

錬鈹工程 :電解工場から産出されるドロス(一部、溶鉱炉から産出されるドロ

スも含む)から鉛を回収し、銅鈹(どうかわ)を製造する工程

合金シート工程:電気鉛を原料として鉛合金、鉛シートを生産する工程

細倉製錬所では、電気鉛、粗銀、電気ビスマス、三酸化アンチモン、銅鈹、鉛合金、鉛

シートを製造している。

電気ビスマスは低融点合金などに利用され、三酸化アンチモンは樹脂の難燃助剤、顔料

などに利用されている。粗銀は Au,Ag,Pt,Pd の原料として、直島製錬所貴金属部門に出荷

しており、銅鈹は銅原料として直島製錬所銅製錬部門に出荷している。

細倉製錬所の生産品目と生産能力は、以下の通りである。

廃バッテリー処理 3,200 T/月(max 6,000 T/月)

電気鉛 2,000 T/月

鉛シート 1,000 T/月

鉛合金 800 T/月

三酸化アンチモン 30 T/月

電気ビスマス 7 T/月

粗銀 10 T/月

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次に、粗銀、電気ビスマス、三酸化アンチモンを製造している副産工程について詳述す

る。副産工程のフローを図 4-5 に示す。

図 4-5 細倉製錬所の副産工程フロー

鉛電解工場から産出される電解スライムには、Au,Ag,Bi,Sb が濃縮されており、Pbも 10%

程度含まれている。

それを還元して、還元鉛(熔澱貴鉛)とし、それを揮発炉で空気を吹き込み酸化すると、

アンチモン(Sb)が揮発して、空気と接して酸化され三酸化アンチモンとなる。

アンチモンを除去した脱 Sb貴鉛を酸化炉に入れ、ゆっくり酸化すると、鉛密陀(なまり

みつだ、PbO)、ビスマス密陀(ビスマス酸化物、Bi2O3)が得られ、貴金属(Au,Ag,Pt,Pd)

が粗銀半製品として残る。

鉛電解スライム

還元炉 煙灰

熔澱貴鉛 鈹鍰

揮発炉

クーラー脱Sb貴鉛

バグフィルター

酸化アンチモン 酸化炉(灰吹き) 煙灰

粗銀半製品 ビスマス密陀 鉛密陀

精製炉 還元炉

粗蒼鉛 鈹鍰

アノードケットル

粗蒼鉛アノード

電解槽 熔錬工場へ

蒼鉛カソード

カソードケットル

粗銀 電気ビスマス直島製錬所へ

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粗銀半製品は、精製炉で精製し、粗銀としている。

ビスマス密陀は、還元して粗蒼鉛(粗ビスマス)とし、アノードとして電解精製し、電

気ビスマスとする。

鉛密陀および各炉で発生する鈹鍰(かわからみ)は、溶鉱炉に返して、鉛を回収する。

煙灰は、別工程で還元して、副産工程で再利用している。

なお、鈹鍰(かわからみ)とは、鈹(金属硫化物融体の冷却物、マット)と鍰(金属酸化

物融体の冷却物、スラグ)の混合物である。

以上の様に、鉛製錬所においては、Au,Ag,Pt,Pd,Bi,Sb の貴金属、レアメタルを回収し、

粗銀、電気ビスマス、酸化アンチモンとして出荷している。

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4.2.6 鉛製錬所でのデジタル家電基板の処理について

次に、デジタル家電基板を鉛製錬所で処理する場合について考える。

デジタル家電基板は、副産工程で鉛電解スライムと一緒に処理することが望ましいと考

える。

鉛電解スライムを処理するフローをもう少し細かく説明する。

鉛電解スライム処理フローを図 4-6 に示す。

図 4-6 副産工程 電解スライム処理フロー

鉛電解スライムは、水分を含むため、炉に装入後、しばらく乾燥させる必要がある。そ

のとき、炉の中でバーナーを焚き、水分が抜けるまで約 60分間程度保持している。

その後、コークスを添加して、鉛電解スライム中の金属(Bi,Sb など)を還元し、熔澱貴

鉛としている。還元の反応温度は、900~1,000℃である。

この工程で産出される鈹鍰は溶鉱炉で処理し、煙灰は還元して副産工程で再利用してい

る。

この鉛電解スライムの処理を行っているのが、副産工場のキルン(回転炉、小型ロータ

リーキルン)である。このキルンは、原料を装入して単にバーナーで加熱すれば酸化炉と

なり、コークスなどの還元剤を装入してバーナーで加熱すれば還元炉となる、雰囲気変更

の容易なバッチ炉である。

上述したフローの中で、鉛電解スライムを乾燥するタイミングで、デジタル家電基板を

装入すれば、円滑に処理できると考えられる。乾燥工程で、基板に含まれる樹脂は燃焼(酸

化)し、樹脂の燃焼熱は鉛電解スライムの乾燥に利用されるという利点もある。

鉛電解スライム

(デジタル家電基板) 乾燥

コークス 還元炉 煙灰

熔澱貴鉛 鈹鍰

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デジタル家電基板を鉛電解スライムと処理した場合の鉛製錬全体の予想フローを図 4-7

に示す。

図 4-7 デジタル家電基板を鉛電解スライムと

処理した場合の鉛製錬全体フロー

デジタル家電基板を電解スライムとともに処理した場合、それに含まれている貴金属、

レアメタルは、「熔澱貴鉛(還元鉛)」、「鈹鍰」および「煙灰」のいずれかに移行する。

この内、「煙灰」は還元して副産工程で再利用されるため、「熔澱貴鉛(還元鉛)」と「鈹

鍰」の貴金属、レアメタルがどの様に処理され、製品として回収されるか、を考えれば良

い。

基板中の Au,Ag,Pt,Pd,Bi,Sb が鉛に吸収されれば、粗銀、三酸化アンチモン、電気ビス

マスの製品となる。

鈹鍰に移行した貴金属、レアメタルは、溶鉱炉に戻り、 終的に水砕鍰(スラグ)、粗鉛、

溶鉱ドロスになる。

水砕鍰に移行した貴金属、レアメタルは回収することができない。

溶鉱ドロスは、電解ドロスとともに、錬鈹炉で鉛を回収した後、銅原料の銅鈹として銅

製錬所に送られる。

また、電解工場では、貴金属、レアメタルが濃縮されて鉛電解スライムとなり、副産工

程で処理されることとなる。

デジタル家電基板

鉛電解スライム

コークス、珪砂 鈹鍰(処理基板) Au,Ag,Pd,Cu,Pb

還元鉛 水砕鍰(スラグ)

副産工程

(揮発炉) 粗鉛 ドロス 銅鈹(酸化炉)など Cu,Pb Cu

酸化アンチモン

粗銀 電気ビスマス 電気鉛

Au,Ag,Pd,Pt Sb,Bi Pb

還元鉛(絞鉛)

Pb

電解スライム

Au,Ag,Pd

副産回転炉(酸化、還元)

熔鉱炉(還元)

電解工場(電解精製)

錬鈹炉(還元)

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また、もし鈹鍰に、有用な貴金属、レアメタルが濃縮されているのであれば、直接熔鉱

炉に入れずに、別途処理することも可能である。この点が、銅製錬所でのデジタル家電基

板処理と異なるところである。(ただし、鈹鍰から貴金属、レアメタルを回収するプロセス

については、検討が必要である。)

なお、溶鉱炉で直接、デジタル家電基板を処理する方法も考えられる。しかしながら、

溶鉱炉は還元雰囲気であるので、基板中の樹脂類を焼却(酸化)することが出来ない。

したがって、デジタル家電基板の処理は、雰囲気変更の容易な副産回転炉で処理するこ

とが望ましいと考える。

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4.2.7 鉛製錬所でのデジタル家電基板処理の実証試験について

以上、「銅製錬所のプロセス」、「鉛製錬所のプロセス」、「鉛製錬所でのデジタル家電基板

を処理した場合のフロー」について詳述してきた。

「乾式製錬技術を用いたデジタル家電基板からの貴金属、レアメタルの回収」について

検討する上で、実証試験の実施が必要である。

本調査では、鉛製錬所でデジタル家電基板を処理する実証試験を行うこととする。

鉛製錬所で実証試験を行う理由は、以下の点が、銅製錬所での処理よりも有利であると

考えるからである。

(1) 鉛製錬で使用しているキルンは、バッチ炉であり、物質収支が取りやすい。

(2) キルン炉は、酸化雰囲気、還元雰囲気の選択が容易である。

(3) キルン炉から産出される鈹鍰を別処理すれば、Au,Ag,Pt,Pd,Ni,Bi,Sb 以外の貴金属、

レアメタルを回収できる可能性が残されている。(ただし試験結果によっては、別処

理の必要が無いということもある。)

(4) キルン炉は、900~1,000℃で操業を行っており、銅製錬の 1,200~1,300℃よりも低

い。そのため、簡単な設備でデジタル家電基板処理を行うことができる。これは、

将来のビジネスモデルを考える上で、意味があると予想する。

(5) なお、銅製錬所では、銅スラグ(カラックス)に入る貴金属、レアメタルは、回収

することが難しいという点が問題である。

などである。

以後は4.3で、鉛製錬の乾式技術を想定した実証試験を実施していく。

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4.2.8 貴金属、レアメタルの分析方法について

後に、デジタル家電基板および試験サンプル試料の分析方法について述べる。

(1) 基板の前処理方法

基板に含まれる貴金属、レアメタルは、IC チップや樹脂の中に半ば封じられる形で入っ

ている。また、貴金属、レアメタルは、CPU などに多く使われており、局所的に偏析してい

ると考えられる。

したがって、基板を分析する前に、融解処理して基板中の貴金属、レアメタルを分析し

やすい形態にするとともに、均一化する必要がある。

基板のマット融解処理方法のフローを図 4-8 に示す。

図 4-8 基板のマット融解処理フロー

基板200~500 gを約2倍量のパイライト(Fe2S)と黒鉛ルツボ内で混合し、1,000~2,000℃

で 2 時間溶融する。

その後、放冷してルツボから取り出し、150 mm 以下に粉砕、調整する。

これによって、試料は均一となり、基板を代表するサンプルとして、貴金属、レアメタ

ルの分析を実施することができる。

後述するデジタル家電基板処理の実証試験において、基板類および試験サンプルは、特

別な場合を除き、マット融解処理を実施した後、分析を実施している。

試料 200~500 g

パイライト(FeS2) 攪拌 黒鉛ルツボ内

500~1,000 g

溶融 1,000~1,200℃2時間

放冷

粉砕、調整 150 mm以下

試料

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(2) 金銀(白金、パラジウム)の乾式分析方法

金銀の乾式分析のフローを図 4-9 に示す。

図 4-9 金銀の分析フロー

この分析フローは、「鉱石中の金および銀の定量方法(JIS M8111-1998)」として、規定

されているもので、金、銀、白金、パラジウムなどの分析のために行われている。

後述するデジタル家電基板処理の実証試験で、金、銀、白金およびパラジウムの分析は、

この分析フローに沿って実施している。

鉱石中に、酸化鉛および融剤(フラックス類と還元剤)を添加し、混合後、融解する。

このとき、鉛は還元されて「鉛ボタン」となり、鉱石中の金銀は鉛に吸収される。

その後、灰吹き操作によって、鉛をキューペル(骨灰)に吸収させ、金銀ビードを回収

し、金銀ビードを分金操作によって、金ビードと分金液に分離する。

金ビードの重量から Au 量、金銀ビードと金ビードの重量差から Ag 量( = 金銀ビード

重量 - 金ビード重量)、分金液の定量分析によって Pt,Pd 量をそれぞれ算出する。

貴金属類の分析に、酸化鉛の還元反応を利用し、鉛に貴金属類を吸収させており、それ

が JIS の分析方法で規定されているということは、鉛が貴金属の回収に有用であることを

指し示している。

鉱石試料

酸化鉛融剤 混合 融剤:

  ソーダ灰、ホウ砂、ケイ酸  小麦粉、硝石、鉄くぎ

融解

鉛ボタン

空気 灰吹き 鉛キューペルに吸収

金銀ビード 秤量

分金 分金液(銀、白金、パラジウム)

金ビード 秤量

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まさに、このフローは鉛製錬の乾式技術を活用して、貴金属類を回収、分析しており、

大変興味深い。

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4.3 鉛製錬技術を活用したデジタル家電基板からの

貴金属、レアメタル回収試験

今回の試験の目的は、鉛製錬技術を活用して、デジタル家電基板に含まれる貴金属、レ

アメタルを回収する方法を検討することにある。

そこで以下を実施することにより、その目的を達成する。

(1) デジタル家電基板に含まれる貴金属、レアメタルの含有濃度を分析する。

(2) それらの貴金属、レアメタルが鉛を用いて回収することができるか試験する。

(3) 鉛製錬操業で使用しているキルン(回転炉、小型ロータリーキルン)を用いて基板を

処理する試験を実施する。その結果から、実際に基板を鉛製錬工程で処理できるか考

察し、問題点および改善方法について検討する。

4.3.1 デジタル家電基板および OA 基板の分析結果

今回の試験に使用するサンプルとして、デジタル家電基板および OA 基板を準備した。

デジタル家電基板は、今回の調査事業で実際にデジタル家電製品から回収した基板であ

る。

OA 基板は、OA 機器から回収した基板で、「東日本リサイクルシステムズ株式会社」で準

備したものである。OA 基板は、デジタル家電基板と樹脂の材質が同じ(エポキシ系樹脂)

である。

現状では、デジタル家電基板を大量に集めることが困難であるためこれの代替品として

実炉で実証試験用に準備した。

デジタル家電基板および OA基板の写真を掲載する。

写真 4-1 デジタル家電基板

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写真 4-2 OA 基板

デジタル家電基板および OA 基板にどの程度の貴金属、レアメタルが含まれているか調査

した。入手したデジタル家電基板、OA 基板ともに、マット融解処理を行った後、乾式分析

(Au,Ag,Pd,Pt)、湿式分析(In)、蛍光 X線分析(その他の元素)を行った。

デジタル家電基板および OA基板の分析結果を表 4-3 に示す。

Au Ag Pd Pt Cu In Ni Mo Pb

ppm ppm ppm ppm % % % % %

デジタル家電基板 291 1,706 21 <1  12.1 <0.01 <1  N.D <1 

OA基板 280 590 80 <1  33.0 <0.01 1.1 <1  1.9N.D: 非検出

表4-3 デジタル家電基板、OA基板の分析結果

デジタル家電基板は、Au,Ag,Cu を多く含み、Pd も含まれていることがわかった。Pt,In

は含まれていない、または、ほとんど含まれていないと考えられる。

OA 基板は、デジタル家電基板に比べて、Ag濃度が低く、Pd,Cu 濃度が高い。また、Ni,Pb

が検出されていた。Pt,In は含まれていない、または、ほとんど含まれていないと考えられ

る。

表中に記載されていない元素は、蛍光 X線分析で N.D:非検出とされたものであり、今回

のサンプルには含まれていない、または、ほとんど含まれていないと考えられる。

OA 基板から Pbが検出された理由は、はんだ材料に Sn-Pb 原料が使用されていたためと考

えられる。一方、デジタル家電基板は、Pb 濃度が 1%未満であった。デジタル家電は比較

的新しい製品であるので、Pb フリーのはんだ材料(Sn-Ag-Cu はんだ、Sn-Bi はんだ、など)

が使用されているものと考えられた。

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4.3.2 ルツボ試験の概要と結果

デジタル家電基板および OA 基板に含まれる貴金属、レアメタルが、鉛を用いて回収(吸

収)することができるか調査した。

基板に含まれる貴金属、レアメタルは、樹脂や CPU などの部品の中に封じられているも

のもあり、単に基板を破砕して鉛と接触させるだけでは回収(吸収)が促進されないと予

想する。

そのため、基板の樹脂を除去する目的で、基板を一旦焼却し、その上で焼却基板を鉛(溶

湯)と接触させ、貴金属、レアメタルを吸収させる必要があると考える。

また、第 1 章で述べた様に、鉛製錬の電解スライムから粗銀を回収する工程では、還元

剤(コークス)を添加して、還元雰囲気で操業を行っている。したがって、基板の樹脂等

を焼却する酸化雰囲気の他に、還元剤(コークス)を添加した還元雰囲気での試験も必要

と考えられた。

4.3.3 ルツボ試験の方法

貴金属、レアメタルの鉛に対する吸収の程度をみるには、比較的小規模で、マテリアル

バランス(物質収支)が取りやすい条件で試験を行うことが望ましい。

そこで、小型の黒鉛ルツボ(外寸 240mmφ×330mmL、内寸 200mmφ×305mmL)を

用いて、以下の 2 条件で試験を行うこととした。

(1) 基板焼却試験 … 基板を焼却させた後、鉛(溶湯)に吸収させる試験

(2) 基板焼却-還元試験 … 基板を焼却させた後、還元剤(コークス)を添加し、

還元雰囲気下で鉛(溶湯)に吸収させる試験

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ルツボ試験のイメージ図を図 4-10 に示す。

図 4-10 ルツボ試験のイメージ図

使用した基板は、先に分析したデジタル家電基板および OA基板である。

使用する鉛は、電気鉛(99.99%、品位は JIS 品相当)を用いた。

また、還元剤のコークスは、実操業で使用しているものを使用した。

基板(約 1kg)

電気鉛(約 10 kg)

コークス(還元剤)(約 0.8kg) 還元試験時のみ使用

ルツボ

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ルツボ試験のフロー「図 4-11 ルツボを用いた基板焼却試験フロー」および「図 4-12 ル

ツボを用いた基板焼却-還元試験フロー」をそれぞれ示す。

図 4-11 ルツボを用いた基板焼却試験フロー

図 4-12 ルツボを用いた基板焼却-還元試験フロー

電気鉛 写真1-2

鉛溶解 写真1-3~4

基板 基板焼却(攪拌) 焼却攪拌 約30分間 写真1-5~9写真1-1 攪拌    約30分間 写真1-11~13

湯温測定 約700℃

冷却 処理灰 写真1-15       写真1-14

メタル吸収鉛       写真1-16

電気鉛 写真1-2

鉛溶解 写真1-3~4

基板 基板焼却(攪拌) 焼却攪拌 約30分間 写真1-5~9写真1-1 写真1-11~13

コークス 還元(攪拌) 攪拌    約30分間 写真1-11~13写真1-10 湯温測定 約700℃

冷却 処理灰 写真1-15       写真1-14

メタル吸収鉛       写真1-16

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4.3.4 ルツボ試験での特記事項 次に、ルツボ試験を行った際の特記事項について述べる。 まず、先に鉛(溶湯)の中に、基板を挿入した直後であるが、下に示す様に、ガスが発

生した(写真 4-3)。この時の鉛(溶湯)の温度は、約 420℃以上であり、この温度で分解

される樹脂類がガスとなったと考えられた。

写真 4-3 基板からガス発生

発生した排ガスは、ガスはわずかに黄色(少し赤褐色)を呈していた時間帯があり、こ

れは塩素または臭素などを含むガスが発生していると予想された。基板には、臭素を含む

難燃性のエポキシ樹脂が使用されていることがあり、これが、排ガスの色の原因であると

考えられる。

次にこのガスは、バーナーの火を近づけると燃焼し、黒煙を発生した。下の写真は、発

生した黒煙を吸引しているところである(写真 4-4)。

写真 4-4 燃焼ガスを排気ダクトで吸引

ルツボの中は空気の循環が悪く、そのため、可燃性ガスが不完全燃焼を起こしたものと

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考えられる。

バーナーの炎をルツボ内に入れて、空気がルツボ内に入る様な気流を発生させることで

黒煙の発生を抑えることができた。

その後、25~30 分後には、可燃性ガスの発生が終わり(写真 4-5)、その後、鉛と基板を

良く攪拌した(写真 4-6)。(焼却-還元試験では、コークスを添加した後に攪拌した。)

写真 4-5 可燃性ガスの発生終了

写真 4-6 攪拌中(2)

攪拌時の気付き事項であるが、鉛の比重が大きいために、基板は完全に鉛(溶湯)の上

に浮いた状態となり、十分な攪拌はかなり難しいことが示唆された。

攪拌終了時(基板挿入 30 分間、攪拌 30 分間)の鉛(溶湯)の温度は、約 700℃であった。

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4.3.5 ルツボ試験の結果

ルツボ試験は、以下の 3 条件で実施した。

(1) デジタル家電基板の焼却試験 (平成 18 年 11 月 7~8 日実施) (2) デジタル家電基板の焼却-還元試験(平成 18 年 12 月 6~7 日実施) (3) OA 基板の焼却試験 (平成 18 年 11 月 6~7 日実施)

それぞれの試験で用いた基板、コークス(焼却-還元試験のみ使用)、処理灰およびメタ

ル吸収鉛の写真を巻末の「写真資料2 ルツボ試験サンプル写真」に掲載する。

デジタル家電基板の焼却処理灰(写真 4-7)およびメタル吸収鉛(写真 4-8)をそれぞれ

抜粋して掲載する。

写真 4-7 デジタル家電基板 焼却処理灰

焼却処理灰の中には、鉄の他に、金属片状の物質も含まれていた。これらの金属片は、

IC チップの中の Si半導体と予想されるが、詳細は不明である。

写真 4-8 デジタル家電基板 焼却処理メタル吸収鉛

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メタル吸収鉛の上部には、処理灰が一部埋まっている。メタル吸収鉛の分析サンプルは、

サンプル底部をボーリングして調整したため、上部に埋まっている処理灰は分析値に影響

しないと考える。

デジタル家電基板の焼却-還元試験で使用したコークス(写真 4-9)と処理灰(写真 4-10)

をそれぞれ掲載する。

写真 4-9 コークス 焼却-還元試験時使用

写真 4-10 デジタル家電基板 焼却-還元処理灰

前述した様に、コークスは操業で使用しているもので、水分約 16%を含んでいる。

焼却-還元処理灰には、未反応のコークスが多く含まれていた。

また、

(3) OA 基板の焼却試験 (平成 18 年 11 月 6~7 日実施) で得られた「処理灰」および「メタル吸収鉛」は、デジタル家電基板の焼却処理サンプル

と同じ外観であった。

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4.3.6 ルツボ試験サンプルの分析結果とデータ解析結果

ルツボ試験で得られたサンプルを分析し、その結果を解析した。

分析を行うにあたり、各サンプルの前処理を実施したが、以下の方法で行った。

焼却処理灰 … マット融解処理の後、乾式分析(Au,Ag,Pd,Pt)、

湿式分析(In)、蛍光 X 線分析(その他の元素)

焼却-還元処理灰 … 「粉」と「塊」に篩い分け、重量比を算出

「粉」は前処理なしで乾式分析(Au,Ag,Pd,Pt)、

湿式分析(In)、蛍光 X 線分析(その他の元素)

「塊」は王水溶解して、ICP 分析(Au,Ag,Pd,Cu,Pb)

メタル吸収鉛 … 前処理なしで乾式分析(Au,Ag,Pd,Pt)、

湿式分析(In)、蛍光 X 線分析(その他の元素)

これらの中で、焼却-還元処理灰のサンプルのみ、前処理のみが異なっている。

この方法は、「粉と塊を分離することで、マット融解処理を実施せずに迅速な分析を行う」

ことが可能であり、Au,Ag,Pd,Cu,Pb の分析精度は、マット融解処理と同等である。

分析結果を元に解析したデータとその計算方法は、以下に示す通りである。

・ 含有量 含有量 (mg) = 重量 (kg) × 濃度 (ppm) 含有量 (g) = 重量 (kg) × 濃度 (%) ÷ 100 × 1,000

・ 分配率

分配率(処理灰) = 処理灰の含有量

÷ (処理灰の含有量 + メタル吸収鉛の含有量)× 100

分配率(メタル吸収鉛)

= メタル吸収鉛の含有量

÷ (処理灰の含有量 + メタル吸収鉛の含有量)× 100

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102

(1) デジタル家電基板の焼却試験 (平成 18 年 11 月 7~8 日実施) デジタル家電基板の焼却試験における分析結果、解析結果を表 4-4 に示す。

試験サンプルの分析結果

重量 Au Ag Pd Pt Cu In Bi Sb Sn Pb

kg ppm ppm ppm ppm % % % % % %

INPUT

デジタル家電基板 1.00 291 1,706 21 <1 12.1 <0.01 - - - <1

鉛 10.90 - 1 - - 0.0002 - 0.0002 - <0.0001 99.999

OUT

処理灰 0.80 89 164 9 <1 4.8 <0.01 - - - 16.8

メタル吸収鉛 10.80 4 50 <1 <1 0.14 <0.01 0.04 <0.01 0.01 99.80

含有量

重量 Au Ag Pd Pt Cu In Bi Sb Sn Pb

kg mg mg mg mg g g g g g g

INPUT

デジタル家電基板 1.00 291 1,706 21 0 121.0 0 - - - -

鉛 10.90 - 11 - - 0.022 - 0.022 - 0 10,900

OUT

処理灰 0.80 71 131 7 0 38.4 0 - - - 134

メタル吸収鉛 10.80 43 540 0 0 15.1 0 4.3 0 1.1 10778

分配率

重量 Au Ag Pd Pt Cu In

kg % % % % % %

OUT

処理灰 0.80 62 20 100 * 72 *

メタル吸収鉛 10.80 38 80 0 * 28 *Auの鉛への分配率が低い Cuの鉛への分配率が低い

Agの鉛への分配率が高い

表4-4 デジタル家電基板 ルツボ焼却試験結果

含有量の表をみると、INPUT の合計と OUTPUT の合計の差がかなり大きいことがわか

る。例えば Ag の場合、 INPUT : 1,706 + 11 = 1,717 mg OUTPUT : 131 + 540 = 674 mg となり、INPUT に対して OUTPUT の含有量が少ない。Au,Cu でも同様である。

これは、Au,Ag,Cu が揮発などして失われたのではなく、基板サンプルの金属が局所的に

偏析しているためと考えられる。したがって、含有量を比較してもあまり効果的ではなく、

分配率のデータを議論すべきである。 分配率のデータをみると、メタル吸収鉛への分配率は、Ag が高く、Au,Cu が低いことが

分かる。 また Pd のメタル吸収鉛への分配は認められなかった。ただし Pd は濃度が低く、誤差も

大きいためで、「Pd は鉛に全く吸収されない」と結論付けることはできない。 なお、ルツボへの処理灰、メタル吸収鉛への付着はなく、ルツボへの分配は無視する。

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(2) デジタル家電基板の焼却-還元試験(平成 18 年 12 月 6~7 日実施) デジタル家電基板の焼却-還元試験における分析結果、解析結果を表 4-5 示す。

試験サンプルの分析結果

重量 Au Ag Pd Pt Cu In Bi Sb Sn Pb

kg ppm ppm ppm ppm % % % % % %

INPUT

デジタル家電基板 1.00 291 1,706 21 <1 12.1 <0.01 - - - <1

鉛 10.90 - 1 - - 0.0002 - 0.0002 - <0.0001 99.999

コークス(水分16.2%) 0.67 - - - - - - - - - -

OUT

処理灰   粉 0.65 139 536 17 <1 6.7 <0.01 1.2 - - 45.4

    〃    塊   0.15 25 50 <1 <1 8.0 - 1.9 - - 1.9

メタル吸収鉛 10.80 9 149 <1 <1 0.16 <0.01 0.02 <0.01 0.03 -

含有量

重量 Au Ag Pd Pt Cu In Bi Sb Sn Pb

kg mg mg mg mg g g g g g g

INPUT

デジタル家電基板 1.00 291 1,706 21 - 12.1 - - - - 0.0

鉛 10.90 - 11 - - 0 - 0 - 0 1,090

コークス(水分16.2%) 0.67 - - - - - - - - - -

OUT

処理灰   粉 0.65 90 347 11 0 43.3 0 7.8 - - 29.4

    〃    塊   0.15 4 8 0 0 12.2 - 2.9 - - 2.9

メタル吸収鉛 10.80 97 1,609 0 0 17.3 0 2.2 0 3.2 -

分配率

重量 Au Ag Pd Pt Cu In

kg % % % % % %

OUT

処理灰   粉 0.65

    〃    塊   0.15

メタル吸収鉛 10.80 51 82 0 * 29 *焼却試験結果と比較するとAuの鉛への分配率が少し上がっている。

表4-5 デジタル家電基板 ルツボ焼却-還元試験結果

49 18 100 * 76 *

分配率のデータをみると、Au の鉛への分配率が焼却試験のときよりも上がっている

(38% → 52%)。Ag および Cu の鉛への分配率は同等であった。 また、処理灰(粉)中の Pb 濃度が 45%もあり、かなり高い。 処理灰中の鉛が高い理由としては、 ・ 鉛(溶湯)がコークス等に吸収、吸着されるなどしたため ・ コークスを添加しても還元雰囲気にはならず、酸化鉛となった

の 2 点が考えられるが、詳細は不明である。 Pd に関しては、焼却試験と同様に鉛への分配は認められなかった。ただしこの場合も Pd

濃度が低いため、「Pd は鉛に全く吸収されない」と結論付けることはできない。

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(3) OA 基板の焼却試験 (平成 18 年 11 月 6~7 日実施) OA 基板の焼却試験における分析結果、解析結果を表 3-4 に示す。

試験サンプルの分析結果

重量 Au Ag Pd Pt Cu In Bi Sb Sn Pb

kg ppm ppm ppm ppm % % % % % %

INPUT

OA基板 1.05 280 590 80 <1 33.0 N.D - - - 1.9

鉛 10.75 - 1 - - 0.0002 - 0.0002 - <0.0001 99.999

OUT

処理灰 0.80 9 9 <1 <1 9.3 <0.01 - - - 10.9

メタル吸収鉛 10.80 5 43 <1 <1 0.08 <0.01 <0.01 <0.01 0.01 99.9

含有量

重量 Au Ag Pd Pt Cu In Bi Sb Sn Pb

kg mg mg mg mg g g g g g g

INPUT

OA基板 1.05 294 620 84 0 346.5 0 - - - <1

鉛 10.75 - 11 - - 0.022 - 0.022 - 0 10,750

OUT

処理灰 0.80 7 7 0 0 74.4 0 - - - 87

メタル吸収鉛 10.80 54 464 0 0 8.6 0 0 0 1.1 10,789

分配率

重量 Au Ag Pd Pt Cu In

kg % % % % % %

OUT

処理灰 0.80 12 2 * * 90 *

メタル吸収鉛 10.80 88 98 * * 10 *Au,Agの鉛への分配率が高い Cuの鉛への分配率が低い

表4-6 OA基板 ルツボ焼却試験結果

分配率のデータをみると、OA 基板の場合はデジタル家電基板に比べて、Au の鉛への分配

率がかなり高いことが分かる。

Cu の鉛への分配率は、デジタル家電基板と同様である。

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105

4.3.7 ルツボ試験のまとめ ルツボ試験の結果をまとめる。 (1) デジタル家電基板の場合、焼却試験、焼却-還元試験の両方において、Au および Cu

の鉛への分配率は低い。特に、Pd の鉛への分配率は非常に低い。 (2) デジタル家電基板の場合、焼却試験、焼却-還元試験の両方において、Ag の鉛への分

配率は高い。 (3) 一方、OA 基板においては、Au と Ag の鉛への分配率が高く、Cu は低い。(Pd は含有

されていないため議論できない。) (4) 特に、同じ「焼却条件」でありながら、OA 基板の Au の鉛への分配率は非常に高く、

デジタル家電基板は低い(OA 基板 88%に対して、デジタル家電基板 38%)。 (5) また、デジタル家電基板の焼却試験、焼却-還元試験を比較すると、焼却-還元試験の

方が、Au の鉛への分配率が高い(焼却時 38%に対して、焼却-還元時 52%)。

これらの結果から、

Au の鉛への分配率においては、基板の種類(デジタル家電基板と OA 基板)と試験条件

(焼却と焼却-還元)で大きく異なっている。 基板中の Au は明らかに金属 Au であるため、Au の存在形態が影響しているとは考えられ

ない。 例えば、今回の鉛に対する Auの分配率の差は、

「デジタル家電基板は OA 基板に比べて、IC チップの数が多く、そのため相対的に Au が

鉛に接触する機会が少なくなった(のではないか)」

「硬いコークスを入れて攪拌することによって、焼却基板の破砕が若干進み、その結果、

Au の鉛への接触が増えた(のではないか)」

ということに起因していると予想している。

すなわち、「基板を攪拌しているときに基板中の Au がどれだけ鉛に接触できたか」によ

って決まり、Au をより多く鉛に吸収させるためには、その鉛との接触を促進させる様な方

法を取れば良いと考える。

一方 Agについては、Auと異なり、基板上で比較的鉛に接触しやすい場所にあるのではと

予想する。例えば、「2-1 デジタル家電基板および OA 基板の分析結果」で述べた様に、デ

ジタル家電基板では、Pbフリーのはんだ材料(特に Sn-Ag-Cu はんだ)が使用されていると

すれば、今回の結果の説明が容易である。

はんだは、基板の表面で使用されているため、鉛との接触が容易であり、そのため鉛に

対する Agの分配率は高くなる。

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106

Cu に関しては、Cu の鉛に対する溶解度が低いことで説明ができる。

「CONSTITUTION BINARY ALLOYS(HANSEN)

METALLURGY AND METALLURGICAL ENGINEERING SERIES」( McGRAW-HILL BOOKCOMPANY)に

よれば、

Pb-Cu 合金の組成は、Pb 98wt% -Cu 2wt% (700℃)

Pb 99.8wt% -Cu 0.2wt% (327℃)

であり、Pb 中の Cu濃度は元々低い。

ちなみに、この性質を利用し、鉛(溶湯)の温度を下げることによって、Pb から Cuを除

去するプロセスを採用している鉛製錬所もある。

試験終了時の鉛(溶湯)の温度は、700℃以上であったが、処理基板の浮いている表面付

近の温度はさらに低いと考えられる。

実際、試験後のメタル吸収鉛の Cu 濃度を比較してみると、0.2%以下であり、かなり湯

温が下がっていたと予想する。

メタル吸収鉛中の Cu 濃度

デジタル家電基板 焼却 0.14%

〃 焼却-還元 0.16%

OA 基板 焼却 0.08%

また、Cu の鉛に対する分配率が試験条件によって異なっている点であるが、

・メタル吸収鉛中の Cu の含有量はどの条件でもほぼ一定である(と考える)。

・処理灰中の Cu の含有量が多ければ、鉛への分配率が低くなる。

・逆に、処理灰中の Cu の含有量が少なければ、鉛への分配率が高くなる。

ということで、結局は、処理灰中の Cu品位によって決まるものと考えられた。

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107

4.3.8 キルン試験の概要と結果

細倉金属鉱業株式会社では、複数台のキルン(回転炉、小型ロータリーキルン)を用い

て、鉛電解スライムから粗銀(Auと Ag 合金)の製造、ビスマスの濃縮などを行っている。

これらのキルンは、原料を装入して単にバーナーで加熱すれば酸化炉となり、コークス

などの還元剤を装入してバーナーで加熱すれば還元炉となる、雰囲気変更の容易なバッチ

炉である。

デジタル家電基板をこのキルンで処理し、貴金属やレアメタルを鉛に吸収することがで

きれば、鉛製錬の粗銀製造工程等を有効に活用することが出来ると考えられる。

よって、ルツボ試験に続いて、操業で使用しているキルンを用いて基板を処理する試験

を実施した。

実炉を用いたキルン試験を行うことで、基板処理を行う際の問題点などが明らかとなり、

デジタル家電基板の処理方法について検討を進めることができると考えられる。

試験に使用したキルン(3.3mφ × 3.3mL)の写真を以下に掲載する。

写真 4-11 副産工場 4号回転炉(1)

キルンの前面部には、「装入口」と「抜き口」がある。

「装入口」からは原料および副原料を装入し、反応後、「抜き口」処理物を抜き出す「抜

き口」がある。

炉を回転させることによって「抜き口」の高さを調整することができる。炉内の湯面(固

体物を含む)の高さまで「抜き口」を下げることで、反応物を抜くことができる。

装入口

抜き口

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108

キルンを横からみた写真を掲載する。

キルンの後ろには、「バーナー」と「煙道」がある。

写真 4-12 副産工場 4号回転炉(2)

4-2-3(1) キルン試験の方法

ルツボ試験のイメージ図を図 4-13 に示す。

図 4-13 キルン試験のイメージ図

キルン試験の大まかな手順は、以下の様になる。

(1) 鉛原料、基板を装入口から装入する。

(2) 還元反応時には、還元剤を装入する。(還元反応時のみ)

(3) 炉を回転させ、反応させる。

(4) 抜き口から基板処理物を抜き出す。

(5) メタル吸収鉛を抜き出す。

バーナー

煙道

バーナー口

抜き口

(1)鉛原料、基板を装入

(2)還元剤を装入(還元時)

(4)基板処理物の抜き出し

(5)メタル吸収鉛の抜き出し

排ガス

装入口 (3)炉の回転、反応

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今回のキルン試験では、破砕していない OA基板を使用した。

OA 基板(未破砕)の写真を掲載する。

写真 4-13 OA 基板(未破砕)

キルン試験に OA 基板(未破砕)を使用した理由は、

・ キルン試験を行うに十分なデジタル家電基板を集めることができなかった。

(キルン試験には、 低でも 100 kg 以上の基板が必要と判断された。)

・ 準備した OA 基板は、デジタル家電基板と樹脂の材質が同じであり、操業上の

問題点を明らかにするには、OA 基板で十分と判断した。

・ ルツボ試験では、破砕した OA 基板を使用したが、キルンの大きさから判断し

て破砕する必要はないと判断した。

である。

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110

まず、試験時に撮影した写真を用いて、試験の手順を説明する。

基板およびの装入は、装入機を用いて行う。

写真 4-14 OA 基板の回転炉への装入(1)

写真 4-15 OA 基板の回転炉への装入(2)

装入機

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111

送入機は、原料を装入部に乗せて炉内に挿入し、装入部を炉内で回転させ、原料を炉内

に落とす構造となっている。

写真 4-16 OA 基板の回転炉への装入(3)

原料を装入した後、装入蓋を閉め、キルンを回転させる。

写真 4-17 装入蓋を閉めて焼却、その後回転

装入部を回転させ、 原料を炉内に落とす

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112

反応後、抜き口を開け、抜き口に詰めてあった粘土を除去する。

写真 4-18 抜き口を開ける

抜き口を開けて、炉内の状況をみたところである。

写真 4-19 反応後の炉内の状況(抜き口から炉内を見る)

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113

処理灰は炉内から掻き出す。

写真 4-20 抜き口から処理灰を掻き出す

処理灰を鍋に回収したところである。

写真 4-21 処理灰

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114

その後、抜き口からメタルを採取し、ボタンサンプルとする。

写真 4-22 メタルのサンプリング(1)

写真 4-23 メタルのサンプリング(2)

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その後、メタル吸収鉛を鋳型に採取する。

写真 4-24 メタル吸収鉛の鋳型への採取

写真 4-25 メタル吸収鉛(鋳型で冷却中)

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キルン試験のフロー「図 4-14 キルンを用いた OA 基板焼却試験フロー」を示す。

電気鉛(製品) 2,000 kg

溶融(回転)

キルン洗浄 洗浄鉛

電気鉛(製品) 溶融(回転) 試験前鉛(1)約3,000 kg

OA基板 基板焼却 約60分間 ガス採取約200 kg

回転 約60分間

掻き出し 処理灰

メタル採取 メタル吸収鉛 サンプル

メタル吸収鉛

図 4-14 キルンを用いた OA 基板焼却試験フロー

試験に使用したキルンは、操業で使用しているため、炉内には Au,Ag などが残留してい

る。そのため、試験の前に電気鉛(2,000 kg)を炉内に入れ、炉内洗浄を実施した。

その後、原料となる電気鉛(3,000 kg)を入れ、溶融(回転)し、試験前鉛(1)を採取した。

試験前鉛(1)を分析することで、基板を装入する前の鉛中の貴金属、レアメタルの濃度を

知ることができ、試験後にそれらの濃度がどの様に変化したかによって、貴金属、レアメ

タルの吸収を知ることができる。

試験前鉛(1)採取後に、OA 基板を装入した。

OA 基板の可燃性成分を焼却する目的で、60 分間その状態を保持し、その間に排ガスの測

定を実施した。

その後、炉内を攪拌する目的で、60 分間キルンを回転させ、抜き口から処理灰、メタル

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吸収鉛を回収した。

キルン試験のフロー「図 4-15 キルンを用いた OA 基板焼却-還元試験フロー」を示す。

電気鉛(製品) 2,000 kg

溶融(回転)

キルン洗浄 洗浄鉛

電気鉛(製品) 溶融(回転) 試験前鉛(1)約3,000 kg

基板 基板焼却 約60分間約200 kg

回転 約60分間

コークス 還元(回転) 約60分間210 kg(dry)

掻き出し 処理灰

メタル採取 メタル吸収鉛

メタル吸収鉛

図 4-15 キルンを用いた OA 基板焼却-還元試験フロー

OA 基板焼却-還元試験は、以下の点を除いて焼却試験と同じである。

焼却試験と異なる点は、以下の 2点である。

・ 排ガスの測定を行わなかった点

(基板を焼却するところは、全く同じ条件であるため)

・ 焼却、回転後に、コークスを装入し、さらに 60分間キルンを回転させた点

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4.3.9 キルン試験での特記事項

次に、キルン試験を行った際の特記事項について述べる。

(1) 基板装入時の黒煙の発生

今回のキルン試験では、鉛(溶湯)の中に OA基板(約 200 kg)を装入した。

OA 基板(約 200 kg)を装入機で 3回に分けて挿入したが、その間に、装入口より黒煙が

発生した。

そのときの写真を掲載する。

写真 4-26 OA 基板の装入直後に黒煙が発生

OA 基板の装入時には、バーナーは消した状態であったが、鉛(溶湯)の温度が、樹脂の

着火点以上であったために、自然発火したものと考えられた。

発生した黒煙は、前面フードで吸引され、バグフィルターを経て排出されるが、黒煙の

発生は抑えなければならない。

黒煙の発生

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(2) OA 基板焼却試験で得られた「処理灰」の破砕

OA 基板焼却試験で得られた「処理灰」は、大きな塊となった。

「OA基板焼却処理灰」の写真を示す。

写真 4-27 OA 基板焼却処理灰(キルン試験)

この処理灰の分析結果の詳細については後述するが、処理灰中の Pb 濃度が 50%程度であ

った。このことから、OA 基板焼却処理灰(キルン試験)が大きな塊となった理由は、以下

であると推察する。

・ キルン内部で鉛の一部が酸化されて酸化鉛(PbO)になった。

・ PbO の融点は 886℃であるので、生成した PbOは炉内で液体となる。

・ PbO は比重差の関係で、鉛(溶湯)の上に存在する。

・ 今回処理灰とともに、液状の PbO も回収した。

・ そのために冷却された処理灰は大きな塊となった。

なお、キルンを用いた実操業においては、上記の様な現象は一般的なことであり、その

場合には、破砕して使用している。

製錬所には、塊を破砕するための破砕場があり、分銅を用いて破砕を行っている。

そこで、今回キルン試験の後に、得られた塊を破砕する試験も実施した。

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塊を破砕している状況、破砕後の「OA 基板焼却処理灰」の写真を示す。

写真 4-28 試料の破砕

写真 4-29 破砕後の試料 OA 基板焼却処理灰(破砕後)

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(3) OA 基板焼却-還元試験で得られた「処理灰」について

一方、焼却-還元試験で得られた「処理灰」は、塊とはならず、破砕の必要はなかった。

「OA基板焼却-還元処理灰」の写真を示す。

写真 4-30 OA 基板焼却-還元処理灰(1)

写真 4-31 OA 基板焼却-還元処理灰(2)

一部金属鉛の混入がみられるが、それ以外の固体物は小さく、塊とはなっていなかった。

また、未反応のコークスが多く含まれていた。

破砕の必要がない

金属鉛

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(4) 「処理灰」中の基板の残滓について

キルンの抜き口から「OA 基板焼却処理灰」を掻き出したところ、未反応(もしくは焼却

途中)と思われる基板の残滓が出てきた。

基板の残滓の写真を示す。

写真 4-32 OA 基板の残滓 (1)

写真 4-33 OA 基板の残滓 (2)

トランスの形状を

残している

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123

今回処理した OA基板の中には、樹脂ではなく金属板の基板もあり、トランスも確認され

ている。

残滓は、この様な基板の未反応物であると考えられる。

写真 4-34 処理前の基板

一方、コークスを添加した「OA 基板焼却-還元処理灰」は、焼却処理灰で見られた様な

未反応の残滓はほとんどなく、一部、鉄枠(の様なもの)が見られるだけであった。

写真 4-35 OA 基板焼却―還元処理灰(3)

トランス

金属板

鉄枠 (と思われるもの)

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4.3.10 キルン試験サンプルの分析結果

キルン試験で得られたサンプルを分析し、その結果を解析した。

分析を行うにあたり、各サンプルの前処理を実施したが、以下の方法で行った。

焼却-処理灰 … 「粉」と「塊」に篩い分け、重量比を算出

焼却-還元処理灰 「粉」は前処理なしで乾式分析(Au,Ag,Pd,Pt)、

湿式分析(In)、蛍光 X 線分析(その他の元素)

「塊」は王水溶解して、ICP 分析(Au,Ag,Pd,Cu,Pb)

メタル吸収鉛 … 前処理なしで乾式分析(Au,Ag,Pd,Pt)、

湿式分析(In)、蛍光 X 線分析(その他の元素)

焼却灰は、迅速に分析を行うことを目的として、粉と塊に篩い分け、それぞれ分析した。

Au,Ag,Pd,Cu,Pb の分析精度は、マット融解処理と同等である。

(4) OA 基板の焼却試験 (平成 19 年 1 月 5 日実施)

OA 基板の焼却試験における分析結果を表 3-5 に示す。

試験サンプルの分析結果

重量 Au Ag Pd Pt Cu Pb

kg ppm ppm ppm ppm % %

INPUT

OA基板 205 280 590 80 <1 33.0 1.9

試験前鉛(1) 3,000 223 3,134 23 <1 0.08 -

OUT

  処理灰   粉 464 144 1,051 35 <1 3.3 59.5

    〃    固体 46 161 429 38 - 11.4 2.2

メタル吸収鉛 2,280 223 3,249 20 1 0.5 -

  試験前鉛(1)とメタル吸収鉛で、ほとんど変化なし↓

鉛への金属の吸収が行なわれていない

表4-7 OA基板  キルン焼却試験結果

試験前鉛(1)の金属濃度をみると、いずれも高いことが分かる。

これは試験前にキルン内部に残留していた貴金属の影響である。電気鉛 2,000 kg を装入

して、洗浄を行ったが、十分ではなかったと考えられる。

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試験前鉛(1)とメタル吸収鉛の Au,Ag,Pd 濃度を比較すると、ほとんど変化していない。

この結果は、今回の条件では基板中の貴金属は、ほとんど鉛に吸収されていないことを

示している。

処理灰(粉)の重量は、装入した OA 基板の 2 倍以上に増加しており、Pb 濃度は 59.5%

であった。

先の「3-3-2 キルン試験での特記事項」で、『OA 基板焼却試験で得られた「処理灰」は、

大きな塊となった。』と述べた。

重量の増加と Pb 濃度が高いこと、そして大きな塊となった点から判断して、処理灰(粉)

には、酸化鉛(PbO)が含まれていると推察された。

キルン試験では、キルン内部にバーナー炎と空気を入れることで加熱を行っている。

そのため、基板の焼却だけでなく、鉛の酸化も進み、酸化鉛(PbO)が生成したと考えられ

る。

焼却処理条件でのキルン内部のイメージ図を図 3-7 に示す。

図 4-16 焼却処理条件でのキルン内部のイメージ図

酸化鉛の密度は、固体で 8.0 g/cm3(液体状態の密度は不明)であるため、基板よりも密

度が高い。基板と酸化鉛および鉛の密度を比較すると、

基板の密度 < 酸化鉛の密度 < 鉛の密度

の順番になる。

反応初期には、基板は鉛(溶湯)の上にあったが、酸化鉛が生成するに従い、酸化鉛(液

体)の上に浮く結果となったと予想する。

そのため、基板は鉛との接触が阻害され、Au,Ag,Pd の鉛への吸収も行われなかったと考

えられる。

先の「4-3-3(2) キルン試験での特記事項」において、焼却条件において、未反応

の基板の残滓が多く認められたことを報告した。その現象は、上で述べた様に、基板と鉛

との接触が阻害されたことが原因があったと推察する。

鉛(溶湯)

反応初期

基板

鉛(溶湯)

酸化鉛 (液体)

反応後

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(5) OA 基板の焼却-還元試験 (平成 19年 1月 5 日実施)

OA 基板の焼却-還元試験における分析結果を表 3-6 に示す。

試験サンプルの分析結果

重量 Au Ag Pd Pt Cu Pb

kg ppm ppm ppm ppm % %

INPUT

OA基板 235.0 280 590 80 <1 33.0 1.9

試験前鉛(2) 3,000.0 22 251 2 <1 0.03 -

コークス(水分16.2%) 210.0 - - - - - -

OUT

  処理灰   粉 667 98 230 15 <1 3.8 59.6

    〃    固体 153 80 105 <1 - 6.4 2.1

メタル吸収鉛 2,290.0 77 1,100 5 <1 0.17 -

試験前鉛(2)とメタル吸収鉛で、金属濃度が上がっている↓

鉛への金属の吸収が行なわれた

表4-8 OA基板  キルン焼却-還元試験結果

試験前鉛(2)とメタル吸収鉛の Au,Ag,Pd 濃度を比較すると、こちらは焼却処理の場合と

異なり、金属濃度が高くなっている。

したがって、コークスを添加した条件では、基板と鉛が接触し、鉛への吸収が行われた

と考えられる。

焼却-還元処理条件でのキルン内部のイメージ図を図 3-8 に示す。

図 4-16 焼却-還元処理条件でのキルン内部のイメージ図

コークス装入前

基板

鉛(溶湯)

酸化鉛 (液体)

鉛(溶湯)

コークス

コークス装入後

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コークスを装入する前の状態は、図 4-16 の右の図と同様で、酸化鉛の上に基板が浮いて

いる状態と考えられる。

焼却-還元条件では、その後、コークスを装入してさらに 60分間キルンを回転させて保

持した。

添加したコークスによって基板を下に押し付ける効果が生まれ、さらに、還元反応によ

って酸化鉛が鉛に還元されるなどして、酸化鉛(液体)相が消失し、基板と鉛の接触が進

んだものと考えられる。

ただし、処理灰(粉)中の鉛濃度は、59.6%もあり、上で推定した酸化鉛の還元反応は

まだ十分に進んでいなかったものと考えられる。

したがって、もっと反応時間を長くすることが必要と考える。

4.3.11 排ガスの測定結果

OA 基板の焼却試験において、OA 基板を装入後、可燃性成分を焼却する目的で、60 分間そ

の状態を保持し、その間に排ガスの測定を実施した。

今回の試験では、通常、鉛製錬所で実施している排ガス測定項目と同じ成分を測定した。

排ガス測定の結果を表 3-7 に示す。

計量の対象 計量の方法 計量の結果

ばいじん濃度 JIS Z 8808-1995 0.01 g/m3N未満

硫黄酸化物濃度 JIS K 0103-2005 比濁法(光散乱法) 3.6 ppm未満

窒素酸化物濃度 JIS K 0104-2000 フェノールジスルホン酸法 9.5 ppm未満

カドミウム濃度 JIS K 0183-1997 原子吸光分析法 0.03 mg/m3N未満

鉛濃度 JIS K 0183-1997 原子吸光分析法 0.005 mg/m3N未満

表4-9 OA基板の焼却試験時の排ガス測定結果

今回の量(200kg/バッチ)の基板をキルンで処理した場合において、測定した項目の計

量結果に異常は認められず、排ガスは問題なかったと結論できた。

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4.3.12 キルン試験のまとめ

キルン試験の結果をまとめ、基板を鉛製錬工程で処理する場合の問題点および改善方法

について述べる。

(1) 基板挿入時における黒煙の発生を抑制する

今回のキルン試験では、温度の高い鉛(溶湯)に直接基板を装入したため、黒煙が発生

した。

この黒煙発生を防止するには、

・ 炉内温度が下がった状態で、基板を装入し、装入蓋を閉める。

・ その後、バーナーを着火し、基板を焼却する。

・ その際、不完全燃焼を起こさない様に二次空気を炉内に送り込む。

という方法を取れば良いと考える。

さらには、

・ 基板の焼却時には、排ガスの CO 濃度を監視し、不完全燃焼を防止する。

ことも必要と考える。

(2) 基板と鉛の接触を良くし、貴金属の鉛への吸収を促進させる

今回の試験では、単に鉛と基板をキルンの中に入れ、焼却するだけでは、貴金属が鉛に

吸収が行われないことが分かった。これは、生成した酸化鉛によって、基板と鉛の接触が

阻害されたことが原因と考えられ、コークスを添加する焼却-還元条件では、貴金属の鉛

への吸収が確認された。

したがって、基板と鉛の接触を良くし、貴金属の鉛への吸収を促進させるには、

・ 基板焼却後、コークスを装入し、生成した酸化鉛を還元して鉛に戻す。

・ 電解スライムなどの殿物を装入し、基板が鉛の上に浮いた状態を抑制する。

などの方法が効果的であると考える。

ただし、今回の焼却-還元条件においても、処理灰中の Pb 濃度が高く、還元反応が十分

に進んでいなかったと考えられた。

よって今後は、コークス添加量、反応時間を検討する必要がある。

(3) 排ガス測定の実施

今回の排ガス測定の結果は問題なかったが、

・ 1バッチ当たりの基板装入量を増やした場合の影響調査

・ 基板に含まれる臭素(Br)の影響をみるために、ハロゲンガスの濃度測定

などを実施し、排ガスの安全性を確認していく必要があると考える。

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4.4 既存製錬所を活用したデジタル家電基板処理

これまで、「4-2 非鉄金属製錬所における乾式製錬技術を用いた貴金属、レアメタル

の回収に」および「4-3 鉛製錬技術を活用したデジタル家電基板からの貴金属、レアメ

タル回収試験」で、デジタル家電基板を非鉄金属製錬所で処理することについて検証を行

ってきた。

終章では、デジタル家電基板を非鉄金属製錬所での処理について考察する。

4.4.1 銅製錬所と鉛製錬所との間の金属の流れについて

銅製錬所と鉛製錬所のどちらでデジタル家電基板を処理する場合においても、銅製錬所

と鉛製錬所で原料、中間品を流通させながら、製品を得ている。

銅製錬所と鉛製錬所の原料、中間品の流れについて、図 4-17 にまとめる。

図 4-17 銅製錬所と鉛製錬所の原料、中間品の流れ

銅製錬所にとって、鉛は不純物であり、鉛殿物などの Pb濃縮物として細倉製錬所に送っ

ている。鉛製錬所では、銅が不純物であり、銅鈹として Cuを直島製錬所に送っている。(な

お Niは、Cu と同じ動きをすると考えられ、銅鈹として直島製錬所におくられると考えられ

る。)また、Au,Ag,Pt,Pd を濃縮して、粗銀として送っている。

すなわち、銅製錬所と鉛製錬所がそれぞれの不純物の引き受け先となっており、双方が

原料および中間品を送りながら、金属の回収に努めている。

4.2でデジタル家電基板に含まれる貴金属、レアメタルを分類したが、それを再掲する。

銅製錬所(貴金属工場)(直島製錬所) (細倉製錬所)

製品 原料、中間品 原料、中間品 製品電気銅 Cu 鉛殿物 Pb,Bi,Sb 粗銀 Au,Ag,Pt,Pd 電気鉛 Pb

金 Au その他 銅鈹 Cu(Ni) 電気ビスマス Bi銀 Ag  鉛を含む原料 Pb,Bi,Sb 三酸化アンチモン Sb

白金 Pt (Au,Agなど)パラジウム Pd

粗硫酸ニッケル Niスラグ

鉛製錬所

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分類(1):貴金属またはレアメタルで検出された元素

0.01%未満: In,Pd

0.01%以上: Au,Mn,Mo,Nb,

0.1%以上 : Ag,B,Bi,Cr,Ni,Sr,Ti,Zr

1%以上 : Ba,Sb

銅製錬所と鉛製錬所で回収できる金属が、既存の製錬施設を活用して回収できる貴金属、

レアメタルになると結論できる。それらの金属は、以下の様になる。

Au,Ag,Pt,Pd,Ni,Bi,Sb

よって、デジタル家電基板に含まれるそれ以外の元素「In,Mn,Mo,Nb,B,Cr,Sr,Ti,Zn,Ba」

は、回収することができず、スラグなどとして失われることとなる。

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4.4.2 銅製錬所でデジタル家電基板を処理する場合について

デジタル家電基板を銅製錬所で処理する場合する場合の利点と問題点について述べる。

4-2 で述べた、銅製錬所(直島製錬所)でデジタル家電基板を処理する場合、そのポイン

トを再掲する。

・ デジタル家電基板は、溶鉱炉(S炉)で処理される。

・ Au,Ag,Pt,Pd,Ni は、銅製錬工程、貴金属製錬工程で製品として回収される。

・ スラグに移行する貴金属、レアメタルは、回収することが出来ない。

・ 排ガスダストは一部、鉛殿物となり、鉛製錬所に送られて製錬される。

例えば、鉛殿物に含まれる Bi,Sb などは鉛製錬所で、製品として回収される。

デジタル家電基板中の Cu 濃度が 24.5%(表 2-1 参照)であるので、今回対象としている

デジタル家電基板は、銅製錬所で処理することが良いと考える。

銅製錬所でデジタル家電基板を処理する場合、回収する元素を Au,Ag,Pt,Pd,Ni,Bi,Sb と

するならば、溶鉱炉(S炉)で大きな問題なく処理できると考えられる。

Pb は、銅製錬所にとって不純物となるが、 終的に鉛殿物として鉛製錬所の原料となる

ので、回収することができる。ただし、多量に Pbが溶鉱炉に入ると、銅製錬所の操業上問

題が発生することもあり、量の制限はあると考える。

Al は、4-2 で述べた様に、スラグの性状を悪くする阻害金属であるので、これについて

も、量の制限はあると考える。

その他、基板中の Br 濃度が 25%(定性分析、表 2-1 参照)あることも問題となる可能性

がある。

直島製錬所の銅製錬炉(S 炉、CL 炉、C 炉、精製炉)は、「産業廃棄物焼却処理(廃プラ

スチック類)242.4 Ton/日処理」の施設認可を取得している。

デジタル家電基板は、貴金属濃度が高く、有価物と考えられるが、たとえ産業廃棄物と

なったとしても、「産業廃棄物焼却処理(廃プラスチック類)242.4 Ton/日処理」の認可を

持っているため、デジタル家電基板は 242.4 Ton/日の処理は可能である。

ただし 4-2 でも述べた様に、Al などの不純物(阻害元素)をどの程度まで許容できるか

については、そのときの操業状況によって異なる。そのため、デジタル家電基板の不純物

濃度を分析し、それによって、銅製錬炉に挿入する量(処理量)を決めなければならない。

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4.4.3 鉛製錬所でデジタル家電基板を処理する場合について

デジタル家電基板を鉛製錬所で処理する場合する場合の利点と問題点について述べる。

4-2 で述べた、鉛製錬所(細倉製錬所)でデジタル家電基板を処理する場合のポイントを

以下にまとめる。

・ デジタル家電基板は電解スライムと一緒に回転炉で処理される。

・ デジタル家電基板を鉛電解スライムと処理することで、Au,Ag,Pt,Pd,Bi,Sb は、粗銀、

三酸化アンチモン、電気ビスマスの製品として回収することができる。

・ 鈹鍰を溶鉱炉で処理した場合、水砕鍰(スラグ)に移行する貴金属、レアメタルは、

回収することが出来ない。

・ 鈹鍰に有用な貴金属、レアメタルが含まれている場合、それを別処理することも可能

である。

・ 銅鈹は銅原料として、銅製錬所に送られて製錬される。

鉛製錬所で処理する場合の利点は、「鈹鍰に有用な貴金属、レアメタルが含まれている

場合、それを別処理することが可能である」という点である。

これは、銅製錬所では期待できない利点であり、今後のプロセス開発が必要であるが、

将来的には有望と考えられる。

特に、鈹鍰を硫酸で浸出する湿式製錬法と組み合わせれば、鉛を鈹鍰に残しながら、貴

金属、レアメタルを浸出することも可能である。

電解スライムと一緒に回転炉で処理することとなるが、その場合、以下の点が問題となる。

・ 基板挿入時に、黒鉛を挿入口から発生させない措置を取る必要がある。具体的には、

「炉内温度が下がってから基板を装入し、その後、装入口を閉め、着火、可燃物の燃

焼を行う」などの措置である。

・ 回転炉の排ガス処理に問題がないか、検証する必要がある。

・ 4-3 で述べた様に、貴金属、レアメタルの回収を促進するには、基板と鉛の接触を促

進させることが重要となる。

鉛製錬所における基板類の1日当たりの処理量について考察する。

今回、200 kg/バッチの処理を実施したが、排ガスに問題がなければ、1,000 kg/バッチ

程度の処理は可能と考えられる。

1,000 kg/バッチ × 3 バッチ/日 = 3,000 kg/日

したがって、一日の処理量は、3,000 kg/日となる。

細倉製錬所の鉛製錬施設は、「産業廃棄物焼却処理(プラスチック類)3.4 Ton/日処理」

の施設認可を取得しており、デジタル家電基板が産業廃棄物となっても、施設の認可面で

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133

の問題はない。

ただし、銅製錬と同様に、デジタル家電基板の不純物濃度を分析し、それによって、鉛

製錬施設に挿入する量(処理量)を決めなければならない。

4.4.4 乾式製錬技術によるデジタル家電基板からの貴金属、レアメタルの回収

以上、乾式製錬技術(主に銅製錬と鉛製錬を利用した)を利用して、デジタル家電基板

からの貴金属、レアメタルを回収することについて述べてきた。

Au,Ag,Pt,Pd,Ni,Bi,Sb を回収するならば、処理量の多い銅製錬施設(直島製錬所)で処

理することが望ましいと言えるが、スラグに移行する元素を回収する機会は失われる。

一方、鉛製錬施設は、処理量が少ないものの「鈹鍰に有用な貴金属、レアメタルが含ま

れている場合、それを別処理することが可能である」という利点がある。特に、湿式製錬

技術と併用することで、回収の可能性は広がると考えられる。

まず、乾式製錬の銅製錬、鉛製錬のインフラを活用しながら、回収可能な金属をより低

コストで回収する。次は、湿式製錬も含めたプロセス検討を行い、回収可能な金属を増や

していくべきである。

特に、前述した様に、デジタル家電基板に含まれる貴金属、レアメタルの中で、「回収す

ることができず、スラグなどとして失われる元素は「In,Mn,Mo,Nb,B,Cr,Sr,Ti,Zn,Ba」で

ある。これらの元素を回収するためのプロセス開発が今後必要になると考える。

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第五章

湿式製錬での金属回収検討

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183

5.1 CPU の分析等 (1)使用済みパソコンから回収された各種 CPUの分析

パソコンに搭載される CPU は貴金属、特に金が高濃度に使用されている部品とし

て早くからリサイクルの対象品として注目されている。近年の急速な技術進歩によ

り、高価な金からより安価な材料への転換が図られるとともに、使用される貴金属

の量そのものも減少する傾向にある。いくつかの CPU について分析を行った。また

CPU の性能と今後の動向について考察した。

①概観

サンプル「C」 サンプル「P」

「C」の表 「P」の表

「C」の裏 「P」の裏

「C」の裏2 「P」の裏2

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184

サンプル「D」

「D」の表

「D」の裏

「D」の裏2

②Au(金)の分析結果

表 5-1 CPU の Au 品位

サンプル名 Au(%)

「C」 0.08

「P」 0.44

「D」 0.71

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185

③CPU の性能と今後の動向

• Pは新製品になるにつれ、Au品位が低下している。

• CはPの廉価版として発売

• 下図にCPU部品の排出予想を示す。(廃棄は発売から4年と推定)

2010年2009年2008年2007年2006年2005年2004年2003年2002年2001年

D

P

C

A

図 5-2 CPU の性能と動向

サンプル「D」は数年前に発売されたパソコンに搭載された CPU であり、その後

「P」から「C」へと変遷していった。現在は「C」が主流となっていると思われる。

CPU が更新されるにつれ金の品位はどんどん下がっており、また金がより安価な金

属、例えば銅などに代替されているようである。また、同じ世代の CPU であっても

バージョンが変わっただけでも金品位低下やより安価な金属へのシフトが見られ

る。事項「④CPU の分解」を参照方。

貴金属回収をビジネスとする我々企業においては、CPU の変化の度合いにあわせ

て、コスト・採算を勘案しながら回収方法を決定していくことが重要になってくる。

尚、[A]は次世代の64ビット系のCPUである。

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186

④CPU の分解

「C」と同様の CPU 「C」解体後

(赤くみえるのは「銅箔」と思われる。)

「P」と同様の CPU 「P」解体後

(金箔が使用されている。)

(2)湿式製錬を用いた CPU からの貴金属等回収技術の検討

CPU については金を回収することが目的となるので王水で溶解し、溶けた貴金属

元素を還元剤で還元して回収する方法を基本とする。

・破砕-貴金属が付着している層に薬品が浸透するように破砕が必要である。

・浸出-王水で金属元素を溶解する。

・ろ過-残渣と溶解液を分離する。

・還元-還元剤を用いて溶けた貴金属元素を還元する。

・ろ過-ろ過して、貴金属を含有するさ物を回収する。

金を回収することが主目的となるが CPU に含有される他の金属が付随して回収さ

れる場合がある。例えば銀、銅などが金とともに回収されることが予想される。湿

式製錬法を用いるメリットに製錬期間の短縮が挙げられるが、回収した「さ物」に

銅などの他の金属が含有したために金の精製工程で余分な製錬期間が生じてはメ

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リットが減少してしまう。よって出来るだけ金を選択的に分離

することが望まれる。

(3)実験

CPU のサンプル「P」とサンプル「D」について貴金属等の回収実験を行った。CPU

を破砕後、王水にて溶解し、ろ過した後、溶解液の各種貴金属元素の分析を行う。

その後還元剤(重亜硫酸ソーダ)を用いて金属を還元し、ろ過後、ろ液中の各種貴

金属元素の分析を行った。これらにより残渣に移行した貴金属元素の割合(回収率)

を推定した。溶解液及びろ液の分析値はCPU全重量の比率に換算して表示してある。

表 5-2 CPU からの貴金属の回収実験結果(単位;%)

Au Ag Al Cu Mn Ni Sn Fe

0.93 0.05 <0.01 0.17 0.05 5.45 0.09 6.88

<0.001 0.02 <0.01 0.14 0.04 5.51 0.02 7.09

Au Ag Al Cu Fe Mn Ni Pb Pd Sn

0.24 0.12 0.04 37.3 5.81 0.03 4.2 0.37 <0.01 3.71

<0.001 0.05 0.04 27.9 5.96 0.02 4.19 0.35 <0.01 3.47

CPUP 還元後ろ液

溶解液

溶解液

還元後ろ液

CPUD

元素

元素

液種

液種

実験に使用したサンプル「D」

溶解後残渣 還元後残渣(回収物)

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実験に使用したサンプル「P」

溶解後残渣 還元後残渣(回収物)

表 5-3 主な金属の回収率の推定(単位:%)

Au Ag Cu Fe Ni

CPU「D」 100 60 18 0 0

CPU「P」 100 58 25 0 0

金についてはほぼ 100%の回収率が実現できる。ただし、銀、銅などの一部が金と一

緒に還元されるので金の精製工程での影響が懸念される。CPU において金に変わる代

替金属が使用される比率が増える場合には、還元条件を変更することで金を選択的に

分離する方法の検討が必要となってくるであろう。

5.2 プリント基板の分析等

(1)使用済みデジタル家電から回収されたプリント基板の分析

いわき市の粗大ごみセンターで実際にサンプリングした使用済みデジタル家電

から回収したプリント基板を細倉金属鉱業㈱殿で破砕したものを三菱マテリアル

㈱殿経由で頂き、実験に供した。

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実験に供した破砕後のプリント基板

表 5-4 使用済みデジタル家電から回収したプリント基板の分析値

Au Ag Pt Pd Cu In Fe Pb

Ppm Ppm ppm ppm % % % %

基板 291 1,706 21 <1 12.1 <0.01 12.1 <1

(細倉金属鉱業㈱の分析による)

(2)湿式製錬を用いたプリント基板からの貴金属等回収技術の検討

CPU と同様に王水で溶解し、溶けた貴金属元素を還元剤で還元して回収する方法

を基本とする。

・破砕-貴金属が付着している層に薬品が浸透するように破砕が必要である。

・浸出-王水で金属元素を溶解する。

・ろ過-残渣と溶解液を分離する。

・還元-還元剤を用いて溶けた貴金属元素を還元する。

・ろ過-ろ過して、貴金属を含有するさ物を回収する。

(3)実験

CPU の実験と同様に行った。

表 5-5 プリント基板からの貴金属の回収実験結果(単位;%)

Au Ag Al Cu Fe Ni Pb Pd Sn Zn Ca

0.004 0.04 1.37 19.4 1.31 0.25 0.66 <0.01 1.53 0.55 0.81

<0.001 0.03 1.40 19.3 1.24 0.24 0.59 <0.01 1.43 0.45 0.75

基 板

還元後ろ液

溶解液

元素液種

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実験に使用したプリント基板

溶解後残渣 還元後残渣(回収物)

表 5-6 主な金属の回収率の推定(単位:%)

Au Ag Cu Fe Ni

基板 100 25 0.5 5 4

プリント基板中の金の含有量は CPU に比べ低いものの金の回収率は 100%を達成出

来るであろう。

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191

5.3 使用済みフラットパネルディスプレイの分析等

(1)使用済みフラットパネルディスプレイの分析

三菱マテリアル㈱殿より数種類の液晶パネル等を支給頂き、分析を行った。液晶

パネルやプラズマディスプレイ(以下総称して、フラットパネルディスプレイとい

う。)には透明電極用 ITO ターゲット材としてインジウムが使用されている。今後

ともフラットパネルディスプレイの需要の増大が見込まれており、インジウム価格

も高騰しているので、フラットパネルディスプレイからのインジウム回収は重要な

課題となると思われる。よってここではインジウムに着目して分析を行った。

プラズマディスプレイ前面 プラズマディスプレイ後面

液晶パネル(SV) 液晶パネル(SB)

表 5-7 フラットパネルディスプレイ中のインジウム(In)濃度

フラットパネルディスプレイの種類 In 濃度(ppm)

プラズマディスプレイ前面 20

プラズマディスプレイ後面 <10

液晶パネル(SV) 250

液晶パネル(SB) 400

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(2)フラットパネルディスプレイからのインジウム回収技術の検討

インジウムの生産は亜鉛製錬における副産物から回収する方法が従来から知ら

れている。酸によってインジウムを浸出し、不純物として含有される錫などをセメ

ンテーションなどの置換反応で除去し、インジウムスポンジを作る。それをさらに

電解精製で高純度インジウムを製造する方法などである。

また、一方で、インジウムは ITO ターゲットの原料として使用されることはもち

ろん、ターゲットを装置に接着させるボンディング剤としても使用されており、こ

れらITOターゲットやボンディング剤のスクラップはすでにリサイクルがされてお

り、その処理方法は基本的には亜鉛製錬におけるインジウムの回収方法と同様、「酸

溶解→置換反応→電解精製」が基本となっている(参考文献)。

ITO ターゲットは酸化インジウムと酸化錫の混合物でありインジウム濃度で 75%

程度、またボンディング剤は 90%以上のインジウム濃度である。それに対し、今般

のフラットパネルディスプレイ中のインジウム濃度は 20~400ppm と非常に低い濃

度であった。

インジウム価格の動向にもよるが、経済的に成り立つためには%オーダー(10,000

ppm 以上)のインジウム濃度のスクラップであることが必要と仮定すると、濃縮は

25~500 倍にする必要がある。

溶解時に同じ容量の酸に対し25~500倍の重量のフラットディスプレイパネルを

溶かすかあるいはインジウムを溶かした溶解液をイオン交換法や溶媒抽出法を用

いて濃縮する方法などが考えられる。

さらにインジウムを回収した後に残るガラスについてもガラスメーカーや製錬

会社の協力が必要であると考えられる。

これらについては今後のリサイクルネットワークシステム構築のなかで「誰が費

用を負担すべきか」を含めて議論されていくもの期待される。

参考文献:工業系廃棄物リサイクルモデルに関する研究(Ⅱ)-FPD(フラットパネル

ディスプレイ)リサイクル技術に関する研究-、平成 15 年度版青森県工業総合研究

センター事業報告 小野浩之、高柳和弘 天間毅

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5.4 リサイクル事業の経済性の検討

使用済みデジタル家電から回収される CPU、プリント基板、フラットパネルディス

プレイ等の分析を行い、その処理方法について調査を行ってきた。ここで CPU を代表

例にその事業の経済性について検討する。

<前提条件>

処理量 CPU 1,000kg/月(約 5 万台のパソコンに相当)

金品位 4,000g/t(CPU「P」を想定)

金価格 2,000 円/g

設備費 10,000 千円(各種タンク、局所排気洗浄装置、建屋含まず)

金利 5%

薬品費 300 円/kg-鉱量

作業員 1 人(時給 1,500 円)

管理費 不含

<計算結果>

表 5-8 CPU リサイクル事業における経済性の検討

販売金額 7,761,600 99%の製錬実収率で 98%の評価

原料代 6,800,000 85%を評価

労務費 264,000 8h×22 日/月

薬品代 300,000 塩酸、硝酸、還元剤、カセイソーダ

分析代 10,000

減価償却費 150,000 5 年償却

修繕費 25,000 設備費の 3%

設備金利 20,833 5%

仕掛金利 28,333 5%、製錬期間 1ヶ月

原価計 798,167 原料代除く

損益 163,433 販売金額-原料代-原価

(単位:円/月)

次に前提条件のうち、いくつかの項目について変動させた場合に、損益がどの程

度影響を受けるかの「感度分析」を行った。その結果を次表に示す。

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194

表 5-9 CPU リサイクル事業における損益感度分析

金の品位、金価格が損益に大きな影響を与えることは当然のこととして、金利や製

錬期間も損益に影響を及ぼしていることがわかる。貴金属などの高価な金属の場合、

価格の変動が大きい時期には、そのリスクを減じるため出来るだけ製錬期間は短縮さ

れるべきである。「湿式製錬法」は「乾式製錬法」に比べて比較的製錬期間が短いと

言われており、貴金属などの回収には湿式製錬法が用いられることが多い。

変動要因 変動幅 損益変動幅

品位 + 500g/t + 117,000 円

金価格 + 200 円/g + 93,000 円

製錬実収率 + 0.5% + 39,000 円

設備費 + 1,000 千円 ▲ 20,000 円

金利 + 1% ▲ 10,000 円

製錬期間 + 1ヶ月 ▲ 28,000 円

労務費時給 + 100 円/h ▲ 18,000 円

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第六章

デジタル家電リサイクルの可能性調査

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6.1 デジタル家電の廃棄量推定とリサイクルの市場規模 6.1.1 デジタル家電の廃棄量の推定 主なデジタル家電の国内出荷量から廃棄量の推定を行う。 図 6-1 デジタル家電の国内出荷台数

デジタル家電国内出荷台数

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005

国内

出荷

台数

(万

台)

MDプレイヤー

CDプレイヤー

ビデオカメラ

デジタルカメラ

DVDデッキ

データ出典:家電産業ハンドブック2006

出荷台数の推移を見ると、DVDデッキがビデオデッキに替わるものとして近年急送に

普及してきていることが見て取れる。また、CDプレイヤーとMDプレイヤーについては、

新たなメディアであるハードディスクプレイヤーやフラッシュメモリープレイヤーに切り

替わってきていることが想像される。 このデータを基に使用済みとなる台数を使用年数から推測した。 図 6-2 デジタル家電の廃棄量推定(一次使用終了)

デジタル家電の廃棄量推定-1(一次使用終了)

0

500

1,000

1,500

2,000

2003 2004 2005 2006 2007

台数

(万

台) MDプレイヤー

CDプレイヤー

ビデオカメラ

デジタルカメラ

DVDデッキ

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196

各品目の使用年数としては、以下の数値を用いた。 ・DVDデッキ 4.3 年 ・デジタルカメラ 3.2 年 ・ビデオカメラ 6.5 年 以上家電産業ハンドブック2006より ・CDプレイヤー 2 年 ・MDプレイヤー 2 年 以上本調査のアンケート結果から この図を見ると 2007 年に使用済みとなる台数は、1,768 万台とかなりの台数になること

が予想される。しかし、普及が始まったばかりのデジタル家電においては、使用済みとな

ってもすぐに廃棄されないという特徴がある。以下に第一章に示したデジタル家電の買い

替え時に使用していた製品の処分方法に関するアンケート結果を図にしてみた。 図 6-3 使用済みとなったデジタル家電の処分方法

0% 20% 40% 60% 80% 100%

液晶テレビ

プラズマテレビ

DVDプレイヤー

DVDレコー ダー

DVDレコーダー(HDD)

ビデオデッキ

ビデオカメラ

セットステレオ

ポータブルCDプレイヤー

ポータブルMDプレイヤー

ポータブルHDプレイヤー

ポータブルフラッシュメモリープレイヤー

デジタルカメラ

デジタルカメラ(一眼レフ)

携帯電話

割合(%)

とりあえず保管

記念品として保管

2台目として使用

家族が使用

知人にあげた

中古ショップ(有償)

販売店(有償)

販売店(逆有償)

回収業者

家庭ごみ

その他

上記処分内容の内、回収業者・家庭ごみ・その他を廃棄したと見なすと、使用済みと

なった場合の廃棄割合は以下のようになる。 ・DVDデッキ 11.1% ・デジタルカメラ 11.9% ・ビデオカメラ 23.2% ・CDプレイヤー 30.7% ・MDプレイヤー 29.4% この廃棄割合を勘案して廃棄台数を推測すると以下のようになる。

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197

図 6-4 デジタル家電の廃棄量推定(台数ベース)

デジタル家電の廃棄量推定(台数ベース)

0

500

1,000

1,500

2,000使

用済

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

2003 2004 2005 2006 2007

廃棄

台数

(万

台)

MDプレイヤー

CDプレイヤー

ビデオカメラ

デジタルカメラ

DVDデッキ

2007 年で見ると、使用済み量で 1,768 万台であるの対し、廃棄される量は、268 万台で

あると推測される。 更に以下の単重を使用して重量に換算した。 ・DVDデッキ 2,769g/台 ・デジタルカメラ 238g/台 ・ビデオカメラ 709g/台 ・CDプレイヤー 175g/台 ・MDプレイヤー 79g/台 単重データは、本調査の解体試験結果より

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198

図 6-5 デジタル家電の廃棄量推定(重量ベース)

デジタル家電の廃棄量推定(重量ベース)

0

5,000

10,000

15,000

20,000使

用済

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

2003 2004 2005 2006 2007

廃棄

量(ト

ン) MDプレイヤー

CDプレイヤー

ビデオカメラ

デジタルカメラ

DVDデッキ

重量ベースに換算すると、2007 年の使用済み量で約 1.9 万トンであり、廃棄量では

2,281 トンとなり、廃棄量については家電リサイクルにおける処理量 45 万トンの 0.5%でし

かない。 6-1-2 市場規模の推定 デジタル家電の市場規模を含有される有価金属の価値から推定する。 今回の調査から得られたデータの内、デジタル家電品目ごとの素材構成とプリント基板

の金属分析値を用いて、以下試算する。

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199

図 6-6 デジタル家電に含有されるプリント基板量の試算

デジタル家電に含有されるプリント基板量の試算

0500

1,0001,5002,0002,5003,0003,5004,0004,5005,000

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

2003 2004 2005 2006 2007

プリ

ント

基板

量(ト

ン)

MDプレイヤー

CDプレイヤー

ビデオカメラ

デジタルカメラ

DVDデッキ

解体試験の素材構成データからプリント基板量の試算を行った。 このデータに、プリント基板分析で得た金属品位のデータを掛け合わせることで、デジ

タル家電リサイクルで得られる金属の量を試算できる。 図 6-7 デジタル家電に含有される有価金属量試算

デジタル家電に含有される有価金属量試算

0

100

200

300400

500

600

700

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

2003 2004 2005 2006 2007

金属

量(ト

ン)

パラジウム

このデータに金属価格を掛けて市場規模を試算した。

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200

図 6-8 デジタル家電に含有される有価金属の評価額

デジタル家電に含有される有価金属の評価額

0

1,000

2,000

3,0004,000

5,000

6,000

7,000使

用済

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

使用

済量

廃棄

2003 2004 2005 2006 2007

金額

(百

万円

パラジウム

各金属の価格に関しては、2007 年 1 月の金属価格で試算した。 市場規模の推定としては、2007 年で、使用済量で約 63 億円/年、廃棄量で 3.8 億円/年と

なった。 廃棄の重量および市場規模を考えると、デジタル家電リサイクルは。新規の事業という

よりは、既存のリサイクルルートに中に取り込まれるべき規模であることが分かる。 6.2 デジタル家電リサイクルの現状と今後の課題 6.2.1 デジタル家電リサイクルの現状 今回の調査結果をまとめると、現状のデジタル家電リサイクルは以下の 2 つのルートで

小規模に行われていると考えられる。 図 6-9 デジタル家電リサイクルの現状1(市町村での処理)

家庭ごみとして市町村の粗大ごみ処理場などに搬入されたデジタル家電は、その大半が

破砕処理される。破砕処理後には、鉄・アルミなどの金属は回収されるものの、破砕残渣

は、焼却処理や 終処分されてしまうこととなる。 プリント基板のほとんどは破砕残渣に残留していると思われることから、このルートで

は、貴金属もレアメタルも回収できないことになる。

消費者 市町村ごみ処理場 破砕処理

金属くず

残渣

終処分

焼却処理

デジ 家電

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図 6-10 デジタル家電リサイクルの現状 2(量販店での引き取り) 現状僅かな物量ではあるが、消費者使用済みデジタル家電を量販店に引き取ってもらい

リサイクル業者にて処理している場合がある。 この場合、消費者より処理費をもらい経済的に成り立たせている場合が多いが、リサイ

クル業者においてきちんと解体される場合には、プリント基板は製錬所に売却される可能

性が強いと思われる。 6.2.2 デジタル家電廃棄の実態調査 福島県いわき市のご協力により、市町村でのデジタル家電廃棄の実態調査を行うことが

できた。 いわき市では、地域ごとに月 1 回「小型電気製品・金属類」の回収を行っている。

写真 6-1 収集用のパッカー車 パッカー車 4 台分の「小型電気製品・金属類」を仕分けし、この中にどのようなデジタ

ル家電が廃棄されているか調査を行った。

写真 6-2 「小型電気製品・金属類」1 車分

調査年月日:平成 18 年 9 月 20 日(水) 調査場所 :いわき市山田粗大ごみ処理施設

消費者デジタル家電

家電量販店DVDプレイヤー

デジカメリサイクル業者 非鉄製錬所

プリント基板買取り処理費 処理費

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調査内容 :パッカー車 4 台分の小型電気製品・金属類の構成内容調査 図 6-11 小型電気製品・金属類の構成内容(重量パーセントで示した。)

・総重量 4,460kg ・デジタル家電 654kg 、14.7wt%

・一般小型家電 637kg 、14.3wt% 小型家電類が全体の 30%弱の構成内容となっており、小型家電の内訳は、デジタル家電

と一般小型家電がほぼ半々となっている。 デジタル家電で多い品目は、ラジカセなどのオーディオ機器であるが、据え置き式のも

のばかりでポータブルタイプのものは無かった。 ついでビデオデッキや OA 機器(パソコン、プリンターなど)となっている。他に家庭用のゲー

ム機が目についたが、デジタルカメラはなく、ビデオカメラは 1 台のみであった。 一般小型家電では、炊飯器、掃除機、扇風機が多く見受けられた。 廃棄品ということで、一世代前の製品が多く、現在販売されているような型式の製品は

数年後にならないと廃棄されないのではと感じられた。

掃除機

3%

扇風機

3%

ヘアードライヤー

0%

トースタ他調理器

1%

おもちゃ

0%

その他小型家電

1%

金属くず、他71%

ラジカセ2%

ポット1%

炊飯器5%

DVD0%

電話1%

ビデオカメラ0%

携帯電話

0%

ゲーム機1%

CDデッキ、他オーディオ

4%

ビデオデッキ3%

ワープロ、パソコン、プリンター3% ワープロ、パソコン、プリンター

ビデオデッキ

DVD

CDデッキ、他オーディオ

ラジカセ

ゲーム機

電話

ビデオカメラ

携帯電話

炊飯器

ポット

掃除機

扇風機

ヘアードライヤー

トースタ他調理器

おもちゃ

その他小型家電

金属くず、他

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6.2.3 デジタル家電リサイクルの経済性 今回調査のまとめとして、デジタル家電 1 台あたりのリサイクルの経済性を試算した。 図 6-12 デジタル家電の経済性

金属価格は 2007 年 1 月の金属価格を使用した。 リサイクルコストに収集運搬費は含まない。

上記グラフは、デジタル家電 1 台あたりのリサイクル経済性を試算したものである。 縦軸に金属価値として、含有する金属の価格から製錬コストを差し引いた、非鉄製錬所

での基板の買取価格をイメージして試算したものである。 横軸にはリサイクルコストとして、解体人件費、破砕処理費、廃棄物処理費の合計コス

トを示したが、ここでの解体の程度は、通常の家電リサイクルで行われているものと同程

度まで行い試算した。 金属価格が大きく変動することと、解体サンプルが十分に入手出来ず十分な量の頴田を

していないため、グラフには、金額を示さず定性的な表現をなったことをご了承いただき

たい。 グラフ中の斜めの点線が損益を分かつ指標であり、点線より上に位置する品目は有価物

してリサイクルが成り立つが、下に位置する品目は中間処理費がないと経済的に成り立た

ないことを示している。 解体人件費は、解体の程度によって変動することから損益の分岐を示す点線には幅を持

たせた。ポータブルオーディオ機器がこの幅の中に位置しており、更なる解体の検討や今

後の環境配慮設計など解体しやすい製品の誕生などにより、有価物に転じる可能性はある

デジタル家電のリサイクルコストと金属価値(1台当たり)

ビデオカメラ

デジタルカメラポータブルオーディオ

DVDプレイヤー

携帯電話

リサイクルコスト(解体人件費+破砕処理費+廃棄物処理費)

金属

価値

(金

属価

格-

製錬

コス

ト)

有価物として購入可能

廃棄物として処理費必要

更なる検討で有価物

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と思われる。 しかし、デジタルカメラとDVDデッキについては、処理費を取らないとリサイクルは

実現できないとの結果となった。 6.2.4 今後の課題 今後本格的にデジタル家電リサイクルを検討する上での残された課題は、以下 2 点が挙

げられる。 (1) デジタル家電の収集 使用が終わっても廃棄されないという性質を持つデジタル家電をいかにして収集する

か検討が必要である。 廃棄されない理由としては、 ・ 普及途上であり新規の購入が多い。 ・ 小型なので不要になっても置き場に困らない。 ・ 予備として保管しておく。 ・ ビデオカメラのように過去のデータ(β、VHS、8mm ビデオなど)を再生するため

手放すことができない。 などが考えられる。 このような状況で使用済みデジタル家電を集めるためには工夫が必要となってくる。 例えば量販店に集めることを考えると ・ 新製品を購入する際に下取りとして値引きする。 ・ 廃棄の際にポイントを付与して環境に貢献していることをアピールする。 ・ 小型のポータブルオーディオなどについては、電池リサイクルのように専用の回収

ボックスを設置する。 など消費者に何らかの形でメリットを与える工夫が必要であろう。 また、量販店としては、廃棄品を店に持ってきてもらうのはかまわないが、現状の家

電リサイクルのように管理の手間が掛かることを嫌う傾向にあるようである。

(2) リサイクルコスト デジタル家電のリサイクルに関しては、処理費を取ることができるかどうかが、リサ

イクル成立の上でもっとも重要な要素であるといえる。 DVDデッキのようにデジタル家電の中でも比較的大型のものは、現状処理費を払って

も消費者は廃棄しているし、アンケート結果を見ても、3 割程度の人が処理費負担も止む無

しとの認識のようであるが、小型の機器については圧倒的に無償での引き取り希望が多い。 しかしながら、解体コストの低減にも限度があると考えられるし、金属価格の高騰にも

限度があると考えると、ポータブルオーディオなど小型のものは、金属価値でリサイクル

コストを相殺する可能性は否定できないものの、何らかの形でのコスト負担は必要となっ

てくると思われる。

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この点が解決すれば、デジタル家電リサイクルの実現性が見えてくるが、この問題は、

家電メーカーを含めて、大きな枠組みの中で議論されるべきであり、本調査で早急に結論

付けることは極めて困難であるといわざるを得ない。 社会システムとしてのデジタル家電リサイクルについて今後議論が出てくることを期待

したい。 後に本調査では、デジタル家電リサイクルに関して、幅広く様々な調査を行った。

・ デジタル家電廃棄の実態調査 ・ デジタル家電の解体試験 ・ デジタル家電の貴金属・レアメタル含有量調査 ・ 乾式製錬での金属回収検討 ・ 湿式製錬での金属回収結果

これら調査が、今後のデジタル家電リサイクル検討の一助になれば幸いである。