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寿 使 使 使 -1- No 62 2019年 6月1日

gendaihaiku.gr.jp · 2020-01-07 · Created Date: 1/7/2020 3:58:14 PM

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「長寿時代の現代俳句」

現代俳句協会副幹事長

(兼広報部長)。俳誌

「秋」主宰

佐怒賀正美

私は、学生の頃から俳句を作

っていますので、俳句とともに

生活しているようなものです。四季折々の自然や風物とか、人

の生き方などに関心を持ち続けながら

一生を全うできるよう

で、有り難いことです。

怪我などが治る時に、「薄紙を剥ぐように」治ると云います。

この言葉を、 一番最初に言

った人は本当に偉いなと思います。

この言葉を発した人が居て、それを聞いて、うまいことを言い

ましたねと評価する人が居たのでしょう。良い言葉は、 一般の

人にも伝わり、大勢の人に使われるようになります。言葉の力、

言葉を考え出す人の力は、凄いものです。俳句も、作る人が居て、

それを読んでくれる人がいることは大事なことです。ところが、

言葉は、みんなが使うようにな

って、長い問使われ続けている

と、当たり前の言葉にな

ってしま

って、陳腐化してしまうので

す。詩としての言葉の厳しい

一面です。俳句を評して、これは

平凡だとか、常識的だとか言います。みんなに知られてしま

て、当たり前の表現にな

ってしまうと、新鮮味が失われてしま

-1-

群馬県現代俳句協会会報

No 62

2019年

6月 1日

います。言葉の持

っている本質的な側面です。

今日は、長寿社会における、高齢者の俳句に焦点を当てて話

したいと思います。たとえば、昔の俳人の亡くなった年齢を見

ますと、芭蕉は5‐歳、蕪村は68歳、 一茶が65歳、井上井月は65

歳、正同子規は35歳、高浜虚子はやや長命で85歳です。

最初、

80歳以上の俳人をリストアツプしましたら、多すぎて

しまいましたので、

90歳以上に絞りました。最初に、「2019

年度の俳句年鑑」から選んだものを幾つか挙げてみます。

(奔放に咲いてもやはリシクラメン 後藤比奈夫

(102

工‘

〉。何でもないような句ですが、「奔放に咲いて」が野性味

を帯びながらも凛としているシクラメンらしい表現です。簡単

に詠んでいるようで、高齢な人の自在さがあります。ちょつと

曲線的な表現をしています()〈世を映すなど知りません 紙風

船 伊丹三樹彦

(99歳じ。面白い句です。シャボン玉なら映す

かも知れませんが、紙風船では、映すことは出来ません。自分

自身が、紙風船にな

っているのでしょう。紙風船が、良く見え

ている句です。次は、〈南部富士今年の貌に正座せる 小原啄

葉(98歳し、南部富士を毎日見ているのでしょう。新年になって、

正座して見ていると、南部富士も、新たな表情で正座している

ように見えたのでしょう。〈蟻地獄同じところに新しく 深見

けん二

(97歳じ。誰でも詠めそうな句ですが、上手い句です。

前に棲んでいた蟻地獄は死んでしまつたのでしょう。そこに新

しい蟻地獄が棲み着いている。表現は平明ですが、裏にある生

命観が表現されています。橋本美代子さんの句の

(春眠の膝よ

り落ちし宇宙の書 美代子

(94歳》

はヽこの年にな

つて、宇

宙の書を読むというのが面白い.

80歳以上の男性俳人を担当された櫂未知子さんのコメントを

読んでみますc〓不死身かもしれな』と思われた金子兜太が世

を去

った。そして晩年の作品を読

み返したとき、『季語に頼ら

ずに老年まで歩むことの厳しさ」を思

った。無季俳句は、『深

い意味』や

『作者が強く述べたいこと』を必要とするゆえ、青

年もしくはある程度若

い作家に向

いている。」

」ヽれはこれで貴

重な見解だと思います。

今日は、金子兜太、吉田未灰、文挟夫佐恵、金原まさ子の四

人の晩年の作品を読んでみたいと思

います。まず、金子兜太さ

んの90歳からの句を見てみます。

金子兜太さんは、

90歳代で750句位作

っています。(それ

でも微笑む被災の人たちに飛雪 9‐歳)。先の震災を詠んだ句

です。非情な自然の中でも、生きていく人たちの強さと静かさ

が表現されていると思います。(津波のあとに老女生きてあり

死なぬ 9‐歳)。自分の文体をし

つかり生かしている句です。「死

なぬ」により、老女は根性を以て頑張

って生きていることを詠

んでいる。力強さが表現されていると思います。相手の心の深

い所にまで届く

「まなざし」をも

つていら

つしやるのが読み取

れる。〈相思樹空に地にしみてひめゆりの声は 95歳〉。ひめゆ

りの集団自決のことを詠んでいる。花盛りの相思樹が空に地に

しみている。この相思には、若い人たちの恋を始め、人を思う

こころが込められているのでしょうo情の深い兜太先生の思い

が込められていると思います。(起きて生きて冬の朝日の横な

ぐり 94歳)o「横なぐり」によ

って、鮮烈な今日の

一日が始ま

るという、兜太さんの生活感とか生き方が詠まれていると思い

ました.〈冬ばら

一と束夕なぎに

一本となれど 98歳).辞世の

句としては、(陽の柔わら歩ききれない遠い家 98歳)が挙げ

られていますが、「冬ばら

一のほうが、いいかなと思われますc

この句は読者の解釈に任されている様ですが、はじめに冬薔薇

-2-

の一束が置かれていたのが、時間の経過を経て、最後に凛と咲

き残

っている

一本になった。それを凝視しているのです。身の

回りにいた人は、年毎に減

っていってしまって、独りだけになっ

てしま

った、とも読める句です。自分の文体を守りながら、新

鮮な句を作

っていく姿勢は立派だと思います。基本にあるのは、

生と死で、その二つを見つめています。「ひとりごころ」と

「ふ

たりごころ」ということも言っておられます。「ふたりごころ」

では、向こうにいる人のことも言

っている。人間同士のこころ

のことも言われているのですが、動物とか生物などのこころと

も繋がっているのです。難解でなく、やさしく捉えている点が

特徴です。晩年は、高浜虚子に対抗意識を持

って、自分は

「花

鳥諷詠」ではなく、「生き物諷詠」だと言っておられます。

次に、地元の吉田未灰さんを取り上げます。九十三歳で亡く

なりました。二十七歳から

「やまびこ」を主宰して、地元の俳

壇に尽くされた方です。若いころは、社会性の俳句を詠んでい

ました。(火ぼてりの貌を冬嶺

へ機関助± 35歳)が第二句集

にあります。〈組む腕確かめピケ前進の構内寒む 40歳〉これ

も職場俳句です。それから、「貧」、貧しさの中で妻や家族に対

しての愛を正直に詠んでいます。(浴衣より貧のあばらを妻子

の前 28歳〉それから、奥さんの亡くなるときの句で

〈己をな

ぐるもの死の前の妻唇ひらく 44歳〉があります。強い表現で、

悲しみや愛おしさを詠んでいます。(雁鳴くと妻つと立てりつ

られ立つ 69歳〉金子兜太さんの

〈梅咲いて庭中に青鮫が来て

いる 62歳〉にある様な

「けはい」の句に近いと思います。こ

ういう形で、妻との関わりや愛情が表現されています。(火蛾

せつに灯を恋ひ吾れら詩を欲るも 63歳〉火蛾が灯に飛び込ん

でいく様をみて、自分は詩を求めて、同じように死にもの狂い

の覚悟で臨むんだという句です。もう

一つのポイントは、ヨロ

ら」です。自分

一人でなく、同じ志を持

っている仲間との連帯

感があり、それがず

つと続いているのです。(青嶺峨々任侠の

血のうすらげり 87歳〉多少誇張していると思いますが、国定

忠治などの任侠心に満ちていた上州の地に注目しています。世

情に対する風刺なのかも知れません。或いは、自分の中で薄ら

いだと自省しているのかも知れません。義侠心というか、任侠

・男気というものが、未灰さんの場合、足が地に付いていた

と感じられます。何かあ

ったら、自分が前に出て行

って

一肌脱

ぐという姿勢がありました。次に、晩年の俳句を見てみますズ白

菊や諾へば死も寧からむ 89歳〉おもてむきは優しそうに書い

てありますが、どこかに、自分はまだ簡単には死なないぞとい

う思いが有るようにも思われます。反骨心を持ち続けている句

です。 一面、諦念も含まれているようです。(太宰忌の蛙鳴か

しめ妻泣かしめ 90歳〉自分も反省しているのですが、その反

省を、「妻泣かしめ」と強く言うことによって、諧誰味を加える。

これも未灰さんらしい愛情表現の句です。(点滴無敵十月の日

に透きとほり 9‐歳)にも、どこかに反骨心が残

っている。(人

日の粥すすりゐて意志強む 92歳〉未だ気持ちはしっかりして

いるよと言

っているけれども、すす

っているのが粥なのです。

そこにちょっとした笑い、諧誰が含まれています。(大花野抜

け来て風に胸さらす 92歳〉この

「胸さらす」には、色々なも

のを受け入れる懐の広さが詠まれています。胸襟を開いていろ

いろなものを受け入れることが出来そうな気がする。(寒風を

斬る念流の太刀捌き 90歳〉地元の在野剣法を詠んで、やはり

未灰さんの在野精神が現われているような気がします。そして、

さすがに93歳になると、〈元日や頼のほぐれぬ病みあがり〉〈葉

月さやさや風の誘ひに句を成せり〉など、今までの句と異なっ

-3-

て、辛い状況を、素直に詠んで優しさが出てきているようです。

次に、文挟さんの句を見てみます。

文扶夫佐恵さんは、百歳まで生きて、九十九歳まで俳句を作

ていましたc百歳まで俳句を続ける事は大変なことです。才気

換発の方ですが、 一番の基本は、戦争体験だと思います。そこ

から人間どう生きるべきかを組み立てられた方です。が」主人は、

昭和十八年三月の雛の日に、輸送船でラバウルから東部

ニュー

ギニアのラエに向う途中に、爆撃を受け、ブイを身に着けて海

に飛び込むという経験をし、ご自分は、幼児を育てながら銃後

の生活に耐えていたのです。その様な経験が底にあ

って、そこ

から自分の人生の在り方を求めた方でした.2018年2月

号の

「俳句界」に掲載された句を紹介します。(九十の恋かや

白き曼珠沙華 89歳〉白い曼珠沙華を前にして、自分の心には

まだ、恋というものが残

っているんだと詠んでいます。これを

平木智恵子さんは

「白曼珠沙華を主人公とした夢幻能の趣であ

る」と解説されています。それから、〈香水は

「毒薬」誰に逢

はむとて 89歳〉これから男を誘いに行こうとして、毒薬とい

う名の香水を付けるというのですG譜諄のある句です。実際に

は、この様なことをしませんが、文芸としてどこまで、表現が

許されるのかということを試みている様に思います.華奢な方

でしたが、足腰が丈夫で、

99歳で蛇笏賞を受賞されるときには、

事前の運動を欠かさず、杖を突かずにしつかり壇上に上がられ

ましたc(艦といふ大きな棺沖縄忌 94歳)この旬は戦後70年

近く経

ってから作

った句です

)戦争体験を■括した■年o〓で

すc戦時中、文扶さんは幼い命を守―,、夫の■事な生還を行――

ながら必死に生きてこられたのですc「戦争を開う原点」が表

現された句です。「艦といふ大きな棺」という文体には、「とい

ふ」の時間の中に

「艦」の本質をさぐるような思索性が感じら

れます。「艦」というと、やはり戦艦を連想します。戦艦大和、

沖縄、若者の死などを思い続けてこられて来られたのです。戦

艦ごと沈んだ兵士たちを思い、艦そのものが柩であると詠んだ

のですが、艦のみでなく、戦車も棺と言えるし、沖縄戦の行わ

れた沖縄そのものが棺であり、相手の兵も亡くな

っていること

を思えば、戦争そのものが柩であるとも思える。何層にもこの

棺は広が

っていくのだと思います。この様な句は、若い世代で

は詠めない俳句だと思います。〈不覚なり花野の中に転びをり

99歳〉〈百歳てふ未踏の域や年明くる 99歳)という句があり

ます。百歳にな

っても、未踏の新しい世界に入る期待感のよう

なものがあ

ったのかも知れません。非常に前向きで明るいこと

を詠まれています。最後に、金原さんの句を見ます.

金原まさ子さんは、百六歳まで生きて、第三句集を出したの

が九十九歳です。明治44年生まれで、

49歳で俳句を始められて

います。無名の時が長か

ったのですが、

99歳で、第三句集

『遊

戯の家』を出され、2014年には、102歳に上梓した第四

句集

『カルナヴァル』で、現代俳旬協会賞特別賞を受賞してい

ます。

まずは、第三句集からc〈春暁の母たち乳をふるまうよ〉。「母

たち」が

「ふるまう」という命の籠

った表現が面白

い。ほがら

かな気持ちの出ている句です。(青晰賜なぶるに幼児語を

つか

う)青請場をつついた――、転がした―,している子供の残虐性を

詠たで■〓つて下が、そのとき子供たちが

「幼児語」を使

って

いると言

,たところが面白い‥自分自身を、一99歳の不良少女」

などと言

っています.次は、第四句集

『カルナヴァル』につい

て、池田澄子さんが

「102歳の悪徳と愉悦。健気に淫らに冷

-4-

静にぅ言葉を以てこんなに強くエレガントに生きることができ

るなんて―」と書

いています。作者は扉に、「毎日八時間くら

い消しゴムを見つめていれば、五十年後に

一センチくらい動か

せる」という話を私は信じる、と記しています。別の章の一扉の

には、「いい人は天国

へ行けるし、わるい人はどこへでも行ける」

と書いています。こう

いう面白いことを、百歳を過ぎても考え

ている人がいる。以下百歳を超えてからの句です。(ああ暗い

煮詰

っているぎゅうとねぎ)面白

い句です。「ああ暗い」とい

う言葉に、暗い時代を生きて来た思いが、心のどこかに宿

って

いるよと言う句です(天ひな寿司の具に初蝶がまぜてあるI

読、

びく

つとしますが、ひょつとしたらきれいなものにも思われま

す。百歳過ぎると許されるのかも知れません。(ヒトはケモノ

と童は菫同士契れ〉菫は、古代ギリシアでは、同性愛の表徴で

もあります。こういう世界を書いているのです。これは、文芸

だから書ける句です。精神の自由さの表れでもあります。(エ

スカルゴ三匹食べて三匹嘔く〉この様な句は今までの美意識で

はなかなか詠めなか

った。サルトルに

「嘔吐」という作品が有

ります。何か、世にそぐわない気持、気分の悪くなるような世

界、それを

,―十‐き出すと詠んでいます。こういう句が成り立

つと

いうことが、俳句形式の受容力であるということが言えます。

〈暮またぐときごうごうと耳鳴りが〉頭の中で書いたのではな

く、実際に暮に接した時に、神様のような力を感じたのでしょ

う。こういうことは、音のアニミズムの世界ではわれわれも感

じていたのです。日本だけでなく、中南米、アジアの国々でも、

人智を超える不可解なものに神を感じたりしているのです。そ

いうものがこの旬の下敷きにな

っているのです。〈菜の花月

夜ですよネコが死ぬ夜ですよ〉暗い所をちょっと優しく言

って

いる。業の花月夜というと、抒情的な明るいイメージを持ちま

すが、そんな中でも、動物は死んでいるんだ、ネ

コだ

って死ん

でいる.ネ

コだけでなく、あるいは人間も死んでいるかも知れ

ない。面白い句です。(リンゴ食い古いオルガンのようにいる)

102歳の心境なのでしょう。伝統的な俳句とは全然違います。

どちらかと言うと、戦後の現代詩のようですcそれも西洋の詩

に近いかも知れませんc社会常識では、悪徳であるとか言われ

てしまいそうですが、そこを邪気なく自分に忠実に正直に表現

していて、特異な感性から独特のユニークな世界が出来上が

ていると思います.

四人に共通することは、全員が個性的であることです。俳句

の普遍性ということが言われますが、俳句は、新しく深い個性

的な内容

(発想)を、使い回された言葉ではなく、新鮮な言葉

で書くことが大切です。さらに、みんなに分りやすい言葉で書

くことも大事だと思います。それによ

って、現代俳句に新しい

詩の世界が拓かれていけば望ましい。私自身も、近頃は、新し

いことを、みんなに分りやすく書くということを心がけていま

す。最

後に、九十歳から百歳まで生きて俳句を作るには、二つの

ことが大事かと思います。 一つには、「心がけ」cもう

一つは、

「運」。今日ここにお越しの俳人たちは、必ずしも日頃の

「心が

け」がよいとは言えないかもしれません。ですので、せめて「運」

に恵まれ、個性ある長寿の名句を生み出せますようにc心より

ご祈念中し上げます。

-5-

■俳句大会入賞作品   ○印の中の数字は得点数

◆現代俳句協会賞

癒える身の一歩に力草青む

◆群馬県教育文化事業団賞

嬰児をまあるく洗ふ初湯かな

◆上毛新聞社賞

旅好きな父の最後は冬銀河

◆四位

種袋振れば水恋ふ音のして

◆毎日新聞社前橋支局賞

早春の風にほぐるる山の装

◆群馬県現代俳句協会賞

確かなることのひとつや冬木の芽

寝返りの隣からつぽ花冷えす

後ろ手の父の寡黙や麦を踏む

風神のけふ穏かに冬さくら

立春の風を見たくて眼鏡拭く

ちひろの絵どの子もいとし石鹸玉

生きるとは土を踏むこと春隣

語り継ぐやうに燃えをる猾火かな

雪国の汽車満燭の灯を曳きぬ

立春を越えたあたりで生き返る

靴紐をきつく結んで麦を踏む

春田打ち荒むこころを鎮めをり

点眼の

一滴に春立ちにけり

胎動をたしかめ合うて春を待つ

っ風押して押されて八十年

しその実摘む遠き母なる匂いかな

3・ 進む世に遅れてばかり日向ぼこ

借りて突く杖

の軽やか春隣

片品郷梧火とろとろ草履編む

鳥帰る弓なりに反る寺

の屋根

腹筋と背筋鍛

へ寒に耐ふ

試し書く

ペンの大さや立子の忌

■選者特選句

(敬称略

・順不同)

中里麦外 選

死仕度未だ出来ぬ故注連作る

遠き日の父の匂いの温抱かな

春の句を心破れしままに詠む

矢島まさる 選

早春の風にほぐるる山の装

風神のけふ穏かに冬さくら

点眼の

一滴に春立ちにけり

安冨耕二 選

初蝶の空の広さを持て余す

おでん鍋さ

っきの話何だ

っけ

夫といふ不思議な存在福寿草

吉岡好江 選

遠足の声や空堀のぼり来る

早春の風にほぐるる山の装

寂しさの別れこもごも花齊

堀越胡流 選

借りて突く杖の軽やか春隣

立春を越えたあたりで生き返る

寝返りの隣から

つぽ花冷えす

⑩⑩⑩⑩⑨⑥ ⑦ ③

吉岡 好江

赤堀 琴代

細野 彩扇

※ 細野 彩扇

保泉 初音

横田真智子

塚越 秋琴

石原 道明

石井 紅楓

石井 紅楓

橋本 雅子

根岸 博義

今井  妙

五十嵐米子

斎藤

 一平

大沢 友江

原  民雄

小野里 勲

金子 淑子

石原 玲子

白井しげみ

芝根  南

清水 里子

金井 幸江

原田 要三

田中 恵子

田村フミ江

長谷川瑞恵

牧野美知子

斎一勝 盈世

保泉 初音

石井 紅楓

小野里 勲

吉田美津江

堀越 胡流

儘田冨貴子

村上 成子

保泉 初音

斎藤 盈世

清水 里子

斎一膝 

一平

塚越 秋琴

-9-

原田要三 選

野遊びの仮の常世を仮に歩す

看取る日に眩しきものや初景色

寝返りの隣から

つぽ花冷えす

河合秀美 選

春惜しむ平和としたい新元号

天国の夫にマフラー編んでおり

旅好きな父の最後は冬銀河

五十嵐米子 選

しその実摘む遠き母なる匂いかな

綾取りの橋渡ろうか白障子

旅好きな父の最後は冬銀河

白井しげみ 選

夕立の義手をかくまう母の傘

雪国の汽車満燭の灯を曳きぬ

春満月あまたのしこり払ひけり

高田多加江 選

大字は疾風なれ

っこ山眠る

梅咲いて人は煮炊きをくり返す

印鑑もカードもなくて涅槃西風

石井紅楓 選

猿人の歩行さながら青き踏む

癒える身の

一歩に力草青む

左官屋のねじり鉢巻木の芽風

小山泰子 選

嬰児をまあるく洗ふ初湯かな

靴紐をき

つく結んで春を踏む

胎動をたしかめ合うて春を待

武井波真 選

嬰児をまあるく洗ふ初湯かな

山笑ふ独り住まいのひとりの灯

胎動をたしかめ合うて春を待

秋元倶子 選

っ風押して押されて八十年

立春の風を見たくて眼鏡拭く

確かなることのひと

つや冬木の芽

今井 妙 選

嬰児をまあるく洗ふ初湯かな

試し書くペンの大さや立子の忌

雛飾り雛の齢を数ふかな

佐藤愛子 選

進む世に遅れてばかり日向ぼこ

後ろ手の父の寡黙や麦を踏む

種袋振れば水恋ふ音のして

田中恵子 湮違

語り継ぐやうに燃えをる猾火かな

ちひろの絵どの子もいとし石鹸玉

土管てふ昔の遊び場浮かれ猫

直江たかべ 龍建

片品郷猾火とろとろ草履編む

鳥帰る弓なりに反る寺の屋根

雪国の汽車満燭の灯を曳きぬ

一下不一言ょ,三J 選̈

腹筋と背筋鍛

へ寒に耐ふ

春立

つや未だ腕に力こぶ

春田打ち荒むこころを鎮めをり

中里 麦外

金子 淑子

塚越 秋琴

神原 照男

堀越 胡流

細野 彩扇

白井しげみ

白井しげみ

細野 彩一扇

五十嵐米子

五十嵐米子

大島  和

赤堀 琴代

齋藤

 一平

鬼形 瑞枝

原田 要三

吉岡 好江

田村フミ江

赤堀 琴代

大沢 友江

金子 淑子

石原 玲子

石井 紅楓

横田真智子

赤堀 琴代

田村フミ江

山口美恵子

芝根  南

石原 道明

細野 彩扇

今井  妙

橋本 雅子

二本松よし子

金井 幸江

原田 要三

五十嵐米子

田中 恵子

小野里 勲

原  民雄

赤堀

細野

金子

淑 彩 琴子 扇 代

-10-

保泉初音 選

空風に見咎められて引き返す

猿人の歩行さながら青き踏む

癒える身の

一歩に力草青む

牧野美知子 選

嬰児をまあるく洗ふ初湯かな

福豆の裾分けの福もらいけり

月光のしんと降りつむ凍土かな

諸田夏江 選

揚雲雀あらぬ噂をまきちらす

癒える身の

一歩に力草青む

立て前と本音の間余寒なほ

朝倉裕子 選

立春を越えたあたりで生き返る

涅槃西風奈落はひとりひと

つず

母さんと呼びかけてみる春の月

狩野優子 選

旅好きな父の最後は冬銀河

種袋振れば水恋ふ音のして

確かなることのひとつや冬木の芽

塚越秋琴 選

啓蟄のたましい集う音幽か

種袋振れば水恋ふ音のして

点眼の

一滴に春立ちにけり

矢島まさる

原田 要三

吉岡 好江

赤堀 琴代

村上 成子

松下 浩子

安冨 耕二

吉岡 好江

横田真智子

斎一膝 

一平

中里 麦外

齋籐 盈世

細野 彩扇

細野 彩扇

横田真智子

川野 忠夫

細野 彩扇

小野里 勲

◆第二十七回群馬県現代俳句協会大賞

(応募要項の概要)

作  口叩 一一〇句

(未発表作品)B4版の半分の原稿用紙

(二百字詰)を使用する。枠外に題名を記入する。

別紙に、題名

・姓号・住所。電話番号を記入する。

参加資格 群馬県現代俳句協会員

(現代俳句協会員で、会費納入者に限る)

費 一一〇〇〇円

(現金書留または定額小為替)

切 令和元年十月三十

一日

(木)必着

先 一二二七〇―二

一二人

高崎市吉井町本郷五六七―三 堀越胡流様方

群馬県現代俳句大賞係 宛

選考委員 中里麦外、矢島まさる、安富耕二、吉岡好江、

堀越胡流

※ 顕彰は、第二四回群馬県現代俳句協会主催の俳句大会

の席上にて顕彰する。

普貝    大賞  一名

(賞状および五万円)

準賞 若干名

(賞状および

一万円)

応 締 参

募 加

◆第二十五回吟行句会

募集対象 会員および会員外

(どなたでも可)

日  時 令和元年十月二十日

(日)

地 一膝岡市桜山公園

(鬼石町)

〈ム場 一騰岡市みかぼみらい館研修室

申込締切 九月三十日

(月)先着四〇さまc

投  旬 一人三句 特別選者の他、全員で選句。

先 一三二七〇―〇八〇六

高崎市上和田町

一〇  石井紅楓様方

吟行係 宛

-11-

◆第九回紙上俳句大会

応募対象 会員および会員外

(どなたでも可)

投句締切 令和元年八月二十

一日

(土)

投  句 一一句

一組

(一人で何組でも可)

料 一一句

一組 金

一〇〇〇円

爛建  句 投句者全員の六句選

(特選

一句を含む)

別に、特別選者は特選三句

(講評文を添えて頂く)

の他に、十五句選c

特別選者 中里麦外、矢島まさる、安富耕二、吉岡好江、

堀越胡流、原田要三

先 一工二七〇―〇六

一二

邑楽郡邑楽町新中野七

一―

一二 安冨耕二様方

紙上俳句大会係 宛

◆第六回研修句会

 

群馬県現代俳句協会員で希望者

日  時 令和元年十

一月四口

(月

・祝日)

午後

一時三十分より

申込締切 十月三十

一日

(本)

漁り数 雑詠二句 金

一〇〇〇円

(当日支払)

研修会場 生涯学習センター

(前橋市文京町)

先 一二二七七10〇五四

渋川市北橘町下南室四九六―

一 

一口岡好江様方

研修句会係 宛

会費納入のお願い

群馬県現代俳句協会の年会費

(千円)の未納の方は、会計担

当幹事までご送金願います。なお、会計年度は、 一月から十二

月までです.

なお、前年度会費の未納の方もおられますので、ご協力のほ

どお願いいたします.

送金先 一工二七六―〇

一四三

桐生市黒保根町宿廻九

一―七三

河合秀美 会計幹事 宛

俳誌

「ぬかるみ」の松本夜詩夫主宰が二月十五日に九十三歳

で他界されました。群馬県現代俳句協会の創立当時から協会の

発展にご尽力いただいた方々の多くを失

った現在、残された役

・会員によ

つて今後継続して会を運営していくことになりま

した。今まで以上に、ご協力をお願いする次第であります。

第二十三回俳句大会には、現代俳句協会副幹事長

(広報部長)

で俳誌

「秋」の佐怒賀正美主字に

「長寿時代の現代俳句」とい

う演題で講演をお願いいたしました。ダイジ

エストのご紹介で

は、抄出された俳句の意図が伝わらないと思い、詳細な講演録

を掲載いたしました.是非、再読して頂きたいと思いますc

(要三)

群馬県現代俳句協会会報第六十二号

発行日 令和元年六月

一日

発行人 矢島まさる

編集者 原田要三

発行所 群馬県現代俳句協会事務局

〒三七

一―〇八二五 ユ削橋市大利根町一

千電 話 〇二七―二五四―五

一九八

一―一一δ

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