24
(子どもの人間関係づくり推進事業) ―報告書- 平成 27 年3月 北海道教育委員会 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業

平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

(子どもの人間関係づくり推進事業)

―報告書-

平成 27年3月

北海道教育委員会

平成 26年度

中1ギャップ問題未然防止事業

Page 2: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

「発刊に寄せて」

本道においては、小学校6年生に比べて中学校1年生は、不登校の子どもが約

3倍であるとともに、いじめの認知件数についても4倍近くであるなど、いわゆ

る「中1ギャップ」の問題が全国と同様に顕在化しており、生徒指導上の喫緊な

課題となっております。

こうしたことから、北海道教育委員会では、平成 22 年度から、「子どもたちの

人間関係づくり推進事業」の一環として、「中1ギャップ問題未然防止事業」に取

り組み、本年度は、昨年度から継続して実施する3中学校区に、新たに1中学校

区を加えた4つの中学校区を指定し、事業を進めてまいりました。

各指定校区においては、これまでの実践から明らかになった中1ギャップを解

消するポイントである「小・中学校の緊密な連携体制の整備」、「児童生徒の人間

関係を築く力の育成」、「児童生徒の学校生活への適応状況のきめ細かな把握と適

切な支援」「小・中学校における学習指導や生活指導の円滑な接続」の4つの視点

を踏まえ、「中1ギャップ解消プラン」を作成し、「人間関係づくりの能力の育成

を図る教育課程の小・中学校の円滑な接続による工夫改善」、「学習指導や生活指

導の小・中学校の円滑な接続による工夫改善」など、地域の実態に応じた特色あ

る取組を実践してきたところです。

本報告書では、道内の小・中学校が小中連携を進める際の参考となるよう、指

定校の実践をはじめ、その成果や効果的な取組とするためのポイントを具体的に

掲載しており、今後、本報告書が、道内の各地域で積極的に活用され、子どもの

人間関係づくりの能力の育成や小・中学校間の連携の取組が一層推進されること

を期待しております。

結びに、本調査研究にお力添えをいただきました北海道医療大学の富家直明教

授、日本学術振興会特別研究員の新川広樹氏をはじめ、指定校の4中学校区の小・

中学校の皆様に対して深く感謝申し上げます。

平成 27 年3月

北海道教育庁学校教育局参事(生徒指導・学校安全)

高 塚 信 之

Page 3: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

平成 26年度中1ギャップ問題未然防止事業-報告書-

第1章 解説編 ○ 北海道における「中1ギャップ」の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 ○ 平成 26年度中1ギャップ問題未然防止事業 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 ○ 「中1ギャップ」を解消するポイント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

第2章 実践編 -指定校における取組- Ⅰ 指定中学校区の「中1ギャップ解消プラン」

○ 岩内町立岩内第一中学校区における中 1ギャップ解消プラン・・・・・・・・・・・4 ○ 白老町立白老中学校区における中 1ギャップ解消プラン・・・・・・・・・・・・・8 ○ 標茶町立標茶中学校区における中1ギャップ解消プラン・・・・・・・・・・・・・12 ○ 別海町立別海中央中学校区における中 1ギャップ解消プラン・・・・・・・・・・・16

Ⅱ 指定中学校区における実践例 1 人間関係づくりの能力の育成を図る教育課程の小・中学校の円滑な接続による工夫改善 ・スクールカウンセラーを講師とした小・中学校合同研修会の取組

(岩内町立岩内第一中学校・岩内町立岩内東小学校) ・・・・・・・・・・・・・20 ・「ほっと」を活用して児童生徒理解の充実を図る取組 (白老町立白老中学校・社台小学校・白老小学校・緑丘小学校) ・・・・・・・・21 ・新入生体験入学など、小・中学校が連携した取組

(標茶町立標茶中学校)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 ・「ほっと」や生活アンケートの実施、分析及び校内研修や学年会議等での活用 (別海町立別海中央中学校・別海町立別海中央小学校)・・・・・・・・・・・・・23

2 学習指導や生活指導の小・中学校の円滑な接続による工夫改善 ・小・中学校間での家庭学習における内容や方法についての連携の取組

(岩内第一中学校) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 ・ワーキンググループを活用した小中連携の取組 (白老町立白老中学校・社台小学校・白老小学校・緑丘小学校)・・・・・・・・25 ・小・中学校相互の授業参観や中学校教員による学習支援等、小・中学校が連携した 取組(標茶町立標茶中学校・標茶町立標茶小学校) ・・・・・・・・・・・・・・・26

・小・中学校相互の授業参観や出前授業等、小・中学校が連携した指導方法、指導体 制の充実(別海町立別海中央小学校・別海町立別海中央中学校)・・・・・・・・・・27

3 その他の取組 ・小・中学校と家庭・地域が連携・協力した取組 (白老町立白老中学校・社台小学校・白老小学校・緑丘小学校) ・・・・・・・・28 ・小・中学校合同のいじめ根絶に向けた子ども会議など、児童が主体となった取組 (標茶町立標茶小学校・標茶中学校) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

・その他学校や地域の実情に応じた取組~児童生徒間の交流 (別海町立別海中央小学校・別海町立別海中央中学校)・・・・・・・・・・・・・30

第3章 検証編 ○ 指定校区におけるいじめ・不登校の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 ○ 平成 26年度における本事業の成果と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32

資 料 中 1ギャップ問題未然防止事業実施要項(平成 26年4月 24日学校教育局長決定)・・・・33

目 次

Page 4: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

第1章

第1章では、北海道における「中1ギャップ問題」の現状と、その解消に向けて、北海道教育

委員会が平成 22年度から実施している「中1ギャップ問題未然防止事業」の取組を紹介します。

解 説 編

Page 5: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

1

北海道における「中1ギャップ」の現状

北海道では、中学校1年生において、小学校6年生に比べて不登校やいじめが大きく増える、

いわゆる「中1ギャップ」の問題だけでなく、小学校段階から中学校段階まで、学年が上がるに

つれて不登校が増えており、徐々に問題が現れ、顕在化していく傾向が見られます。

この問題の要因としては、一人一人を細やかに見守る環境の中で生活していた子どもが、中学

校に入学して、自分の責任で判断し行動することを求められるなど、小学校と中学校の学校制度

や教員の指導のギャップにより、新しい学習環境や人間関係につまずいて、学校生活への不適応

を起こしていることや、学年が上がった段階で、これまでの学習内容が十分身に付いていなかっ

たり、学習や生活の仕方との違いに戸惑ったりして適応できないことなど、学校間・学年間の接

続の問題が指摘されています。

文部科学省が毎年

実施した「平成 25 年

度児童生徒の問題行

動等生徒指導上の諸

問題に関する調査」に

おいて、北海道の不登

校児童生徒数は、小学

校6年生が 258 人で

あるのに対し、中学校

1年生は 796 人と約

3.1倍となっています

(図1)。いじめの認

知件数は、小学校6年

生が 207 件であるの

に対し、中学校1年生

は 769件と約 3.7倍と

なっています(図2)。

また、いじめの認知

件数や不登校児童生

徒数が小学校から中

学校に進学した際に

増加するだけでなく、

不登校児童生徒数が

小・中学校とも学年が

上がるにつれて増加

しており、小・中学校

間だけでなく学年間

の接続にも課題があ

ることが伺えます。

図1 本道の公立小・中学校の学年別の不登校児童生徒数

258

769

796

3.1倍

3.7倍

207

図2 本道の公立小・中学校の学年別のいじめの認知件数

Page 6: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

2

北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 22 年度から「中1ギャッ

プ問題未然防止事業」を実施し、平成 26年度は道内の4中学校区において、学校や地域の実情に応

じた取組を進めています。

平成 26年度中1ギャップ問題未然防止事業

の現状

平成 26年度中1ギャップ問題未然防止事業実施の4中学校区

◆ 事業実施市町村教育委員会、拠点校・連携校の取組 ◆

1 小・中学校の緊密な連携による推進体制の整備 ① 「中1ギャップ検討委員会」の設置 ② 中1ギャップ解消プランの作成

2 人間関係づくりの能力の育成を図る教育課程の小・中学校の円滑な接続 ① よりよい人間関係を築くために必要な社会的スキルを育成する活動の教育課程への位置付け ② 学校行事、児童会・生徒会活動、クラブ活動や部活動、自然体験活動、ボランティア活動の

合同実施による児童生徒の交流などの取組の実施

③ 「ほっと」や生活アンケートの実施(年2~3回)、分析及び校内研修や学年会議等での活用

④ 教育相談や学習・生活に関する記録に基づく合同の事例検討、実践交流等の実施

⑤ スクールカウンセラーや指導主事等を講師とした合同研修会の実施

3 学習指導や生活指導の小・中学校の円滑な接続による工夫改善

① 学習規律、生活規律の改善に関する一貫した取組の推進

② 9年間を見通し、学年相互の関連を明確にした指導計画の整備

③ 相互の授業参観や出前授業等、小・中学校が連携した指導方法、指導体制の充実

④ 家庭学習(予習や復習、宿題等)における内容や方法についての連携

⑤ 児童生徒の学習状況や生活状況等の引継ぎの工夫改善

⑥ 中学校における学級編制や個に応じた指導に生かすための、小学校における学習内容の定着状況の共有

4 その他の取組

① 児童生徒が学校や学級での生活によりよく適応することができるようにするための教育活動全体を通じたガイダンスの機能の充実

② 合同のいじめ根絶に向けた子ども会議など、児童生徒が主体となった取組の実施

③ 生活リズムや家庭での過ごし方(家庭での学習時間を含む)等に関する家庭との連携の充実

④ 学校と家庭、地域が連携・協力した取組の工夫

5 事業成果の普及

◎岩内町立岩内第一中学校

○岩内町立岩内東小学校

◎標茶町立標茶中学校 ○標茶町立標茶小学校

◎白老町立白老中学校 ○白老町立社台小学校 ○白老町立白老小学校

○白老町立緑丘小学校

◎別海町立別海中央中学校 ○別海町立別海中央小学校

257 357

385

H22 H23 H24

1.8倍

◎…拠点校

○…連携校

2

Page 7: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

3

「中1ギャップ」を解消するポイント

の現状

「小・中学校の緊密な連携体制の整備」

○ 中学校区を単位とした「中 1 ギャップ検討委員会(仮称)」などの小学校と中学

校の連携を推進・検証する組織を立ち上げること。

○ 「中 1 ギャップ検討委員会(仮称)」などで、小・中学校の児童生徒、教職員、

保護者間の継続的な交流活動を企画・立案、実施すること。

○ 9年間を通じて子どもを育てる視点から、小学校と中学校はもとより小学校・中

学校内での引継ぎや情報交換、実践交流や共通実践を工夫すること。 など

「児童生徒の人間関係を築く力の育成」

○ 小学校の低学年の段階から中学校に至るまで、社会的スキルなどの人間関係を築

く力を意図的・計画的に育成すること。

○ 児童生徒が「自己有用感」や「自己肯定感」を認識し、「達成感」を獲得できる

教育活動を工夫すること。

○ グループエンカウンターやピア・サポート活動、ソーシャルスキルトレーニング

などの取組を効果的に活用すること。 など

「児童生徒の学校生活への適応状況のきめ細かな把握と適切な支援」

○ 学校への適応状況等を定期的に把握し、適切な支援を継続的に行うため「ほっと

(2014)」、「アセス」、「Q-U」などのアンケートを有効に活用すること。

○ 教職員間の観察や各種調査・アンケートの客観的なデータを活用して、児童生徒

理解を深め、共通実践を図る校内研修等を工夫すること。 など

ポイント1

ポイント2

ポイント3

平成 22 年度から各指定校区において、先行研究を参考にして実践研究を進め、「中1ギャップ」

を解消するための4つのポイントを整理しました。

「小・中学校における学習指導や生活指導の円滑な接続」

○ 小・中学校間で学習規律や生活規律、指導方法・指導体制、学習の内容や方法に

ついての連携を図り、学校間・学年間での一貫した取組を進めること。 など

ポイント4

Page 8: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

第2章

-指定校における取組-

第2章では、平成 26年度中1ギャップ問題未然防止事業に取り組んだ全道の4中学校区におけ

る中1ギャップ解消に向けた具体的な取組を紹介します。

実 践 編

Page 9: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

4

当町では、昨年度に小学校を統廃合したことで、小・中学校が各2校ずつとなった。また、小学校区と中学

校区が同一エリアとなったことで、従前までの中学校入学の際の中1ギャップになりうる要素の一つであった

新たな人間関係の構築の問題は縮小した。また、町内では、小・中学校の教務主任が集まり意見交換を行う場

が設けられるなど、小・中学校の連携に向けた気運も高まっている。これらのことを絶好の機会と捉え、小・

中学校が学習指導や児童生徒理解等について積極的に情報交流を図り、連携を進めることが期待されている。

生徒の多くは素直で真面目、学校行事や部活動に一生懸命取り組む姿勢が見られるが、基礎学力の定着が十

分ではなく学習意欲は低い傾向にあり、この状況は小学校時も同様である。また、コミュニケーション能力の

不足等に起因する人間関係を巡る問題が散見される。このような、学習面と生活面における課題は、中学校進

学という環境の大きな変化と相まって様々な問題行動につながっている。全校児童生徒数における不登校児童

生徒数の割合は、小学校は約1%であるが、中学校では約6%となっており、小・中学校の連携した取組が必

要とされている。

(1)開発的・予防的な生徒指導に係る取組について小・中学校で合同の研修会を開催すること

(2)小・中学校間での連携による児童生徒へのきめ細かな対応を進めること

(3)「Q-U」や「ほっと」を活用し、児童生徒の適応状況を早期に把握して適切な支援を行うこと

所 属 役 職 所 属 役 職

岩内町立岩内第一中学校 校 長 岩内町立岩内東小学校 教諭(教務担当)

岩内町立岩内第一中学校 教 頭 岩内町教育委員会 教育課長

岩内町立岩内第一中学校 教諭(教務担当) 岩内町教育委員会 教育課係長

岩内町立岩内東小学校 校 長 岩内町教育委員会 主 事

岩内町立岩内第一中学校区における中1ギャップ解消プラン

拠点中学校名 岩内町立岩内第一中学校 (生徒数 162名)

連携小学校名 岩内町立岩内東小学校 (児童数 312名)

4 中1ギャップ検討委員会の組織

3 中学校区の目標(小・中学校の重点目標)

本プランの特徴

○ 開発的・予防的な取組について小・中学校で合同の研修会を開催し、教員のスキルアップを図っ

ています。

○ 授業改善や生活規律等、学校生活全体の視点から小・中学校の連携を図っています。

○ 児童生徒に「Q-U」や「ほっと」を実施し、結果の分析についての協議を通して、課題や指導

方法の共有化を図っています。

1 中学校区の特徴

2 中学校区の課題

Page 10: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

5

時 期 岩内町立岩内第一中学校 岩内町立岩内東小学校

4月

○ 第1回小・中学校不登校未然防止対策会議

・教育委員会、拠点校及び連携校の管理職、スクールカウンセラーによる事業推進計画

の協議

・昨年度の成果と課題の共有

・今年度の取組のねらい、内容、重点等の確認

① 小・中学校合同研修会の実施の検討

② 「Q-U」「ほっと」の実施方法及び活用の検討

③ 児童生徒の交流事業の実施の検討

(ア) 小・中学校教員による授業参観の実施

(イ) 学習規律や学習指導の方法の交流

(ウ) 小学校教員による、卒業後、半年が過ぎた中学校第1学年生徒の実態の把握

中学校教員による、小学校第6学年児童の実態の把握

※(ウ)にかかわっては、4月の地域公開参観日から実施

5月

○ 小・中学校合同研修会「エンカウンターとブレーンストーミングの実際」

・スクールカウンセラーを講師として、小・中学校の教員が一堂に会した研修会の実施

【研修内容】

① ピアサポートや構成的グループエンカウンターに係る演習

・演習を通して、開発的・予防的な取組の理解を深めるとともに、その重要性につ

いて確認

②「Q-U」の活用の意義や具体的な活用方法に係る協議

・具体的な事例を用いた分析結果に基づく取組について協議

○ 小・中学校の児童生徒の保護者へのスクールカウンセラーによる相談面接の周知

6月

○ スクールカウンセラーによる教員指導と

保護者面接

○ 中学校第1学年における「Q-U」の実施

○ スクールカウンセラーによる教員指

導と保護者面接

○ 小学校第2学年~第6学年における

「Q-U」の実施

7月

○ スクールカウンセラーによる教員指導・保護者面接

○ 「Q-U」の結果分析と改善の取組

・「Q-U」の結果分析による、児童生徒個々の実態把握及び学級全体の傾向の確認

・小・中学校合同研修会の研修内容を基にした、学級経営の具体的な取組の検討

① 互いのよさを認め合うアンケート等の自己肯定感を高める取組の実施

② 自己評価と他己評価を活用し、自分を振り返る場の設定

5 中1ギャップ解消プランの実際

の構成

Page 11: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

6

9月

○ スクールカウンセラーによる教員指導・保護者面接

○ 第2回小・中学校不登校未然防止対策会議

・「Q-U」の実施にかかわる交流

・研修会(2回目)に向けた内容の検討

10月

○ スクールカウンセラーによる教員指導・保護者面接

○ 第3回小・中学校不登校未然防止対策会議

・研修会(2回目)に向けた内容の検討

・小中連携の交流事業についての協議・検討

① 音楽交換会の実施

② 小学校第6学年の中学校の一日体験入学

○ 公開研究会の開催

・これまでの交流事業を通して、中学校の生徒の様子を把握している小学校教員による

ファシリテーション

11月

○ 教員指導・保護者面接

○ 小・中学校合同研修会「『Q-U』による各校の結果の検証と今後の課題に向けて」

・「Q-U」の活用方法の研修を通した、小学校第6学年・中学校第1学年の実態分析

【研修内容】

① ピアサポートや構成的グループエンカウンターに係る演習

・1回目とは異なる内容の演習

②「 Q-U」の分析結果を踏まえた、児童生徒の交流

・「Q-U」の結果をスクールカウンセラーの助言を基に再分析

・具体的な事例を抽出して児童生徒理解に係る交流

・中学校第1学年の結果と昨年度の小学校第6学年の結果を比較し、その変容に重

点を置きながら、中1ギャップの現状についての理解の深化

・6月の「Q-U」の結果を受けて小・中学校それぞれが、取り組んでいる事例に

ついて交流し、指導方法の共通理解や新年度へのステップアップの課題の明確化

○ 研修会終了後、スクールカウンセラー、小・中学校教員、教育委員会合同の情報交流

会の実施

12月

○ スクールカウンセラーによる教員指導・保

護者面接

○ 第1学年の「Q-U」実施(第2回)

・1回目の「Q-U」後の具体的な取組によ

る、生徒の変容の分析

・分析結果を踏まえた今後の取組の検討及び

新年度の学級編成への反映

・「Q-U」の分析結果を踏まえた、「ほっと」

の活用による、コミュニケーション能力の

実態把握

○ スクールカウンセラーによる教員指

導・保護者面接

※小学校は、第2回の「Q-U」は実施し

ない。

Page 12: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

7

〇 小・中学校が合同で、開発的・予防的生徒指導についての研修会を実施し、指導方法を共有することによ

り、各教員の生徒指導力の向上が図られたことはもとより、小・中学校における一貫した指導につながった。

〇 小・中学校がそれぞれで実施した「Q-U」の結果を、共通の視点から小・中学校の教員が合同で分析を

行ったり、改善策を考えたりすることを通して、小学校から不登校を未然防止する取組の重要性を確認する

ことができた。

〇 「Q-U」の結果から把握した生徒のコミュニケーション能力に係る課題について、「ほっと」を活用し、

更に詳細に分析することで、「ほっと」の特性を生かした生徒理解が可能となった。

〇 4月に小学校の卒業担任が、中学校の授業を参観し、生徒の小学校時との変容について把握した上で、中

学校の担任・教科担任に情報提供するなどの機会を設けた。また、この段階で把握した「気になる生徒」に

ついて、6月と 11 月の研修会で継続的に「Q-U」等の客観的なデータを用いて交流することは、生徒が

安心して学校生活を過ごせることにつながり(表1)、不登校になる生徒数の減少(表2)に効果があったと

考えられる。

〇 生徒のコミュニケーション能力に依然として課題が見られることから、「Q-U」と「ほっと」を関連さ

せた効果的な分析及び分析結果を踏まえた指導方法の改善について一層工夫する必要がある。

〇 中学校進学に対する不安感を軽減するために、今年度の「中1ギャップを解消するための取組」を基に、

更に効果的な小・中学校の連携を教育課程上に位置付け、取組が意図的・計画的なものとなるようにする必

要がある。

〇 学習内容が十分定着していないことによる学校生活への不適応が見られることから、小・中学校で統一し

た学習規律や学習習慣の定着に向けた取組を推進する必要がある。

6 事業の成果

7 今後の課題 表2

◇◇◇ 中1ギャップを解消するための本中学校区からの提言 ◇◇◇

〇 「小・中学校の連携」は、客観的なデータに基づく共通の視点での分析による課題の共有から始

めることが重要である。

○ 小・中学校で合同の研修会を実施することは、児童生徒理解や指導方法の共有化を進める上で、

大変有効である。

〇 「中1ギャップ解消」に向けては、児童生徒への長期的な対応が必要となるため、「気になる生

徒」の客観的データによる継続的な把握や教員間の引継ぎを充実させていくことが重要である。

表1

7 今後の課題

Page 13: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

8

白老町は、北海道の南西部に位置し、東に苫小牧市、西に登別市、北には北海道の玄関口である千歳

市、南には雄大な太平洋を臨んでおり、東西に 28kmと細長い町である。白老中学校は、社台小学校、

白老小学校、緑丘小学校の3小学校の卒業生が入学する。各小学校は、学校規模が異なり、学校の所在

地も離れていることから、他校の児童と関わる機会は少年団活動や習い事を除くと多く見られない。

児童生徒は明るく、穏やかで、中学校入学後も比較的仲がよいが、人間関係が固定化する傾向が見ら

れたり、多感な時期に初めて経験する大きな集団での生活に様々なストレスを抱えている生徒もいたり

する。そのため、望ましい人間関係づくりのための取組を進める必要がある。また、基礎学力の定着が

十分に図られていないため学習意欲や学校生活に対する意欲の低下している児童生徒や生活習慣の乱

れが不登校の一因となっている児童生徒も見られることから、小・中学校が連携して基礎的・基本的な

学力の定着に向けた取組と家庭、地域と連携した生活習慣改善の取組を進める必要がある。

昨年度の事業をより発展的に継続していくために、小・中学校の連携を一層深めるとともに、家庭、地

域と連携した取組の充実を図る。

(1)出前授業(中学校教員が小学校で授業を実施)」、「乗入授業(小学校教員が中学校の授業に参加)」、

「授業交流」の機会の充実

(2)講演会の実施やプリントの配布など、小・中連携を基盤とした家庭、地域への啓蒙活動の充実

所 属 役 職 所 属 役 職

白老町立白老中学校

白老町立社台小学校

白老町立白老小学校

教頭

教務主任

生徒指導担当教諭

地域支援本部

教頭

生徒指導担当教諭

教頭

教務主任

生徒指導担当教諭

白老町立緑丘小学校

白老町教育委員会

教頭

教務主任

生徒指導担当教諭

教育課長

指導主幹

SSW

教育支援センター指導員

白老町立白老中学校区における中1ギャップ解消プラン

拠点中学校名 白老町立白老中学校(生徒数 235名)

連携小学校名 白老町立社台小学校(児童数 30名) 白老町立白老小学校(児童数 145名)

白老町立緑丘小学校(児童数 232名)

本プランの特徴 ○ 自己有用感を高めることができる学年・学級経営を行うために、子ども理解支援ツール「ほっ

と」を活用しています。

○ 中学校進学への不安感の軽減や学習への意欲を高めるために、小学校と中学校の教員が連携し、

「授業交流」や「出前授業」を行っています。

○ 家庭、地域との連携した取組を充実させるために、小学校と中学校が共同実践をしながら、同

じベクトルで家庭、地域に情報を発信しています。

4 中1ギャップ検討委員会の組織

3 中学校区の目標(小・中学校の重点目標)

1 中学校区の特徴

2 中学校区の課題

Page 14: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

9

時期 白老中学校 社台小学校 緑丘小学校 白老小学校

3月

4月

○ 各小学校との引継ぎ

・新1年生の交友関係、生活状況の把握

・配慮事項の確認

○ 生徒指導事例研修(いじめ防止基本

方針の確認)

○ 基本生活アンケートの実施

○ 中学校、幼稚園・保育所との引継ぎ

・児童の交友関係、生活状況の把握

・配慮事項の確認

○ 生徒指導事例研修(いじめ防止基本方針の確

認)

5月 ○ 体育大会後の認め合い活動

○ ネットトラブル防止講演会

の開催

○ 心のバランスチェックの実施

○ SC講演会の開催(1学年)

6月 ○ 第1回「中1ギャップ問題未然防止

事業」運営協議会参加

○ 薬物乱用防止・非行防止講

演会の開催

○ 生活リズムチェックシートの活用

○ 教育相談の実施

○ いじめ未然防止モデルプ

ログラム作成委員会参加

○ 教育相談の実施

○ 異学年交流の実施

7月 ○ 生徒会による生活改善運動 ○ 非行と犯

罪の予防講

演会の開催

8月

○ 生徒指導事例研修(不登校生徒の状

況)

○ 第1回集団カウンセリング研修会

参加

○ 児童理解交流会 ○ 学級経営交流研修会

○ 薬物乱用防止教室

○ 生活リズムチェックシートの実施

○ 第1回集団

カウンセリン

グ研修会参加

9月

○ 心のバランスチェックの実施

○ 全校道徳の実施

○ 人権教室

いじめ予防

教室の開催

○ 学級経営

交流会

○ 生活しら

べの実施

5 中1ギャップ解消プランの実際

の構成

生徒指導連絡協議会

・各学校の生徒指導実践交流

白老中学校区中1ギャップ検討委員会 第1回会議の開催

SSW、教育支援センター指導員との情報交流

子ども理解支援ツール「ほっと」の実施(1回目)

第1回 子ども理解支援ツール「ほっと」の分析、情報交流会

特別支援学級 情報交流会

白老中学校区 学力向上ワーキンググループ会議の開催

・取組、実践内容の確認

中1ギャップ問題未然防止 保護者・地域講演会の開催

「いじめアンケート」の実施

Page 15: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

10

10月 ○ 教育相談アンケートの

実施

○ 学校祭後の認め合い活動

○ いじめ未然防止モデルプ

ログラム作成委員会参加

○ 教育相談の実施

11月

○ SC講演会の開催(2学

年)

○ 生活リズムチェックシー

トの活用

○ 異学年交流の実施

○ 携帯電話

講座の開催

12月

○ 生徒会による生活改善運動

○ 第2回集団カウンセリング研修会

参加

○ 第 2 回「中1ギャップ問題未然防止

事業」運営協議会参加

○ 第2回集団

カウンセリン

グ研修会参加

○ 第2回集団

カウンセリン

グ研修会参加

○ カウンセリ

ング研修会実

○ 第2回集団

カウンセリン

グ研修会参加

○ 生徒指導

交流会の実

1月

○ 生徒指導事例研修

○ あいさつ運動の実施

○ 学級経営交流会

○ 生活リズムチェックシートの実施

2月 ○ 心のバランスチェックの実施

○ いじめ未然防止モデルプロ

グラム作成委員会参加

○ あいさつ運動の実施

3月

○ 心のバランスチェックの実施

○ SC講演会の開催(3学年)

出 前 授 業(音楽、体育)、授 業 交 流

SSW、教育支援センター指導員との情報交流

生徒指導連絡協議会

・「ほっと」の分析交流、各学校の生徒指導事例交流

「いじめアンケート」、教育相談の実施

白老中学校区 学力向上ワーキンググループ会議の開催

・「学習のきまり」の策定

白老中学校区 学力向上ワーキンググループ会議の開催

・「家庭学習の在り方」の策定(リーフレットを作成)

子ども理解支援ツール「ほっと」(2回目)、アセスの実施

出前授業(数学・英語・理科)

第2回 子ども理解支援ツール「ほっと」の分析、情報交流会

生徒指導連絡協議会

・「ほっと」の分析交流、白老町生活のきまりの策定

中学校体験入学

・児童生徒交流、体験学習 ・保護者対象のSC講演会

特別支援学級 情報交流会

白老中学校区中1ギャップ検討委員会 第2回会議の開催

小・中学校の引継ぎ

校区 PTA ネットトラブル防止講演会の開催

Page 16: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

11

6 事業の成果

7 今後の課題

◇◇◇ 中1ギャップを解消するための本中学校区からの提言 ◇◇◇

○ 子ども理解支援ツール「ほっと」の継続的な活用

「ほっと」を複数回活用し、その結果を学級集団と児童生徒一人一人に視点を当てて分析するこ

とは、学級集団と児童生徒の一人一人の変容を客観的に把握でき、学級経営や生徒指導の改善充実

に向けた児童生徒理解に生かすことができる。

○ 「授業交流」、「出前授業」による異校種理解の深化と児童の意欲化

児童生徒の実態を把握できる「授業交流」や児童が中学校の授業を実際に体験して理解できる「出

前授業」を実施することは、異校種間の生徒指導や学習規律を理解する上で非常に有効であるとと

もに、児童の中学校進学への不安感の軽減や学習への意欲化につなげることができる。

○ 家庭、地域と連携した取組の充実

校区の小学校と中学校が連携した教育実践を行い、同じベクトルで家庭、地域に情報を発信する

ことは、家庭、地域への浸透を速やかに図ることができ、家庭、地域と連携した取組を充実させる

ことができる。

○ 子ども理解支援ツール「ほっと」を複数回実施し活用することにより、児童生徒のコミュニケ

ーションに関わる課題や学年・学級の人間関係の経時変化を客観的に把握でき、自己有用感を高

める学年・学級経営の改善に向けた児童生徒理解に生かすことができた。

○ 「授業交流」や「出前授業」を複数回実施することにより、小・中学校の教員一人一人が児童

生徒の実態把握や異校種の学習内容について理解を深めることができ、中学校進学への不安感の

軽減に向けて関連性を意識した授業を展開することができた。

○ 「出前授業」の機会を拡充することにより、児童はより発展的な学習に触れることができ、児

童の学習意欲が向上するとともに、中学校での学習内容及び授業進度に対する不安が薄れ、進学

への期待感が膨らんだ。

○ 小・中学校が連携した取組を実施することにより、小学校と中学校が同じ方向性をもって、家

庭、地域に情報を発信し、家庭、地域と連携した取組を充実させることができた。

○ 中1ギャップの未然防止に向け学校と家庭が協力して取組を進めることが重要であることか

ら、校区のPTAが連携して「ネットトラブル未然防止講演会」等学習機会の拡充や「インター

ネット(スマホ・ゲームを含む)の利用に関わるルール」の策定など、中1ギャップの未然防止に

ついて、家庭の理解を更に深めていく必要がある。

○ 学習意欲や学校生活に対する意欲が低い児童生徒がまだいることから、統一した学習規律や家

庭学習の取組を更に進め、各学校の主要教科等のカリキュラムを交流するなど、児童が抵抗感な

く中学校の学習に移行できるよう、授業改善を図っていく必要がある。

Page 17: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

12

標茶町は人口約 8,000 人の酪農が基幹産業の町である。標茶中学校は町の中心に位置しており、近隣に

は標茶幼稚園、北海道標茶高等学校がある。本校区には、3つの小学校があり、新入生の約9割が標茶町

立標茶小学校の児童である。教育に対する保護者や地域住民の関心や期待は高く、学校の教育活動にも積

極的に参加・協力をしている。また、地域活動も町内会を中心に運営され、地域と連携したPTA活動が

行われている。

児童生徒は、素直で正直であり、挨拶もしっかりできる一方で、小学校入学時から本校を卒業するまで

の9年間、人間関係に大きな変化がないこともあり、積極的に他者とコミュニケーションを取ろうとする

意識が低い。そのため、仲間同士でトラブルになった場合、解決までに時間がかかったり、親しい友人以

外と積極的に関わろうとしなかったりする傾向がある。また、中学校での学習や生活に不安を抱えている

児童も多数いることから、小・中学校の連携した取組の推進が必要とされている。

(1) 自ら考え判断し、他者と積極的に関わりながら主体的に活動する授業づくり

(2) 子ども理解支援ツール「ほっと」を効果的に活用した教育相談等の充実

(3) 小・中学校間の円滑な接続を目指す小中連携の推進

所属 役職 所属 役職

標茶町立標茶中学校 教 頭 標茶町立標茶小学校 教諭(教務)

標茶町立標茶小学校 教 頭 標茶町立標茶小学校 教諭(生徒指導)

標茶町立標茶中学校 教諭(教務) 標茶町立標茶小学校 教諭(研修)

標茶町立標茶中学校 教諭(生徒指導) 標茶町教育委員会 指 導 室 長

標茶町立標茶中学校 教諭(研修)

4 中1ギャップ検討委員会(小中連携委員会)の組織

3 中学校区の目標(小・中学校の重点目標)

1 中学校区の特徴

標茶町立標茶中学校区における中1ギャップ解消プラン

拠点中学校名 標茶町立標茶中学校(生徒数 181名)

連携小学校名 標茶町立標茶小学校(児童数 309名)

本プランの特徴

○ 共感的な人間関係等を育むため、生徒指導の3つの機能を生かした授業を展開しています。

○ 子ども理解支援ツール「ほっと」を効果的に活用した教育相談等の取組を行っています。

○ 小・中学校間の円滑な接続を目指し、小中連携委員による部会協議や授業参観等を行っています。

2 中学校区の課題

Page 18: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

13

時 期 標茶町立標茶中学校 標茶町立標茶小学校

3月

4月

○ 学校いじめ防止基本方針等の共通理解 ・学校いじめ防止基本方針の目的や内容について

・組織の設置について ・重大事態への対応について(シミュレーション)

■ 春のあいさつ運動

○ 学校いじめ防止基本方針等の共通理解 ・学校いじめ防止基本方針の目的や内容について

・組織の設置について ・重大事態への対応について(シミュレーション)

5月

○ 生徒指導研修 ・事例研究

・生徒指導の3つの機能を生かした授業 ○ いじめアンケートの実施

○ いじめアンケートの実施 ○ 子ども理解支援ツール「ほっと」の実施 ○ いじめアンケート及び「ほっと」の結果を活用した個別の教育相談の実施

■ 「いいとこボックス」の取組(よりよい人間関係づくり)

6月 ○ 子ども理解支援ツール「ほっと」の実施

7月 ○ いじめアンケート及び「ほっと」の結果を活

用した個別の教育相談の実施

■ 夏のあいさつ運動

8月 ○ 子ども理解支援ツール「ほっと」の分析によ

る学級及び個人の実態交流

■ いじめ根絶標語づくり

○ 子ども理解支援ツール「ほっと」の分析によ

る学級及び個人の実態交流

○ 言葉遣いの指導

■ いじめ根絶標語づくり(第4~6学年)

9月 ○ 「ほっと」の分析結果を活用した道徳の時

間の授業【2-(3) 友情・信頼】の実施

■ 縦割り地区遊び(異学年交流)

10月 ○ 子ども理解支援ツール「ほっと」の実施

■ 秋のあいさつ運動

■ 縦割り地区遊び(異学年交流)

5 中1ギャップ解消プランの実際

の構成 ~小中連携の取組 ○~学校の取組 ■~児童会・生徒会の取組

【新入学生徒に関する引継ぎ】

○ 学習、生活、交友関係等の状況及び配慮事項についての確認

○ 個別の指導計画を活用した特別な支援を必要とする生徒についての確認

【中1ギャップ未然防止事業の共通理解】

○ 事業の目的及び重点目標等の確認 ○ 小中連携の方向性

【第1回小中連携委員会の開催】

○ 事業内容等の確認 ○ 児童生徒の実態交流

○ 小中連携の内容に係る意見交換

【小中合同研修会の開催】

○ 子ども理解支援ツール「ほっと」の分析の仕方

○ 「ほっと」を活用した検証改善サイクルに基づく児童生徒理解

■ どさんこ☆子ども地区会議への参加

・児童会書記局が、いじめ問題につい

て交流・協議

【小中連携委員会教務部会】

○ 小・中学校の学習規律の比較及び共通の取組の検討

Page 19: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

14

11月 ○ いじめアンケートの実施

○ いじめアンケート及び「ほっと」の結果を活

用した個別の教育相談の実施

■ 校内レクレーション(生徒会企画・運営)

○ 「ほっと」の分析結果を活用した道徳の時

間の授業【2-(2) 思いやり】の実施

○ いじめアンケートの実施

○ 子ども理解支援ツール「ほっと」の実施

○ いじめアンケート及び「ほっと」の結果を活

用した個別の教育相談の実施

■ 縦割り地区遊び(異学年交流)

12月

■ 縦割り地区遊び(異学年交流)

1月

■ 冬のあいさつ運動

■ いいとこボックスの取組の学級紹介

2月

3月

【標茶中学校新入生体験入学及び保護者説明会】

■ 学校生活等についての説明(生徒会書記局)

○ 部活動及び少年団活動の紹介(各部長)

○ 体験授業(数学科、理科、外国語科)

【標茶町いじめ根絶子ども会議】

■ 町内小中学校の代表児童生徒による1学校1運動の取組発表及び交流

■ いじめ根絶の取組に係る意見交換

【小学校の学習会への教員派遣】

○ 小学校第6学年を対象とした

学習会に参加し学習支援を実施

【冬休み学習会の実施】

○ 学年ごとに学習会を実施

【授業実践交流】

○ 国語科、算数・数学科、理科、社会科、外国語活動・外国語科

○ 研修部会による交流内容の情報発信

【小中連携委員会研修部会】

○ 小・中学校で共通した授業スタイルの検討

○ 各教科の授業実践交流の企画

【小中連携委員会生徒指導部会】

○ 児童会・生徒会の取組の交流

○ 年度末の引継ぎの在り方の検討

【小学校の授業参観】

○ 学習規律や学習過程の確認

○ 児童の実態把握

【授業参観日】

【中学校の授業参観】

○ 学習規律や学習過程の確認

○ 生徒の実態把握

【授業参観日】

【第2回小中連携委員会の開催】

○ 今年度の取組の成果や課題の交流

○ 次年度の取組の方向性の確認

Page 20: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

15

○ 生徒指導の3つの機能を生かした教育活動

や計画的な生徒会活動を展開したことにより、

生徒は学習や各行事等において、主体的に考え、

行動したり、仲間と積極的に関わろうとしたり

するようになった。また、生徒が安心して学べ

るようになったことで、学習に対する意欲や集

中力が高まった。

○ 「いじめアンケート」や「子ども理解支援ツ

ール『ほっと』」の分析結果を活用し、生徒理

解に基づく教育相談や道徳の時間の内容の工

夫を図ったことにより、児童生徒はいじめに対

する意識を高め、教員や仲間に自分の思いを伝

えたり、仲間に対して思いやりのある言動をと

ったりする姿が見られるようになった。

○ 小中連携委員会の各部会において交流・協議を実施したことにより、共通の視点で授業を参観し

たり、学習指導を通して児童の実態を把握したりすることで、中学校生活に対する児童の不安を解

消する新入生体験入学及び保護者説明会を実施することができた。

○ 小学生が中学校生活に対して不安をもつことがないよう、小学校と中学校の円滑な接続を図るた

め、各学年における具体的な取組についての共通理解を深め、一貫した指導を行うなど、小中連携

を一層強化していく必要がある。

○ 児童会や生徒会が、いじめの未然防止に資する活動を企画・実施することができるよう、「いじ

め未然防止モデルプログラム」を参考にして、児童生徒主体の取組を一層充実させる必要がある。

○ 保護者や地域と連携した取組を推進するため、小中連携の取組や関係機関と連携を図った取組等

の情報を発信する必要がある。

6 事業の成果

7 今後の課題

【小学校における「いじめアンケートの結果】

項目 回答内容 平成 25年度 平成 26年度

いじめはどんな

ことがあっても

許されないと思

う。

そう思う 87.5% 96.7%

そう思わない 2.6% 0.7%

よく分からない 9.5% 2.4%

【中学校における「ほっと」の結果】

項目 回答内容 平成 25年度 平成 26年度

①少数意見であっても、自分の考えをしっかり言うことができる。

あて はまる ・ やや あて はまる

69.0% 81.8%

②友達に本音で話すことができる。 37.2% 74.4%

③困ったことや悩みを先生や友達に相談することができる。

69.9% 84.4%

◇◇◇ 中1ギャップを解消するための本中学校区からの提言 ◇◇◇

○ 中学校を卒業する生徒を見据え、目指す子ども像を共有する

小中連携を推進するためには、共通の目標に向かって取り組む必要があることから、小中9年間

の指導で目指す子ども像について共通理解を図り、連携して取り組む内容と各学校で取り組む内容

を整理して取組を進めることが大切である。

○ 児童生徒が自ら課題解決を図る取組を計画・実施する

小・中学校で共有した目指す子ども像に迫るためには、児童生徒の実態から課題を明らかにし、

解決を図る取組を計画・実施する必要があることから、「いじめ未然防止モデルプログラム」を参

考にしてこれまでの取組を見直し、改善・充実を図ることが大切である。

○ 各種調査やアンケート、「子ども理解支援ツール『ほっと』」を活用し学校の取組を検証する

中1ギャップを未然に防止するためには、日常的な児童生徒理解に基づく指導や意図的・計画的

な人間関係づくりの取組等を実施することが重要であることから、各種調査やアンケート、「子ど

も理解支援ツール『ほっと』」を活用し、児童生徒の変容から各取組の成果や課題を明らかにして、

学校間・学年間で協働して授業改善や生徒指導の充実を図ることが大切である。

Page 21: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

16

本中学校区は別海町の市街地に位置して、高等学校1校と保育園が1園、私立幼稚園が2園ある。

保育園、市立幼稚園の3園から別海町立中央小学校に入学し、ほとんどの子どもが別海中央中学校、

別海高等学校と進学していく状況にある。そのため、学級や学年において新たに人間関係を構築しな

ければならない場面が少なく、人間関係を構築するための負担は少ない状況にある。

児童生徒は、素直であり学校行事に真面目に取り組む姿が見られるが、学校生活においては、教師

の指示を待つなど、受け身の姿勢が目立つ。また、ストレス耐性が低く、些細なことが原因で自信を

失ったり、集団不適応を示したりする子どもが少なくない。

児童生徒の学校に適応するための課題を様々な方法で多面的に捉え直し、日常の授業改善や協同的

な学習の実施、ピア・サポート等によるコミュニケーションスキルの育成などを通じて、知・徳・体

を総合的に育む。

(1)新たな不登校を生まない未然防止の取組の推進

(2)子ども理解支援ツール「ほっと」の分析と活用

(3)効果的な小中連携についての研修会の実施

所 属 役 職 所 属 役 職

別海町立別海中央中学校

別海町立別海中央中学校

別海町立別海中央中学校

別海町立別海中央中学校

別海町立別海中央小学校

教頭

教諭(第1学年担任)

教諭(生徒指導部)

養護教諭

教頭

別海町立別海中央小学校

別海町立別海中央小学校

別海町立別海中央小学校

別海町教育委員会

別海町教育委員会

教諭(第6学年担任)

教諭(研修部)

養護教諭

指導参事

学務課主事

別海町立別海中央中学校区における中1ギャップ解消プラン

拠点中学校名 別海町立別海中央中学校(生徒数 204名)

連携小学校名 別海町立別海中央小学校(児童数 312名)

4 中1ギャップ検討委員会の組織

3 中学校区の目標(小・中学校の重点目標)

2 中学校区の課題

本プランの特徴 ○ 子ども理解支援ツール「ほっと」の活用による小・中学校間の情報共有や研修を通して、これま

での小・中・高等学校の連携の在り方を見直しています。

○ 中学校の数学科担当教員及び英語科担等教員がティーム・ティーチングで小学校の算数、外国語

活動の授業を行うなど、学力の向上を図るとともに、中学校におけるスムーズな学びを保障して

います。

○ 児童生徒間の交流を促進し、「互いの顔が分かる」関係を大切にした取組の充実を図っています。

1 中学校区の特徴

Page 22: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

17

時 期 別海町立別海中央中学校 別海町立別海中央小学校

6月

○ 校内研修

・「中1ギャップ」解消に向けた授業改

善につながる協議

○ 校内研修

・「中1ギャップ」解消に向けた具体的なプラ

ンの検討

7月

○ 教育相談の実施

○ 自己研修

・長期休業中にアンケート結果等をも

とにした教科指導法の検討

○ 自己研修

・長期休業中にアンケート結果等をもとにし

た2学期以降の対応の検討

8月

9月

10月

*数学科教員が行う第4~6学年の算数科の授業におけるティーム・ティーチング

*英語科教員が行う第6学年の外国語活動の授業におけるティーム・ティーチング

小・中学校、高校合同研修会

第2回研修会(小中連携における生徒指導の在り方)

・生徒指導ネットワーク 代表 吉田 順 氏

小・中学校の算数・数学、外国語活動・英語、教務、生徒指導の各担当教員による打合せ

*数学科教員が行う第4~6学年の算数科の授業におけるティーム・ティーチング

*英語科教員が行う第6学年の外国語活動の授業におけるティーム・ティーチング

5 中1ギャップ解消プランの実際

の構成

*数学科教員が行う第4~6学年の算数科の授業におけるティーム・ティーチング

*英語科教員が行う第6学年の外国語活動の授業におけるティーム・ティーチング

教育委員会職員及び拠点校・連携校の管理職による事業推進体制の打合せ

「ほっと」を活用した生活アンケートの実施

小・中学校の算数・数学、外国語活動・英語、教務、生徒指導の各担当教員による打合せ

小・中学校の算数・数学、外国語活動・英語、教務、生徒指導の各担当教員による打合せ

小・中学校の算数・数学、外国語活動・英語、教務、生徒指導の各担当教員による打合せ

第1回中1ギャップ検討委員連絡協議会

小・中学校の算数・数学、外国語活動・英語、教務、生徒指導の各担当教員による打合せ

*数学科教員が行う第4~6学年の算数科の授業におけるティーム・ティーチング

*英語科教員が行う第6学年の外国語活動の授業におけるティーム・ティーチング

第1回研修会(「ほっと」の分析と活用)

*数学科教員が行う第4~6学年の算数科の授業におけるティーム・ティーチング

*英語科教員が行う第6学年の外国語活動の授業におけるティーム・ティーチング

Page 23: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

18

11月

○ 教育相談

12月

○ 自主公開研究会

1月

○ 検討委員会の総括

○ 検討委員会の総括

2月

○ 次年度の展望についての報告書作成

○ 自主公開研

○ 次年度への展望についての報告書作成

3月

第2回中1ギャップ検討委員連絡協議会

・各校の今年度の取組を振り返りと次年度の計画についての協議

中学校第2学年による小学校との交流学習

・小学校第1学年の児童のスケート学習を中学校第2学年の生徒がサポート。

小・中学校の引継ぎ(引継ぎシート及び「ほっと」データの活用)

*数学科教員が行う第4~6学年の算数科の授業におけるティーム・ティーチング

*英語科教員が行う第6学年の外国語活動の授業におけるティーム・ティーチング

一日体験入学

・中学校第1学年の授業を参観

・中学校生徒会が小学校第6学年児童に対し、中学校生活について説明

*数学科教員が行う第4~6学年の算数科の授業におけるティーム・ティーチング

*英語科教員が行う第6学年の外国語活動の授業におけるティーム・ティーチング

*数学科教員が行う第4~6学年の算数科の授業におけるティーム・ティーチング

*英語科教員が行う第6学年の外国語活動の授業におけるティーム・ティーチング

小・中学校の算数・数学、外国語活動・英語、教務、生徒指導の各担当教員による打合せ

*数学科教員が行う第4~6学年の算数科の授業におけるティーム・ティーチング

*英語科教員が行う第6学年の外国語活動の授業におけるティーム・ティーチング

小・中学校の算数・数学、外国語活動・英語、教務、生徒指導の各担当教員による打合せ

第3回研修会(「ほっと」を活用した学級・教科経営の見直し)

・北海道医療大学 教授 富家 直明 氏

「ほっと」を活用した生活アンケートの実施

*数学科教員が行う第4~6学年の算数科の授業におけるティーム・ティーチング

*英語科教員が行う第6学年の外国語活動の授業におけるティーム・ティーチング

小・中学校の算数・数学、外国語活動・英語、教務、生徒指導の各担当教員による打合せ

小・中学校の算数・数学、外国語活動・英語、教務、生徒指導の各担当教員による打合せ

小・中学校の算数・数学、外国語活動・英語、教務、生徒指導の各担当教員による打合せ

Page 24: 平成 26 年度 中1ギャップ問題未然防止事業2 北海道教育委員会では、「中1ギャップ」問題の解消を目指して、平成 1.8 ④ ② 22年度から「中1ギャッ

19

○ 小、中学校ともに今年度新たに不登校になった児童生徒はいない。特に、中学校においては、年度

当初4名いた不登校生徒が現在2名に減少しており、ここ3年間で不登校生徒数が毎年半減するなど、

顕著な成果が見られた。

○ 子ども理解支援ツール「ほっと」の分析結果の共有が進み、課題がみられる児童生徒への早期対応

が可能になった。特に、集団不適応の兆候が見られる中学生への対応については、小学校教員やスク

ールカウンセラーとの協力がスムーズになり、課題解決に一定の効果があった。

○ 毎週、小学校算数、外国語活動の授業に中学校教員が乗り入れ、月1回の打ち合わせを定例化する

ことで、相互の児童生徒理解が進むとともに、教員の授業改善につながった。

○ 「ほっと」などの子ども理解支援ツールが、まだ十分には活用しきれていない部分があるため、具

体的な事例をテーマにするなどして、小中学校の全教員が支援ツールへの理解を深める研修を一層進

める必要がある。

○ 教職員間、児童生徒間の交流がある程度定例化し、交流の基盤は定着しつつあるが、児童生徒が自

己有用感を一層深めるための仕組みづくりにまで至っていないため、小・中学校間で取組を検討し本

中学校区の特徴にあった交流計画を作成する必要がある。

○ 幼稚園、保育園、高校との交流をより一層深め、地域の子どもたちを地域で育てる環境づくりに取

り組む必要がある。

7 今後の課題

◇◇◇ 中1ギャップを解消するための本中学校区からの提言 ◇◇◇

○ 子ども理解支援ツール「ほっと」をツールとして活用した小中の連携による生徒指導対応

子ども理解支援ツール「ほっと」や児童生徒の9年間の生活データを整理し共有することによっ

て、不登校につながる予兆の早期発見と、課題発生時の早期対応がスムーズになる。これらのデー

タを共有することは、地域の子どもの課題に対して、小中の教員がともに考え対応に関わるための

基盤づくりに有効である。

○ 定期的な乗り入れ授業と小・中学校教職員の定期的な打ち合わせの実施

算数・外国語活動の乗り入れ授業に関わる教員同士の月1回の定例打合せにあわせて、教務担当

者間、生徒指導担当者間の打合せも実施するようにした。定期的な打ち合わせを設定することは、

乗り入れ授業の質の向上に資するだけでなく、互いの児童生徒理解とそれぞれの教育活動への理解

を深めるのに有効である。

○ 教員間・児童生徒間の交流

毎週定期的な小学校への乗り入れ授業や中学校の体験入学及び集会活動、部活動と少年団の交

流、小学校での交流学習等の取組は、小学校から中学校への学習面・生活面での接続を行う上で有

効である。

6 事業の成果