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平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進事業 (日タイ経済連携協定に係る自動車人材育成事業) 事業報告書 平成 29 年 3 月 一般財団法人海外産業人材育成協会(HIDA)

平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

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平成 28年度

経済連携促進のための産業高度化推進事業

(日タイ経済連携協定に係る自動車人材育成事業)

事業報告書

平成 29年 3月

一般財団法人海外産業人材育成協会(HIDA)

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目 次

第 1章 総論 1

1.事業背景 2

2.事業概要 2

3.事業実施プロセス 4

4.危機管理 5

5.2016年度に育成したトレーナーの人数と専門家派遣概要 5

第 2章 各専門家の指導報告書 6

1.研究開発(VA/VE及び R&D一般(基礎)) 加茂 尚 専門家 7

小畠 正義 専門家 13

2.テスティング(条鋼部品及び薄鋼板) 村橋 守 専門家 17

橋本 俊一 専門家 24

3.製造技術(日本のものづくり) 原田 英利 専門家 29

西山 達吉 専門家 33

第 3章 AHRDIPジョイントタスクフォース会合の協議内容 37

第 4章 今年度の状況と今後に向けての提言 103

1.研究開発について 104

2.テスティングについて 104

3.製造技術について 105

第 5章 平成 24~28年度における委託事業概要

106

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1

第 1章

総 論

1.事業背景

2.事業概要

3.事業実施プロセス

4.危機管理

5.2016年度に育成したトレーナーの人数と専門家派遣概要

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第1章 総論

1. 事業背景

1997年 7月のタイバーツ切り下げを端に発したアジア通貨危機後、タイ自動車産業における人材

育成を目的として、1999 年にタイ国工業省により自動車研究所(Thailand Automotive Institute:

TAI)が設立された。2007 年 4 月に締結された日タイ経済連携協定(Japan-Thailand Economic

Partnership Agreement : JTEPA)に基づく協力事業の一つとして、自動車人材育成機関プロジェクト

(Automotive Human Resource Development Institute Project: AHRDIP)により我が国はこれまで

TAI に対する支援を行っているところ、政情不安やリーマンショック、2011 年の大洪水などの影響を

被りながらも東南アジアの自動車生産拠点としてタイの自動車生産は堅実な拡大を続けている。一

方で、生産拡大に伴う裾野産業技術者の量的・質的不足にかかる問題が顕在化しており、現地資

本を中心とした 1 次、2 次下請けの部品・加工メーカーの人材開発は、組立企業側の要請であると

同時にタイ国経済の牽引力として中小企業開発・強化を推進するタイ国政府、とりわけ工業省の重

要な政策課題となっている。

タイが今後も自動車産業を世界に対して競争力のある産業のひとつとして継続していくためには、

より高度で付加価値の高い技術集約的産業への転換が必要であるが、そのためには人材の育成が

重要といえる。

このような状況に対応するため、自動車人材育成のさらなる拡充が求められており、2011 年度に

実施されたAHRDIPの具体的実施内容に関する実現可能性調査結果に基づき、タイの自動車部品

製造企業の人材育成を目的として、2016年度も事業を実施した。

2. 事業概要

今年度は次の 3分野について日本人専門家を派遣し、タイ人トレーナーを育成した

(1)研究開発(VA/VE及び R&D一般(基礎)):

タイの自動車部品製造企業のエンジニアの R&D・VA/VE に関する能力の向上を支援するため

のトレーナーを養成するプログラム

①内 容

タイの日系自動車メーカーは、製品開発の一部を担うまでに成長しつつあり、ローカル部品サ

プライヤーにも対応能力向上が求められている。しかし、自動車メーカーの行う R&D 活動に直接

的に参入でき、設計能力を有するローカル部品サプライヤーはほとんどない。また、ローカル部品

サプライヤーの VA/VE レベルは他国に比べて低く、設計、量産についても自動車メーカーに提

案を行う等の積極的な取り組みが見られないとの指摘がある。このため、R&D の VA/VE を進めて

いく上で前提となる部品の機能、材料、加工工法のような R&D 基礎技術の講座、また VA/VE 基

礎講座(「機能の定義」から「提案書」作成および発表まで、一連の VE 活動を自主的に実施するこ

とで研修の理解度と実践能力を高める)を実施してタイ人トレーナーの育成を行った。

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②実施対象機関

(ア)タイ自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

(2)テスティング(条鋼部品及び薄鋼板):

タイの中小企業のエンジニアのテスティングに関する能力の向上を支援するためのトレーナー

を養成するプログラム

①内容

テスティング分野は、開発品や改良品の形状を確認することを目的とした R&D のためのテステ

ィングと、品質確認および不良品の発生原因を追求するQA/QCのためのテスティングに分けられ

る。テスティング結果を分析し、原因追求まで対応できる人材は限られており、人材育成は今後の

課題である。また試験自体を外部機関に委託する場合も多く、主体的意識は未だ低いとの指摘が

ある。

2012~14 年度の研修過程で、自動車部品材料におけるテスティングのニーズが高いことが判

明した。鉄は自動車を構成する材料の約 70%であり、利用される材料の重要性という点ではゆる

ぎない位置にある。また品目別では薄鋼板と条鋼とがそれぞれ 55%、17%を占めることから、「自

動車に利用される材料」の視点で研修内容を考慮した結果、2015 年度より条鋼部品と薄鋼板に

焦点を絞ってテスティングの研修を実施することとなった。

今年度も座学と実習を交えて、条鋼部品に関しては市場で破損した破損品(条鋼部品)の不具

合の原因究明と改善に対応できる人材の育成、薄鋼板に関しては、薄鋼板に関する金属学的背

景や、プレス成形性、適用状況を理解させ、その内容、材料評価を教えることができるタイ人トレー

ナーの育成を行った。

②実施対象機関

(ア)タイ自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

(イ)タイ鉄鋼研究所(Iron and Steel Institute of Thailand:ISIT)

(3)製造技術(日本のものづくり):

タイの中小企業のエンジニアのマニュファクチャリングに関する能力の向上を支援するためのト

レーナーを養成するプログラム

①内 容

タイが自動車生産のグローバルな拠点として位置づけられると、世界水準の QCD (Quality,

Cost, Delivery)が求められるようになる。しかし、納期遅れや工程内不良の発生等のため、QCD

レベルは世界水準には至っていない。コスト低減や生産性向上は、タイの中小企業の競争力強化

のために必須となっている。

このため、日本の製造現場における設備トラブルの未然防止や日常の保全といった事項から、

一般的に生産現場で行われている各種の管理方法(品質管理、安全管理、生産性向上の活動

等)について、マニュファクチャリングに関する能力の向上につながるように座学と演習を交えてタ

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イ人トレーナーの育成を行った。

②実施対象機関

(ア)タイ自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

3. 事業実施プロセス

(1)経済産業省との契約締結(2016年 6月下旬)

現地側 CP と事業実施に関する諸条件(役割分担、経費分担、派遣期間、内容等)につい

て協議し、書面(MOU)にて合意した。

(2)専門家の選定 (2016年 7月上旬)

HIDA バンコク事務所や JETRO バンコク事務所を通じ長年培ってきたネットワーク(盤

谷日本人商工会議所(JCCB)や各団体)や HIDA の有する登録専門家データベースなどか

ら当該分野において知見と豊富な経験を有する適切な日本人専門家を選定した。

(3)審査委員会の開催 (2016年 8月 2日)

委員は外部の有識者 3 名程度で構成することとし、オブザーバーとして経済産業省自動

車課からの担当者 1 名の出席のもと、審査を実施した。

審査委員会では、全体スケジュールや案件概要資料を用いて委員に説明し、6 名の専門家

派遣が承認された。その後 1 名の辞退があったため、2016 年 10 月 18 日に再度書面審査を

実施し、製造技術分野の専門家派遣が承認された。

(4)専門家の派遣 (2016年 9月 25日~)

HIDA と専門家の間で派遣に関する契約を締結し、HIDA は航空券の手配、支給する経費

の算出等を行った。出発前に打ち合わせを行い、指導の目的・内容を明確にし、派遣中は

専門家のフォローアップを適宜行った。

(5)計画変更承認申請書の提出・委託契約書の一部を変更する契約書の締結(2017年

1月下旬)

当初の計画では、現地でのニーズを踏まえた分野にも専門家を派遣する予定であったが、現地

でのヒアリング調査や、JETRO バンコク事務所と調整の上、希望企業の募集を行った結果、応募

がなかったため計画を変更することとなった。

(6)専門家の帰国報告会

・2017 年 1 月 24 日(火)に HIDA 東銀座事務所において、小畠正義、村橋守、原田英利専門家

の帰国報告会を実施した。

・2017 年 3 月 7 日(火)に HIDA 東銀座事務所において、加茂尚、橋本俊一、西山達吉専門家の

帰国報告会を実施した。

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4. 危機管理

HIDAは日常的に関係機関との情報共有および情報収集を行い、派遣中の専門家の安全に配慮

する体制を整えている。2016年 8月 11日から 12日にかけて、タイ中部から南部の観光地を中心に

5か所で 11回以上の爆発が起き、少なくとも4人が死亡、34人が負傷と報道された。国際的なテロ活

動との関連はないとされている。HIDAは JETROバンコク事務所や HIDAバンコク事務所より情報収

集を行った結果、派遣地域の安全を確認したため、予定通り9月下旬からの専門家派遣を実施した。

また、10月の国王逝去に伴い、混乱が懸念されたが、専門家の指導に大きな影響はなかった。

5.2016 年度に育成したトレーナーの人数と専門家派遣概要

分  野 R&D(VA/VE) R&D Basic 製造技術(日本のものづくり) テスティング(条鋼) テスティング(薄鋼板)

専門家名 小畠正義 加茂尚 原田 英利 村橋 守 橋本 俊一

派遣開始日 2016/11/6 2016/9/25 2016/10/2 2016/9/25 2016/10/30

派遣終了日 2016/11/26 2016/10/22 2016/10/29 2016/10/29 2016/12/17

派遣期間 3週間 4週間 4週間 5週間 7週間

専門家名 加茂尚 西山 達吉

派遣開始日 2016/1/22 2017/1/22

派遣終了日 2016/2/25 2017/2/18

派遣期間 5週間 4週間

MOU/MOM締結先

TAI TAI TAI TAI TAI

指導場所 TAI TAI TAI TAI / ISIT TAI / ISIT

指導内容 VA/VE提案R&Dを進めていくにあたり、

必要となる知識・手法

日本の生産現場で行われている管理手法(品質管理、安全管理、生産性向上活動、設

備点検等)

スチール(条鋼)のテスティング手法

スチール(シート)のテスティング手法

育成トレーナー(T)数 20名 15名 18名 6名 3名

1回目

2回目

タイEPA

*TAI: Thailand Automotive Institute

*ISIT: Iron and Steel Institute

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第 2章

各専門家の指導報告書

1.研究開発(VA/VE及び R&D一般(基礎))・・・・・・・(1)加茂 尚専門家

(2)小畠 正義専門家

2.テスティング(条鋼部品及び薄鋼板)・・・・・・・・・・・・(1)村橋 守専門家

(2)橋本 俊一専門家

3.製造技術(日本のものづくり)・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)原田 英利専門家

(2)西山 達吉専門家

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第2章 各専門家の指導報告書

1. 研究開発(VA/VE及び R&D一般(基礎))

(1)R&D一般(基礎)担当 加茂尚専門家

 

年 月2017 2

一般財団法人 海外産業人材育成協会

2016年度タイAHRDIP

案 件 番 号 2016W5085A・B専 門 家 加茂 尚

指 導 報 告 書 ─ A

審 査 委 員 会 2016年度 第1回

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1.派遣期間

2.指導分野

3.今期活動の位置付けと目標

注)AHRDIP プロジェクトにおける今期活動の位置付けと目標について記述してください。

4.今期の指導目標と指導内容

(1)トレーナーの育成目標と指導内容

注)トレーナーの具体的な育成目標及び指導内容

(2)指導実績

2016 年 9 月 25 日 ~ 2016 年 10 月 22 日

2017 年 1 月 22 日 ~ 2017 年 2 月 25 日

自動車人材育成(研究開発(R&D)における R&D一般(基礎)分野

に関するトレーナー育成)

タイ工業省は、アジア通貨危機後、自動車産業における人材育成を目的として 99年にタイ自動車研究所(TAI)を設立した。その後 2007年 4月には日タイ経済連携協定(JTEPA)が締結され、同国自動車産業は堅実な発展を続けている。その一方で、生産拡大に伴う裾野産業の技術者の量的、質的不足に係る問題も顕在化している。タイの自動車産業が世界的競争力を獲得するためには、より高度で付加価値の高い技術集約産業への転換が必要で、そのための人材育成が不可欠である。このような状況に対応するため、2012年度に開始された自動車人材育成プロジェクト(AHRDIP)の一環として、最終年度となる今年度においては「研究開発(VA/VE)、R&D一般(基礎)」「テスティング」「製造技術(日本のものづくり)」「その他(現地企業の指導ニーズが高い技術)」の 4分野において TAI を始めとする関係機関に日本人専門家を派遣しトレーナーを育成する。

R&D 基礎技術に関し、カリキュラムに示すような内容を系統的に理解し、実務における VA/VEに役立てることを目的とする。 ① 目標設定

今回対象となるトレーナーは、各教科に関する一応の教育を受けたことを前提とするが、今後のR&D業務において必要となる技術的な知識を再確認し、実務応用できるレベルに引き上げることを主たる目標とした。 ア. 受講者の 2/3が各教科の内容を従来以上に理解すること。 イ. 特別講座「設計製図」においては、受講者の 2/3以上が内容に興味を持ち、仕事に役立つと

考えること。 ② 指導内容

座学であるため、資料の説明のみでなく講師の経験談、周辺の知識をできるだけ多く話し、受講者の興味が持続するよう心掛けた。 また、演習を多くするとともに、TAIの協力を得て実際の装置や工場の見学も織り込んだ。

① 実施期間、場所 ア.実施期間 <前半> 2016年 9月 27 日(火)~10月 20日(木) 4日/週講義 <後半> 2017年 1月 24 日(火)~2月 23日(木) 4日/週講義

イ.場所 Thailand Automotive Institute 308room ②講義

カリキュラムに基づき、5.5H/日の講義を予定通り実施。受講者の興味を持続させるために資料の内容のみでなく、具体的事例、講師自身の経験・失敗談等を極力織り込んだ。 途中での理解度を踏まえ、演習問題やグループごとのテーマ討議を増やす等の工夫をし、 グループ作業の結果については前に出て発表させることで参加意識を高め、理解度を深めることに意を用いた。

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(3)カリキュラム

5.指導の成果と課題

(1)トレーナーの育成成果と今後の課題

注)どんな成果が上がったかを、成果の判定方法とともに示し、併せて今後の課題について説明してください。

① カリキュラム編成にあたっての基本的な考え方 受講者の属性を考慮し、以下のような点に留意してカリキュラムを編成し、資料を作成した。

ア.自動車の基礎知識として必要な技術範囲を受講者が認識し、習得の意欲を持てるよう、実務 との関連を強調する。

イ.概要を理解することを主眼に、初歩的な知識を網羅できるように構成する。 ウ.知識の伝達のみでなく、「アイデア発想法」「問題解決法」「設計製図」等、知識の活用法を強

化する。 ②内容

<前半>15日 ア.Openinng (VA/VEに必要な技術・知識について) 0.5日 イ.自動車の構造 (自動車の基本構造について) 3.5日 ウ.機械製図 (第三角法の基本演習、図面記号の解説) 6日 エ.材料力学 (材料力学の基本と計算演習) 5日

<後半>19日 オ.自動車用材料 (金属材料、有機材料、無機材料の概説) 6日

カ.材料加工法 (金属加工、樹脂加工の概要) 2日 キ.4S・安全 (4Sの本来の意味、安全に関する考え方) 1日 ク.品質 (工程能力係数を中心とした工程管理のやり方について) 2日 ケ.アイデア発想法 (アイデア発想法の種類と使い方の演習) 2日 コ.問題解決法 (問題解決法の考え方と演習) 3日 サ.設計製図演習 (簡単な製品を設計し、図面化するとともに工程を検討) 3日

① 育成成果 ・講義の前後に実施したアンケートによれば、全講義において多くの回答者が「かなり理解でき

た」または「良く理解できた」と回答しており、所期の目標は達成できたものと考えられる。また講義のレベルも概ね妥当であったと判断できる。

・また「仕事に活かせる」「さらに勉強したい」「継続して勉強する」とする回答者も多く、今後の成長が期待でき、今回の講義を機会に、R&D に関する基礎的な知識を持つトレーナーの育成に寄与できたものと思う。

・特別講座「設計製図」では、設計時に考えるべきこと、やるべきことの順序が良くわかった、もっとやりたい、と好評であった。

*アンケート結果は添付「アンケート集計」御参照。 ②今後の課題 ア.得た知識を維持向上できる体制の構築

知識は、実務に適用することで身に付き、範囲も深さも拡がるので、如何にして継続的に刺 激を与え続けるかを工夫する必要がある。(受講修了者が必要に応じて利用できる資料室設置も一案。指導者が居て質疑応答できればさらに良い)

イ.継続による人材数の増加と更なるレベルアップ 高度な技術の伝達も重要であるが、基礎技術を持った人材を増やし、全体的な底上げを図る ことは、R&Dに取り組むうえで重要で あると考えられる。基礎技術取得の機会を継続的に設け、人材のピラミッドを形成する必要があると感じる。

「アイデア発想」「問題解決法」「設計製図」等、知識の活用法に関する繰り返し演習の機会があることが望ましい。

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6.感想など

(1)指導に当たった感想

注)今回の指導で AHRDIP プロジェクトやカウンターパート、トレーナー候補等について感じたことを自由

にご記入ください。

(2)日本側への要望等

(2)日本側の関係機関等に望むこと

①受講者の新知識吸収に対する意欲は相変わらず高い。 ア.受講者は、メモを取る等、全体的に熱心に聴講しているように見受けられた。 イ.質問や意見発表が多く、時には講師との間で議論になる場合もあった。 ・ベテラン・若手を問わず受講者のほぼ全員から質問・意見があった。 ・受講者側から演習を要望して来る場合もあり、内容を理解しようとする姿勢が見受け

られた。 ウ.講義予定にない技術の説明を求められ、講義の内容を付加・変更することもあった。 エ.グループでの討議、作業では、全員が意見を出し合っており、傍観者は見受けられなかっ

た。 ②受講者の知識に偏りがある。 ア.自動車産業に従事していながら「自動車の構造」「自動車用材料」等一般的な知識が十分で

ない。 イ.「アイデア発想」「問題解決法」等の、知識を活用する技に関する知識があまりない。 ウ.「4S・安全」「品質」面での知識が”知っている”レベルで現場のことがあまりわかってい

ない。 ③昨年同様、受講者間の会話も多く、フレンドリーで良い雰囲気が形成されていた。 ア.異なった会社間のエンジニア同士の挨拶・会話も活発で、人間関係形成の場にもなってい

る。 イ.このような人間関係を維持できれば、産業内における知識・技術の共有にも役だつものと

思われるので「同窓会」のような形でコミュニケーションの場を提供することも有用であると考える。

④TAIには工場見学の設定をはじめ、サポートをしっかりやって頂けたし、通訳者にも十分なフォローをして頂けたので、大変やりやすかった。

⑤JETRO,HIDAの支援体制も十分で、講義に専念することができた。 ⑥一方、開始時刻になっても受講者がそろわない等、時間に関するルーズさが目立ったのは残念で

あった。(日本が正確すぎる?)

R&D人材を効果的に育成するために、以下のことを提案致します。 ①自動車に関する基礎技術習得の機会を増やし、数的な増加と質的な向上を継続させることで、産業技術の基盤が強固になると考えます。 ア.合計 9週間は、受講者にも派遣元会社にも負担が大きいので、期間を短縮し、2~3回同一内

容のクラスを設け、受講者数を増やす。 イ.内容は「設計製図(基礎)」を中心に「自動車の構造」「自動車用材料」といった一般知識と、「アイデア発想」「問題解決法」等、知識を活用する技を含めるのが良いと考えます。

②今回のような講座受講者に対し、継続的なフォローをできる体制をタイ側に構築してもらうよう働きかけるのが良いと思います。

③基礎コース受講者の中から VA/VEコース受講者の一部を選定するのも一つの方法と考えます。

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2.67(少しorある程度知っている)から3.90(理解できた)に向上。演習においても、やり方をほぼ理解できたものと判定できる。時間をかければ使いこなせるレベルに向上すると思われる。

3.00(知っている)から、4.47(理解できた)に向上。演習により、考え方ややり方理解はできたものと思われる。演習を繰り返せば実務への応用が可能なレベルに向上できると考える。

全体評価→ 5 向上度1.00以上を「5」とした

問題解決法問題解決の前の「問題の詳細検討」の重要性を、身近な実例を用いて解説。その後、2チーム分けて問題を選定し、問題の検討と解決法の演習を実施。

5

3.00(知っている)から、4.18(理解できた)に向上。演習により、初歩の理解はできたものと思われる。演習を繰り返せば実務への応用が可能なレベルに向上できると思われる。

アイデア発想法

設計製図

5

考えをまとめるうえで必要な「帰納法」と「演繹法」を説明し、アイデア発想法の種類とその使い方について解説と演習を実施。「帰納法」に関してはチーム分けをして演習。

5

設計製図のやり方説明し、4グループに分けて「携帯用灰皿」をテーマに演習。進行とともに4回の発表会を実施。陥りがちな問題点や目の付け所についてコメント。

指導項目 指導内容 達成度

2.カリキュラムの達成度

妥当性(テキストが適切であったかどうか記述してください)

ほぼ全員のレベルアップができた 講義前後のアンケート調査の結果、「ある程度わかっている(3.07)」レベルが「理解できた(4.08)」レベルに向上

全体評価→ 5

受講者が内容に興味を持ち、理解できていることが演習において確認できた。

5

特別講座「設計製図」においては、受講者の2/3以上が内容に興味を持ち、仕事に役立つと考えること。

講義前後のアンケート調査の結果、全員が「理解できた」「よく理解できた」と回答。また、「仕事に役立つ」~「仕事に役立つので継続して勉強したい」と回答している。

トレーナー全体

育成目標と指導成果

1.トレーナーの育成目標及び実績

注)ここでは、指導の目標と成果を、①トレーナーの育成目標と指導実績、②カリキュラム達成度、③指導成果の自立発展性についてまとめてください。「達成度」は、5:目標の100%以上達成、4:80%以上達成、3:60%以上達成、2:40%以上達成、1:40%未満を目安に、プルダウンから5~1の数字の一つを選び5段階評価してください。「判定基準」は、実績評価の基準を示してください。

判定基準トレーナー 達成度目標 実績

5

受講者の2/3が各教科の内容を従来以上に理解すること。

自動車の構造自動車の構造に関し、「全体」「エンジン」「駆動系」「操舵装置」「制動装置」「サスペンション」「ボデー」の分けて概要を説明。 5

講義前に2.62であった知識レベルが、講義後には3.83(「理解できた」)に向上したので内容的には妥当であったと思われる。

機械製図第三角法の理解を主体として、説明と演習を実施。演習課題の出来具合を見て演習問題を追加し理解度を深めた。また、各種製図記号を説明し、その持つ意味をコストとの関連で解説した。

4

講義前に3.56(概ねわかっている)であった知識レベルが、講義後には4.33(理解できた)に向上した。演習問題を多くし、実際に計算してみたことで当初「分かっているつもり」であったものが理解が深まったものと思われる。

材料力学力学単位系の概要説明後、「荷重・応力」「破壊」「応力と歪」等材料力学の基本について講義。また、受講者からの要望があり、「軸」「残留応力」についても概要を説明。

4

講義前に3.19(知っている)であったが、講義後は4.07(理解できた)に向上。内容的にも妥当であったと思われる。

4S・安全

4S・安全の本来持つ意味を、歴史に基づいて説明。 4

3.50(知っている)が4.27(理解できた)に変化しているが、これまで言葉としてしか知らなかった4S・安全の意味がよく分かった、との意見もあり、内容は妥当であったと考える。

品質工程能力係数(Cp,Cpk)の意味を解説し、演習問題によって理解度を向上。相関係数に関しても計算方法を説明し、演習を実施。 5

知識レベルが2.97(知っている)から3.90(理解できた)に向上。但し、最初は、Cpkの持つ意味が分からない、と言う意見が多かったので、効果は数字以上にあったものと思われ、内容的にもマッチしていたと考える。

5

材料の種類が多いため、各材料にかける時間が少なく、理解度が十分上がらない。もう少し内容を絞るか、時間をかけたほうが良い。但し理解度は2.92(知ってる)から3.92(理解できた)に向上している。

材料加工金属加工(機械加工、プレス、鋳造、熱処理等)、樹脂加工(射出成型等)に分けて解説。また、工場見学により、実際の機械・工程を実見。

4

講義前に3.08(知っている)であったが講義後は3.90(理解できた)に向上しているので、加工法の概要は理解できたものと思われる。工場見学により、実際の現場を見たことでより効果があったと思われる。

自動車用材料自動車に用いられる材料を「金属材料」「樹脂材料」「無機材料」の分類に従って特徴を説明。更に「ボデー」「エンジン」「シャシー」等の部位に分けて材料選択理由を解説。

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12

問題解決法

受講者の2/3以上が内容に興味を持ち、仕事に役立つと考えること。

受講者の2/3以上が内容に興味を持ち、仕事に役立つと考えること。

受講者の2/3以上が内容に興味を持ち、仕事に役立つと考えること。

自動車の構造

材料力学

材料加工

品質

3.指導成果の自立発展性

機械製図

受講者の2/3以上が内容に興味を持ち、仕事に役立つと考えること。

11/12が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェック

5

アンケートにおいて、受講者の2/3が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェックすること。

受講者の2/3以上が内容に興味を持ち、仕事に役立つと考えること。

12/15が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェック

5

アンケートにおいて、受講者の2/3が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェックすること。

自動車用材料

受講者の2/3以上が内容に興味を持ち、仕事に役立つと考えること。

14/15が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェック

5

アンケートにおいて、受講者の2/3が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェックすること。

受講者の2/3以上が内容に興味を持ち、仕事に役立つと考えること。

目標 実績 達成度

9/10が「理解できた」にチェック。また、受講者の7/10が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェック

5

全員が「理解できた」「よく理解できた」にチェック。また、受講者の12/15が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェック

5

アンケートにおいて、受講者の2/3が「理解できた」「よく理解できた」にチェックすること。また、受講者の2/3が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェックすること。

アンケートにおいて、受講者の2/3が「理解できた」「よく理解できた」にチェックすること。また、受講者の2/3が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェックすること。

判定基準

10/11が「理解できた」「よく理解できた」にチェック。また、受講者の8/11が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェック

5

アンケートにおいて、受講者の2/3が「理解できた」「よく理解できた」にチェックすること。また、受講者の2/3が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェックすること。

全体評価→ 5

項目

設計製図

アイデア発想法

9/12が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェック

5

アンケートにおいて、受講者の2/3が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェックすること。

受講者の2/3以上が内容に興味を持ち、仕事に役立つと考えること。

6/10が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェック

4

アンケートにおいて、受講者の2/3が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェックすること。

4S・安全

受講者の2/3以上が内容に興味を持ち、仕事に役立つと考えること。

8/10が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェック

5

アンケートにおいて、受講者の2/3が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェックすること。

受講者の2/3以上が内容に興味を持ち、仕事に役立つと考えること。

7/11が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェック

5

アンケートにおいて、受講者の2/3が「もっと勉強したい」「継続して勉強する」にチェックすること。

加茂専門家が行ったアンケートの結果

Material Processing The Way Problem Design Totalfor of 4S & Safety Quality of -solving & 全体平均Automobile Material Thinking Drawing

Before Ⅰ.Knowledge level 2.62 3.56 3.19 2.92 3.08 3.50 2.90 2.67 3.00 3.00 3.071 have a few knowledge 1 1 22 have a little knowledge 7 1 3 4 3 1 2 3 3 3 303 have a knowledge 4 6 4 5 5 4 4 6 5 5 484 have a general knowledge 2 8 8 3 4 4 3 1 3 365 already understand 1 1 1 3

Ⅱ.Useful or not 4.00 4.31 4.19 4.42 4.33 4.20 3.90 4.56 4.60 4.18 4.261 not useful 02 little bit useful 1 13 useful 4 4 1 2 2 4 3 204 important 5 8 5 5 4 4 3 4 4 3 455 very important 4 7 7 6 6 4 3 5 6 5 53

After Ⅲ.Understood or not 3.83 4.33 4.07 3.92 3.90 4.27 3.90 3.90 4.18 4.33 4.081 not understood 02 understood a little 1 1 23 understood generally 2 2 2 3 1 104 fairly understood 11 10 10 9 7 8 5 9 6 10 855 understood enough 5 3 1 1 3 2 4 5 24

Ⅳ.Level of lectures 3.00 3.00 2.93 2.50 2.80 3.09 3.00 2.90 2.64 2.87 2.881 very difficult 02 difficult 2 4 6 2 1 1 4 2 223 fit 12 11 8 6 8 10 8 9 7 13 924 easy 2 3 1 1 75 very easy 0

Ⅴ.Adapt for work or not 4.50 4.20 4.53 4.17 4.20 4.00 3.90 4.20 4.18 4.47 4.261 nohelp for work 02 less help for work 1 1 1 33 helpful for work 1 2 1 3 1 3 4 3 3 3 244 want to study more 4 5 5 4 3 2 3 2 3 2 335 will continue to study 7 7 9 5 5 5 3 5 5 10 61

StractureofAutomobile

Mechanicaldrowing

Mechanicsof materials

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13

(2)VA・VE担当 小畠正義専門家

 

年 月

専 門 家

122016

一般財団法人 海外産業人材育成協会

2016年度タイAHRDIP

審 査 委 員 会 2016年度 第1回

2016W5084A小畠 正義

案 件 番 号

指 導 報 告 書 ─ A

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14

1.派遣期間

2.指導分野

3.今期活動の位置付けと目標

注)AHRDIP プロジェクトにおける今期活動の位置付けと目標について記述してください。

4.今期の指導目標と指導内容

(1)トレーナーの育成目標と指導内容

注)トレーナーの具体的な育成目標及び指導内容

(2)指導実績

(3)カリキュラム

2016 年 11月 6 日 ~ 2016 年 11 月 26 日

自動車人材育成(研究開発(R&D)における VA/VE 分野に関するトレー

ナー育成)

タイ工業省は、アジア通貨危機後、自動車産業における人材育成を目的として 99年にタイ自動車研究所(TAI)を設立した。その後 2007年 4月には日タイ経済連携協定(JTEPA)が締結され、同国自動車産業は堅実な発展を続けている。その一方で、生産拡大に伴う裾野産業の技術者の量的、質的不足に係る問題も顕在化している。タイの自動車産業が世界的競争力を獲得するためには、より高度で付加価値の高い技術集約産業への転換が必要で、そのための人材育成が不可欠である。このような状況に対応するため、2012年度に開始された自動車人材育成プロジェクト(AHRDIP)の一環として、最終年度となる今年度においては「研究開発(VA/VE)、R&D一般(基礎)」「テスティング」「製造技術(日本のものづくり)」「その他(現地企業の指導ニーズが高い技術)」の 4分野において TAI を始めとする関係機関に日本人専門家を派遣しトレーナーを育成する。

2016年度は、2015年度に引き続きR&D部門の中でVA/VEについて指導する。受講後、受講生各自が自社に戻りVA/VEを実践できることやVEリーダーとして、VE業務を推進できるレベルのトレーナーの育成を目標にして、指導を行う。そのためのカリキュラムは、VE についての必要性や VEの手順など講義の後、演習を繰り返し行うことで講義の内容を理解するとともに、演習を通じて VEの手法を体験することで、実践能力を高める内容とした。トレーナーとして活躍できる人材育成は、受講生の 70%以上を目標に掲げた。

受講生の出席状況にあわせて、本題の講義をスタート。受講生が揃うまでは、自動車関連のいろんな情報を提供した。受講生が揃ってからは、簡単に前日の復習を行い、当日予定の講義と演習を実施した。1st Period(11/8~11/11)については、順調に進行して、当初予定より少し早めに進められた。2nd Period(11/15~11/18)では、機能の整理のステップで多くの時間を費やしてしまいアイデア発想には十分時間をかけたが、アイデア評価と洗練化のステップは少し駆け足気味の演習となった。3rd Period(11/22~11/24) は課題演習を行うことで VEトレーナーとしての研修成果が確認できる場としているため、研修生自ら 1st Periodと 2nd Period で学習した成果を実践するステップであり、講師が指導しなくても課題をこなせることが出来れば VEトレーナーの資格認定が可能と判断することにしている。従って 3rd Period では、進捗状況をフォローしながら、各チームのリーダーに時間管理を自動する程度で終了できた。4班各々が活動成果を発表し、受講感想を述べ研修は、終了した。このセミナーで20名は VEを十分理解し、実践できるレベルまで育成できたと判断している。出席日数不足で1名、受講態度やテスト成績不良で4名の方々が残念ながらトレーナー認定を行うことができなかった。

1st Period(11/8~11/11)①オリエンテーションで VEの概要②VEジョブプランの機能の定義について、講義と演習③VE ジョブプランの機能の整理について、講義と演習。2nd Period(11/15~11/18)①VE ジョブプランの機能の整理を引き続き演習②VE ジョブプランの機能の評価の講義と演習③VE ジョブプランのアイデア発想の講義と演習。3rd Period(11/22~11/24)①課題について、VEジョブプランに従って、機能の定義、機能の整理、機能の評価、アイデア発想、アイデアの洗練化と VE提案書作成までをスルーで実践。②発表会、各チームが作成した提案を発表③講師講評で研修終了

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5.指導の成果と課題

(1)トレーナーの育成成果と今後の課題

注)どんな成果が上がったかを、成果の判定方法とともに示し、併せて今後の課題について説明してください。

6.感想など

(1)指導に当たった感想

注)今回の指導で AHRDIP プロジェクトやカウンターパート、トレーナー候補等について感じたことを自由

にご記入ください。

(2)日本側への要望等

トレーナー育成は、当初目標の80%を達成できた。25名中20名をトレーナーに認定した。

VA/VEへの必要性への認識がまだまだ低いような気がします。IEや QCあるいは改善といった生産現場での管理技術がまだまだ主体のようであり、自動車産業育成の中で、ものを造るから開発(車を創る)へと転換しないと今後の発展は望めないのではないでしょうか。開発業務は、需要予測する商品企画、それを具体化する製品企画、ものをつくるための設計技術、設計品質を保証・確認するための実験評価技術です。今のタイの自動車業界を見れば、タイ国での自動車の開発業務をおこなう企業が、これからスタートし始めてところですよね。従って、設計段階での VE活動で、競争力のある車創り、すなわち、よい性能や品質で競争力のある価格で製品を顧客に提供し、利益を創生する。そのための管理技術 VEであり、今後、VEがますます必要となってくると思います。今年度で、このプログラムは終了と聞いていますが、非常に残念な気がいたします。一方、無償の研修ということもあり、いやいや参加した受講生が今回見受けられました。お国の事情はあるかと思いますが、費用を有償にして、受講生がトレーナーの資格を取得できれば、受講費用を派遣企業に返却するといった方策で、受講生の参加意欲と派遣企業の教育意欲を高めるなどをされてはいかがでしょうか。また、VEは実践工学とも言われています、受講後のフォローアップが必要と思われます。実際に企業に戻って、VEが実践できているかの確認と、できていなければ、なぜできないのかなどをフォローして、次のレベルアップへとつないでいく必要があると思います。受講生を集めて懇談会を開催して、状況把握するなども情報収集の方法でしょう。

目的意識をもって受講した受講生は、意欲的に研修を受けていたが、2016年度の研修は、初めて受講意欲のない生徒が現れました。研修態度を見ればすぐ判断できるのです。チーム活動で蚊帳の外にいるといった感じです。せっかく、タイ自動車部品メーカー育成という目的のための事業が泣くような気がしました。研修生の募集の方法に工夫が必要ではないでしょうか。VE研修は、自分たちで考えて行動が出来るようにと指導のポイントをおいておりますが、日本でも同様なことがよく発生します。十分考えないで、すぐ答えを聞く、答えを求める風潮があり、これを研修中に修正できればと毎回トライしています。講師の考え方が多少でも伝わり、企業に戻ってから自分で考え、課題や問題の解決策を見つけ出すようになればと願っております。

AHRDPプロジェクトが、本年度をもって終了されるようですが、R&D関係は、継続していただければと思います。今後、タイ国に開発拠点を置く自動車メーカーが出てきています。この傾向はますます増加していくと思われます。これまでに進めてきたタイ自動車部品メーカー育成プロジェクトが、ここで打ち切りとなると、この先自力で育っていく部品メーカーが多く出てくるとは予測しにくい。業界全体をサポートしていく、こういった活動が必要不可欠と思います。継続発展を望みます。

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標準化項目

3.指導成果の自立発展性

テキスト内容は適切であった。

テキスト内容は適切であった。

全体評価→ 5

VEのジョブプラン 機能の定義、機能の整理、機能の評価、アイデア発想、提案書 5 機能の整理のところが、講師のパワーポイントと少し異なる

VEの概要

VEジョブプランの習得 自主的に課題演習が出来ること

課題の演習 5

VEとは、VEの必要性、VEの適用事例 5

リムバーを課題として、機能の定義~VE提案、発表までスルーで演習

目標 実績 達成度

チーム活動ではあるが、自主的に成果発表まで行えた 5 与えられた時間内で、課題演習が行えること

判定基準

全体評価→ 5

指導項目 指導内容 達成度

2.カリキュラムの達成度

妥当性(テキストが適切であったかどうか記述してください)

80% トレーナー認定数/受講生数(%)

全体評価→ 5

トレーナー認定数

育成目標と指導成果

1.トレーナーの育成目標及び実績

注)ここでは、指導の目標と成果を、①トレーナーの育成目標と指導実績、②カリキュラム達成度、③指導成果の自立発展性についてまとめてください。「達成度」は、5:目標の100%以上達成、4:80%以上達成、3:60%以上達成、2:40%以上達成、1:40%未満を目安に、プルダウンから5~1の数字の一つを選び5段階評価してください。「判定基準」は、実績評価の基準を示してください。

判定基準トレーナー 達成度目標 実績

80% 5

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2.テスティング

(1)条鋼部品分野担当 村橋 守専門家

 

年 月

2016年度タイAHRDIP

審 査 委 員 会 2016年度 第1回

2016W5088A村橋 守

案 件 番 号

指 導 報 告 書 ─ A

専 門 家

112016

一般財団法人 海外産業人材育成協会

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1.派遣期間

2.指導分野

3.今期活動の位置付けと目標

注)AHRDIP プロジェクトにおける今期活動の位置付けと目標について記述してください。

4.今期の指導目標と指導内容

(1)トレーナーの育成目標と指導内容

注)トレーナーの具体的な育成目標及び指導内容

(2)指導実績

2016 年 9 月 25日 ~ 2016 年 10 月 29 日

自動車人材育成(テスティングにおける条鋼部品分野に関するトレーナー育

成)

タイ工業省は、アジア通貨危機後、自動車産業における人材育成を目的として 99年にタイ自動車研究所(TAI)を設立した。その後 2007年 4月には日タイ経済連携協定(JTEPA)が締結され、同国自動車産業は堅実な発展を続けている。その一方で、生産拡大に伴う裾野産業の技術者の量的、質的不足に係る問題も顕在化している。タイの自動車産業が世界的競争力を獲得するためには、より高度で付加価値の高い技術集約産業への転換が必要で、そのための人材育成が不可欠である。このような状況に対応するため、2012年度に開始された自動車人材育成プロジェクト(AHRDIP)の一環として、最終年度となる今年度においては「研究開発(VA/VE)、R&D一般(基礎)」「テスティング」「製造技術(日本のものづくり)」「その他(現地企業の指導ニーズが高い技術)」の 4分野において TAI を始めとする関係機関に日本人専門家を派遣しトレーナーを育成する。

輸送機など機械構造物は開発実験段階で早期破損が発生したり、実働中に破損事故が発生したりします。この研修の目標は、このような不測の破損トラブルに対して早期に原因を特定し改善に結びつけることができる”破損原因調査に強い人材”を育成することです。このためこの研修では、鋼線材・棒鋼を素材とした自動車の重要保安部品を対象に、以下の指導を行いました。 【実習】市中より収集した破損原因不明の実破損部品を用いた破損原因調査の実習 【座学 I】破損原因の仮説・考察・特定や改善策立案のための座学 【座学 II】報告書の作成要領など実習関連の座学 【座学 III】(今回+αの特別研修)鋼線材・棒鋼製自動車部品の軽量化のための高強度化につい ての座学

実破損部品の破損原因調査結果の要点は次の通りで、講師も妥当性があると認める原因を特定することができた。 ●チーム1 (クランクシャフト) フィレット部起点のねじり疲労破損。通常の油穴起点に比べて異常。フィレット切削加工時の肌荒れによる応力集中が原因。要精度管理。 ●チーム 2 (エンジン弁) ステムの切欠部起点の静的曲げ破損。ステムに曲げ変形あり。弁部がピストンに衝突し座屈。タイミングベルトの老朽化伸びが起因。要定期点検。 ●チーム 3 (ドライブシャフト) セレーション根元起点のσt型静的ねじり破損。高周波表面焼入れ硬化層深さにばらつきあり。起点部は浅い。均等焼入れの確保必要。 ●チーム 4 (懸架コイルばね) ばね外側起点のねじり疲労破損。通常のばね内側起点に比べて異常。起点に 37μm 巨大 Al系介在物あり。低介在物鋼への切り替え。

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(3)カリキュラム

【実習】 市中より収集した破損原因不明の実破損部品を用いた破損原因調査の実習 ①収集品からクランクシャフト、エンジン弁、ドライブシャフト、懸架コイルばねの 4点を選択し、4 チーム編成(全 9名)で分担、②破面のマクロ観察、③破損原因の仮説の設定、④裏付け調査項目と調査手段の検討、⑤作業指示書の作成、⑥試験担当部署(ISIT)への説明、⑦試験立会い、⑧調査結果の収集、⑨破損原因の考察・特定、⑩調査報告書の作成(全員)、⑪調査報告書によるプレゼンテーション(全員)

【座学 I】 破損原因の仮説・考察・特定や改善策立案のための座学 ❶破損の基礎:①過去の破損事故原因、②破損と荷重・応力・材料強さとの関係、③破面の構成(起点・進展・最終破面) ❷材料強さ評価用標準試験片破面のマクロ的・ミクロ的特徴:①静的試験(引張・圧縮・せん断・曲げ・硬さ)、②衝撃試験 (シャルピー)、③疲労試験(回転曲げ・ねじり・接触転動)、④破面のマクロ的特徴とモールの応力円の関係 ❸実破損部品のマクロ的・ミクロ的特徴:①破損モードで整理(粒内/粒界×延性/脆性/疲労)、②原因系で整理(水素脆化・液体金属脆化・低温脆化・焼戻し脆化・応力腐食割れ・焼割れ・表面欠陥(肌あれ・疵)・内部欠陥(非金属介在物・脱炭・粒界酸化)) ❹破損トラブルの改善策:①材料の強さ/延性/靭性のバランス確保、②応力集中の低減、③表面改質(ショットピーニング・浸炭)、④引張強さσB≒1200MPa の壁の存在(疲れ限度比σW/σBの低下、水素脆化感受性の急増) ❺鉄鋼 1次製品の鋼線材・棒鋼の製造工程:①鉄鉱石・スクラップ・製銑・製鋼・連鋳・熱間圧延、②制御圧延制御冷却技術(TMCP) ❻鉄鋼 2次製品の鋼線・ミガキ棒鋼の製造工程:①Bar to bar・Coil to bar・Coil to coilで分類、②伸線加工技術、③2次製品の具体的製造工程例(硬引き鋼線、冷間圧造用鋼線、ばね用オイルテンパー鋼線、引抜きミガキ棒鋼など) ❼最終製品の自動車部品の製造工程:懸架コイルばね、エンジン弁ばね、各種ボルト、コネクティングロッド、 スチールコード、軸受、歯車など ❽製造工程中に発生する欠陥と対策:伸線シェブロンクラック、伸線カッピィ断線、伸線横割れ、溶接スパーク疵、ハンドリンク擦過マルテンサイト、ハンドリング表面疵、粒界酸化、脱炭、浸炭、浸リン、焼割れ、水素吸蔵など

【座学 II】 報告書の作成要領など実習関連の座学 ①破損原因調査の全体フロー、②調査報告書の作成要領、③破損原因の仮説設定シートの作成要領、④裏付け調査項目と調査手段の検討シートの作成要領、⑤作業指示書の作成要領

【座学 III】 (今回+αの特別研修) 鋼線材・棒鋼製自動車部品の軽量化のための高強度化についての座学 ①高強度化法の 6つの基本的考え方 ②主な2つの高強度化技術:マルテンサイト変態を活用した熱処理による高強度化、加工硬化を活用した伸線加工による高強度化 ③主な2つの高強度化技術による最大達成強さ ④1200MPaの壁を打ち破り、水素脆化に強いのはどちら ⑤応力腐食割れに強いのはどちら ⑥1200MPaの壁を打ち破り、VHCF(Very High Cycle Fatigue:ギガサイクル疲労)の疲れ限度を向上するには ⑦高強度化の事例:1970MPa 懸架コイルばね、2150MPa エンジン弁ばね、1600MPa コネクティングロッド用ボルト

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5.指導の成果と課題

(1)トレーナーの育成成果と今後の課題

注)どんな成果が上がったかを、成果の判定方法とともに示し、併せて今後の課題について説明してください。

6.感想など

(1)指導に当たった感想

注)今回の指導で AHRDIP プロジェクトやカウンターパート、トレーナー候補等について感じたことを自由

にご記入ください。

【成果】 今年度の研修は、昨年度と同様に”破損原因調査に強い人材”の育成を目標として、市中から収集した破損原因不明の実破損部品の破損原因を特定するという実習と、この実習を円滑に進めるための座学の2本立てで推進しました。そして、各研修生の達成状況は、(a)調査報告書の作成・プレゼンテーションなど実習への取組み状況(50/100)、(b)出席状況(40/100)、(c)質問など積極性(10/100)---の3つの評価項目と評価点配分で評価しました。 100 点満点の 80点以上が合格点で、今回は、登録研修生 9名中、研修に特に熱心に取組まれた 6名の方が高得点で合格されました。 ●チーム1 (クランクシャフト) :88、★18 ●チーム 2 (エンジン弁) :87、★17 ●チーム 3 (ドライブシャフト) :88、91 ●チーム 4 (懸架コイルばね):87、90、★26

【課題】 今回の研修で合格となられた研修生 6名の方は、特別研修を含め出席率は 100%であり、大変意欲的に研修に取り組んでいただけました。ただ、残りの 3名の方(★)は低出席率と報告書の未提出で不合格となり、合格率の点では課題を残しました。ちなみに、前年度の研修では 12名中、11名が合格でしたので、合格率は低下しました。この不合格の 3名の方は、元々Observer students(聴講生)とのことですが、受講の目的が明確でなく(注)、この種の研修を来年度からも引き続き実施される場合は、研修生の募集条件の見直しが必要かもしれません。 (注)出席されているときは、ご自身が会社等で抱えておられる疑問についてよく質問をされましたので、その疑問を解くことが受講の目的だったのかもしれません。今回の研修をそのように活用されるのも正解なのかもしれませんが、一考を要すると思います。

①今回は+αの特別研修を計画し、通常の 4週間の研修に対して 5週間の長期研修となりました。それにも関わらず、5週間・無欠席で出席され、研修を熱心に受講された方も半数以上おられ、最後まで活気あふれる研修ができたことに感謝申し上げます。 ②+αの特別研修では、 "鋼線材・棒鋼製自動車部品の軽量化のための高強度化"に焦点を合わせた研修を取上げました。このことで、高強度材の破損トラブル改善策に対する研修生の一段高い知的好奇心にも応えられたと思います。 ③今回の研修では、試験担当部署(ISIT)の試験機の 1部(SEM)に不具合が見つかるなど不測の事態もありました。しかし、TAI、ISIT関係者の適切な代替策により懸念された研修の遅延もなく予定通りに進めることができました 。本件につきこの紙面をお借りして感謝申し上げます。 ④例年よくある質問ですが、来年度以降の研修計画について熱心な研修生から質問がありました。今回は、”2012年度から続いた一連の研修は 2016年度を持って完了し、その後については関係機関で協議される見込みで、現在のところ未定です”と回答しております。今回の研修生の仲間や後輩達が受講できるか機会があるのかどうかに関心があるのかもしれません。 ⑤最後に、今回のように意義ある実習が可能になったのは、本来収集困難な実破損部品が収集できたおかげですが、この点でご尽力いただいた TAIの皆様方に感謝申し上げます。

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(2)日本側への要望等

①今回の研修で”特別研修”を+αするという構想は JETROのご提案によるものですが、研修生の高い知的好奇心に応えることでより高度の人材を育成する契機になったと確信します。今後もこの種の研修を実施される場合には、研修生が魅力的と感じるこのような新しい構想も必要かと思います。 ②HIDAの関係者の皆様には、Textの準備、備品の準備などでも、講師の意向に配慮いただきながらTAI と調整いただきましたこと、感謝いたします。

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提出された調査報告書の内容とそれに基づくプレゼンテーションの内容から判定。

3.指導成果の自立発展性

標準化項目 目標 実績 達成度

5

4

判定基準

5

全体評価→ 5

破損トラブルの改善策の立案

破損原因の仮説の設定

破損原因の考察・特定

実破損部品外観のマクロ観察から破損原因を推察し、その裏付けに必要な調査項目とその手段に落とし込むことができること

調査結果を総合し、破損原因につき仮説以外の可能性も含め考察し、最終的に破損原因を特定できること

特定された破損原因に対して、改善策を提案できること

今回破損原因を調査した4件の破損原因が不明の実破損部品について、妥当性のある破損原因を突き止めることができており、また、相応の改善策を立案できるまでになった。

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(2)薄鋼板分野担当 橋本 俊一専門家

 

年 月

専 門 家

122016

一般財団法人 海外産業人材育成協会

2016年度タイAHRDIP

審 査 委 員 会 2016年度 第1回

2016W5089A橋本 俊一

案 件 番 号

指 導 報 告 書 ─ A

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25

1.派遣期間

2.指導分野

3.今期活動の位置付けと目標

注)AHRDIP プロジェクトにおける今期活動の位置付けと目標について記述してください。

4.今期の指導目標と指導内容

(1)トレーナーの育成目標と指導内容

注)トレーナーの具体的な育成目標及び指導内容

(2)指導実績

2016 年 10月 30日 ~ 2016 年 12 月 17 日

自動車人材育成(テスティングにおける薄鋼板分野に関するトレーナー育成)

タイ工業省は、アジア通貨危機後、自動車産業における人材育成を目的として 99年にタイ自動車研究所(TAI)を設立した。その後 2007年 4月には日タイ経済連携協定(JTEPA)が締結され、同国自動車産業は堅実な発展を続けている。その一方で、生産拡大に伴う裾野産業の技術者の量的、質的不足に係る問題も顕在化している。タイの自動車産業が世界的競争力を獲得するためには、より高度で付加価値の高い技術集約産業への転換が必要で、そのための人材育成が不可欠である。このような状況に対応するため、2012年度に開始された自動車人材育成プロジェクト(AHRDIP)の一環として、最終年度となる今年度においては「研究開発(VA/VE)、R&D一般(基礎)」「テスティング」「製造技術(日本のものづくり)」「その他(現地企業の指導ニーズが高い技術)」の 4分野において TAI を始めとする関係機関に日本人専門家を派遣しトレーナーを育成する。

自動車部品製造メーカーおよび研究機関関係者に鉄鋼材料、特に自動車用鋼板の種類、使われ方、その評価試験方法を指導し、本分野技術のリーダーとなり得る人材を育成することを目標に指導を実施する。受講者はほとんど自動車用鋼板の種類やその特性あるいは組織の判断の仕方についての知識が無い状態であったが、引張試験や硬さ試験については自らの経験は無いものの、依頼試験としての経験を有していた。従ってそれらから得られる情報を材料の種類、特性までより深く理解できることを目指して指導した。また今後のこの分野への進出、開発あるいは納入先の自動車会社、素材納入メーカーとの対話のためにも使用材料のメタラジカルな理解が必要であることを認識させながら授業を進めた。具体的には講義として鉄鋼材料(鉄鋼製造方法、自動車用鋼板、Fe-C状態図や熱処理基礎、組織等)および試験方法(引張試験、成形性試験、組織調査方法等)を行った。その理解の深化および具体的な試験方法を習得させるため、自動車座席の分解、調査および 3種類の強度クラスの引張試験、成形性試験等を実施した。これらの実習を通じて調査結果の報告書作成、発表まで指導し、それを通じて試験内容の理解、試験結果をどう読み取り、考察し、技術報告書としてどうまとめるかを習得させることによりリーダーとしての能力向上を目指した。

大略午前中を講義、午後を実習と割り振って指導した。講義は金属学と Testingに大別、それぞれ 3週間程度を割いて講義した。講義終了後理解度テストを実施しその結果を踏まえて理解度不足の点を再度復習した。演習は前半自動車座席解体を実施した。実習素材として TOYOTA と HONDAの同クラスの2種の座席準備を受け、受講者を2グループに分けいずれかを担当させた。成分分析も実施し、それぞれの鋼種の化学成分も理解させた。得られたデータからどういう種類の鋼板が使用されているかを議論すると同時に 2車種で同一部品でありながら異なる強度、材質が使われている点についてその背景等を議論した。また補足としてそれに該当する鋼板の製造方法、組織を示した論文を紹介し、その理解を深めさせた。各受講者には調査結果を報告書としてまとめさせその発表会を行った。プレス成形実習は主に ISITの操作を見学することであったが、一部研修生自ら試験を実施した。プレス成形評価試験は張出し性、穴広げ性、液圧バルジ試験を実施した。また引張試験、組織観察、硬さ測定も実施した。引張試験ではその注意点、各種特性値をどのように導出するかを指導した。これについても化学分析をを実施、合わせて得られた機械的性質と、硬さ、組織との関係から 3種類の鋼板の特徴の理解を深めてもらった。

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(3)カリキュラム

5.指導の成果と課題

(1)トレーナーの育成成果と今後の課題

注)どんな成果が上がったかを、成果の判定方法とともに示し、併せて今後の課題について説明してください。

6.感想など

(1)指導に当たった感想

注)今回の指導で AHRDIP プロジェクトやカウンターパート、トレーナー候補等について感じたことを自由

にご記入ください。

原則として午前中を講義、午後を演習として実施した。演習は自動車シートフレームの解体調査と 3種類の自動車用鋼板のプレス成形性試験を実施した。それぞれの実験結果について議論するとともに、報告書の作成方法、考察の仕方を指導し、報告書の提出および報告会を実施した。 講義内容の大項目を以下に示す。 材料関係;Steel production route,Automotive steel sheet, Fe-C diagram and Heat treatment、Stainless Stee,Strengthning mechanism. Testing関係;Testing of Mechanical prperty Microstructure, Delayed fracture, Spot weldimg,Press formability test,Grain size evaluation. 最後の 4 日間は前回の参加者 2名とともに Follow Up としてより高度な授業を行った。講義内容を以下に示す。 3rd Generation AHSS, Temering parameter, Fatigue of spot welding等。

各受講者の成果の判定方法は 20問の試験(持ち込み資料なし)、演習報告書、報告会および出席率を100,50,50点の配分で総合して判断した。また講義中での質問等の受講態度も参考資料とした。これらの結果は表に目標と実績のページに示したが、残念ながら 1名が途中から出席が途絶え不合格とした。また 2名は出席率、理解度で不十分な点がありトレーナーとしての合格者には判断できなかった。それ以外の受講者 3名の内 2名は完全な合格レベルであったが、ひとりは非常に高いレベルであった。 特定の人が 9時の開始時間に遅刻することが多かった。朝会社に寄ってから来るためとの理由であった。また途中から会社命令で出張が入り参加が途絶えた。本人というより派遣側の会社の姿勢に問題があり、今後の課題と考える。このような無責任体制を招く一つの要因は本事業が無償であるためと思われる。むしろ有償にしてもっと重要視した姿勢を促す必要があるのではないか。昨年度同様受講生のレベルに差があり、焦点が絞りにくいという問題があった。今後は参加資格、参加姿勢を選別して受け入れるくらいの姿勢が必要と考える。 今後の課題の一つは底辺拡大である。そのためにはもっと大人数を一堂に会して 1週間くらい集中的に実施する、あるいはある程度の参加者が集まるのであれば、各企業(企業団地)に出向いて数日間の講義を行うという方法も考えられる。この場合事前に課題を提出しておいてもらえばより各企業の問題に密着した講義ができるのではないだろうか。

・マスター、ドクターコースの学生も将来のタイの技術を担う人材であるわけでそのレベルの人にも参加を呼び掛けてはどうか。(既にこのコースを受講された先生を通じて適任者を選んで派遣してもらうのも一方法。)今回の受講生の中では米国の大学で PhDを取得し MTECで研究者をされている方が参加されたが当然のことながら理解度は抜群であった。昨年度も同様に大学の先生も参加されていた。いっぽう大学卒後キャリアも少なく、かつ業務内容も本講座とは直接関係のない分野の方もおり、その理解度に大きな差があった。 ・9 時の開始時間に遅刻する人が多かった。この辺はタイ人気質、交通事情もあろうが上述したように派遣会社の姿勢の問題もある。また一人は会社の都合で出席を続けることができないという事態もあった。派遣社員においては派遣社員の選定も含めその姿勢を十分かんがえていただく必要があると考える。 ・HIDA関係者は色んな意味で全面的にサポートしていただき感謝している。TAIの担当者は授業や送迎の調整を十分実施してくれた。また種々の調整は通訳が間に立ってやってくれた。TAIには演習用素材のシートフレームを入手してくれた。実りある演習ができた大きな要因であり感謝する。

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(2)日本側への要望等

受講者の募集には TAIに全面的に依存しているようであるが上述の様に各種問題が見受けられる。手間はかかるが当方の授業内容を十分説明し、それに合致した人のみを受け入れる体制にする必要がある。また受講者のレベルを揃えそれに適した授業をするための準備作業、逆に先方の要望を聞いてそれに沿った授業内容に修正するというお互いの入念なキャッチボールが必要と考える。それはタイに任せきりでは進むはずも無く講師との連携を含めた日本、バンコクの HIDAの活動無しには無し得ない作業であり、その役割を大いに期待する。

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3.製造技術(日本のものづくり)

(1)前半担当 原田 英利専門家

 

年 月2016 11

一般財団法人 海外産業人材育成協会

2016年度タイAHRDIP

案 件 番 号 2016W5086A専 門 家 原田 英利

指 導 報 告 書 ─ A

審 査 委 員 会 2016年度 第1回

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1.派遣期間

2.指導分野

3.今期活動の位置付けと目標

注)AHRDIP プロジェクトにおける今期活動の位置付けと目標について記述してください。

4.今期の指導目標と指導内容

(1)トレーナーの育成目標と指導内容

注)トレーナーの具体的な育成目標及び指導内容

(2)指導実績

(3)カリキュラム

2016 年 10月 2 日 ~ 2016 年 10 月 29 日

自動車人材育成(製造技術における日本のものづくりに関するトレ

ーナー育成)

タイはアジア通貨危機後、自動車産業における人材育成を目的として 99年にタイ工業省は、タイ自動車研究所(TAI)を設立した。その後 2007年 4月には日タイ経済連携協定(JTEPA)が締結され、同国自動車産業は堅実な発展を続けている。その一方で、生産拡大に伴う裾野産業の技術者の量的、質的不足に係る問題も顕在化している。タイの自動車産業が世界的競争力を獲得するためには、より高度で付加価値の高い技術集約産業への転換が必要で、そのための人材育成が不可欠である。このような状況に対応するため、2011年度に開始された自動車人材育成プロジェクト(AHRDIP)の一環として今年度においては「R&D・VA/VE、R&D基礎技術」「製造技術(日本のものづくり)」「テスティング(条鋼、薄鋼板の材料評価)」「その他(現地企業の指導ニーズが高い技術)」の 4分野において TAIを始めとする関係機関に日本人専門家を派遣しトレーナーを育成する。

日本の現場で取り組まれている、ものづくり活動(自主保全活動)を、トレーナーに教育し、ものづくりに向かう姿勢及び基本知識を習得していただく。活動の進め方として、まずものづくりに影響のある、4Ⅿの変化について生産との関係を理解いただき、次にものづくり現場の5Sを解かりやすく説明、タイ国でも、ファイブエスとして知ってはいるがものづくり現場の本当の5Sを、次にTPM、TPS、TQC活動を勉強、何を基本に考え、どう目標を立てるか、(今回はTPMを重点に説明、TPSは活動の柱、TQC」は言葉の意味程度)を活動のステップとして、さらに活動の詳細については、ロスの抽出として現場の中にある問題と、見つけ方を指導、最後に駆動伝達、締結、油圧、空圧の基本知識を説明、ものづくり現場の基本の理解を目指す。

参加者22名に、週4日で4週間指導 終了条件として80%以上の出席が条件であった、1名出席率不足であった・・・知識習得はOK、 修了試験(30点満点)及び工場見学(見るポイント説明)の実施 個人別、研修のねらい報告、考え方の指導 最終日に各個人の結果及び今後の活動の目標報告 毎回、本日のまとめ実施(グループまとめ・・・グループ5~6名) 順番で全員報告

第1週 ものづくりの基本(4Ⅿ、生産管理、保全管理) 第2週 TPM、TPS、TQC活動とは ロスの考え方とその抽出 第3週 予備品・在庫管理、自主保全(ものづくり活動)の展開、からくり改善 工場見学 第4週 自主保全の基礎、ものづくりテスト、研修まとめ(個人、グループ)

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5.指導の成果と課題

(1)トレーナーの育成成果と今後の課題

注)どんな成果が上がったかを、成果の判定方法とともに示し、併せて今後の課題について説明してください。

6.感想など

(1)指導に当たった感想

注)今回の指導で AHRDIP プロジェクトやカウンターパート、トレーナー候補等について感じたことを自由

にご記入ください。

(2)日本側への要望等

① 参加者の意見レベル向上 ・・・ 勉強態度の真剣さ及び最終日の報告状況 (私が聞いた内容より判断)

② ものづくり理解アップ(テスト結果) ・・・ 30点満点で平均26点 (100点満点で87点) MAX30点、MIN20点

① 参加者が各社に戻ってどう展開するか? 個人の知識・意識アップが活用されるか ② 今回の内容で、さらに勉強しようとして説明する講師、教科書はあるか

① 工場見学日程の変更(2回)、国王の崩御(14日は1時間早退)などによりスケジュール変更があったが研修生の参加はよかった。

② 参加者のレベル差があり(会社オペレーター以外の人)質問の内容は偏りがあった・・・工業省ア ドバイザー、企業シニアアドバイザーなど

いろいろ有難うございました、大きな問題なく終了した、と思います。

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自主保全とは自主保全の進め方自主保全の締結、油圧、空圧

5

項目

自主保全について(機器基本含む)

  ものづくりの基本、5Sについて

  ロス(ムダ)について 5

 ロス(ムダ)についてTPMの16大ロスTPSの7つのムダ 5

・ロスの問題、見つけ方は今回の説明で理解された*ただしロスの改善事例が言葉でしかなかったため、事例のまとめ(改善前と改善後)があるとよかった。

ものづくりの基本・・・生産活動での4Ⅿの意味と影響5Sについて ・・・ 現場の整理、整頓、清掃とは 5

妥当性(テキストが適切であったかどうか記述してください)

4

3.指導成果の自立発展性

・ファイブエスとして言葉の理解はされている、整理のいるもの、いらないものの区分が良く判ってなく、今回の説明で理解された

・この項はテキスト(タイ語テキスト)であったため参加者もわかり易かった。締結、油圧は自主保全の基本条件を理解できた・カリキュラムの進行が工場見学日程等の理由により変更されたため途中で切れたコースがあった。

全体評価→ 5

目標 実績 達成度

5

5

14日目、ものづくりテスト実施30点満点のテストを行い平均点26点であった80%を超える正解であり合格基準であった。(この、ものづくりテストは昨年実施のレベル)

全体評価→

判定基準

実績

全体評価→ 5

達成度

参加者(トレーナー)が自社に戻り、ものづくり活動のリーダーとして展開ができること。また参加者がタイでの、ものづくりテストに挑戦し合格すること

講義でのやり取りより基本については理解された(自社に戻って後半の後に成果確認)ものづくりテスト結果平均点26点・・・30点満点

 ものづくりの基本、5Sについて

育成目標と指導成果

1.トレーナーの育成目標及び実績

注)ここでは、指導の目標と成果を、①トレーナーの育成目標と指導実績、②カリキュラム達成度、③指導成果の自立発展性についてまとめてください。「達成度」は、5:目標の100%以上達成、4:80%以上達成、3:60%以上達成、2:40%以上達成、1:40%未満を目安に、プルダウンから5~1の数字の一つを選び5段階評価してください。「判定基準」は、実績評価の基準を示してください。

判定基準トレーナー

前半だけ、での評価です

目標

達成度

2.カリキュラムの達成度

参加者  22名別紙一覧 参照(テスト結果、出席判定一覧)

5

講座の始めは、人の扱いについての質問が多く4Ⅿ、5S、ロスは判っても部下にどうやって教えるか? といった質問が多かったが自主保全(ものづくりテスト)の講座により進め方、考え方がある程度理解された。また各自の、ものづくりの知識も向上出来た。

参加者(トレーナー)が自社に戻り、ものづくり活動のリーダーとして展開ができること。何がロスで、なぜあってはいけないか、正しく理解できること。自主保全を自社(自職場)で正しく展開できオペレーターに教育できること

セミナー最終日の、個人のまとめ報告より理解できた、参考になったとの意見が多く、ものづくり講座の基本編としての成果はあったと思います。今後の自社での展開は期待・参加者の中に工業省のアドバイザーが1名見え内容をタイ語に編集され、参加者にはわかりやすくまとめられていた。

指導項目 指導内容

自主保全について(機器基本含む)

 基本である前半の教育としては合格参加者の意見も満足の声多かった。

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(2)後半担当 西山 達吉専門家

 

年 月

専 門 家

22017

一般財団法人 海外産業人材育成協会

2016年度タイAHRDIP

審 査 委 員 会 2016年度 第2回

2016W5153A西山 達吉

案 件 番 号

指 導 報 告 書 ─ A

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1.派遣期間

2.指導分野

3.今期活動の位置付けと目標

注)AHRDIP プロジェクトにおける今期活動の位置付けと目標について記述してください。

4.今期の指導目標と指導内容

(1)トレーナーの育成目標と指導内容

注)トレーナーの具体的な育成目標及び指導内容

(2)指導実績

(2)カリキュラム

2017 年 1 月 22 日 ~ 2017 年 2 月 18 日

自動車人材育成(製造技術における日本のものづくりに関するトレ

ーナー育成)

タイ工業省は、アジア通貨危機後、自動車産業における人材育成を目的として 99年にタイ自動車研究所(TAI)を設立した。その後 2007年 4月には日タイ経済連携協定(JTEPA)が締結され、同国自動車産業は堅実な発展を続けている。その一方で、生産拡大に伴う裾野産業の技術者の量的、質的不足に係る問題も顕在化している。タイの自動車産業が世界的競争力を獲得するためには、より高度で付加価値の高い技術集約産業への転換が必要で、そのための人材育成が不可欠である。このような状況に対応するため、2012年度に開始された自動車人材育成プロジェクト(AHRDIP)の一環として、最終年度となる今年度においては「研究開発(VA/VE)、R&D一般(基礎)」「テスティング」「製造技術(日本のものづくり)」「その他(現地企業の指導ニーズが高い技術)」の 4分野において TAI を始めとする関係機関に日本人専門家を派遣しトレーナーを育成する。

Ⅰ.品質管理の道具である QC7つ道具及び新 QC7つ道具の理解の実施 Ⅱ.安全、衛生、環境、防災の理解の実施、(特に安全) Ⅲ.FA(ファクトリーオートメイションに対しての理解度アップ Ⅳ.電気設備についての理解(特に維持管理について) Ⅴ.MOSMS(計画保全)の理解 Ⅵ.工場見学を通しての5S等の評価実施

参加者 18名(前期は 22名受講、今回 4名は事前に欠席連絡あり)に週 4日で 4週間指導、テストは中間と最後と 2回実施、回答率 95%、出席も 80%以上で今回受講者全員合格。

第 1週 品質管理及び安全管理 第 2週 FA(ファクトリーオートメイション) 第 3週 電気保全全般(設備維持) 第 4週 MOSMS(計画保全)(含む診断技術)

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5.指導の成果と課題

(1)トレーナーの育成成果と今後の課題

注)どんな成果が上がったかを、成果の判定方法とともに示し、併せて今後の課題について説明してください。

6.感想など

(1)指導に当たった感想

注)今回の指導で AHRDIP プロジェクトやカウンターパート、トレーナー候補等について感じたことを自由

にご記入ください。

(2)日本側への要望等

【成果】 ・品質管理及び安全管理は受講前よりレベルは高かった。 ・FA化するにあたり企画案作成の手法(手動で残すもの及び自動化すべき項目の区分け)を理解できた。

・電気設備の劣化メカニズムが理解できた。 ・MOSMS(計画保全)について全体の体系が理解できた。

【課題】 ・各自が今回のセミナーで取得た知識を各自の会社でどう展開するかが課題。 ・今回得た知識を各工場で展開した結果のフォローする仕組みも必要。

【受講者】 ・タイの人は協調性があることが分かった。 ・ややもすると日本のセミナー場合は会社の上司よりの指示でいやいや参加の人もいるが、本セミナ

ーでは積極的な参加で質問が多かった。 ・講義の中で「日本ではどうしているか?」の質問が多く、実績についての質問が多かった。 ・セミナーで本に書いていない説明すると質問が多くなる(日本では本に書いていないことを説明す

ると、書いていないと反発する人もいる) 【TAI】 毎日のセミナー開催につて事前準備等を含めて気を使ってもいらった 【通訳者:ユッタナー・ヌーヤー】 今回の通訳者は設備の専門用語も理解しており、うまく受講者に当方の言いたいことが伝わった。

今回は初めてのタイではありましたが、手続及び連絡等をきめ細かく実施していただきましたので不安なく、今回のセミナーを無事終了することができました。 ありがとうございました。

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電気設備維持管理の為の電気部位の劣化メカニズムの理解ができた。 5

電気設備維持及び劣化メカニズムが理解できた。(特に周囲温度の影響度で劣化が進行する等)

今回は電気保全についても説明を実施したのでテキストはJIPMの「計画保全士セミナー」のテキストを使用した。当方の資料準備の都合でテキストはタイ語一部翻訳してもらい使用した。⇒全部依頼した方が良かったと感じた。

5

育成目標と指導成果

1.トレーナーの育成目標及び実績

注)ここでは、指導の目標と成果を、①トレーナーの育成目標と指導実績、②カリキュラム達成度、③指導成果の自立発展性についてまとめてください。「達成度」は、5:目標の100%以上達成、4:80%以上達成、3:60%以上達成、2:40%以上達成、1:40%未満を目安に、プルダウンから5~1の数字の一つを選び5段階評価してください。「判定基準」は、実績評価の基準を示してください。

判定基準トレーナー 達成度目標 実績

5

・今回FA化について、各グループでテーマを決めてFA化案を作成、FA化の目的を十分に理解した企画案ができた。

全体評価→ 5

指導項目 指導内容 達成度

2.カリキュラムの達成度

妥当性(テキストが適切であったかどうか記述してください)

経営に寄与する保全活動についての指導計画保全のPDCAを廻す上で重要な機器別管理について演習を通して理解してもらった。

・電気保全全般

最近、基幹ケーブル火災等のインフラ災害関係問題が発生している。電気設備の事故発生のメカニズム及び維持管理についての指導を実施。

5

今回は各項目とも実戦に沿ったテーマで演習主体で実施。

目標 実績 達成度

本セミナーでグループ討議で同ツールを使い、道具の使い方、用途のついて習得した。

5

計画保全体系のPDCA及び計画保全の核となる「機器別管理基準」について理解。

5

・QC7つ道具のツール使っての討議が出来た。

「機器別管理基準」の作成については各グループで対象機器を選定し、機器別管理基準書を作成できた。

判定基準

各グループでテーマを決めてFA化案を作成。

・MOSMS(計画保全)(含む診断技術)

・品質管理及び安全管理

・FA(ファクトリーオートメイション)

・QC7つ道具及び新QC7つ道具を使いこなす方法を理解する。

・FA化案を目的に沿った企画案を作成できること。(省力化の工程を明確にする等)

・計画保全体系のPDCAを理解する。

・電気保全全般・電気設備の災害の影響度及び電気設備の維持管理について理解する。

標準化項目

3.指導成果の自立発展性

・「Monodzukuri」テキストでは自習用サンプルが少ないので別途サンプルを用意する必要がある。

今回、テキストはJIPMのMOSMSより引用しかし、教室では実績面での資料の要望もあり、追加で資料を準備で対応、理解してもらった。計画保全全体については理解してもらった。⇒グループ討議では計画保全の核である「機器別管理基準」をグループで作成してもらい理解されたことを確認した。

全体評価→ 5

・FA(ファクトリーオートメイション)FA(ファクトリーオートメイション)を検討に当たり、FAの目的(省力化等)に沿った案の作成方法を自習を通して指導。 5

・「Monodzukuri」テキストには本件は掲載されたいないので別途サンプルを用意した。

・品質管理及び安全管理

・MOSMS(計画保全)(含む診断技術) 5

QC7つ道具及び新QC7つ道具について説明及びサンプルで演習を実施。 4

参加者18名別紙参照(テスト結果及び判定)

参加者(トレーナー)が自社に戻って今回学習した内容を生かせること。又タイでの”ものづくり”に貢献できること

今回、個別試験以外はグループ討議での問題解決の方式をとった。

1テスト結果:100%に対して95%

2.テーマ別課題: (1)FA化(ファクトリーオートメイション)の 計画案及び計画保全の保全検討資料を作成した。

5

1.参加者18名の試験の平均点は95% OK

2.テーマ別課題については各テーマの目的に沿った計画案を作成したかを確認、十分、目的にあった計画案であることを確認した。

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第 3章 AHRDIP

ジョイントタスクフォース会合の

協議内容

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第3章 AHRDIPジョイントタスクフォース会合の協議内容

現地で開催されたタスクフォース会合の議事録は以下のとおり。

1.開催概要

日時:2017年3月21日(火) 10:00~12:00

場所:タイ工業省 Permanent Secretary Office Building 3階 Choonhawan Meeting Room

2.出席者

氏名 役職 所属先

Mr. Somchai Harnhirun Permanent Secretary タイ工業省

Mr. Phongnakhorn Yang-ngarm Scientist Professional タイ工業省

Ms. Pimpatchara Kusolvititkul Public Sector Department

Officer

タイ工業省

Ms. Noppamart Chauinukool Director Office of Industrial Economics

Mr. Dusit Anantarak Plan and Policy Analyst Office of Industrial Economics

Ms. Pattamaporn Praipue Plan and Policy Analyst Office of Industrial Economics

Mr. Nara Suankaew Plan and Policy Analyst Office of Industrial Economics

Mr. Chairat Keawdoung Engineer Department of Industrial Promotion

Ms. Somtada Sutting Trade Officer タイ商務省

Ms. Butsara Pradpriaw Trade Officer タイ商務省

Ms. Srisakul Payongsri Second Secretary タイ外務省

Mr. Vichai Jirathiyut President タイ自動車研究所(TAI)

Ms. Kannika Horthiwong Deputy Director タイ自動車研究所(TAI)

Mr. Monthon Suppagumneard Manager タイ自動車研究所(TAI)

Mr. Ekachai Phunmetharid Senior Engineer タイ自動車研究所(TAI)

Ms. Nalada Sanpimolkul General Affairs and

Coordinate Officer

タイ自動車研究所(TAI)

西野 聰 自動車通商政策企画官 経済産業省

辻本 崇紀 Vice President ジェトロバンコク事務所

中野 秀紀 Director ジェトロバンコク事務所

鈴木 太郎 Director ジェトロバンコク事務所

Mr. Phasit Anungsupaitoon Assistant to Director ジェトロバンコク事務所

立石 譲二 専務理事 HIDA

井手 遊 職員 HIDAバンコク事務所

Ms. Jongkol Perksuan Chief Coordinator HIDAバンコク事務所

Ms. Kitsinee Sujirapinyokul Assistant coordinator HIDAバンコク事務所

Mr. Bundit Yongratanasri 通訳

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3.主な内容

(1) 開会(10:07)

Somchai: タイ工業省を代表し、ご挨拶申し上げる。タスクフォース会議に参加できて光栄に

思う。今回の会議では重要な議題について話し合う。西野様には経済産業省から参加いただ

き感謝。議題に入る前に、参加者の自己紹介をお願いしたい。(タイ側参加者、日本側参加

者の順に各自自己紹介。)

(2) 議題の確認

Somchai: 本日の議題はまず前回会議の確認から行う。

(3) 報告事項

①前回(第12回タスクフォース会議)の議事録確認

Vichai: 資料III. 3-1を参照してほしい。P.3は参加者名簿と会議の時間と場所が示されてい

る。P.4にはタイ工業省代表Siriruj氏と経済産業省代表の村上氏の開会挨拶。P.5は前回会議

の議事録の確認、議題の確認、2015年度の成果について確認をした。昨年度は4つのプロジェ

クトがあった。R&D(VA/VE及びBasic)、テスティング、生産(日本のものづくり及びTPS: ト

ヨタ生産方式)、新スキーム(品質管理及び金型)。P.6-7は引き続き各プロジェクトの報告。

P.8は新スキームの説明と参加者のコメント。P.9はジェトロバンコクによる報告。P.10は中

長期計画について。最も強調されたのはFY2016のプロジェクトの内容について。P.11-12はコ

メントとどのようにすればプロジェクトのKPI が達成できるか話し合われた。P.13は会議の

まとめ。

Somchai: 何かコメントや質問はあるか。

Dusit: P.3に日本大使館福岡書記官が欠席と書かれているが、P.4の参加機関の中に日本大使

館の名前が入っている。これは問題ないか。

西野: 名前は入れなくてよい。

②FY2016の研修結果

Monthon: 2016年度の報告を行う。2016年度には3分野の研修が行われた。(ア)R&D (VA/VE

及びBasic)、(イ)テスティング、(ウ)生産(日本のものづくり及びTPS)。

<各事業について>

(ア)R&D分野

R&D (VA/VE)

期間:2016年11月6日~26日

専門家名:小畠正義専門家

トレーナー育成数:20名

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R&D (Basic)

期間:2016年9月25日~10月22日及び2017年1月22日~2月25日

専門名:加茂尚専門家

トレーナー育成数:15名

(イ)生産分野

日本のものづくり

期間:2016年10月2日~29日及び2017年1月22日~2月18日

専門家名:原田英利専門家(前半担当)及び西山達吉専専門家(後半担当)

トレーナー育成数:18名

トヨタ生産方式(TPS)

期間:2016年1月~4月(1期)、5月~8月(2期)、9月~12月(3期)

講師:田中豊氏及びマスタートレーナー8名

トレーナー育成数:42名(1期:13名、2期:14名、3期15名)

指導会社数:42社(1期:13社、2期:14社、3期15社)

(ウ)テスティング分野

期間:2016年9月25日~10月29日及び2016年10月30日~12月17日

専門家名:村橋守専門家(条鋼)及び橋本俊一専門家(薄板鋼)

トレーナー育成数:9名(条鋼6名、薄板鋼3名)

<満足度>

日本のものづくり 原田専門家 93.15%

日本のものづくり 西山専門家 76.69%

R&D (Basic) 加茂専門家 94.28%

R&D (VA/VE) 小畠専門家 92.06%

テスティング 村橋専門家 98.53%

テスティング 橋本専門家 91.76%

Somchai: 達成度が非常に高いことが分かった。

④マスタートレーナー及びトレーナー育成数

Vichai: ジェトロ辻本様から報告をお願いしたい。

辻本: 報告の前に、経済産業省西野企画官からご挨拶申し上げる。

西野: 開会挨拶の機会を逃してしまったので、ここでご挨拶させていただく。

タイにおける自動車産業は、日本にとっても生産拠点・輸出拠点となっており、各社の世界

戦略の一翼を担っている。日本とタイ双方に利益をもたらしており、簡単には揺るがないも

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のと確信している。一方で、タイの国民は豊かになり、アセアン域内の雇用環境も変わって

きている。域内の関税の撤廃や自動車産業自身もEV、自動走行といった変化がみられる中、

タイの優位性を保たなければならないことも理解している。我々は日本でも常日頃からトヨ

タ、ホンダ、日産、三菱、日野等、日本の自動車メーカーと話している。タイに来る前もト

ヨタでアジア統括担当者と話してきた。その中で共通しているのは、前から言われていると

おり、ビジネス環境をきちんと整理してほしい、政治的・法的安定性を保ってほしい、政策

変更がある場合に余裕を持って調整してほしいという要望がよく挙げられる。さらに良質人

材の存在ということで、この意味で自動車産業が集積して、このようなプロジェクトを通じ

て自動車人材の集積が進んでいることを成果と思う。日本企業は得てして短期的な収益のみ

ならず中長期視点で現地の国々の人々に益になるように共存を図る、つまりタイにおいて良

き企業市民になるという姿勢を持っている。そのような姿勢は今後も変わることはない。今

回のタスクフォースで日本側の理解では目標の1,300名達成できたということで、関係者の協

力にお礼申し上げたい。その上でEPAに基づくタスクフォースとしては一つの区切りとなるが、

日本企業においては今後ともタイ政府、工業連盟が行っているAHRDAの事業について有益な参

加をしたいということも聞いている。政府としても、なかなか日本国内でも難しい議論があ

るが、EV政策に関して、日本国内も色々苦労しているところであるが、協力してきたいと考

えている。トヨタが昨年末、会社としてもEV分野に乗り出すと表明したが、今後も世界の流

れになっている。その中で官官や官民の対話を設けて、日本も専門家を派遣したり、こうい

う分野のタイでの取り組みに対して一緒に考えていけたらと考えている。今タイにおいては

EECの開発など色々知恵を絞られて、次の開発・発展に向けて色々と知恵を出されていると聞

いている。日本もこれからもタイと安定的な協力関係をともに築いていけたらと考えている。

辻本:それでは3.3の説明をさせていただく。今年の育成数は279人であった。これまでの育

成数トータルは1,416人となる。日本側としては、先ほど西野企画官から説明があった通り、

目標値1,300人を達成したと考えている。先ほどTAIからプロジェクト詳細については説明が

あったので、説明は省略するが、日本人専門家が育成したトレーナーと、企業のマスタート

レーナーが育成したトレーナーがいる。前者が62人、後者が217人。これまで日系企業がどの

ように関わってきたのか、そして企業ごとの育成数については資料の通り。

Somchai: 質問やコメントはあるか。

Dusit: 今回のプロジェクトで育成されたトレーナー数についてであるが、OIEとしては451

人と確認する。AHRDIPが開始されたのは2012年からであるが、先ほどの日本側の説明の数字

は2006年からスタートした分がカウントされている。

辻本: 過去のタスクフォース会議でも人数のカウント方法について議論があったと承知して

いる。日本側としては、2006年から開始されたAHRDP時代からの育成数をカウントするとし、

日タイ経済連携協定を基に設定された1,300人の人数は今年をもって達成したと考えている。

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Somchai: 私自身OIE時代にJTEPAのチームリーダーを務めており、このプロジェクトについて

はよく知っている。タイ側は、日本側がAHRDPとAHRDIPを通して1,416人のトレーナーを育成

したことを承知する。また、2つ目の事実として、AHRDIPは2012年から2016年まで実施され

たことも申し添える。そして、このプロジェジェクトは2016年度で終了する。

(4) その他

Somchai: その他話し合いたいことはあるか。

Vichai: 本日は AHRDIPの終了日となる。TAIとしてこの事業に協力してもらった日本側であ

る経済産業省、ジェトロ、HIDAに感謝申し上げる。タイ側も事務次官をはじめ各省庁からも

多大な協力を得た。タイ側に説明したいが、日本人専門家は熱心に指導して成果をあげた。

参加企業にとっても、大きく貢献したと思った。先ほどの満足度からもそのことが分かる。

タイの事業者に対して貢献してもらい、日本側に感謝申し上げる。

Somchai: 今回会議に参加していただいた西野様、ジェトロ、HIDA の代表には感謝申し上げ

る。タイに大きく貢献したと考える。このプロジェクトは TAI から常に報告を受けていた。

成果についても感心していた。専門家による専門的で熱心な指導に感謝する。ジェトロと HIDA

には熱心で優秀な専門家を派遣してもらい感謝する。経済産業省に対してもこれからも継続

して一緒に仕事ができることを願っている。先週は日本におり、経済産業省に訪問したばか

り。これからも協力できることを期待する。HIDA には特に感謝申し上げる。これまで 2度ほ

ど訪問させていただいたことがある。HIDA からは何か話すことはあるか。

立石: 16 年前、私はジェトロバンコクの辻本次長のポジションにおり、自動車の巡回指導

のお手伝いをしていた。当時は JICA、ジェトロ、JODC 全ての機関が一緒になって、タイサプ

ライヤーの技術指導をしていた。今回の協力プロジェクトのバックグラウンドのひとつとし

て役立てたことを光栄に思う。今後も HIDA としても皆さまと仕事をしていきたい。

西野: 本日は HIDA からも参加していただいていたため、発言の機会を設けたいと考えてい

たが、うまく発言の機会をいただき感謝。私も HIDA の専門家何人かに会ったが、意気込みの

ある専門家を派遣できたと思っている。はじめにも申し上げたが、日本企業がこれからもタ

イで根付いていく中では、人材育成に寄与していくというのは当然である。タイにおいては

産業高度化を進めるということで、自動車については EVや PHVという自動車が出てくる。日

本もそうだが、EV, PHV を進めていくためには、いまだにいろいろな教訓がある。特に中国

を見ていたら充電インフラが課題になりすぎて、いかに粗悪品を取り除いていくのかが課題

となっている。日本も実は3,4年前は同じような状況だった。規模は多くないが、粗悪な

企業が乱立しておりそれを排除してきた。我々も HIDA のスキームを使って専門家を派遣する

などして、OIEと一緒に取り組んで行きたい。

Somchai: 今回の会議を閉会するが、その前に、タイ側の外務省、OIE、そして日本側の経済

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産業省、日本大使館、ジェトロ、HIDA に感謝する。このプロジェクトは本当に良かったと思

っている。これからも皆さまと一緒に仕事ができることを願っている。(11:06 閉会)

タスクフォース会合の様子① タスクフォース会合の様子②

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配布資料

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第 4章 今年度の状況と今後に向けての提言

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第 4 章 今年度の状況と今後に向けての提言

今年度の指導実施状況と今後の類似事業等への提言を、派遣専門家の指導報告書および帰

国報告会の内容から以下のとおり取りまとめた。

1. 研究開発(R&D)について

VEに初めて接する受講生も多かったが、繰り返し演習を行うことで、受講生の大半がVEを実践

できるようになった。しかし、VEがまだまだ企業に浸透していないので、今後のフォローアップが

必要と考える。VEは実践工学とも言われており、実際に企業に戻って、実践できているかを確

認し、できていなければ、なぜできないのかなどをフォローして、次のレベルにつないでいく必

要がある。受講生を集めて懇談会を開催して、状況把握するなども情報収集の方法として考え

られる。

無償の研修ということもあり、いやいや参加した受講生が今回見受けられた。費用を有償にして、

受講生がトレーナーの資格を取得できれば、受講費用を派遣企業に返却するといった方策で、

受講生の参加意欲と派遣企業の教育意欲を高めるなどをしたらどうか。お金を払っても技術を

身につけたいと思わせるような次のステップも必要。

人材育成を効率よく進めるために今回のような、実務面からの基礎知識向上を忍耐強く継続す

べきで、人材のすそ野を広げる活動が必要。そして、基礎人材から選抜してVA/VEのできる中

級・上級のR&D人材を育成できたらよい。

基礎人材を増やす具体的な方法として、例えば①設計技術、②材料技術、③加工技術から成

る「基礎講座」やその他技術にかかる「一般知識講座」を複数回同一内容で設定し、参加者は

時期や科目を選択して参加が可能な体制を構築する。指導期間を短縮することで、受講者、派

遣元会社ともに負担を軽減することができる。

2.テスティングについて

ほとんどの参加者は非常に熱心に取り組んでいた。演習時間に制約があったが、足りない部分

を自社で実施するなど意欲的だった。一方で、受講生のレベルに差があり、焦点が絞りにくいと

いう問題があった。今後は参加資格、参加姿勢を選別して受け入れるくらいの姿勢が必要と考

える。

途中から会社命令で出張が入り出席できなくなった参加者がいた。本人というより派遣側の会社

の姿勢に問題があり、今後の課題と考える。このような無責任体制を招く一つの要因は本事業

が無償であるためと思われる。むしろ有償にしてもっと重要視した姿勢を促す必要があるのでは

ないか。

今後の課題の一つは底辺拡大である。そのためにはもっと大人数を一堂に会して 1週間くらい

集中的に実施する、あるいはある程度の参加者が集まるのであれば、各企業(企業団地)に出

向いて数日間の指導を行うという方法も考えられる。この場合事前に課題を提出しておいてもら

えばより各企業の問題に密着した講義ができるのではないだろうか。

マスター、ドクターコースの学生も将来のタイの技術を担う人材なので、そのレベルの人にも参

加を呼び掛けてはどうか。

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3.製造技術について

全体の印象としては昨年の受講生よりまじめ(おとなしい)であったが、改善提案でのグループ

討議はいろいろな意見が出て討議も非常に盛り上がった。タイメトロ社の工場見学では社長自ら

が説明に立ち、参加者からの改善提案にも耳を傾けるという非常にオープンなものであった。参

加者からはもう少し短期の研修を望むとの声があった。4~5週間と連続して参加できる人は限ら

れる。

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第 5章

経済連携促進のための産業高度化推進事業

(日タイ経済連携協定に係る自動車人材育成事業)

平成 24~28年度における

委託事業概要

平成 29年 3月

一般財団法人海外産業人材育成協会(HIDA)

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目次

1.事業の背景及び概要 .................................................................................................... 108

2.事業内容 ...................................................................................................................... 108

(1)平成 24年度事業概要 ........................................................................................... 109

(2)平成 25年度事業概要 ............................................................................................ 111

(3)平成 26年度事業概要 ............................................................................................ 113

(4)平成 27年度事業概要 ............................................................................................ 116

(5)平成 28年度事業概要 ........................................................................................... 120

3.指導方針と事業の枠組み ............................................................................................ 122

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1.事業の背景及び概要

1997年 7月のタイバーツ切り下げを端に発したアジア通貨危機後、タイ自

動車産業における人材育成を目的として 1999年にタイ国工業省により自動車

研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)が設立された。2007年 4月

に締結された日タイ経済連携協定(Japan-Thailand Economic Partnership

Agreement : JTEPA)に基づく協力事業の一つとして自動車人材育成機関プロ

ジェクト(Automotive Human Resource Development Institute Project:

AHRDIP)により我が国はこれまで TAIに対する支援を行なっているところ、政

情不安やリーマンショック、2011年の大洪水などの影響を被りながらも東南

アジアの自動車生産拠点としてタイの自動車生産は堅実な拡大を続けている。

一方で、生産拡大に伴う裾野産業技術者の量的・質的不足にかかる問題が顕在

化しており、現地資本を中心とした 1次、2次下請けの部品・加工メーカーの

人材開発は、組立企業側の要請であると同時にタイ国経済の牽引力として中小

企業開発・強化を推進するタイ国政府、とりわけ工業省の重要な政策課題とな

っている。

タイが今後も自動車産業を世界に対して競争力のある産業のひとつとして継

続していくためには、より高度で付加価値の高い技術集約的産業への転換が必

要であるが、そのためには人材の育成が重要といえる。

このような状況に対応するため、自動車人材育成のさらなる拡充が求められ

ており、2011年度に実施された AHRDIPの具体的実施内容に関する実現可能性

調査結果に基づき、タイの自動車部品製造企業の人材育成を行うこととなった。

本事業は、「甘利日本国経済産業大臣とチラペートタイ王国商務大臣の声明

(2007年 3月)」に基づく二国間協力の一つであるタイ自動車人材育成機関プ

ロジェクト(Automotive Human Resource Development Institute

Project(AHRDIP)の協力事業の一部として実施するものであり、タイへ日本人

専門家の派遣を行い、タイの自動車部品製造企業のエンジニアの能力向上を支

援するためのタイ人マスタートレーナーを養成するプログラムを実施するこ

とにより、タイの自動車産業の育成を図ることを目的として平成 24年度から

平成 28年度まで経済産業省の委託事業として実施された。

2.事業内容

平成24年度から平成 28年度の5年間に渡り、研究開発(R&D基礎技術・VA/VE)、

テスティング(材料評価・化学分析・強度分析)、生産準備(マニュファクチ

ャリングに関する能力の向上・製造技術(日本のものづくり))、その他(品質

管理・金型設計)の分野について日本人専門家を延べ 30 名、46 回派遣して、

タイ人マスタートレーナー及びトレーナーを延べ 279名育成した。

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各年度の詳細は次のとおり。

(1)平成 24年度事業概要

研究開発(R&D)、材料評価(テスティング)、生産準備(マニュファクチャリングに

関する能力の向上)分野についてタイ人マスタートレーナー及びトレーナーを育成

するために日本人専門家を派遣した。基礎的な知識・技能・技術については、大

学や公的機関、さらにこれまでの AHRDIP の成果を有効活用しつつ、知識・技能・

技術を上積みさせる要所となる分野について日本人専門家による指導を行った。

①研究開発(R&D):

タイの中小企業のエンジニアの R&D に関する能力の向上を支援するためのトレ

ーナーを養成するプログラム

ア.内 容

製品開発の一部を担うまでに成長しつつあるタイの日系自動車メーカーのニ

ーズに対応するため、タイのローカル部品サプライヤーにも適応が求められてい

るところ、タイのローカル部品サプライヤーのなかで自動車メーカーの行う R&D

活動に直接的に参入できる企業はほとんどなく、また設計能力を有するタイ系サ

プライヤーもほとんどない。さらにタイのローカル部品サプライヤーの VA/VE レ

ベルは他国に比べて低いことや、設計、量産に関してタイ系サプライヤー側から

自動車メーカーに対して提案を行うなどの積極的な対応もほとんど見られないと

の指摘がある。このため、R&D の前提となる品質改善、納期、不良品の解析能

力の向上を図り、VA/VE につながるように 2012 年度前期にはカリキュラムの実

証・改訂を行い、指導テキストを作成する。後期においてはタイ人トレーナーの

育成を行った。

イ.実施対象機関

(a)泰日経済技術振興協会(Technology Promotion Association

(Thailand-Japan) : TPA)

(b)泰日工業大学(Thai-Nichi Institute of Technology : TNI)

(c)Thai Sammit Auto Parts社、Sammitr Motors 社にて実習

②テスティング(材料評価):

タイの中小企業のエンジニアのテスティングに関する能力の向上を支援するた

めのトレーナーを養成するプログラム

Page 112: 平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

110

ア.内容

テスティング分野は、開発品や改良品の形状を確認するための R&D のた

めのテスティングと、品質確認および不良品の発生原因を追求する QA/QC

のためのテスティングに分かれるところ、テスティング結果を分析し、原因追求

まで対応できる人材は限られており、人材育成はこれからの課題である。また

試験自体を外部機関に委託する場合も多く主体的意識は未だ低いとの指摘

がある。

このため、問題解決法や形状・サイズの確認から材料工学、構造力学等に

関する知識を深め、テスティング能力の向上につながるように前期にはカリキ

ュラムの実証・改訂を行い、指導テキストを作成した。後期においてはタイ人ト

レーナーの育成を行った。

イ.実施対象機関

(a)タイ自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)の試験機関

(b)タイ金属研究所(Iron and Steel Institute of Thailand :ISIT)の試験機関

③生産準備:

タイの中小企業のエンジニアのマニュファクチャリングに関する能力の向上を

支援するためのトレーナーを養成するプログラム

ア.内 容

タイが自動車生産の世界戦略上の拠点として位置づけられるにしたがって

世界水準の QCD (Quality, Cost, Delivery)が求められるところ、納期遅れや

工程内不良の発生など点で、QCD レベルは世界水準には至っていない。マ

ニュファクチャリング(製造)に関する業務体系及びそれを支える技能の向上

が、タイの中小企業の競争力強化のために必須となっている。このため、生産

管理や生産計画、生産準備、生産工学等に関する知識を深め、マニュファク

チャリングに関する能力の向上につながるように前期にはカリキュラムの実証・

改訂を行い、指導テキストを作成した。後期においてはタイ人トレーナーの育

成を行った。

イ.実施対象機関

(a)自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

(b)Wichien Dynamic Industry 社、Complete Auto Rubber Manufacturing 社

Page 113: 平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

111

平成 24(2012)年度に育成したトレーナーの人数と派遣概要

専門家名 指導場所 指導分野 指導対象者2012/7/29 2012/9/29 TPA、TNI

2012/10/14 2013/2/16 TPA、企業

岩井 清 2012/7/29 2012/8/11 TAIテスティング

(カリキュラム作成)

橋本 俊一 2012/12/2 2012/12/27 TAI , ISITテスティング(材料評価)

MT2名T6名

安田 晃 2013/1/6 2013/2/1 TAI , ISITテスティング(強度評価)

MT2名T6名

中村 守文 2013/2/3 2013/3/1 TAI , ISITテスティング(科学分析)

MT2名T6名

2012/7/29 2012/8/11 TAI2012/12/2 2013/3/1 TAI、企業

3

2

1MT3名

T5名(OJT2)

MT3名T9名(OJT2名)

R&D

生産準備

派遣期間

鈴木 典男

作間 勇

※用語集略称 正式名称 日本語名称

1 TAI Thailand Automotive Institute タイ自動車研究所2 TNI Thai-Nichi Institute of Technology 泰日工業大学3 TPA Technology Promotion Association (Thailand- Japan ) 泰日経済技術振興協会6 ISIT Iron and Steel Institute タイ鉄鋼研究所9 MT Master Trainer マスタートレーナー

10 T Trainer トレーナー

(2)平成 25年度事業概要

次の 3 分野についてタイ人マスタートレーナー及びトレーナーを育成するために

日本人専門家を派遣した。基礎的な知識・技能・技術については、大学や公的機

関、さらにこれまでの AHRDP の成果を有効活用しつつ、知識・技能・技術を上積

みさせ、要所となる分野について日本人専門家による指導を行った。

①研究開発(R&D・VA/VE):

タイの地場の部品企業のエンジニアの R&D・VA/VE に関する能力の向上を支

援するためのトレーナーを養成するプログラム。

ア.内 容

製品開発の一部を担うまでに成長しつつあるタイの日系自動車メーカーの

ニーズに対応するため、タイのローカル部品サプライヤーにも適応が求めら

れているところ、タイのローカル部品サプライヤーのなかで自動車メーカーの

行う R&D 活動に直接的に参入できる企業はほとんどなく、また設計能力を有

するタイ系サプライヤーもほとんどない。さらにタイのローカル部品サプライヤ

ーのVA/VEレベルは他国に比べて低いことや、設計、量産に関してタイ系サ

プライヤー側から自動車メーカーに対して提案を行うなどの積極的な対応も

ほとんど見られないとの指摘がある。このため、R&D の前提となる品質改善、

納期、不良品の解析能力の向上を図り、VA/VE につながるように前期には

VA/VE の指導テキストを使い座学により講義をし、後期においては現場にお

Page 114: 平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

112

いてタイローカル企業での OJTを行い、タイ人トレーナーの育成を行った。

イ.実施対象機関、OJT先

(a)泰日経済技術振興協会(Technology Promotion Association

(Thailand-Japan) : TPA)

(b)Fortune Parts Industry PCL 社にて実習

②テスティング(化学分析):

タイの中小企業のエンジニアのテスティングに関する能力の向上を支援する

ためのトレーナーを養成するプログラム

ア.内容

テスティング分野は、開発品や改良品の形状を確認するための R&D の

ためのテスティングと、品質確認および不良品の発生原因を追求する

QA/QC のためのテスティングに分かれるところ、テスティング結果を分析し、

原因追求まで対応できる人材は限られており、人材育成はこれからの課題

である。また試験自体を外部機関に委託する場合も多く主体的意識は未だ

低いとの指摘がある。

このため、工程や市場で発生した不具合品の原因究明から再発防止

までをカバーできる化学分析に関する知識を深め、テスティング能力の

向上につながるようタイ人トレーナーの育成を行った。

イ.実施対象機関

(a)タイ鉄鋼研究所(Iron and Steel Institute of Thailand :ISIT)

(b)タイ国立金属材料技術研究センター(National Metal and Materials

Technology Center:MTEC)

③製造技術(生産準備):

タイの中小企業のエンジニアのマニュファクチャリングに関する能力の向上を

支援するためのトレーナーを養成するプログラム

ア.内 容

タイが自動車生産の世界戦略上の拠点として位置づけられるにしたがっ

て世界水準の QCD (Quality, Cost, Delivery)が求められるところ、納期遅

れや工程内不良の発生など点で、QCD レベルは世界水準には至っていな

い。生産準備は受注から生産立上げをつなぐきわめて重要な機能・業務と

Page 115: 平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

113

して位置づけられ、現在多くのタイ中小企業が取得している ISO/TSを基盤

として、自動車産業における顧客の要望とのマッチングをはかり、タイ中小

企業サプライヤーの業務水準の向上、より高度な受注を目指すため、生産

管理や生産計画、生産準備、生産工学等に関する知識を深め、生産準備

に関する能力の向上につながるよう、」前期には指導テキストを用いた座学

での講義、後期においてはタイローカル企業での OJT を行いタイ人トレー

ナーの育成を行った。

イ.実施対象機関、OJT先

(a)自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

(b)N.O.K.Industry Co.,Ltd.社、Siam Senater Co.,Ltd社、SK Polymer

CO.,LTD.社

平成 25(2013)年度に育成したトレーナーの人数と派遣概要

予算

専門家名 橋本 利幸 真柴 勤 作間 勇 河村 恒夫

1回目 派遣開始月 2013年6月9日~7月6日 2013年10月13日~11月9日 2013年9月1日~9月28日 2013年10月6日~11月2日

2回目 派遣開始月 2013年8月12日~9月7日 2013年12月1日~12月28日 2013年12月1日~2014年2月28日 2013年12月1日~12月28日

3回目 派遣開始月 2014年2月9日~3月1日 2014年2月2日~3月1日

合計派遣期間 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 3ヶ月

指導場所 TPA TPA/企業 TAI/企業 ISIT/MTEC

指導内容VA/VEに繋がるR&D

(講義)VA/VEに繋がるR&D

(OJT)生産準備

Testing(化学分析)

育成したMTとTMT3名T10名

MT2名T6名

EPA

MT3名T8名

※用語集

略称 正式名称 日本語名称1 TAI Thailand Automotive Institute タイ自動車研究所2 TPA Technology Promotion Association (Thailand- Japan ) 泰日経済技術振興協会3 ISIT Iron and Steel Institute タイ鉄鋼研究所4 MTEC National Metal and Materials Technology Center タイ国立金属材料技術研究センター

5 MT Master Trainer マスタートレーナー6 T Trainer トレーナー

(3)平成 26年度事業概要

次の 3 分野についてタイ人マスタートレーナー及びトレーナーを育成するために

日本人専門家を派遣した。これまでの AHRDP の成果を有効活用しつつ、知識・技

能・技術を上積みさせ、要所となる分野について日本人専門家による指導を行っ

た。

Page 116: 平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

114

①研究開発(R&D・VA/VE):

タイの地場の部品企業のエンジニアの R&D・VA/VE に関する能力の向上を支

援するためのトレーナーを養成するプログラム。

ア.内 容

製品開発の一部を担うまでに成長しつつあるタイの日系自動車メーカーのニ

ーズに対応するため、タイのローカル部品サプライヤーにも適応が求められてい

るところ、タイのローカル部品サプライヤーの中で自動車メーカーの行う R&D 活

動に直接的に参入できる企業はほとんどなく、また設計能力を有するタイ系サプ

ライヤーもほとんどない。さらにタイのローカル部品サプライヤーの VA/VE レベ

ルは他国に比べて低いことや、設計、量産に関してタイ系サプライヤー側から自

動車メーカーに対して提案を行うなどの積極的な対応もほとんど見られないとの

指摘がある。このため、R&Dの前提となる製品に必要な機能を分析して新しい発

想で製品を作っていくという R&D の発想につながるよう平成 26 年度は VA/VE

基礎講座(コストダウン手法の講義も含む)、VA/VE を適用する際に求められる

自動車用材料の基礎技術、過去の日本企業のVA/VEの適用事例のケーススタ

ディ、タイローカル企業での OJTを実施してタイ人トレーナーの育成を行った。

イ.実施対象機関、OJT先

(a)泰日経済技術振興協会(Technology Promotion Association

(Thailand-Japan) : TPA)

(b)Siam Senater Co.,Ltd.、Sang Charoen Tools Center Co.,Ltd.にて OJT

②テスティング(強度分析):

タイの中小企業のエンジニアのテスティングに関する能力の向上を支援する

ためのトレーナーを養成するプログラム

ア.内容

テスティング分野は、開発品や改良品の形状を確認するための R&D のた

めのテスティングと、品質確認および不良品の発生原因を追求する QA/QC

のためのテスティングに分かれるところ、テスティング結果を分析し、原因追求

まで対応できる人材は限られており、人材育成はこれからの課題である。また

試験自体を外部機関に委託する場合も多く主体的意識は未だ低いとの指摘

がある。

このため座学と実習を交え、素材や部品の強度を評価する試験技術を中

心に破壊の原因となる応力の基礎から、各種強度評価試験の原理、試験結

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115

果の意味、派遣試験後試験片の破面の見方まで強度分析技術を教育し、破

壊品を対象に原因究明から再発防止までをカバーできる強度分析に関する

知識を深め、テスティング能力の向上につながるようにするためタイ人トレー

ナーの育成を行った。

イ.実施対象機関

(a)タイ自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

(b)タイ鉄鋼研究所(Iron and Steel Institute of Thailand :ISIT)

③製造技術(生産準備):

タイの中小企業のエンジニアのマニュファクチャリングに関する能力の向上を

支援するためのトレーナーを養成するプログラム

ア.内 容

タイが自動車生産の世界戦略上の拠点として位置づけられるにしたがっ

て世界水準の QCD (Quality, Cost, Delivery)が求められるところ、納期遅

れや工程内不良の発生など点で、QCD レベルは世界水準には至っていな

い。生産準備は受注から生産立上げをつなぐきわめて重要な機能・業務と

して位置づけられ、現在多くのタイ中小企業が取得している ISO/TSを基盤

として、自動車産業における顧客の要望とのマッチングをはかり、タイ中小

企業サプライヤーの業務水準の向上を目指すため、生産管理や生産計画、

生産準備、生産工学等に関する知識を深め、生産準備に関する能力の向

上につながるようにするため、前期には指導テキストを用いた座学での講義

を、後期においてはタイローカル企業でのOJTを実施してタイ人トレーナー

の育成を行った。

イ.実施対象機関、OJT先

(a)自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

(b)AAPICO Forging Public Co.,Ltd. AAPICO Precision Co.,Ltd.

Pongpara Codan Rubber Co.,Ltd. 、Thaisummit Automotive Co.,Ltd.

にて OJT

Page 118: 平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

116

平成 26(2014)年度に育成したトレーナーの人数と派遣概要

予算

分  野 R&D(VA/VE) 生産準備 テスティング

専門家名 真柴 勤 加茂氏 桑原氏 作間 勇 柳井 博

派遣開始日 2014/07/27 2014/08/31 2014/09/28 2014/08/31 2014/09/28派遣終了日 2014/08/23 2014/09/20 2014/10/4 2014/09/27 2014/10/25

村橋 守派遣開始日 2014/10/19 2014/11/30 2014/11/30派遣終了日 2014/11/15 2015/02/27 2014/12/27派遣開始日 2014/11/30 2015/02/01派遣終了日 2014/12/27 2015/02/28派遣開始日 2015/2/1派遣終了日 2015/2/28

MOU締結先 TPA TPA TPA TAI TAI

指導場所 TPA/企業 TPA TPA TAI/企業 TAI/ISIT/MTEC

指導内容VA/VEに繋がるR&D(VA/VE基礎講義)

VA/VEに繋がるR&D(自動車材料の講義)

VA/VEに繋がるR&D(ケーススタディーの講義)

生産準備に関する指導Testing

(強度分析に関する指導)

育成したMTとTMT2名T20名

MT2名T4名

タイEPA

MT3名T18名

※用語集

略称 正式名称 日本語名称1 TAI Thailand Automotive Institute タイ自動車研究所2 TPA Technology Promotion Association (Thailand- Japan ) 泰日経済技術振興協会3 ISIT Iron and Steel Institute タイ鉄鋼研究所4 MTEC National Metal and Materials Technology Center タイ国立金属材料技術研究センター

5 MT Master Trainer マスタートレーナー6 T Trainer トレーナー

(4)平成 27年度事業概要

次の 4分野についてタイ人トレーナーを育成するために日本人専門家を派遣した。

これまでのAHRDPの成果を有効活用しつつ、知識・技能・技術を上積みさせ、要所

となる分野について日本人専門家による指導を行った。

また 27 年度は、タイ政府工業省よりタイ国立高速テストコース設立・運営に関して、

一般財団法人日本自動車研究所(JARI)のソフト面での協力を要請され、JARI より

推薦された当該分野に専門的な知見を有する 2 名の調査員をタイに出張させ高速

テストコース設立・運営に関する候補地の現状調査、支援・協力ニーズ調査等を行

った。

①研究開発(R&D基礎技術・VA/VE):

タイの地場の部品企業のエンジニアの R&D・VA/VE に関する能力の向上を支

援するためのトレーナーを養成するプログラム。

Page 119: 平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

117

ア.内容

製品開発の一部を担うまでに成長しつつあるタイの日系自動車メーカー

のニーズに対応するため、タイのローカル部品サプライヤーにも適応が求

められているところ、タイのローカル部品サプライヤーの中で自動車メーカ

ーの行う R&D 活動に直接的に参入できる企業はほとんどなく、また設計能

力を有するタイ系サプライヤーもほとんどない。さらにタイのローカル部品サ

プライヤーの VA/VE レベルは他国に比べて低いことや、設計、量産に関し

てタイ系サプライヤー側から自動車メーカーに対して提案を行うなどの積極

的な対応もほとんど見られないとの指摘がある。このため R&D の VA/VE を

進めていく上で前提となる部品の機能、材料、加工工法のような R&D 基礎

技術の講座、また VA/VE 基礎講座(「機能の定義」から「提案書」作成&発

表まで、一連の VE 活動を自主的に実施することで研修の理解度と実践能

力を高める)を実施してタイ人トレーナーの育成を行った。

イ.実施対象機関

(a)泰日経済技術振興協会(Technology Promotion Association

(Thailand-Japan) : TPA)

(b)タイ自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

②テスティング(強度分析):

タイの中小企業のエンジニアのテスティングに関する能力の向上を支援する

ためのトレーナーを養成するプログラム

ア.内容

テスティング分野は、開発品や改良品の形状を確認するための R&D の

ためのテスティングと、品質確認および不良品の発生原因を追求する

QA/QC のためのテスティングに分かれるところ、テスティング結果を分析し、

原因追求まで対応できる人材は限られており、人材育成はこれからの課題

である。また試験自体を外部機関に委託する場合も多く主体的意識は未だ

低いとの指摘がある。

平成 24~26(2012~14)年の研修をする過程でテスティング分野では自

動車部品材料にニーズが高いことがわかり、自動車を構成する材料の約

70%は鉄であり利用される材料の重要性という点ではゆるぎない位置にあ

る。また品目別としては薄鋼板と条鋼とがそれぞれ 55%、17%であり「自動

車に利用される材料」との視点で研修内容を考えた場合、薄鋼板と条鋼に

焦点を絞ることで効果がより広い層へ波及すると期待される。このため座学

Page 120: 平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

118

と実習をまじえ、条鋼に関しては市場で破損した破損品(条鋼部品)の不具

合の原因究明と改善に対応できる人材の育成、薄鋼板に関しては、薄鋼板

に関する金属学的背景や、プレス成形性、適用状況を理解させ、その内容、

材料評価を教えることができるタイ人トレーナーの育成を行った。

イ.実施対象機関

(a)タイ自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

(b)タイ鉄鋼研究所(Iron and Steel Institute of Thailand :ISIT)

③製造技術(日本のものづくり):

タイの中小企業のエンジニアのマニュファクチャリングに関する能力の向上を

支援するためのトレーナーを養成するプログラム

ア.内容

タイが自動車生産の世界戦略上の拠点として位置づけられるにしたがっ

て世界水準の QCD (Quality, Cost, Delivery)が求められるところ、納期遅

れや工程内不良の発生など点で、QCD レベルは世界水準には至っていな

い。コストを低減させ生産性を向上させていくことはタイの中小企業の競争

力強化のために必須となっている。

このため、日本の製造現場における設備トラブルの未然防止や日常の保

全といった事から一般的生産現場で行われている各種の管理方法(品質

管理、安全管理、生産性向上の活動等)についてマニュファクチャリングに

関する能力の向上につながるように座学と演習を交えてタイ人トレーナーの

育成を行った。

イ.実施対象機関

(a)自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

④その他分野

タイの日系企業と取引関係があるタイのローカルサプライヤーが抱える課題

に対して日本人専門家を派遣し、OJTを通じた個社の人材育成ニーズに応じ

たトレーナーを養成するプログラム

(A)品質管理

ア.内 容

鍛造部品を製造し日系企業に納入しているタイローカル企業では、ある

Page 121: 平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

119

程度の品質管理は出来ているものの品質管理部門では体系的な品質管理

手法について理解しておらず、新規部品の品質が安定するまでに長期間か

かる。

また不良発生時の原因追究や改善提案が不十分という問題を抱えてい

た。このためHIDA登録専門家の中から選定した日本人専門家を派遣しQC

7つ道具等の品質管理の講義を座学で行い、現場でのOJTにより品質改善

の指導を行いタイ人トレーナーの育成を行った。

イ.指導実施対象企業

Siam Technic Shimizu Co.,Ltd.

(B)金型設計

ア.内 容

インサート成形に入る金属プレス部品を製造し日系企業に納入してい

る タイローカル企業では、金型や金型部品の設計に関する知識・経験が

非常に乏しい。

このため HIDA 登録専門家から選定した日本人専門家を派遣し、金型

設計をするための基礎工学(金属材料、金型材料、熱処理、加工機械、

プレス機械、付属装置等)等の講義を座学で行い、現場にて実際の現物

を見ながら金型設計技術の指導を行い、タイ人トレーナーの育成を行っ

た。

イ.指導実施対象企業

(a) KPC Precision Co.,Ltd.

(b) CPT Precision Tool Co.,Ltd.

Page 122: 平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

120

2015年度に育成したトレーナーの人数と派遣概要

分  野 R&D(VA/VE) R&D Basic 製造準備(日本のものづくり) テスティング その他(プレス金型設計) その他(品質管理)

専門家名 小畠正義(2015W5089A) 加茂尚(2015W5094A) 原田 英利(2015W5093A) 村橋 守(2015W5096A) 川村 明(2015W5154A) 野口 武行(2015W5155A)

派遣開始日 2015/9/20 2015/8/30 2015/10/18 2015/11/8 2016/1/16 2016/1/9

派遣終了日 2015/10/10 2015/10/2 2015/11/14 2015/12/5 2016/2/27 2016/3/5

派遣期間 3週間 5週間弱 4週間 4週間 約6週間 約8週間

専門家名 小畠正義(2015W5089B) 加茂尚(2015W5094B) 関 史亨(2015W5097A) 橋本 俊一(2015W5092A)

派遣開始日 2015/11/29 2015/11/1 2016/1/10 2016/1/10

派遣終了日 2015/12/19 2015/12/1 2016/2/6 2016/2/20

派遣期間 3週間 4週間強 4週間 6週間

MOU/MOM締結先

TPA TAI TAI TAI TAI TAI

指導場所 TPA / TAI TAI TAI TAI / ISIT TAI/①Siam Technic Shimizu co.,Ltd.TAI/①KPC Co.,Ltd/ ②CPTPRECISION TOOL Co.,LTD.

指導内容 R&D(VA/VE基礎講義)VA/VEに繋がるR&Dの基礎(加工、設計、材料の講義)

日本のものづくり品質管理、設備保全

Testing(材料・強度分析に関する指導)

プレス金型の設計、効率的なプレス金型製造に関する技術指導

自動車用鍛造部品における品質管理に関する技術指導

育成トレーナー(T)数 27名 18名 23名 10名 6名 8名

1回目

2回目

タイEPA

※用語集

略称1 TAI2 TPA3 ISIT4 T

Iron and Steel Institute

Trainer

正式名称Thailand Automotive InstituteTechnology Promotion Association (Thailand- Japan )

(5)平成 28年度事業概要

次の 3分野について日本人専門家を派遣し、タイ人トレーナーを育成した

①研究開発(VA/VE及び R&D一般(基礎)):

タイの自動車部品製造企業のエンジニアの R&D・VA/VE に関する能力の向上を

支援するためのトレーナーを養成するプログラム

ア、内 容

タイの日系自動車メーカーは、製品開発の一部を担うまでに成長しつつあり、

ローカル部品サプライヤーにも対応能力向上が求められている。しかし、自動

車メーカーの行う R&D 活動に直接的に参入でき、設計能力を有するローカル

部品サプライヤーはほとんどない。また、ローカル部品サプライヤーの VA/VE

レベルは他国に比べて低く、設計、量産についても自動車メーカーに提案を行

う等の積極的な取り組みが見られないとの指摘がある。このため、R&D の

VA/VE を進めていく上で前提となる部品の機能、材料、加工工法のような R&D

基礎技術の講座、また VA/VE 基礎講座(「機能の定義」から「提案書」作成およ

Page 123: 平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

121

び発表まで、一連の VE 活動を自主的に実施することで研修の理解度と実践能

力を高める)を実施してタイ人トレーナーの育成を行った。

イ、実施対象機関

(a)タイ自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

②テスティング(条鋼部品及び薄鋼板):

タイの中小企業のエンジニアのテスティングに関する能力の向上を支援するため

のトレーナーを養成するプログラム

ア、内容

テスティング分野は、開発品や改良品の形状を確認することを目的とした R&

D のためのテスティングと、品質確認および不良品の発生原因を追求する

QA/QCのためのテスティングに分けられる。テスティング結果を分析し、原因追

求まで対応できる人材は限られており、人材育成は今後の課題である。また試

験自体を外部機関に委託する場合も多く、主体的意識は未だ低いとの指摘が

ある。

2012~14 年度の研修過程で、自動車部品材料におけるテスティングのニー

ズが高いことが判明した。鉄は自動車を構成する材料の約 70%であり、利用さ

れる材料の重要性という点ではゆるぎない位置にある。また品目別では薄鋼板

と条鋼とがそれぞれ 55%、17%を占めることから、「自動車に利用される材料」

の視点で研修内容を考慮した結果、2015 年度より条鋼部品と薄鋼板に焦点を

絞ってテスティングの研修を実施することとなった。

今年度も座学と実習を交えて、条鋼部品に関しては市場で破損した破損品

(条鋼部品)の不具合の原因究明と改善に対応できる人材の育成、薄鋼板に関

しては、薄鋼板に関する金属学的背景や、プレス成形性、適用状況を理解させ、

その内容、材料評価を教えることができるタイ人トレーナーの育成を行った。

イ、実施対象機関

(a)タイ自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

(b)タイ鉄鋼研究所(Iron and Steel Institute of Thailand:ISIT)

③製造技術(日本のものづくり):

タイの中小企業のエンジニアのマニュファクチャリングに関する能力の向上を

支援するためのトレーナーを養成するプログラム

Page 124: 平成 28 年度 経済連携促進のための産業高度化推進 …4 イ人トレーナーの育成を行った。 ②実施対象機関 (ア)タイ自動車研究所(Thailand

122

ア、内 容

タイが自動車生産のグローバルな拠点として位置づけられると、世界水準の

QCD (Quality, Cost, Delivery)が求められるようになる。しかし、納期遅れや工

程内不良の発生等のため、QCD レベルは世界水準には至っていない。コスト

低減や生産性向上は、タイの中小企業の競争力強化のために必須となってい

る。

このため、日本の製造現場における設備トラブルの未然防止や日常の保全と

いった事項から、一般的に生産現場で行われている各種の管理方法(品質管

理、安全管理、生産性向上の活動等)について、マニュファクチャリングに関す

る能力の向上につながるように座学と演習を交えてタイ人トレーナーの育成を

行った。

イ、実施対象機関

タイ自動車研究所(Thailand Automotive Institute:TAI)

平成 28(2016)年度に育成したトレーナーの人数と派遣概要

分  野 R&D(VA/VE) R&D Basic 製造技術(日本のものづくり) テスティング(条鋼) テスティング(薄鋼板)

専門家名 小畠正義 加茂尚 原田 英利 村橋 守 橋本 俊一

派遣開始日 2016/11/6 2016/9/25 2016/10/2 2016/9/25 2016/10/30

派遣終了日 2016/11/26 2016/10/22 2016/10/29 2016/10/29 2016/12/17

派遣期間 3週間 4週間 4週間 5週間 7週間

専門家名 加茂尚 西山 達吉

派遣開始日 2016/1/22 2017/1/22

派遣終了日 2016/2/25 2017/2/18

派遣期間 5週間 4週間

MOU/MOM締結先

TAI TAI TAI TAI TAI

指導場所 TAI TAI TAI TAI / ISIT TAI / ISIT

指導内容 VA/VE提案R&Dを進めていくにあたり、

必要となる知識・手法

日本の生産現場で行われている管理手法(品質管理、安全管理、生産性向上活動、設

備点検等)

スチール(条鋼)のテスティング手法

スチール(シート)のテスティング手法

育成トレーナー(T)数 20名 15名 18名 6名 3名

1回目

2回目

タイEPA

*TAI: Thailand Automotive Institute

*ISIT: Iron and Steel Institute

3.指導方針と事業の枠組み

本事業は、タイ系部品メーカーのトレーナーを育成する事業であり、専門家

が指導するにあたってはテキストにより座学・理論を教えるとともに、実例・

演習・OJTも適宜取り込んだ指導方法を取った。

また、プロジェクトを進めていく上では、タイのカウンターパートである

TAI(タイ自動車研究所)等、現地日本大使館、JETROバンコク事務所、HIDA

バンコク事務所、盤谷日本人商工会議所等関係団体等との連携を図りながらプ

ロジェクトを実施した。

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以上

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2017 年 3 月

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