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平成 30 年度 経済産業省委託 石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業 (高圧ガス取扱施設における事故事例等を教訓とした 教育の高度化に関する調査研究) 1)リスクアセスメント普及のための調査・研究 平成 31 3 高圧ガス保安協会

平成 30 年度 経済産業省委託 石油・ガス供給等に係 …平成 30年度 経済産業省委託 石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業 (高圧ガス取扱施設における事故事例等を教訓とした

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平成 30年度 経済産業省委託

石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業

(高圧ガス取扱施設における事故事例等を教訓とした

教育の高度化に関する調査研究)

1)リスクアセスメント普及のための調査・研究

報 告 書

平成 31年 3月

高圧ガス保安協会

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目 次

Ⅰ.事業概要

1. 事業目的 ······································•••···············••••• Ⅰ-1

2. 事業内容 ··························································••• Ⅰ-1

3. 委員会構成 ···················································•••••••· Ⅰ-2

4. スケジュール ·······························•••••••··················· Ⅰ-3

Ⅱ.リスクマネジメント及びリスクアセスメントを推進している事業所の実態調査

1. 目的 ·······························••·••·••••··················· Ⅱ-1

2. 調査内容 ··························································••• Ⅱ-1

3. 調査結果 ··························································••• Ⅱ-4

4. 調査結果のまとめ ·······························•••••••··············· Ⅱ-22

Ⅲ.リスクアセスメントによる事故防止効果の具体例の作成

1. 目的 ···································••···•••··•••••••············ Ⅲ-1

2. 検討方針 ·······························•••···•••··•••••••··········· Ⅲ-1

3. 検討内容 ·······························•••············••············ Ⅲ-1

4. 検討結果 ·····································•••···•••••············ Ⅲ-5

5. まとめ ·······································•••···•••••············ Ⅲ-11

Ⅳ.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの促進のための指標

1. 目的 ···································••···•••··•••••••············ Ⅳ-1

2. リスクマネジメント及びリスクアセスメントの促進のための指標構築標作成方針 Ⅳ-1

3. 高圧ガス分野におけるリスクアセスメントに関する資格制度のあり方について • Ⅳ-4

Ⅴ.まとめ ··········••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••••• Ⅴ-1

Ⅵ.添付資料

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Ⅰ- 1

Ⅰ.事業概要

1. 事業目的

高圧ガスは、石油精製や石油化学等の産業で用いられるほか、一般家庭に燃料を共

有用としてLPガスが用いられるなど幅広い用途で使用されている。その特性を認識

せず、正しく取り扱わなかった場合は災害が発生する恐れがある。そのため高圧ガス

保安法でその製造、貯蔵、販売、移動その他取扱及び消費並びに容器の製造及び取扱

を規制しているところであるが、最近の高圧ガス事故をみると、高圧ガスを取り扱う

者がその特性を認識していない恐れがある。

現状の高圧ガス取扱施設におけるリスクアセスメントの実施状況は、認定保安検査

実施者やコンビナート等保安規則が適用される事業者などを中心に普及しているが、

中小規模の事業所では十分に理解されず、導入しているところが少ない状況にある。

また、リスクマネジメントも、リスクアセスメントが行わなければ実施されることは

ないため、中小規模の事業所で取り扱われている高圧ガス取扱施設のリスク低減施策

の実施も不十分である。

本事業は上記の状況を踏まえ、以下の事業を行うことにより高圧ガスにおける啓蒙

の高度化の実現及び高圧ガス取扱施設を有する事業者がリスクアセスメント等に取り

組みやすくする環境を醸成することを目的とした。

2. 事業内容

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントを推進している事業所の実態調査

リスクアセスメントに取り組む際に、基礎的な事項や実施方法を紹介する講習会は

開催されているものの、実際に高圧ガス取扱施設に係る他社のリスクアセスメント実

施事例を知る機会はほぼ無い。また、リスクマネジメント実施事例も同様にその内容

について知る機会はない状況である。

高圧ガス取扱施設において実際に取り組んでいるリスクマネジメント及びリスクア

セスメントの事例について、10事業所程度に対し、現地ヒアリング等により以下の

実態調査を行い、網羅的なリスクアセスメントが可能となるマニュアルの作成を行っ

た。

・ ハザードの特定を行う際に参考とした資料や、リスクマネジメント及びリスクアセ

スメントにおいて実際に使用した判断基準とその判断基準の背景

・ 高圧ガスのプロセスにおいて実施したリスクマネジメント及びリスクアセスメン

トの具体例

② リスクアセスメントによる事故防止効果の具体例の作成

リスクアセスメントを導入していない事業者が自社の高圧ガス設備等に対してリス

クアセスメントを行う際の一助とするため、リスクアセスメントによる事故防止効果

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Ⅰ- 2

の具体例を挙げる資料を作成した。

作成資料は、過去に発生した高圧ガス事故の発生シナリオを分析し、危険源の特定

までの要素及び危険源を排除する対策・措置を明確にしたハザードリストとした。

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの促進のための指標

リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施するにあたり、中小規模施設を

有する事業所と大規模施設を有する事業所では、従業者に対する教育内容について基

礎的要素は共通と考えられるものの、対応する組織、人員、取り扱うプロセス等から

異なる。

本年度は事業所規模に応じて、リスクマネジメント及びリスクアセスメントの推進

に必要な体系化された指標を構築し、導入していない事業者等の参考となる資料を作

成した。

さらに、客観的なリスクアセスメントに対する力量の評価を行う資格制度のあり方

についても検討を行った。

3. 委員会構成

本検討にあたっては、リスクアセスメント普及調査検討委員会を設置し、調査内容の

検討を行った。表Ⅰ-1 に本委員会の委員および事務局を示す。

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Ⅰ- 3

表Ⅰ-1 リスクアセスメント普及調査検討委員会委員名簿

(順不同、敬称略)

氏名 所属・役職

委員長 小林 英男 東京工業大学 名誉教授

高圧ガス保安協会 参与

委員 澁谷 忠弘 国立大学法人横浜国立大学

准教授

委員 高木 伸夫 有限会社システム安全研究所

所長

委員 椋木 伴弘 JXTGエネルギー株式会社 製造本部 製造部

プロセス技術グループマネージャー (石油連盟)

委員 永松 茂樹 一般社団法人日本化学工業協会 環境安全・RC担当

常務理事

委員 出村 公明 旭化成株式会社 環境安全部

部長 (石油化学工業協会)

委員 岡田 恵二 一般社団法人日本産業・医療ガス協会

常務執行役員

委員 石井 高 株式会社ジャパンガスエナジー 環境安全室

マネージャー (日本LPガス協会)

委員 大友 仁二 出光興産株式会社

製造技術部 技術研修センター

事務局:

高圧ガス保安協会 教育事業部

及川 裕幸、長沼 充祥、中山 隆、木村 勝之、熊谷 力(下線は平成30年10月から)

4. スケジュール

本事業は表Ⅰ-2 に示すスケジュールで検討し、リスクアセスメント普及調査検討委員

会を年3回開催し、取りまとめた。

第 1 回委員会 平成 30 年 10 月 3 日(水)

第 2 回委員会 平成 31 年 2 月 1 日(金)

第 3 回委員会 平成 31 年 3 月 12 日(火)

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Ⅰ- 4

表Ⅰ-2 検討スケジュール

分類 作業内容

委員会 ★ ★ ★

① 計画

② ヒアリング項目調整

③ ヒアリング

④ まとめ

リスクマネジメント及びリスクアセスメントを推進している事業所の実態調査

リスクアセスメントによる事故防止効果の具体例の作成

リスクマネジメント及びリスクアセスメントの促進のための指標構築

① 計画

② 事故事例調査

④ リスク資格制度のあり方

③ ハザードリスト作成

① 計画

② 指標構築

③ リスク資格制度調査

8月 3月9月 10月 11月 12月 1月 2月

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-Ⅱ-1 -

Ⅱ.リスクマネジメント及びリスクアセスメントを推進している事業所の実態調査について

1.目的

リスクアセスメントに取り組む際に、基礎的な事項や実施方法を紹介する講習会は開

催されているものの、実際に高圧ガス取扱施設に係る他社のリスクアセスメント実施事

例を知る機会はほぼ無い。また、リスクマネジメント実施事例も同様にその内容につい

て知る機会はない状況である。

そのため、高圧ガス取扱施設において実際に取り組んでいるリスクマネジメント及び

リスクアセスメントの事例について実態調査を行い、網羅的なリスクアセスメントが可

能となるマニュアルの作成を行った。

さらに、リスクアセスメントを実施していない、または導入開始したばかりの経験の

浅い中小の事業所に対してもヒアリング調査を行い、リスクアセスメントを導入する際

の課題、問題点等を抽出した。

2.調査内容

(1)調査対象事業者

調査は、リスクマネジメント及びリスクアセスメントに積極的に取り組んでいる事

業所を各業界団体に推薦していただき、事業者へ直接訪問してヒアリングを実施した。

また、業界団体からの推薦事業所以外にも、中小の事業所を中心にリスクアセスメ

ントを導入するにあたっての課題等のヒアリングを実施した。(表Ⅱ-1 H事業所、

I事業所、J事業所が該当。)

ヒアリングを実施した事業所概要を表Ⅱ-1に示す。

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-Ⅱ-2 -

表Ⅱ-1 ヒアリングを実施した事業所概要一覧表

事業所名 業種 主な適用規則 従業員数

A事業所 石油精製・石油化学 コンビナート保安規則 約800名

B事業所 石油精製・石油化学 コンビナート保安規則 約1,000名

C事業所 石油化学 コンビナート保安規則 約920名

D事業所 石油化学 一般高圧ガス保安規則 約1,200名

E事業所 石油化学 コンビナート保安規則 約220名

F事業所 産業ガス コンビナート保安規則 約50名

G事業所

産業ガス

一般高圧ガス保安規則

約10名,約40名

(2カ所)

H事業所

LPガス関係事業所

(2次基地)

コンビナート等保安規則

液化石油ガス保安規則

約20名

I事業所

LPガス関係事業所

(充塡所)

液化石油ガス保安規則

約60名

J事業所 充塡所及び容器再検査所 一般高圧ガス保安規則 約40名

(2)調査項目

調査項目は、各事業所共通の内容を、事前に事業所へ送付してヒアリングを実施し

た。

リスクアセスメント推進事業者への各ヒアリング調査項目を以下に示す。

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施状況

A) 企業・事業所のトップ(経営層)が、リスクマネジメント及びリスクアセスメントに

ついて、どのような認識をもって企業経営を行っていますか。

B) 貴事業所(貴社)では、各種反応工程や高圧ガスの製造の工程に対する火災、爆発な

どのプロセス事故に関するリスクアセスメントを実施していますか。

C) 貴事業所(貴社)では、労働安全衛生法第57条の3の規定に基づくリスクアセスメン

トについて実施していますか(事業所で対象物質を扱っているかどうか)。

D) 貴事業所(貴社)は、ISO 9001:2015もしくはISO 14001:2015の認証を取得してい

ますか?また、取得している場合、要求事項とされている『6.1 リスク及び機会へ

の取組み』について、どのような事を行っていますか。

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-Ⅱ-3 -

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントの具体的な運用方法について

※1 リスクマネジメントの構成プロセスは、基本的

に右図と考え調査を行うが、異なる点があれば

確認(リスクアセスメントにリスクの低減対策

まで含む 等)

※2 設備・設計部門、運転(製造)部門、保全部門

のそれぞれについて確認(異なる点がなければ

その確認のみ)

※3 上記※1及び2に関しては、以下同様

A) 貴事業所(貴社)で実施しているリスクマネジメント及びリスクアセスメントの全体

構成(例:リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施のフロー図 等)

B) 貴事業所(貴社)で実施しているリスクマネジメント及びリスクアセスメントに取り

組むきっかけ(例:事故の発生、親会社からの依頼 等)

C) 貴事業所(貴社)で実施しているリスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の

頻度及びタイミング(例:新規設備の導入時、温度条件の変更時 等)

D) 貴事業所(貴社)におけるリスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施体制

(例:直長をリーダーとして運転員で実施 等)

E) 貴事業所(貴社)におけるリスクマネジメント及びリスクアセスメントの対象設備及

び対象選定の考え方(例:高圧ガス保安法対象設備 等)

F) 貴事業所(貴社)で実施しているリスクマネジメント及びリスクアセスメント手法及

びその手法の選定理由(例:定常時はHAZOP手法を用い非定常時はWhat-if手法を用い

る。その理由 等)

G) リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の貴社・貴事業所内での手続き等

(例:社内体制を構築する際の指示命令(決定)系統、結果に対する社内への周知、

結果に対するレビューの有無・レビューする場合、担当者、担当部署 等)

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の資料等について

A) ハザードの特定を行う際に参考とした資料(例:作業員からのヒアリング、自社及び

他事業所の事故事例 等)

B) リスクマネジメント及びリスクアセスメントにおいて実際に使用した判断基準及び

判断基準の背景(例:影響の大きさの評価基準、発生可能性の評価基準、リスクマト

リックス、リスクレベルの許容基準における考え方 また、評価基準の見直し周期

等)

C) リスクアセスメント結果に基づいたリスクマネジメントによる設備等の対策例(例:

設備改善や規程基準類の改正 等)

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-Ⅱ-4 -

④ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

A) 貴事業所(貴社)においてリスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施したこ

とによって得られた効果

B) 貴事業所(貴社)でリスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施した際の成功

要因

C) リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に必要と考えられる事項

D) より効率的なリスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施するのに必要と考

えられる事項

E) リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に悩んだ点、失敗例(例:行き詰

まった点、うまく実施できなかった点 等)

F) リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する教育体制について

1) 対象者

(例:年代別、手順別担当者(ハザード特定、リスク解析、リスク評価 等)

2) 教育内容・方法

(例:事業所内でのケーススタディ、外部講習会・セミナー等への参加 等)

一方、今後リスクアセスメントを普及させるための課題等について、中小の事業所を中

心にヒアリングを実施した項目は以下のとおり。

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントに対する認識

A) リスクマネジメント及びリスクアセスメントの内容に関する認識の有無

B) 特定物質を取り扱っている場合の労働安全衛生法第57条の3の規定に基づくリスクア

セスメント実施の有無

C) ISO 9001:2015もしくはISO 14001:2015認証の有無

② リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施に対する課題

A) リスクマネジメント及びリスクアセスメントの導入計画の有無

B) リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施する上での課題

C) リスクマネジメント及びリスクアセスメントの代替措置

3.調査結果

表Ⅱ-1に示す事業所について、リスク推進事業所の調査結果の概要を表Ⅱ-2-1

~表Ⅱ-2-7に示す。各事業所の調査内容の詳細は添付資料Ⅱ-1を参照。

併せて、中小の事業所を中心に、リスクマネジメント及びアセスメント普及のための

課題をヒアリングした結果を表Ⅱ-2-8~表Ⅱ-2-10に示す。各事業所の調査内

容の詳細は添付資料Ⅱ-2を参照。

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-Ⅱ-5 -

表Ⅱ-2-1 調査概要(A事業所)

A事業所

高圧ガス保安法適用規則 コンビナート事業所

業種 石油精製・石油化学事業所

① 経営層の認識 ・トップがリスクアセスメントの重要性を強く認識

② プロセスに関するリスクアセスメント実施の有無

・操業管理システムを適用し、社内規程に基づき実施

③ 労働安全衛生法に関するリスクアセスメントの実施

・取り扱っている全ての化学物質で実施

④ ISO 9001:2015もしくはISO 14001:2015の認証取得の有無

・取得済

2.具体的な運用方法

① 全体構成 ・『リスクアセスメント基準』を規定し、体制や対象等を定めている。・構成は「既設設備に対するアセスメント」と「新設・改造・変更時のアセスメント」に大別される。

② 実施のきっかけ ・連続して発生した事故の改善策として導入

③ 実施頻度及びタイミング ・既存設備は10か年計画を作成して実施。新設・改造・変更時はプロジェクトごとに実施

④ 実施体制 ・リスクアセスメント実行責任者を定め、各組織から資格要件を満たす3~6名を任命してチームを構成・フォローアップについても、リスクアセスメント実行責任者がフォローアップ責任者となりフォロー

⑤ 対象設備及びその対象選定の考え方

・既存の全装置について網羅的に実施・実施周期は各装置の危険度を3段階に分けて設定

⑥ リスクアセスメント手法 ・網羅性を確保するために様々な手法を適用

⑦ 事業所における実施手続きの流れ

・フォローアップ責任者は、発掘したリスク内容とフォロー内容について関係者へ報告するとともに、リスクレベルに応じた承認者の承認を得る。・また、その内容は、セーフティ・アドバイザーによって妥当性が検証される。・リスク内容,リスク対策及び対策期限は会議で説明・報告され、リスクの周知が図られる。・日常工事/作業では、危険源の発掘を目的にリスクのスクリーニング・プロセスが導入され、資格を持ったリスク・スクリーナーが潜在リスクを評価し、必要に応じてリスクアセスメントを実施する。

1.実施状況

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-Ⅱ-6 -

(続き)

A事業所

高圧ガス保安法適用規則 コンビナート事業所

業種 石油精製・石油化学事業所

3.実施時の資料等

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

・HAZOPチェックリスト、ガイドワード集・事故・ニアミス事例・従業員・作業員からのヒアリング・CCPS Beacon (CCPS:米国化学プロセス安全センター)・業界団体の事故情報 等

② 判断基準及び判断基準の背景

・リスクレベルは、リスク・カテゴリーを4段階に分類したマトリックス表に基づき判定している。・リスクレベルに応じてリスク対策の承認者を定め、その解決策を実行し、解決策完了までの運転継続についても承認を得るシステムとしている。

③ 設備等の対策例 ・タンクのBLEVE対策として、球形タンク防液堤内のバルブ移設・ペービング工事実施

4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① 実施による効果 ・20年以上プロセスに関する大規模な事故が発生していない。

② 成功要因 ・トップマネジメントの理解・安全に対する投資基準の整合化

③ 実施の必要事項 ・リスクマネジメントに対する経営トップから従業員に至るまでの意識統一・社内安全設計基準の整合化と教育・十分なリソースの確保

④ 効率的な実施方法 ・HAZOPリーダーの育成・リソースの確保

⑤ 実施時に悩んだ点、失敗例

・網羅性を上げるための投入するリソースが重要

⑥ 教育体制

  1) 対象者 ・社内規定により社内資格を設けている。

  2) 教育内容・方法 ・本社のセーフティ・スペシャリストや事業所のセーフティ・アドバイザーにより実施。・再教育にはe-ラーニングも使用。

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-Ⅱ-7 -

表Ⅱ-2-2 調査概要(B事業所)

B事業所

高圧ガス保安法適用規則 コンビナート等保安規則

業種 石油精製・石油化学

① 経営層の認識 ・安全、保安の最重要課題として認識して方針に掲げ、社内委員会にて経営層及び外部有識者にリスクマネジメントに関する報告を行い、課題を共有化している。

② プロセスに関するリスクアセスメント実施の有無

・中長期計画を策定しており、これに沿って実施中

③ 労働安全衛生法に関するリスクアセスメントの実施

・対象物質を採用する際に実施

④ ISO 9001:2015もしくはISO 14001:2015の認証取得の有無

・取得済

2.具体的な運用方法

① 全体構成 ・社内要領で体系の概念を規定

② 実施のきっかけ ・2000年以前から実施していたが、2003年の他事業所で発生した事故を契機に強化

③ 実施頻度及びタイミング ・設備の新設時・既存の設備や運転条件等の変更時

④ 実施体制 ・設備担当課長が統括者として担当者を選任し、検討チームを編成

⑤ 対象設備及びその対象選定の考え方

・変更管理や非定常操作等におけるリスクアセスメントは全ての設備を対象・中長期計画では危険性の高い設備から優先的に実施

⑥ リスクアセスメント手法 ・場面や業務によってHAZOP、What-if、チェックリスト等を使い分けている。

⑦ 事業所における実施手続きの流れ

・影響度によって、承認レベルを分けている

1.実施状況

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-Ⅱ-8 -

(続き)

B事業所

高圧ガス保安法適用規則 コンビナート等保安規則

業種 石油精製・石油化学

3.実施時の資料等

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

・主にチェックリストを使用

② 判断基準及び判断基準の背景

・各業務統一したリスク評価を行うため、リスクマトリクスの見直しを進めている。

③ 設備等の対策例 ・水素関連設備における遮断弁の設置

4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① 実施による効果 ・1つの手法だけでは、網羅的に確認することができない。様々な手法を組み合わせて実施することが重要

② 成功要因 ・リスクアセスメントを実施する前から、危険なことがないかを考えて実行してきたため、スムーズに導入できた。

③ 実施の必要事項 ・どれだけ事故シナリオをイメージできるか想像力が必要

④ 効率的な実施方法 ・対象装置や各機器の設計根拠等、各機種やプロセスに精通した人材が必要

⑤ 実施時に悩んだ点、失敗例

・解析結果の統一性

⑥ 教育体制

  1) 対象者 ・リスクアセスメントの承認者である各課役職者と実施者

  2) 教育内容・方法 ・社外講師による講習会

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-Ⅱ-9 -

表Ⅱ-2-3 調査概要(C事業所)

C事業所

高圧ガス保安法適用規則 コンビナート事業所

業種 石油化学事業所

① 経営層の認識 ・高圧ガス保安対策本部長が定めている保安管理の基本方針に、危険性を評価して危険性の除去・低減対策の実行が明記されている。

② プロセスに関するリスクアセスメント実施の有無

・定常HAZOPは2006年、非定常HAZOPは2015年に開始、緊急停止(ESD)HAZOPは2016年に完了。・現在は手順HAZOP(スタートアップ/シャットダウン)を試行し、2021年に完了予定。

③ 労働安全衛生法に関するリスクアセスメントの実施

・対象物質を使用しているため実施

④ ISO 9001:2015もしくはISO 14001:2015の認証取得の有無

・取得済

2.具体的な運用方法

① 全体構成 ・JISの定義と同等の考え方で構成しており、業務フローや手順フローを定めている。

② 実施のきっかけ ・認定事業所の要求事項に追加されたことから実施

③ 実施頻度及びタイミング ・社内規程にて、定期見直しの頻度及び実施のタイミングが定められている。

④ 実施体制 ・社内規程において、リーダーの資格要件や参加メンバーを規定している。

⑤ 対象設備及びその対象選定の考え方

・高圧ガス製造施設、危険物施設、一圧・ボイラー施設

⑥ リスクアセスメント手法 ・社内規程において、プロセスの安全性評価結果から、危険度が高いものはHAZOP、比較的低いものはHAZOPもしくは簡便法で実施することが規定されている。

⑦ 事業所における実施手続きの流れ

・設備変更時のリスクアセスメントは、社内規程に実施時のメンバー、資料等も規定しており、フローに従い実施される。

1.実施状況

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-Ⅱ-10 -

(続き)

C事業所

高圧ガス保安法適用規則 コンビナート事業所

業種 石油化学事業所

3.実施時の資料等

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

・社内外のトラブル事例・設計思想集、マニュアル・異常反応等洗い出しチェックシート・インターロックシステムの機能確認シート・可燃物との混合による発火・爆発危険性を有する物質一覧

② 判断基準及び判断基準の背景

・KHKリスクアセスメント・ガイドラインver.2および社内安全性評価マニュアルを参考に、影響度レベル、発生頻度レベル、リスクマトリックス、判断基準等を社内規程で定めている。

③ 設備等の対策例 ・逆流防止のチェッキ弁取り付け・異常時のインターロック設置・運転操作マニュアルに安全設備の背景を盛り込む・リスクアセスメント結果を教育資料として活用

4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① 実施による効果 ・保安防災上のポイントの理解向上・運転員の力量が向上・異常に対するポイントや許容時間等が明確になり、訓練に反映

② 成功要因 ・優れた社内マニュアルを整備するのみならず、現場の日常作業に組み込み実施・経営陣の安全に対する意識が強い・種々の情報を参考にリスクアセスメント実施の改善を実施

③ 実施の必要事項 プロセス全体を把握していることは言うまでもないが、リスクアセスメントの手法について講習会の受講などによりきちんと理解していることも必要である。

④ 効率的な実施方法 リスクアセスメント検討チームリーダーの知識と知見が重要

⑤ 実施時に悩んだ点、失敗例

網羅性が不明

⑥ 教育体制

  1) 対象者 ・ HAZOP:交替リーダー以上・ 保安防災技術伝承活動:部課長以上、技術スタッフ、環境安全課員

  2) 教育内容・方法 ・ HAZOP:外部講習会受講、社内の講習機関での講習会・ 保安防災技術伝承活動:全社OJT教育

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-Ⅱ-11 -

表Ⅱ-2-4 調査概要(D事業所)

D事業所

高圧ガス保安法適用規則 一般高圧ガス保安規則

業種 石油化学

① 経営層の認識 ・役員が委員長を務めるリスク管理委員会を開催し、リスクを評価、リスク対策等を検討

② プロセスに関するリスクアセスメント実施の有無

・HAZOP、FMEA等の手法を用いて実施

③ 労働安全衛生法に関するリスクアセスメントの実施

・実施

④ ISO 9001:2015もしくはISO 14001:2015の認証取得の有無

・取得済

2.具体的な運用方法

① 全体構成 ・設備・プロセスの安全性評価及びリスク管理はHAZOPやFMEA等を使用し、変更に係るリスクの評価及び管理はチェックシートを用いている。

② 実施のきっかけ ・会社の中期計画に基づき、2001年度からHAZOP(連続系)導入

③ 実施頻度及びタイミング ・新設は建設時、既設は計画を立てて実施

④ 実施体制 ・新設プラント建設時は、製造部門、保全部門、保安部門で実施・既設プラントは製造部門各部署のメンバーで実施

⑤ 対象設備及びその対象選定の考え方

・全ての製造施設が対象

⑥ リスクアセスメント手法 ・連続系HAZOPを実施後、必要によりバッチ系HAZOP、What-Ifを実施

⑦ 事業所における実施手続きの流れ

・HAZOP実施基準において、HAZOP計画後、HAZOPワークシートを用いて安全性評価を行い、その後、リスクレベルの高いものについて対策を検討し、リスク低減策を計画的に実施する。

1.実施状況

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-Ⅱ-12 -

(続き)

D事業所

高圧ガス保安法適用規則 一般高圧ガス保安規則

業種 石油化学

3.実施時の資料等

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

・ヒヤリハットや事故事例・取扱い物質の物性、SDS(Safety Data Sheet)・設備の配置図、設備の仕様書・作業標準・製造規格・製品規格書・定期整備計画・他の手法で実施したリスクアセスメントの結果 等

② 判断基準及び判断基準の背景

・安全面、環境面、機器損害、生産被害を横軸に、発生頻度を縦軸にとったマトリックス表を用いてリスクレベルを6段階に評価

③ 設備等の対策例 ・計器類の追加・配管へのリリーフ弁の設置

4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① 実施による効果 ・従業員のトラブルへの意識が向上・設備への追加安全対策の実施によるリスク低減

② 成功要因 ・複数部門の参画・検討チームリーダーのリーダーシップ

③ 実施の必要事項 ・経営層のサポート・専門分野の人材

④ 効率的な実施方法 ・ハザードやリスクについての認識の共通化・リーダー人材の育成

⑤ 実施時に悩んだ点、失敗例

・起こりうる影響・結果の掘り下げが不十分・リスク評価結果の違和感(リスクランク高)・HAZOP検討時の項目の多さ・全従業員への結果の周知

⑥ 教育体制

  1) 対象者 ・HAZOP研修:初心者向け・手順HAZOP、ESD HAZOP、What-If等の研修:経験者向け

  2) 教育内容・方法 ・所内の研修会で所内の実プラントまたは講師のモデルプラントを題材に実習・連続系HAZOPは年1回、手順HAZOP、What-if等は年2回実施

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-Ⅱ-13 -

表Ⅱ-2-5 調査概要(E事業所)

E事業所

高圧ガス保安法適用規則 コンビナート等保安規則

業種 石油化学

① 経営層の認識 ・相互啓発型安全文化の醸成を目指しており、リスクマネジメントにも着手している。

② プロセスに関するリスクアセスメント実施の有無

・全反応槽でHAZOPを実施

③ 労働安全衛生法に関するリスクアセスメントの実施

・取扱い物質のうち、対象である46物質に対して実施

④ ISO 9001:2015もしくはISO 14001:2015の認証取得の有無

・取得済

2.具体的な運用方法

① 全体構成 ・各反応槽ごとに定常HAZOP及び非定常HAZOPを実施

② 実施のきっかけ ・ベテラン社員退職に伴い製品品質関係のトラブルが増加したため、2013年から開始

③ 実施頻度及びタイミング ・各反応槽ごとの定常HAZOPは一巡し、現在は非定常HAZOPを計画的に取り組み中・また、新規の設備や物質を導入する際にも実施

④ 実施体制 ・当初は、運転、保全、保安の三部門参加で実施していたが、現在は運転部門主体で実施

⑤ 対象設備及びその対象選定の考え方

・危険物や高圧ガス対象設備等の危険懸念のある設備全般を対象

⑥ リスクアセスメント手法 ・HAZOPを選定

⑦ 事業所における実施手続きの流れ

・社内基準『保安管理マニュアル』にて基本方針を規定。また、実施人員の決定・実施や実施結果の収集・周知を行うことも規定

1.実施状況

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-Ⅱ-14 -

(続き)

E事業所

高圧ガス保安法適用規則 コンビナート等保安規則

業種 石油化学

3.実施時の資料等

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

・従業員へのヒアリング、他社事故事例等

② 判断基準及び判断基準の背景

・リスクアセスメントガイドライン(Ver.2)を参考に、従業員の経験や過去の実績を踏まえている。

③ 設備等の対策例 ・液面アラーム設定の改善

4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① 実施による効果 ・自主保安意識の向上、危険源の早期発見と対応、類似事故の再発防止

② 成功要因 ・トップの強い意思表示と事業所安全活動への浸透

③ 実施の必要事項 ・安全第一の思想と明確な将来性(価値創造)をイメージすること。

④ 効率的な実施方法 ・定期的な見直しと情報収集が必要

⑤ 実施時に悩んだ点、失敗例

・全従業員に周知する事が難しい

⑥ 教育体制

  1) 対象者 ・各製造現場、保全部門、保安部門から選出・また、内容によっては運転部門のオペレータの担任、班員も対象

  2) 教育内容・方法 ・事業所内の外部講習を受講した者が、ケーススタディを実施

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表Ⅱ-2-6 調査概要(F事業所)

F事業所

高圧ガス保安法適用規則 コンビナート等保安規則

業種 産業ガス

① 経営層の認識 ・会社方針の最初に「無事故・無災害」を掲げており、設計段階及び試運転前のリスクアセスメントの強化、充実を指示している。

② プロセスに関するリスクアセスメント実施の有無

・設備の新設及び変更がある場合にリスクアセスメントを実施

③ 労働安全衛生法に関するリスクアセスメントの実施

・該当無し

④ ISO 9001:2015もしくはISO 14001:2015の認証取得の有無

・取得済

2.具体的な運用方法

① 全体構成 ・社内規程で手順を定めている。

② 実施のきっかけ ・親会社の指導

③ 実施頻度及びタイミング ・設備や原材料の新規採用、変更時・作業方法や作業手順の新規採用、変更時・その他、一定の期間経過後

④ 実施体制 ・社内規程で工場長、検討チーム責任者等の役割を定めている。また、専門的知識を有する者を参画させるように努めることも定められている。

⑤ 対象設備及びその対象選定の考え方

・工場内全製造設備、工場内全ての現場が対象

⑥ リスクアセスメント手法 ・加算法

⑦ 事業所における実施手続きの流れ

・各グループでリスク評価一覧表を作成後、総括安全衛生管理者へ定期的に報告。その後、総括安全管理者は許容出来ないリスクレベルの項目について具体的な対策を指示。

1.実施状況

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-Ⅱ-16 -

(続き)

F事業所

高圧ガス保安法適用規則 コンビナート等保安規則

業種 産業ガス

3.実施時の資料等

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

・作業標準、作業手順書等・設備の仕様書・機械設備等のレイアウト図・事故事例等

② 判断基準及び判断基準の背景

・『危険性・有害性に近づく頻度』と、『危険性・有害性に近づいた時にけがをする可能性』と『けがの程度』を各ポイント化し、各ポイントを合計してリスクレベルを算定

③ 設備等の対策例 ・新規設備導入時に実施

4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① 実施による効果 ・社員個々人の安全意識の向上・製造設備の安全性の強化・工事安全管理の徹底・製品品質向上

② 成功要因 ・保安に関する強い社内方針

③ 実施の必要事項 ・継続して実施

④ 効率的な実施方法 ・リスクアセスメント実施担当者への教育

⑤ 実施時に悩んだ点、失敗例

・リスクアセスメントを実施したことによる効果が不明

⑥ 教育体制

  1) 対象者 ・リスクアセスメント実施担当者

  2) 教育内容・方法 ・外部講習会・グループ会社内講習会

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表Ⅱ-2-7 調査概要(G事業所)

イ事業所 ロ事業所

高圧ガス保安法適用規則 一般則、液石則 一般則、液石則

業種 産業ガス 産業ガス

① 経営層の認識

② プロセスに関するリスクアセスメント実施の有無

・継続的に実施 ・実施していない

③ 労働安全衛生法に関するリスクアセスメントの実施

④ ISO 9001:2015もしくはISO 14001:2015の認証取得の有無

・14001のみ取得 ・認証は取得していない

2.具体的な運用方法

① 全体構成

② 実施のきっかけ ・工事施工前の危険性を認識するため

・法改正及び親会社の指導

③ 実施頻度及びタイミング ・年2回以上 ・設備の新規導入時及び変更時

④ 実施体制 ・所長をリーダーに全従業員で実施

・所長をトップに営業担当3名で実施

⑤ 対象設備及びその対象選定の考え方

・業務フロー等から抽出しして対象設備等を選定

⑥ リスクアセスメント手法

⑦ 事業所における実施手続きの流れ

・結果は事業所内のみに周知 ・結果等は営業所内にて回覧や掲示。併せて親会社へ報告。

1.実施状況

G事業所

・リスクアセスメントが安全、安定供給に必要な取り組みであることを認識している。

・実施

・社内規程に定めて実施しており、実施体制や実施期間、対象物の選定等について規定

・親会社の基準

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-Ⅱ-18 -

(続き)

イ事業所 ロ事業所

高圧ガス保安法適用規則 一般則、液石則 一般則、液石則

業種 産業ガス 産業ガス

3.実施時の資料等

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

② 判断基準及び判断基準の背景

③ 設備等の対策例 なし なし

4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① 実施による効果

② 成功要因 ・継続的なリスクアセスメントの実施

③ 実施の必要事項 ・現場で実作業に携わり、その作業を把握した者の全員参加・リスクアセスメント実施の記録

④ 効率的な実施方法 ・全員参加する会議で実施・引き継ぎ時に実施

⑤ 実施時に悩んだ点、失敗例

なし なし

⑥ 教育体制

  1) 対象者 各事業所から代表者を選出 所長及び担当者

  2) 教育内容・方法 代表者へ研修会で手法を学習し、事業所で具体的な事例について実施

親会社の指導に基づき、代表者が実施

・特になし

・3つの要素をポイントで表し、各ポイントを合計したポイントによってリスクを算定する加点法によって4段階にリスク評価を行っている。

・安全意識の向上

G事業所

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-Ⅱ-19 -

表Ⅱ-2-8 調査概要(H事業所)

H事業所

高圧ガス保安法適用規則 コンビナート等保安規則、液化石油ガス保安規則

業種 LPガス関係事業所(2次基地)

① 経営層の認識 ・労安法でのリスクアセスメントの義務化を受け、親会社からグループ会社に対して対応、取り組み方針について指示があり、これを受け、取り組みを開始

② 内容に関する認識 ・設備の新規導入時に実施・メンバーは、保安部門の課長をリーダーとして、保安部、製造部から各1名の合計3名・リスク算定では、発生頻度と事故の重篤度を各5分類している。・リスク低減対策は、放出管開口部の向きの見直しを実施

2.実施に対する課題

① 導入計画 ・設備の新規導入時に実施予定・今後、関係する規程類の整備

② 実施上の課題 ・ハザード、影響度、発生確率をどこまで詳細に考えればよいのか不明・高圧ガス製造事業所の規模や事業形態別に細分化された講習会があれば、有効に活用可能

③ 代替措置 なし

1.内容に関する認識

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表Ⅱ-2-9 調査概要(I事業所)

I事業所

高圧ガス保安法適用規則 液化石油ガス保安規則

業種 LPガス関係事業所(充塡所)

① 経営層の認識 企業経営における様々なリスクのうち、高圧ガス設備にも様々なリスクが潜んでいることは承知しており、リスク低減のための必要な諸施策に取り組んでいる。

② 内容に関する認識 ・他事業者から情報を得て、2017年から取り組み開始・リスクアセスメントの対象は、バルクローリへの積み込み作業と充塡所における作業手順・内容は、作業リスクに関する観点が多いが、プロセスリスクについても一部盛り込まれている。・リスク低減対策は、ハード対策はなくソフト対策のみ

2.実施に対する課題

① 導入計画 まず実施してみたという状況で、リスクアセスメントの必要性は認識しているが、まだ本格的な導入計画は無い。

② 実施上の課題 ・リスクアセスメント内容の妥当性・同業他社のリスクアセスメントの取り組み状況の情報が欲しい。・セミナー等への従業員の参加

③ 代替措置 なし

1.内容に関する認識

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表Ⅱ-2-10 調査概要(J事業所)

J事業所

高圧ガス保安法適用規則 一般高圧ガス保安規則

業種 充塡所及び容器再検査所

① 経営層の認識 ・グループの親会社からリスク管理の指示があり、実施を計画中・リスク管理に関する活動を通じ、従業員の意識改革へとつなげる予定

② 内容に関する認識 ・現在は危険予知(KY)活動やヒヤリハット活動等は実施しているが、今後リスクマネジメント委員会を設置し、従業員全体にリスクに関する認識を広める予定・考え方として、リスクを「事象内容」「具体的影響」及び「発生箇所」に分類して多様な観点から実施予定

2.実施に対する課題

① 導入計画 ・現在は計画段階であり、本年4月から準備を開始し、10月から本格的に活動する予定・当面は就業時間外に実施予定

② 実施上の課題 ・現状、従業員に潜在危険性の意識がないため、この意識を変えることが重要・他事業所と取り組み内容等の情報交換を行い、継続的に実施していきたい。

③ 代替措置 ・KY活動、ヒヤリハット活動などは実施。

1.実施状況

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-Ⅱ-22 -

4.調査結果のまとめ

本事業では、リスクマネジメント及びリスクアセスメントに積極的に取り組んでいる

事業所についてヒアリング調査を行った。その結果を基に、より有効なリスクアセスメ

ントを実施する際の注意点として、以下の項目が挙げられる。

(1)組織

・ マネジメント層(特にトップ)がリスクアセスメントの重要性について強く認識す

るとともに、従業員も同様の認識を持つことで、組織としてリスクアセスメントに

取り組むことが可能となる。

(2)実施体制

社内規程

・ リスクアセスメントに関する社内規程類を整備し、リスクアセスメントを実施する

際の体制や対象設備等を定めた『リスクアセスメント実施要領』を作成する。

実施計画

・ 実施頻度やタイミングは、事業所で使用しているガスの圧力、保有量、性質を考慮

して実施計画を立てる。

評価チーム

・ リスクアセスメント実施時は、リスクアセスメントに関する教育を受けたリーダー

が、事業所の各組織から専門家を集めてチームを構成し検討を行う。

リスク低減対策

・ 影響度やリスクレベルによって、リスク低減対策を所長承認、課長承認と承認レベ

ルを分けて効率的に実施することも可能。

・ リスク低減対策について責任者を明確に定め、対策が終了するまでフォローアップ

の進捗を確認する。

(3)実施時の資料等

・ ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

従業員・作業員からのヒアリング

作業標準、作業手順書等

対象設備の設計仕様書

機械設備等のレイアウト図

自事業所や業界団体等からの事故情報・ヒヤリハット事例

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-Ⅱ-23 -

(4)リスクアセスメントに関する教育

・ 社内規定で社内資格を設けるとともに、職制によってリスクアセスメント実施時の

役割を規定する。

・ また、リスクアセスメントの解析結果を教育訓練に結び付け、有効に活用すること

も可能

以上の点を各事業所で実施しているリスクアセスメントへ反映し、より網羅的なリスク

アセスメントを実施されたい。

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-Ⅲ-1 -

Ⅲ.リスクアセスメントによる事故防止効果の具体例の作成

(ハザードリストのさらなる検討)

1.目的

リスクアセスメントを導入していない事業者が自社の高圧ガス設備等に対してリス

クアセスメントを行う際の一助とするため、リスクアセスメントによる事故防止効果の

具体例を挙げる資料(ハザードリスト)を作成した。

2.検討方針

平成 29年度の本事業では、高圧ガス保安協会(KHK)の事故概要報告から高圧ガス設

備におけるハザードを抽出し、それぞれの事故シナリオが理解できるように『ハザード』、

『ハザード状態』、『ハザード事象』に区分して解析したハザードリストをまとめた。

今年度は、昨年度作成したハザードリストを再検討するとともに、ハザードリストを

作成する際に解析した過去に発生した高圧ガスのシナリオを解析し、事業所規模別に主

要なハザードを抽出し、分類するとともに、ハザードから事故に至るシナリオを一般化

し、より網羅的なリスクアセスメントが可能となる資料を作成した。

3.検討内容

(1)ハザードリスト作成において参考とした高圧ガス事故等

経済産業省の委託事業として高圧ガス保安協会に設置した事故調査解析委員会(委

員長:小林英男 東京工業大学 名誉教授)において、近年に発生した高圧ガス関連事

故を簡潔にまとめたもの(事故概要報告)のうち、2003年から 2015年の事故合計 213

件を対象とした。内訳は以下のとおり。

a) コンビナート保安規則関係(以下、「コンビ則」という。):145件

b) 一般高圧ガス保安規則(以下、「一般則」という。)及び液化石油ガス保安規則(以

下、「液石則」という。)関係:34件

c) 冷凍保安規則(以下、「冷凍則」という。)関係:16件

d) 容器保安規則(以下、「容器則」という。)関係:11件

e) その他(他法令事故等):7件

(2)ハザードの抽出における考え方

本検討では、上記(1)の高圧ガス関連事故(事故概要報告)の事例をモデルケー

スとして、シナリオの解析とハザードの抽出を行った。

今回はハザードリストを作成することが目的のため、通常の事故調査解析で行われ

るような事故シナリオの時系列整理、直接または間接の事故原因の解明、複合要因な

どについて、再検討を行っていない。

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-Ⅲ-2 -

事業者がリスクアセスメントを実施する際に、ハザードの特定のヒントとなるよう

なハザードを抽出するため、原則、1つの事故事例から最も妥当と考えられるハザー

ド1つを抽出した。

(3)ハザードリストの構成

(2)で解析対象とした事故事例から抽出したハザードを、一覧として示したもの

がハザードリストである。

ハザードリストは、抽出したハザードをリスト化するとともに、ハザード状態とハ

ザード事象も併せて示し、三位一体でそのハザードがどのように顕在化して事故に繋

がったか、そのシナリオが理解できるよう構成した。

高圧ガスの事故事例では、大量のガスを取り扱っている大規模コンビナート事業者

における事故から、容器の取扱いにおける事故まで多種多様の事故があり、それらを

まとめてしまうと各事業所において参考とすべきハザードがわからなくなる恐れがあ

る。

そのため、本事業では大規模なコンビナート事業者における事故と、それ以外の一

般則、液石則適用の事業所における事故、容器、冷凍事業所における事故を別にリス

ト化し、それぞれの事業所規模・様態に応じたハザードリストとした。

(4)ハザード、ハザード状態、ハザード事象の定義

ハザードリストに示した『ハザード』、『ハザード状態』、『ハザード事象』は、「JIS B

9700機械類の安全性-設計の一般原則-リスクアセスメント及びリスク低減」、「JIS Q

0073リスクマネジメント用語」を参考に、本報告書では以下のように定義した。

・ ハザード:潜在的な危害の源

・ ハザード状態:ハザードが顕在化する状態

・ ハザード事象:ハザードが結果となる事象

(5)事故事例のキーワード整理

対象とした事故を、系統的かつ検索容易な表示方法として表Ⅲ-1に示すキーワー

ドを用いて大分類と小分類に分類し、それぞれについてハザード、ハザード状態とハ

ザード事象の分類を行った。

なお、ハザード事象については、事故・災害の最終事象(漏洩、火災、爆発等)を

必ずしも整理する訳では無く、ハザード→ハザード状態の流れから生じる事象のうち、

最も着目すべき事象をまとめた。例として、ハザード状態がエロ-ジョン/コロージ

ョンの場合、ハザード事象は減肉開口、ハザード状態がスタートアップ時の熱変形の

場合、ハザード事象は低サイクル疲労、小分類が加熱炉(加熱管)、配管(改質炉)

でハザード状態が温度上昇の場合、ハザード事象はクリープ破断とした。

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-Ⅲ-3 -

表Ⅲ-1 大分類と小分類のキーワード一覧

大分類 小分類

コンビ則 一般則・液石則、容器、冷凍、その他

機器 配管

圧縮機

圧力計

エアフィンクーラー

液面計

液面計バルブ

過熱器

加熱炉

球形貯槽

計装機器連通管

計装導圧管

コンタクター

サンプリング配管

充塡ホース

スチームパージ用配管

精留塔

接続ホース

チャンネルフランジ

ねじ継手

熱交換器

バイパス配管

バッフルホルダー

バルブ

反応管

反応器

反応塔

フランジ

放液溜

容器

リボイラー

ローリー用ホース

電動機

配管

圧縮機

圧力計サイフォン管

Oリング

安全継手

充塡ホース

蒸発器

水素S実証試験設備

ストレーナー

貯槽

継手

バルブ

反応炉

膨張弁

冷却コイル

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-Ⅲ-4 -

大分類 小分類

コンビ則 一般則・液石則、容器、冷凍、その他

運転 配管

受入

緊急停止

検査

原料切替え

高温運転

除害

スタートアップ

タンカーへの払出

炭酸ガス吸収塔セパレータ

反応器温度調整

プロセスパラメータ

容器加温

停止(停電)

スタートアップ

停止

除害処理

温度管理

試運転

材料 温度計保護管

クラッド鋼

充塡物

ステンレス鋼

炭素鋼

ライニング

ステンレス鋼

水素の発生

作業 計画外作業

ドレン抜き

残液回収

計画停止

開放作業

仕切板入替作業

基礎の解体

コンテナ交換

洗浄水回収

ドレン抜き

閉止板取り外し

容器弁開放

冷媒回収

物質 異物の混入

異物の残存

異物の残留

異物の堆積

異物の付着

異物の付着,剥離

重合物の生成

異物噛み込み

異物の混入

異物の付着

異物の噛み込み

異物の堆積

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-Ⅲ-5 -

大分類 小分類

コンビ則 一般則・液石則、容器、冷凍、その他

保全 ウェザーシール

気密試験

検査

点検

腐食管理

補修

開放検査

開放洗浄

気体耐圧試験

気密試験

高温ガス化炉

バルブの点検と制御ソフトの変更

容器 - 圧力計

移充塡

移動

計装配管

充塡

超低温容器

不法投棄

保管

その他 容器 排気ファン

4.検討結果

(1)ハザードの抽出

事故事例から抽出した大分類ごとのハザードと、その件数をコンビ則適用事業所に

ついては表Ⅲ-2-1に、その他の事業所については表Ⅲ-2-2に示す。

また、各事故から抽出したハザードリストは、添付資料Ⅲに示す。

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-Ⅲ-6 -

表Ⅲ-2-1 事故事例から抽出した代表的なハザード(コンビ則)

大分類 ハザード 件数 関連ハザード(件数)

機器

(79件)

保温材 12 防音材(1)

ガスケット 11

振動 6

行き止まり配管 6 デッド配管(1)

デッド部(1)

締結管理 5

T継手 4

伝熱管 3

継手 3

フレキシブルチューブ 2 フレキシブルホース(1)

エルボ配管 2

小口径管 2

運転

(20件)

バルブ操作 6

インターロック解除 2

液封 2

安全弁作動 2

温度上昇 2

水注入 2

保全

(14件)

ウェザーシール

(ウェザーカバー)

3

塗装 3

バルブ操作 2

物質

(13件)

異物 11

材料

(10件)

鋭敏化熱処理 2

飛散物の外面付着 2

塩素と生成水の環境 2

作業

(8件)

バルブ操作 3

ドレン抜き 2

バルブの内漏れ 2

表Ⅲ-2-1から、コンビ則適用事業所では大分類が機器の事故事例は 79件と最も

多くなっており、その中で最も多いハザードは保温材で 12件であり、続いてガスケッ

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-Ⅲ-7 -

トが 11件、振動が 6件、行き止まり配管が 6件、締結管理が 5件、T継手が 4件、伝

熱管と継手が 3件、フレキシブルチューブ、エルボ配管と小口径管が各 2件となって

いる。

続いて、大分類が運転の事故事例は 20件で、その中でハザードはバルブ操作が 6件、

インターロック解除、液封、安全弁作動、温度上昇と水注入が各 2件となっている。

大分類が保全の事故事例は 14件となっており、その中でハザードはウェザーシール

(ウェザーカバー)が 3件、塗装が 3件、バルブ操作が 2件となっている。

大分類が物質の事故事例は 13件となっており、ハザードは全て異物であった。

大分類が材料の事故事例は 10件で、その中でハザードは鋭敏化熱処理が 2件、飛散

物の外面付着が 2件、塩素と生成水の環境が 2件でとなっている。

大分類が作業の事故事例は 8件で、バルブ操作が 3件、ドレン抜きが 2件、バルブ

の内漏れが 2件となっている。

このことから、機器に関する事故では保温材、運転に関する事故ではバルブ操作、

保全に関する事故ではウェザーシールと塗装、物質に関する事故では異物、材料に関

する事故では鋭敏化熱処理、飛散物の外面付着、塩素と生成水の環境、作業に関する

事故ではバルブ操作が、最も多いハザードとなっている。

表Ⅲ-2-2 事故事例から抽出した代表的なハザード(その他)

大分類 ハザード 件数 関連ハザード(件数)

機器

(29件)

保温材 5

継手 4

振動 3

凍結 2 着氷(1),着霜(1)

運転

(6件)

インターロック解除 1

液受入中間タンク 1

液封 1

警報発報 1

散水 1

バルブ操作 1

保全

(7件)

試験治具 2

異物 1

バルブ操作 1

同時並行作業 1

耐圧ホース 1

耐火材の部分欠損 1

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-Ⅲ-8 -

大分類 ハザード 件数 関連ハザード(件数)

物質

(4件)

異物 4

材料

(2件)

鋭敏化熱処理 1

フッ化水素酸による

ステンレス鋼の腐食

1

作業

(7件)

バルブ操作 3

ドレン抜き 1

容器

(12件)

容器の保管(放置) 4 容器の埋設(放置)(1)

容器の種類(溶接容器) 2

その他

(1件)

排気ファン操作 1

表Ⅲ-2-2から、大分類が機器の事故事例は 29件と最も多くなっており、その中

で最も多いハザードは保温材で 5件であり、続いて継手が 4件、振動が 3件、凍結が 2

件となっている。

続いて、大分類が運転の事故事例は 6件、その中でハザードはインターロック解除、

液受入中間タンク、液封、警報発報、散水によるものが各 1件ずつになっている。

大分類が保全の事故事例は 7件で、ハザードは試験治具が 2件となっている。

大分類が物質の事故事例は 4件で、ハザードは全て異物である。

大分類が材料の事故事例は 2件で、その中でハザードは鋭敏化熱処理、フッ化水素

酸によるステンレス鋼の腐食である。

大分類が作業の事故事例は 7件であり、その中でハザードはバルブ操作が 3件、ド

レン抜きが 1件となっている。

大分類が容器の事故事例は 12件であり、その中でハザードは容器の埋設を含め容器

の保管が最も多く 5件となっている。

このことから、機器に関する事故ではコンビ則同様に保温材、保全に関する事故で

は試験治具、物質に関する事故では異物、作業に関する事故ではバルブ操作、容器に

関する事故では容器の保管が、最も多いハザードとなっている。

(2)ハザードによる事故のシナリオの表示

次に、ハザードにハザード状態とハザード事象を併記することにより、事故のシナ

リオを一般化して表示できることを示す。

図Ⅲ-1に保温材、図Ⅲ-2にバルブ操作に関する例を示す。

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-Ⅲ-9 -

保温材(防音材含む。) 大分類:機器(18)

ハザード ハザード状態 ハザード事象

雨水浸入(6) 腐食減肉開口(5)

塩化物応力腐食割れ(1)

結露(4) ピンホール(1)

腐食減肉開口(1)

腐食減肉・ボルト破断(1)

塩化物応力腐食割れ(1)

保温材(17)

防音材(1) 温度上昇(2) クリープ破断(1)

締結力低下(1)

温度低下(2) 漏えい②(1)

き裂開口(1)

水分吸収(2) 腐食減肉開口(2)

塩化物溶出(1) 塩化物応力腐食割れ(1)

塗装(1) 腐食減肉開口(1)

図Ⅲ-1 ハザードが保温材の場合のハザード状態、ハザード事象

ハザードが保温材(防音材)の場合は、ハザード状態は雨水浸入が 6件、結露が 4件、

温度上昇、温度低下、水分吸収が各 2件、塩化物溶出、塗装が 1件となっている。

本解析により、ハザードが保温材(防音材)の場合には、ハザード状態は雨水浸入が最

も多く、ハザード事象は腐食減肉開口が最も多くなっている。

保温材の機能は、保温(保冷を含む。)によるエネルギー損失の低減と作業員の火傷防止

である。さらに以前、保温材は雨水の浸入を防ぎ、防食効果があると言われていた。しか

し、保温材を設置した場合に設置、施工、管理などを誤ると、設置しない場合よりも腐食

が加速することがある。これを保温材下腐食という。したがって、保温材の設置はリスク

アセスメントを実施して決定することが必要である。

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-Ⅲ-10 -

なお、ハザード状態の雨水浸入の場合には、さらに詳細な検討が必要である。保温材下

腐食は雨水が浸入した部位ではなく、浸入した雨水が滞留する部位で発生することに注意

することが必要である。

バルブ操作 大分類:運転(7)、作業(6)、保全(3)、機器(1)

ハザード ハザード状態 ハザード事象

誤開閉(8) 漏えい③(3)

噴出(3)

座屈(1)

放出管破断(1)

バルブ操作(17) 開閉忘れ(7) 漏えい③(4)

爆発(1)

破損(1)

噴出(1)

閉止不十分(1) 腐食減肉開口(1)

急速開放(1) 爆発(1)

図Ⅲ-2 ハザードがバルブ操作の場合のハザード状態、ハザード事象

ハザードが『バルブ操作』の場合は、ハザード状態は誤開閉が 5 件、開閉忘れが 5 件、

閉止不十分が 1 件となっている。ハザード事象は漏えい③(誤開閉、開閉忘れ、液封、外

部衝撃などによる破裂、破損、変形による漏えい)が計 6 件、爆発、座屈、破損、噴出、

腐食減肉開口が各 1件ずつとなっている。

本解析により、ハザードがバルブ操作の場合には、ハザード状態が誤開閉、開閉忘れが

多く、ハザード事象は漏えいが最も多くなっている。

バルブの機能は流路の開閉であり、その操作は機器の運転の要となっている。しかし、

バルブの種類と寸法は多岐にわたり、その操作においても開度、開閉速度など不確定要素

が多く、スイッチのオンオフ(開閉)のように単純ではない。

したがって、バルブ操作には、人的要因である誤操作、操作不十分が生じ(ハザード状

態)、これが原因となり事故に至る(ハザード事象)。

このことから、バルブ操作時には、誤開閉、開閉忘れを防ぐことが重要であるという結

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-Ⅲ-11 -

論が得られる。

しかし、全てのバルブ操作で誤開閉、開閉忘れが無いよう注意喚起しても事故は変わら

ず発生しており、注意喚起による効果には限界がある。そのため、事故に至る(影響の大

きい)バルブ操作に、対策を重点化する必要がある。これがリスクアセスメントによるリ

スク対応である。また、上記のハザードが顕在化する操作は、実際に事業所で発生し事故

に繋がった実例である。このような実例が他事業書で発生したならば、自分の事業所でも

顕在化する可能性がある。そのため、自分の事業所に置き換えて抽出を試みる必要がある。

このように、バルブ操作をハザードとして挙げることによって、ハザード状態で顕在化

している操作を、ハザードが潜在する操作として抽出することが可能である。

5.まとめ

過去に発生した高圧ガス事故のシナリオを解析し、産業別に主要なハザードを抽出、

分類するとともに、リスクアセスメントを導入する際に比較的理解しやすいものについ

てハザードから事故に至るシナリオを一般化し、図表で説明する資料を作成した。

(1)ハザードリスト

・ コンビ則適用事業所のハザード:145件

・ その他の事業所のハザード:68件

(2)シナリオの一般化

・ シナリオをハザード、ハザード状態、ハザード事象で構成

・ ハザード『バルブ操作』の事例を一般化して図示

・ ハザード『保温材』の事例を一般化して図示

(3)今後の課題

・ 事故事例からのハザードの抽出の継続

・ 複数ハザードの検討

・ ハザードリストの分類の検討

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- Ⅳ-1 -

Ⅳ.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの促進のための指標構築

1.目的

リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施するにあたり、中小規模施設を有

する事業所と大規模施設を有する事業所では、従業者に対する教育内容について基礎的

要素は共通と考えられるものの、対応する組織、人員、取り扱うプロセス等から異なる。

本年度は事業所規模に応じて、リスクマネジメント及びリスクアセスメントの推進に

必要な体系化された指標を構築し、導入していない事業者等の参考となる資料を作成し

た。

さらに、客観的なリスクアセスメントに対する力量の評価を行う資格制度についても

検討を行った。

2.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの促進のための指標構築

2-1.指標作成方針

平成 27年度に経済産業省委託事業で作成したリスクアセスメント・ガイドライン

(Ver.2)は、大規模なコンビナート事業所向けの資料となっており、高圧ガスの取

扱量が小規模な事業所にはそぐわない面も多い。このことから、高圧ガスの取扱量

が小規模な事業所向けにリスクアセスメントを実施する際に参考となる資料を作成

した。これらの事業所はリスクアセスメントに取り組んでいない事業所も多いこと

から、リスクアセスメントの考え方や導入する際の注意点等を中心とした資料を作

成した。

2-2.基礎的なリスクアセスメント資料の項目について

(1)作成方針

平成 28 年度に実施したリスクアセスメント基礎講座及び平成 29 年度に実施した

リスクアセスメント基礎事例講座は、リスクアセスメントが未実施の事業所を対象

として実施したものである。各年度のリスクアセスメント基礎講座のカリキュラム

を表Ⅳ-1及び表Ⅳ-2に示す。

各講座の受講者にアンケートを依頼し、その集計結果では、受講者の9割以上が

内容について満足~適度と回答しており、これらの講座は、受講者のニーズに合致

していたことがわかる。そのため、今回の付属書はリスクアセスメント基礎講座の

内容をもとに作成した。

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- Ⅳ-2 -

表Ⅳ-1 平成 28年度 リスクアセスメント基礎講座 カリキュラム

項 目 内 容

(1) リスクアセスメントの促進

① リスクアセスメントの必要性

② 高圧ガス設備における危険性

③ 事故事例

(2) リスクアセスメントの理解

① リスクアセスメント基礎

② リスクアセスメントの手順

③ リスクアセスメント留意事項

(3)リスクアセスメントの着手 ① 入門手法の解説

表Ⅳ-2 平成 29年度 リスクアセスメント基礎講座 カリキュラム

項 目 内 容

(1)リスクアセスメントの促進

① リスクアセスメントの必要性

② 高圧ガス設備における危険性

③ 事故事例

④ リスクアセスメントのススメ

(2)リスクアセスメントの実践

① はじめに

② リスクアセスメント実施前の準備

③ リスクアセスメントの実践

(3)リスクアセスメント事例紹介

① 充塡所の例

② 化学会社の例

③ 反応プロセスに水素を用いる事業者の例

(2)目次案

(1)に示すリスクアセスメント基礎講座及びリスクアセスメント基礎事例講座

のカリキュラムをもとに作成した基礎的なリスクアセスメント資料の目次案と、各

項目での主な内容を表Ⅳ-3に示す。

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- Ⅳ-3 -

表Ⅳ-3 リスクアセスメント基礎資料 目次案

項 目 内 容

1.高圧ガスを取扱う際の

リスクアセスメント

① 高圧ガスを取扱う上での危険性とリスクアセス

メント

② リスクの定義

③ リスクアセスメントの必要性

④ リスクアセスメントを実施することによる効果

⑤ リスクアセスメントの実施時期

⑥ 他事例におけるリスクアセスメントの例

2 リスクアセスメント実施上の

注意点

① リスクアセスメント実施前の準備

② リスクアセスメントの実施優先順位

3 リスクアセスメントの手順

① ハザードの特定

② リスク算定

③ リスク評価

④ リスク低減対策の検討

⑤ リスク低減対策の実施

⑥ 残留リスク

⑦ リスクアセスメントの継続

2-3.基礎的なリスクアセスメント資料

表Ⅳ-3の目次案に従って作成した基礎的なリスクアセスメント資料を添付資料

Ⅳに示す。

2-4.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの促進のための指標構築に関するま

とめ

本事業で作成した基礎的なリスクアセスメント資料について、平成 27 年度に経済

産業省委託事業で作成したリスクアセスメント・ガイドラインの付属書として位置づ

けて周知を図る。このことにより、これから高圧ガスプロセスに関するリスクアセス

メントを始める事業所の参考としてもらうとともに、現在、高圧ガスプロセスに関す

るリスクアセスメントを実施している事業所でも、自分の事業所のリスクアセスメン

ト実施方法を見直すきっかけとされたい。

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- Ⅳ-4 -

3.高圧ガス分野におけるリスクアセスメントに関する資格制度のあり方について

3-1.他法令等における資格制度の現況について

鉱山保安法や労働安全衛生法において、法改正を通じ、その法律が定める規制対

象にリスクアセスメントを課すとともに、選任されている有資格者に新たな教育や

職務が要求されている。これら法令以外においても、リスクアセスメントがキーワ

ードとして資格制度などに用いられており、その概要は以下の通りである。

(1)鉱山保安法の概要

昭和24年に公布された鉱山保安法(昭和 24 年法律第 70 号)は、過去、侵掘

による災害の防止等を規定した昭和33年の改正、昭和35年から昭和38年にか

けて続発した石炭鉱山での重大災害を契機とした昭和37年及び昭和39年の改正

等が行われてきたが、鉱山数の減少や災害の発生要因の変容等を背景に、平成16

年に抜本的な改正が行われた(平成17年施行)。

現行法は、「鉱山労働者に対する危害を防止するとともに鉱害を防止し、鉱物資源

の合理的開発を図ること」を目的として、用語の意義、鉱業権者の義務、鉱山労働

者の義務、保安教育、機械、器具等に関する制限、鉱山の現況調査、保安規程及び

保安管理体制等に関し規定されている。

① 規制内容

同法は、鉱業権者に各種自主検査及び届出等を、鉱山労働者に対しては、保安に

関する必要事項の遵守を義務付けている。その義務付けられた自主保安には、

・ 災害発生可能性の把握は、採掘等により日々刻々変化する現場を最もよく知りう

る鉱山事業者自らが、自山の性状等の自然条件に応じて行うべきである。

・ 鉱山事業者は、危険発生可能性を踏まえ、保安確保のため取るべき措置等を自ら

決定し実行すべきである。

・ 鉱山事業者は、それぞれの鉱山の実情に応じ、鉱山保安の確保のために詳細を規

定した文書を作成すべきである。

が挙げられ、この中でも「危険発生可能性を踏まえ、保安確保のため取るべき措置

等を自ら決定し実行すべきである。」という部分において、「現況調査」を実施し、

保安を害する要因の洗い出し、評価、そして保安を害する要因に対して講ずべき措

置(リスク低減措置)の検討として、リスクアセスメントを採用している。

この「現況調査」を実施する時期については、以下のとおり定められている(鉱

山保安法第18条 鉱山保安法施行規則第36条)。

・ 鉱業を開始しようとするとき

・ 事業を休止しようとするとき

・ 休止した事業を開始しようとするとき

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- Ⅳ-5 -

・ 施業案を変更しようとするとき

・ 鉱業権を放棄しようとするとき

また、この「現況調査」の項目は、以下のとおりである。

・ 採掘箇所及びその周辺の地質状況

・ 鉱山周辺の状況

・ 落盤又は崩壊

・ 粉じんの処理

・ 機械、器具及び工作物の使用

・ 火薬類の取扱い

・ 火気の取扱い

・ 災害時における救護

・ 巡視及び点検

これら調査項目について、リスクの評価や対策が検討され、最終的には保安規程

や作業手順書に落とし込まれ、また、変更された保安規程は、鉱山の有資格者によ

り構成される「保安委員会」の承認が必要であり、最終的にその変更は、行政への

提出が義務付けられている。そして、鉱業権者、鉱山労働者は、保安規程の遵守が

義務付けられている。

現況調査などのリスクアセスメントの結果を承認する「保安委員会」は、保安統

括者、保安管理者及び委員をもって組織し、保安統括者が議長を務めることとなっ

ている。

② リスクアセスメントの実施体制

上記の現況調査(リスクアセスメント)の実施体制については、経済産業省の「鉱

山保安マネジメントシステムの構築とその有効化のためのガイドブック」中におい

て目安として示されている。

その概要をまとめると表Ⅳ-4のとおりである。

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- Ⅳ-6 -

表Ⅳ-4 鉱山保安法における事業所の保安管理体制と

リスクアセスメント実施時に求められる各階層の役割(概要)

階層(担当者) 保安管理体制での位置付・役割等 リスクアセスメント実施時に

求められる役割

社長・保安統括者

鉱業の実施を統括管理する者

・方針の表明

・計画の承認

・評価結果の確認

保安管理者

鉱山に常駐し、保安に関する事項

を管理する者

・リスクアセスメントの実施

・対策の優先度の設定

・リスク低減対策の進捗確認

鉱山労働者

鉱山において鉱業に従事する者

・リスクアセスメントの実施

・リスク低減対策の進捗確認

(2)労働安全衛生法

高圧ガス保安法や鉱山保安法などの産業法とは異なる労働法の一つである労働安

全衛生法においても、近年、労働環境の評価手法の一つとして、平成28年の改正

法施行によりリスクアセスメントが義務付けられた。ただし、労働法としての観点

からであり、同法は規制対象が幅広く、さまざまな業種の事業者がリスクアセスメ

ントに取り組む必要がある。

① 規制対象

労働安全衛生法は、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明

確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策

を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適

な職場環境の形成と促進を目的とする法律である。そのため、その規制対象は、労

働者に係るすべてではあるが、今回、リスクアセスメントが要求されることとなっ

たのは、危険有害性のある化学物質の製造、取扱いを行う事業場について、義務付

けられたものである。

② 法改正の内容

リスクアセスメントを実施する時期として、法律上の実施義務は以下のとおりで

ある。

・ 対象物を原材料などとして新規に採用したり、変更したりするとき

・ 対象物を製造し、または取り扱う業務の作業の方法や作業手順を新規に採用した

り変更したりするとき

・ 上記2つに掲げるもののほか、対象物による危険性または有害性などについて変

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- Ⅳ-7 -

化が生じたり、生じるおそれがあったりするとき

また、厚生労働省が掲げる指針上の実施義務は、以下のとおりである。

・ 労働災害発生時

・ 過去のリスクアセスメント実施以降、機械設備などの経年劣化、労働者の知識経

験などリスクの状況に変化があったとき

・ 過去にリスクアセスメントを実施したことがないとき

③ リスクアセスメントの実施体制

同法におけるリスクアセスメントの実施体制については法令上の規制はないが、

厚生労働省の「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」にお

いて示されている。

その概要をまとめると表Ⅳ-5のとおりである。

表Ⅳ-5 労働安全衛生法における事業所の保安管理体制と

リスクアセスメント実施時に求められる各階層の役割(概要)

階層(担当者) 保安管理体制での位置付・役割等 リスクアセスメント実施

時に求められる役割

総括安全衛生管理者など

事業の実施を統括管理する人(事業場

のトップ)

リスクアセスメントなど

の実施を統括管理

安全管理者または衛生管

理者、作業主任者、職長、

班長など

労働者を指導監督する地位にある人

リスクアセスメントなど

の実施を管理

化学物質管理者

化学物質などの適切な管理について

必要な能力がある人の中から指名

リスクアセスメントなど

の技術的業務を実施

専門的知識のある人

必要に応じ、化学物質の危険性と有害

性や、化学物質のための機械設備など

についての専門的知識のある人

対象となる化学物質、機械

設備のリスクアセスメン

トなどへの参画

外部の専門家

労働衛生コンサルタント、労働安全コ

ンサルタント、作業環境測定士、イン

ダストリアル・ハイジニストなど

より詳細なリスクアセス

メント手法の導入など、技

術的な助言を得るために

活用が望ましい

(3)設備等のリスクマネジメント技術者認証制度

一般社団法人日本高圧力技術協会は、高圧力という専門分野について系統的な解

明を行うため、昭和38年に5月にその前進となる日本高圧力技術研究会を発足さ

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- Ⅳ-8 -

せ、以降、技術の高度化、技術的課題の解決、最新の技術情報の提供、技術の継承

を含めた技術者教育、技術基準ならびに規格制定及び維持管理などの活動を通して、

圧力設備に関する学術、技術の向上ならびに普及を図り、産業界に貢献することを

目指してきた団体である。

その技術的教育のひとつとして、リスクアセスメントの内容が取り上げられてき

ており、それが「設備等のリスクマネジメント技術者認証制度」である。

同制度における利点として、同団体は、設備等のリスクマネジメント技術者の能

力を評価する制度はなく、同制度を利用することにより、設備等のリスクマネジメ

ント技術者の育成を図ることができるとともに、企業及び技術者個人にとって以下

の利点をあげている。

・ 設備等を保有する企業にとっては、設備等のリスクマネジメント能力を有すると

第三者機関に認められた技術者が、リスクベース工学に基づき、技術的に合理的

で適切な保守点検を行うことで、保守点検の経費節減とともに、設備の安定運転

が可能となる。

・ 設備等の保全に関連する企業にとっては、設備等のリスクマネジメント技術者を

確保して設備保有企業の保守点検業務を支援、実施することにより、顧客の信頼

度を高めることができる。

・ 技術者個人にとっては、設備等のリスクマネジメントに関する認証を得ることに

より、リスクマネジメント能力に対する社内外の信頼度を高めることができる。

上記のとおり、設備等のリスクマネジメント技術者認証制度は、経年劣化の進ん

だ設備等の効率的な運転と安全管理のために必要なリスクベースメンテナンスの考

えの下、設備等の維持管理に係る技術者認証を目的としたものであったが、近年内

容の見直しが検討され、プロセスリスク等の視点も強化されている状況である。

① 資格制度の概要や資格者に求められる能力

同制度の適用範囲は、石油、化学、ガス、電力等で供用されている圧力容器、熱

交換器、 加熱炉、ボイラー、貯槽、配管であり、鋼構造物、回転機械、電気、計装、

土木及び建設設備等についても、リスクベース工学の知識が活用できるものについ

ては全て対象とすることとしている。

また、同制度における設備等リスクマネジメント技術者の資格要件は、以下のと

おりである。

・ リスクマネジメントを実施するために必要な基礎知識、設備等の設計、製作、劣

化損傷、検査、診断、補修

・ リスクマネジメントの高度な専門知識

・ リスクマネジメントを行う実践的職務能力

幅広い知識はもちろんであるが、リスクマネジメントの分析・評価に限られるこ

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となく、実際の対策まで解決できる能力が要求されている。

② 受験資格や認証更新

同制度を受験する条件は、表Ⅳ-6のとおりである。

表Ⅳ-6 受験条件

学歴 必要職務経験年数

理工系大学院修了者 2年

大学理工系学部又は工業高等専門学校専攻科卒業者 3年

短期大学理工系又は工業高等専門学校卒業者 4年

工業高等学校卒業者 5年

上記学歴によらない者 6年

なお、同制度において取得された資格は、5年間の認証期間を有したものであり、

資格を保有し続ける場合、認証の更新が必要である。これは、技術進歩に伴う設備

知識の取得が、同資格に必要不可欠であるためと考えられる。

(4)技術士法

技術士法は、技術士等の資格を定め、その業務の適正を図り、もって科学技術の

向上と国民経済の発展に資することを目的としている。

① 技術士制度の概要

技術士は、第二次世界大戦後、荒廃した日本の復興に尽力し、世界平和に貢献す

るため、「社会的責任をもつて活動できる権威ある技術者」が必要となり、米国のコ

ンサルティングエンジ二ア制度を参考に「技術士制度」が創設された。この制度は、

国(文部科学省)が技術者について、高い技術者倫理を備え、継続的な資質向上に

努めていることを認定するものである。

② 求められる能力・職務

同法における技術士資格取得のためには、第一次及び第二次からなる技術士試験

を受験しなければならない。

その試験科目は、機械部門、船舶・海洋部門、航空・宇宙部門、電気電子部門、

化学部門、繊維部門、金属部門、資源工学部門、建設部門、上下水道部門、衛生工

学部門、農業部門、森林部門、水産部門、経営工学部門、情報工学部門、応用理学

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部門、生物工学部門、環境部門、原子力・放射線部門と幅広く、さらに、総合技術

監理部門としての専門性が問われるものである。

近年、この総合技術監理部門において、安全管理に関する事項として、技術士試

験にもリスクアセスメントに関する事項が出題され、専門知識ではない経営的な視

点について技術士でも求められている。

また、本資格制度の特徴として、総合技術監理部門の受験要件としては、以下の

とおりであり、ここでも知識だけではなく、業務経験を要することが特徴である。

・ 技術士補に登録し、技術士補として通算7年を超える期間技術士を補助したこと

のある者

・ 技術士補となる資格を有した日から、科学技術に関する専門的応用能力を必要と

する事項についての計画、研究、設計、分析、評価又はこれらに関する指導の業

務を行う者の監督のもとに当該業務に従事した期間が通算7年を超える者

・ 科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、

分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務に従事した期間が通算10年を

超える者

3-2.高圧ガス保安法における資格制度(製造事業所関係)

第1次世界大戦を契機として、国内の工業が発達するに伴い、高圧ガスに関して

も工業化が図られ発達した。しかし、その発達に伴い災害事故も増加したことから、

1922 年(大正 11 年)4 月 11 日付け法律第 31 号として「圧縮瓦斯及び液化瓦斯取

締法」が公布された。その中で第 7~9 条に「化学主任者及び圧縮機取扱主任者の選

任、その選考及び免状の返納」が定められており、事業所に高圧ガスや高圧ガス設

備を取り扱う上での知識を持つ者を選任することを要求していた。

その後、化学主任者免状と圧縮機取扱主任者免状は、化学(甲乙)、機械(甲、乙、

及び丙)の作業主任者免状となり、庁府県長官が選考して交付するものが全国に適

用させるため、主務大臣の選考(高圧ガス取締法では国家試験)として行われた。

時代の推移により、第1種製造者に1名ないし2名置けば足りるとされていた作

業主任者を、昭和 50 年 5 月 23 日付法律第 30 号、昭和 51 年 2 月 17 日付省令第 3

号(液化石油ガス保安規則)及び昭和 51 年 2 月 19 日付省令第 7 号(一般高圧ガス

保安規則)において、作業主任者を保安統括者、保安技術管理者、保安主任者、保

安係員及び保安企画推進員のように段階的に改め、主要な分野・機能毎に保安管理

者を配置する体系的な保安管理組織を樹立して、責任と分担範囲を適正化・明確化

した。そして、これらの各立場において求められる資格を定め、専任される者の知

識水準を担保しており、この体制が現在まで続いている。

このように、高圧ガス保安法では、高圧ガスを取り扱う事業所に対して、その時

代に即した形で保安に関する機能を要求(資格者制度を見直し)しており、その求

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められる知識の水準を資格制度という形で担保してきている。

(1)現在の高圧ガス保安法における製造事業所の保安管理体制について

上記のとおり、高圧ガス製造事業所においては、事業所の階層(主要な分野・機

能)毎に管理者を配置することとなっている。

その概要をまとめると表Ⅳ-7のとおりである。

表Ⅳ-7 高圧ガス保安法における事業所の保安管理体制と各階層の役割(概要)

階層 保安管理体制での位置付・役割等

保安統括者

(所長、工場長クラス)

高圧ガスの製造に係る保安に関する業務を統

括管理する者

保安企画推進員

(保安担当部長クラス)

高圧ガスの製造に係る保安に関する業務に

ついて保安統括者を補佐する者

保安技術管理者

(製造部長、課長クラス)

保安統括者を補佐し、高圧ガスの製造に係る保

安に関する技術的な事項を管理する者

保安主任者

(製造課長、係長クラス)

保安技術管理者を補佐し、保安係員を指揮す

る者

保安係員

(製造直長クラス)

高圧ガスの製造に係る保安に関する技術的な

事項を管理する者

(2)近年加えられた技術的知見内容

高圧ガス保安協会は、近年受託してきた経済産業省委託事業により得た知見とし

て、高圧ガス保安法関係の国家資格取得に関する法定資格講習に用いるテキストを

大幅に見直し、リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関しての幅広い解説

の充実化を図っているところである。

3-3.高圧ガス保安分野におけるリスクアセスメントに係る資格制度のあり方

上記を踏まえ、高圧ガス保安分野におけるリスクアセスメントに関する資格制度

のあり方について、以下のとおりまとめる。

(1)リスクアセスメント推進のための法定資格者の職務等の見直し

鉱山保安法、労働安全衛生法の先行事例を参考に、高圧ガス保安法における法定

資格者について、その階層・職制に応じて、リスクアセスメントの推進、実施等に

関する職務内容の追加を図ることが考えられる。

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法定資格者の選任目的、役割等に関する規制背景は、鉱山保安法、労働安全衛生

法及び高圧ガス保安法において大きく異なるものではなく、高圧ガス保安分野にお

いても先行事例に倣った見直しが行われることにより、リスクアセスメントの推進

及び適切な実施に寄与することが期待される。

(2)リスクアセスメントに対する力量の評価を行う資格制度について

一般社団法人日本高圧力技術協会の「設備等のリスクマネジメント技術者認証制

度」については、特定認定事業者(いわゆるスーパー認定事業者)の認定に係る経

済産業省の内規「特定製造事業者及び自主保安高度化事業者の認定について(平成

30 年 3 月 30 日 20180323 保局第 6 号)」においても有用な資格制度として位置付

けられている。しかし、上記のとおり、同制度は元々リスクベースメンテナンスに

重点を置いた制度であり、経済産業省の内規における位置付けも、認定基準の「適

切に連続運転期間等を評価できる体制の整備」に関連して有用な資格制度とされて

いる状況にある。

従って、主に中小規模の事業者を対象とした場合で考えると、当該事業者におけ

るリスクアセスメントの実施にあたり中心的な役割を担う人材の育成に資するため、

同制度の他、初級・中級レベルのリスクアセスメント関係の資格者制度の整備が望

まれるところではないか。

これらの資格者制度を整備して継続的に活用することで、さらなるリスクアセス

メントの普及が見込まれる。

なお、資格制度を民間のみで維持していくには、資格の法的な位置づけの明確化

や資格試験の運営等、多くの課題もある。

(3)その他

高圧ガス保安法の資格者制度に関しては上記のとおりであるが、資格者のうち、

保安企画推進員、保安主任者及び保安係員にあっては、一定の期間毎の講習(義務

講習)の受講義務が課せられている。

現在、このような講習の機会を捉え、講習参加者によるグループワークを実施し

ているところであるが、これをリスクアセスメントに関する最新の情報提供などを

踏まえたものに進化させるなど、更なる充実化を図っていくことも有用な方策の一

つと考えられる。

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Ⅴ.まとめ

本事業のまとめを以下に示す。

1.リスクマネジメント及びリスクアセスメントを推進している事業所の実態調査について

リスクマネジメント及びリスクアセスメントに積極的に取り組んでいる事業所につい

てヒアリングによる実態調査を行うとともに、取り組みを開始して間もない事業所にも

課題等についてヒアリング調査を行い、その結果を基にリスクアセスメントを実施する

際に注意すべき項目をまとめた。

リスクアセスメントに取り組む際には、これらの項目を参考にして、より網羅的かつ

効果的なリスクアセスメントに取り組まれたい。

2.リスクアセスメントによる事故防止効果の具体例の作成

(ハザードリストのさらなる検討)

過去に発生した高圧ガス事故のシナリオを解析し、産業別に主要なハザードを抽出、

分類するとともに、2つのハザードについてハザードから事故に至るシナリオを一般化

し、図表で説明する事例を作成した。

3.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの促進のための指標構築

高圧ガスの取扱量が小規模な事業所向けに、リスクアセスメントを実施する際に参考

となる資料を作成した。

併せて、高圧ガス分野におけるリスクアセスメントに関する資格制度のあり方につい

て検討した。

4.今後の展開

本事業では、これまでもリスクアセスメント・ガイドラインの作成とリスクアセスメ

ント基礎講座等の講習会を実施し、高圧ガスを取り扱っている事業所へのリスクアセス

メントの普及に務めてきた。

今年度は、事業所におけるリスクアセスメントの取組みの実態調査と事故事例からの

ハザード抽出を行ったが、これらは事業者がリスクアセスメントを行う上で非常に参考

となる資料であり、今後も情報を追加し、資料のさらなる充実を図っていくことが重要

である。

これまでの委託事業の成果等を踏まえ、法定資格の講習内容を改訂してリスクマネジ

メント及びリスクアセスメントの考え方を大幅に盛り込み、また、各種セミナー開催を

通じてリスクアセスメントの普及が少しずつではあるが進んできている状況がある。更

なる普及を目指した新たな資格制度のあり方については、他のリスクアセスメント関連

の資格制度の動向も注視しつつ、継続的に検討する必要がある。

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Ⅵ.添付資料

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添付資料Ⅱ-1

リスク推進事業所ヒアリング詳細

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リスクマネジメント及びリスクアセスメント推進事業所事例紹介

Ⅰ 事業所の概要

1.業種

A石油精製事業所

2.取扱っている高圧ガス

炭化水素、液化石油ガス、水素、一酸化炭素、二酸化炭素

3.高圧ガス保安法適用規則

コンビナート等保安規則

4.高圧ガス事故件数

2017年:0件

2018年:4件

5.事業所の従業員人数

① 事業所全体の従業員人数

約 800人

② 運転部門、保全部門、保安部門を担当する組織の人員数及び年齢構成

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Ⅱ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施事例

1.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施状況

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する企業・事業所のトップの認識

当該事業所長の認識として、工場を操業する以上、必ずリスクは存在している。

「絶対安全」はなく、小さい事故を含めてすべての事故を無くそうとすると相対的に重大事故の対

策が疎かになる。そのため、リスクを確実に抽出し、許容できる影響度と発生確率以下まで低減す

ることが重要となる。いかに許容できない重大事故を防止するかであり、そのためのリスクアセス

メントとリスクマネジメントが重要と考えている。

② プロセス事故に関するリスクアセスメントの実施有無

当該事業所は、各種反応工程や高圧ガスの製造の工程に対する火災、爆発などのプロセス事故に関

するリスクアセスメントを実施しており、プロセス・セーフティ・マネジメントシステムとして操

業管理システムを適用し、社内規定に基づき実施している。

③ 労働安全衛生法第 57条の 3の規定に基づくリスクアセスメントの実施有無

化学物質について安全性および毒性のリスクアセスメントを実施しているが、対象物質と関係なく

全ての化学物質で実施しており、結果は各 SDSと一緒に記載しデータベース化している。

④ ISO 9001:2015もしくはISO 14001:2015の認証取得の有無

ISO9001, 14001共に認証取得している。

2.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの具体的な運用方法について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの全体構成

当該事業所では、製造工程、設備、運転等における、保安に影響を与える危険源の特定に係る手順

を社内規程において確立し、維持している。安全・健康・環境(SHE)に関する潜在リスクを発掘・評価

し、リスク低減のための意思決定に必要不可欠な情報を与えることによって事故を予防し、リスク

を許容範囲まで低減することで事故の重大性を緩和し、安全・健康・環境(SHE)上の影響を軽減するこ

とを目的として「リスクアセスメント基準」を規定している。

「リスクアセスメント基準」ではリスクマネジメントの体制を定め、当事業所で実施するリスクア

セスメントの具体的な種類、その対象、実施内容、実施頻度、参照すべき要領、および実行責任者

等を定めている。

当該事業所のリスクアセスメントの体系は、「既設設備に対するアセスメント」と「新設・改造・変

更時のアセスメント」に大別される。

既存設備に対するアセスメントは、工場の操業に係る全エリアを計画的に実施する「定期リスクア

セスメント」と、定期リスクアセスメント以外でリスク評価を必要とする問題・課題が提起された場

合に実施する「臨時リスクアセスメント」で構成されている。

また「新設・改造・変更時のアセスメント」は、プロジェクト・マネージメントシステムを適用す

る「設備新設・改造時のアセスメント」と、小規模な設備改造や運転・保全変更時の変更の管理とし

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て適用する「設備・運転・保全変更時のアセスメント」で構成されている。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施のきっかけ

当該事業所で2年連続して発生した事故に対する改善策としてマネジメントシステムを導入し、そ

の一環としてリスクアセスメントを展開した。その後、操業管理システムにおいてリスクアセスメン

トの実施とリスクへの対応を規定し、実施している。

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の頻度及びタイミング

「既存設備に対するアセスメント」のうち、「定期リスクアセスメント」は 10 ヶ年計画を立てて計

画的に実施しており、周期はプラント毎に 5-12年で実施している。

「臨時リスクアセスメント」は、トラブル発生時だけでなく日常工事・作業も対象となるため、ほ

ぼ毎日実施している。

一方、「新設・改造・変更時のアセスメント」は設備改造プロジェクト計画毎に随時実施している。

また、「設備・運転・保全変更時のアセスメント」については、小規模な設備/運転/保全の変更時

にもリスクアセスメントを実施しており、「変更によって新たに危険源が追加されないか」「危険源が

追加となる場合にはリスク低減策/緩和策は適切か」等、チェックリストを用いて毎日数件実施して

いる。

④ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施体制

既存の全設備についての各種リスクアセスメントは、「リスクアセスメント基準」で定められるリ

スクアセスメント実行責任者が、リスクアセスメントの目的や区分に応じて適切なツールを選択し、

資格要件を満たすメンバーでチームを結成し、リスクアセスメントを実施している。

チームの構成員は、各リスクアセスメント実行責任者が保安管理組織、設備管理組織及び運転管理

組織からリスクアセスメントの目的に応じて適切な資格要件を満たした3~6名を任命し、資格のあ

るリスクアセスメント・リーダーが司会進行する。

リスクアセスメントで発見されたリスクは、リスクアセスメント実行責任者がフォローアップ責任

者となりフォローしていく。

リスクアセスメントで発掘された危険源は、「リスクマトリックス適用指針」に定めるリスクマト

リックス手法に基づき危険度を判定している。リスクアセスメントで発掘された危険源は、リスクカ

テゴリー(危険度の程度)に応じそのリスク内容及びリスク対策の承認者を定め、解決策を実行して

いく。

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの対象設備及び対象選定の考え方

既存の全装置について網羅的に「既存設備に対するアセスメント」を実行している。既存設備 HAZOP

では、その装置固有のリスク(危険度:蒸気圧, 保有量, 毒性)に応じて、大・中・小の 3 段階に装置

群を分類し、HAZOPの実施周期を設定して実施している。

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⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメント手法及びその手法の選定理由

当該事業所では、リスクアセスメントの網羅性を確保するために、様々なリスクアセスメント手法

を適用している。例として、ハザードの特定では連続 HAZOP、バッチ HAZOP、What-if等、リスク解析

ではマトリックス法、FTA、ETA等、リスク対策の評価では、FTA、ETA、LOPA等の手法を用いている。

⑦ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の事業所内での手続き等

既存設備に対する各種リスクアセスメントは、所内の安全防災小委員会で承認された 「10ヶ年計

画」及び「年間計画」に従って実施している。

リスクアセスメントのフォローアップ責任者は、発掘したリスク内容と立案したフォロー内容(確

定した現状のリスクレベル、対策内容、対策後のリスクレベル、責任部署及び対策実施時期)につい

て文書化し、リスク関係者(リスクを受ける部署の代表者、対策担当部署の代表者、および対策完了

までの運転継続承認者)に報告するとともに、リスクレベルに応じた承認者の承認を得るシステムと

している。また発掘したリスク内容と立案したフォロー内容は、安全専任者であるセーフティ・アド

バイザーに通知され、妥当性を検証している。

発掘されたリスク内容,リスク対策及び対策期限は、文書化され、リスク関係者(リスクを受ける

部署、対策担当部署、対策完了までの運転継続承認者)に会議で説明・報告される。この報告により

リスクの周知を図っている。

日常工事/作業では、危険源の発掘を目的にリスクのスクリーニング・プロセスを導入し、資格を

持ったリスク・スクリーナーが作業における潜在リスクを評価し、必要に応じてリスクアセスメント

を実施する仕組みとしている。

3.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の資料等について

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

・自社作成の HAZOPチェックリスト、機器タイプ別ガイドワード

・事故・ニアミス事例

・従業員・作業員からの懸念事項のヒアリング

・CCPS Beacon (CCPS)

・事例に学ぶ化学プロセス安全 –Beaconの教訓と事故防止の知恵- (CCPS, 化学工学会)

・業界団体の事故情報

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントにおいて実際に使用した判断基準及び判断基準の背

リスクアセスメントで発掘された危険源は、「リスクマトリックス適用指針」に定めるリスクマト

リックス手法に基づき危険度を判定している。リスクの重大性はリスク・カテゴリー1~4に分類し

ており、カテゴリー1を最も高いリスク(高い発生確率×甚大な影響度)としている。

リスクアセスメントで挙げられた危険源は、リスクレベルに応じてリスク対策の承認者を定め、解

決策を実行している。また解決策完了までの運転継続についても承認を得るシステムとしている。

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③ リスクアセスメント結果に基づいたリスクマネジメントによる設備等の対策例

・BLEVE対策として、球形タンク防液堤内のバルブ移設・ペービング工事実施

球形タンクに関するリスクアセスメントを実施したところ、内部流体が漏洩して着火した場合、

球形タンクが炎であぶられて BLEVEが発生するリスクレベルの高い事象が抽出された。このリスク

低減対策として、球形タンクの防液堤内にバルブがあったことから、バルブを防液提の外に移設す

るとともに、球形タンク下部に液がたまらないようペーピング工事を実施し、BLEVEの発生可能性

を下げ、リスク低減をはかった。(下図参照)

設備改善

4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施したことによって得られた効果

・ 1995年以降、プロセスに関する大規模な事故を回避している。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施した際の成功要因

・ プロセス・セーフティーの重要性に対するトップマネジメントの理解

・ 安全に対する投資基準の整合化 (半定量的なリスク指数の導入)

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に必要と考えられる事項

・リスクマネジメントに対する経営トップから従業員に至るまでの意識統一

・社内安全設計基準の整合化と教育

・十分なリソースの確保

④ より効率的なリスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施するのに必要と考えられる事項

・HAZOPリーダーの育成:HAZOP リーダーを増員し、定常・非定常 HAZOP を所内で幅広く展開する。

・リソースの確保 (多岐にわたる分野のメンバーの確保)

漏洩した LPG に着火し

BLEVE 発生の可能性

ペービングを行って漏洩した LPG が 球形タンク下部にたまらないようにして 着火しても BLEVE 発生の可能性を低減

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⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に悩んだ点、失敗例

・リスクアセスメントの網羅性を上げるには、投入するリソースが重要である。

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する教育体制について

1) 対象者

各種リスクアセスメントの品質を確保するため、社内規定によりリスクアセスメント・リーダー/

リスク・スクリーナーの社内資格を設けている。

リーダー スクリーナー 教育のみ

(承認者は、承認者教育)

製油部門

製造部門

課長・直課長・

日勤直副長 (OC)

交替直副長・

交替直副長代行

副所長・教育担当

運転スタッフ

工務部門 グループマネージャー チームリーダー 副所長

技術部門

グループマネージャー

チームリーダー

安全担当

― 副所長

環境安全部門 IH(産業衛生担当)

グループマネージャー

チームリーダー

SHE Coordinator

副所長

HAZOPリーダーの資格要件となる、「HAZOP講習」と「Safety 設計基礎コース」は、外部の資格制

度の一つである CCPS認定のプロセスセーフティ・スペシャリスト資格(CCPSC)を有する本社の講師が

実施している。

またリスク・スクリーナーやリスクアセスメント・リーダー資格要件となる、「リスクアセスメン

ト教育」は、HAZOPリーダー資格を有する当該事業所のセーフティ・アドバイザーが講師となって教

育を実施している。

このように外部の資格制度と自社内の資格制度を活用することで、リスクマネージメント・システ

ムの維持、向上に努めている。

2) 教育内容・方法

当該事業所では、質の高いリスクアセスメントを継続的に実施するために、計画的にリスクアセス

メント教育を実施し、適切にリスクアセスメントを実施できる人材育成に努めている。

当該事業所では、リスクアセスメントのレビュー・承認に携わる者は「リスク・スクリーナー資格」

または「リスクアセスメント・ファシリテータ資格」を必要としている。またHAZOP実施時のリ

ーダーには、「HAZOPリーダー資格」が必要となる。

以下の表にリスクアセスメントに係わる資格と、資格取得に必要な教育カリキュラムを示す。

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資格 資格取得に必要な教育カリキュラム

リスクスクリーナー リスクアセスメント教育

リスクアセスメント・リーダー リスクアセスメント教育

TOPR(非定常作業手順書レビュー)

リーダー

リスクアセスメント教育

非定常 HAZOPリーダー・トレーニング

定常 HAZOPリーダー リスクアセスメント教育

HAZOP講習

Safety設計基礎コース

非定常 HAZOP(TOH)リーダー リスクアセスメント・トレーニング

HAZOP講習

Safety設計基礎コース

非定常 HAZOPリーダー・トレーニング

またリスクアセスメント教育のカリキュラムと実施頻度を以下に示す。

カリキュラム 実施頻度

(または実績)

教育の形式

リスクアセスメント

教育

毎年 1.5日コースの集合教育、

講師:当所のセーフティ・アドバイザー

HAZOP講習 毎年 3日コースの集合教育、

講師:本社セーフティ・スペシャリスト

Safety設計基礎 毎年 3日コースの集合教育、

講師:本社セーフティ・スペシャリスト

非定常 HAZOP リーダ

ー・トレーニング

毎年 半日コースの集合教育、

講師:当所のセーフティ・アドバイザー

リスクアセスメント

教育(再教育),

適宜(各自 3年イ

ンターバルで実

施)

e-ラーニングまたは半日コースの集合

教育

また、以下の外部講習会・セミナーに積極的に参加し、リスクアセスメントに関する知識・見識の

向上や CCPSC等の外部資格取得を目指している。

事故の教訓と保安管理技術セミナー(高圧ガス保安協会)

リスクアセスメント・ガイドライン説明会 (高圧ガス保安協会)

Process Safety Boot Camp (CCPS)

Overview of Risk Based Process Safety (CCPS)

Recognizing Catastrophic Incident Warning Signs(CCPS)

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リスクマネジメント及びリスクアセスメント推進事業所事例紹介

Ⅰ 事業所の概要

1. 業種

B石油精製・石油化学事業所

2. 取扱っている高圧ガス

炭化水素、水素、窒素、空気

3. 高圧ガス保安法適用規則

コンビナート等保安規則、一般高圧ガス保安規則、冷凍保安規則

4. 高圧ガス事故件数

2017 年 2 件 、2018 年 0 件

5. 事業所の従業員人数

① 事業所全体の従業員人数

約 990 人

② 運転部門、保全部門、保安部門を担当する組織の人員数及び年齢構成

0

100

200

300

400

500

600

700

800

運転部門 工務部門 保安部門

60代

50代

40代

30代

~20代

(人)

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Ⅱ 調査内容

1.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施状況

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する企業・事業所のトップの認識

・安全、保安の最重要課題として認識し、方針に掲げ、課題として取り組んでいる。

(安全環境基本方針、製造技術部方針、各事業所方針)

・安全保安諮問委員会にて、経営層及び外部有識者にリスクマネジメントに関する報告を行い、課

題の共有化と今後の対応を共有化している。

・今後は製造技術部(事業所、製油所)だけでなく、全部門の必須事項として強化して行く方向で

ある。

② プロセス事故に関するリスクアセスメントの実施有無

事業所において、各種工程のリスクアセスメントとして HAZOP の中長期計画を策定しており、こ

れに沿って実施している。現在、2011 年度に定常モード、2015 年度に緊急停止モードを完了してお

り、今年度 S/U(開始操作)モード(2020 年度終了予定)を実施中である。さらに将来は、2025 年

度から S/D(停止操作)モードを開始する予定。

③ 労働安全衛生法第 57 条の 3 の規定に基づくリスクアセスメントの実施有無

事業所において、安全性評価要領にて化学物質に関わる安全性評価を定めており、対象物質(数

百程度)を採用する際に実施している。

④ ISO9001:2015 もしくは ISO14001:2015 の認証取得の有無

ISO9001 及び ISO14001 とも取得している。

『6.1 リスク及び機会への取組み』については、環境管理上重要な課題として、以下の4つを設定

し、設備対応を行っている。

・含油排水管漏えい防止対策

・SDM 時の臭気低減対策

・業務用空調器等の更新によるフロン類の漏洩削減

・プロセス冷凍機器更新によるノンフロン化

上記4つの事項は、今期の課題であって PDCA によってスパイラルアップを目指している。

2.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの具体的な運用方法について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの全体構成

当事業所では、安全性評価要領を定め、同要領により新たな化学物質を使用する場合は、その確

認のためのチェックリストがあり、これに基づき評価することとしている。

安全性評価要領は、事業所として約 40年前に制定したもので、基本は装置設計等でリスク低減を

図ることを目的にしたものであった。現在は、事業所の業務全般に関して適用しており、装置や運

転の状態(定常、非定常)にかかわらず、行うこととしている。

要領に基づく実施内容は、先ずは設計ベースで安全性を検討し、このときは運用後を想定したチ

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ェックリストに基づき確認を行う。実際に運用した際にあらためてチェックリスト等による確認を

行うので、二重の管理となっている。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施のきっかけ

過去より設計・建設、運転の必須項目としてリスクアセスメント(安全性評価)を実施してきた

が、2003 年十勝沖地震に伴う北製タンク火災を機にプロセス安全の重要性を再認識し、リスクマネ

ジメントを強化している。

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の頻度及びタイミング

事業所において、設備の新設時、既存の設備や運転条件等の変更時にリスクアセスメントを実施し

ている。また、設備のライフサイクルの中でリスクアセスメントを運転開始から廃棄まで行う。定

常操作においては、HAZOP の定期的な見直しや、操作・作業において新たな気付きがあった場合に

実施している。非定常操作においては、操作が発生する都度実施している。

④ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施体制

事業所において、安全性評価要領に実施体制を定めており、主に設備担当課長が統括者として担

当者を選任し、検討チームを編成して実施する。

実施者の資格要件は現在検討中。具体的な検討内容は、リーダーの力量を評価する試験を実施し

て、事業所内でリスクアセスメント・リーダーとして認定を行う等である。

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの対象設備及び対象選定の考え方

変更管理や非定常操作等におけるリスクアセスメントは全ての設備を対象としている。ただし、

中長期計画にて実施している HAZOP については、高圧ガス設備を優先的に、その中でも社内で定

めた「危険性の高い物質を取り扱うプロセス」を最優先して計画を策定して取り組んでいる。

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメント手法及びその手法の選定理由

・ 場面や業務より、HAZOP、What-if、チェックリスト等を使用している。

・ 手法は活用するが用途による確定はしていない。(何を使ってもok)

⑦ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の事業所内での手続き等

変更管理、非定常操作等で実施されたリスクアセスメントは、その影響度によって、所内承認、

課内承認と承認レベルを分け実施している。各々のリスクアセスメントにて発掘された残留リスク

については、危険源として危険源一覧表にて管理され、リスクランクに応じた承認者による承認を

受ける。

リスクランクは高い方からA,B,C,Dと4段階に分けられ、高リスクであるA,Bは保安防

災委員会等により所長承認を受ける。高リスクのうち、Aはそのまま残してはならず、Bに下げる

処置を直ちに施す。一方Bは次回定修の際に改善するよう、危険源一覧表にて残留リスクとして管

理する。

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3.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の資料等について

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

建設や変更の際には、主に要領にて定められているチェックリストを使用する。取扱い物質や用

役、機器、運転といった様々な対象についてチェック項目があり、網羅的に確認できるように工夫

している。

チェックリストの更新のタイミングは、社内トラブル(事故報告)の発生時、国が公表している

高圧ガス事故、上長(課長や所長など)の気付きで検討する。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントにおいて実際に使用した判断基準及び判断基準の背

・ 従来は業務毎(安全、保全、品質)の考え方で独自のリスクマトリクスを使用していた。

・ 各業務統一したリスク評価を行うために、他社及びCCPS等の資料を参考にリスクマトリクスの

見直しを進めている。

・ 特にリスクマトリクスの見直しの基本的な考え方は、事業運営を行う上で関連する調達や輸送まで

検討対象範囲を広げ、全社統一のリスクマトリクスによって評価できるようにするもの。この見直

しによりリスク評価が同じ土俵上にあるので経営資源の公平な分配が可能になると考えている。

③ リスクアセスメント結果に基づいたリスクマネジメントによる設備等の対策例

・ 社会的影響等を追記した新リスクマトリクスの説明(諮問委員会資料)

(人的、安全(火災程度)、環境、社会的影響、経済的損失(間接経費も入れている)などを横並

びで標準化)

・ 事業所の危険源Aランク改善(プロセス、労災)例

実施事例の一つに、遮断弁の設置がある。これは 2016 年に行った HAZOP の結果で、水素関連設

備においてコントロール弁が設置しており、緊急時に遮断機能を要求していた。しかしながら、同

弁の機構から十分な遮断機能がないことが確認されたため、当該コントロール弁の入口側に遮断弁

を新たに設け、配管のブロック化を図ることができるような構造に 2017 年に変更した。工事が完了

するまでは、暫定としてソフト対応を行った。

4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施によって得られた効果

中長期的に実施しているHAZOPだけでは、網羅的に確認することができないことが分かって

きた。様々なリスクアセスメント手法を組み合わせて実施する必要性を感じている。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施した際の成功要因

現在のリスクアセスメントの仕組みができる以前から、要所要所で各担当者や上長が頭の中で危

険なことがないかを考えて実行してきたからこそ、これまで重大な事故がほとんど起こっていない

と考える。また、このため大きなギャップもなく、リスクアセスメントを導入できたと考える。

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③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に必要と考えられる事項

実施対象に如何に精通しているか、当該装置の運転や作業の経験を積んで、どれだけリスクをイ

メージできるかという想像力が必要だと考える。そのため、新入社員から段階的な教育プログラム

の中にリスクアセスの考え方とリスクを発掘するための視点を付与するための項目を繰り返し盛り

込んでいる。

④ より効果的なリスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施するのに必要と考えられる事項

4③に加えて、当該装置の理解、各機器の設計根拠、各機種、プロセスに精通した人材を育成す

ることが重要であると考えている。

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に悩んだ点、失敗例

現在抱えている悩みとして、HAZOPを中長期の計画で実施しているが、前述の資格要件が定

まっていないために統一性という面で不足があると感じている。教育体制を整えて、全体的な底上

げとレベル感を合わせていく必要があると考える。

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する教育体制について

1) 対象者

現在の教育は、技術研修センターに社外講師を呼んで実施する講習が主である。この講習は、リ

スクアセスメントの承認者である各課役職者及び実施者である安全担当が主に受講する。2④に記

載した検討中の資格要件として社内教育を計画中。

2) 教育内容・方法

上記、社外講師による講習の他、定めてはいないが適宜社外セミナーへ参加している。

※社外講師とは、デュポンのコンサルタント

※社外セミナーには、デュポン、安全工学会、中災防などがある。

以上

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リスクマネジメント及びリスクアセスメント推進事業所事例紹介

Ⅰ 事業所の概要

1.業種

C石油化学事業所

2.事業所で取扱っている高圧ガス

① 高圧ガスの種類(主要なもの)

メタクリル酸メチル、ブタジエン、ヘキサン、スチレン

3.高圧ガス保安法適用規則

コンビナート等保安規則

4.高圧ガス事故件数

2014 年:C 級 1 件

2015 年~2018 年:0 件

5.事業所の従業員人数

① 事業所全体の従業員人数

約 920 人

② 運転部門、保全部門、保安部門を担当する組織の人員数及び年齢構成

※運転部門の年齢構成は不明

0

50

100

150

200

250

300

運転部門 工務部門 保安部門

60代

50代

40代

30代

~20代

(人)

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Ⅱ 調査内容

1.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施状況

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する企業・事業所のトップの認識

当該事業所では、高圧ガス保安対策本部長が保安管理の基本方針を定めており、危険性を評価し

て危険性の除去・低減対策を絶えず講じ、事業所の安全レベルを継続的に向上させることが基本方

針に明記されている。

具体的には、予算の配分として人員計画、保安に関する設備投資、老朽化投資を現場の声を踏ま

えて適切な経営資源の投入を実施している。

② プロセス事故に関するリスクアセスメントの実施有無

2006 年から定常時のリスクアセスメント(定常 HAZOP)に取組み、現在 3 巡目に入っている。非

定常時のリスクアセスメント(非定常 HAZOP)は、2015 年に開始し、緊急停止(ESD)HAZOP は

2016 年に完了した。現在、手順 HAZOP(スタートアップ/シャットダウン)を試行し、2021 年に

完了予定である。

また、2013 年から実施している独自の保安防災技術伝承活動の中で、リスクアセスメントの解析

結果を教育訓練に結び付けている。

③ 労働安全衛生法第 57条の 3の規定に基づくリスクアセスメントの実施有無

対象物質を使用しているため、自社で定める「化学物質リスクアセスメントに関する指針」に従い

健康障害の防止と爆発・火災等の危険防止のリスクアセスメントを実施している。

④ ISO 9001:2015もしくはISO 14001:2015の認証取得の有無

ISO9001:2015 の認証は、製品単位(事業部系)で取得しているため、各事業部単位で品質マネジメ

ントマニュアルを定め、取り組む必要のある「リスク及び機会」を特定し、PDCA を回して取り組みを

実施している。

ISO 14001:2015 の認証では、事業所として環境マネジメントシステムで手順を定め、取り組む必要

のある「リスク及び機会」を特定し、PDCA を回して取り組みを実施している。環境負荷の増大や順守

義務違反、緊急事態発生等をリスクとして、省エネ活動や地球温暖化防止技術の開発等を機会として

捉えている。

2.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの具体的な運用方法について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの全体構成

各々の項目を明確に区分しているリスクアセスメント全体の体系図は作成していないが、JISの定

義と同等の考え方をとっている。

その中で、「4M変更時の業務フロー」と「保安に影響を与える危険源の特定手順フロー」を定

めている。

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② リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施のきっかけ

認定事業所の要求事項に追加された2006年から実施している

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の頻度及びタイミング

社内規程「危険源の特定手順書」にて、頻度及びタイミングが定められている。

定期見直し:5年以内に1回実施

随時見直し:・新増設、変更工事をしたとき

・関連事故情報を入手したとき

・パトロール等で必要と判断したとき

・製造所長が必要と判断したとき

・リスクを改善したとき

また、保安防災技術伝承活動では、社内第三者による評価を1~2年に1回実施し、異常反応等の

洗い出しやインターロックの見直し、混触による危険性等の視点で見直しを行っている。

④ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施体制

社内規程「HAZOPによるリスクアセスメントの手順書」において、実施体制として検討メンバー

(HAZOPリーダー(資格要件、責任と権限)、参加メンバー)を規定している。

HAZOPリーダー資格要件は、社内機関のHAZOP講座の受講若しくは外部のHAZOP講座を受講している

者でプラントの運転管理や設備管理等の経験が10年以上ある者、もしくは運転主任以上の者であ

る。

参加メンバーは、プラントの運転を理解している者、設計、機械、計装、電気環境安全等の専門

家からHAZOPリーダーが決定する。

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの対象設備及び対象選定の考え方

社内規程「HAZOPによるリスクアセスメントの手順書」において、適用範囲として以下を規定して

いる。

・ 高圧ガス製造施設(研究パイロット含む)

・ 危険物施設、一圧・ボイラー施設(研究パイロット含む)

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメント手法及びその手法の選定理由

定常時は、HAZOP手法、非定常時は非定常HAZOP及び保安防災技術伝承活動を用いている。社内規

程「危険源の特定手順書」において以下のとおり規定している。

・ プロセスの安全評価結果危険度が高いランクⅠ、ⅡはHAZOP、ランクⅢはHAZOPもしくは簡便法にて

リスク評価を実施

⑦ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の事業所内での手続き等

設備変更時は、社内規程「4M変更時の業務フロー」に従い進められるが、設備投資の規模によ

り手続きや確認、承認者が定められている。また事前管理として部内審議、製造所事前審議及び本

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審議や試運転前の確認など行っており、実施する際の内容、メンバー、資料等も規定している。

3.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の資料等について

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

社内外のトラブル事例、設計思想集、マニュアル等からどのような危険源があるかを特定する。

視点として異常反応等洗い出しチェックシート、インターロックシステムの機能確認シート、可燃

物との混合による発火・爆発危険性を有する物質一覧などの資料を参考にしている。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントにおいて実際に使用した判断基準及び判断基準の背

社内規程「危険源の特定手順書」において、KHKリスクアセスメント・ガイドラインver.2および

社内安全性評価手法を参考に、影響度レベル、発生頻度レベル、リスクマトリックス、判断基準等

を規定している。

③ リスクアセスメント結果に基づいたリスクマネジメントによる設備等の対策例

類似プラントで発生した他社事故事例を参考にリスクアセスメントを実施し、引火爆発のリスクを

改善した。

<例>

・ 設備のリスク低減対策は、逆流防止のチェッキ弁取り付け、異常時のインターロック設置による停

止を実施した。

・ 基準類におけるリスク低減対策は、運転操作マニュアルに上記安全設備の必要性の背景を盛り込む

とともに、保安防災技術伝承資料に記載し申し送り及び教育資料として活用した。

4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施したことによって得られた効果

・ ハザードの発現(事故)に至らせない保安防災上のポイントの理解が進んだ。

・ 運転員が異常に至る要因解析を習得していくことで、考える力が向上できた。

・ 異常に対する管理ポイントや対応許容時間等を明確にした訓練ができた。

・ 管理者は訓練によって運転員の理解度を確認でき、育成に活用できる。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施した際の成功要因

・ 優れた社内マニュアルを整備するのみならず、現場の日常作業に実施や改正のプロセスを上手に

組み込むことで実効性を担保している。

・ 経営陣の安全に対するコミットメントが強く、常に安全意識についてのメッセージを発信してい

る。

・ 他事業所や高圧ガス保安協会等からの情報を参考にリスクアセスメント実施の改善に繋げている。

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に必要と考えられる事項

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プロセス全体を把握していることは言うまでもないが、リスクアセスメントの手法について講習

会の受講などによりきちんと理解していることも必要である。

④ より効率的なリスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施するのに必要と考えられる事項

HAZOPリーダーに代表されるように、参加メンバーの意見、指摘の吸い上げや指導力などリスクア

セスメント検討チームリーダーの知識と知見が重要である。

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に悩んだ点、失敗例

HAZOPを実施した際に、定常、非定常で各々どんなケースがリスクとして抽出され、何が抜けてい

るかがガイドライン等にも記載がなく不明であり、同じ内容を重複してリスク抽出を行う可能性が

あり、時間が掛かってしまう。

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する教育体制について

1) 対象者

・ HAZOP:交替リーダー以上

・ 保安防災技術伝承活動:部課長以上、技術スタッフ、環境安全課員

2) 教育内容・方法

・ HAZOP:外部講習会受講、社内の講習機関での講習会

・ 保安防災技術伝承活動:全社OJT教育

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リスクマネジメント及びリスクアセスメント推進事業所事例紹介

Ⅰ 事業所の概要

1. 業種

D石油化学事業所

2. 取扱っている高圧ガス

主要なもの

液化石油ガス、液化アンモニア、圧縮水素、液化窒素、液化酸素、等

3. 高圧ガス保安法適用規則

一般高圧ガス保安規則、液化石油ガス保安規則、冷凍保安規則

4. 高圧ガス事故件数

過去 5年で発生していない。

5. 事業所の従業員人数

① 事業所全体の従業員人数

約 1,200人(製造事業所は、約 960人)

② 運転部門、保全部門、保安部門を担当する組織の人員数及び年齢構成

運転部門 約 700人 (20~30代が多い)

保全部門 約 70人 若年層及び 5年未満の若手従業員が多い

保安部門 約 30人 40代中・後半が多い

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Ⅱ 調査内容

1.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施状況

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する企業・事業所のトップの認識

毎年、管理部門の役員が委員長を務める全社のリスク管理委員会からの指示に基づき、事業活動上

のリスクを評価し、個別にリスク対策等の検討に取り組んでいる。

② プロセス事故に関するリスクアセスメントの実施有無

製造事業所の規程等に基づき定めたマスタープランにより、HAZOP、FMEA 等の手法を用いて実

施している。

③ 労働安全衛生法第 57条の 3の規定に基づくリスクアセスメントの実施有無

プロセス事故と同様に、マスタープランにより実施している。

④ ISO9001:2015もしくは ISO14001:2015の認証取得の有無

ISO9001, 14001共に認証取得している。

前年度の活動実績、社会の動向、法の制改定、順守義務を含む利害関係者のニーズ及び期待等を踏

まえ、当年の RC推進基本計画を策定、所内展開している。

2.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの具体的な運用方法について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの全体構成

・設備・プロセスの安全性評価及びリスク管理 HAZOP、FMEA等

・変更に係るリスクの評価及び管理 変更管理チェックシート等

※参考 作業、化学物質に係るリスクの評価及び管理

作業のリスク 評価点数によるリスク評価を実施

化学物質有害性のリスク コントロールバンディング法に準じたリスク評価を実施

② リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施のきっかけ

2001 年度 全社の中期計画に基づき HAZOP(連続系)導入 以降、大型の建設プロジェクトで実

施している。

導入当初は保安部門が主導し、外部講師を招聘してモデルプラントでの評価を実施

した。その後は、製造部門主導としている。

2006年度~ 全社の中期計画に基づき保安管理システム構築、その一環でHAZOP実施基準制定

既設プラントも マスタープランを基に実施している。

(過去に事業所にて発生した事故を契機にHAZOP依存の実施方法の見直し)

2014年度~ HAZOP実施基準改定・実施要領制定(非定常 HAZOP、What-If等導入)、研修会を

毎年開催している。

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③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の頻度及びタイミング

・新設プラント 建設プロジェクトにおいて実施

・既設プラント 各職場別にマスタープランを立案、実施(原状復帰以外の変更の場合は、変更管

理にてリスク検討)

④ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施体制

・新設プラント 建設プロジェクト/チームのメンバー(製造部門、保全部門、技術部門、保安部

門)で実施(6~7名程度で構成)

・既設プラント 製造部門各部署のメンバーで実施

就業時間外で対応することがある。

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの対象設備及び対象選定の考え方

全ての製造施設が対象

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメント手法及びその手法の選定理由

連続系HAZOPを実施し、実施後、必要によりバッチ系 HAZOP、What-If実施

⑦ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の事業所内での手続き等

HAZOP実施基準による。(下図参照)

図 1 HAZOP活動全体ワークフロー

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3.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の資料等について

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

・ヒヤリハット、過去の事故事例、自社及び他事業所の事故事例等

・原料、製品、副生成物等取扱い物質の物性、SDS(Safety Data Sheet)

・異常反応、混合危険、安定性データ

・配置図、設備の仕様書、作業標準

・シーケンス資料

・インターロック資料(基本思想、回路等)

・製造規格・製品規格書

・定期整備計画

・他の手法で実施したリスクアセスメントの結果 等

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントにおいて実際に使用した判断基準及び判断基準の背

HAZOP実施基準による。

図 2 リスク評価表

③ リスクアセスメント結果に基づいたリスクマネジメントによる設備等の対策例

計器類を追加した例や配管の液封のリスクへの対策としてリリーフ弁を設置した。

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4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施によって得られた効果

・リスクアセスメントに取組、実施すること自体が従業員の勉強になる。

・追加安全対策の実施によるリスク低減が図られたこと。

・トラブルを想定する能力(感度)が上がった。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施した際の成功要因

・複数部門の参画(製造部門、保全部門、技術部門、保安部門)

・HAZOPリーダーのリーダーシップ

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に必要と考えられる事項

・管理、監督者の支援

・安全管理、安全技術に精通した人材

④ より効果的なリスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施するのに必要と考えられる事項

・ハザード及びリスクについての認識の共通化

・リーダー人材の育成(経験者を選任することとしているが、現状、リーダー人材を対象とした特

別な教育を行っていない。)

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に悩んだ点、失敗例

各部会での活動について、定期的に報告は行っているが、全従業員に周知する事が難しい。

・HAZOPの実効性 リスクにより起こりうる影響・結果の掘り下げが不十分

リスク評価の結果への違和感(リスクランク高すぎ)

・HAZOPの実施効率 検討すべきずれの多さ

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する教育体制について

1) 対象者

・連続系HAZOPの研修 初心者対象

・手順HAZOP, ESD HAZOP, What-If等の研修 主に経験者対象

2) 教育内容・方法

・所内の研修会は所内の実プラントまたは講師のモデルプラントを題材に実習している。ここ数年

は連続系HAZOP、非定常 HAZOP、What-ifをそれぞれ年1回実施している。

・外部の講習会等は必要に応じて参加(高圧ガス保安協会のリスクアセスメントガイドライン説明

会(Ver.1, Ver.2)、手順HAZOPによる非定常リスクアセスメント実践講座等)

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リスクマネジメント及びリスクアセスメント推進事業所事例紹介

Ⅰ 事業所の概要

1. 業種

E石油化学事業所

2. 取扱っている高圧ガス

ブタジエン

3. 高圧ガス保安法適用規則

コンビナート等保安規則

4. 高圧ガス事故件数

過去 5年で発生していない。

5. 事業所の従業員人数

① 事業所全体の従業員人数

約 220人

② 運転部門、保全部門、保安部門を担当する組織の人員数及び年齢構成

0

10

20

30

40

50

60

70

80

運転部門 工務部門 保安部門

60代

50代

40代

30代

~20代

(人)

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- 2 -

Ⅱ 調査内容

1.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施状況

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する企業・事業所のトップの認識

相互啓発型安全文化の醸成により、安定操業を確保する事で、構内労働災害ゼロ、保安事故・重大

トラブルゼロを達成する。

保安力向上、アラームマネジメント等のリスクマネジメントに先駆的に着手している。

② プロセス事故に関するリスクアセスメントの実施有無

全重合槽毎にHAZOPを実施している。

アラームマネジメントでHAZOPを実施しアラームの設定を行っている。

③ 労働安全衛生法第 57条の 3の規定に基づくリスクアセスメントの実施有無

46物質に対して実施している。

④ ISO9001:2015もしくは ISO14001:2015の認証取得の有無

ISO9001, 14001共に認証取得している。

2.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの具体的な運用方法について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの全体構成

・リスクマネジメント

事業所安全活動に関係する各部会による活動

アラームマネジメント、保安力、混触反応の危険性洗い出し

・リスクアセスメント

各重合反応槽別の定常 HAZOP及び非定常HAZOPを実施している。

また、新規設備導入や新規物質導入時には、必要に応じ定常 HAZOPを実施することとしている(変

更管理)。

※参考 プロセス安全;HAZOP、非定常HAZOP

化学物質 ;労安法 化学物質の RA

労働災害 ;被液、転落等の RA

② リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施のきっかけ

多くのベテラン社員退職に伴い、経験の浅い社員との交代の結果、製品品質関係のトラブルが増加

したことを契機に、2010年から取組を開始した。

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の頻度及びタイミング

2013年から開始した各重合反応槽別の定常 HAZOPは終了し、現在は非定常 HAZOPに取り組ん

でいるところ。

なお、新規設備導入や新規物質導入時には、変更管理において HAZOPを実施することとしている。

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- 3 -

この他、アラームマネジメントは、常時 PDCA をまわしデータ収集から監査まで実施することと

している。

④ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施体制

リスクアセスメントは、HAZOPについては、各現場スタッフ、現場直長、運転員及び他の現場ス

タッフと保安部門で実施している。

実施当初は、運転、保全、保安の三部門参加で実施していたが、現在は運転部門主体での実施体制

となっている。

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの対象設備及び対象選定の考え方

危険物、高圧ガス対象設備が主であるが、起業要領にて危険懸念のある設備全般を対象としている。

具体的には、定常時のリスクアセスメントについては各重合槽単位の製造施設を対象に、また、非定

常については、緊急遮断操作を対象としている。

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメント手法及びその手法の選定理由

HAZOP、非定常 HAZOPを選定しているが、リスクアセスメントガイドライン(Ver.2)を参考と

している。

ガイドラインを参考に取り組んで良かったと感じている。

⑦ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の事業所内での手続き等

保安管理マニュアルにて手法やリスクアセスメントガイドライン(Ver.2)に従って実施する等の

基本方針を定めている。また、起業要領に則り、各製造現場からのリスクアセスメント実施人員の決

定・実施、実施結果の収集・周知を行うこととなっている。

周知方法は、共有キャビネットにて閲覧ができ、結果はレビューし改善に繋げている。

3.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の資料等について

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

従業員へのヒアリング、他社事故事例など

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントにおいて実際に使用した判断基準及び判断基準の背

リスクアセスメントガイドライン(Ver.2)に示されているリスク解析、リスク評価の例の考え方

を参考としているが、従業員の経験や過去の実績を踏まえ、判断基準としている。

③ リスクアセスメント結果に基づいたリスクマネジメントによる設備等の対策例

アラームマネジメントの取り組みで、原料添加作業の定常 HAZOPにて液面アラームに関して

リスクを検出したので、トラブル防止のため液面アラーム設定を改善した。

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4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施によって得られた効果

自主保安意識の向上及び危険源の早期発見と対応が取れたこと。

類似事故の再発防止、新たな事故の発生防止に効果的である。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施した際の成功要因

トップの強い意思表示(安全意識)と事業所安全活動における各部会への浸透があったこと。

工場長が実際に現場を確認するとともに、事業所安全活動における各部会の活動成果について、3

ヶ月毎に工場長へ報告を行うこととしたこと。

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に必要と考えられる事項

マネジメントとしては、安全第一の思想と本活動を行う事による明確な将来性(価値創造)をイメ

ージすること。また、リスクアセスメントの実施については、知識と経験が重要となる。

④ より効果的なリスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施するのに必要と考えられる事項

定期的な見直し更新と他社や公共機関からの情報収集が必要である。

現在、定常HAZOPについては終了し、変更管理に関わる場合を除き今後の計画はない。親会社に

よる外部監査でも定期的な実施のあり方についての指摘を受けている。

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に悩んだ点、失敗例

各部会での活動について、定期的に報告は行っているが、全従業員に周知する事が難しい。

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する教育体制について

・対象者

各製造現場からの代表者に加え、保全部門、保安部門からも選出する。

アラームマネジメントに関しては、運転部門のオペレータの担任、班員が対象

・教育内容・方法

年代別や、手順別担当者毎といった細かな区分はなく、代表で外部講習、セミナーを受講した者が

中心となって、事業所内でケーススタディにより教育を実施する。

外部講習、セミナーとしては、(特非)安全工学会、(公社)化学工学会、高圧ガス保安協会等が開

催している講習等を活用している。

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リスクマネジメント及びリスクアセスメント推進事業所事例紹介

Ⅰ 事業所の概要

1. 業種

F産業ガス事業所

2. 取扱っている高圧ガス

液化炭酸ガス、冷媒(アンモニア、R22 等)

3. 高圧ガス保安法適用規則

コンビナート等保安規則

4. 高圧ガス事故件数

2003 年:1 件

2017 年:1 件

5. 事業所の従業員数

① 事業所の従業員数

約 50 名

② 部門別配置

0

5

10

15

20

25

運転部門 工務部門 保安部門

(人)

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Ⅱ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施事例

1.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施状況

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する企業・事業所のトップの認識

会社方針の1番目に「無事故・無災害の必達と安定操業の実現」を掲げており、設備の本質安全化

と変更管理強化の為、設計段階及び試運転前のリスクアセスメント強化、充実を指示している。

② プロセス事故に関するリスクアセスメントの実施有無

不活性である液化炭酸ガス製造が中心の為、製造工程中の反応危険性は無いと考えられるが、設

備の新規及び変更がある場合必ず安全審査会が開かれリスクアセスメントを行っている。

③ 労働安全衛生法第 57条の 3の規定に基づくリスクアセスメントの実施有無

該当なし

④ ISO 9001:2015もしくは ISO 14001:2015の認証取得の有無

各認証を取得しており、ISOにおける『リスク及び機会への取組』は、社内「品質マネジメントマ

ニュアル」にて品質マネジメントシステム(QMS)、「環境マネジメントマニュアル」にて環境マネ

ジメントシステム(EMS)を定め運用している。

2.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの具体的な運用方法について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの全体構成

社内規程『リスクアセスメント実施要領』で手順を以下のとおり定めている。

(手順1)実施の準備

(手順2)危険源の特定

(手順3)リスクの見積り

(手順4)リスクの評価

許容基準以下になっているか

↓(Yes) ↓(No)

終 了 リスクの低減対策

② リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施のきっかけ

親会社の指導による。

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の頻度及びタイミング

社内規程『リスクアセスメント実施要領』で実施のタイミングを以下のとおり定めている。

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・ 設備や原材料を新規に採用し、又は変更するとき。

・ 作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき。

・ その他、次に掲げる場合等、リスクに変化が生じ、又は生じる恐れのあるとき。

(ア) 労働災害が発生した場合であって、過去の調査等の内容に問題がある場合。

(イ) 前回の調査から一定の期間が経過し、機械設備等の経年による劣化、労働者の入れ替わ

り等に伴う労働者の安全衛生に係る知識経験の変化、新たな安全衛生に係る知見の集積等

があった場合。

その他、定例の危険点抽出活動(2回/月)を実施し、危険源の抽出を行っている。

④ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施体制

社内規程『リスクアセスメント実施要領』で実施体制を以下のとおり定めている。

・ 工場長は、実施を統括管理する。

・ グループの責任者は、自部門の実施を管理・推進する。

・ 各部長クラスが参加している環境安全衛生委員会の活用等を通じて、従業員を参画させる。

・ グループの責任者は、構成メンバーを必要に応じて決定する。

また、作業内容を詳しく把握している者や機械設備等の専門的知識を有する者を参画させる

ように努める。

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの対象設備及び対象選定の考え方

工場内全製造設備、工場内全ての現場が対象

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメント手法及びその手法の選定理由

中央労働災害防止協会の労働安全による手法を参考に加算法を採用

⑦ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の事業所内での手続き等

各グループでリスク評価一覧表を作成して、安全衛生会議等で総括安全衛生管理者へ定期的に報告。

総括安全管理者は許容出来ないリスクレベルの項目について具体的な対策を指示する。

3.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の資料等について

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料

実施手順が定められている社内規程『リスクアセスメント実施要領』において、(手順1)実施

の準備において、以下の情報の入手が定められている。

・ 作業標準、作業手順書等

・ 仕様書、MSDS等、使用する機械設備、材料等に係る危険性又は有害性に関する情報

(例:設備メーカー、工事業者等よりの資料及びヒヤリング、事故事例他)

・ 機械設備等のレイアウト等、作業の周辺の環境に関する情報

・ 作業環境測定結果等

・ 混在作業による危険性等、複数の事業者が同一の場所で作業を実施する状況に関する情報

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4

・ 災害事例、災害統計等

・ その他、実施にあたり参考となる資料

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントにおいて実際に使用した判断基準及び判断基準の背景

リスクの見積りにおいて使用する判断基準は以下のとおり。

各基準は以下のとおり。

『危険性・有害性に近づく頻度』

近づく頻度 評価点 基準

頻繁 4点 頻度 1日に1回程度

頻繁に立ち入ったり接近する。

方法 突然に、不意に、予期せぬ時に、無防備の状態で立

ち入ったり接近したりする。

時々 2点 頻度 週に1回程度

トラブル・修理・調整などで立ち入ったり・接近す

方法 一定ルールの基で、これを遵守しながら立ち入り・

接近することになっている。

滅多にない 1点 頻度 月に1回程度

一般的に危険領域に立ち入ったり接近する必要は殆

んどない。

方法 立ち入りあるいは接近が事前に判るので、周到に準

備したうえで実行する。

『危険性・有害性に近づく頻度』

『危険性・有害性に近づいた時にけがをする可能性』

『けがの程度』

『リスクポイント』

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『危険性・有害性に近づいた時にけがをする可能性』

けがの可能性 評価点 基準

確実である 6点 ハード 安全対策がされていない。表示や標識はあっても

不備が多い状態。

ソフト 安全ルールを守っていても、よほど注意力を高め

ないと災害につながる。安全ルールや作業標準す

らない状態。

可能性が高い 4点 ハード 防護柵や防護カバー、その他安全装置がない。た

とえあったとしても相当不備がある。非常停止や

表示・標識類は一通り設置されている。

ソフト 安全ルールや作業標準はあるが守りにくい。注意

力を高めていないとけがに繋がる可能性がある。

可能性がある 2点 ハード 防護柵や防護カバーあるいは安全装置等は設置さ

れているが、棚が低い隙間が大きい等の不備があ

る。危険領域への侵入や危険性又可能性がある。

2点は有害性との接触が否定できない。

ソフト 安全ルールや作業標準はあるが、一部守りにくい

ところがある。うっかりしているとけがに繋がる

可能性がある。

可能性はほと

んどない

1点 ハード 防護柵・防護カバー等で囲まれ、且つ安全装置が設

置され、危険領域への立ち入りが困難な状態

ソフト 安全ルールや作業標準等は設備されており、守り

やすい。特別に注意しなくてもけがをすることは

殆んどない。

『けがの程度』

けがの程度 評価点 評価 基準

致命傷

10点 死亡や永久的労働不能に繋

がるけが

永久障害を残すような重大

な健康障害程度

重症 7点 入院措置が必要又は長期療

養及び障害の残るけが

入院措置及び長期療養が必

要な健康状態

休業 4点 休業し診療施設等にて対処

する程度のけが

休業し診療施設等にて対処

する程度の健康障害

不休 3点 休業に至らないが診療施設

等にて対処する程度のけが

一過性で措置を必要とする

程度の健康障害

微小 1点

応急手当にて労働継続が可

能な程度のけが

軽い自覚症状程度以下の健

康障害

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『リスクレベル及びリスクポイント』

リスクレベル リスクポイント 評価 基準

Ⅴ 14 ~ 20 直ちに解決すべき問題

がある

直ちに中止又は改善す

Ⅳ 12 ~ 13 重大な問題がある 優先的に改善する

Ⅲ 9 ~ 11 かなり問題がある 見直しを行う

Ⅱ 6 ~ 8 多少問題がある 計画的に改善する

Ⅰ 3 ~ 5 安全衛生上の問題は殆

んどない

必要に応じてリスク低

減措置を実施する

リスクレベルが『Ⅴ』~『Ⅲ』の場合にはリスク低減対策が必要。

リスクレベルが『Ⅱ』~『Ⅰ』の場合は許容できるリスクレベル。

③ リスクアセスメント結果に基づいたリスクマネジメントによる設備等の対策例

新規設備導入時に実施

4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① 貴事業所(貴社)においてリスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施したことによって得

られた効果

・ 社員個々人の安全意識の向上

(1つの検討事例を事業所内へ水平展開することにより、視点が深くなったりリスク低減対策

に関するアイデアも挙がることが多くなった。)

・ 製造設備の安全性の強化

・ 工事安全管理の徹底

・ 製品品質向上

② 貴事業所(貴社)でリスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施した際の成功要因

・ 無事故・無災害必達の強い社内方針

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に必要と考えられる事項

リスクアセスメントを継続して実施すること

④ より効率的なリスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施するのに必要と考えられる事項

リスクアセスメント実施担当者の教育、スキルアップ

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に悩んだ点、失敗例

事故件数の減少といったように、リスクアセスメントを実施したことによる効果が現れれば良いが、

実際はリスクアセスメントを実施したことによる効果、速効性が不明である。

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7

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する教育体制について

1) 対象者

工場及び生産本部内から順次交替で講習会に出席

2) 教育内容・方法

外部講習:リスクアセスメントトレーナー講習(中災防)

グループ会社内講習会

以上

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リスクマネジメント及びリスクアセスメント推進事業所事例紹介

Ⅰ 事業所の概要

1. 業種

G産業ガス事業所

2. 取扱っている高圧ガス

イ事業所

液化酸素、液化窒素、液体空気、液化酸素+液化窒素の混合ガス、液化石油ガス、圧縮水素

ロ営業所

各種高圧ガス全般

3. 高圧ガス保安法適用規則

イ事業所

一般高圧ガス保安規則

液化石油ガス保安規則

ロ営業所

一般高圧ガス保安規則

液化石油ガス保安規則

4. 高圧ガス事故件数

過去 5年で発生していない。

5. 事業所の従業員人数

① 事業所全体の従業員人数

イ事業所

約 10名

ロ営業所

約 40名

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Ⅱ 調査内容

1.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施状況

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する企業・事業所のトップの認識

全社的にリスクアセスメントに取り組んでおり、リスクアセスメントは安全、安定供給に必要な取

り組みであると認識している。

② プロセスに関するリスクアセスメントの実施有無

イ事業所

リスクアセスメントを継続的に実施している。

ロ営業所

リスクアセスメントを実施していない。

③ 労働安全衛生法第 57条の 3の規定に基づくリスクアセスメントの実施有無

イ事業所

一部の物質について実施

ロ営業所

全ての物質について実施

④ ISO9001:2015もしくは ISO14001:2015の認証取得の有無

ISO9001, 14001共に認証取得している。

イ営業所

ISO14001のみを認証取得している。

ロ営業所

ISO9001, 14001共に認証取得していない。

2.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの具体的な運用方法について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの全体構成

・リスクマネジメント

親会社の保安部門主導に運営している。

・リスクアセスメント

「リスクアセスメント基本実施要領」に定めて実施しており、その構成は、1.実施体制、2.実

施期間、3.対象物の選定、4.情報の入手、5.リスク低減策の効果の確認、6.管理・記録 で

ある。

リスクアセスメントの実施について、報告するような規定にはなっていないが、実施状況は保安部

門による内部監査にて確認している。

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② リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施のきっかけ

イ事業所

工事施工前の危険性を認識するために取り組み始めた。

法改正、親会社の指導のよるところもきっかけに一つである。

ロ営業所

法改正及び親会社の指導のより取り組み始めた。

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の頻度及びタイミング

イ事業所

年 2回以上実施している。

ロ営業所

新規導入時及び設備変更時に実施している。

④ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施体制

イ事業所

事業所長を頂点にリーダーを中心に全従業員により実施している。

ロ営業所

事業所長をトップに営業担当 3名にて実施している。

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの対象設備及び対象選定の考え方

リスクアセスメントの対象は設備全てである。グループ会社全社が対象。作業に対するリスクア

セスメントが多く、プロセスに対するリスクアセスメントは行っていない。ただし、ガス漏れの

発見、高圧ガス搬送中の事故等は存在する。

イ事業所

現状業務フロー等から抽出して対象設備等を選定している。

ロ営業所

対象設備及び対象選定の考え方はない。

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメント手法及びその手法の選定理由

イ事業所

親会社の基準に基づき実施している。

ロ営業所

親会社の基準に基づき実施している。

⑦ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の事業所内での手続き等

イ事業所

事業所内のみに周知し、親会社への報告は実施していない。

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ロ営業所

リスクアセスメント実施の結果等は営業所内にて回覧又は掲示している。また、親会社へ報告し

ている。

3.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時の資料等について

① ハザードの特定を行う際に参考とした資料例

なし。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントにおいて実際に使用した判断基準及び判断基準の背

判断基準として、負傷又は疾病重篤度(4段階)、頻度(4段階)、可能性(4段階)の3要素の加

点法からリスク評価(4段階)を行っている。

③ リスクアセスメント結果に基づいたリスクマネジメントによる設備等の対策例

現在のところない。

4.リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施の効果について

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施によって得られた効果

イ事業所

ゼロ災の継続が長期間続いている。

新人教育に活用でき安全意識の向上に寄与した。既存のスタッフには安全意識を再認識できるツ

ールとなっている。

ロ営業所

高圧ガスの取扱いに対する安全意識が向上した。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施した際の成功要因

イ事業所

安全目標を掲げ、達成に向けて継続的にリスクアセスメントを実施したこと。

ロ営業所

考えられる要因は不明である。

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に必要と考えられる事項

イ事業所

現場で実作業に携わり、その作業を把握したスタッフの全員参加が必要と考える。

過去にリスクアセスメントを実施した記録も必要。

ロ営業所

必要と考えられる事項は不明である。

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④ より効果的なリスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施するのに必要と考えられる事項

イ事業所

2ヶ月に 1回の全員参加の会議にて実施する。また、日常の引き継ぎの際に実施する。

ロ営業所

効果的なものは不明である。

⑤ リスクマネジメント及びリスクアセスメント実施時に悩んだ点、失敗例

イ事業所

現在のところない。

ロ営業所

現在のところない。

⑥ リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する教育体制について

・対象者

イ事業所

各事業所から代表者を選出する。

ロ営業所

所長、担当者

・教育内容・方法

イ事業所

事業所の代表者を一所に収集し、研修会にて手法を学習する。その後、その代表者が講師となって、

事業所において具体的な事例について、OJTの一環としてリスクアセスメントを実施する。

ロ営業所

親会社の指導に基づいて、営業所にて取扱う高圧ガスのリスクアセスメントについて代表者が実施

する。

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リスクマネジメント及びリスクアセスメント課題ヒアリング

Ⅰ 事業所の概要

1. 業種

H・LPガス関係事業所(2次基地)

2. 取扱っている高圧ガス

プロパン、ブタン

3. 高圧ガス保安法適用規則

コンビナート等保安規則、液化石油ガス保安規則

4. 高圧ガス事故件数

過去 5年で発生していない。

5. 事業所の従業員人数

① 事業所全体の従業員人数

17人

② 運転部門、保全部門、保安部門を担当する組織の人員数及び年齢構成

運転部門 12名(20代後半~60代)

保全・保安部門 4名(30代~50代)

※事業所の平均としては 40代中心の年齢構成

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Ⅱ 調査内容

1.リスクマネジメント及びリスクアセスメントに対する認識

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する企業・事業所のトップの認識

労働安全衛生法でのリスクアセスメントの義務化を受け、親会社からグループ会社に対して対応、

取り組み方針について指示があり、これに伴い取り組みを開始したところ、また、この機会に併せて

爆発、火災などに対してのリスクアセスメントにも取り組むこととした。なお、事業所の高圧ガス製

造プロセスは化学反応等のない工程であるため、設備の新設や運用変更の機会を捉えてリスクアセス

メントを実施していくこととしている。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントの内容に関する認識の有無

・労働安全衛生法でのリスクアセスメント実施の義務化を契機に高圧ガスの関係についてもリスク

アセスメントを実施することとしたが、これまでの保安実績等から、設備の新規導入時に実施す

ることとした。

実績として、圧縮機新設時に初めてリスクアセスメントを実施した。

・実施メンバーは、保全・保安部門(保安部)の課長をリーダーとして、保安部、運転部門(製造

部)から各 1名の合計 3名としている。

・リスク算定では、発生頻度と影響度それぞれ 5つに分類している。

表 発生頻度と影響度の分類(概要)

発生頻度 事故の重篤度

人的 経済的(千円)

0 考えられない

0 無傷 0 なし

1 まず起こりえない

(1回/10年) Ⅰ 軽微 Ⅰ ~100

2 起こりそうにない

(1回/数年) Ⅱ 中程度 Ⅱ 100~1,000

3 時々発生

(1回/年) Ⅲ 重傷 Ⅲ 1,000~10,000

4 しばしば発生

(1回/月) Ⅳ 致命的、死亡 Ⅳ 10,000~

・設備等の低減対策に関しては、放出管開口部の向きの見直しを行った。

・LP ガス(プロパン、ブタン)のみの取扱いであり、かつ、高圧ガスの製造プロセスとしても充

塡作業の工程のみであったため、初めてでも比較的取り組みやすかった。

・法律で義務化された労働安全衛生法のリスクアセスメントの延長から取り組むと導入し易いかも

しれない。

・親会社の支援(関係資料や研修会の実施)が適切だった。研修会については、親会社によるもの

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が年 1回開催される他、事業所の従業員が親会社の方に出向く研修会も年数回開催されている。

・行政、関係団体等が開催する外部の講習会も活用している。各種講習会の資料等は有効に活用で

きる。

・法定義務講習の機会などを利用することは、間口としてはいいかもしれない。

・行政が開催するセミナーは、事業所の規模で分けて実施している。

2.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施に対する課題

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの導入計画の有無

・設備の新規導入時に実施する。

・まず、実施してみたという状況であり、関係の規程類整備が今後の課題

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施する上での課題

・ハザードの考え方、リスク算定(影響度、発生確率など)をどこまで対象に、どこまで詳細に考

えればよいのか判断できない。

・外部の講習会などは、有効に活用できる面もあるが、高圧ガス製造事業所の規模や事業形態別な

どといった細分化された内容のものがあるとより参考、有効に活用できると考える。

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの代替措置

特になし。

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リスクマネジメント及びリスクアセスメント課題ヒアリング

Ⅰ 事業所の概要

1. 業種

I・LPガス関係事業所(充塡所)

2. 取扱っている高圧ガス

プロパン、ブタン

3. 高圧ガス保安法適用規則

液化石油ガス保安規則

4. 高圧ガス事故件数

過去 5年で発生していない。

5. 事業所の従業員人数

① 事業所全体の従業員人数

約 60人(本社、充塡所及び営業所の合計 充塡所は約 30名)

② 運転部門、保全部門、保安部門を担当する組織の人員数及び年齢構成

充塡所の組織は、運転部門、保全部門の他、配送、営業、管理の各部門により構成

参考)事業所全体の主な年齢構成

20代(15%)、30代(18%)、40代(18%)、50代(23%)、60代以上(13%)

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Ⅱ 調査内容

1.リスクマネジメント及びリスクアセスメントに対する認識

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する企業・事業所のトップの認識

企業経営には色々なリスクがあることを認識している。充塡所の高圧ガスの設備にも様々なリスク

があり、リスク低減のための諸施策(作業手順の規定化、補修の適切な実施等)に取り組んでいる。

LP ガスの配送業務に関連して車両、運行管理に関するリスクも重要と認識している。また、地域

の中核充塡所として地震対策等に関する BCPの検討なども実施している。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントの内容に関する認識の有無

・同業の他事業者より、リスクアセスメント導入の情報等得たことを契機に、自事業所でもその必

要性を認識し、2017年から取り組み始めたところである。

・リスクアセスメントの対象は、バルクローリへの積み込み作業及び充塡所の作業の作業手順とし

ている。

・内容は、労働安全衛生法の観点が強いものであるが、液封、ポンプの空運転などのプロセスリス

クについても一部盛り込まれている状況である。

・製造部門の中堅従業員(課長クラス)が、一般社団法人東京技能者協会「改訂版 職長・安全衛

生責任者の手引き ―リスクアセスメントを導入した―」を参考に、自主的に作業手順ベースの

リスクアセスメントを実施し、その結果をとりまとめた。

・とりまとめ結果を製造部門の他従業員に展開し、ベテランを含めた複数の従業員によるチェック

を行い、アドバイスを得て、改善を図った。

・設備等の低減対策に関しては、ハード対策はなく、基本の操作確認、指差呼称の徹底などのソフ

ト対策のみとなっている。

2.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施に対する課題

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの導入計画の有無

1.②をきっかけに、まず実施してみたという状況である。

実施に関しては、繁忙期などの合間をやりくりし、実施した。また、その実施については、全従業

員に理解され、リスクアセスメントの必要性などについても共有されている。

経営層も良い取り組みと理解、積極的な姿勢を評価しているが、本格的な導入計画の検討までには

至っていない。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施する上での課題

・ハザードの考え方、リスク算定(影響度、発生確率など)をどこまで対象に、どこまで詳細に考

えればよいのか判断できない。

・自らが実施したリスクアセスメントの内容の妥当性の判断ができない。

第三者に妥当性について確認してもらう必要性は感じている。また、その様な機会があると良い

かもしれない。

・同業他社のリスクアセスメントの取り組み状況について情報を得たい。特に、実施事例の情報が

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得られると参考になる。

・リスクアセスメントに関係するセミナー等には、充塡所の繁忙期を除けば、従業員を参加させる

考えはある。

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの代替措置

特になし。

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リスクマネジメント及びリスクアセスメント課題ヒアリング

Ⅰ 事業所の概要

1. 業種

J充てん所及び容器再検査所

2. 取り扱っている高圧ガス

(製造)酸素、窒素、アルゴン、炭素、水素、2種混合

(貯蔵)同上、アセチレン、混合ガス類

3. 高圧ガス保安法適用規則

一般高圧ガス保安規則

4. 高圧ガス事故件数

過去5年で発生していない。

5. 事業所の従業員人数

① 事業所全体の従業員人数

総数36人

② 運転部門、保全部門、保安部門を担当する組織の人員数及び年齢構成

運転部門(設備管理含む) 16人

年齢は、最年少で30代。40~50代が主力(平均年齢43才)。

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Ⅱ 調査内容

1.リスクマネジメント及びリスクアセスメントに対する認識

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントに関する企業・事業所のトップの認識

グループの親会社(三社のうち二社)より、リスク管理の実施を指示された。そのため、現状の

リスク管理実施状況について確認したところ、特段、実施していなかった(現トップは、昨年より

就任)。今後は、リスクの洗い出し、評価、その対策などを実施する予定。

とくに、リスク管理に関する活動を通じて、単なるマニュアル整備になることなく、従業員の労

働意識の改革へとつなげたい。

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントの内容に関する認識の有無

・現場に於ける保全・安全活動(KY・ヒヤリハット・安全衛生委員会活動等)にとどまっており、

今後、工場長を委員長とし、現場での従業員を中心としたリスクマネジメント委員会を実施し、従

業員全体(事務業務職の従業員を含め)に自らの問題、取り組むべき課題としてその認識を広める

予定。

・リスクを「事象内容」「具体的影響」及び「発生箇所」に分類した立体マトリックスの考え方での

展開を構想

事象内容 a) 事故・火災等のリスク b) 製品事故等のリスク c) クレーム補償等のリスク、

d) 職場環境の乱れ等のリスク)

具体的影響 a) 操業停止 b) 生産性の低下 c) 従業員への健康被害

発生箇所 a) 工場内各部署(生産現場、容器置場、構内通路、アクセス部位、外部)

b) 所内事務業務、インターネットアクセス、文書管理

2.リスクマネジメント及びリスクアセスメントの実施に対する課題

① リスクマネジメント及びリスクアセスメントの導入計画の有無

・グループ親会社の担当部門とのヒアリングを経て、計画する予定(現在は、計画段階)。

・2019 年 4 月から 9 月迄を準備期間としてリスクアセスメントに対する基礎的な部分の意識付けを

行う。

・2019年 10月から具体的な活動実施に移る予定

・当面は、就業時間外 1時間の残業を作業時間として各人が対応していく予定

・対象は業務全般

・用いる手法は現在のところ未定

② リスクマネジメント及びリスクアセスメントを実施する上での課題

・現場に潜む潜在危険性の表示ができていない(意識がない)のが現在の従業員の認識

リスクの認識不足によって、潜在リスクがあるにも関わらず、当たり前にやってしまっている。報

告を怠るなどの雰囲気がある。

・現場を良くするための DIY のような草の根活動について理解を示し、当然、会社が費用負担する

などして、従業員のやる気を育てたい。

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・継続的、かつ効果的な実施について、最初の 1~2 年は成果が期待されるが、以降の実施を課題と

考えている。そのため、グループ他事業所との交流を通じて、自らの取り組み内容等について報告

するようなことも考えている。

③ リスクマネジメント及びリスクアセスメントの代替措置

・危険予知活動、ヒヤリハット活動などは実施していた。

・現工場長は、2018 年 7 月に着任しているが、これらの取り組みが効果的で、従業員の保安意識高

揚等につながっていたかどうかとの点には反省点があると認識しており、これらも踏まえ、リスク

マネジメント、リスクアセスメントに取り組んでいく考えである。

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添付資料Ⅲ

ハザードリスト

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No. 規則等 整理番号 事故名称 大分類 小分類 ハザード① ハザード状態 ハザード② ハザード事象

131 コンビ 2014-211キャビテーションによりポリブタジエン設備からブタジエンが逆流し爆発 運転 プロセスパラメータ アラーム(液面計) アラーム見落とし ポンプのキャビテーション

19 コンビ 2006-231常圧蒸留/接触改質装置安全弁放出配管の火災 運転 高温運転 安全弁作動 分解反応(作動後) 放出管破損

24 コンビ 2006-369 ポリマー樹脂製造設備の火災事故 運転 反応器温度調整 安全弁作動 放出管 固形内容物放出

102 コンビ 2012-106 レゾルシン製造施設の爆発、火災 運転 緊急停止 インターロック解除 窒素供給停止 爆発

14 コンビ 2005-335 酢酸ビニル製造施設の爆発・火災 運転 検査 インターロック解除 酸素供給 爆発

69 コンビ 2009-119液封による緊急遮断弁のボンネットフランジからの漏えい 運転 原料切替え 液封 操作手順(不備) 漏えい③

55 コンビ 2008-533 アンモニア処理装置の破裂 運転 容器加温 液封 作業手順(不備) 破裂

93 コンビ 2011-386 塩化ビニルモノマー製造施設の爆発火災 運転 緊急停止 温度監視(不十分) 異常反応 爆発

72 コンビ 2009-202 蒸発塔の原油入口配管からの漏えい 運転 プロセスパラメータ 温度上昇 エロ-ジョン/コロージョン 減肉開口

117 コンビ 2013-163ポリブテン製造装置の冷却器の安全弁作動によるアンモニア漏えい 運転 プロセスパラメータ 温度上昇 冷却不足 安全弁作動

38 コンビ 2007-151 空気液化分離装置の外壁の損傷 運転 スタートアップ サンプリング 作業手順(不備) 設備損傷

43 コンビ 2007-675メタノール蒸発加熱器のチャンネルフランジからの漏えい 運転 スタートアップ 締結管理 温度低下 締結力低下

144 コンビ 2015-399液化塩素ローリ受入時のホースフランジ部からの塩素ガス漏えい 運転 受入 バルブ操作 開閉忘れ 漏えい③

108 コンビ 2012-334 除害装置からの塩素漏えい 運転 除害 バルブ操作 操作パネル(破損放置),開閉忘れ 漏えい③

49 コンビ 2008-300ポリカーボネート製造装置ベントスタックから塩素ガスが漏えい 運転 スタートアップ バルブ操作 開閉忘れ 漏えい③

127 コンビ 2014-038圧縮機のスタフィンボックスのアクリル板が破損し、LPガス漏えい 運転 スタートアップ バルブ操作 開閉忘れ アクリル板破損

65 コンビ 2009-041電解プラントの塩素ガス除害塔から塩素ガスが漏出 運転 スタートアップ バルブ操作 誤開閉 漏えい③

97 コンビ 2012-065ブタジエンの荷役準備作業中の操作ミスによる漏えい 運転 タンカーへの払出 バルブ操作 誤開閉 漏えい③

36 コンビ 2007-123接触改質装置熱交換器の上流配管の腐食、漏えい 運転 ��配管 水注入 エロ-ジョン/コロージョン(凝縮水) 減肉開口

16 コンビ 2006-082 減圧軽油脱硫装置/第一水素製造装置の爆発 運転 炭酸ガス吸収塔セパレータ 水注入 エロ-ジョン/コロージョン 減肉開口

89 コンビ 2011-260オクタノールプラントの加熱炉入口配管からの炭酸ガス漏えい 機器 ��配管 T継手 流体の合流(温度変動) 疲労き裂

77 コンビ 2010-166接触改質装置の反応塔の配管接続部からの火災 機器 ��配管 T継手(枝管) スタートアップ時の熱変形 低サイクル疲労

137 コンビ 2014-372接触改質装置の改質反応器ボトム配管からのナフサ、LPガス漏えい火災 機器 ��配管 T継手(枝管) スタートアップ時の熱変形 穴補強 低サイクル疲労

70 コンビ 2009-142高圧法ポリエチレン製造設備の配管溶接部から漏えい 機器 バイパス��配管 T継手(枝管) 施工不良 疲労き裂

44 コンビ 2007-705ブタンコアレッサー入口配管のベントノズルの破断 機器 ��配管 安全弁作動 振動(作動後) 振動 ベントノズル破断

13 コンビ 2005-241メチルセルロース製造施設から有機混合ガスの漏えい 機器 ��配管 行き止まり配管 塩化物応力腐食割れ 異物 割れ

105 コンビ 2012-165灯軽油水添脱硫装置の配管からの炭化水素漏えい 機器 ��配管 行き止まり配管 塩酸腐食 減肉開口

92 コンビ 2011-351 潤滑油製造装置の配管溶接部からの漏えい 機器 ��配管 行き止まり配管 湿潤硫化物腐食 減肉開口

30 コンビ 2006-528ストリッパーの液面計ノズルの孔食からスチーム+炭化水素が漏えい 機器 液面計(ノズル) 行き止まり配管 湿性硫化物腐食 保温材 ピンホール

35 コンビ 2007-108液化炭酸ガス製造施設の計装導圧管からの漏えい 機器 計装導圧管 行き止まり配管 炭酸腐食(炭素鋼) 材料(炭素鋼) ピンホール

53 コンビ 2008-449 アルキレーション装置におけるLPG漏えい 機器 スチームパージ用配管 行き止まり配管 硫酸水溶液腐食 異物 減肉開口

120 コンビ 2013-197 熱交換器出口配管からの硫化水素漏えい 機器 熱交換器(配管) エルボ配管 エロ-ジョン/コロージョン 減肉開口

6 コンビ 2004-195 配管の内部腐食による液化石油ガスの漏えい 機器 ��配管 エルボ配管 塩酸腐食(凝縮水) 減肉開口

ハザードリスト(KHK事故報告書からの解析結果)

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No. 規則等 整理番号 事故名称 大分類 小分類 ハザード① ハザード状態 ハザード② ハザード事象

ハザードリスト(KHK事故報告書からの解析結果)

64 コンビ 2009-037脱ブタン塔エアフィンクーラーのヘッダーカバーからのガソリン漏えい 機器 エアフィンクーラー(ヘッダーカバー) ガスケット 片締め 締結力低下

111 コンビ 2012-378アンモニア過熱器の上部フランジ部からのアンモニア漏えい 機器 過熱器(フランジ) ガスケット 材質変更 材料(材質変更) 漏えい②

143 コンビ 2015-308 圧力計上部ねじ接続部からの水素漏えい火災 機器 ねじ継手 ガスケット ガスケットの2枚重ね 材料 ガスケット面圧低下

121 コンビ 2013-207 移送配管のフランジからのLPガス漏えい 機器 配管(フランジ) ガスケット 開放時の錆付着 異物 ガスケット損傷

142 コンビ 2015-264フランジ式継手からのイソヘキサン、メタノール漏えい 機器 バッフルホルダー(フランジ) ガスケット 組込み不良 ガスケット破断

17 コンビ 2006-105 リボイラチャンネルフランジ付近の火災 機器 リボイラー(フランジ) ガスケット 材質変更 材料(材質変更) 漏えい②

1 コンビ 2003-041 FTZ式接触脱ろう装置の火災 機器 熱交換器(フランジ) ガスケット(SUS321) 塩化物応力腐食割れ 材料(塩化物応力腐食割れ) ガスケット破断

73 コンビ 2009-246水酸化テトラメチルアンモニウム製造施設のフランジ部からの漏えい 機器 フランジ ガスケット(材質変更) 誤使用 材料(誤使用) 漏えい②

56 コンビ 2008-540 高級アルコール製造施設のフランジ部の火災 機器 フランジ ガスケット(材質変更) 誤使用 材料(誤使用) 漏えい②

90 コンビ 2011-307高圧法ポリエチレン及びアイオノマー樹脂製造装置の反応器出口配管からのエチレン漏えい 機器 配管(フランジ) ガスケット(自緊式) 反応停止による温度低下 漏えい②

128 コンビ 2014-161反応器のマンホールフランジからブタジエンなどが漏えい 機器 フランジ ガスケット(材質変更) 重合物(スチレン)生成 材料(材質変更) ガスケットの割れ

87 コンビ 2011-189 常圧蒸留装置の計装機器連通管からの漏洩 機器 計装機器連通管 管下部のデッド部 アルカリ応力腐食割れ デッドスペース 割れ

123 コンビ 2013-228液面計の高圧側バルブグランド部からのアンモニア漏えい 機器 液面計バルブ グランドパッキン 数段重ね 漏えい②

84 コンビ 2011-078 LPG球形貯槽の倒壊による火災及び爆発 機器 球形貯槽(支持構造物) 鋼管ブレース 地震 満水状態 倒壊

5 コンビ 2004-113 第1重油脱硫装置加熱炉の火災 機器 加熱炉(加熱管) コーキング 温度上昇 クリープ破断

98 コンビ 2012-072酸化エチレン放散塔の塔頂配管からの酸化エチレン漏えい 機器 ��配管 支持構造 振動 振動 疲労き裂

107 コンビ 2012-318 反応器のメカニカルシールからの漏えい 機器 反応器 自然災害(落雷) メカニカルシールの機能喪失 漏えい②

124 コンビ 2013-255ポンプ吸入配管のドレンノズル取付け部からのアンモニア漏えい 機器 配管(ポンプ) 小口径管(ドレンノズル) 振動 振動 疲労き裂

47 コンビ 2008-151 酸素圧縮機軸シール部付近の溶損 機器 圧縮機 振動 起動手順(逸脱) 軸シール部溶損

78 コンビ 2010-221減圧軽油水素化脱硫装置の水素ガス圧縮機からの水素漏えい 機器 圧縮機 振動 締結管理 ボルト破断

10 コンビ 2004-406 酸素圧縮機の溶損 機器 圧縮機 振動 締結管理 ボルト破断

32 コンビ 2007-068 高圧圧縮機からエチレンガスの漏えい 機器 圧縮機 振動 締結管理 プランジャー破損

112 コンビ 2012-380ポリエチレン製造施設の圧縮機周辺からのエチレン漏えい 機器 配管(圧縮機) 振動 支持架台 疲労き裂

68 コンビ 2009-070常圧蒸留装置にある蒸発塔の塔底油ポンプの火災 機器 電動機 振動 軸受け交換周期(不良) 軸受け破損

130 コンビ 2014-190 熱交換器の伝熱管からの塩素漏えい 機器 熱交換器(伝熱管) 水質管理 温水環境 腐食減肉開口

46 コンビ 2008-095 精留塔からのブタンガス漏えい 機器 精留塔 耐酸レンガ 目地の劣化 クラッド鋼腐食

26 コンビ 2006-380 水素ガス圧縮機の現場監視盤の火災 機器 圧力計(圧縮機) 継手(ユニオン) 湿性硫化物腐食 ピンホール

109 コンビ 2012-335 ユニオン部からのモノシラン漏えい 機器 容器(元弁) 継手(ユニオン) 締結不十分 締結管理 漏えい②

139 コンビ 2015-189医療用酸素容器ユニットを充填中の酸素漏えい火災 機器 充塡ホース(継手) 継手(ワンタッチ式) Oリングの接触不良 Oリングの割れ

42 コンビ 2007-500第3潤滑油水素化精製装置からの水素等漏えい事故 機器 チャンネルフランジ 締結管理 ホットボルティング 漏えい②

83 コンビ 2011-052脱エタン塔加熱用熱交換器のフランジ部からの漏洩 機器 熱交換器(フランジ) 締結管理 トルク管理なし 漏えい②

40 コンビ 2007-364熱交換器及び除害設備からの毒性ガスの漏えい 機器 熱交換器(フランジ) 締結管理 トルク管理なし 漏えい②

28 コンビ 2006-403直接脱硫装置熱交換器のチャンネルフランジからの漏えい 機器 熱交換器(フランジ) 締結管理 トルク管理なし 漏えい②

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No. 規則等 整理番号 事故名称 大分類 小分類 ハザード① ハザード状態 ハザード② ハザード事象

ハザードリスト(KHK事故報告書からの解析結果)

25 コンビ 2006-373 リボイラチャンネルフランジからの漏えい 機器 リボイラー(フランジ) 締結管理 ホットボルティング 漏えい②

118 コンビ 2013-175空気液化分離装置からの液化ガス漏えい、破損 機器 ��配管 デッド配管 起動停止の熱サイクル 疲労き裂

113 コンビ 2013-017 自主検査中における弁からのアンモニア漏えい 機器 バルブ デッドバルブ グランドパッキンの硬化 デッドスペース 漏えい②

37 コンビ 2007-150水添脱硫装置における生成油凝縮器(エアフィンクーラー)からの漏えい 機器 エアフィンクーラー(伝熱管) 伝熱管 エロ-ジョン/コロージョン 異物 減肉開口

34 コンビ 2007-107接触改質装置における空冷式熱交換器からの漏えい 機器 熱交換器(伝熱管) 伝熱管 全面腐食 ピンホール

103 コンビ 2012-120重油直接脱硫装置の熱交換器チューブからの漏えい 機器 熱交換器(伝熱管) 伝熱管 硫化アンモニウム腐食 腐食減肉開口

136 コンビ 2014-351空気分離装置放液溜の破裂による周辺機器及び配管の破損 機器 放液溜 凍結 圧力上昇(気化) 破裂

21 コンビ 2006-305 ドレン抜き配管からのLPガス漏えい 機器 配管(ドレン抜き) ねじ込み式継手 湿性硫化物腐食 ねじ込み式継手の折損

58 コンビ 2008-603水素ガス製造設備における配管溶接部からの漏えい 機器 配管 パージ配管(炭素鋼) カーボネイト応力腐食割れ 材料(炭素鋼) 割れ

95 コンビ 2011-453コンプレッサーのクランク室オイルゲージ取付部からのアンモニア漏えい 機器 圧縮機 バルブ操作 誤開閉(使用しない場合は閉止) 漏えい③

138 コンビ 2015-122 フレキシブルチューブからのアンモニア漏えい 機器 充塡ホース フレキシブルチューブ(金属) 曲げ変形の繰り返し 疲労き裂

119 コンビ 2013-192リターンガス回収用フレキシブルチューブからの炭酸ガス漏えい 機器 ローリー用ホース フレキシブルチューブ(金属) 曲げ,捩り 疲労亀裂

114 コンビ 2013-066塩酸蒸留塔に接続されたホースからの塩化水素などの漏えい 機器 接続ホース フレキシブルホース(樹脂) 誤使用(材料) 材料(誤使用) ホース破断

129 コンビ 2014-186附属冷凍設備の凝縮器接続配管からのLPガス漏えい 機器 配管(床貫通部) 防音材 雨水浸入 腐食減肉開口

86 コンビ 2011-159 炭酸ガス吸収塔からの漏えい 機器 ��配管 保温材 雨水浸入 腐食減肉開口

31 コンビ 2007-009ブタジエン受け入れ配管の外面腐食による漏えい 機器 ��配管 保温材 雨水浸入 腐食減肉開口

141 コンビ 2015-214蒸留塔ボトム配管のドレン弁ノズルからのプロセス流体漏えい 機器 ��配管 保温材 雨水浸入 腐食減肉開口

104 コンビ 2012-127 水素製造装置の配管から水素が漏えい 機器 ��配管 保温材 塩化物溶出 塩化物応力腐食割れ

76 コンビ 2010-028 液化炭酸ガス容器の充填用ラインからの漏えい 機器 ��配管 保温材 結露 腐食減肉開口

29 コンビ 2006-457 水素供給配管の外面腐食による水素の漏えい 機器 ��配管 保温材 塗装(不適切) 腐食減肉開口

101 コンビ 2012-103 圧縮機の軸受部からの水素漏えい 機器 ��配管 保温材 保温材水分吸収 腐食減肉開口

94 コンビ 2011-445コンタクターのシールオイルドレンボス溶接部からの漏えい 機器 コンタクター(低温機器) 保温材 結露 ピンホール

59 コンビ 2008-625アンモニア製造施設ナフサ改質炉のクリープ破断 機器 配管(改質炉) 保温材 温度上昇 クリープ破断

66 コンビ 2009-057 フィード配管の外面腐食による漏えい 機器 配管(フランジ) 保温材 雨水浸入 腐食減肉開口

12 コンビ 2005-038 応力腐食割れによるライトナフサの漏えい 機器 反応管(フランジ) 保温材 結露 塩化物応力腐食割れ

79 コンビ 2010-229接触改質装置の第一反応塔フランジからの漏えい、火災 機器 反応塔(フランジ) 保温材 温度上昇 締結力低下

91 コンビ 2011-340灯軽油水添脱硫装置の圧力計導圧管からの漏洩 機器 圧力計(導圧管) 曲げ加工管 湿性硫化物腐食 材料(湿性硫化物腐食) 減肉開口

126 コンビ 2013-282接触改質装置のサンプリング配管からのナフサ漏えい、火災 機器 サンプリング配管 溶接欠陥(ブローホール) 温度変動 疲労亀裂

7 コンビ 2004-291 フルオロカーボン製造施設から塩酸等の漏洩 機器 ��配管 ライニング配管(炭素鋼) フッ酸によるライニングの割れ 減肉開口

2 コンビ 2003-213製油所におけるエロージョン・コロージョンによる火災 機器 配管(マンホール) 乱流 エロ-ジョン/コロージョン 減肉開口

54 コンビ 2008-527プロピレン冷凍圧縮機吐出ドレン配管からの漏えい 機器 配管(圧縮機) 小口径管(ドレン配管) 振動 振動 疲労き裂

41 コンビ 2007-463高圧法ポリエチレン製造施設の流量調整弁付近の火災 機器 ��配管 小口径管(ブローノズル) 振動 振動 疲労き裂

15 コンビ 2006-059 CE配管の破断によるアルゴン漏えい 機器 配管 配管レデューサ 起動停止の熱サイクル 低サイクル疲労

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No. 規則等 整理番号 事故名称 大分類 小分類 ハザード① ハザード状態 ハザード② ハザード事象

ハザードリスト(KHK事故報告書からの解析結果)

75 コンビ 2010-019シクロヘキサン凝縮用コンデンサー出口配管からの漏えい 材料 ステンレス鋼(JIS規格外) 鋭敏化熱処理 規格外成分 塩化物, 材料(ステンレス鋼) 応力腐食割れ

100 コンビ 2012-092低温液化天然ガス貯槽の安全弁パイロットラインからの漏えい 材料 ステンレス鋼(SUS304) 鋭敏化熱処理 塩化物 材料(ステンレス鋼) 応力腐食割れ

20 コンビ 2006-303反応器出口配管から炭化水素、水素が漏えい(その1 その2) 材料 ステンレス鋼(SUS316) 塩素と生成水の環境 塩化物 応力腐食割れ

81 コンビ 2010-254ナフサ水素化精製装置の脱酸素塔LPガス供給配管からの漏えい 材料 炭素鋼 塩素と生成水の環境 塩酸腐食(凝縮水) 減肉開口

61 コンビ 2009-013 高級アルコール製造施設反応器からの漏えい 材料 クラッド鋼(爆着) 加工誘起マルテンサイト変態(SUS304) 水素環境 材料(ステンレス鋼) 水素脆化

82 コンビ 2010-293 塩酸放散塔の液面計からの漏えい 材料 ライニング コーティング(誤施工) コーティングの割れ 腐食減肉開口

57 コンビ 2008-571パイロット反応装置から炭化水素、水素の漏えい 材料 温度計保護管(材料) ステンレス鋼(SUS316) 塩化物環境 塩化物応力腐食割れ

88 コンビ 2011-258 水素充てん設備の圧力計用導圧管からの漏洩 材料 ステンレス鋼 飛散物の外面付着 塩化物腐食 減肉開口

51 コンビ 2008-362 吸収槽からプロピレンが漏えい 材料 ステンレス鋼(SUS304) 飛散物の外面付着 塩化物 外面腐食

80 コンビ 2010-250 液体塩素精留塔への塩素供給配管の火災 材料 充塡物(ステンレス鋼) 不働態皮膜 充塡物の発熱反応 減肉開口

110 コンビ 2012-350 高圧ガス容器の混合液廃棄中の火災 作業 計画外作業 可燃性ガスの廃棄 静電気による着火 火災

11 コンビ 2004-412 ドレン切り作業中の火災 作業 ドレン抜き ドレン抜き 作業手順(不備) 噴出

85 コンビ 2011-113高圧ポリエチレンプラントのドレン抜作業中の火災 作業 ドレン抜き ドレン抜き ペール缶の帯電 火災

48 コンビ 2008-272 ブロータンクの座屈 作業 残液回収 バルブ操作 誤開閉,真空状態 タンクの座屈

18 コンビ 2006-113 水抜き作業中の火災 作業 ドレン抜き バルブ操作 開閉忘れ 噴出

71 コンビ 2009-185分解炉のドレン弁誤操作によるナフサ流出、火災 作業 計画停止 バルブ操作(並列系統) 誤開閉(別系統) 噴出

67 コンビ 2009-066アミン類製造施設での攪拌機取り外し作業中の爆発 作業 開放作業 バルブの内漏れ 作業手順(不備) 爆発

140 コンビ 2015-200 仕切り板入れ替え作業中の水素漏えい火災 作業 仕切板入替作業 バルブの内漏れ 仕切板取外し(作業者の誤認) 噴出

122 コンビ 2013-211 保管中のフルオロカーボン容器の破裂 その他 容器(保管中) 容器の保管 底部外面腐食 残ガス未処理 破裂

133 コンビ 2014-220LPガス球形貯槽の高所放出管からの漏えい火災 物質 異物噛み込み 異物 放出弁元弁の噛みこみ デッドスペース LPガス漏えい

115 コンビ 2013-113湿式酸化設備における熱交換器のチューブからの漏えい 物質 異物の付着 異物(硫黄など) 加熱状態での圧縮空気導入 漏えい③

96 コンビ 2012-027合わせ板ガラスを圧着するオートクレーブからの出火 物質 異物の残留 異物(可塑剤) 除去不十分 火災

9 コンビ 2004-405 EO製造施設におけるストレーナの焼損 物質 異物の混入 異物(金属粉) ストレーナによる捕集と燃焼 焼損

134 コンビ 2014-304重質油熱分解装置におけるコークドラムの安全弁出口配管からの漏えい火災 物質 異物の堆積 異物(スケール) 開放に伴う腐食進行 減肉開口

132 コンビ 2014-217ナフサ水素化処理装置の加熱炉内部の異常燃焼 物質 異物の堆積 異物(スケール) ストレーナ閉塞 ポンプ停止

33 コンビ 2007-104空気分離器循環ポンプからの液化酸素漏えい事故 物質 異物の堆積 異物(スケール) 炭化水素の酸化反応 ストレーナ閉塞

23 コンビ 2006-329オレフィン製造施設におけるアルカリ応力腐食割れによる炭化水素漏えい 物質 異物の混入

異物(スケール,ポリマー、水酸化アルミニウムなど)

アルカリ溶液 予備管台の使用 アルカリ応力腐食割れ

116 コンビ 2013-152接触改質装置加熱炉からのLPガス漏えい、爆発 物質 異物の混入 異物(鉄錆) 閉止不十分(バルブ) 漏えい②

60 コンビ 2008-682高圧法ポリエチレン反応器の破裂板作動による減音装置の破損 物質 異物の混入 異物(反応促進物質) エチレン分解反応 安全弁の作動

135 コンビ 2014-312 反応器の破裂板作動によるエチレンガス漏えい 物質 異物の付着,剥離 異物(ポリマー) 重合反応 エチレン分解反応

99 コンビ 2012-075 コールドボックス内の水素、メタン漏えい 物質 異物の残存 運転停止時の原料 自己分解反応 破裂

4 コンビ 2004-037 四フッ化エチレン精製設備の爆発 物質 重合物の生成 重合物 配管の閉塞 爆発

22 コンビ 2006-317縦型熱交換器のチャンネルカバーフランジから漏えい・火災 保全 ウェザーシール(取付け)

ウェザーシール(ウェザーカバー)

温度低下 締結管理 締付力低下

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No. 規則等 整理番号 事故名称 大分類 小分類 ハザード① ハザード状態 ハザード② ハザード事象

ハザードリスト(KHK事故報告書からの解析結果)

39 コンビ 2007-156ベンゼンプラント熱交換器のノズルフランジから漏えい・火災 保全 ウェザーシール(取替え)

ウェザーシール(ウェザーカバー)

温度上昇 締結管理 締付力低下

8 コンビ 2004-351 反応塔入口配管フランジからの漏えい・火災 保全 ウェザーシール(取替え)ウェザーシール(ウェザーカバー)

温度上昇 締結管理 締付力低下

52 コンビ 2008-369 エチレンアミン製造施設からアンモニアが漏えい 保全 気密試験 ガスケット(試験用) 試験後交換なし 材料 漏えい②

3 コンビ 2003-230ポリエチレン製造設備の破裂板作動によるエチレンガス漏洩 保全 気密試験(安全弁) 気密試験(水道水使用) 塩化物応力腐食割れ 安全弁作動

125 コンビ 2013-256安全弁及びフランジからのエチレンアミンガス漏えい 保全 点検 計装制御システム 作業手順(不備) 安全弁作動

145 コンビ 2015-401接触改質装置の水素移送配管からの水素漏えい 保全 腐食管理 塗装 素地調整不十分 腐食減肉開口

74 コンビ 2010-017 液化アンモニア導管からの漏えい 保全 腐食管理 塗装 素地調整不十分 腐食減肉開口

45 コンビ 2008-001 蒸留塔の液面計ノズルの漏えい 保全 腐食管理 塗装 塗装不十分 腐食減肉開口

106 コンビ 2012-192 圧縮機のドレン弁からの水素漏えい 保全 補修 ドレン抜き 作業手順(不備) 噴出

62 コンビ 2009-017接触改質装置ディスチャージドラム液面計の火災 保全 点検 バルブ操作 誤開閉 ドレン抜き 噴出

63 コンビ 2009-035 塩素クッションタンクからの漏えい 保全 点検 バルブ操作 閉止不十分(水逆流) 腐食減肉開口

50 コンビ 2008-333高圧法ポリエチレン製造施設の放出管での死傷事故 保全 気密試験 閉止板 閉止板取外し(誤認) 噴出

27 コンビ 2006-387ポリエチレン製造施設におけるエチレン配管からの漏えい 保全 検査 配管サポート部の検査 ジャッキアップ 配管の割れ

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No. 規則等 整理番号 事故名称 大分類 小分類 ハザード① ハザード状態 ハザード② ハザード事象

179 一般・LP 2015-363移動式スタンドにおける緊急離脱カプラーからの水素漏えい 機器 Oリング(緊急離脱カプラー) Oリング 水素環境 漏えい②

146 一般・LP 2003-105空気分離装置の膨脹機吸入フィルターでの爆発について 物質 異物の混入 異物(活性アルミナなど) 流体に混入(流体摩擦熱) 爆発

153 一般・LP 2005-436高温等方圧プレス(HIP)装置における炉からのアルゴンガス漏えい 物質 異物の噛み込み 異物(断熱材など) 噛み込み(Oリング破損) 漏えい②

159 一般・LP 2007-690アルゴンCEにおける差込み溶接継手からガスが漏えい 材料 ステンレス鋼(SUS304) 鋭敏化熱処理 塩化物 塩化物粒界腐食

172 一般・LP 2011-083東日本大震災による水素圧縮機ユニットの漏洩、爆発 機器 圧縮機(配管) 屋上の架構上設置 地震 配管破損

156 一般・LP2007-201,207

LPガス充てん所の配管の外面腐食 機器 配管 壁貫通配管 雨水浸入 腐食減肉開口

165 一般・LP 2009-062 除害塔からの硫化水素の放出 運転 除害処理 警報発報 リセット 初期対応の遅れ

162 一般・LP 2008-325 圧力計サイフォン管(ピグテール)からの漏えい 機器 圧力計サイフォン管 サイフォン管(ピグテール) 振動 振動 疲労き裂

164 一般・LP 2009-060ヨウ素製造プラント塩素ガス製造設備からの塩素ガス漏えい 運転 温度管理 散水 外面腐食 減肉開口

157 一般・LP 2007-322 耐圧試験中の仕切弁の破裂による死傷事故 保全 気体耐圧試験 試験治具(仮設) ふた板の規格外締結 破裂

163 一般・LP 2008-465耐圧試験中の高圧導管に取り付けた閉止板の破裂により死傷 保全 気体耐圧試験 試験治具(仮設) 閉止板の強度不足 破裂

152 一般・LP 2005-415 水素ステーション実証試験設備の爆発事故 機器 水素S実証試験設備 実証設備(電解セル) 異常反応 爆発

158 一般・LP 2007-682LPガス充てん設備における配管溶接部からの漏えい 機器 配管(ポンプ) 振動 溶接不良 疲労き裂

154 一般・LP 2006-032 液化窒素タンクローリのバルブ破損 機器 バルブ(ブロー弁) 水分浸入 凍結 凍結 き裂開口

169 一般・LP 2010-001天然ガススタンド内の圧縮機ユニットのクーラーから天然ガス漏えい 機器 圧縮機(伝熱管) ソケット溶接継手 振動 振動 疲労き裂

167 一般・LP 2009-120移動式液化窒素製造設備での気密試験中の耐圧ホース破裂 保全 気密試験 耐圧ホース(高圧,低圧) 誤使用 破裂

147 一般・LP 2003-204 高温ガス化炉における発生ガス漏えいについて 保全 高温ガス化炉 耐火材の部分欠損 耐火材の溶損 マンホールノズルの溶損

155 一般・LP 2006-472 工事中のLPガス火災 作業 基礎の解体 地下埋設配管 埋設管の位置(情報未伝達) 埋設管破断

150 一般・LP 2005-077 CE送ガス蒸発器からのアルゴンガスの漏えい 機器 蒸発器 着氷 フィンチューブ群の脱落 き裂開口

171 一般・LP 2010-220アンモニア蒸発器加熱コイルの液封による漏えい 機器 蒸発器(加熱コイル) 凍結 コイル破損 き裂開口

176 一般・LP 2015-052スタンドにおけるディスペンサー内の継手からの水素漏えい 機器 継手(ねじ込み式) ねじ込み式継手 締結管理 漏えい②

151 一般・LP 2005-299宮城県沖地震によるブタンタンクの付属配管溶接部から漏えい 機器 配管(安全弁取付け) 配管(安全弁) 地震(振動) 振動 き裂開口

177 一般・LP 2015-098 食品工場におけるCO中毒 その他 排気ファン 排気ファン操作 起動忘れ 不完全燃焼,中毒

175 一般・LP 2014-349 水素スタンドにおける蓄圧器の清掃中の火災 保全 開放検査 バルブ操作 開閉忘れ(水素逆流) 爆発

160 一般・LP 2008-087CNGスタンドにおけるベントライン放散管の破断による漏えい 運転 試運転 バルブ操作 誤開閉 放出管破断

168 一般・LP 2009-184 三フッ化窒素充てん工場の火災、爆発 作業 容器弁開放 バルブ操作 急速開放(流体摩擦熱) 爆発

173 一般・LP 2012-145 三フッ化窒素製造設備の精留塔での火災 材料 水素の発生 フッ化水素酸によるステンレス鋼の腐食 水素の発生 爆発

174 一般・LP 2014-182圧縮スタンドの充てんホース部から水素ガス漏えい 機器 充塡ホース フレキシブルホース(樹脂) 高圧低温水素環境 疲労き裂

170 一般・LP 2010-035 希硝酸プラントの配管からのアンモニア漏えい 機器 配管(SUS304) 保温材 雨水浸入 塩化物応力腐食割れ

149 一般・LP 2004-255 改質反応炉加熱管の亀裂による漏洩・火災 機器 反応炉(加熱管) 保温材 温度低下による浸炭 き裂開口

178 一般・LP 2015-333充てん作業中の移動式スタンドにおけるディスペンサー内の遮断弁からの水素漏えい 機器 Oリング(遮断弁) 保温材(保冷材) 温度低下(Oリング) Oリング 漏えい②

166 一般・LP 2009-065 LPガスプラントのエルボの外面腐食から漏えい 機器 配管(エルボ) 保温材(ロックウール) 水分吸収 腐食減肉開口

148 一般・LP 2004-185液化プロピレン容器の安全弁作動による漏洩・火災 容器 移充塡 容器間の移充塡 過度な加温 安全弁作動

ハザードリスト(KHK事故報告書からの解析結果)

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No. 規則等 整理番号 事故名称 大分類 小分類 ハザード① ハザード状態 ハザード② ハザード事象

ハザードリスト(KHK事故報告書からの解析結果)

161 一般・LP 2008-252 圧縮空気充てん所で容器が破裂 容器 充塡 容器の種類(溶接容器) 誤充塡(圧縮空気) 破裂

207 その他 -高純度多結晶シリコン製造施設における熱交換器チャンネルカバーの開放作業中の爆発火災 保全 開放洗浄 異物(ポリマー) 加水分解物の生成と乾燥(爆発物) 爆発

210 その他 -スチームクラッキング装置精留塔の開放整備準備中の火災 物質 異物の堆積 異物(ポリマー,硫化鉄) 堆積(散水不十分,発熱) 火災

209 その他 - アクリル酸製造施設の爆発、火災事故 運転 スタートアップ 液受入中間タンク 温度上昇 アクリル酸の重合反応,爆発

213 その他 LP法適用民生用バルクローリに係る液化石油ガスの漏洩・火災 機器 安全継手 緊急離脱カプラーの作動 作動後の復旧 LPガス漏えい

211 その他 -雑液タンクの重合反応による温度上昇でアクロレインが漏えい 作業 洗浄水回収 雑役タンクの洗浄水回収

アンモニア溶解によるカルボニル重合反応

生成ガス漏えい

212 その他 1964-002新潟地震によるLPガス球形貯槽とLPガス横置円筒形貯槽の被災 機器 貯槽(球形、横置円筒形) 地震 製油所の火災 LPガス貯槽5基被災

208 その他 - アルキルアルミ建屋内の触媒供給設備の火災 作業 コンテナ交換 バルブ操作 開閉忘れ 漏えい(フランジ継手)

202 容器 2006-097 酸素の容器弁の破損 物質 異物の付着 異物(ゴミ,油脂分) フィルターに付着(断熱圧縮) 容器弁の破損

199 容器 2004-285 タンクコンテナの計装配管の破断 容器 計装配管(圧力計と差圧発信器) 小口径配管(計装) 振動 振動 配管破断

201 容器2005-2722005-2742005-278

在宅医療用酸素容器から酸素が漏えい 容器 圧力計 はんだ付け 品質管理の欠落 ブルドン管引き抜け

197 容器 2004-143 液化石油ガス容器の爆発 容器 充塡 容器の種類(溶接容器) 誤充塡(酸素) 爆発

204 容器 2007-342 液化窒素容器の転落・漏えい 容器 移動(車両) 容器の荷台固定 固定不完全(転落) 液面計破損

200 容器 2005-161 外面腐食による酸素容器の破裂 容器 保管(青果物水産市場) 容器の保管(放置) 底部外面腐食 残ガス未処理 破裂

205 容器 2007-400 使わなくなった分析用容器の破裂(その1) 容器 保管(分析用途) 容器の保管(放置) 底部外面腐食 残ガス未処理 破裂

206 容器 2008-522 使わなくなった分析用容器の破裂(その2) 容器 保管(分析用途) 容器の保管(放置) 底部外面腐食 残ガス未処理 破裂

198 容器 2004-196 腐食による窒素容器の破裂 容器 保管(弁当工場調理場) 容器の保管(放置) 底部外面腐食 残ガス未処理 破裂

203 容器 2006-251 道路下に埋まっていた窒素容器の破裂 容器 不法投棄 容器の埋設(放置) 土壌環境での外面腐食 残ガス未処理 破裂

196 容器 2004-038 医療用超低温酸素容器の爆発 容器 超低温容器 落下と転倒 ネックチューブの座屈 疲労き裂

191 冷凍 2009-176冷凍設備におけるT字配管ろう付け部近傍からの漏えい 機器 配管 T継手(小口径管,ろう付け) 振動 振動 疲労き裂

185 冷凍 2008-806冷凍設備の運転ミスによる安全弁からの冷媒漏えい 運転 停止(停電) インターロック解除 温度上昇 安全弁作動

181 冷凍 2005-277 液封によるアンモニアガスの大量漏えい 運転 停止 液封 温度上昇,圧力上昇 バルブ破損

190 冷凍 2009-092冷凍設備における食い込み継手の銅管破断による冷媒漏えい 機器 継手(フレア式) 材質変更(炭素鋼から銅) 振動 振動 疲労破壊

183 冷凍 2007-597冷凍設備における配管破断による冷媒の漏えい 機器 配管(電磁弁) 小口径管(電磁弁) 振動(ウォーターハンマー) 振動 疲労破壊

188 冷凍 2009-045空冷式ヒートポンプチラーの配管及び可溶栓からの冷媒漏えい 機器 配管(ヒートポンプチラー) 振動 結束バンド破損 フレッティング摩耗,減肉開口

184 冷凍 2008-605空冷式ヒートポンプチラーの配管からの冷媒漏えい 機器 配管(ヒートポンプチラー) 振動 フレッティング摩耗 減肉開口

180 冷凍 2003-176 冷凍工場におけるフルオロカーボンの漏洩 機器 継手(異径ソケット) ソケットろう付け継手 ろう付け不良 疲労破壊

186 冷凍 2009-026天井落下に伴う冷却コイルの破損による冷媒ガスの漏えい 機器 冷却コイル 着霜 中天井と冷却コイルの落下 冷却コイル破損

192 冷凍 2009-193 冷凍機の膨張弁からの冷媒ガス漏えい 機器 膨張弁(ベローズ) 凍結 体積膨張 き裂開口

187 冷凍 2009-032アンモニア空調設備からの冷媒噴出による死亡事故 保全 バルブの点検と制御ソフトの変更 同時並行作業 バルブの誤作動 噴出

182 冷凍 2006-298ドレン抜き作業中のアンモニア中毒による死亡事故 作業 ドレン抜き ドレン抜き 休日1人の作業 噴出

193 冷凍 2009-220 冷凍機の冷媒回収作業中のアンモニア漏えい 作業 冷媒回収 バルブ操作 誤開閉 噴出

194 冷凍 2014-184冷凍設備のストレーナーカバーからの冷媒漏えい 機器 ストレーナー 保温材 結露 腐食減肉,ボルト破断

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No. 規則等 整理番号 事故名称 大分類 小分類 ハザード① ハザード状態 ハザード② ハザード事象

ハザードリスト(KHK事故報告書からの解析結果)

189 冷凍 2009-088 冷媒配管エルボ部溶接部からの漏えい 機器 配管 溶接欠陥(ブローホール) 保温材下腐食 保温材 ピンホール

195 冷凍 2015-033 工事中の圧縮機吸込配管の塞ぎ蓋吹き飛び 作業 閉止板取り外し 冷凍機油に含まれるガス 残圧状態での取り外し 吹き飛び

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添付資料Ⅳ

リスクアセスメント基礎資料

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目次

1.適用範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2.高圧ガスを取扱う際のリスクアセスメント

2-1 高圧ガスを取扱う上での危険性とリスクアセスメント ・・・・・・・ 1

2-2 リスクの定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2-3 リスクアセスメントの必要性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2-4 リスクアセスメントを実施することによる効果 ・・・・・・・・・・ 2

2-5 リスクアセスメントの実施時期 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

2-6 他事例におけるリスクアセスメントの例 ・・・・・・・・・・・・・・ 4

3.リスクアセスメント実施上の注意点

3-1 リスクアセスメント実施前の準備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

3-2 リスクアセスメントの実施優先順位 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

4.リスクアセスメントの手順

4-1 ハザードの特定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

4-2 リスク算定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

4-3 リスク評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

4-4 リスク低減対策の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

4-5 リスク低減対策の実施 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

4-6 残留リスク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

4-7 リスクアセスメントの継続 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

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1.適用範囲

本リスクアセスメント基礎資料(以下、本資料という。)は、高圧ガス保安法が適用さ

れる高圧ガス製造事業者において、これから高圧ガスプロセスに関するリスクアセスメ

ントを実施する際の参考書として作成した。

2.高圧ガスを取扱う際のリスクアセスメント

2-1 高圧ガスを取扱う上での危険性とリスクアセスメント

高圧ガスを取扱う事業所においては、大きく分けて『高圧ガスに起因する危険性』と『プ

ロセスに起因する危険性』の2種類がある。

まず、高圧ガスに起因する危険性を解説する。ガスには、可燃性、反応性、自己分解性、

毒性といった性質を有しているものがある。これらの性質は、異常反応、暴走反応などの

危険性、空気との混触による燃焼、爆発の危険性などを有している。また、高圧になるた

め取り扱うエネルギーも増し、事故が発生した場合には被害が拡大する危険性も有してい

る。

プロセスに起因する危険性の例としては、液体の気化による体積膨張や固体物質の析出

に伴う危険性物質の析出といった相変化による危険性や、運転条件より高温の場合にクリ

ープが発生し、最終的に破断してしまうような運転条件の変化による危険性が存在してい

る。また、単純と思われがちな頻度の多いバルブ操作などでも、その操作には不確定要素

が多く、誤開閉などのミスが重大な高圧ガス事故へと繋がる可能性もある。

これら高圧ガス及びプロセスに起因する危険性が顕在化した場合には、高圧ガス事故が

発生する可能性がある。

そのため、これらのリスクを理解するとともに、リスクを低減する活動を継続的に実施

しなければならない。この継続的にリスクを低減する活動が、リスクアセスメントである。

2-2 リスクの定義

リスクアセスメントにおける『安全』とは、 『受け入れることができないリスクが存在

しないこと』 と定義される。そして、『リスク』とは、事故を対象とした場合、『事故の起

こりやすさ(発生確率)』と『事故のもたらす影響度(被害)』の組合せと定義される。

『リスク』はこれまでに発生した事故ではなく、これから起こるであろう未来に発生し

うる事故を想定したものである。そのため、リスクアセスメントを実施するときには、そ

の事故のシナリオや起こりやすさ、事故のもたらす影響度等を想定して検討を行う。

2-3 リスクアセスメントの必要性

近年、様々な分野においてリスクアセスメントの必要性が叫ばれているが、これは主に

以下に示す3点の理由からである。

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① 自己責任化の進展

高圧ガス保安法を例とすると、以前は使用材料等が細かく規定されている仕様規定

であったが、これが性能規定化されたことにより、事業者の自主保安が促されること

になった。

このように法的にも事業者の自主保安が促されている。さらに、リスクアセスメン

トを実施する際には様々な情報が必要だが、その情報はプラントを所有している事業

者自身が最も有しているものであり、自社のプラントを一番理解しているのは、その

事業者自身である。このように、自社の事業を守るためには、自社の責任においてプ

ラントを管理していく必要がある。

② リスクの変化、多様化

自社の事業は常に変化している。運転条件、環境条件、生産計画など、それらの変

化に伴い、リスクの増減や新たなリスクが生じる可能性もある。このように何らかの

条件の変更があった場合、それに伴ってリスクも常に変化する。

また、リスクは多様化している。例として、IoTのような技術の進歩に伴い、新たに

生じるリスク。原料の輸入、そして製品の輸出等に係るようなグローバル化によって

生じるリスク等々、これまで考えられなかったようなリスクへの対応も想定する必要

がある。そのため、事業を安定的に継続して実施するために、これらについても考慮

しなければならない。

③ 説明責任の増大

現在では、取引先や株主等も自らリスクアセスメントを実施していることから、そ

のリスクアセスメントにおける情報の1つとするため、リスク情報の開示要求や、事

業所周囲の住民から事業所におけるリスク情報の開示請求があることも考えられる。

これらを疎かにしていると、取引先、株主、周辺住民等のステークホルダーから支

持が得られなくなり、ついには事業存続までも難しくなってくる可能性も考えられる。

2-4 リスクアセスメントを実施することによる効果

リスクアセスメントを実施することにより、得られる効果は多数考えられるが、主なも

のとして以下の5項目が挙げられる。

① 事業所に潜むリスクの明確化

自社のプラントにおいて、現在どのようなリスクがあるかが明確になる。

② 事業所に潜んでいるリスクに対する認識を事業所全体で共有可能

リスクアセスメントを実施する際には、事業所の様々な部署の人と話し合って進め

るのが一般的である。そのため、他の部署とリスクに対する認識が共有できる点も効

果の1つとして挙げられる。

③ 保安対策の合理的な優先順位が決定可能

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リスクアセスメントを実施すると、特定されたハザードに対するリスクレベルが算

定される。そのリスクレベルが高いものから対策を行うことにより、事業所全体のリ

スクレベルを速やかに下げることが可能となる。

④ 残留リスクに対する「守るべき決めごと」の理由の明確化

リスクレベルを許容可能範囲まで下げても、リスクが完全に除去されたわけではな

い場合、リスクは残存する。これを残留リスクと言い、残留リスクは従業員に周知す

る。従業員も残留リスクが存在することを理解し、操作マニュアルを守らなければな

らない背景も明確になるため、従業員もマニュアルを遵守することの重要性が理解す

ることができる。

⑤ 「危険」に対する感受性の向上

上記②でも述べたとおり、リスクアセスメントを実施する際には従業員を中心に実

施するため、自社の設備に対する理解が深まるとともに、どこにどのような危険性が

潜んでいるのか、その感受性についても向上が期待される。

これら5項目から、リスクアセスメントはより安全な事業所を目指すのみならず、従業

員の保安に対する教育についても有効活用することができることがわかる。

なお、リスクアセスメントを通じて安全性向上に取り組んだ事業者について、その効果

及び安全性向上に成功した要因等が以下 URL に示す経済産業省 Web サイトにまとめられ

ているので、リスクアセスメントを実施する際には参考にされたい。

(http://www.meti.go.jp/press/2017/03/20180326001/20180326001.html)

2-5 リスクアセスメントの実施時期

リスクアセスメントを実施する際には、有効なタイミングで実施することも重要である。

有効なタイミングの例を以下に示す。

① 新規設備の導入時

新たな設備が導入された場合、その設備に関するリスクも新たに発生する。そのた

め、リスクアセスメントを実施し、新たに発生したリスクに対して対処することが重

要である。

② 設備の変更並びに能力増強時

設備が変更された場合や設備の能力が増強された際には、条件が変わるため、リス

クレベルが変化している可能性がある。例として、設備の変更に伴い配管レイアウト

の変更が必要になった場合などは、配管レイアウトの変更に伴う新たなリスクが発生

することも考えられる。このように、設備の変更並びに能力増強が実施された際には、

リスクレベルが複雑に変化する可能性がある。

③ 作業手順や作業条件を変更した時

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例として、業務の効率化を目的とした作業手順の変更の際にリスクが変化していな

いか、また、設備を運転する際の温度、環境条件等の変更に伴い、リスクが変化して

いないか確認することも重要である。

④ 作業者の変更があった時

異動等で作業者が代わったり、新人の作業者が入った際には、教育の一環としてリ

スクアセスメントを用いることも有効である。

⑤ 事故や災害が発生した時

不幸にしてリスクが顕在化し、事故や災害が発生してしまった時に、その原因を追

及するためにリスクアセスメントを活用することも有効である。また、自事業所だけ

でなく他事業所の類似設備において事故が発生した際には、自事業所における類似事

故の未然防止のためにリスクアセスメントを実施することも有効な活用方法の一つで

ある。

以上、①~⑤に示すように、事業所において何らかの変更・変化があった場合には、リ

スクアセスメントを実施する有効なタイミングである。

また、労働安全衛生法においては、一定の危険有害性のある化学物質(640物質)につい

てリスクアセスメントが義務化されているが、その実施に併せて高圧ガス取扱いプロセス

に係る作業手順に沿ってリスクアセスメントに取り組むことは、リスクアセスメント導入

の良い機会である。

2-6 他事例におけるリスクアセスメントの例

リスクアセスメントは、様々な基準において要求されている。一例を以下に示す。この

ことからも、社会的にリスクアセスメントの実施が要求されていることがわかる。

① ISO9001:2015

「6.1 リスク及び機会への取り組み」において、「6.1.1 c) 好ましくない影響を防止

又は低減する。」

② ISO14001:2015

「6.1 リスク及び機会への取り組み」において、「6.1.1 一 外部の環境状態が組織に

影響を与える可能性を含め、望ましくない影響を防止又は低減する。」

③ 労働安全衛生法:厚生労働省「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」

3 実施内容

事業者は、調査及びその結果に基づく措置(以下「調査等」という。)として、次

に掲げる事項を実施するものとする。

(1) 労働者の就業に係る危険性又は有害性の特定

(2) (1) により特定された危険性又は有害性によって生ずるおそれのある負傷又は疾

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病の重篤度及び発生する可能性の度合(以下「リスク」という。)の見積り

(3) (2)の見積りに基づくリスクを低減するための優先度の設定及びリスクを低減す

るための措置(以下「リスク低減措置」という。)内容の検討

(4) (3)の優先度に対応したリスク低減措置の実施

なお、労働安全衛生法に係る化学物質のリスクアセスメントについては、以下のWeb

サイトに解説や支援ツールが掲載されているため、必要に応じて参考にされたい。

http://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07.htm

3.リスクアセスメント実施上の注意点

3-1 リスクアセスメント実施前の準備

① リスクアセスメント実施にあたって準備する資料の例

リスクアセスメントでは、対象とする設備や作業について、情報や知識・経験が多

いほど、より網羅的になる。そのため、できるだけ多くの関連資料や情報を収集する

必要がある。

一例として、以下に示す資料を準備する。

・ 作業手順書

・ 日常点検の結果

・ ヒヤリ・ハット活動の報告書

・ KY(危険予知)活動の報告書

・ 事故・災害情報(自社情報、他社情報)

参考:国内事故情報データベースの例

データベース名 作成者

高圧ガス保安法事故事例データベース

(高圧ガス保安法関係)

高圧ガス保安協会

火災・事故防止に資する防災情報データベース

(消防法関係)

一般財団法人

消防科学総合センター

爆発火災データベース (労働安全衛生法関係) 独立行政法人

労働者健康安全機構

労働安全衛生総合研究所

危険物総合情報システム (消防法関係) 危険物保安技術協会

RISCAD:リレーショナル化学災害データベース 国立研究開発法人

産業技術総合研究所

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データベース名 作成者

職場のあんぜんサイト 厚生労働省

>化学物質>化学物質による災害事例

>災害事例

>労働災害 (死亡・休業 4日以上) データベース

(労働安全衛生法関係)

労働災害事例 (労働安全衛生法関係) 中央労働災害防止協会

失敗知識データベース 特定非営利活動法人失敗学会

事故事例リスト 一般財団法人

石油エネルギー技術センター

② リスクアセスメント参加メンバー

リスクアセスメントでは、ハザードをできるだけ抜けなく抽出して特定するために、

多様な視点からの検討が必要である。そのためには専門分野の異なる多様なメンバー

からなるチームを編成して検討を行うことが理想である。

運転部門のみでリスクアセスメントを実施した場合、運転面からの一面的な検討で

終了する可能性が高くなる。リスクアセスメントにおける質の向上を高めるためにも、

設備部門や他の関係部署(例えば研究部門等)といった様々な部署にも参加してもら

い、または、運転部門の人員でも、出来るだけ異なる分野の知識・経験を有する者を

メンバーとするなど、多様な観点で検討を心がけることでリスクアセスメントの質の

向上が期待できる。

さらに網羅性を高めるためには、外部コンサルタントやエンジニアリング会社など

の外部有識者にリスクアセスメントへ参加してもらうことや、結果の評価を行っても

らうことも有効である。

リスクアセスメント検討チームでは、参加メンバーの知識、経験、技術力の高さと

いった各個人の力量も重要になる。

参加メンバーの力量によっては、不十分なリスクアセスメントになる可能性もある

ため、リスクアセスメント検討チームを編成する際には、多様なメンバーの選定に加

え、個々のメンバーの質にも留意を払うことが必要である。

③ リスクアセスメント解析チームリーダー

リスクアセスメントはチームを編成して実施するが、重要な役割を担うのはチーム

のリーダーである。

リーダーは単なる進行役ではなく、自らの技術力で積極的にリスクアセスメントに

取り組むとともに、多様な部門から参加しているメンバーから多様な意見、指摘を吸

い上げ、指導力を発揮する役目を担っている。リスクアセスメント検討チームには様々

な知見を持った多様なメンバーが集まっているため、メンバー間で意見が異なったり、

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リスクアセスメント実施者 課長クラス

議論が発散しそうになることも考えられる。その場合には、論理的な視点に立ったコ

メントを出して議論を収れんさせることもリーダーの役割として重要である。

以上、リスクアセスメントを実施する際のメンバーやリーダーに求められる事項を挙げ

たが、これらを最初から準備することは難しい。そのため、最初はリスクアセスメントを

既に理解して実施している関係者、例えば関

係事業所のリスクアセスメント経験者やコン

サルタント等の外部識者をメンバーとして迎

えて指導してもらってもよい。

まずはリスクアセスメントを自事業所で出

来る範囲で実施し、少しずつでも経験を積ん

でいくことが、リスクアセスメントを実施す

る上で重要である。この積み重ねがリスクア

セスメントの質の向上に繋がっていく。

参考までに、高圧ガス製造事業所にお

ける職制とリスクアセスメント実施時の

役割の例を図1に示す。

3-2 リスクアセスメントの実施優先順位

リスクの大きさは、影響度によって定性的に算定することが可能である。

万が一、事故が発生した際に影響が大きい部分はどこかを、過去の経験及び現在の知見

から定性的に判断し、影響の大きい部分からリスクアセスメントを実施すれば、短時間で

効率的にリスクが大きい場合への対応が可能となる。

同様に、リスクの大きさは、危険事象の起こりやすさによっても定性的に算定される。

これも過去の経験及び現在の知見から、危険事象の起こりやすい部分からリスクアセスメ

ントを実施することは効率的だが、この場合はそれに関わる影響についても考慮すること

が必要である。

すなわち、リスクアセスメントを実施する際の優先順位に関する基本的な考え方は、影

響の大きい部分について優先して実施していくことが重要である。

図1 高圧ガス製造事業所における職制と

リスクアセスメント実施時の役割の例

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4.リスクアセスメントの手順

リスクアセスメントを実行するための手順について、具体的な流れを以下に示す。

① 事業所に潜んでいる事故に至るシナリオを解析し、事故の影響を想定する。【ハザー

ドの特定】

② 特定したハザードから事故の起こりやすさと影響度を解析し、これの組み合わせによ

りリスクの大きさ(リスクレベル)を算定する。【リスク算定】

③ 見積もったリスクについて、許容できるか評価を行う。【リスク評価】

評価の結果、許容できないリスクは、リスク低減対策を実施する。これは本来であれば

リスクマネジメントの範疇であるが、本資料ではリスク低減対策の実施についても触れる。

リスクアセスメントの手順について、概要を図2に示す。

4-1 ハザードの特定

4-2 リスク算定

4-3 リスク評価

許容可能

Yes

4-4 リスク低減対策の検討

No

リスクの再評価

許容可能

4-5 リスク低減対策の採用・実施

リスク低減対策の効果の確認

4-7 定期的な

見直し

対策不要

図2 リスクアセスメントの手順概要

Yes

No

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4-1 ハザードの特定

リスクアセスメントの実施に際し、最初に設備の状態やその設備を取扱う作業の中で、

事故や災害が引き起こされる可能性(潜在的な危害の源)を探し出す。これをハザードの

特定という。なお、本資料で説明するハザードの特定は、シナリオ解析も含んでいる。

ハザードの特定では、過去に発生した事故や危険な事象が発生した作業のほか、ヒヤリ・

ハット事例等、危険源による事故の発生が合理的に予見可能である作業については、必ず

対象とする。

検討の際には、設備に付属している安全機能が作動して終了とせず、安全機能が故障し

ていたため最悪な状況まで進んでしまった場合の被害の想定まで実施することが重要であ

る。

ハザードを特定する際には、例として以下のような方法を用い、事業所に潜在している

ハザードを特定する。

① 巡視による方法

毎日実施している現場巡視点検の結果から、危険と思われる点を特定していく方法

② 従業員への聞取り調査による方法

毎日の作業や設備の運転時に危険な点はないか、従業員への聞き取りを行い特定し

ていく方法

③ 事故やけがが発生したときの災害報告書の調査による方法

事故が発生してしまった際の原因調査を基にして、まだ事故が発生していない他の

設備・作業にも展開し、ハザードを特定する方法

④ ヒヤリ・ハットや KY(危険予知)活動の実施結果の調査による方法

事故やけがまでいかなくても、ヒヤリ・ハット活動やKY活動によって、特定され

た危険と思われる部分について他の部分へ展開し、ハザードを特定する方法

⑤ ハザードリストを活用する方法

過去の事故事例から抽出したハザードを、一覧として示したハザードリストを参考

に、自分の事業所において類似する作業や設備が存在するか確認する方法

4-2 リスク算定

次に前項で特定したハザードについて、リスクを算定する。リスク算定にあたり、今回

は例としてマトリックス法を用いて解説する。

マトリックス法とは、特定したハザードについて、『どのくらい危険なのか(影響の大き

さ)』と、『どのくらいの頻度で起きるのか(発生の可能性)』について、それぞれ予め決め

た評価表を用いて算定し、マトリックス表によりこれらの結果を組み合わせてリスクを算

定する方法である。

影響度の解析では、そのハザードが顕在化した際に発生する事故で被る人的被害、機器

の被害、生産損失、周囲への被害、環境被害などを考慮して影響度を解析し、分類表を用

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いて算出する。

発生の可能性では、その事故に至るシナリオの作業頻度、引金事象の発生頻度(機器故

障、誤操作など)、安全対策による低減率などを考慮してその事故の起こりやすさを分類表

から算出する。

これら分類表から算出された影響度と発生可能性の数値を、マトリックス表に当てはめ

てリスクを算出する。

影響度(影響の大きさ)と発生の可能性の分類表例を表1と表2に、マトリックス表の

例を表3に示す。この分類例はあくまで例であり、リスクアセスメント解析においては、

メンバー全員で意見を出しあい、よく話しあって、リスクアセスメント実施チーム内で合

意できるものを採用することが重要である。これらの過程を経ることにより、情報や認識

が共有化される効果も得られる。

リスク算定を実施する際の留意点を以下に示す。

① 極力複数人で実施することが望ましい。

複数人でも、同一の部署、同一の専門分野を持つ者のみで検討チームを構成すると、

同じ観点からのリスクアセスメントになりがちである。異なる部署、異なる専門分野

を持っている者で検討チームを構成することで、多様な観点からのリスクアセスメン

トが可能になり、より適切なリスク算定が可能となる。

② リスクアセスメント検討メンバーは、作業内容や関連設備等に関する知識、経験、

技術力が豊富な者が望ましい。

ハザードの特定と同様、リスクアセスメント検討メンバーの力量によってリスクア

セスメントの網羅性が異なってくる。そのため、メンバーは知識等が豊富な者による

ことが望ましい。

③ リスクアセスメント検討チームリーダーは参加者の意見を引き出し調整する。

リスクアセスメント検討チームリーダーの要件として、各メンバーから意見を調整

し、チームとしての合意を導くことが必要である。

④ リスク算定にあたっては、具体的な被害を想定する。

特定したハザードから得られる最終的な事象による影響について、具体的に想定し

てリスク算定を行う。

⑤ 過去に発生した災害の程度ではなく、最悪を想定した災害の程度で算定する。

過去に経験した災害、事故であれば、その時の被害をそのまま当てはめがちだが、

その事故も安全装置等があったために被害が軽減されていたことも考えられる。

そのため、リスクアセスメントでは、過去の災害で生じた被害で評価するのではな

く、最悪を想定した場合の被害を想定して評価する。

⑥ リスク算定は、メンバーの中で最もリスクを高く見積った人から良く意見を聴き、

メンバーの納得のもとに意見を採用する。

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リスクアセスメントにおいて被害を想定する際には、各メンバーから様々な意見が

出てくる。その中で最もリスクを高く見積もった人は、最悪の状態を想定しているメ

ンバーといえる。そのメンバーから、そのような結論に至った理由を聴くことが重要

である。

⑦ リスク算定を行う過程で意見の違いが生じたときは、全ての意見をよく聞いて調整

する。

リスクアセスメント実施時には、メンバー間で意見の相違が出てくることが多い。

その際に、意見の相違を無くそうと、リーダーや他のメンバーが自分の意見を押しつ

けるのではなく、各メンバーの意見を聞き、調整を図り、最終的にはメンバー納得の

上でチームの総意として結論を導く必要がある。

⑧ リスク算定結果は、説明のつくものであること。

人事異動や退職等でプラントに関わる人が変わった場合、後任の人に説明がつく内

容でなければ、せっかく時間をかけて実施したリスクアセスメントも引き継がれず、

また一からリスクアセスメントを実施しなければならなくなる。このような無駄を防

ぐためにも、実施したリスクアセスメントの内容を誰にでも理解できるような書類と

して残しておかなければならない。

以上、①~⑧までリスクアセスメントを実施する際の留意点を示したが、これらは実際

にリスクアセスメントを実施することで気づく点もある。そのため、最初から①~⑧まで

を完全にこなす必要は無く、実績を積んでいくことで気づいた点をリスクアセスメントを

実施する際の手順へ反映していき、より自分の事業所に合った適切な手順でリスクアセス

メントを実施されたい。

表1:影響度(影響の大きさ)の分類表例

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起こりやすさ 発生頻度

1 ほぼ発生しない。(100年に1回以下)

2 たまに発生する。(10年に1回以下)

3 しばしば発生する。(1年に1回以下)

4 よく発生する。(1年に1回以上)

小 ← 起こりやすさ → 大

1 2 3 4

小←影響度→大

1 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ

2 Ⅰ Ⅰ Ⅱ Ⅲ

3 Ⅱ Ⅲ Ⅲ Ⅳ

4 Ⅲ Ⅳ Ⅳ Ⅳ

4-3 リスク評価

前項で特定したハザードのリスク算定を行ったが、その結果を踏まえてリスク評価を行

い、特定したハザードに対してリスクレベルが許容できる範囲かどうか、また許容できな

い場合にリスク低減対策を行う優先順位について決定する。

リスクレベルの判定基準例を表4に示す。これらの分類表は、各企業、事業所または設

備毎に策定し、その際は、設備、取扱物質、事業環境、社会との関わり合い等を考慮して

作成する。

リスクレベル 判定基準 必要なリスク低減対策

Ⅰ 許容可能 特にリスク低減対策は必要なし。

Ⅱ 管理することにより

許容可能 適切な手順又は管理方法を確立する。

Ⅲ 望ましくない 一定期間(例えば 12ヶ月)内にハード又はソフト的なリ

スク低減対策をとり、リスクレベルをⅡ以下にする。

Ⅳ 許容不可 速やかにハード又はソフト的なリスク低減対策をとり、

リスクレベルをⅡ以下にする。

表2:発生可能性の分類表例

表4:リスクレベルの判定基準例

表3:マトリックス表の例

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4-4 リスク低減対策の検討

リスクを許容できないと判断されたものについては、リスクを低減する対策を可能な限

り検討する。リスク低減対策を検討する手順の例を以下に示す。

① 評価したリスクの低減対策を列挙する。

低減対策の主な例として、以下の項目が挙げられる。

② リスク低減対策を実施した場合のリスク評価を行い、対策が有効であることを確認

する。

③ 有効なリスク低減対策の中から実現性や経済性等の観点から妥当性を評価する。

リスクを低減するための原則は、まず危険な事象を除いたり、見直したりして、根本的

なリスクを減らすことである。それらが難しいときは、設備における対策、さらに管理的

な対策を検討する。

4-5 リスク低減対策の実施

リスクアセスメント実施者は、リスクアセスメントの結果とリスク低減対策案を事業所

の経営者や安全担当のリスクアセスメントを管理する責任者(リスクアセスメント実施責

任者)に報告し、内容を十分協議する。

リスクアセスメント責任者は、各担当者が実施したリスクアセスメントとリスク低減対

策案を評価し、事業所としてリスク低減対策を具体的に実施する。

実施にあたっては、リスク低減対策の緊急性などを勘案し、設備保全計画等に組み込ん

で実施するか、あるいは必要であれば直ちに実施する。

リスクアセスメントによって潜在的なハザードが特定されたにもかかわらず、ハザード

・機械設備の安全化

(例:遮断弁をベローズ弁タイプへ変更)

・安全装置の設置又は改良

(例:守衛室にも緊急遮断の遠隔操作スイッチを設置)

・危険作業の自動化、省力化

(例:シリンダーキャビネットの制御を手動バルブから全自動バルブへ更新)

・工場内、機械設備のレイアウト変更

(例:フォークリフト作業範囲内から高圧ガス配管を除去)

・作業方法や作業手順の改善

(例:配管に圧力計を設置し、圧力異常があるときは作業を中断)

・安全保護具の正しい選定及び着用

(例:バルブ操作時に保護メガネを着用)

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が顕在化して事故や災害が発生してしまってからでは遅いので、迅速かつ確実に対応を図

ることが重要である。

4-6 残留リスク

現状の技術上の制約等によって対策が行えなかったり、またはリスクが事前の想定通り

低減できなかった場合は、リスクが残ることとなる。これを「残留リスク」という。

「残留リスク」については、暫定措置として直ちに作業者に対して残留リスクがあるこ

とを周知し、「決めごとを守るべき理由」や「どんなリスクから身を守るか」等を十分理解

させる必要がある。その後、残留リスクは次回以降のリスクアセスメントで継続的に検討

を続け、設備改善等の恒久対策の実施がなされるまで、計画的に解決を図ることが大切で

ある。

4-7 リスクアセスメントの継続

リスクアセスメントは、一度行って完了というものではなく、定期的に見直し、また新

しい情報を反映しながら、常に最新の状態に維持することが重要である。

リスクアセスメントを実施した設備についても、結果をそのまま放置するのではなく、

リスクアセスメント及びリスク低減対策の実施結果が適切であったかどうか、見直しや改

善が必要かどうかを検討し、次回以降のリスクアセスメントの向上に役立てることが必要

である。そのため、一回リスクアセスメントを実施した設備についても、一定の期間をお

いて定期的に実施することが望ましい。

また、リスクアセスメントを実施したところ、許容可能で「対策不要」と判断されたリ

スクについても、条件が変わればリスクレベルが変化して許容できないリスクになること

もあり得るので、定期的に監視することが重要である。