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平成 31 年度兵庫県農地中間管理事業推進方針 平成 3 1 年4月 農地利用推進会議 -目次- 1 趣旨 2 推進方針の位置付け 3 農地中間管理事業の目的 4 推進目標 (1)令和5年度の目指す姿 (2)平成 31 年度の目標 5 農地中間管理事業の推進方策 (1)人・農地プランの実質化と連動した農地中間管理事業の推進 (2)「いきいき農地バンク方式」の推進 (3)集落営農組織法人化強化期間に連動した農地中間管理事業の推進 (4)基盤整備事業と連動した農地中間管理事業の推進 (5)企業の農業参入と連動した農地中間管理事業の推進 (6)農業委員会との連携による事業推進 (7)新たな借受希望者や貸出可能農地の掘り起こし (8)重点推進対象の設定・指導 (9)農地の集積・集約化に向けた制度周知の徹底と指導力の強化 (10)相対契約からの切り替えを通じた集約化と経営改善支援 (11)各地域での取組ノウハウ等の啓発 (12)支援施策の有効活用 (13)日本型直接支払制度との一体的普及・推進 6 集積・集約化と一体となった生産技術・経営指導支援 7 関係機関・団体が一体となった事業推進

平成 31 年度兵庫県農地中間管理事業推進方針2 3 農地中間管理事業の目的 農地中間管理事業の目的は、農地の集積・集約化により農地の有効

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平成 31年度兵庫県農地中間管理事業推進方針

平成 31 年 4 月

農地利用推進会議

-目次-

1 趣旨

2 推進方針の位置付け

3 農地中間管理事業の目的

4 推進目標

(1)令和5年度の目指す姿

(2)平成 31年度の目標

5 農地中間管理事業の推進方策

(1)人・農地プランの実質化と連動した農地中間管理事業の推進

(2)「いきいき農地バンク方式」の推進

(3)集落営農組織法人化強化期間に連動した農地中間管理事業の推進

(4)基盤整備事業と連動した農地中間管理事業の推進

(5)企業の農業参入と連動した農地中間管理事業の推進

(6)農業委員会との連携による事業推進

(7)新たな借受希望者や貸出可能農地の掘り起こし

(8)重点推進対象の設定・指導

(9)農地の集積・集約化に向けた制度周知の徹底と指導力の強化

(10)相対契約からの切り替えを通じた集約化と経営改善支援

(11)各地域での取組ノウハウ等の啓発

(12)支援施策の有効活用

(13)日本型直接支払制度との一体的普及・推進

6 集積・集約化と一体となった生産技術・経営指導支援

7 関係機関・団体が一体となった事業推進

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1 趣旨

農地は農業生産の基盤であり、地域の重要な資源でもあることから、

その機能が最大限発揮されるよう、効率的な利用ができる担い手へ集

積・集約していくことが重要である。特に耕地面積の9割を占める水田

が主に小規模な兼業農家によって営まれる本県の農業を維持発展させ

るためには、農地の集積・集約化による生産性の向上が喫緊の課題とな

っている。

農地中間管理事業が創設された平成 26年度からこれまでの 5年間に、

集落営農法人や認定農業者等を中心に事業の活用促進を図り、3,891ha

の農地を農地中間管理機構(以下「機構」という。)から担い手へ貸し

付けた。また、平成 30 年度は、相対での利用権設定等から農地中間管

理事業への切り替えや基盤整備事業と連携した集積・集約化の促進等に

より、前年対比 107%の貸付実績となったものの、集落営農法人への貸

し付けがほぼ一巡していることや、農地の条件面で出し手と受け手の間

にミスマッチがあること等から、年間推進目標 2,500ha に対しては低調

な状況となっている(単年度達成率:19.3%[482ha/2,500ha])。

こうした中、農地中間管理事業の5年後見直しにおいては、機構が農

地の集積・集約化に向けてその本来の機能を発揮できるよう、人・農地

プランの策定主体である市町や、話し合いのコーディネート機能を担う

農業委員会等の組織と、機構とが一体となって推進する体制を構築する

こととされ、事業の仕組みの改善も含め、関係法令や支援施策の見直し

が進められている。

これらの状況を踏まえ、「農地利用推進会議」において、本年度の推

進目標や基本的な方策等を定める農地中間管理事業推進方針(以下「推

進方針」という。)を策定し、本推進方針のもとに、県域及び地域でそ

れぞれ設置する農地利用推進協議会の意見を踏まえ、関係機関・団体が

一体となり、推進目標の達成に向け積極的に取り組むこととする。

2 推進方針の位置付け

本推進方針は、農地中間管理事業の推進に関する法律第 3 条第 1項の

規定に基づき、県が定めた「農地中間管理事業の推進に関する基本方針」

(平成 26年 3 月策定。以下「基本方針」という。)に掲げる目標の実現

に向け、平成 31年度における推進目標と具体的な推進方策等を定める

ものである。

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3 農地中間管理事業の目的

農地中間管理事業の目的は、農地の集積・集約化により農地の有効

活用を図り、農業経営の効率化による経営体の所得向上、さらには農村

地域の健全な維持発展を目指すものとし、県と機構だけでなく、市町、

農業委員会、農業協同組合等関係機関・団体と本目的を共有の上、相互

に連携して事業の効果的な推進を図るものとする。

4 推進目標

農地中間管理事業による農地の集積・集約化に向け、以下のとおり、

農地の集積・集約化面積に係る推進目標の設定を行う。また、農地管理

事務所は、本推進目標を基本に、地域の実情に応じた目標を定めるもの

とする。

⑴ 令和5年度の目指す姿

基本方針のとおり、認定農業者、集落営農組織等の担い手が、令

和 5年度までの 10 年間で本県農地の 3 分の 2(約 5 万 ha)を利用す

る姿を実現することとし、機構は、そのうち 25,000ha の集積・集約

化を目指すものとする。

⑵ 平成 31年度の目標

平成 31 年度は、農地中間管理事業により 2,500ha(25,000ha÷10

年間)の集積・集約を目指す。

農地中間管理事業による農地の集積・集約目標面積 (単位:ha)

地域 (農林振興事務所)

平成 30 年度末累計 (現状)

平成 31 年度 (単年度の純増目標)

神 戸 41.9 180

阪 神 119.7 114

加古川 213.3 131

加 東 733.7 553

姫 路 938.1 179

光 都 817.7 295

豊 岡 510.6 277

朝 来 100.3 118

丹 波 284.0 449

洲 本 131.5 221

県 計 3,890.7 2,517

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5 農地中間管理事業の推進方策

【5年後見直しの内容を踏まえた効果的な事業推進】

機構による農地の借入れ・転貸について、市町の集積計画のみで一括

して権利設定が可能となる仕組みの創設など、今後見込まれる見直し内

容を踏まえた事前準備を進めるとともに、市町等関係機関との連携のも

と、より一層の効果的な事業推進を図る。

人・農地プランの実質化と連動した推進

⑴ 人・農地プランの実質化と連動した農地中間管理事業の推進

農地中間管理事業の有効活用により、担い手への農地の集積・集約化

を加速化するためには、農地利用に係る意向調査や農業者等の徹底した

話し合いにより、耕作者等の年代情報や後継者の確保状況等を地図上で

見える化し、農地集約化の将来方針を明確化するなど、実効性のある

人・農地プランの推進が重要となる。このため、地域の実情に応じたプ

ランの作成・充実化に向け、以下の取組を実施する。

ア プランの作成に至っていない集落に対しては、策定主体である市

町及び農林(水産)振興事務所(農政振興課、農業改良普及センター、

土地改良事務所・センター)が、プラン作成の必要性の理解不足や

合意形成を牽引するリーダーの不在など、個々の集落が抱える課題

に応じて積極的かつきめ細やかな働きかけを実施する。

イ 多くの集落では、担い手不足や不耕作農地の解消など集落単独で

の対応が困難な課題があることから、小学校区程度を範囲とした複

数集落でのプランの策定を誘導し、周辺集落を含めた広域での農地

の有効活用を推進する。

ウ 人・農地プランの作成・実質化の推進に当たっては、市町、農業

委員会、農業協同組合等関係機関が各々の役割分担により連携する。

今回、プラン作成に係る地域の話し合いへの農業委員会の参画が

法定化されることを踏まえ、農林(水産)振興事務所は、機構の農地

集約推進員・農地集約化協力員と農業委員・農地利用最適化推進委

員による活動が効果的に実施されるよう、適切な推進体制を構築し、

実質化の活動を通じて事業に結びつけていく。

推進主体: 農業経営課、農林(水産)振興事務所(農政振興課、

農業改良普及センター、土地改良事務所・センター)

連携組織: 市町、農業委員会、農業協同組合

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⑵ 「いきいき農地バンク方式※」の推進 ※「いきいき」とは、機構の活用により地「域」全体で農地を「活」かしていくとの意

推進主体: 機構(本社)、農地管理事務所、農業経営課、農林(水

産)振興事務所(農政振興課)

連携組織: 市町、農業委員会

農地中間管理事業による農地の集積・集約化は、農業経営の効率化

による経営体の所得向上に加え、集落内農地の長期安定的な保全体制

の構築に寄与し、農村地域の健全な維持発展につながるものである。

このため、人・農地プランや多面的機能支払等に係る話し合いによ

り合意が図られた地域においては、地域が主体となって地域の農地を

守るという視点に立ち、プランで明確化された守るべき農地の全てを

機構が一括して借り受け、地域の担い手や隣接地域の農業法人等に貸

付けを行う。そして、これらの法人等が耕作の継続を希望する農家と

連携を図りながら、地域全体で農地の有効活用と水路・農道等の保全

活動を行う仕組み「いきいき農地バンク方式」を推進する。

人・農地プランの地域別目標数

地域 (農林振興事務所)

平成 30 年度末累計 (現状)

平成 31 年度 (単年度の純増目標)

プラン数 集落数 プラン数 集落数

神 戸 74 176 0 2

阪 神 31 127 3 4

加古川 29 107 7 22

加 東 173 176 38 119

姫 路 110 129 22 77

光 都 112 423 29 64

豊 岡 51 181 33 104

朝 来 39 170 23 38

丹 波 105 286 17 74

洲 本 90 323 42 136

県 計 814 2,098 214 640

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担い手への農地集積に直結する施策と連動した推進

⑶ 集落営農組織法人化強化期間に連動した農地中間管理事業の推進

推進主体: 農林(水産)振興事務所(農政振興課、農業改良普及セ

ンター、土地改良事務所・センター)、農業会議、

農業経営課、農業改良課、農地整備課

連携組織: 市町、農業協同組合

地域の土地利用型農業を支える本県の集落営農組織は、その多く

(83%)が法人格のない任意組織である。集落営農組織は、任意組

織のままでは農地中間管理事業を活用した農地集積が不可能である

だけでなく、高度な経営の展開や雇用の確保などにより、その経営

を将来にわたって発展させていくことが困難である。このため、集

落営農組織の法人化を推進し、これと合わせて農地中間管理事業を

最大限活用することにより本県農業の体質強化を図り、持続的発展

に寄与する。

ア 農林(水産)振興事務所の管轄区域ごとに、①担い手や農地の状況

からみて地域農業を存続させるために法人化が必要な集落、②法人

化の意向があるなど法人化が進みそうな集落を把握・分析し、特に

法人化を推進すべき集落を見極めた上で、優先度の高い集落から重

点的に推進する。

平成 30 年度から 3 カ年については、法人化強化期間と位置づけ、

各農林(水産)振興事務所ごとの目標達成に向けた取組を着実に推進

する。平成31年度は地域の現状や法人化候補集落の状況等を踏まえ、

50集落での法人化を目指す。

法人化集落数の地域別目標数 (単位:集落)

地域 (農林振興事務所)

平成 30 年度末累計 (現状)

平成 31 年度 (単年度の純増目標)

神 戸 3 4 阪 神 13 2 加古川 38 3 加 東 30 9 姫 路 35 6 光 都 33 7 豊 岡 17 5 朝 来 7 2 丹 波 15 7 洲 本 9 5

県 計 200 50

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イ 法人化の促進に当たっては、対象集落ごとに戦略を立て、それぞ

れの集落に対し、経営の多角化・高度化に必要な機械・施設等の導

入や、法人運営に必要な知見を有する人材雇用等を支援する「法人

化促進総合対策事業」等の関連施策の効果的な活用を積極的に提案

し、早期に法人化が実現されるよう支援する。

ウ 収益性や採算性の問題から単独では法人化が難しい小規模集落に

対しては、近隣の複数集落による広域法人化や、周辺の既存法人へ

の統合等による広域での法人化を戦略的に推進する。

組織の広域化の実現に向けた集落間調整やスケールメリットを活

かした経営計画の策定等については、「基幹的地域農業法人確立事

業」の活用を提案し、収益性の高い広域法人の早期確立を支援する。

エ 新たに設立された集落営農法人においては、地域の個別経営体等

との農地の利用調整を図りつつ、速やかに農地中間管理事業を活用

した農地の集積・集約化が図られるよう誘導する。

オ 既に農地中間管理事業の活用実績のある集落営農法人に対しては、

経営規模の拡大や農地集約化に関する意向把握に努め、希望条件に

合う貸出可能農地との円滑なマッチング等を行うなど更なる事業活

用につなげる。

カ 集落営農の組織化を誘導する「集落営農育成員」や、機構による

農地の集積・集約化の実務を行う「農地集約推進員」など集落と接

触する機会の多い専門員が得た地域の情報は、農林(水産)振興事務

所(農政振興課、農業改良普及センター)及び農地管理事務所で情

報共有を図るとともに、市町、農業委員会、農業協同組合等関係機

関とも共有の上、法人化に伴う農地中間管理事業の効果的な実施に

活用する。

⑷ 基盤整備事業と連動した農地中間管理事業の推進

推進主体: 農林(水産)振興事務所(農政振興課、土地改良事務

所・センター)、農地管理事務所、農地整備課、農業

経営課

連携組織: 市町、土地改良区

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基盤整備事業実施地区においては、基盤整備と担い手への農地集

積・集約化を一体的に進める必要があるため、以下のとおり農地中間

管理事業を重点的に推進する。

ア 基盤整備事業の実施及び予定地区を、農地中間管理事業と連携し

て農地の集積・集約化を進める「モデル地区」に位置付け、重点推

進対象候補として関係機関による推進体制を構築し事業を進める。

イ 農地中間管理権を設定した農地を対象に農業者の負担を求めない

機構関連農地整備事業について、農林(水産)振興事務所(土地改良

事務所・センター)と農地管理事務所は連携して普及啓発し、一体

的な事業推進を図る。

ウ 農地管理事務所は、借受希望者や地域から簡易な基盤整備やほ場

整備、荒廃農地の再生等の要望があった場合、農林(水産)振興事務

所(土地改良事務所・センター)と連携して、技術的要件や予算、

実施時期、実施方法等について集落・地域の意向を確認し、関係機

関と調整の上、円滑な事業実施に向けて指導・助言する。

⑸ 企業の農業参入と連動した農地中間管理事業の推進

機構関連農地整備事業の実施(予定)地区数 (単位:地区)

地域 (農林振興事務所)

平成 31 年度時点 (実施中)

令和 2 年度以降 (実施予定)

神 戸 1 姫 路 4 3 豊 岡 1 朝 来 1 2 洲 本 2 3

県 計 7 10

※H30年度:須加院(姫路市)、屋形(市川町)、夜久野高原(朝来市)、 八幡北(南あわじ市)

H31年度:宮置(姫路市)、太市西部(姫路市・太子町)、市原(洲本市)

推進主体: 農林(水産)振興事務所(農政振興課、農業改良普及セ

ンター)、農地管理事務所、農業委員会、農業経営課、

機構(本社)

連携組織: 市町

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担い手が不足する地域においては、地域内外の企業による農業参入

で農地の有効活用が期待される。このため、市町と連携した人・農地

プランの推進のもと、農業参入企業の受け入れを検討する地域に対し

ては、農地管理事務所に新たに設置した農地集約化協力員等を中心に、

集約化された一団の貸出可能農地の創出や地域側の受入れ条件の整理

に向けた支援を行う。

また、例えば昨年企業等を対象に開催された北淡路の耕作放棄地と

なっている国営農地の有効活用を図るためのオープン農地フェアのよ

うな新たに農業参入する企業や規模拡大を目指す企業の希望条件に合

った農地情報の提供や地域との調整を行うとともに、参入企業の農業

経営が着実に発展するよう、長期安定的な農地利用が可能となる農地

中間管理事業の推進を図る。

⑹ 農業委員会との連携による事業推進

農地の有効活用の推進には、農地利用の最適化に向けた現場活動を

行う農業委員会との連携が不可欠である。このため、農林(水産)振興

事務所(農政振興課)と農地管理事務所は、農業委員会との定期的な

情報交換を行い、遊休農地を含む農地や担い手情報の共有化を図る。

また、農地集約推進員・農地集約化協力員は、農地利用最適化推進

委員・農業委員と普段から相互に情報共有に努め、地域の農業者への

日常的な訪問活動等を通じ、連携して借受希望者や貸出希望農地の掘

り起こしや、マッチングに向けた調整に取り組む。

なお、農林(水産)振興事務所(農政振興課)は、農業会議や農業委

員会等が実施する委員を対象とした農地利用の最適化に係る研修会

等に積極的に協力する。

農地中間管理事業の戦略的な推進

⑺ 新たな借受希望者や貸出可能農地の掘り起こし

推進主体: 農林(水産)振興事務所(農政振興課)、農地管理事務

所、農業経営課、農地調整室

連携組織: 農業会議、農業委員会、市町

推進主体: 機構(本社)、農地管理事務所

連携組織: 市町、農業委員会、農業協同組合

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ア 借受希望者の確保

担い手への農地の集積・集約化を円滑に進めるためには、地域農

業の担い手となる者を事前に把握し、貸出可能農地との円滑なマッ

チングにつなげる必要がある。このため、農地管理事務所は、兵庫

県農業法人協会や兵庫県稲作経営者会議等の担い手組織との連携を

強化し、担い手が集まる総会や研修会等の場を活用して、認定農業

者や認定新規就農者、人・農地プランの中心経営体などに対し、積

極的に借受希望者登録の働きかけを行う。

また、就農支援センター等と連携し、農地を探している新規就農

者や農業参入企業など新規参入者の借受希望者登録への誘導を行う。

イ 担い手への貸出可能農地の掘り起こし

担い手への農地の集積・集約化を円滑に進めるためには、将来的

に貸出可能となる潜在的な農地も含めた貸出可能農地の早期把握に

加え、担い手が利用しやすい集約された農地を創出し、担い手との

円滑なマッチングにつなげる必要がある。

このため、農地管理事務所は、新たに設置した農地集約化協力員

等を中心に、農地利用最適化推進委員・農業委員や、市町、農業協

同組合等関係機関と連携して、現状では貸出意向を示していない農

地所有者も含め、今後の農地利用に関する農地所有者の意向把握に

努め、貸付け意向のある者に対しては、農地中間管理権の取得に向

け、積極的な働きかけを行う。また、こうした農地情報を登録する

とともにリスト化・地図化して借受希望者に情報提供する。

ウ 貸出可能農地情報の機構ウェブページへの掲載

県内での就農を希望している農業参入企業や新規就農者等が農地

情報を探索する際の利便性を高めるため、地域ごとに取りまとめた

貸出可能農地リストのうち所有者同意が得られた農地情報を機構の

ウェブページへ掲載し、借受希望条件との照合を行う。

⑻ 重点推進対象の設定・指導

農地中間管理事業と関連施策の一体的な推進には、関係機関が常に

情報を共有化して取り組む必要がある。このため、農地管理事務所は、

推進主体: 機構(本社)、農地管理事務所

連携組織: 市町

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人・農地プランの作成・見直し、基盤整備事業、集落営農組織の法人

化、規模拡大や新規参入を目指す借受希望者の育成等の取り組みと農

地中間管理事業の活用を一体的に推進する対象を「重点推進対象」に

設定し、関係機関が連携して農地の集積・集約化を図る。

また、重点推進対象のうち、特に集約化を推進する対象については

「集約化重点推進地域」に設定の上、農地集約化協力員等を中心に集

約化に向けた農地の利用調整を重点的に実施する。

⑼ 農地の集積・集約化に向けた制度周知の徹底と指導力の強化

制度活用の促進には、農地中間管理事業の目的や活用のメリット等

についての個々の農業者段階における理解醸成が不可欠となる。この

ため、集落座談会や農会での説明、集落代表者への個別面談などを通

じて農業者等への丁寧な説明に努めるとともに、マスメディアや機構

のウェブページ、市町等の広報誌など多様な広報媒体を活用して年間

を通じた効果的・効率的な普及啓発により制度周知の徹底を図る。

また、地域へのアプローチや制度活用への誘導手法等を学ぶシンポ

ジウムや研修会等を開催し、市町等関係者の事業推進に係るスキルア

ップを図る。

⑽ 相対契約からの切り替えを通じた集約化と経営改善支援

農業経営の効率化を図るためには、将来の集約化に向けた農地の着

実な集積を図る必要がある。このため、農地管理事務所は、従来の相

対での権利設定から契約期間満了時等における農地中間管理事業への

切り替えを誘導し、段階的な集約化につなげていくとともに、併せて

貸借期間の長期化による経営の安定化や契約・支払事務等の負担軽減

を図ることで、担い手の経営改善を支援する。

推進主体: 農業経営課、機構(本社)、農地管理事務所

連携組織: 市町、農業委員会、農業協同組合

推進主体: 機構(本社)、農地管理事務所

連携組織: 市町、農業委員会

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⑾ 各地域での取組ノウハウ等の啓発

推進主体: 機構(本社)、農地管理事務所

連携組織: 市町

農地中間管理事業の活用事例の共有は、他地域における新たな取組

のきっかけづくりや検討材料になるなど、事業の活用促進に効果的で

ある。このため、各地域における優良事例等を整理し、各種研修会や

インターネット、パンフレットの配布等により広く普及啓発を図り、

機構による農地の集積・集約化の機運向上を図る。

⑿ 支援施策の有効活用

推進主体: 農業経営課、農林(水産)振興事務所(農政振興課)

連携組織: 市町、農業委員会、土地改良区、農業協同組合

農地の有効活用を促進するためには、農地中間管理事業に関連する

支援施策を効果的に活用することが重要である。このため、農林(水

産)振興事務所(農政振興課)と市町は、各種支援施策を有効に活用

し、地域の実情に応じた農地の集積・集約化を推進する。

ア 地域農地管理事業

不耕作農地を有する複数集落で構成される地域において、現状

の耕作状況と将来の農地利用を見える化するための地図作成や、

農地中間管理事業を活用して新たに不耕作農地を借受ける者に対

する人材確保や機械導入等への支援を行う。

また、把握された不耕作農地が早期に活用されるよう、借受け

者等が行う区画拡大のための畦畔除去や、排水性向上のための暗

渠排水施設の設置など、耕作条件を改善する取組への支援を行う。

イ 機構集積協力金

地域における話し合い(人・農地プラン)に基づき機構にまと

まった農地を貸し付けた地域や、農地を貸し付けて担い手への農

地の集積・集約化に協力する農地所有者に対して機構集積協力金

を交付する。

なお、今年度から中山間地域における交付要件が緩和されるこ

と等を踏まえ、地域特性に応じた更なる有効活用を推進する。

Page 13: 平成 31 年度兵庫県農地中間管理事業推進方針2 3 農地中間管理事業の目的 農地中間管理事業の目的は、農地の集積・集約化により農地の有効

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ウ 条件不利農地集積奨励事業

未整備農地など作業性の悪い農地も含め、地域内の農地を農地

中間管理事業を活用して借り受けて規模拡大を図る担い手に対し

て奨励金を交付する。

地域資源の保全活動と連動した推進

⒀ 日本型直接支払制度との一体的普及・推進

ア 農林(水産)振興事務所(農政振興課、土地改良事務所・センター)

は、日本型直接支払制度の農地維持活動の必須活動である「地域

資源保全管理構想」の作成と人・農地プランの作成を一体的に進

め、農地中間管理事業による農地の集積・集約化を推進する。

イ 農林(水産)振興事務所(農政振興課、土地改良事務所・センター)

は、効率・効果的に事業を推進するため、各集落の意向やアンケ

ート調査結果等の情報を共有し、それらを有効活用しながら、ニ

ーズの高い地域から重点的に推進する。

6 集積・集約化と一体となった生産技術・経営指導支援

農業経営を効率化し、所得向上を図るためには、農地の集積・集約

化と農業経営の改善を一体的に進める必要がある。このため、農林(水

産)振興事務所(農業改良普及センター)は、新規就農者や農地の集積・

集約化を目指す認定農業者等に対する生産技術・経営指導を重点的に

実施する。

7 関係機関・団体が一体となった事業推進

農地中間管理事業を通じた生産性の高い地域農業を確立していくた

めには、地域の農業振興をリードする市町や、現場に精通する農業委

員会・農業協同組合・土地改良区などが農地の利用調整に大きな役割

を果たしていることを踏まえ、これら地域段階の関係機関・団体が一

体となって事業を推進していくことが重要である。

推進主体: 農林(水産)振興事務所(農政振興課、土地改良事務

所・センター)、農業経営課、農地整備課

連携組織: 市町

Page 14: 平成 31 年度兵庫県農地中間管理事業推進方針2 3 農地中間管理事業の目的 農地中間管理事業の目的は、農地の集積・集約化により農地の有効

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⑴ 市町においては、農政推進の中で、農地の利用調整のあり方を明ら

かにした上で、人・農地プランの作成・見直しを通じ、現行の相対契

約満了時における切り替えも含めた事業活用を進めるとともに、借受

希望者や貸出希望農地の登録やマッチング調整などを通じて、農地の

集積・集約化が円滑に進むよう努めていく。

⑵ 農業委員会においては、農地利用の最適化に向けた活動の一環とし

て、人・農地プランに係る地域の話し合いへの積極的な参画、借受希

望者や貸付希望農地の掘り起こしやマッチングに向けた地元調整に

より、事業を活用した農地利用の最適化に取り組む。

⑶ 農業協同組合においては、組合員への事業啓発や借受希望者や貸付

希望農地への登録誘導を行うとともに、出資法人が農地の借受を行う

場合は積極的に事業を活用し、農地の保全・活用を進め産地の振興を

図る。

⑷ 土地改良区においては、組合員への事業啓発や借受希望者や貸付希

望農地への登録誘導を行うとともに、県や市町、農業委員会等との情

報共有を図り、農地の貸付希望農地や借受希望者の情報収集・提供等

に協力する。また、農地の集積・集約化と併せて基盤整備事業の実施

を計画的かつ円滑に進める。