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経済産業省 商務情報政策局 御中 平成25年度新興国での新中間層獲得による 日本再生事業(インドにおける IT 関連産業市場調査) 報告書 2014 3 14 海外事業センター

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経済産業省 商務情報政策局 御中

平成25年度新興国での新中間層獲得による

日本再生事業(インドにおける IT 関連産業市場調査)

報告書

2014 年 3 月 14 日

海外事業センター

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目次

1. 本調査業務の概要 ............................................................................................................... 1

1.1 本調査業務の背景及び目的 ......................................................................................... 1

1.2 本調査業務の調査の概要 ............................................................................................. 1

1.3 本調査業務の実施体制 ................................................................................................ 1

2. ジョイント・ワーキング・グループ(JWG)派遣調査団 ................................................ 3

2.1 本ミッションの概要及び派遣団の選定 ....................................................................... 3

2.2 JWG の結果の概要 ...................................................................................................... 3

2.3 JWG のフォローアップ ............................................................................................... 5

3. ジャパン・タウンシップ(JT)派遣調査団 ...................................................................... 9

3.1 ジャパン・エレクトロニクス・タウンシップ/ジャパン・タウンシップの概要 ..... 9

ジャパン・エレクトロニクス・タウンシップ ............................................................ 9 3.1.1

ジャパン・タウンシップ .......................................................................................... 10 3.1.2

3.2 本ミッションの概要及び派遣団の選定 ...................................................................... 11

3.3 本ミッションの訪問先 .............................................................................................. 12

3.4 本ミッションの主な結果 ........................................................................................... 17

4. インドにおける我が国 IT 関連企業の海外進出、販路開拓に向けた調査結果 ............... 19

4.1 行政上の課題の整理(障害となる中央政府の法規制等)........................................ 19

4.2 法規制や税制等の課題の整理 ................................................................................... 23

4.3 各種インセンティブ制度(中央及び選定された州)の整理 .................................... 23

中央政府の政策 ......................................................................................................... 23 4.3.1

州別のインセンティブ制度 ....................................................................................... 27 4.3.2

4.4 インフラ、産業団地等の整備情報の整理 ................................................................. 45

Tumkur National Investment and Manufacturing Zone (NIMZ) ................................. 45 4.4.1

Narsapura(Kolar) .................................................................................................. 47 4.4.2

Electronics City Complex .......................................................................................... 49 4.4.3

Hosur ......................................................................................................................... 50 4.4.4

Electronics Complex ................................................................................................. 50 4.4.5

Pithampur .................................................................................................................. 51 4.4.6

オメガ工業団地 ......................................................................................................... 53 4.4.7

4.5 競合事業者、流通事業者等の事例等の情報の体系的な整理 .................................... 54

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図目次

図 1-1 本調査業務の実施体制 ............................................................................................... 2

図 3-1 ジャパン・タウンシップ視察ミッションの訪問先 .............................................. 17

図 4-1 (左)既存 Tumkur 工業団地へのアクセス道路、(右)Siporex India 社(コンクリート

製造)の工場..................................................................................................................... 46

図 4-2 Exedy Clutch India や Honda Motorcycle & Scooter India 工場へのアクセス道路

............................................................................................................................................ 48

図 4-3 Electronics City Complex 敷地内の様子 ................................................................... 49

図 4-4 Hosur 工業団地内入居中の Titan 社(電子腕時計メーカー)の工場敷地内 ..... 50

図 4-5 Electronics Complex 入居中の Scientech 社 ............................................................. 51

図 4-6 Pithampur 工業団地内の様子(左)ジャパン・タウンシップ構想の予定地、(右)

Pratibha Syntex 社(入居中の繊維企業)の工場 .......................................................... 52

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表目次

表 3-1 ジャパン・エレクトロニクス・タウンシップ候補地一覧 .................................... 9

表 3-2 ジャパン・タウンシップ候補地一覧 ..................................................................... 10

表 3-3 JT 視察ミッション参加メンバーの役割 ................................................................ 11

表 3-4 ジャパン・タウンシップ視察ミッション 訪問先一覧 ...................................... 13

表 4-1 インドにおける行政上の課題及び法規制や税制等の課題 .................................. 19

表 4-2 マディア・プラデーシュ州における土地費用リベート ...................................... 30

表 4-3 オリッサ州における土地譲渡の条件 ..................................................................... 40

表 4-4 オリッサ州における雇用のインセンティブ ......................................................... 42

表 4-5 オリッサ州における雇用 ......................................................................................... 42

表 4-6 オリッサ州における展示会参加支援 ..................................................................... 43

表 4-7 オリッサ州における特許取得料補助 ..................................................................... 43

表 4-8 オリッサ州 Level2 地区への投資のインセンティブ ......................................... 44

表 4-9 インドにおける IT 関連産業事業者の例 ................................................................ 54

表 4-10 インドにおける流通事業者の例 ........................................................................... 56

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1. 本調査業務の概要

1.1 本調査業務の背景及び目的

我が国 IT 関連企業は、これまで主に一大生産、消費市場である中国への進出を行ってき

た。しかし、反日デモ等により、中国集中のリスクが顕在化してきた中で、IT 関連企業に

とってもチャイナ+1の観点から、中国に加えた、もしくは中国に代わる拠点の確立が急務

となっている。

チャイナ+1 として、アジアの新興国が有望な候補となっているが、特に、他の新興国に

比べて格段に人口が多く、かつ、更なる成長の余地が見込まれるインドは、日本の IT 関連

企業にとって、最も魅力的な国のひとつである。

一方で、インドでは、州ごとに異なる法規制や複雑な税制、電力供給に係る規制問題、ICT

機器に係る不透明なセキュリティ規制など、我が国 IT 産業が進出するに当たって問題とな

る制度上の問題が数多く存在する。これまでも、様々な日本企業がインド進出を進めてきた

が、順調に進まないケースも多い。インド側から提案されているジャパン・タウンシップ構

想についても、立地や関係者の役割、インセンティブ等不透明な点が多く、オメガ工業団地

の事例にみられるようになかなか実現に至らないのが実情である。

これらを解決する観点から、インド商工大臣・日本経済産業大臣会談日印首脳会談後を受

けて、政府間での政策対話や民民間でのビジネス対話により構成される「IT 及びエレクト

ロニクスに係る日印ジョイント・ワーキング・グループ(以下、JWG)」が立ち上がったと

ころである。日本の IT 関連企業のインド進出促進に向けて、JWG を活用して課題解決を図

り、さらに JWG を補完する観点からさらに課題を調査し、整理することが必要である。

以上のような状況に鑑み、本調査業務では、我が国 IT 関連企業がインドへ進出するに当

たっての課題を抽出・整理するとともに、解決のためのチヤネルなど、必要な情報を収集し

JWG にフィードバックすることにより、我が国 IT 関連企業のインド市場開拓への一助とな

ることを目的として、JWG における対話及び補完するための調査を実施した。

1.2 本調査業務の調査の概要

本調査では、まず、我が国 IT 関連企業が進出、販路開拓を行うに当たり、必要な情報を

事前に調査し、11 月 13 日に開催される JWG で取り上げるべき課題・論点を整理し、JWG

を実施した。その後、この JWG の結果を受けて、ジャパン・タウンシップ視察ミッション

の調査団を編成し、カルナタカ州及びマディア・プラデーシュ州でフォローアップ調査を実

施した。最後に、我が国 IT 関連企業が進出、販路開拓を行うに当たっての課題の抽出・整

理した。

1.3 本調査業務の実施体制

本調査業務の実施体制は図 1-1 の通りである。

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図 1-1 本調査業務の実施体制

出所)調査団作成

本調査業務の背景に述べたように、日本とインドの IT・エレクトロニクス産業全体の連

携を更に加速し、それを以て双方の競争力強化を図る観点から、必要な議論を緊密に行うた

めのプラットフォーム作りを行うことを目的として、日印の官民が参加する JWG が構築さ

れた。このことを受けて、一般社団法人 電子情報技術産業協会(以下、JEITA)は関係す

る業界団体とも連携して、日本企業のニーズを踏まえた枠組みを実現するため、インドにお

ける事業に関心を持つ企業が参加する日印 ICTE 直接対話対応ワーキングチーム(以下、

WT)を設置した。

調査については、WT と連携して実施した。本調査業務の期間中に、WT から選定された

企業を中心として 2 回の調査団(詳細は第 2、3 章を参照)をインドへ派遣した。調査団は

パナソニック株式会社・渉外本部国際渉外グループ 島田グループマネージャーが主査、株

式会社日立製作所情報・通信システム社渉外部 檀原部長代理が副査を務めた。主査及び副

査を中心に WT の問題意識を把握した上で、現地の関係者(インド政府、インド企業・団

体、現地日本法人等)と対話を行った。なお、派遣の際のカウンターパートはインド電子半

導体協会(以下、IESA)が務めた。

現地調査サポート体制

三菱総合研究所

海外事業センター

経済産業省

調査チーム

ローカルコンサルタント

業界団体(日本側)

電子情報技術産業協会(JEITA)

日印ICTE直接対話対応WT

業界団体(インド側)

インド電子半導体協会(IESA)

連携

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2. ジョイント・ワーキング・グループ(JWG)派遣調査団

2.1 本ミッションの概要及び派遣団の選定

平成 25 年 11 月 13 日に JWG の第 1 回会合をインド・デリーにて開催することが決定し

たことを受けて、調査団を編成しインドへ派遣した。本 JWG において日本側調査団がイン

ド政府を始めとするインド側関係者と対話することによって日印の IT・エレクトロニクス

産業分野における協力関係を深めることを目的とした。

本 JWG 民間セッションに参加したメンバーは以下の通りである。

・ 日本側共同議長 パナソニック株式会社 宮田賀正代表取締役専務

・ 日本側共同副議長 株式会社日立製作所 渡部眞也執行役常務

・ 共同モデレーター 一般社団法人電子情報技術産業協会 長谷川英一常務理事

・ パナソニック株式会社 渉外本部国際渉外グループ 島田玄一郎グループマネージャ

・ 株式会社日立製作所 情報・通信システム社渉外部 檀原可一部長代理

・ 一般社団法人電子情報技術産業協会 国際制度専門委員会 セイコーエプソン株式会

社 村上芳伸幹事

・ 東芝インド社 浦井研二社長

・ NECインド社 小出浩一郎副社長

・ 日立インド社 笹部泰男副社長

・ 富士電機インド社 プラントソリューション部 菅野憲部長

・ 一般社団法人電子情報技術産業協会 国際部国際グループ 山崎昌宏グループ長

2.2 JWG の結果の概要

本 JWG は民間セッション、官民合同セッション及び政府間セッションの 3 部構成となっ

ており、民間セッションでは、日印両国の民間企業が IT 及びエレクトロニクス分野の協力

に関して意見交換を行った。会議の最後に、両者が合意した内容として討議議事録が採択さ

れた。以下に本討議議事録の内容を示す。

(1)本 JWG に関する日印共通認識

本JWGにおいてはIT・電子産業における日本とインド両国の有益な意見交換が行われた。

同セッションを通して両産業界とも業界の展望、政策、ビジネスチャンスに関する互いの

立場を理解する機会となり、日印企業間のビジネス連携を強化するために共に一層協力し

ていくことに合意した。産業界としては日本政府とインド政府双方に対して、連携と貿易

拡大の促進に対する支援を求めるとともに、日印企業の様々な課題の解決に向けて、双方

が協力を進めることについて要望が示された。

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(2)日印両業界団体が共通に要望する事項

1)インド政府への要望事項

インド政府に対しては以下の要望が示された。

・ インフラ整備の促進

安定した電力供給の確立と、港湾道路整備が実施されること

・ 法制度の明確化

法制度の簡素化、煩雑な手続きの効率化、法的枠組みの一貫性の確保

・ ビジネスを支援するエコシステムの発展

裾野産業、サプライチェーン産業の育成、企業進出のインセンティブ確立、などビジネ

ス実施環境の整備

・ 事業進出・事業拡大への支援

インセンティブの対象分野拡大、輸出・投資恩典の内容拡充、既存投資との調和など日

本からの事業進出や事業の拡大を支援する政策の推進

・ 人材確保と育成

投資に見合った人材の確保および、育成やビザ手続きの簡素化

・ 税制の見直し

州毎に異なる複雑な税制の簡素化や見直し、GST(Goods & Service Tax) の早期導入

・ 関税削減

税金制度の是正

・ 電子情報技術製品強制登録義務要求規則の見直し

要求事項への完全適合期日の延期、試験期間の短縮、登録審査期間の短縮、新たな対象

製品の登録における猶予期間の設定。

2)日本政府への要望事項

日本政府に対してはインド企業の幹部が日本を訪問する際のビザ手続きの迅速化と簡素

化が要望事項として挙げられた。

(3)インド業界団体の要望事項

日本政府に対しては以下の要望が示された。

・ 両国で共通の課題に取り組む大学間の共同連携に対する日本政府の推進-手頃なヘル

スケア、安全にかかわるエレクトロニクスなど。

・ 日本企業からの技術供与と製品の共同開発により中小企業/ベンチャーを支援するた

めの日印技術基金の設立

・ 日印企業間の業務提携の強化を促進するため、日本での電子システム設計・製造(以

下、ESDM)企業に対するインド政府が発表した政策イニシアティブの推進支援

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(4)日本業界団体の要望事項

インド政府に対しては以下の要望が示された。

・ 情報セキュリティ規制

国際的な評価認証レジームからの逸脱が懸念されることから、規制を撤廃すること。

・ PMA (Preferential Market Access)

国際的コミットメントを遵守した国際整合性のある制度への見直しを行うとともに、

WTO政府調達協定(GPA)への早期加盟を行うこと

2.3 JWG のフォローアップ

本 JWG 実施後に、JEITA の WT メンバー企業を対象にアンケート調査を行った。以下、

同アンケート調査の主な結果を整理する。

日印 ICTE直接対話対応ワーキングチームに参加した目的やワーキングチームに期待してい

る内容

・ 既に販売拠点としてインドに進出しており、2014 年より工場を設立し、生産販売拠点と

して稼働している。今回、ワーキングチームに参加した目的は、今後インドにてビジネ

スを進める上での、情報入手が主な目的である。

・ インド市場への本格進出を検討しており、まずは、市場としてのインドに対する通商課

題への働き掛けや市場環境の情報収集、およびインド要人(官/民)との人脈形成に資

する活動を期待している。

・ ワーキングチームに参加した目的:①会員企業がインドへ既に投資している為。②イン

ド進出に興味を持つ会員の為の情報収集や活動窓口として。③個々の企業メンバーでは

発信しづらい意見について団体意見としてニュートナルな発信を行い、ワーキングチー

ムに貢献したい。

・ 今のところインドへの直接投資(工場進出)の計画はないが、①巨大市場として②アフ

リカ・中東への輸出拠点として着目している。現状は、販売拠点をインドに置いて、整

備・拡充している状況である。インドに工場進出を検討する場合、現状の海外工場、並

びに候補地としての ASEAN 諸国との比較において、優位性があることが大前提になる。

弊社内の分析では、インドの複雑且つ高額な税制によって、工場進出のメリットが十分

確認できなかった。ワーキングチームの要望書を見ると、多くの会社が税制の改善を求

めている。ワーキングチームの活動を通じて、インド政府に日本企業からのビジネス上

の課題を認識していただき、中国、ASEAN 諸国と比較して遜色ないビジネス投資環境

整備に貢献できればと思う。

・ インド国内の事業環境整備、特に政府間協議を通じた外資規制、保護主義政策の抑制を

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期待する。

・ JEITA 電子部品部会の代表会社の一社として参加させて頂いている。

・ 期待している事は、前回のアンケート調査で回答差し上げた内容で、社会インフラ、税

制、関税等の改善を期待している。

・ 既にインドでビジネスを展開しているので、規制緩和等のインフラ整備に関心がある。

・ 目的:インドでの事業展開に際して直面しているビジネス環境上の課題解決(複合機や

プロジェクタ等、政府調達品リストの更新が遅れがちのため適時更新を申し入れる等)。

期待している内容:官民連携での日本政府からインド政府への申し入れ。

・ JEITA 会員企業として、インドにおけるビジネス環境の改善と今後の事業拡大のために

参加。

・ インドで BtoC ビジネスに加え、BtoB、BtoG ビジネスを強化したいと考えている。JWG

の枠組みを通じてインドの中央及び地方政府や有力企業とのコネクションを強化し、政

府プロジェクトやソリューションビジネスなどで当社が参入できる機会を発掘できれ

ばと考える。インドでビジネスを行うには、法・制度・慣習などの面で様々な問題があ

る。JWG の枠組みでこれらの問題を日印の官民が共有し、目に見える形で改善の取り

組みがなされることを期待する。

・ 日系工業団地向けの電力インフラ構築(例:熱電併給)への参画をすべく、JWG に初期段階

から参画することを目的にしている。

・ インドで事業を行う上で支障となっている政策、事項についての提言、意見交換。投資

インセンティブについての情報収集。

・ ワーキングチームで検討した「日本企業がインドでビジネスを行う上での諸課題」につ

いて、短時間ではあるが民民セッションでインドの産業界と議論でき、その結果を官民

セッションにてインド産業界から報告していただいたことで、インドの官側への問題提

起ができたことは成果。第一回のJWGであり具体論はこれからではあるが、山積する

諸課題解決の切っ掛けになると期待できる。

今後日印 ICTE JWG として進めるべき作業内容などに関する提案

【政府として進めるべき内容】

・ 第 1 回 JWG で決定した内容、特に日本企業がインドでビジネスを行う上での諸課題の

解決につき、フォローアップを行うこと。

・ 第 2 回 JWG を開催してフォローアップを行なう。

・ 既に第 1 回 JWG の中で、纏め上げた要望を実現に向けて努力してもらいたい。一般企

業は、ビジネスを進める上での諸々の課題は、相手先と個別に交渉していく為、壁にぶ

つかった時など、是非とも、官の力を借りたい。

・ インド側関係者の日本招聘。

・ 日本企業の紹介イベントの企画。

・ 今や全ての業種の効率化や新たな価値創造のツールとなっている。従って官側では、特

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に公共投資分野での詳細な分野やテーマを設定し、それに関連する両国の企業群に協創

の場を提供する形が焦点がはっきりとするのではないか。

・ テーマが細かくまたビジネスが見えているプロジェクトであれば協創は進みやすいと

考える。

・ 第 1 回 JWG と同様に、民間の意見集約とインド政府への打ちこみに加えて、現地 JETRO

勢や在インド大使館、現地日系/現地系商工会との各種連携・調整を通じた申し入れ効

果の最大化に期待。

・ インド側の、日本の産業界が提示したビジネス環境面の問題点を解決・改善するための

取り組みを、チェック、サポートをしていただくことで、具体的な成果に結びつけてい

ただければと思う。

・ 特に、人材育成は重要でありかつ日本政府にとって強みのある分野であると思う。ぜひ

とも日印政府間が協力して枠組みを構築して頂きたいと思う。

・ JETRO 等を通じた日本の中小企業のインドへの投資促進のためのイベント(セミナー、

ミッション等)の開催。

・ インド政府当局の政策決定者との連携により、インド政府方針や施策に関してのフィー

ドバックを日本側に継続的に行うこと

・ 弊社は、既にインドでビジネスを展開しているので、規制緩和等のインフラ整備に関心

がある。

【産業界として進めるべき内容】

・ 第 1 回 JWG で決定した内容のフォローアップ。

・ 第 2 回 JWG を開催してフォローアップを行うこと。

・ 日本側の進出企業の事例紹介、実際進出している企業から進出にいたった経緯、進出後

の状況等を共有できる範囲で共有いただきたい。

・ 自社競争力の強化と、民・民交流を通じた良好な日印関係の形成(他国資本に対する優

位性の構築)。

・ 会員各社の JWG へのより積極的な参画がインド政府への説得力となり、より好ましい

法制度の実現とビジネス環境の改善につながると思う。日印の官民が参画する JWG と

いう機会をさらに活用する方策を民として検討すべきと思う。

・ あくまでも個別交渉の中なので記載することは難しい。

【その他】

・ インド通信 IT 省・商工省との間でビジネス環境整備に関する政府間対話の機会を常設

し、案件の進捗を定期的にレビューし、環境改善を図って頂きたいと考える。例えば、

エレクトロニクス製品の強制登録制度の改善、政府調達における国産エレクトロニクス

製品優遇政策案(PMA)の撤回、輸入通関までに製品カートンに貼付する必要がある。

Maximum Retail Price ラベル制度の緩和・撤廃などである。いずれの案件も日本企業に

留まらず、欧米含めた産業界共通の課題であり、日本政府には、各国政府・産業団体と

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の連携によるインド政府への一層の働きかけを期待する。

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3. ジャパン・タウンシップ(JT)派遣調査団

第 1 回 JWG での合意を踏まえ、日本専用工業団地(ジャパン・エレクトロニクス・タウ

ンシップ/ジャパン・タウンシップ)の視察を含むフォローアップを行うために調査団の派

遣を行った。インド側より 2014 年 2 月に開催される IESA ビジョン・サミットへの参加要

請があったことを踏まえて、2 月に実施された。となった

3.1 ジャパン・エレクトロニクス・タウンシップ/ジャパン・タウンシップの概要

ジャパン・エレクトロニクス・タウンシップ 3.1.1

National Electronic Policy 2012 において示された、日本の電子機器製造産業のインドへの

投資を促すために、インド政府が日本と連携して進める取組である。National Electronic

Policy 2012 の方針に従ってインド政府から、道路、電力、水、排水処理施設、試験施設等

の建設に 50%~70%の補助金が提供される。一方で、インド政府は日本側に対し、安定し

た電力供給、貯水槽、中小企業のための設備等の建設投資を期待している。

個々の入居企業は、M-SIPs(改訂版特別奨励パッケージスキーム)として、SEZ について

は 20%、SEZ 以外では 25%の資本投資(CAPEX)補助金を受けられる。その他、州政府が

土地の取得補助金や VAT 還付などのインセンティブを提供する。

なお、ジャパン・エレクトロニクス・タウンシップの候補地には、DMIC 内のジャパン・

タウンシップも含まれている模様である。

表 3-1 ジャパン・エレクトロニクス・タウンシップ候補地一覧

№ 場所 州 面積(Acres) 備考

1 Maheshwaram Hyderabad アンドラ・プ

ラデーシュ

300 想定される投資額が 1.33 億

ドルで、想定される雇用数

が 14,000 人(直接)、84,000

人(間接)である。

2 Fab-City Hyderabad 600 想定される投資額が 3 億ド

ルで、想定される雇用数が

35,000 人(直接)、210,000

人(間接)である。

3 Hosur タミル・ナド

525 3.4 項参照

4 Infovalley, Bhunaneswar オリッサ 150 ―

5 Devanahalli(バンガロー

ル国際空港付近)

カルナタカ 600~800 インドで 2 番目に大きいバ

ンガロール国際空港の付近

に位置している。

6 Malur, Kolar 800~1000 3.4 項参照

7 Vemagal, Kolar 500

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№ 場所 州 面積(Acres) 備考

8 Vasanthanarasapura,

Tumkur

1000 3.4 項参照

9 Mohali パンジャーブ 50 DMIC(デリー・ムンバイ産

業大動脈構想)に立地する。

出所)インド政府提供資料より調査団作成

ジャパン・タウンシップ 3.1.2

ジャパン・タウンシップは、DMIC が計画しているプロジェクトであり、日系企業専用の

工業団地に加えて、日本人駐在員ならびに現地マネジメント、労働者のための居住地を整備

する計画である。

表 3-2 ジャパン・タウンシップ候補地一覧

№ 場所 州 面積(Acres) 備考

1 Dadri - Noida Ghaziabad投

資区

ウッタル・プ

ラデーシュ

― DMIC(デリー・ムンバイ産

業大動脈構想)に立地する。

2 Manesar - Bawal 投資区 ハリヤーナー ― 同上

3 Neemrana - Khushkhera -

Bhiwadi 投資区

ラージャスタ

ーン

― 同上

4 Pithampur - Dhar - Mhow

投資区

マディア・プ

ラデーシュ

― 3.4 項参照

5 Ahmedabad - Dholera 投資

グジャラート 1500 グジャラート工業開発公社

(GIDC)は、JETRO と州

はジャパン・タウンシップ

の建設を提案している。建

設計画はマルチスズキの

Hansalpur 新工場の付近で

1500エーカーの敷地を予定

している。

※アーメダバードからドレ

ーラまでの高速道路が州政

府によって計画され、今後

バーウナガルやピパバブへ

の延伸も計画されている。

6 Nashik- Sinnar - Igatpuri 投

資区

マハラシュト

― 同上

7 Dighi Port 産業区 ― 同上

出所)インド政府提供資料より調査団作成

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3.2 本ミッションの概要及び派遣団の選定

本ミッションの目的は、第一にバンガロールで開催される IESA ビジョン・サミット 2014

に参加し、インドの IT・エレクトロニクス産業関係者と意見交換するとともに、現地サプ

ライヤーの技術レベル及び提携の可能性を把握することである。また、各州政府関連機関を

訪問して意見交換を行い、州の優遇政策等を把握する。先行して進出している日系企業を訪

問し、これらの企業が直面している課題や助言を聴取する。さらに、DMIC 及び CBIC 沿線

の各州のうち、日本企業からの意見を元にして選定した州の工業団地を視察し、日本企業が

インドに投資/投資拡大を検討する際の参考となるよう情報収集する。

上記の観点から WT のメンバー企業の本社だけではなく、現地法人からの参加も含め、

下記メンバーの参加が決定された。各メンバーはミッションに参加して得られた情報を元に、

表 3-3 に記載した役割に従って、本報告書作成のためのメモ作成、アドバイス、情報提供等

を行った。

・ パナソニック株式会社 渉外本部国際渉外グループ 島田 玄一郎グループマネージ

ャー

・ 株式会社日立製作所 情報・通信システム社 檀原 可一部長代理

・ シャープ株式会社 システム商品企画部 高 秀樹主事

・ アルプス電気インド社 古澤 聡 Production、Factory Manager

・ TDK シンガポール(EPCOS India 出向中) 松村 好章チーフマネージャー

・ 東芝インド社 Jituri Vishwajeet Social Infrastructure System Division, National Manager,

・ NEC インド社 小出 浩一郎副社長

・ 三菱電機インド社 山岡 寛和アシスタントマネージャ

・ 横河電機インド社 村田 努社長

・ 日立インド 笹部 泰男副社長

・ 株式会社日立建設設計 設計本部 第二設計部 伏山 徹技師

・ 電子情報技術産業協会 国際部国際グループ 山崎 昌宏グループ長

本ミッション団の各メンバーの役割は表 3-3 に整理する。

表 3-3 JT 視察ミッション参加メンバーの役割

参加メンバー カテゴリー 役割

パナソニック株式会社 渉外本部国際

渉外グループ 島田 玄一郎グループ

マネージャー

主査 WT を代表して主に各州政府と対話

し州別各種インセンティブ等を把握

するとともに、工業団地の視察や現

地企業との対話を行い、現地サプラ

イヤーの技術レベル及び提携の可能

性を把握する。さらに、先行して進

出している日系企業を訪問し、これ

らの企業が直面している課題や助言

を聴取する。

株式会社日立製作所 情報・通信シス

テム社 檀原 可一部長代理

副査

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参加メンバー カテゴリー 役割

シャープ システム商品企画部 高

秀樹主事

本社 各州政府や現地企業・日系企業と対

話し、各州における電力関連インセ

ンティブや整備状況を確認する。

アルプス電気インド社 古澤 聡

Production、Factory Manager

現地法人 先行して進出している企業として、

インドで直面している課題を共有す

るとともに、投資/投資拡大を検討

している企業への助言を行う。また、

各州政府と対話し、現在直面してい

る課題に対する政府としての改善方

針を確認する。

TDK シンガポール(EPCOS India 出向

中) 松村 好章チーフマネージャー

同上

東 芝 イ ン ド 社 Jituri Vishwajeet

Social Infrastructure System Division,

National Manager,

同上

NEC インド社 小出 浩一郎副社長 同上

三菱電機インド社 山岡 寛和アシス

タントマネージャ

同上

横河電機インド社 村田 努社長 同上

日立インド社 笹部 泰男副社長 同上

株式会社日立建設設計 設計本部 第

二設計部 伏山 徹技師

同上

電子情報技術産業協会 国際部国際グ

ループ 山崎 昌宏グループ長

事務局 WT の連絡窓口として日印両側の調

整を行う。

出所)調査団作成

3.3 本ミッションの訪問先

本ミッションは、まず初日バンガロールで開催された IESA ビジョン・サミット 2014 の

開会式に参加した。その後、同会場で同日に6州政府の関係者、翌日に現地の民間企業の代

表者と意見交換を行った。なお、これらのミーティングは IESA が調整したものである。ま

た、本ミッションの主目的である工業団地視察については、カルナタカ州では Tumkur 工業

団地、Narsapura 工業団地、Electronics City Complex 工業団地、Hosur 工業団地(※タミル・

ナドゥ州にとの州境付近に位置している)、マディア・プラデーシュ州では、Electronics

Complex 工業団地及び Pithampur 工業団地を訪問し、インフラを視察するとともに、各工業

団地に入居している企業(現地企業及び日系企業)との意見交換することにより各工業団地

の状況への理解を深めた。

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本ミッションの具体的な訪問先及び対応者を表 3-4 に整理する。

表 3-4 ジャパン・タウンシップ視察ミッション 訪問先一覧

日付 訪問時間 訪問先

2月3日(月)

09:30-11:00 IESA Vision Summit 2014

11:00-13:00

各州政府との対話

マディア・プラデーシュ州政府

Hari Ranjan Rao (Secretary, Dept. of Information Technology)

Awanitaka Varma (Deputy Manager - Project, Madhya Pradesh

State Electronics Dev. Corp. Ltd.)

マハラシュトラ州政府

Sandeep S. Gosavi (Assistant - Public Relations, Maharashtra

Industrial Development Corporation)

アンドラ・プラデーシュ州

Syed Shawket Hussain Madani(Deputy Director - Promotion,

Information Technology, Electronics and communications Dept.)

カルナタカ州政府

Nakul S.S., IAS(Director - Information Technology &

Biotechnology)

K.P.Rudrappaiah M.B.A (Assitant Director, Karnataka Udyog

Mitra)

ケーララ州政府

Dr. Jayasankar Prasad (Special Officer, Industrial Development

Zone, Kerala Indsutrial Infrastructure Development Corporation)

オリッサ州政府

Aditya Mohapatra O.A.S (Officer on Special Duty)

Brahmananda Rath (Senior Consultant, State e-Governance Mission

Team, Dept. of Information Technology)

14:30-16:00

Tumkur 工業団地の視察

Siporex India Pvt. Ltd.訪問(Tumkur)

(セメントブロック・建材)

Narayan Anantharaman(Chief Operating Officer)

K.C.Shivakumar(Development officer & Exective Engineer,

Karnataka Industrial Areas Development Board, A Government of

Karnataka Undertaking)

Kisan Mouldings Limited 訪問(Tumkur)

(水道用プラスチックパイプ)

Vinoy Kumar(Asst. General Manager)

2月4日(火)

08:00-08:30

ローカルサプライヤーとの対話

Saankhya Labs Private Limited(ソフト関連会社)

Vishwakumara Kayargadde(Co-founder & CEO)

08:30-09:00 Karmic Design Pvt. Ltd.(ソフト関連会社)

Mark Harward(Chairman, KarMic Group)

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日付 訪問時間 訪問先

09:00-09:30

Vittal Innovation City(デベロッパー)

Anirban Choudhury(Vice President-Infrastructure)

Mandeep Singh(Program Manager)

08:30-09:50

GMR Kakinada SEZ Ltd(デベロッパー)

Arun Bhagat(Chief Operating Officer)

Arivu Chelvan(Vice President-Business Development & Infra)

Ranganathan Jagannathan(Business Development)

09:50-10:10 Pramura Software Private Limited(ソフト関連会社)

R.P.Aravindan(Head-New Business Development)

10:10-10:40

Wafer Space(ソフト関連会社)

Srinivas Dronamraju(Director Embedded Systems)

Ravi P.S.(Director Business Development)

10:40-11:00

Elveego Circuit(ソフト関連会社)

Sridhar.N(President)

Uttamkumar Singh .N(Managing Director)

Ravi Sanker Y(Technical Manager)

11:00-11:20

Aricent(ソフト関連会社)

Giri K K(Vice President-Engineering)

Sumitha Prabhu Devaru(Manager, Business Development)

11:20-11:50

インド・日本商工会議所(カルナタカ州)

P.N.カランツ(名誉幹事)

アンジャナ K.S.(リレーション・マネージャ)

11:50-12:00 ASM Technologies (ソフト関連会社)

Krishnan Narayana(Sr. Vice President-Business Development)

12:30-13:30

JETRO バンガロール事務所訪問

JETRO バンガロール事務所

JETRO ニューデリー事務所付

経済連携促進アドバイザー 大穀 宏様

15:00-16:00

Kolar 工業団地の視察

EXEDY Clutch India Pvt. Ltd.訪問(Narsapura、Kolar)

(バイク用クラッチ)

Toshimitsu Furuta (General Manager - Production)

Shashidhara S.B. (Project Manager)

16:00-17:00

Honda Motorcycle & Scooter India Pvt. Ltd.訪問(Narsapura、Kolar)

(二輪車)

下村 定(Dy. Director - General Affairs)

松永 昭一(Dy. Director - Manufacturing)

Vinod G B (Section Manager - Industrial & Social Relations,

General Affairs Narsapura)

Satyaprakash R Patil (Department Manager, General Affairs

Manager)

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日付 訪問時間 訪問先

2月5日(水)

08:30-09:30

カルナタカ州政府との対話

カルナタカ州投資庁(Karnataka Udyog Mitra)訪問

H.V.Raghuram (Managing Director)

B. Mahesh, M.E. (Joint Director)

12:00-13:00

カルナタカ州インフラ開発・IT 大臣訪問

R. Roshan Baig (Minister for Infrastructure Development,

Information, Govt. of Karnataka)

14:00-15:00

Electronics City Complex 視察

Yokogawa India(YIL)訪問(プラント制御システム)

村田 努(社長)

16:00-17:00

Hosur 工業団地視察

Titan Company Ltd.訪問(時計)

G.Manohar (Group manager - SS Case Plant)

R Rajagopalan (Head - Integrated Supply Chain & Manufacturing)

2月6日(木)

15:30-17:30

マディア・プラデーシュ州政府との対話

Audyogik Kendra Vikas Nigam における産業開発のプレゼン

Shri Manish Singh, Managing Director, M.P. Audyogik Kendra

Vikas Nigam (Indore) Ltd., (“MPAKVN”)

Vikram Udyog Nagri のプレゼン

B.M.Date (Deputy General Manager - Architecture, Tata

Consultants)

Audyogik Kendra Vikas Nigam との意見交換

Mr. A.K. Rathore (Development Commissioner, Special Economic

Zone)他

17:30-18:15

Electronics Complex(Pardeshipura)視察

Scientech Technologies Pvt. Ltd.訪問(電子計測機器、他)

Ambrish Kela (Managing Director & CEO)

Manish Joshi (Dy. C.E.O)

Avinash Shrivastava (Territory Manager)

18:15-18:30 Arucom Electronics Pvt. Ltd.訪問(重量計測装置、他)

Manoj Kataria

18:30-18:45 Nivo Contorols Pvt. Ltd. (プラント制御用計測機器、他)

Praveen Toshniwal (Chairman)

2月7日(金)

09:00-09:30 Pithampur 工業団地の視察

Site proposed for Japanese Investors 視察

09:30-10:30 Innovative Clad Solutions)訪問(電気部品材料)

Mr. Pramod Soni (Assistant Manager)

11:10-11:50 Avtec Ltd 訪問(車用トランスミッション、部品)

11:50-12:15

Panasonic Energy India 訪問(乾電池)

P.D.Joshi(General Manager, Production & Machinery)

R.S.Iyer (Factory Manager)

G.A.Badshah (Dy General Manager - Personnel)

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日付 訪問時間 訪問先

Pramod Soni (Assistant Manager)

M.K.Modh (Assistant Manager - Accounts)

12:30-14:30 Pratibha Syntex Ltd 訪問(紡績、医療)

Ashok Jain (Vice President - Commercial & Supply Chain)

14:30-15:00

Bridgestone India Pvt.Ltd, Kheda 訪問(タイヤ)

Koichi Ikeshima (Plant Manager)

Ajay Sevekari (Director, Human Resources & Administration,

Purchase Logistics & MIS)

17:00-18:00

現地デベロッパーとの対話

Audyogik Kendra Vikas Nigam (Ujjain) Ltd.との意見交換

D.S.Chaturvedi (Managing Director)

出所)調査団作成

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本ミッションで訪問・視察した主な地域を下記地図に示す。

図 3-1 ジャパン・タウンシップ視察ミッションの訪問先

出所)調査団作成

3.4 本ミッションの主な結果

本ミッションで得られた主な調査結果を以下に整理する。

・ 6 州政府(マディア・プラデーシュ州、マハラシュトラ州、アンドラ・プラデーシュ州、

カルナタカ州、ケーララ州及びオリッサ州)及び 22 社の民間企業(工業団地デベロッ

パー2 社、現地民間企業 15 社、日系法人 5 社)等との意見交換を行った。

・ 各州政府からは自州で導入している様々なインセンティブが紹介され、日系企業の誘致

に関する高い意欲が示された。日本側から要望があれば日系企業専用工業団地の用地を

確保するなど、積極的な提案を頂いた。

バンガロール

トゥムクル

デバナハリ

マルル/ベマガル

インドール

ピタムプル

ダール

ムホウ

デリー

チェンナイ

ホスル バンガロール

Tumkur

Kolar

Pithampur

デリー

チェンナイ

Hosur

2月3日(月)~5日(水)バンガロール周辺

2月3日(月):IESA サミット参加、

各州政府との対話

Tumkur 工業団地視察

2月4日(火): ローカルサプライヤーとの対話

JETRO バンガロール事務所訪問

Kolar 工業団地視察

2月5日(水): カルナタカ州政府との対話

カルナタカ州インフラ開発

・IT 大臣訪問

Electronics City Complex 視察

Hosur 工業団地視察

2月6日(木)~7日(金)バンガロール周辺

2月6日(木):マディア・プラデーシュ州政府

との対話

Electronics Complex

(Pardeshipura)視察

2月7日(金): Pithampur 工業団地の視察

※日本の投資家向け用地の説明

含む

現地ディベロッパーとの対話

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・ なお、各州の担当者は他の州のインセンティブについて知らないなど、インドの各州の

インセンティブについて情報を集め、比較することの難しさを認識した。

・ 現地民間企業(主に IT・エレクトロニクス関連企業)からは、各社の技術の紹介が行

われ、日系企業との提携・連携に対する強い関心が示された。また、現地工業団地デベ

ロッパーからは自社が手掛けている工業団地計画に関して詳細な説明が行われた。

・ 現地日系法人からは、当該工業団地への進出経緯(なぜ、当該工業団地を選定したか)

や直面している課題、新規投資・投資拡大を検討している企業に対するアドバイス等に

ついて聴取した。

・ インド政府によりジャパン・タウンシップ/ジャパン・エレクトロニクス・タウンシッ

プの候補地とされている Tumkur や Kolar(いずれもカルナタカ州)、Hosur(タミル・

ナドゥ州)、Pithampur(マディア・プラデーシュ州)の視察を行った。これらの工業団

地開発に関わる関係者に意見を聞く限りでは、中央政府によるジャパン・タウンシップ

及びジャパン・エレクトロニクス・タウンシップの構想は各地方レベルでそれほど認知

されてないようである。

・ Tumkur や Kolar、Hosur、Pithampur の工場は、機械化が進んでいる工場も見られ、イン

ドの技術力が事前に想定していたよりも高水準にあることが伺えた。また、インドの人

材が優秀であるとの声が、現地法人のみならず、日系法人からも耳にすることができ、

優秀な人材を十分に調達できる点についても確認できた。

・ Pithampur 工業団地に日系企業専用の区画が用意されているとのことで、当該区画の視

察を行った。当該区画は、州政府による土地収用は済んでいるものの、未だに住民によ

る耕作が行われているなど、整地も上下水の配管整備も済んでいない状態であった。当

該予定地に進出するには、整地や上下水の整備から進めねばならず、工場の建設・稼動

までに時間がかかると思われる。ただし、Pithampur 周辺の土地代は極めて安いことが

判明した。

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4. インドにおける我が国 IT 関連企業の海外進出、販路開拓に向けた調査結果

本章でインドにおける我が国 IT・エレクトロニクス関連企業の海外進出、販路開拓判断

の参考となる情報を整理する。まず、JEITA が本調査事業開始前に WT の参加企業を対象と

して実施したアンケート調査結果の提供を受け、インドにおける、障害となる中央政府の法

規制等の行政上の課題及び法規制や税制等の課題を整理した。次に、中央政府及び州別

(DMIC 及び CBIC 沿線の各州のうち、日本企業からの意見を元にして州を選定)による各

種インセンティブ制度について、文献調査及び現地調査の結果に基づいてまとめた。そのほ

かに、日系企業の進出時に競合またはパートナーとなり得る事業者の動向を整理した。

4.1 行政上の課題の整理(障害となる中央政府の法規制等)

表 4-1 インドにおける行政上の課題及び法規制や税制等の課題

カテゴリー 具体的な課題 改善要望

制度的な課題

情報通信セキ

ュリティ規制

情報通信機器・システムの取引に

おいて、ベンダーは TSP などから

ソースコードなどの機密情報の開

示を求められる可能性

インド独自の情報セキュリティ評

価認証制度が適用される恐れ

制度の撤廃

PMA 情報通信機器、エレクトロニクス

の調達(政府/民間)において国産

品を優遇

ローカルコンテント要求、国内付

加価値要求により、現地生産ある

いは不当な技術移転を強いられる

恐れ

現地業者への製品の納入が制限さ

れる恐れ

民間取引については本政策を見直

すとされているが、具体的な内容

が不明

国際的コミットメントを遵守した

国際整合性のある制度への見直し

電子情報技術

製品強制登録

義務要求規則

家電や電子機器 15 品目について、

国内の安全基準に基づき事前の登

録および表示を義務付け

登録審査手続きの遅延

手続きが非常に複雑

表示の管理が大きな負担

登録手続きが間に合わず、一定期

間、製品供給ができなくなるおそ

施行日の延期

登録書類、手続きの簡素化

適合宣言表示の簡素化及び周知期

間の設定

インド規格廃止に伴う猶予期間の

設定

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20

カテゴリー 具体的な課題 改善要望

ビザの取得・

更新

更新の手続きが煩雑(必要ドキュ

メントや基準が不明確、数か月の

期間がかかる。特に始めての更新

時にはデリーにまで行く必要があ

った)。

ビザの有効期限が短い。

VISA 更新の手続きが都度、変更さ

れた内容は FRRO 職員自身にも周

知されていない。

手続きの簡素化。

ビザの優先的簡易審査での取得で

2年とか複数年取得可能。

担当者による解釈の差異が出ない

よう、マニュアルの定義化。

短期間の出張時のビザ取得を廃

止。

日本人については査証なしで入国

できるよう入国規制緩和。

税制 源泉税率が 10%-20%と高い。

税金の計算方法が複雑。

州ごとの複雑な税制の存在。

中央販売税(CST)、オクトロイ税

と複数の国内税も重複して課税さ

れる。

物品サービス税が地域ごとに異な

る。

複雑な所得税。

複雑な移転価格税制。

追加課税。

税務や監査対応のコンサル料等

税制の簡素化。

源泉税率を低減して欲しい。

Maximum Retail Price通関前ラベリ

ング制度の撤廃。

税金の計算元を MRP でなく、CIF

Price にして欲しい。

中央売上税の全廃。

全国統一物品サービス税の導入。

複雑な所得税の改善。

複雑な移転価格税制の改善。

追加関税撤廃。

関税 輸入関税が複雑。

特定地域に入境する際に課される

税金。

Maximum Retail Price通関前ラベリ

ング制度。

州を越える際の中央売上税(2%)。

輸入材料に一律 1%の州税がかか

る(西ベンガル州)。

輸出入規制、関税・通関規制。

高い二国間の関税。

特定地域に入境する際に課される

税金の撤廃。

関税税率を低減して欲しい。

輸入材料の一律の収税の撤廃。

特定期間デモのためにインドに持

ち込む機器については最小限の課

税、または免税としてほしい。

他州への販売時に課税される国内

税を簡素化して欲しい。

二国間の関税の低減。

土地取得の煩

雑さ

土地の所有権や登記制度が未整備

で手続きも煩雑。

土地建物に対する所有権登記管理

制度の構築。

手続きの簡素化。

金融関連 インドから国外へ送金できる内容

が限られている。

海外からの入金についても規制が

ある。

ルピー建てクロスボーダー決済の

困難。

海外からの資金調達規制の更なる

緩和・撤廃。

為替取引の更なる自由化。

送金時の手続きの簡素化。

入金制度の簡素化。

インド準備銀行(RBI)と税務当局

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21

カテゴリー 具体的な課題 改善要望

実需原則に基づく為替取引の煩

雑。

グループ会社間の貸借の金利制

限。

同一グループ会社間の為替取引の

制限。

外貨借入期間が長い。

間の調整による非課税の明確化。

インド準備銀行(RBI)による為替

管理規制の緩和・撤廃。

借入期間 7 年を短縮の短縮。

労働基準 全般的に州毎に雇用にまつわる基

準が異なるが、その内容を把握す

るツールが乏しいため、労務管理

が難しい。

セクハラ防止に関する法令である

が、具体的規制内容について不明

確な部分が多。

労働関係法書籍の発刊もしくはイ

ンターネットでの情報開示。

より実効的なものとするため、実

現可能な指針を求めたい。

社会保険制度 インドにおいては社会保険料を支

払うことが外国人にとっても義務

付けられている。

日印社会保障協定の早期発効。⇒

日米政府への要請

環境規制 環境基準規制が甘い。

環境クリアランス認可取得手続き

の遅延。

環境認可が安定的に実施されるこ

と。

優遇措置 輸出企業への優遇措置が弱い。

製造インセンティブの不足。

製造業優遇策の設置。

工場設立、操

業 許 可 の 煩

雑、遅延

操業許可に関する法令が細部にわ

たり、全てに実質的な交渉が必要。

事業許認可制度・プロセスの改善。

知的財産制度

運用

外国出願の事実や審査結果などの

審査情報開示を義務付ける。

外国出願情報開示義務を緩和・廃

止、又は義務内容の明確化。

インフラに係る

課題

電力不足、停

電、瞬間停電

予告なしの停電や瞬停が発生して

いるため、生産に大きな支障をき

たす。(5社)

電圧の振れが激しく、それが原因

で故障する電器製品も多い。

政策による電気料金・補助決定→

儲からない電力会社→電力会社に

供給量を増やす Incentive が働かな

い。

安定電力供給。

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22

カテゴリー 具体的な課題 改善要望

港湾の課題 港湾が混雑している。

河川湾のため、川の水位で出航日

が左右される。

港湾の効率化又は効増設。

港湾までの高速道路整備。

インフラ不備 基本的なインフラは進出する企業

が自前で対応することが余儀なく

されることが多い。

各州の積極的な関与と強力なリー

ダーシップによるインフラ整備。

土地買収交渉

の手間

工業団地が出来るとわかった途端

土地の値段があがり、所有者とは

長期の交渉になる。

道路整備 対面通行道路の舗装が毎年壊れ

て、凸凹で車の通行が困難を極め

る。

国内輸送におけるトラック輸送時

の道路状況悪化に伴う製品へのダ

メージのリスクがある。

恒久的道路修繕対策。

国内幹線道路状況改善。

通信 時々海外との外線電話の通話がで

きないことがある。

通信環境改善。

物流インフラ 物流網が整っていないため、円滑

な流通を行うことができない。

物流インフラの整備。

港湾、貨物鉄道駅の整備。

住環境 日本人が住むには、ハードルが高

い。

住環境の改善。

用水 用水不足。 地下水利用及び運河等の整備。

ビジネス慣行に

係る課題

煩雑な間接税 州をまたぐ毎に税金を課せられる

不便さがある上に、越境税徴収者

による横領がある。

煩雑な間接税(関税の相殺スキー

ムや、越州時の税制)が存在し続

け、また、州毎に異なる税が存在

し続ける。

GST の導入。

徴収職員の不正廃止。

複雑な行政手

続き

全般に行政手続が複雑。縦割り行

政で、民に対するサービスを向上

させる意識は高くない。官が民に

対して強い立場にある。

行政手続の簡素化。

労働関連 就業規則を守らない従業員でも組

合員は保護される。

労働者解雇の困難。

会社と組合(もしくは従業員代表)

との間での交渉で完結できる制度

設計。

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23

カテゴリー 具体的な課題 改善要望

契約関連 契約したPayment Termを遵守する

ことなく遅延することが多い。

確定注文のキャンセル依頼、納入

先送りが多い。

決められたPayment Termどおりに

きっちりと支払われるような慣行

に改善。

確定注文発注の責任を考慮し、期

限内に引き取るように改善。

複雑な入札制

複雑な入札制度。 入札の度重なる遅延防止。

出所)日印 ICTE 直接対話対応ワーキングチームを対象に実施したアンケート調査結果より調査団作成

4.2 法規制や税制等の課題の整理

上項 4.1 参照

4.3 各種インセンティブ制度(中央及び選定された州)の整理

インドにおいて我が国 IT・エレクトロニクス関連企業が進出、販路開拓を行う際に利用

できる、各種補助金等のインセンティブ制度(中央及び選定された州)に関する情報を収集

し、体系的に整理する。

なお、個別州に関しては、第 1 回 JWG のプレゼンを行った州及び JT 視察ミッションの

際に意見交換を行った州に限定して各州別インセンティブ制度を整理した。つまり、下記の

州を調査対象とした。

・ カルナタカ州

・ マディア・プラデーシュ州

・ マハラシュトラ州

・ アンドラ・プラデーシュ州

・ 西ベンガル州

・ パンジャーブ州

・ ケーララ州

中央政府の政策 4.3.1

(1) 文献調査結果

インドの電子機器の ESDM 市場は、2009 年の 450 億ドル規模から 2020 年には 4,000 億ド

ルにまで成長することが見込まれている。ただし、現在のペースでは、2020 年までに ESDM

生産は 1,040 億ドルにしか伸びないと考えられ、インドが国内外市場ともに競争的な ESDM

サプライヤーとなるための方策が、National Electronic Policy 2012 の中で定められた。この

政策では、2020 年までにインドの ESDM 市場に 1,000 億ドルの投資を呼び込み、2,800 万人

の雇用を投じ、2500 人の PhD 輩出を含む人材育成を行い、様々な支援策を講じることで、

2020 年に 4,000 億ドル規模の ESDM 市場を創出することを目指している。同政策において

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日本との協力体制の必要性が強く認識されており、JETRO や JEITA などの機関と連携し、

日系企業の誘致に努めるとしている。以下が National Electronic Policy 2012 で定められた主

な ESDM 企業に対する支援策である。

M-SIPs(改訂版特別奨励パッケージスキーム) 1)

新たに進出・拡大する ESDM セクターに対して、プロジェクト承認から 10 年間設備投資

に対して補助金を給付する。特別経済区外では設備投資の 25%を、経済特区内では 20%を

補助する。経済特区外のプロジェクトに関しては、相殺関税(Countervailing Duty:CVD)

が還付される。ウェハ・ファブ、半導体・メモリーチップ・LCD ファブ等のハイテク分野

企業に対しては、関税・サービス税などの中央税が 10 年間免除となる。

EMC(電子製造業クラスター・スキーム) 2)

電子産業クラスター形成事業者に対しては、流通設備の整った EMC を提供する。EMC

ではインフラや共有施設への設備投資の 50~75%を補助する(グリーンフィールドでは毎

100 エーカー当たり 5 億ルピーまで 50%、ブラウンフィールドでは 5 億ルピーまで 75%)。

FPS (特定品目スキーム) 3)

エレクトロニクス製品の一部は FPS スキームに基づいて、輸出の際に FOB 価格の 2.5%

相当を他の品目の輸入税(関税・物品税)の支払いに充当出来る。

エレクトロニクス開発基金 4)

シードステージからベンチャーキャピタルの段階でのファンディングや、低コストの貸付

を行う。

その他 5)

ESDM セクターに対する 10 年間の安定した税制の提供、技術移転・研究開発・知的財産

権創設等に対する税の優遇措置、将来的な国家製造業政策や国家投資・工業地区におけるイ

ンセンティブの提供などが盛り込まれている。

(2) JWG における発表内容

2012 年電子機器に関する国策(National Electronic Policy 2012) 1)

2012 年の電子機器に関する国策について、インド電子・情報技術局(以下、DeitY)担当

者から説明が行われた。

・ 2013 年 2 月にインドの政府高官代表団が日本を訪れ、ESDM についての議論を行った

ことを契機として、本 JWG、および Japan Desk の設置が進められた。

・ 市場が巨大であること、多くの有能な IT 人材がプールされていること、政府による支

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援制度が整っていること、コスト効率性が高いことの4点が、インドを魅力的な投資先

とする理由である。

・ インドの電子機器市場は 2020 年までに 4,000 億円規模にまで成長することが見込まれ

ている。特に成長が見込まれるのは、通信機器、ノートパソコン、LED、その他消費者

家電の 4 分野である。

・ 大きなビジョンは世界的に競争力のある、国内および国際的な需要に応えられる産業を

育てることである。2012 年に掲げられた電子機器に関する国家政策(National Policy on

Electronics :NPE)は、包括性、投資優遇姿勢、市場志向性といった方針を打ち出した。

・ NPE は以下の 7 つの要素から成る。

電子製造業クラスター・スキーム(EMC)

改訂版特別パッケージ・インセンティブ・スキーム(M-SIPS)

インドにおける半導体ウェハ・ファブの設立

優先的市場アクセス(PMA)

電子機器開発基金(EDF)

安全管理基準の委任

人材育成

・ EMC に関しては、2013 年中に 10 のクラスター、2020 年までに 200 のクラスターを対

象に 50~70%の補助金を拠出する予定である。道路・電力・水などインフラの開発も

進行中である(例:グリーンフィールド電子機器産業クラスター)。

・ M-SIPS では、資本支出(Capex)に対して 20~25%の補助金を出すことになっている。

また、ハイテク産業については一部の税金免除制度がある。電子機器と認識されれば、

これらの優遇施策はバリューチェーンのどの部分でも適用可能である。認可されてから

最長 10 年間は優遇施策が適用される。

・ インドのウェハ・ファブ政策に関して、政府は 2 つの半導体生産拠点の設立を許可し、

2013 年 10 月に世界中から同拠点に招致したい意思があることを表明した。この声明に

よれば、ウェハの設計製造技術1の所有者である企業やライセンスの下で生産を行って

いる企業は一社、または数社のコンソーシアムとしてウェハ・ファブ生産事業に参入す

ることができる。

・ PMAに該当する製品は以下の通り。

LED製品

テレコミュニケーション関係の製品

デスクトップパソコン、ドットマトリクスプリンター

タブレット PC

ノートパソコン PC

スマート・カード

・ PMA の Preference(優遇)の対象は、国内で「生産」された製品を対象としている。内資・外資

1 http://deity.gov.in/sites/upload_files/dit/files/Revised%20EoI%20Format_05_11_2013.pdf

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を区別せず、同様に扱っており、外資であってもこの制度を十分有効活用することができる。

・ 現在、DeitY では電子産業界の開発を促進するための基金(EDF)の設立を提案している。同

基金は特に知的財産と研究開発に集中的に投資を行うことを目的としている。25~75%は政

府予算、残りは民間機関によって賄われることを想定している。

・ 輸出インセンティブとして、FOB価格に対する補助を行っている。

・ 現在、インドでは国として若手の育成を進めている。人材開発に対して積極的に支援していき

たい。

さらに、情報共有の促進、ジャパン・エレクトロニクス・タウンシップ、人材についての

取り組みの 3 つのテーマについて説明が行われた。

・ National Electronic Policy 2012 において計画されている取り組みには、連携強化のため

の本 JWG の開催、JEITA や JETRO に対する日本における National Electronic Policy 2012

の周知を目的としたセミナー開催の要望、州政府との連携強化、インド・日本の関係団

体間のセミナーおよび協議会の開催などがある。

・ National Electronic Policy 2012 の下の重点政策として、M-SIPS、EMC、PMA、安全管理

基準の委任、重点製品に対するスキームが盛り込まれている。

・ National Electronic Policy 2012 にはジャパン・エレクトロニクス・タウンシップが盛り

込まれている。ジャパン・エレクトロニクス・タウンシップとは日本の電子機器産業専

用の拠点である。同タウンシップの開発のためには州政府や日本の関係組織(JEITA、

JETRO、JICA 等)との調整が必要である。日本側には以下のような共同インフラ設備

の開発を依頼したい。

安定した電力供給

貯水槽

中小企業のための設備

工業団地に対する日本からの投資促進

・ インド政府として、National Electronic Policy 2012 下の EMC 助成金、工業団地における

個々の助成金の 2 点を検討したい。

・ 州政府に対し、日本の投資企業に対する電力供給や事務処理窓口の一本化を進め、その

他州毎の特定の支援制度に関して特別な対応をするよう依頼を行っている。

・ 人材開発に関し、DeitY では毎年 20 万人のエンジニアの育成に取り組んでいる。DeitY

管轄下の National Institute of Electronics & Information Technology(NIELT)、および局内

の部署である Centre for Development of Advanced Computing(CDAC)が特に人材開発に

積極的に取り組んでいる。

・ 日本企業による直接雇用を想定したマンパワーの創出に向けて、日本企業の協力を求め

たい。日本企業への就職を目指す人材のための短期コースを NIELT に導入することを

要望している。また、日本企業への就職を促進するために CDAC と Advanced Computing

Training School(ACTS)が連携し、日本語の基礎コースや日本の企業カルチャーなどの

強化を導入することを要望している。

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・ R&Dのための CDACおよび日本企業の間での人材交換プログラムを創設することを提案

したい。

ジャパン・ヘルプ・デスク(Japan Help Desk) 2)

Deity 担当者からジャパン・ヘルプ・デスクについて説明が行われた。

・ Help Desk の目的は、日本企業の投資を促進すること、インド政府のその他の関連機関

との交流・連携を促進すること、州政府との交流・連携を促進することの 3 点である。

・ Japan Help Desk の担当者の連絡先は以下の通り。

Mr.Rajneesh Agarwal(DeitY)

メールアドレス:[email protected]

電話番号(直通): 91 11 24301268

住所・執務室:Room no. 2068, Electronics Niketan, 6 – CGO Complex, New Delhi -

110003

Ms.Vandana Srivastava(DeitY)

メールアドレス:[email protected]

電話番号(直通): 91 11 24301168

住所・執務室:Room no. 1068, Electronics Niketan , 6 – CGO Complex, New Delhi -

110003

Ms.Niharika(コンサルタント)

メールアドレス:[email protected]

電話番号(直通): 91 11 24301283

住所・執務室:Room no. 2279, Electronics Niketan , 6 – CGO Complex, New Delhi -

110003

・ Help Desk の機能は以下の通り。

・ National Electronic Policyに基づく助成についての情報提供

州政府関係者・公的機関関係者への紹介

FDI・税・義務体系についての説明

業界団体・業界パートナーの紹介

パートナー選定の支援

州別のインセンティブ制度 4.3.2

(1) カルナタカ州

文献調査結果 1)

National Electronic Policy 2012 に対応して、カルナタカ州でも ESDM セクターを強化する

ために、Karnataka ESDM Policy 2013 が定められた。同政策中には、2020 年に想定される 4000

億ドルの電子機器市場の最低 10%に貢献するため、他州に優越する様々な優遇政策が盛り

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込まれた。

・ PMA Policy (優先的市場アクセス)

カルナタカ州の ESDM 企業に対して優先的市場アクセスが与えられる。

・ ESDM イノベーションセンター

プロトタイプ作成のための様々なインフラの整ったセンターが提供される。

・ 半導体 IP・ファブレスチップデザインファンド

カルナタカ州の半導体 IP・ファブレスチップデザイン企業に対して、スタートアップ・

育成・資金ニーズに 7 年間対応する。

・ EMC(電子製造業クラスター)

エレクトロニクス企業に対して、インフラ・流通システムが整っており、トレーニング

施設やテスト施設を備えた環境を提供。環境に優しくイノベーションを促進するような

エリアとなる。

・ 知的財産権と特許

特許取得のための実費を 50%補助する(国内特許は 10 万ルピーが上限、国際特許は 50

万ルピーが上限)

・ 輸出促進策の補助

国際マーケティング・販売促進・商談会への参加・市場調査などの実費の 50%を補助。

輸出企業に対して還元されない州税の還元。

・ 付加価値税

カルナタカ州内の ESDM 製品販売は、付加価値税に対する無利子貸付。州を越えた

ESDM 販売は、最初の 5 年間は中央売上税の 95%還付。

・ 研究開発促進

研究開発コストの 20%を還付(1 社あたり年間 1000 万ルピーが上限)

・ 資本金補助

資本金の 10%または 5000 万ルピー補助

上記 Karnataka ESDM Policy 2013 以外にも、Karnataka Electronics Hardware Policy では、エ

ンジニア起業家の研究に対して 50 万ルピーまたは全体の 50%が補助され、Electronics

Hardware Manufacturing Hub の建設等が掲げられている。同州内の特別経済区では、輸出入

に伴う関税の免除、所得税の免除(最初の 5 年間は全額免除・次の 10 年間は 50%免除、そ

の後 5 年間は再投資による輸出利益に関する所得税は 50%免除)、その他最低代替税・中央

売上税・サービス税・州売上税の免除が行われる。年間 5 億ドルまでの対外商業借入も可能

である。

JWG における同州発表内容 2)

カルナタカ州の概要や産業政策についての説明が行われた。

・ カルナタカ州は、IT 人材について世界で 2 番目に大きいクラスターを有している。イ

ンドの IT、ITS の輸出物の 40%はカルナタカ州の製造物を含んでおり、2020 年までに

は生産拠点としてシリコンバレーを抜く予定である。IT 製品の輸出量においてはイン

ド一位であり、2 位・3 位の州の合計をさらに 2 倍した量を誇っている。

・ 人材開発に関して述べると、50 万人の IT 人材を輩出し、インドでもっとも多くの IT

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人材を輩出している州であり、その数は 2 位の都市の 2 倍である。

・ インドへの進出時に課題とされる 2 大課題は土地取得と労働制度である。土地について

は、カルナタカ州は雇用創出を条件に 30 年、無利子で土地を貸している。1000 人の雇

用創出に対して1エーカーの土地が与えられる。

・ IT は優遇分野の一部であるため、労働制度についても官からの支援がある。カルナタ

カ州では、ストライキは非常に珍しいものとなっている。

・ カルナタカ州は e-governance 実施を先導する州である。特に注力している分野はナノテ

クおよびバイオテクノロジーである。タウンシップを創りたいという日本団体に対して

常に門戸を広げている。

(2) マディア・プラデーシュ州

文献調査結果 1)

カルナタカ州同様、マディア・プラデーシュ州でも IT 分野の成長を見据えて Information

Technology Investment Policy 2012 を制定した。目的は、IT 分野での投資を促進し、雇用を増

加、IT パークなどにおける IT 企業を増加させることである。同政策では様々なインセンテ

ィブが設定された。特に同州はインドル、グワーリヤル、ボーパール、ジャバルプルの地域

での促進を睨んでいる。

・ シングル・ウィンドウ

マディア・プラデーシュ州 IT 局では、更なる IT 企業誘致のために、マディア・プラデ

ーシュ貿易投資促進会(MP-TRIFAC)がシングル・ウィンドウでプロジェクトに関す

る様々な手続きを代行する。

・ 土地利用の優遇

容積率の免除(ケース・バイ・ケース)がある。投資地区の面積の 60%以上は IT オペ

レーション用途、40%は付随したサービスのために使われる。ただし、特別経済区に関

しては、特別経済区独自のルールが優先される。

・ 印紙税優遇

銀行などの金融機関に対する抵当・担保に関しては、印紙税が免除される。IT 企業に

対して用地を販売・貸付する民間・政府機関・金融機関は、印紙税・登録費を免除され

る。

・ 電気に関するインセンティブ

自社消費電力プラント設置許可の取得を免除されるが、電気条例(Electricity Act)2003

を適用されることもある。マディア・プラデーシュ州内の工業地区では、安定した電力

の供給がされている。IT 産業は、必要な料金の支払いに関する所定の契約条件に従っ

て、供給業者を介して電力を提供されなければならない

・ 土地費用のリベート

政府の土地取得に関して、固定資産への投資が 3 年以内に行われることを条件として

collector guideline rate の 25%で売却可能となる。以下の表の条件での分配が可能になる。

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表 4-2 マディア・プラデーシュ州における土地費用リベート

S/N プロジェクトのコスト 土地譲渡のレート

1 2 億ルピーまで 最大で 10 エーカーまで

2 2 億から 5 億ルピーまで 最大で 15 エーカーまで

3 5 億から 10 億ルピーまで 最大で 25 エーカーまで

4 10 億ルピー以上 ケースバイケース

出所)マディア・プラデーシュ州政府「Information Technology Investment Policy 2012」より作成

ただし、GoMP もしくは関連機関等によって開発された土地の開発に要した費用は、これ

とは別に課されることになる。

譲渡を受けるための1エーカーごとの最小従業員数は 1 社につき 100 名であり、その 50%

は州の住民でなければならない。

ケースバイケースの場合、配分された土地は将来のリニューアルの可能性も視野に入れた

上で、99 年までのリースとなる。

・ スキル・ギャップ・トレーニング

エンジニアや IT/ITES プロフェッショナルに対するスキル・ギャップ・トレーニングの

ため、各社 1 回は従業員ごとに 50%の補助を受けられる(上限 1 万ルピー)。

・ 法令上の優遇

Madhya Pradesh Shops and Establishment Act 1958 に基づく営業時間や営業日に関する規

定の免除がされる。女性従業員の安全が保障された労働・通勤環境においては、女性従

業員も 24 時間体制のオペレーションに 1 日 3 シフト入れるようになる。IT 分野の従業

員に関する規定が Minimum Wages Act 1948 に追加され、効率と能力レベルに応じた給

与支給が定められる。上記のシフトを実現するために、適宜労働規定が緩和される。

・ 入境税優遇

ソフトウェア開発分野の IT企業による IT製品調達に関する入境税が 5年間に渡って免

税される。EHM 企業も 5 年間に渡って入境税の支払いを免除される。

・ 施設拡大・更新補助

施設キャパシティを拡大・更新する IT 企業に対して、拡大分の施設は新規 IT ユニット

として承認される。(追加投資は既存投資に対して最低 50%、250 万ルピー以上でなけ

ればならない)

また、同州の Industrial Promotion Policy 下のインセンティブなども IT 企業に適用される。

Industrial Promotion Policy では、小規模固定資産投資に関して 15%~20%の補助が得られ(上

限 150 万~200 万ルピー)、500 万ルピー以上の固定資産投資を行う中小規模の IT 企業に対

してはその投資の 25%を補助し(上限 300 万ルピー)、3~6%の利子補助も 5~8 年に渡って

行われる(上限 250 万ルピー)。さらに、企業によって支払われた付加価値税と中央売上税

に関しても、小規模企業は 50%補助、中~大規模企業は 50%~75%補助を 3~10 年に渡って

得ることが出来る。

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JWG における同州発表内容 2)

同州(マディア・プラデーシュ州)からは、自州のインフラや IT 産業への支援政策につ

いての説明が行われた。

・ マディア・プラデーシュ州では、優れたインフラ設備を有しており、安定した電力供給

を行うことができる。18 の国道を含む充実した道路網を有しており、主要なビジネス

拠点すべてを結ぶ 5,992km 以上の鉄道網を有している。工業用水についても、安定し

た供給を行うことができ、5つの空港および豊富なガス供給を有している。

・ マディア・プラデーシュ州の経済について述べると、2012~2013 の一人当たり GDP の

成長率(18%)がインドで 2 位である。2003~13 の年平均成長率は 15.34%であり、マ

ディア・プラデーシュ州は産業のうち、第三次産業が最も多くを占めている。2012~2013

の間、いずれの産業もインドの平均値より高い成長率を記録している。

・ ビジネス支援環境について、一括窓口システムを導入し、14 ヶ所の関係各所の手続き

を一本化している。プロジェクトの迅速な承認が可能である。

・ マディア・プラデーシュ州の事業環境として、操業コストが低い、地価が低い、電力供

給が安定している、通信・IT 設備が充実している、インドール(Indore)を含む 4 か所

以上に工業団地・工業団地設立計画がある、産業推進政策(Industrial Promotion Policy)

のほとんどが IT 業界に適用されるといった特徴がある。

・ 人材開発に関して、エンジニアリング分野における学位取得者、また養成機関の数は

年々増加している。充実した IT 産業の R&D 機関を有している(下記に例示)。

IIT Indore

MANIT Bhopal

IIITM Gwalior

IIITDM Jabalpur

・ 支援施策として、手続き窓口の一括化サービスを行うとともに、産業支援政策を行い、

IT 産業に対して印紙税の減額を行っている。また、IT 産業に対して地価の割引なども

行っている。

DeitY クマール局長から、カルナタカ州やアンドラ・プラデーシュ州は有望地域として

元々よく知られていると思うが、マディア・プラデーシュ州は近年伸びてきている有望な進

出地でまだ知名度は高くないかもしれないが、この機会に覚えて頂きたいとのコメントを頂

いた。

(3) マハラシュトラ州

インフラ及び財政的なイニシアティブ a.

産業局によって承認された官営及び民間の IT/ITES パークの全ての登録された IT/ITES ユ

ニット(電気通信製造ユニットを含む)に対して、100%の追加床面積率(FSI)が、以下の

プレミアム付き/無しで付与される。

a) ナシック、アウランガーバードとナグプール地区では 10 %のプレミアム付き、低

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人間開発指数(Low Human Development Index:Low HDI)地区内はプレミアムなし。

b) 権限を与えられた委員会によって決定されたその他の地域もプレミアムを付与する。

・ 娯楽施設、住宅及びその他の施設は IT/ITES パークを運営する上で重要であり、その環

境を適切に提供する必要がある。この区域は、以下の条件を越えてはならない。a) イ

ンセンティブパッケージスキーム(Package Scheme of Incentives:PSI 2007)により A

や B に評価された区域の 0%、b) ナシック、オーランガバードとナグプール地区を含

む他のすべての区域の 40%

・ 官営及び民間の IT/ITES パークのサポート施設に対して、100%の追加床面積率(FSI)

が、以下のプレミアム付き/無しで付与される。

a) ナシック、アウランガーバードとナグプール地区では 10 %のプレミアム。Low HDI

地区内ではプレミアムはなし。

b) 州の他の地域の民間 IT パーク内ではプレミアム付き、権限が与えられた委員会が決

定する高いプレミアムは A と B の領域で課される。

・ 場合によって、レイアウトレベルのグローバル床面積率(FSI)は都市開発省のガイドラ

インに沿うことも認められる。

IT / ITES パーク内で許可される支援施設(駐車スペースを除く) b.

・ バンキングサービス

・ 医療店

・ コンビニエンスストア

・ 通信センター

・ 会議や会議ホール

・ 旅行代理店

・ カフェテリア、フードコート、コーヒーショップなどのフードサービス、診療

・ 体育館、クラブハウスなどを含むレクリエーション施設

・ ゲストハウス

・ 自動車用自動車サービスセンター(ナシック、アウランガーバード、ナグプールと Low

HDI 地区)

・ ホテル/サービスアパートを含む宿泊施設(ナシック、オーランガバード、ナグプール

と Low HDI 地区)

金融サービスのための追加のFSI課税プレミアムは、IT/ITESの適用範囲よりも高くなc.

ければならない。さらに、これらのサービスは開発制御ルールの任意の特定の領域におい

て適用を受けなければならない PSI の対象と対象の IT/ITES ユニットは、そのスキームの

規定に従って電力税の支払いが免除される。

IT/ITES 企業はマハラシュトラ州電力規制委員の規定に基づき、産業用のレートで電d.

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力を供給される。

IT ハードウェアおよび電気通信ハードウェアの製造を含む IT – ITES 企業は、以下のe.

ように印紙税の免除の権利を有する。

印紙税 f.

・ 新規に登録された IT/ITES 企業の拡張、C、D、D+、非工業地帯及び Low HDI 地区の以

下の決済にかかる印紙税の 100%の免除:担保契約、抵当、質、財産証書の担保、譲渡、

不動産ローンの請求、リース、抵当設定証書及び抵当設定書にかかる保険証書

・ 公営 IT パーク、IT 及び IT ハードウェア、そして電気通信ハードウェア製造 SEZs を A

及び B 地区で行っている新規 IT/ITES 企業及び拡大の以下の決済にかかる印紙税の

100% 免除:担保契約、抵当、質、不動産譲渡証書、譲渡及びリース。

・ 民間 IT パークで A 及び B 地区内の IT ハードウェア及び電気通信ハードウェア製造企

業を含む新規の IT/ITES 企業が以下の決済を行う際の印紙税の 75%免除:担保契約、

抵当、質、不動産譲渡証書、譲渡、リース及び公共割り当てリース。

・ 国による IT/ITES 企業の合併、再合併及び再建にかかる印紙税の 90%の減免

・ 1958 年の Mumbai 印紙条例の 60 項及びリーブ&ライセンスの 36 項 A のセクションに

基づいて、IT/ITES 企業のリースのアサインにかかる印紙税の 90%の免除を行う。

IT/ITES 企業の年毎のメンテナンス条例にかかるサービス税は、例外を除いて、地方g.

自治体の委員会で奨励された最小レートで課税される。

IT/ITES 企業は物品入市税/入境税及びその他の税金から免除される。 h.

固定資産税は、該当のレジデンシャル·レートと関連する範囲において同等に IT/ITESi.

企業に課税される。

IT/ITES 企業(IT ハードウェア及び電気通信ハードウェア製造を除く)は、どの地区にj.

設立することも許可される。(住居エリアや非開発エリアなども含む)

州政府及び都市自治体によるインフラ投資を進めるため、民間の IT パークデベロッパk.

ーは、道路の敷設を許可される。このような道路はデベロッパーから地方自治体に移管さ

れ、デベロッパーからの投資は、将来的に地方自治体に支払う固定資産税に調整される。

IT 製品の販売にかかる付加価値税は、いくつかの例外はあるものの一般的には中央機l.

関によって決定された最小レートで課される。

人材育成 m.

・ マハラシュトラ知識·コーポレーション·リミテッド(MKCL)は、マハラシュトラ州の

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技術教育委員会(MSBTE)とその他の機関と協力して、トレーニングに基づく認定と

設置計画を提案している。彼らは NASSCOM とその他の団体及び地元の IT/ITES 産業

と協力し、彼らに要求されているリソースのリサーチをしている。これらの要望に基づ

いて、メリットベースで認証・配置手順が制定されることによって適切な人材が創出さ

れるようになる。これは自社で必要とされるトレーニングができない小さな規模の IT

企業に特に有益である。

・ 権限を与えられた委員会の下で構成される作業部会が、実現の可能性及びその他の要件

を審査した結果に基づき、Low HDI 地区に、調査と研究開発のためのセンター、学校、

及びその他の雇用促進センターの設立などを設立する提案が作成される。

法律に係るインセンティブ n.

・ IT/ITES 企業は以下の項目の中で恩典を享受する

条例に基づき、労働時間、勤務シフトや女性の雇用に対する条件の緩和。

出席と給与の物理的な記録管理の維持の免除。

労働省による 13 条で決められたオプション。

・ IT/ITES 企業は労働部門の情報化の進展に伴い、様々な労働法の下で要求される従業員

関連の記録を電子的に残し、電子形式で報告できるようになる。

・ IT/ITES 企業で廃水の排出がなく、従業員も 100 人未満であれば、マハラシュトラ州公

害管理委員会(MPCB)からの営業許可取得義務を免除される。その際、電子廃棄物、

使用済みの電池と使用した油を含む廃棄物の処分に関する年次報告書を MPCB に提出

する必要がある。工業総局によるこれらの企業の登録は、特別の条件が課される。これ

らの企業は、地域の下水ネットワークと連携する必要がある。

・ 経済特区内の企業のために承認された契約労働法の緩和は、議会の承認を条件として、

すべての IT/ITES 企業に適用される。

(4) アンドラ・プラデーシュ州

電子ハードウェア企業に対する一般的なインセンティブ a.

・ 販売及びリース、不動産ローンもしくは担保契約の最初の決済における印紙税、移転税、

登録料の 100%の払い戻し

・ 販売及びリース、不動産ローンもしくは担保契約の二度目の決済における印紙税、移転

税、登録料の 50%の払い戻し

・ 産業用電力として電力税の軽減を承認

・ 300 万ルピーを上限に、電力料金に対する補助を、営業を開始した日から 5 年間にわた

り支給。零細企業では 50%、 小規模企業では 40%、 中規模企業では 25%、大企業に

は 10%とする。

・ 国内外の展示会に 9 平方メートルまでのスペースで参加する際の出展費 50%の償還/グ

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ラント

・ 200 万ルピーを上限とし、小規模もしくは零細企業に 20%の投資補助金を創出し、さら

に女性、指定カースト・部族企業(Scheduled Caste and Scheduled Tribes)には 5%のイ

ンセンティブを与える。

・ 5 年間にわたり、年間上限を 50 万ルピーとして、3%の金利を払い戻す。

・ 技術のアップグレードのための新しい資本設備投資に、対象企業には一回、250 万ルピ

ーを上限として 10%の補助金を与える。

・ 40 万ルピーを上限として以下にあげる品質保証の認定にかかる費用の 50%を補助する。

(欧州の CE、中国の CCC、UL Certification、ISO、CMM Certification、SA、RU など)

・ 100 万ルピーを上限に、クリーナー/緑の生産対策に 25%の補助金を供与。

・ この政策の発行日以降に生産及び販売をAPで開始した新しい企業に対して 5年間にわ

たり付加価値税である VAT/CST を 100%還付する。

・ 工業団地、工業団地、経済特区、ハブ、公園及びクラスターの土地料のうち 100 万ルピ

ーを上限として 25%のリベート

・ スキル向上及び地域の人材トレーニングの費用を、一人当たり 2,000 ルピーを上限に、

50%の償還/助成金。

・ 電子ハードウェア・セクター内の特定分野に係る特別なインセンティブ

政府によって奨励されたプロジェクトの SMEs の電子ハードウェアのオーダー価格の

20%の割り当てもしくは予約。

分野別インセンティブ b.

エレクトロニクスハードウェア分野における様々なセグメントは、国内消費だけでなく、

グローバル市場で競争力を高めるために推進する必要がある。この視点から、電子ハードウ

ェアの分野にフォーカスしたに具体的なインセンティブを列挙する。

ア) 新興/零細企業

・ 2 年以内に 50 名までの従業員の募集にかかる費用の補助を、25 万ルピーを上限として

行う。

・ 技術のアップグレードのための新しい資本設備投資コストの 10%を、25 万ルピーを上

限として、対象企業に一回援助する。

・ 賃貸料の 25%を年間 50 万ルピーを上限として最大 3 年間まで補助する。

イ) SMEs(中小企業)

・ 営業を開始してから 2 年以内に、少なくとも 200 名の従業員の募集にかかる費用の補助

を、100 万ルピーを上限として行う。

・ 技術のアップグレードのための新しい資本設備のコストの 10%を、25 万ルピーを上限

として、対象企業に一回援助する。

・ 賃貸料の 25%を年間 50 万ルピーを上限として最大 3 年間まで補助する。

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ウ) R&D

・ 営業を開始してから 2 年以内に、150 名以上の従業員の募集費用の補助を 150 万ルピー

を上限として行う。

エ) SC/ST 及び女性企業家

・ 営業を開始してから 3 年以内に、雇用規模に応じて最小でも 100 名の従業員の募集にか

かる費用を 150 万ルピーを上限として補助する。例)50 万ルピーを初年度の最初の 50

名の雇用するにあたり援助し、25 万ルピーを 2 年目の 25 名の雇用に適用し、3 年目に

残りの 25 名の雇用にかかるコストのうち 25 万ルピーを支給する。

・ 賃貸料の 25%を年間 50 万ルピーを上限として最大 3 年間まで補助する。

・ SC/ST 企業によって始められた MSME ユニットによるプロジェクトコストの 5%を、

50 万ルピーを上限に Seed Capital Assistance から補助される。

・ SC/ST 企業には、50 万ルピーを上限に、5%の追加援助がある。

・ 技術のアップグレードのための資本設備投資コストの 10%を、25 万ルピーを上限とし

て、対象企業に一回援助する。

オ) Tier II(ロケーション)

・ 営業を開始してから 3 年以内に、100 名以上の従業員募集費用を 150 万ルピーを上限と

して補助する。

・ 賃貸料の 25%を年間 50 万ルピーを上限として最大 3 年間まで補助する。

カ) 既存企業

・ 20 万ルピーを上限として品質保証の認定にかかる費用の 50%を補助する。

・ 特許取得にかかる際の費用のうち 50 万ルピーを上限として、50%を補助する。

(以下、JWG における同州発表内容)

アンドラ・プラデーシュ州の概要や産業政策についての説明が行われた。

・ アンドラ・プラデーシュ州の州都はハイデラバードである。インドで 4 番目に面積が大

きく、5番目に人口が多い州である。インド全体の人口の 7%を占め、都市人口は州人口

の 33.4%である。識字率は 67%とインドの平均よりも高い。インフラの開発により、

他都市との結びつきが強化されている。

・ ハイデラバードはインドのテクノロジー分野の首都と自らを認識している。バイオテク

ノロジー、製薬、エネルギーなど多様な業種が参入している。NTT、東芝、日立など

の日本企業がアンドラ・プラデーシュ州に進出済みである。 アンドラ・プラデーシュ

州はインドで初めて電子機器ハードウェア政策を発表している。アンドラ・プラデーシ

ュ州には 300社以上の電子機器企業が立地している。

・ 現在、電子機器ハードウェア政策 2012~2017を進めている。アンドラ・プラデーシュ

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州では、国・州の制度について窓口の一本化を行うとともに、全ての助成金・補助制度

のオンライン化を進めている(準備中で、近日サービス開始予定)。輸出支援およびイ

ンド産製品への支援を行い、工場団地の設立を進め、安定した電力供給を確保するよう

に努めている。また、各種助成金等を整備する予定である。

・ Hyderabad‐e-city、Maheshwaram、Gangavaram の三か所に EMC を設立済または

設立中である(いずれも既に土地は準備されている)。

・ アンドラ・プラデーシュ州の強みは、ストライキがほとんどないこと、あらゆる点検や

承認プロセスを免除していること、電気が安定していることであり、MICE(Meetings、

Incentives、Conferencing、Exhibition)の運営についても高い評価を得ている。

・ 日本企業は土地を確保するのが困難と述べていたが、EMC ではすでに土地は用意され

ていることを強調したい。

(5) 西ベンガル州

以下のインセンティブが新しい西ベンガル州の 2012年 ICT奨励制度の下でアニメーショ

ン&ゲーム部門のユニットに提供されている。

設備投資補助金 a.

12%と 15%の固定資本投資対象で場所に応じて 3500 万ルピーと 4500 万ルピーを上限に 5

年間均等分割払いで支払われる。

利息/トレーニング補助金 b.

年間の負債の 25%のタームローンおよび/または 20,000 ルピー、または最大 750 の候補者

と 1000 の候補者いずれか低い方の 1 ヶ月の給料で年間 1500 万ルピーか 2000 万ルピーを上

限とし、地域によって 5 年間もしくは 7 年間支払われる。

電力税免除 c.

地域によって、5 年または 7 年間の電力税の免除。

雇用創出補助金 d.

従業員国家保険(ESI)および従業員積立基金( EPF )支払い経費の 50%(大&中規模)

もしくは 75%(小&零細規模)を年間 1000 万ルピーもしくは 1500 万ルピーを上限とし、

会社の所在地に応じて 7 年間もしくは 10 年間償還。

印紙税と登録手数料の還付 e.

印紙税および登録料の 100 パーセントの払い戻し。

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中小及び零細企業における品質改善の認定のための補助金 f.

中小及び零細企業に ISI 認定、CMM レベル 2 以上、ISO 9000、セキュリティのための

IS2700COPC、eSCM 及び IT 部門によりその他の品質を保証する認定にかかわる経費のう

ち 50%を 50 万ルピーを上限として還付する。

中小及び零細企業における特許取得のための補助金 g.

特許申請にかかる費用の 50%を年間 5 万ルピーを上限として援助。

これから起業する中小及び零細企業のための起業支援 h.

・ 家賃の 25%を 3年を上限として償還

・ 電気料金の 25%を 3年を上限として償還

・ 20万 5千ルピーを上限に、雇用にかかる費用を補助

・ 9平方メートルを上限に、国内外の展示会に出展するための出展料を 50%補助

アニメーションとゲーム分野での経済的および/または身体に障がいを持つ学生のためi.

の支援

アニメーション&ゲーム部門の IT 企業は、経済的、および/または身体に障がいのある学

生をトレーニング費用を最大で 10 人まで、一人に付き 10 万 5 千ルピーを上限に、75%の経

費の援助を受けることができる。経費の内容は、受講料と認定もしくは学位取得のためのト

レーニングのコンピュータで、最低でも 1 年に渡り負担する。

(6) パンジャーブ州

パンジャーブ州の担当者から同州の電子産業支援策に関する説明が行われた。

・ 税に関する電子産業に対する支援策として、付加価値税(VAT)・中央売上税(CST)の払い

戻しを行い、印紙税や電力税、財産税を免除している。

・ 事業環境に関する電子産業に対する支援策として、電力を安定供給できるように整備し、工

場に隣接した居住スペースの建設や駐車スペースの設置を許可している。

・ その他、電子産業に対する支援策として、区画整備規則の適用を免除し、労働規則の査察

免除・自主規制に任せ、規制を減らすといったことを進めている。また、GMADA 区開発プラ

ンを進行中である。

(7) ケーララ州

財政インセンティブ a.

財政上のインセンティブは、2010 年 12 月 1 日より 6 年間有効となる。該当企業の財政イ

ンセンティブを以下に挙げる。

・ 標準投資補助金(SIS)-150 万ルピーを上限として Thiruvananthapuram もしくは

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Ernakulam 地区にある企業を対象として、30%の固定資本投資を補助する。

・ 財政補助はケーララ州で営業するすべての IT/ITES 工場/ユニットが対象となるが、経

済特区内にある企業は除く。

・ 特別電力税

IT/ITES ユニット、公営 IT パーク、認定された民間の IT パークと Akshaya は HT1 もし

くは LT-IV により、電力特別税の適用を受ける。

・ 容積率(FAR)/床面積率(FSI)

政府及び民間の IT パーク内の FAR/FSI は、最大 5 と定める。

・ 印紙税免除

政府が所有する IT パークの販売/購入、建設のための土地リースに対するリース/

販売契約にかかる印紙税は免除される。

政府が所有する ITパーク内で民間の ITデベロッパーが建設のために土地をリース

する際、リース契約にかかる印紙税は免除される。

認証された IT パーク内で、IT ユニットの建設のために土地をリースする際、リー

ス契約にかかる印紙税は免除される。

・ ケーララ州に登記された、もしくは製造・オペレーションセンターを州内にもつ IT ソ

フトウェア製造企業、もしくは入札条件を満たしている場合、ケーララ州政府/PSU/政

府機関が調達する IT ソフトウェアソリューションの購入優先権を与えられる。

・ ケーララ州に登記されているもしくは同州内に製造工場がある IT ハードウェア製造企

業は、税金の支払い、ISO 認証もしくは入札条件を満たした場合、ケーララ州政府/PSU’s/

地方自治体(LSG)/自治共同体によって与えられる購入優先権を、最低価格の 10%以

下という範囲内で、授与される。

・ 生産されるグリーン及び自家発電 IT ビルへのインセンティブ:政府は、政府で所有す

るもしくは認可された ITパーク内のLEED / GRIHA または同等の定格の ITビルの建設

にかかる税金を減税する。レートはプラチナ:50%、金:40%、銀:25%である。

(8) オリッサ州

補助金 a.

40人までの IT/ITES/ESDMユニットはインキュベーションスペースにおける補助を最大2

年間まで受けることができる。

・ 250sft までのスペース - 80%の補助

・ 500sft までのスペース - 70%の補助

・ 1000sft までスペース - 60%の補助

この補助金は、IT パーク&インキュベーションセンターおよび政府で所持している施設

すべてに有効である。

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賃貸料のインセンティブ b.

少なくとも 40 人以上の従業員を有し、営業を開始してから 2 年以上の IT/ITES/ESDM ユ

ニットは、最大 2 年間まで賃貸料の補助を以下のように受けることが出来る。

・ 1000sft から 3000sft までのスペース - 50%の補助

・ 3001sft から 6000sft までのスペース - 40%の補助

・ 6001sft から 10000sft までスペース - 30%の補助

この補助金は、IT パークおよび政府で所持しているすべての施設に適用される。

オフィスビルスペース買入れ c.

政府は土地を分配するよりも、ビル内のレンタルスペースでの営業を奨励している。その

ため、空きのあるビルのうち、多くの物件が IT/ITES/ESDM 企業用の長期間レンタル用に割

り当てされている。

政府の土地の割り当て d.

政府は IT/ITES/ESDM 企業が起業するにあたり、IT パーク/賃貸スペース内のインキュベ

ーションセンター/オペレーションでの営業を奨励している。以下に示す最小従業員数を満

たせば、その企業は自身の施設を建設するための土地取得の適用を受けることができる。

IT/ITES/ESDM 企業に適用される必要条件は以下になる。

表 4-3 オリッサ州における土地譲渡の条件

土地面積(最小) 従業員数 営業年数(最小)

0.5 エーカーまで 50 名 2 年

1 エーカー 100 名 2 年

1 エーカー以上 100 名/エーカー 3 年

出所) Departament of Information Technology, Government of Odisha「 ICT Policy 2014 (Information &

Communication Technology Policy)」より作成

土地分配は、IPR に応じて支払われる土地料に準じる。

各地区の本部には、地区の事務局が 10~20 エーカーを IT/ITES/ESDM 産業の発達のため

にリザーブしている。事務局で空きがない場合には、その地区の市街地区で対応する。IT

分野の土地の配分は、雇用の創出とその成長率と連動する。

TIR の土地 e.

オリッサ州政府は IT/ITES/ESDM 企業のための IT 投資地区(ITIR)を南部 Bhubaneswar

に設置することを計画している。

政府は ITIR 内にいくつかの分野にわたる小、中及び大 IT/ESDM 規模といったカテゴリー

を作り、均衡のとれた産業エコシステムの構築を目指す。その一方で、教育、健康、小売、

娯楽、不動産、銀行といったインフラの構築のサポートも視野に入れている。外部のインフ

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41

ラと連結させるため、交通網や安全に特別に注力する。

利子の償還による補助 f.

新規の零細及び小規模企業は、営業開始日から 5 年間、公営金融機関および銀行から借り

入れたタームローンの利子の 5%の償還を受けることができる。上限は零細企業の場合は

100 万ルピー、小規模企業の場合は 200 万ルピーである。

設備投資補助金 g.

プラントと機械(土地と建物を除く)の決められた設備投資の補助の 20%を、上限を 500

万ルピーとして IT/ITES/ESDM 企業に、5000 万ルピーを ESDM 産業へ還付する。

人的資本投資補助金 h.

従業員の資格認定のための投資(プロジェクトマネージメントプログラム、Six Sigma&

ITIL に関連する)のうち 20%を、50 万ルピーを上限に、IT/ITES/ESDM 企業に一回のみ還

付する。

品質及び安全認定の補助 i.

IT/ITES 企業の競争力を高めるため、品質認定機関(ISO&CMM)で認証される品質と安

全性の承認取得にかかるコストの 50%を、50 万ルピーを上限に還付する。

容積率 j.

政府は都市部及び地方機関で規定されている容積率を、IT/ITES 企業と IT パークに対し

て緩和することを許可する。

印紙税免除 k.

IPR の規定と同様に、政府/IDCO もしくはその他の政府機関の土地もしくは配分されたビ

ルのスペースの貸借及び売買にかかる印紙税を免除する。

売上税及び VAT l.

IT/ITES/ESDM 分野に新しく進出した企業が、営業を開始した日から 5 年間にわたって支

払った VAT の 75%が還付の対象となる。ただし、固定資産投資の 100%までに限定され、

VAT の還付は産出税金の債務に対する投入税額控除の調整後の支払われた税の純額が適用

される。

産業政策(IPR)が定義した拡張化、現代化、多様化を希望する企業は、産業カテゴリー

に該当する範囲内で、5 年間に商業生産が上昇した状況及び提供される既存の設備容量上で

のみ支払われた付加価値税のが払い戻しの対象となり、その税額は産出税の債務に対する投

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入税控除の調整後に支払われた税の純額となる。

電力のインセンティブ m.

IT/ITES/ESDM には産業に対する税金が課されるが、政府はこれらの企業に電力税と点検

費の免除を行う。

安定した質の高い電力供給は IT/ITES/ESDM 産業の根幹を成すものであり、IT パーク、IT

地区及び複合 STPI にはマルチ電力供給装置の整ったインフラを配備する。新しく進出する

企業に電力を滞りなく供給し、既存の企業にはその処理能力を向上させる。

雇用補助 n.

100 万ルピーを上限として、各企業に一回適用する雇用補助で、純増で少なくとも 20 名

の上級レベルの専門家を IT/ITES/ESDM 企業が雇用する場合、3 年を上限として下記の表に

該当する場合に適用される。

表 4-4 オリッサ州における雇用のインセンティブ

雇用補助

従業員数の年間の純増 リソース/従業員の利益

10% 7,000 ルピー

15% 8,000 ルピー

20% 10,000 ルピー

出所) Departament of Information Technology, Government of Odisha「 ICT Policy 2014 (Information &

Communication Technology Policy)」より作成

最小でも 100 名の従業員を有する企業の場合、女性及び障がい者を雇用する際に支給され

る一度限りの補助金は、100 万ルピーを上限とし 3 年まで以下の表の内容で補助を受けられ

る。適用される補助金には以下に示す追加のインセンティブが適用される。

表 4-5 オリッサ州における雇用

女性/障がい者の雇用

IT 全従業員における% ITES 全従業員における% リソース/従業員の利益

30% 40% 2,000 ルピー

40% 50% 4,000 ルピー

50% 60% 5,000 ルピー

出所) Departament of Information Technology, Government of Odisha「 ICT Policy 2014 (Information &

Communication Technology Policy)」より作成

展示会や貿易代表団参加にかかる支援 o.

国内外の展示会や認定された貿易代表団に参加するための費用を下記に示した条件で補

助する。また、オリッサ州 IT パビリオンへの出展を後押しするために、その出展料を減免

する。この支援は各企業に 2 回まで適用される。

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表 4-6 オリッサ州における展示会参加支援

展示会参加支援

最小従業員数 最大スペース 補助の割合 補助金上限(年)

40 名まで 6 Sm 100% 5 万ルピー

80 名まで 9 Sqm 100% 10 万ルピー

120 名まで 16 Sqm 75% 20 万ルピー

120 名以上 16 Sqm 50% 20 万ルピー

出所) Departament of Information Technology, Government of Odisha「 ICT Policy 2014 (Information &

Communication Technology Policy)」より作成

特許取得補助 p.

IT 企業による特許の取得促進のため、特許取得料に対する補助を下記の表の内容で行う。

表 4-7 オリッサ州における特許取得料補助

特許補助

IT 企業の種別 上限:100 万ルピー 補助金の上限

R&D/Product 20 万ルピー/件 75%

S&W 開発 20 万ルピー/件 75%

その他 なし なし

出所) Departament of Information Technology, Government of Odisha「 ICT Policy 2014 (Information &

Communication Technology Policy)」より作成

入境税の免除 q.

新規の IT/ITES/ESDM 分野の零細/小規模企業は操業に必要な機械機器及び装備品の購入

にかかる入境税の免除が OVAT/OET 条例の下、各企業が登記された日もしくはプロジェク

トの完了日のいずれか早い日から 3 年の間適用される。また、原材料の購入/領収にかかる

入境税に関しても、営業を開始した日から 5 年の間、取り決められた設備投資額の 100%を

上限に免除が適用される。

汚染防止法の適用免除 r.

現在 IT/ITES 企業はオリッサ州汚染コントロール委員会(OSPCB)が管轄する条例/規定/

規則/告知の範囲から免除されているが、それが今後も継続される。政府は同様の免除を新

しい企業にも適用することを進めている。

Level 2 地区の投資家への特別なインセンティブ s.

100 万ルピーを上限として同地区へ進出した最初の IT/ITES 企業に対して、以下の表の条

件で最大 2 年のインセンティブを与える。

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表 4-8 オリッサ州 Level2 地区への投資のインセンティブ

Level 2 地区

企業種別 2 年間の最小従業員数 援助の上限(年)

IT 40 100 万ルピー

ITES 60 75 万ルピー

出所) Departament of Information Technology, Government of Odisha「 ICT Policy 2014 (Information &

Communication Technology Policy)」より作成

地域企業のための特別なインセンティブ t.

地域の若者の雇用を進める目的で、政府は地元の IT/ITES/ESDM 企業に特別なインセンテ

ィブを与える。IT/ITES/ESDM 分野でオリッサに登記され、なおかつ幹部従業員の 50%がオ

リッサ州に住民登録されていることを条件に、地域企業と判断される。

地域企業は政府によって随時決定され、政府、公共部門の取り組み、政府機関、地域機関

によって得られた IT ソリューションもしくはサービスの優先アクセス権を与えられる。こ

れらの企業は、入札合弁会やコンソーシアムへの参加を許可される。

IT ビルにおけるグリーンおよび自家発電へのインセンティブ u.

政府は OREDA(オリッサ再生可能エネルギー開発庁:Orissa Renewable Energy

Development Agency)とオリッサ州政府の住宅&都市開発部署のガイドラインにしたがって、

IT/ITES/ESDM 企業のグリーンビル建設を奨励する。

大・メガ規模プロジェクトに対する特別インセンティブ v.

大・巨大規模の IT 投資の呼び込み/もしくは大規模の雇用機会を創出するために、事前に

協議された特別なインセンティブのパッケージがケースバイケースで決定される。これは新

規だけでなく、既存の企業も対象となる。

教育機関のインキュベーションセンターに対する特別なインセンティブ w.

教育機関が推進するインキュベーションセンターをプロモートすることで、政府は起業家

を育てる環境を創出する。

オリッサの Biju Patnaik 工科大学(BPUT)及び Bhubaneswar の International of Information

Technology(IIIT)は、様々な分野の技術を学んでいる学生や、それ以外の管理、サービス、

及び薬学の学生の間で、起業家が育つような適切なイニシアティブを行う義務を負っている。

IT パーク及び STPs に対する特別なインセンティブ x.

オリッサ州で事業を開設する IT産業からの ITスペースの需要が増加していることを鑑み、

民間が経営する IT パークの設置を促し、推奨する。政府は IT パークの戦略的立地をサポー

トする。

Central IT Park もしくは STPI のインド政府のポリシーの下、民間の IT パークの建設を推

奨する。

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45

インフラ整備の履行に伴う機械機器及び設備購入で発生する入境税は、3 年間もしくはプ

ロジェクトの終了のいずれか早い日まで免除される。

最低でも建物の 60%は IT/ITES/ESDM のために使われていることが条件とされる。バラ

ンスエリアは、生産活動以外の目的でもかまわない。たとえば、娯楽施設、店舗および小売、

銀行、託児所、サービスアパートメント、その他である。

認可された民間の IT パークの建物の 10%は、インキュベーションスペースとして装備さ

れる。

政府から土地の譲渡や援助によって設置された民間の IT パークのレントコントロールは

政府が行う。

4.4 インフラ、産業団地等の整備情報の整理

ジャパン・タウンシップ視察ミッションの中で視察した各工業団地に関する情報を以下に

整理した。また、今回のミッションの中で実際に視察しなかったが、日本企業の専用工業団

地として注目されているオメガ工業団地についても調査した内容をまとめた。

Tumkur National Investment and Manufacturing Zone (NIMZ) 4.4.1

調査項目 調査結果

所在する州 カルナタカ州

アクセス方法 Tumkur NIMZ の予定地はバンガロールから 70km 距離に立地して

おり、国道 NH4(バンガロール~プネ間)と接続している。

開発主体 PPP 事業として開発される予定である。中央政府及びカルナタカ

州政府は事業費の 20%ずつ VGF で投資予定である。

なお、開発用地は Karnataka Industrial Areas Development Board

(KIADB)が既に保有している土地を予定している。

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46

調査項目 調査結果

インフラ等の整備状況 計画中(50~100 ㎢)

※既存の Tumkur 工業団地のインフラ整備状況については下記【イ

ンフラ整備状況】参照

入居企業数 未開発のため該当しない

現状の進出余地 未開発

備考 商工省は 11 月、カルナタカ州の Tumkur 地区を国家投資・工業地

区(NIMZ)として開発する計画案を基本承認した。同計画は、2011

年に公表された国家製造業政策(NMP)の下、全国 12 ヵ所で開

発する NIMZ の 1 つで、実現すれば、カルナタカ州で 25 万人の直

接雇用が創出されると見込まれる。

図 4-1 (左)既存 Tumkur 工業団地へのアクセス道路、(右)Siporex India 社(コンクリート製造)

の工場

出所)調査団

【インフラ整備状況】(入居企業ヒアリング結果)

(現地企業某社 A)

・ フェーズ 1 では鉄道を敷設する計画もあり、駅も設置される予定である。空港から 100

km離れているが、鉄道が通ることで、国内のどこの主要駅にもアクセスが可能になる。

鉄道の完成予定は 3~4 年後であり、建設の承認を得ている。

・ 電力の供給状態は良く、停電はまれにしか発生しない。また、通常どの企業もバックア

ップ電源を用意している。発電所で想定外の出来事があり、1 時間くらいの停電が 1 年

に 1、2 回あった。大体の停電は 10~15 分以内に復旧する。特定時刻に発生するわけで

はなく、全般的に起きており、夏は頻度が多い。ここから離れたところに風力発電所が

あり、追加電源になっている。

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Narsapura(Kolar) 4.4.2

調査項目 調査結果

所在する州 カルナタカ州

アクセス方法 Nasapura はバンガロールから約 53km 距離、Kolar から 20km 距離

に立地しており、Chennai 行き Bangalore Road に国土 NH4 で接続

されている。

開発主体 カルナタカ州工業団地開発局

(Karnataka Industrial Area Development Board)

インフラ等の整備状況 水と電気の供給が不足であるため、企業は自家発電機を持ったり、

外気から電気や水を調達したりするなど自前で対策をとってい

る。

工業団地内のアクセス道路は、2013 年 9 月までに完成予定だった

が、工事が遅れている。

※下記【インフラ整備状況】参照

土地価格 2,100 ルピー/㎡(借地代は 56%上昇した)

現状の進出余地 フェーズ 1 は販売済み。主に 92 件のプロジェクトが承認されてい

る。同工業団地の拡張計画(フェーズ 2 では 1,200 エーカー、フ

ェーズ 3 では 2,000 エーカーを収用予定)があり、その一部が日

本専用工業団地となる予定。

進出済主要日系企業 Honda Motorcycle & Scooter India Pvt. Ltd.、EXEDY Clutch India Pvt.

Ltd.、本田技研工業、バンドー化学等

備考 工業団地内のアクセス道路の工事については、ホンダが主になっ

て企業が集まり、政府に整備要請を出しているが、州政府の動き

が遅い。

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図 4-2 Exedy Clutch India や Honda Motorcycle & Scooter India 工場へのアクセス道路

出所)調査団

【インフラ整備状況】(入居企業ヒアリング結果)

(日系現地法人某社 A)

・ 地下水を掘ったが、住民から反対があった。岩が多く、発破を使えないため、重機を使

わないといけない。地下水を掘る際に、水を分けるように住民から要求されたが、水が

出てきたが枯れてしまった。きちんとした水が出てこないため、水は買っている。水も

電気もガスも買う。

・ 停電が毎日のように発生し、電気代は自家発電と売電で 3 倍も異なる。赤字の要因とな

っており、100%自家発電で運用しているが、燃料代がその都度問題になる。停電は売

電に切り替えても問題がない設備から先に切り替える。燃料調達は大変で、当初はディ

ーゼルで走って買いに行っていた。月に 6000 万円程度の電気代がかかる。

・ 工場前の道も砂利道だったが、ホンダが主になって企業が集まり、政府に整備要請を出

しているが、州政府の動きが遅い。

(日系現地法人某社 B)

・ 工業団地は 2.5MW の発電機をもっている。今、政府のベスカムという団体は、近い将

来、7.5MW を供給できるように取り組んでいる。これまでステップアップしながら

2.5MW まで来た。

・ 工業団地入り口から工場までの道路は、2013 年 9 月までに出来るという約束だった。

・ ロジスティクスの問題があった。最初はビックトレーラーが入らなかった。

・ 日本とバンガロールの直行便が無く、交渉が行われている。成立すれば、もっと日本企

業が来ると思われる。

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Electronics City Complex 4.4.3

調査項目 調査結果

所在する州 カルナタカ州

アクセス方法 バンガロール中心部より 22km

開発主体 カルナタカ州工業団地開発局

(Karnataka Industrial Area Development Board)

インフラ等の整備状況 カルナタカ州政府が、特に IT を誘致しており、Electronics City

Complex 工業団地で電気・ガス・水道の整備に力を入れている。

※下記【インフラ整備状況】参照

土地価格 販売済み

入居企業数 インフォシス、HP、シーメンス、3M、タタ、ウィプロ等の大手

企業が入居している。

現状の進出余地 空きなし

進出済主要日系企業 アイシン精機、ファナック、横河電機、安川電機

備考 アイシン精機は近く移転するとのこと。

図 4-3 Electronics City Complex 敷地内の様子

出所)調査団

【インフラ整備状況】(入居企業ヒアリング結果)

(日系現地法人某社 C)

・ 8 年前は、日本人が行けるようなレストランがなかったが、今はレストランの数が増え

た。ショッピングモールは 3 箇所しかなく、質の割に高かった。今は、ショッピングモ

ールが色々出来て、品数が増え便利になった。ネット通販大手のアマゾンも半年前から

インドに進出し、色々なサービスを提供している。

・ 停電が毎日ある。

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Hosur 4.4.4

調査項目 調査結果

所在する州 タミル・ナドゥ州

アクセス方法 バンガロール中心部より約 40km。NH7 号線沿い。バンガロール

国際空港より 75km。

開発主体 SIPCOT:タミル・ナドゥ州産業振興公社(State Industries Promotion

Corporation of Tamil Nadu Ltd.)

現状の進出余地 フェーズ 1 とフェーズ 2 は開発済み。総面積は約 2,000 エーカー。

フェーズ 3 では 2,300 エーカーを収用予定。

進出済主要日系企業 日産自動車(アショク・レイランド日産ビークル)

図 4-4 Hosur 工業団地内入居中の Titan 社(電子腕時計メーカー)の工場敷地内

出所)調査団

Electronics Complex 4.4.5

調査項目 調査結果

所在する州 マディア・プラデーシュ州

アクセス方法 インドルの北側、5km の距離(車で 15 分程度)に位置。

開発主体 Madhya Pradesh Audyogik Kendra Vikas Nigam

インフラ等の整備状況 開発済み

入居企業数 102 社

現状の進出余地 空きなし

進出済主要日系企業 なし

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図 4-5 Electronics Complex 入居中の Scientech 社

出所)調査団

Pithampur 4.4.6

調査項目 調査結果

所在する州 マディア・プラデーシュ州

アクセス方法 インドルから 35km の距離(車で 30 分~40 分程度)に位置してい

る。また、アプローチ道路により空港に直接につながっている。

開発主体 Madhya Pradesh Audyogik Kendra Vikas Nigam

インフラ等の整備状況 電力はグリッドから供給されており、地域のデベロッパーAKVN

がサプライヤーであるが、安定した供給が行われている。停電の

際には数日前に予告が来る。電気消費量は 1 ユニットあたり

1300KVA まで。電気料金は電力委員会によって決定されている

が、1 ユニット 5.3-5.5 ルピー/kwh 程度である。

また、工業団地の近くにドライポートがあり、通関がスムーズ。

ムンバイで陸揚げし、Pithampur にものを運ぶことができる。

入居企業数 31 社

現状の進出余地 フェーズ 1(132ha)は開発済みで、まだ余裕あり。

進出済主要日系企業 Panasonic Energy India

備考 ジャパン・タウンシップ構想の予定地が確保されている。

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図 4-6 Pithampur工業団地内の様子(左)ジャパン・タウンシップ構想の予定地、(右)Pratibha

Syntex 社(入居中の繊維企業)の工場

出所)調査団

【インフラ整備状況】(入居企業ヒアリング結果)

(日系現地法人某社 D)

・ 停電がある場合は事前通告があり、バックアップ電源は 100%持っている。

・ 1989 年の操業開始時、インフラ不足などの社会問題があった。都市から離れた土地で

あり、小さな村しかなかった。モダンなノウハウなど動きもなく、道路も電気もなかっ

た。今はこうした問題はなくなった。

(日系現地法人某社 E)

・ 道は最近快適だが、半年前まではきちんと整備されていなかった。

・ ドライポートがあるのは通関的には大きい。ムンバイで陸揚げし、隣に敷地に通関の場

所がある。賃金は低く、住宅環境も良い。

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オメガ工業団地 4.4.7

調査項目 調査結果

所在する州 タミル・ナドゥ州

アクセス方法 チェンナイ市から約 50キロを離れたOld Mahabalipuram Road沿い

に立地する(1,484 エーカー(約 6km2)の敷地面積)

開発主体 日揮とみずほコーポレート銀行がシンガポールの政府系企業アセ

ンダスと共同で開発している

インフラ等の整備状況 インフラ整備が全体的に遅れている。パイプライン敷設に関して

は管轄問題で遅れている。まず、企業集積が必要。なお、EIA、

DTPC(Department Town and Country Planning)等の許認可は 2013

年 9 月時点で全て取得済み。

※下記【インフラ整備状況】参照

入居企業数 3 社入居、うち 1 社工場稼働中

備考 オメガ工業団地の開発経緯は以下の通り。

・2010 年にみずほコーポレート銀行、日揮、アセンダス社で環境

に配慮した複合都市開発検討開始について MOU 締結

・2011 年、アセンダス、日揮、みずほコーポレート銀行で事業パ

ートナーとして協働することについて MOU 締結

・2012 年、タミル・ナドゥ州政府、アセンダス・IREO、日本コン

ソーシアム(日揮、みずほコーポレート銀行)で複合都市開発プ

ロジェクトのインフラ開発に関する MOU 締結

*)2013 年 10 月 8 日に実施した関係者ヒアリングにより調査団作成

オメガ

工業団地

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【インフラ整備状況】(関係者ヒアリング結果)

(オメガ工業団地の関係者)

・ 2010 年 9 月に開発計画が開始してから企業の入居まで 3 年を費やした。インドの場合、

実際に工業団地を計画してから立ち上げるまでに時間を要する。

・ ジャパン・タウンシップ/工業団地開発に関する主な課題は、用地取得、インフラ整備

及び政治に強く左右される傾向である。

・ 企業集積がないと、誘致進まないため、ジャパン・タウンシップ構想の実現には時間を

要する。

4.5 競合事業者、流通事業者等の事例等の情報の体系的な整理

(1) インドにおけるIT関連産業事業者

インドの IT 産業は商品分野別に市場が細分化されており、商品項目によって競合となる

事業者が異なる。欧米系企業は古くから人材の現地化が進んでおりインド市場に入り込んで

いる。外資事業者は韓国企業を中心として、中高所得層をターゲットとしており、物流網が

脆弱でコスト制約が強い農村部の低中所得層にはまだ参入余地がある。

インドの IT 関連市場は商品分野別にプレイヤーが細分化されている。ただし、そのなか

でもターゲット市場・商品ともに広範なのが韓国2社である。物流網が脆弱でコスト制約が

強い農村部の低中所得層にはまだ参入余地がある。

地場企業は規模・技術の制約から、狭い商品分野で低価格帯をターゲットとしている。

例として、インドにおける主な IT 関連産業の事業者を表 4-9 に整理する。

表 4-9 インドにおける IT 関連産業事業者の例

分類 企業名 主力商品 強み 課題 拠点

外資

Samsung

India

Electronics

(韓)

携帯

タブレット

パソコン

多岐にわたる商品

コスト・パフォーマ

ンス

高所得者層へのプ

レミアム戦略

低価格層への商品

の浸透

農村部へのマーケ

ティング

本店:New Delhi

Chennai, Noida 他

LG

Electronics

India(韓)

TV

パソコン

家電全般

インド国内地域販

売戦略の徹底

現地部品調達によ

る低コスト化

徹底した現地化戦

低価格層への商品

の浸透 Noida、Pune

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分類 企業名 主力商品 強み 課題 拠点

Lenovo (中) パソコン

コスト・パフォーマ

ンス

ビジネスユースへ

のマーケティング

“Think”ブランド

ブランドイメージ

低価格層への商品

の浸透

本社:Bangalore

Gurgaon, Chennai

Nokia

(フィンラ

ンド)

携帯

タブレット

技術力

ブランドイメージ

狭い商品分野

市場変化への対応

力(3Gセクター

等)

本社:Gurgaon

地場

Micromax 携帯

タブレット

低コスト

農村部へのマーケ

ティング

狭い商品分野

富裕層へのマーケ

ティング

本社:Gurgaon

Distt Solan 他

Videocon TV

AV 機器

低コスト

マルチ・ブランド戦

技術力

狭い商品分野 本社:Gurgaon 他

Onida

electronics

TV

AV 機器

携帯

多岐にわたる商品

技術力

ブランド・マーケ

ティング

本社:Mumbai 他

出所)各種資料より調査団作成

(2) インドにおける流通事業者

インドでは物流ソフト面・ハード面双方において物流インフラは極めて脆弱であり、大都

市間は鉄道網で結ばれているが、農村部へのアクセスが困難である。

大都市から離れた地点へ製品/資材を輸送する際は、各州でローカル非組織セクターの事

業者を確保必要がある。

近年 3PLの事業者も市場を拡大しており、今後物流コーディネートの役割を期待できる。

インドでは物流ソフト面・ハード面双方において物流インフラは極めて脆弱であり、大都

市間は鉄道網で結ばれているが、農村部へのアクセスが困難である。

道路流通業者は零細の非組織セクターが支配的であり、各州でそれぞれが流通網を築いて

いる。

例として、インドにおける主な流通事業者を表 4-10 に整理する。

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表 4-10 インドにおける流通事業者の例

分類 企業 物流網 特徴

陸路輸送

ローカル

非組織

セクター 都市間

都市~農村間

【農村アクセス】

インドの道路組織で最も支配的

各州でそれぞれの業者が流通網を気付いている

仲介業者が受注した業務を遂行

Transport

Corporation of

India

【都市アクセス】

デリー・コルカタ・チェンナイ・ボルバンダルの黄金

の 4 角形はルートが整備されている

鉄道輸送

CONCOR

(国鉄)

大都市間

貨物鉄道用のインフラ不足

旅客優先のダイヤ

ストライキの頻発

大都市間の大型輸送に適している

【民間】

CONCOR がシェアの多くを占めるため、鉄道民間コ

ンテナ社の輸送量は限られている

Adani Group

Dubai Ports

World

Reliance

3PL

Gati

都市間

都市~農村間

複雑な同国の物流をコーディネートする役割

(非組織セクターへの窓口)

現在倉庫業務市場の 15%

今後年 30%で市場拡大すると予想されている

TVS Logistics

OM Logistics

出所)各種資料より調査団作成