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認知症と「意味の世界」 ≪脳(意識・無意識)の視点から≫
桜新町アーバンクリニック
大井 玄
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「認知する」とは、知的な情報処理過程
それは、環境からの刺激(情報)を記憶と照合して(意識的、無意識的に)判断、記憶、思考すること。 「認知症」とは、
認知する能力が生活の妨げになるほど衰えた状態
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・作り話には「方向性」がある
・かならず自尊心と誇りが保持されるように 作られる
・作り話を受け入れる絶対の必要性
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環境からの刺激(情報): 受け取るものによってすべて意味がちがう 手を打てば 鯉は餌と聞き 鳥は逃げ 女中は茶と聞く 猿沢の池
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記憶の「脳・神経モデル」
脳の部位 ・作動記憶 前頭葉(前頭前皮質) ・短期記憶 側頭葉内側部 (海馬とその周辺) ・長期記憶 脳の各部
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作動記憶(ワーキング・メモリ)
外界から入ってきた情報(刺激)のどれかに注意を向け、認識し記憶すべきものとして選別する働き。
環境からの情報を、過去の記憶された情報と照合する=指紋の照合をする場合:新しく得られた指紋を光源の上に置いて、保存されている指紋と重ね合わせてみる必要がある。情報についてこれを行うのが作動記憶である。 例:場所の見当・人の同定 認知症の高齢者の中核にある情動は「不安」
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仮想現実症候群
「意識は清明で、脳が過去の経験と
記憶に基づく「世界」を組み立てて
いるのを観察できる」 石井 毅 2003
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認知症高齢者への対応
「意味の世界」を推察し、情報ではなく情動を共有する 偽会話
個人史(パスワード発見)・触ること・笑うこと
看護・介護・社会的支援は広い意味の「認知行動療法」「薬物療法」の効果は限定的
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鏡神経細胞 (ミラー・ニューロン、物まね細胞)
私たちの見ている他人の行為は、
すべて私たちも 脳(心)の中で、行っている
まね・意図・感情・意味 14
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まとめ 1.作り話は誰もがやる 2.脳は経験と記憶に基き世界を創る 3.私たちは(認知症・非認知症を問わ ず)「意味の世界」を紡ぎ住む 4.認知症の人の中核にある気持ち(情 動)は不安 5.認知症高齢者の「意味の世界」に入 る:怒らぬ、笑顔、触るそして理解 する努力
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