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(健康管理者用). 心の健康づくりについて -講義編-. 人事院職員福祉局. 健康管理者とは. 各省各庁の長は、~(中略)~健康管理者を指名しなければならない。 健康管理者は、上司の指揮監督の下に、職員の健康管理に関する事務の主任者として次に掲げる事務を行うものとする。 ①職員の健康障害を防止するための措置に関すること ②職員の健康の保持増進のための指導及び教育に関すること ③職員の健康診断又は面接指導の実施に関すること ④職員の健康管理に関する記録及び統計の作成並びにその整備に関すること ⑤前各号に掲げるもののほか、職員の健康管理に必要な事項に関すること - PowerPoint PPT Presentation
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心の健康づくりについて
-講義編-人事院職員福祉局
(健康管理者用)
健康管理者とは 各省各庁の長は、~(中略)~健康管理者を指名しなければならない。 健康管理者は、上司の指揮監督の下に、職員の健康管理に関する事務の主任者として次に掲げる事務を行うものとする。
①職員の健康障害を防止するための措置に関すること②職員の健康の保持増進のための指導及び教育に関すること③職員の健康診断又は面接指導の実施に関すること④職員の健康管理に関する記録及び統計の作成並びにその整備に関すること
⑤前各号に掲げるもののほか、職員の健康管理に必要な事項に関すること
人事院規則10-4第5条
健康管理者に求められること○ 心の健康づくり研修の強化 ※実施率、参加率ともに低い。特に管理監督者向け研修は必須。
○ 組織としての取組 ※各省各庁の長などが、心の健康づくりに関する方針の表明、目標の設定、計画の策定・実施、評価・改善等を行うことが求められる。
○ 効果的な職場環境の改善 ※職場環境を評価し、衛生委員会等で検討し、改善計画をたてる。
○ 円滑な職場復帰体制の整備と復帰者のフォローアップ
※心の健康不調者の職場復帰は、適切かつ慎重に行うこと。
○ 早期発見・早期対応の推進 ※セルフケアとしての個人評価の推進及びその結果の受入体制の整備。
1 心の健康づくりの必要性
公務における長期病休者等の年次推移
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
平成13年度
平成18年度
7%
74%
2%
4%
13%
気分感情障害(含躁うつ病)
神経症性障害・ストレス関連障害・身体表現性障害統合失調症、統合失調症型障害及び妄想型障害その他の障害(アルコール依存症等)自律神経系の障害
安全配慮義務と人事院規則国も安全配慮義務が適用・ 国は、公務員に対し、公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理に あたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負ってい るものと解すべきである(最高裁判例)。・ 具体的には、病気発症の予見義務、発症の状態や職場実態等の現状把握義務、発症 又は症状増悪の防止義務、自傷・他傷等被害発生の回避義務が考えられる。
国家公務員法第 71条 能率の根本基準 職員の能率は、充分に発揮され、且つ、その増進がはかられなければならない。 同 第 98条 法令及び上司の命令に従う義務 職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
人事院規則10-4第 3条 各省各庁の長の責務 各省各庁の長は、法及び規則の定めるところに従い、それぞれ所属の職員の健康の保持増進及び安全の確保に必要な措置を講じなければならない。 同 第 4条 職員の責務 職員は、その所属の各省各庁の長その他の関係者が法及び規則の規定に基づいて講ずる健康の保持増進及び安全の確保のための措置に従わなければならない。
職員の健康に関する健康管理者・管理監督者の責任
各省各庁の長が施設・労務の管理に当たって、職員の生命・健康を危険から保護するよう配慮すべき義務※各省各庁の長が職員に負う国家公務員法・人事院規則上の義務
「危険予知義務」と「結果回避義務」
各省各 健康管理者・管理監督者に庁の長 安全配慮義務が求められる安全配慮義務の実行責任者は健康管理者・管理監督者です
(権限委譲)
人事院における心の健康づくり対策の取組み心の健康問題による長期病休者の増加に対応するため、心の健康づくり対策を充実強化平成 10年~ 13年「こころの健康相談室」を人事院本院及び各地方事務局(所)に設置
※ 各府省の職員やその家族、職場の上司等が利用することができ、専門医が対応
平成 16年3月「職員の心の健康づくりのための指針」の発出平成 17年7月「心の健康のための早期対応と円滑な職場復帰」の発出平成 18年~ 21年「こころの健康にかかる職場復帰相談室」を人事院本院及び各地方事務局(所)に設置※ 各府省の健康管理医として、各府省が活用することができる専門医を確保し、職場復帰及び再発 防止のための助言を得ることができるよう実施
【その他】・ 心の健康づくり研修(健康管理者編、研修講師養成講座)の実施・ ガイドブック「国家公務員とメンタルヘルス」の作成、全職員(約 30万人)への配布 11
平成 22年7月「円滑な職場復帰及び再発の防止のための受入方針」の改定(「試し出勤」制度の提案を含む)の発出
平成 23年1月「心の健康づくり対策推進のための各府省連絡会議」の設置・開催
「心の健康づくりの研修のために(管理監督者・職員・健康管理者編)」の発出
2 研修の必須化に向けて
本府省における心の健康づくり研修の実施状況等
対象者 府省数 年間平均参加率・受講率(%)
~ 10%
~ 30% ~ 50% ~ 70% ~ 90% ~ 100%
不明
全職員 14 府省 9 府省 1 府省 1 府省 - 2 府省 - 1 府省
全係長級 4 府省 1 府省 - - - 1 府省 - 2 府省
全課長級 10 府省 3 府省 3 府省 1 府省 1 府省 1 府省 - 1 府省
その他
(
新任時
)
新 任係長級 5 府省 - - 1 府省 - 3 府省 1 府省 -
新 任課長級 5 府省 - 1 府省 - - 2 府省 2 府省 -
実施 未実施 不明
24 府省(一部として実施を含む)
全くなし 他府省の研修に参加
2 府省 8 府省 1 府省
心の健康づくり研修の強化について○人事院規則10-4第3条
各省各庁の長の責務として「それぞれ所属の職員の健康の保持増進及び安全の確保に必要な措置を講じなければならない」 この職員に対する安全配慮義務は、各省各庁の長(健康管理者)のみならず、部下に直接接する管理監督者も当然負うべきもの
○職員の心の健康づくりのための指針 各省各庁の長の役割として「部下の人事管理等を
直接行う管理監督者に対する教育を特に重視して研修を実施する」特に管理監督者の果たす役割は、各段階において非常に重要なものであり、その教育は必須のもの 「心の健康づくり研修の強化について(通知)」平成 23年 3 月 31 日職職 -118職員福祉局長通知より一
部抜粋
管理監督者に理解が求められること-管理監督者研修での受講内容-
1 心の健康づくりの必要性2 ストレスについて3 職場の心の健康づくりの推進4 心の健康の保持増進5 早期発見・早期対応6 心が不健康となり、長期間休んでいた職員の
職場復帰に当たっての対応7 自殺防止に関する対応8 プライバシーの保護9 職場でみられる主な心の不調
心の健康に関する正しい知識を持つとともに、職場の心の健康づくりの必要性を認識
心の病気への偏見をなくす。うつ病等は誰でもな
りうる
・心が不健康な状態とはどういうものか・部下が不調を自覚することが重要
部下を不調にしないために重要なことは・部下が不調だと思ったときどう
するか・部下が不調なとき、健康管理者へ相談
・心が不調となった職員が職場に復帰するときの職員や健康管理者、健康管理医等への対応・職場に復帰した職員の再発防止
1 心の健康づくりの必要性
2 ストレスについて
3 ストレスによる心身の不調への気付き
4 職員の心の健康づくりのために
5 ストレスにうまく対処するために
6 自殺防止に関する対応
7 職場で起こり得る主な心の不調
心の健康に関する正しい知識を持つとともに、職場の心の健康づくりの必
要性を認識
・心の病気への偏見をなくす。うつ病等は誰でもなりうる・心身の不調を感じた場合、上司や相談窓口に相談
・心身の不調を自覚することが重要・周囲の職員の不調な状態のサインを理解
ストレスがかかったとき、心身の不調を来さないための方法
各職員に理解が求められること-職員研修での受講内容-
3 組織としての取組の推進
組織全体としての取組方策の流れ心の健康づくりの方針表明、目標、計画、評
価方針表明
(例)各省各庁の長が年頭所感で「職員の心身の健康を大切にし、明るく活気ある職場作りを推進する」と表明
目標 (例)①管理監督者研修を年1回、90%以上参加 ②職場環境改善のための調査、評価を行う
計画 (例)①人事院のテキストを活用し、年○回に分けて、管理監督者研 修を実施。地方支分部局には、・・・・。 ②「仕事のストレス判定図」を活用して、職場環境改善を図る。
評価・改善
(例)①管理監督者の7割が参加。次年度は、残りの3割に参加して もらうために開催時間や開催日 を工夫 ②職場環境改善を図ったが改善がみられない部署もあり、次 年度は原因究明
職場環境を改善するための具体的手順効果的な職場環境改善手順
職場環境等の評価「仕事のストレス判定図」等による職場ごとのストレス要因の把握
組織づくり関係者による委員会等の設置(管理監督者、部下、健康管理者、専門
家等)
職場環境改善計画調査結果等を基に委員会等でストレス要因を抽出し、「職場環境改善
のためのヒント集」等を活用し計画を策定
対策の実施
改善の効果評価
○○省の心の健康づくり体制(例)
○健康管理者 大臣官房人事課長 ○健康管理担当者 大臣官房人事課人事係長○健康管理医 ○○省診療所長○相談窓口担当医 ○○医師○医療スタッフ等 ○○保健師、○○看護
師 ○○心理職○外部委託医療機関 ○○病院 ○○クリニッ
ク○その他(電話相談等)
各省各庁の長(健康管理者)の役割
1 組織全体の心の健康づくりに責任を持つ。2 職員への体系的な研修を実施する。3 長 時間勤 務等の職員の面接指導等の適切な実施を図る。4 相談窓口等を設け、周知する。5 専門的な助言を行う医師等を確保する。6 心の健康の保持増進のため勤務環境の整備等を行う。
7 早期対応に努める。8 職場復帰に当たり、具体的な受入方針を決定し、実施する。
① 職員のストレス状況の把握に努め、職場のストレス要因の軽減・除去及び勤務環境の向上に努める。ハード面の整備として、事務室内の採光、騒音、気温、机の配置等を適正に保ち、また、ソフト面の整備として、超過勤務の縮減を図り、人事配置、人事管理、仕事の進め方等を適切に行い、セクシュアルハラスメント問題等に適切に対処する。② 職員及び家族に対し、ストレスに気づくことの重要性、ストレス対処方法等の基本的事項の周知を図る。③ 管理監督者に対し、管理監督者の役割、勤務環境の評価及び改善の方法、部下からの相談の受け方等に関する知識を提供する。④ 必要に応じ管理監督者に勤務環境の改善方法を指示するとともに、管理監督者からの相談に応じ必要な措置を講ずる。長 時間勤 務等により特にストレスが多くなっている職員に対して健康管理医等による問診等を行い、健康管理医等の意見を踏まえ健康診断等の健康管理を行う。
既に示した組織全体としての取組方策の流れを参考に、体系的な対策を実施する。
管理監督者研修は必須
医師等には職場の職務内容等を説明し、理解を得ておく
①復職の 時 期、職務内容、勤務時間 等に関し、職員の意向・主治医の意見、必要に応じ家族・管理監督者の意見を聴取した後に、健康管理医等の意見を聴取して具体的な受入方針を決定する。なお、健康管理医には、発症早期から関わってもらうことが肝要。②復帰前に、管理監督者に対して受入方針及び本人の意向、回復状況等を示す。③職場復帰後は、受入方針を実施しながら、職員の勤務状況、人間関係、心の健康状況等を、本人、管理監督者、主治医、家族等を通じ把握する。必要に応じ、受入方針の変更、管理監督者や同僚への指示等を行う。
心の健康づくりのための管理監督者の役割
1 部下の日常の状況について把握する。
2 職場の良好な勤務環境を作る。3 部下の言動等の変化を早期に把握する。4 部下の職場復帰に当たり、復帰後の職員の状況等を把握し、必要に応じ仕事の内容等を調整する。
心の健康づくりのために職員の果たすべき役割
1 心の健康づくりの重要性を認識し、自己啓発に努める。
2 心身の健康の積極的な保持増進やストレスのコントロール等を行う。3 良好な人間関係を作るように努める。4 早期対応のため、職場の面接指導、
相談窓口等を活用する。5 一人で悩まず家族、同僚、管理監督者等に相談する。
自らにあったストレスの解消法等を身につける
職場のコミュニケーションを良くし、相談できる
雰囲気を作る
○長時間勤 務職員等への面接指導制度の活用
○相談窓口、電話相談のサービスを理解・活用
研修や書籍
健康管理医の役割
健康管理医に求められるもの1 健康管理医が心の健康づくりを行うためには、職場での業務と精神科関係の十分な理解が必要である。
2 計画的かつ継続的に心の健康づくりを行うためには、できるだけ長期間同一の専門医を職場に確保し、職場及び職務の状況について認識を深めてもらうことが望ましい。
3 精神科医の確保が困難な場合は、心療内科医や心の健康づくりに関して相当程度の知識を有する内科医という選択もある。
4 健康管理医を円滑に機能させるため、規模に応じて専門知識を有する支援スタッフを配置。
健康管理医として依頼する際の留意点
1 専門医を確保する場合は、依頼内容を明確にする。
2 専門医を非常勤として確保し、優先度の高い業務を行ってもらうという選択もあり得る。
3 単独で対応できない機関においては、共同で専門医を確保するなどの方法がある。
専門医は公務についての理解が必ずしも十分とは言えない場合があり、健康管理医の役割の理解も不十分である可能性がある。職場のニーズを明確にし、情報提
供を適切に行う。
非常勤を配置する場合は、効果を上げるため、支援スタッフを配置し、支援する
ことが必要
健康管理医の業務○専門的知識を有する健康管理医の業務は
多方面にわたる。すべてを行えない場合は優先順位を設けて対応する。○優先順位は、必要性を判断し、次のとおりとする。 ①治療中の職員との面談及び関係者からの適切な情報収集・意見交換を行うこと。 ②病休者の職場復帰の適否、職場復帰の 時期及び復帰後の対応等について、人事担当者、健康管理者等に助言すること。
○専門的知識を有する健康管理医の充実とともに行うべき業務 ①早期対応
②職員、健康管理者、管理監督者、家族等からの相談、助言
③健康管理者、管理監督者等に対し職場環境等に関し助言
④心の健康づくりに関する教育の指導
健康管理医の業務
①心が不健康な職員との面談、助言及びその後の健康管理者等への指導、助言②ストレスチェックの実施、評価、助言③職場環境、職員の心の健康状況の把握
研修の企画・実施
4 ストレスについて
ストレス要因(ストレッサー)と心身の健康の関係について
仕事上のストレッサー
仕事外のストレッサー
ストレス反応
緩衝要因
個人要因
疾患
(強い場合)
職場不適応
(米国国立職業安全保健研究所(NIOSH)提唱モデルを一部改編)
身近なストレス要因の例○仕事上:長時間勤 務 過重な心理的負荷のかかる勤務 上司、同僚、部下との人間関係の悪化 異動による勤務環境の変化 など
○仕事外(家庭や個人):経済的問題 職員又は家族の健康 家庭内の人間関係 家族の介護 子の教育、進路 など
○適度なストレスは、よりよい人生を送るスパイスという面もある。
ストレス反応とは1 ストレスにより起こる心と身体の様々 な反応である。
2 心身の変化により、3つの段階がある。
3 ストレスが強かったり持続することで、 心身に障害や症状が現れることがある。 (ストレス関連疾患)
<危険信号が体から発せられる 時 期(警告期)> 疲れ、いらいら、肩こり、ミスや事故が多くなる、血圧変動などを感じ、経験する。<疲れがたまった感じが強く、それが興奮又は脱力感に陥る 時 期(ストレスに反発・抵抗する 時 期)> 仕事を抱え込む、休まなくなる、血圧変調、消化器・循環器異常など<踏ん張りが効かなくなり、自分の力ではどうしようもなくなる 時 期(疲弊期)> 集中力がなくなる、おっくうで何もする気が起こらなくなるなど。この 時期になると心身症、うつ状態、うつ病へ移行していく可能性が強くなるため、この 時 期に移行しないうちに、早めの対応が必要である。
5 職場の心の健康づくりの 推進
職員の心の健康づくりのための 基本的考
え方○ 心の病気は身近な人はもとより自分もかかりうるものである。 例えば、国民の5人に1人は一生のうちに次のどれかを経験するとされる。 ① うつ状態・うつ病 ② 神経症 ③ アルコール依存症等の精神に作用する物質による障 害○ 心の三つの状況に応じた対策が必要である。 ① 心が健康なとき ・・・・心の健康の保持増進 ② 心が不健康なとき・・・ 早期対応 ③ 回復したとき ・・・・円滑な職場復帰と再発の防止
○心の健康づくりは、心が健康な状態のときから行うことが必要。○管理監督者等が、職場内外におけるストレス要因の軽減・除去、勤務環境の向上、職員の心身の健康増進を図る必要がある。○職員はストレスへの対処方法を知り、ストレスに対する耐性を高めることが必要。
○心が不健康な状態になったときは、治療など適切な対応を早期に実施することにより、早期回復が期待でき、仕事の遂行、同僚との関係等において、良い結果をもたらし、また再発の可能性も低下させる。○心の不健康な状態については、自覚がなかったり、言い出せないことも多く、受診しないことも多く、健康管理者等は職場、家族等による相互の連携・協力を行えるようにする。○職員は日頃から早期対応の重要性を理解する。
○職員の職場復帰にあたっては、健康管理者が復帰 時 期・復帰後の職務内容等について受入方針を作成して対応(職員の状況や職務の内容等を正確に把握した専門の医師の意見を踏まえ慎重に作成する必要がある)。○受入方針は、できるだけ本人の了承のもと定める必要がある。○復帰後は、必要な場合は、当初の受入方針等を変更していくことが必要。
職員等への支援(1)1 職員及び家族に対し、ストレスに気
付くことの重要性、ストレス対処法等の基本的事項を周知する。
2 管理監督者に対し、役割、勤務環境の評価及び改善の方法、相談の受け方等に関する知識を提供する。3 必要な場合は、管理監督者に勤務環境の改善方法を指示するとともに、管理監督者からの相談に応じ、措置を講ずる。
職員等への支援(2)
4 相談窓口を設置するとともに、職場外の相談窓口の情報提供に努める。 5 育児介護の負担、妊娠等によりストレスが多くなりがちな職員の職務内容等に配慮する。
6 身体面の健康管理にも配慮する。
5-1 効果的な職場環境 の改善
勤務環境の整備1 職員の日常の状況の把握に努め、職場における過重なストレス要因の軽減・除去及び勤務環境の向上に努める。
2 ハード面: 事務室の採光、騒音、気温、机の配置等への配慮3 ソフト面: 超過勤務の縮減、人事配置・人事管理・仕事の進め方等への配慮等への適切な対処
職場のコミュニケーション・相互協力は心の健康と会社の業績の基礎
はい
はい
いいえ
いいえ
いいえ
はい
0 20 40 60 80 100心の病気が増加傾向(%)
コミュニケーションが減った
助け合いが減った
組織・職場のつながりを感じにくくなった
強まった
強い
満足
弱まった
弱い
不満
0 10 20 30 40会社の業績が上がった(%)
人間関係に満足
協力して仕事をする雰囲気
3年前にくらべて協力して仕事をする雰囲気が
平成 19年版国民生活白書から抜粋し作図。元データの出典は財団法人 社会経済生産性本部 (2006)および労働政策研究・研修機構 (2004)。 川上憲人(東京大学教授)より提供
22
相談しやすい関係について
1 管理監督者や職員と日頃から信頼関係を構築しておくことが、管理監督者や職員が安心して早期に心の状態を相談できることにつながる。
2 管理監督者や職員からの相談に適切に対応する。
簡易版ストレス調査票による質問項目(12項目)
あなたのお仕事についてうかがいます。最もあてはまる回答の欄に○を記入してください。
そうだ
まあそうだ ややちがう ちがう
(1)一生懸命働かなければならない
(2)非常にたくさんの仕事をしなければならない
(3)時間内 に仕事が処理しきれない
(4)自分のペースで仕事ができる
(5)自分で仕事の順番・やり方を決めることができる
(6)職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる
あなたの性別に○をつけてください。 1)男性 2)女性
あなたの周りの方々についてうかがいます。最もあてはまる回答の欄に○を記入してください。
非常に かなり
多少 全くない
次の人たちとはどのくらい気軽に話せますか?
(7)上司
(8)職場の同僚
あなたが困ったとき、次の人たちはどのくらい頼りになりますか?
(9)上司
(10)職場の同僚
あなたの個人的な問題を相談したら、次の人たちはどのくらい聞いてくれますか?
(11)上司
(12)職場の同僚
○得点の計算方法:問1~6は、そうだ=4点、まあそうだ=3点、ややちがう=2点、ちがう=1点を与えます。問7~12は、非常に=4点、かなり=3点、多少=2点、全くない=1点を与えます。以下の式に従って各得点を掲載します:仕事の量的負担=問1+問2+問3、仕事のコントロール=問4+問5+問6、上司の支援=問7+問9+問11、同僚の支援=問8+問10+問12。
集団レベルでのストレス評価法について(例)
「平成 11年度労働省作業関連疾患の予防に関する研究班」報告書
職場ストレスを減らすための「職場環境改善ヒント集」
領域 項目
A業務計画作成への参加と情報共有
①職場の業務スケジュール作成に参加、②裁量範囲を増やす、③個人あたりの過大な作業量があれば見直す、④各自の分担作業を達成感あるものにする、⑤必要な情報が全員に正しく伝わるようにする
B勤務時間 と業務編成
⑥労働時間 の目標値を定め、残業の恒常化をなくす、⑦国会や予算・執行等多忙期の業務方法を改善、⑧休暇が十分取れるようにする、⑨勤務体制を改善、⑩個人の生活条件に合わせた勤務調整の実践
C円滑な業務手順
⑪~⑮整理整頓、業務指示の明確化、反復・過密・単調な業務の改善等
D業務場環境 ⑯~⑳温熱・音・視環境の快適化、受動喫煙の防止等
E職場内の相互支援
上司に相談しやすい環境の整備、 同僚に相談でき、コミュ㉑ ㉒ニケーションが取りやすい環境の整備、 チームワークづくり㉓の推進、 仕事に対する適切な評価の推進、 職場間の相互支援㉔ ㉕の推進
F安心できる職場のしくみ
個人の健康や職場内の人間関係について相談できる窓口を設㉖置、 セルフケアについて学ぶ機会の設定、 組織や仕事の急㉗ ㉘激な変化を普段から周知、 昇任等の機会を明確にし、チャン㉙スを公平に確保、 緊急の心のケア㉚
「メンタルヘルスアクションチェックリスト」を改変
スマイリーシステム
デンマーク職場環境局のWEB サイトに、職場環境対策の優良企業ランキングが掲載
23川上憲人(東京大学教授)より提供
5-2 相談窓口等の設置、
周知
1 迅速適切な対応を行うため、専門家に適時 適切に相談できるようにする。
2 相談窓口は、職員、管理監督者、同僚、家族等に広く活用されるべきである。3 心の健康づくりに関連するすべての相談に対応。また、精神面に関連する身体面の不調も含むことが望ましい。4 プライバシーの保護に配慮する。5 相談窓口の積極的周知を行う。人事院や
外部専門機関の相談窓口も活用する。 人事院心の健康相談室 http://www.jinji.go.jp/mentlsoudan/f-health.htm
6 特に地方支分部局では近隣府省と共同で設けたり、巡回することも検討する。
相談窓口等の設置、周知相談窓口は、原則内部に
設置
あらかじめ職場の状況を十分理解してお
くこと
相談場所の出入りが他の職員から見えないよ
う配慮
敷居を低くし、病気になった職員だけが活用するものという誤解が生じないよう配慮
6 早期発見・早期対応
職員の心が不健康な状態である可能性のある場合
○ 日常と異なり、次のような状況が続く場合には 注意する。 1 仕 事 上:ミス、能率の低下、など 2 勤務態度:欠勤、遅刻、早退が増える、など 3 対人関係:孤立、口数の減少、いらだち、 飲酒による問題、など 4 原因不明の体調不良: 頭痛、倦怠感、肩こり、目の疲れ、 不眠、など
1 ストレスチェック表の活用 ・個々の職員が活用する場合は、ストレスチェック後に相談等に繋がる必要がある。
2 ストレスチェック後の対応 ・職員は、結果に応じ、ストレス対処を行うことが重要である。 ・職員から結果等に関する相談を受け、必要に応じ専門家への相談、受診等を勧める体制を整備する。
個人のストレスコントロール
のための体制整備
職業性ストレス簡易調査票(例)
平成7~ 11年度労働省「作業関連疾患の予防に関する研究班」
A あなたの仕事についてうかがいます。最もあてはまるものに○を付けて〈ださい。そうだ
まあそうだ
ややちがう
ちがう
1. 非常にた〈さんの仕事をしなければならない 1 2 3 42. 時間内 に仕事が処理しきれない 1 2 3 43. 一生懸命働かなければならない 1 2 3 44.かなり注意を集中する必要がある 1 2 3 45. 高度の知職や技術が必要なむずかしい仕事だ 1 2 3 46. 勤務時間 中はいつも仕事のことを考えていなければならない
1 2 3 4
7.からだを大変よく使う仕事だ 1 2 3 48.自分のペスで仕事ができる 1 2 3 49.自分で仕事の順番・やり方を決めることができる 1 2 3 410.職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる 1 2 3 4
11.自分の技能や知識を仕事で使うことが少ない 1 2 3 4
12.私の部署内で意見のくい違いがある 1 2 3 4
13.私の部署と他の部署とはうまが含わない 1 2 3 4
14.私の職場の雰囲気は友好的である 1 2 3 4
15.私の職場の作業環境(騒音、照明、温度、換気等)はよくない
1 2 3 4
16.
仕事の内容は自分にあっている 1 2 3 4
17.働きがいのある仕事だ 1 2 3 4
B 最近 1か月間のあなたの状態についてうかがいます。最もあてはまるものに○を付けてください。
ほとんどなかった
ときどきあった
しばしばあった
ほとんどいつもあった
1. 活気がわいてくる 1 2 3 42.元気がいっぱいだ 1 2 3 43.生き生きする 1 2 3 44.怒りを感じる 1 2 3 45. 内心腹立たしい 1 2 3 46. イライラしている 1 2 3 47.ひどく疲れた 1 2 3 48.ヘとへとだ 1 2 3 49. だるい 1 2 3 410.気がはりつめている 1 2 3 4
11.不安だ 1 2 3 4
12.落着かない 1 2 3 4
13.ゆううつだ 1 2 3 4
14.何をするのも面倒だ 1 2 3 4
15.物事に集中てきない 1 2 3 4
16.気分が晴れない 1 2 3 4
17.
仕事が手につかない 1 2 3 4
18.悲しいと感じる 1 2 3 4
19.めまいがする 1 2 3 4
20.体のふしぶしが痛む 1 2 3 4
21.
頭が重かったり頭痛がする
1 2 3 4
22.首筋や肩がこる 1 2 3 4
23.腰が痛い 1 2 3 4
24.目が疲れる 1 2 3 4
25.
動悸や息切れがする 1 2 3 4
26.胃腸の具合が悪い 1 2 3 4
27.食欲がない 1 2 3 4
28.便秘や下痢をする 1 2 3 4
29.
よく眠れない 1 2 3 4
C あなたの周りの方々についてうかがいます。最もあてはまるものに○を付けてください。
非常に かなり 多 少 全くない
次の人たちとはどのくらい気軽に話ができますか1.上司 1 2 3 42.職場の同僚 1 2 3 43.配偶者、家族、友人等 1 2 3 4
あなたが困った時 、次の人たちはどのくらい頼りになりますか?4.上司 1 2 3 45.職場の同僚 1 2 3 46.配偶者、家族、友人等 1 2 3 4
あなたの個人的な問題を相談したら、次の人たちはどのくらい聞いてくれますか?
7.上司 1 2 3 48.職場の同僚 1 2 3 49.配偶者、家族、友人等 1 2 3 4
D 溝足度について 満 足 まあ満足 やや不満足 不満足
1. 仕事に満足だ 1 2 3 42. 家庭生活に満足だ 1 2 3 4
○個人が利用でき、結果のアドバイスのあるストレスチェック票の例 ・職業性ストレス簡易調査票 東京医科大学衛生学公衆衛生学教室HP http://www.tokyo-med.ac.jp/ph/ts/index.html
(参考) ○働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳
」 http://kokoro.mhlw.go.jp/
○疲労蓄積度の自己チェックに活用できる表の例 ・労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト 厚生労働省HP http://www.mhlw.go.jp
個人のストレスチェック
職員の心が不健康な状態である可能性のある場合の対応
1 積極的に話しかけて事情を聞く。
2 必要に応じ同僚等に職員の状況の変化の有無を聞く。
3 管理監督者、健康管理医等と対応を相談する。
4 職場の面接指導等を活用する。
普段から職員と信頼関係がないと応えてくれない可能性があり、このためにも日常から信頼関係の
構築に配慮する。
本人と親しい同僚等に、なんとなくおかしい状況、普段と違う印象、又は不自然な感じがないかなどを尋ねてみる。ただし当該職員の心が不健康という先入観を
与えないように注意する。
職員が強いストレスを受けていると考えられた場合は、早期に相談する。一人で抱え込むことで自身の負担や早期対応の機会を逸することにもなりうる。なお、プライバ
シーの配慮には十分注意する。
長時間勤 務による健康障害防止のための面接指導制度を活用する。
職員と話す場合1 十分時間 を確保し、職員が安心して
話せる場所で受ける。2 悩みを正面から受け止め、真摯に、落ち着いて話を聞く。
3 安易な激励などにより、職員の精神的負担を増加させないようにする。4 強いストレスがかかっていると考えられた場合は、管理監督者等と相談する。
自らの気持ちが落ち着いていて、悩みを十分聞く余裕があるときに相談を受けるようにする。
特にうつ病、うつ状態の場合は注意
○一人で抱え込むことで自身の負担や早期対応の機会を逸することにもなりうる。また、自殺など危険な状態にある場合は、管理監督者、家族等と役割分担し、一人にしないようにする。
○「誰にも言わないように」と口止めしてきた場合 「プライバシーは尊重する。話を聞いた上であなたにとって最も良くなるようにしたい。」など、プライバシーは守るが、本人の利益を考え、状況によっては関係者や専門家に相談することがあることを伝えておく。口外しない約束をしない限り話をしないと主張する場合は、相談はプライバシー尊重が原則であること、相手のために真摯な姿勢であることを理解させ、話を促すように努める。もし、相手が話をしないでそのまま帰った場合には、管理監督者等と相談する。
気分転換の方法(レジャー、運動、旅行、会合への参加)など、自らの経験に基づく助言が必ずしも有効でないことに留意
うつ状態、うつ病などの場合の望ましくない望ましくない対応例
1 「頑張れ」など、激励をする。2 「そんなことでどうする」など、批判がましいことを言う。3 「気にしないことが大事」など、気分の問題にする。4 「努力が足らない」など、努力の
問題にする。
「気合いを入れて乗り切れ」「あなたにはこれから重要なポストが待っているはずだ」な
ど
「自分の立場がわかっているのか」「将来のために今は辛抱すべきだ」「いつまでそんなこと
を言っているのだ」
「そんなの気の持ち方の問題だ」 など
「もっとしっかりしないと」など
5 その他① 「その話はともかくとして、○○の仕事はどうなった」など、話をはぐらかす。② レクリエーション、旅行などの気分転換を勧めることはかえって本人の精神的負担を増やすことがあるため注意する。会合に誘うことも同様である。
○健康管理医等に適宜協力を求めながら・・・
1 管理監督者と連携し、必要に応じ家族と協力し、専門家への早期受診等を勧奨する。
2 専門家への診療、相談に協力するとともに専門家、家族との連携を深めるように努める。
3 自殺の可能性があるなど、特に危険な状態と判断される場合は、職員を一人にしないようにする。
管理監督者から職員の相談を受けた場合
職員が専門家への受診、相談を拒否する場合の受診等の勧奨方法
○健康管理医等に適宜協力を求めながら・・・
1 時間 をかけ真摯に相談を行い、現在の問題点を認識させるように努める。
2 精神科の受診に難色を示す場合は、最初の受診先は内科等でもよい。
3 勧めに応じない場合は、職員と親しいキーパーソンに連絡をとり、受診を勧めてもらう。
ストレスに強くなるために1 日常の深刻でない苛立ちに対して、自分に合ったストレス解消法(趣味、スポーツ、レジャー、会食、雑談等
)が有効2 困難な問題に直面したときは、適切なストレス対処行動(①積極的な問題解決、②気持ちの処理、③発想の転換(プラス思考)、④社会的支援(相談、精神的・物質的支援など)、⑤上手に
断る・頼む・注意する)をとる3 良いライフスタイルと仕事や生活への満足感の向上(①食事、睡眠、運動、休養のバランスが取れている。②生活目標、報酬や評価、自分の存在意義があること)
4 自分をプラスに評価すること 日常の仕事、良い点を積極的に評価
5 その他 リラクセーション、座禅など
雑用が多い、仕事がはかどらない、出費が多い等
問題点を整理し、解決のための情報を集め、選択肢と優先順位を考え、実際の状況にあった行動をとることが、最も健康的で病気予防
につながる
依頼を受けたとき、時間的・能力的に余裕がない場合は、出来ないのに仕事を引き受けることのないよう、上手に断ることや自分の考
えを述べることが大切
難しい問題に直面したとき、一人で抱え込まず、上司や同僚、家族・友人に相談したり、社会的支
援を求めること
○ 失敗や大切な人が亡くなったとき等、今はどうにも出来ない問題や葛藤、不満に対しては、そのことを誰かに話すこと。○ 聴いてもらうことによって悲しみや怒り、不満などが発散され、気持ちの整理や立て直しが出来るようになる。
○ 嫌々行動したり、いつまでも不運を嘆くより、「この問題を解決すれば成長できる」「難しいからやりがいがある」 など、プラス思考への発想転換が重要。○ また、信頼できる人に話すことで気持ちが整理され、状況の見直しを受け入れ、発想の転換が促進される。自己評価の低い人は、毎日の仕事をこなしていること、
組織の一員として役割を果たしていることなど、当たり前と思われていることも積極的に評価することに
よって、また、達成できそうな目標を設定し、一つ一つ達成していくことで自己評価を高めること
中央労働災害防止協会「こころのリスクマネジメント<勤労者向け>」より一部抜粋
ストレスにうまく対処するために
[優先順位を付ける]※ 優先度の判断基準: ①対処の必要性 ②緊急性 ③対処の可能性 ④類似経験の有無 ⑤サポートの入手可能性 ⑥持続性
1 ストレス要因をリストアップ
2 優先順位の高いストレス要因への対処方法をリストアップ3 対処方法の実行
島津明人東京大学准教授「じょうずなストレス対処のためのトレーニングブック」より一部抜粋
ストレスにうまく対処するために
※ 留意点:①類似経験の有無とそのときの対処方法 ②同じような問題を経験している人の対処方法(1)対処方法の長所・短所の検討(2)対処方法の絞り込み※ ポイント:①実行に要する時間 ・労力の程度 ②日常生活への影響 ③問題解決への貢献度 ④苦痛緩和への貢献度
※ ポイント:①自信のある方法から実行 ②似た方法を用いている人を観察し、まねる ③リハーサルの実施
1 ストレス要因をリストアップ2 優先順位の高いストレス要因への対処方法をリストアップ
3 対処方法の実行
島津明人東京大学准教授「じょうずなストレス対処のためのトレーニングブック」より一部抜粋
従来と異なるうつ等への対応について (例えばいわゆる「新 型うつ」などを含む)
・ 最近は、若い世代を中心に、対応に苦慮するような、例えばいわゆる「新 型うつ」などが増えていると言われている(「新 型うつ」は、医学用語ではなく、人事管理上の用語)。・ 旧型・典型的なうつと異なり、「こうなったのはそもそも社会のせいだ」と思い、休みの間は元気で、自分が嫌いな仕事をさせられると具合が悪くなるとか、休職中に海外旅行に出かけてしまうような事例。薬効は少なく、しばしば慢性化すると言われている。[一般的に言われる主な特徴(例)]・若年者に多く、全体に軽症で、訴える症状は軽症のうつ病と判断が難しい。・仕事では抑うつ的又は仕事を回避する傾向。ところが余暇は楽しく過ごせる。・仕事や学業上の困難をきっかけに発症する。・病前性格として、“成熟度が低く、規範や秩序又は他者への配慮に乏しい”などが指摘。※ ただし、「病名」にとらわれず、状況の把握、対応に努めることが肝要。また、職員本人のみに責任を負わせることは適切でない場合がある。[対応]<ポイント> 職員の主張の方向性を見極める、事実関係を把握しておく。 ※ 管理監督者が一人で対応しないようにする。疑われる場合は、まず健康管理者や健康管理医に相談させる。 ※ 職員への接し方によっては、悪化させることや職場に攻撃的な行動を取られる可能性もある。 ・ 職員の要求を全て聞くことはできず、職場で対応できないこともある。そのような場合には、人事 労務管理の枠組みで対応する必要があり、様々な場合が想定できることから、「許容範囲」を主治 医、健康管理医等と相談しながら、職員への伝え方も含めて要検討(必要に応じ法律家にも相談)。
7 円滑な職場復帰体制の整備と復帰者のフォローアップ
職場復帰前(1)1 受入方針検討前までの情報収集 療養期間中に、職員の同意の下、健康管理者が健康管理医等の協力を得ながら、職員の回復状況、現在及び今後の治療の方法等について、職員、主治医等から情報を収集する。
2 復帰日と受入方針の検討 健康管理者は、事前に職員の意向及び主治医・管理監督者(必要に応じ家族)の意見を聴取した後に、健康管理医等の意見を聴取した上で慎重に受入方針の検討を行う。この際、①職員の状態及び②職務内容等の整理を行うとともに、復帰後の受入方針は、できるだけ職員の了解の下に定める。
ⅰ 症状及び治療の状況 a 今後の通院治療の必要性及び治療状況についての概要の確認 b 職務遂行に影響を及ぼす症状や薬の副作用の有無ⅱ 職務遂行能力の回復状況 a 適切な睡眠覚醒リズムの有無 b 昼間の眠気の有無(投薬によるものを含む) c 注意力・集中力の程度 d 安全な通勤の可否 e 日常生活における業務と類似した行為の遂行状況とそれによる疲労の回復具合(読書やコンピュータ操作が一定の 時間集 中してできること、軽度の運動ができること等)ⅲ 日常生活の状況 a 療養中の生活状況 b 家事・育児、趣味活動等の実施状況 c 必要に応じて家庭での状態(病状の改善の程度、食事・睡眠・飲酒等の生活習慣など)についての情報ⅳ 職場において、疾病の発症要因となった可能性があると推察されるもの又は再燃・再発、悪化の要因となり得ると推測されるものⅴ 職務復帰後の治療方法と今後の見通しⅵ その他治療等の観点から留意すべき事項
ⅰ 職員の職務遂行能力と職務の量(勤務時間 等)や質(困難度等)等との適合性 a 職務と職員の能力及び意欲・関心との適合性 b 職務量(勤務時間 、作業密度等)や質(困難度等)等との適合性 c 職務量の 時 期的な変動や不測の事態に対する対応の状況 d 職場復帰時 に求められる職務遂行能力の程度(業務によっては、投薬等による影響にも留意する)ⅱ 職場の同僚や管理監督者との人間関係ⅲ 職場環境の状況ⅳ 職員の希望 a 希望する復帰先 b 希望する職務上の配慮の内容(勤務時間 、職場の改善、健康管理上の支援等)や期間 c その他管理監督者、健康管理者等に対する意見や希望(職場の問題点の改善や勤務体制の変更、健康管理上の支援方法等)ⅴ 職場側の支援準備状況 a 復帰する職員を支える職場の雰囲気やメンタルヘルスに関する理解の程度 b 実施可能な就業上の配慮(職務内容や職務量の変更、勤務軽減等) c 実施可能な人事管理上の配慮(配置転換・異動、勤務制度の変更等)ⅵ その他勤務、職場環境等に関し留意すべき事項(治療に関する問題点や本人の行動特性など職場復帰の阻害要因となり得る問題点についても整理し、その支援策について検討する)
<情報収集の例>・主治医から:病状の程度、今後の見通し、疾病の発症 /悪化の要因、今後必要と思われる職務上の配慮・必要に応じて、職員・家族から:家庭での療養状況、職員・家族からみた疾病の発症 /悪化の要因、職場への希望・必要に応じて、職場から:勤務状況、周囲との関係、ストレスの状況
職場復帰前(2)3 受入方針の決定 健康管理者は、2で収集した情報をもとに、主
治医の判断やこれに対する健康管理医等の見解も考慮して、職場復帰の可否の判断及び次の内容を含む受入方針の決定を行う。 ①職場復帰日 ②復職する官職 ③職務上の配慮 ④フォローアップ
4 受入方針実施前の準備・啓発 健康管理者は、職員の復帰前に職員の同意を得た上で管理監督者、主治医等に受入方針、職員の意向、回復状況等の必要な情報を提供する。
職員の状態や職場の受入準備状況を考慮復帰する職務は休む前と同じが原則だが、元の職
場に発症要因があり、除外が困難な場合は、それ以前の職場等
上司等との人間関係、職員の職務遂行能力を超える職務の質・量○就業の制限(超過勤務制限・禁止、勤務時
間短縮)○治療上必要な配慮(診療のための病気休暇取得)○管理監督者・同僚が職員に接する際の注意事項○その他、医学的見地から注意すべき事項
おおむね 3 月程度を上限目安
定期的な相談、面談日の設定等
職場復帰後1 受入方針の実施状況の確認等 健康管理者は、受入方針の実施状況を確認しながら、職員の勤務状況、同僚との人間関係、心の健康の状況等を把握するとともに、受入先職場の管理監督者等の状況把握に努め、その負担軽減に配慮する。
2受入方針の評価と見直し 健康管理者は、職員の回復、再発防止等に支障があると判断されたり、受入方針が予定どおり実施されていない場合には、必要に応じて受入方針の見直し、管理監督者等への指示を行う。
3管理監督者、同僚等への配慮等 健康管理者は、受入先職場の管理監督者等に対 して必要な支援・啓発を行うことが重要。
○職員が心が不健康な状態のために定期的に医療機関を受診する場合 職員からの報告・相談等により知った場合には、健康管理者は、必要に応じ健康管理医等の協力を得ながら、職員の同意を得て主治医とも連絡を取り、職員の意向を尊重しつつ、長期間休んでいた職員への対応と同じ配慮等を行う。
「試し出勤」とは? 「試し出勤」とは?
誰が?
いつ?
どこで?
何をするの?
実施の目的は?
心の健康問題に係る療養のため長期間職場を離れている職員のうち、実施を希望する者
職場復帰前で、主治医、健康管理医及び健康管理者が「復職可能の時期が近い」と判断される程度に回復した時期
一定期間継続して試験的に出勤することにより、職場復帰に関する不安を緩和するなど、職場復帰を円滑に行うため
原則「元の職場」だが、元の職場に発症の要因があると考えられる場合は別の職場でも可能
「実施プログラム」に基づき、実務に関連した作業等を実施(職場復帰前なので職務には従事しない)
期間は? 原則1月程度。実施期間の短縮や、必要最小限の範囲で延長することも可能
8 自殺防止に関する対応
自殺との関連がみられる状況
1 自殺の原因は様々である。2 特に自殺との関連がみられる状
況には次が挙げられ、留意する必要がある。 ・ 仕事上のストレス、家族や個人の ストレスが深刻なとき ・ 精神障害が背後にあるとき
仕事上、人間関係、家庭内や個人が抱える悩み、また、うつ状態・うつ病などの精神疾患などがある。また、ある人にとっては何でもないことが、ストレスへのもろさ、問題に対処する能力の違いなどから原因となることがある。
自殺者の多くが何らかの精神疾患にかかっているとの報告があり、早期の段階で発見して、適切に治療することにより、自殺防止を図ることができる可能性がある
①長時間・過重な勤務、②上司、部下等との関係、③転勤・単身赴任に伴う変化、④昇任による責任増大
①経済的問題、②本人又は家族の健康、③親子、夫婦等家庭内の人間関係、④家族介護、⑤子の教育、進路
1 状況の変化の気付き ① 言動の変化を見落とさないようにする。 ② 状況の把握に努め、必要に応じ勤務環境等 に配慮する。2 職場で留意すべき点 ① うつ状態、うつ病で治療中の職員に対しては、 精神的負担を増加させないよう配慮する。 ② 相談対応を適切に行う。3 職員が精神的に危機的な状態(危険な状態)であると感じた場合は、管理監督者、健康管理医に連絡し、相談する。
自殺との関連がみられる状況にある職員への対応の留意点
積極的に話しかけ、真摯に悩み等を聴
き
飲食の会合、運動・レクリエーション、外出、レジャーに安易に誘うことは避ける。また、職員の出張については、専門家の意見を聞く。
特にうつ状態、うつ病の職員には安易な激励、叱責等を行わないよう注意。
危険な状態にある職員への対応
1 危険な状態とは 自殺との関連がみられる状況にある職員に 何らかの言動の変化が現れたとき
2 言動の変化とは 自殺をほのめかす、唐突に辞表を提出する、唐突に異動を申し出る、など
3 健康管理者は、健康管理医、管理監督者、家族等と協力し、専門家に直ちに受診・相談させる。受診まで一人にしないようにする。
○直接の契機は、些細なものに思える出来事である場合が多い。 ○強いストレス、疲労がある場合には、うつ病等の症状を示さないこともある。○危険な状態になる誘因として、周囲からのサポートを失う、失ったと感じることがある。 (例)①信頼する上司・同僚・主治医の異動、②本人の異動、③近親者・友人の死亡
(1)気分、体調の変化(2)行動の変化(3)職場における変化
管理監督者は、職員の言動等に変化があり危険な状態である可能性がある場合は直ちに健康管理者に連絡し、連絡を受けた健康管理者は本人を直ちに受診・相談させる。
①感情の不安定:いらいらする、突然涙ぐむ②性格の変化:自ら周囲より孤立していく、投げやりな態度が目立つ③様々な身体的不調の訴え(特に内科等を受診していながら不調が改善されない場合は要注意):不眠、頭痛、食欲不振、めまい、しびれ、動悸、息苦しさ
①引きこもりがち、②関心のあったことへの興味喪失、③多量飲酒(飲酒しない者が眠れないために飲酒するようになった場合は要注意)、④飲酒運転等重大な事故につながる行動の繰り返し、⑤大切にしていたものの整理・誰かにあげる、⑥自殺をほのめかす、自殺について話す
①身なりに構わない、②唐突な辞表の提出、唐突な異動希望の申し出、③遅刻・欠勤が多くなる、④仕事の速度が落ち出来も悪くなる、注意力がなくなる
受診・相談の際は、管理監督者とともに本人に同行
自殺の起こった職場での対応○健康管理者は直ちに次のこと等を行う。 1 職場及び遺族の心理的側面からのケアについて、
再発防止策も含めて専門家と相談する。
2 自殺後の職場の状況等を把握する。
3 混乱防止の観点や心理的側面からの必要な情報について職場で共有する。
4 外部に無責任な情報を流さないようにする。
5 特定の職員に過度の負担がかからないように配慮する。 6 必要に応じ、遺族への対応を行う。
自殺に関する箝口令はかえって一層の動揺・混乱を来すことが多く、できるだけ正確な情報を把握し、職場で共有する。ただし、プライバシーには十分配慮する。
9 プライバシーの保護
プライバシーの保護
1 職員の心の健康に関する情報等の多くはプライバシーに関わるものであり、保護には十分注意する。
2 情報等は原則として職員の同意の上で取り扱い、交換される情報は、目的に沿った内容に限定する。
10 職場でみられる主な 心の不調
1 うつ状態、うつ病 憂うつな気分、興味・喜びの喪失などが持続し、日常生活に支障が現れるまでになった状態である。
2 心身症 ストレスにより身体に症状が現れる病気である。3 不安障害(神経症) 不安な気持ちが生じ、それをコントロールできにくくなった状態である。
①発症にストレスの影響が大きい。②約15人に1人の割合でかかり、4分の3は治療を受けていないといわれている。
①身体的原因やはっきりした理由はみつからない。②症状は多彩で様々(パニック障害、全般性不安障害、強迫性障害、急性ストレス反応)
職場でみられる主な心の不調
③心と身体の様々な症状が現れる。できるだけ早期に対応することが重要。
4 アルコール依存症 アルコールを過量、習慣的に飲むことを止められなくなり、そのことにより心及び身体に様々な症状が生じている状態である。
5 統合失調症 主な症状として、存在しない声や音が聞こえる幻聴、あり得ないことを信じてしまう妄想、頭の中がまとまらなくなる思考障害等がある。
治療により、発症前と同等の職務を期待できる例が多い。
(1)比較的若い世代(10~40代)に起きやすい。(2)①陽性症状:幻聴、妄想、興奮症状、②陰性症状:意欲の低下、自閉症状、感情鈍麻、③解体症状:混乱して考えがまとまらない(3)本人が発病を自覚できず、周囲と問題を起こす可能性があり、迅速な対応を要する。