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生活保護と三つの「社会福祉」 -自立支援、予防、地域への参加・統合-

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生活保護と三つの「社会福祉」 -自立支援、予防、地域への参加・統合-. 菊地 英明 [email protected]. はじめに. 社会的排除-包摂問題 失業者、ホームレスへの支援の必要性 若年層への支援も スキル・資格をつけても、最後には労働市場の問題が残るが … 諸外国での公的扶助のワークフェア的改革 福祉(給付)と就労の連携をめざして 生活保護とはどういうものだったのか? 見失われた「道徳的介入」問題. 生活保護と見直し論議. 我が国の公的扶助の状況 建前:困窮者は無差別平等に保護 現実:稼働能力保有者は対象となりにくい - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 生活保護と三つの「社会福祉」 -自立支援、予防、地域への参加・統合-

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生活保護と三つの「社会福祉」-自立支援、予防、地域への参加・統合-

菊地 英明[email protected]

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はじめに

社会的排除-包摂問題 失業者、ホームレスへの支援の必要性 若年層への支援も スキル・資格をつけても、最後には労働市場の問

題が残るが… 諸外国での公的扶助のワークフェア的改革

福祉(給付)と就労の連携をめざして 生活保護とはどういうものだったのか?

見失われた「道徳的介入」問題

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生活保護と見直し論議

我が国の公的扶助の状況 建前:困窮者は無差別平等に保護 現実:稼働能力保有者は対象となりにくい

「生活保護検討会」での二つの課題 保護基準:最低生活保障と労働意欲確保 自立支援:どの制度で、いかにして?

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背景となる問題

「貧困」の定義・計測問題 経済的貧困線による定義・計測 労働能力の有無・素行 (behavior) の問題は?

「貧困」への介入手段の問題 金銭給付→「依存」への危惧 就労支援サービスの要請

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人間観と就労支援策の分岐

経済学的理解 働かないと経済的に不利な状態にする 対処法:「ワークファースト」

社会学的理解 社会的に規定された規範的期待を受容させる 受給者=制度化された逸脱形態 対処法:「サービスインテンシブ」(?)

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予防-普遍主義-社会化

被保護層-自立した稼働層との「中間領域」の公的扶助への依存防止策(大沢 (1986) 、重森 (2002) ) 予防:介入タイミングの早期化 普遍主義:介入対象の拡大 給付の対価として社会規範の内面化を要求

メリット・テスト(重森)/ビヘイビア・テスト(山森)

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ベヴァリッジ報告の予防-普遍主義-義務言説

普遍的な医療:依存の予防+回復の義務 個人は健康を保ち、予防できる間に早期の診断のあらゆ

る処置に協力することを義務とすべきである(訳 p.245 ) 患者が健康を回復するということは、他のどのようなこ

とにも優先して、国および患者自身の義務である ( 訳 p.246)

リハビリテーションと労働の義務 リハビリテーションというのは、労働不能の者を何もで

きない状態から、十分な医療保護のもとに、生産者なり稼得者なりの状態に移らせる過程である ( 訳 p.251)

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戦後の「中間領域」への恐怖

~「ボーダーライン」言説~

保護内部の稼働層と外部の低所得者(中間領域)への対応をめぐって

危険かつ不可解な集団、という認識 公的扶助への依存の危機 社会不安の原因 例示:「行商・闇屋・日雇・人夫・バタ

ヤ・手伝…」(日本社会福祉学会『日本の貧困』より)

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「低消費水準世帯」の推計(『厚生省報告例』より)

年度 生活保護受給者数 低消費水準世帯員数

1955 193 万人 999 万人

1956 178 980

1957 162 851

1958 163 742

1959 167 685

1960 163 667

1961 164 498

1962 167 505

1963 175 511

1964 168 460

1965 160 478

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戦後期の生活保護法の改正

制度審「生活保護制度の改善強化に関する勧告」 (1949) 保護は「消極的に過ぎる」→経済更生的施策

を 制度審勧告 (1950)

国家扶助(経済給付)/社会福祉(「福祉の措置」=サービス給付)の分離

公的制度における中間領域対策の必要性

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生活保護における「中間領域」施策

小山進次郎「社会保障」と「社会福祉」 前者:憲法に基づく生存権保障(所得保障) 後者:被保護者の自立助長と、一般低所得者の

落層防止 「社会福祉」を体現する生業扶助の存続

救護法以来の伝統 生活困窮に陥る「おそれのある者」への給付

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生業扶助の目的と素行調査

労働倫理の内面化重視、スキル向上は二の次 ビヘイビア・テスト(素行調査)(山森 2004 ) 修業期間・経費の制限、就職が確実なことが条件

対象①「生活に困窮する者」 稼働能力を有する「病、幼、不具、廃疾」者(小山 p.22

8 ) 「少しでも生活の足しに」スキルの向上は問題とされず

対象②「そのおそれのある者」 闇商売等の非正業従事者 「正常なる社会的規準」への適応が目的( p.280 )

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扶助別被保護実人員の年次推移

0

500,000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

年度

被保護実人員生活扶助住宅扶助教育扶助介護扶助医療扶助出産扶助生業扶助葬祭扶助

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生業扶助受給者数の年次推移

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

1955

1957

1959

1961

1963

1965

1967

1969

1971

1973

1975

1977

1979

1981

1983

1985

1987

1989

1991

1993

1995

1997

1999

2001

年度

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民生委員の生存戦略

新生活保護法下での権限縮小と危機感 補助機関→協力機関 「士気の低下、活動の停滞」(『民生委員制度四十年

史』)

世帯更生運動( 1952 ~)への傾斜 自主的民間活動での「転落防止」(防貧と更

生) 主たる対象=「要保護世帯」(非受給低所得

者)

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世帯更生運動の実際

「更生可能性」による対象者の厳格な選別 対象世帯>選定世帯>更生世帯

生活指導が基本であり、スキルアップのための体系的なサービス給付プログラムではない 「怠惰・浪費癖矯正指導」、「自立更正の精神、道

義心の涵養鼓吹」… 「貸付・融資」の開始=勤勉を促す社会政策

「この資金は、その貸付を受けた者に対して、関係民生委員の指導が併行するところにその特性があ」る(「世帯更正資金の貸付について」)

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「対象世帯」の内訳

世帯別 対象世帯総数 要保護世帯 被保護世帯 要補導世帯

1953 45,915

(100%)

15,899

(34.6%)

28,753

(62.6%)

1,263

(2.8%)

1954 124,412

(100%)

59,141

(47.5%)

60,007

(48.3%)

5,264

(4.2%)

1955 245,326

(100%)

126,892

(51.7%)

100,547

(41.0%)

17,887

(7.3%)

1956 253,259

(100%)

139,931

(55.3%)

96,249

(38.0%)

17,079

(6.9%)

1957 572,593

(100%)

310,845

(54.3%)

207,639

(36.2%)

54,109

(9.5%)

出典:『民生委員制度四十年史』 p.632

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世帯更正資金(生活福祉資金)貸付件数の推移

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

1955

1958

1961

1964

1967

1970

1973

1976

1979

1982

1985

1988

1991

1994

1997

2000

年度

件数

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世帯更生運動・小括

自立支援・貧困予防の主体:公→私へ 民生委員の生存戦略、という日本的背景 公的責任を欠く

社会化のための資源配分原理の選択 「貸付・融資」の採用=勤勉を促す社会政策 体系的なサービス給付ではない

ビヘイビア・テストの自己矛盾 労働倫理を内面化し、貧困を予防するための普遍化の

一方で、「更生可能性」による選別→対象人員の限定 道徳的介入・強制が主眼になり、スキルの向上は?

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生活保護におけるサービス言説

公的扶助サービス論争での行政官の見解 「労働を怠る者…を以て生活に適応させるようにす

ることこそ正しくケースワークの目的とする所である」(黒木 p.18 )

仲村-岸論争 公的扶助の枠内でのサービス給付と、権利性の葛藤

生活保護の枠内でのサービス論/自立助長論 外部の低所得層よりも内部の稼働層へのまなざし 生活保護の枠内に稼働可能性のある者が少ない時代

にも、自立助長が説かれる弊害

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審議会言説における「予防」

制度審 1962 年勧告 貧困階層-公的扶助-最終の救貧制度 低所得階層-社会福祉-個別的防貧機能

ボーダーライン層+不安定階層 一般階層-社会保険-一般的防貧機能

政策として実現したのか(???) スキル向上と道徳的強制の葛藤問題は意

識されず

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「予防」言説の偏り

1970 年代の社会福祉と「予防」言説 岡村重夫『地域福祉論』

「予防的社会福祉」論 地域福祉論も、主に高齢者等に限定

地域への参加・統合をめぐって 1970 年代の生活保護をめぐるポリティク

ス 生活保護の解体構想と、その頓挫

経済給付とケースワーク機能の分離は実現せず

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暫定的な結論

素行調査を超えた末のサービス受給 クリアしても労働市場の壁が存在

アポリア? サービス・インテンシブ的選択肢

スキルは向上、しかし道徳的強制・選別の問題あり ベーシック・インカム的選択肢

道徳的選別・強制なし、しかしスキルの向上は?