47
公公公公公 公公公公公公公公公公公公公公公 公公公公公公公公公 小小小小 小小小小小 小小 小小小小小 小小小小小 ()G 小小小小小小小小小小 H16

公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

  • Upload
    ahava

  • View
    55

  • Download
    1

Embed Size (px)

DESCRIPTION

H16年度建築研究所講演会. 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発. 小島隆矢 (独)建築研究所 住宅・都市研究G 主任研究員. はじめに. 「CSの時代」といわれる ISO9000s:2000年大幅改正  →顧客志向 インターネット普及による口コミ情報の流通 建築設計にニーズ・CSが反映されにくい 「売れ行き」というジャッジを受けない 建築基準法の性能規定化、 住宅品質確保法に基づく性能表示 ・・・など、前進してはいるが、不十分 →技術開発を目的とした研究課題(H14~16) 「ニーズ・CSを把握し活用するための技術」. - PowerPoint PPT Presentation

Citation preview

Page 1: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

公共施設のニーズおよび顧客満足度に関する

調査分析技術の開発

小島隆矢(独)建築研究所 住宅・都市研究G 主任研究員

H16年度建築研究所講演会

Page 2: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

はじめに• 「CSの時代」といわれる

– ISO9000s:2000年大幅改正 →顧客志向– インターネット普及による口コミ情報の流通

• 建築設計にニーズ・CSが反映されにくい– 「売れ行き」というジャッジを受けない– 建築基準法の性能規定化、

住宅品質確保法に基づく性能表示・・・など、前進してはいるが、不十分

→ 技術開発を目的とした研究課題(H14~16)「ニーズ・CSを把握し活用するための技術」

Page 3: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

一般的な商品と建築物の違い• ニーズ把握の必要性

– 商品:売れ行きを左右 →利益追求の文脈– 建築:選択の不自由(機会が少ない) →消費者保護の文

• 「失敗作」の顛末– 商品:売れない →市場から消えるのみ– 建築:壊せない →不満の多い建物、良質でないストック

• 複数のニーズへの扱い方– 商品:いくつもつくる、特定の層に絞る →セグメント– 建築:単体としての成果物は1つ    →合意形成

枠組みは異なるが、取り組み不要のはずがない!

Page 4: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

事例1

官庁施設の計画段階における職員のニーズ調査

手法:評価グリッド法

本日の発表内容: 公共施設を対象として現実場面で適用した 手法と事例を3件紹介

Page 5: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

概要• 国が所有する官庁施設の建設プロジェクトに

おけるブリーフィングの一環• 国土交通省官庁営繕部(ならびに各地の地方整備局)が担い手

• 本年度よりインタビューによるニーズ把握を試行的に導入– インタビュアー :国交省営繕部職員– インタビュイー :入居予定職員– 方法 :評価グリッド法

Page 6: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

従来のニーズ把握(ハローワークの例)

地方整備局

所管官庁

ハローワーク

(職員)

設計事務所

一般利用者

建設会社

(外注) (外注)

地方労働局

利用

行政サーヒ ズ

厚生労働省 (本省)

国土交通省 (本省)

要望調書

回答 提出 提出

Page 7: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

本年度より試行的導入された方法(ハローワークの例)

地方整備局

所管官庁

ハローワーク

(職員)

設計事務所

一般利用者

建設会社

(外注) (外注)

地方労働局

利用

行政サーヒ ズ

厚生労働省 (本省)

国土交通省 (本省)

要望調書

回答 提出 提出

評価グリッド法を用いたインタビュー調査評価グリッド法を用いたインタビュー調査

話を聞く機会くらいあるべきですよね!

Page 8: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

評価グリッド法とは

• 由来は臨床心理学における面接調査法• 建築環境心理学の分野にて、讃井ほかが

ニーズ把握のためのインタビュー手法として改良・発展させた(1980年代)

• 近年は商品企画などの分野でも利用され、「商品企画七つ道具」にとりいれられている

Page 9: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

評価グリッド法の手順 オリジナル評価項目の抽出

A

BCD

E

評価対象群 ・今まで過ごしたことのある建物  ・テレビ・映画でみた建物  ・本で読んだ・イメージした建物

任意の 2 つの対象の比較/もしくは、順位付けQ) Aと Bではどちらがいいですか? → Aです。Q)なぜ Aの方がよいとお考えですか?

→Aの方が○○だから です。

新しい項目が出なくなるまで、様々な組み合わせで抽出する。

この○○が、オリジナル項目!

オリジナル項目 = 会話のきっかけ

ラダーリングと記録

上位項目 ×× できる ◎◎ が△△であ

る ○○ である

下位項目オリジナル項目

・○○とは、どういうことでしょう?

・その(○○の)だとよい理由は何ですか?・○○だとどんな良いこと、満足がありますか?

よい理由(→真のニーズ・設計目標)

具体例(→現状・問題点・      解決策のヒント)

ラダーアップ ラダーダウン

Page 10: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

結果の一例:個人の評価構造

上位項目(本来実現すべきニーズ)

下位項目(手段・条件・具体例)

仕事の効率が上がる

資料を参照しながら作業できる

ドラフターの他に机がほしい

気持ちよく仕事ができる

仕事が中断されないオフィスが静かプライバシー保てる

電話を処理するスタッフがいる

Page 11: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

評価グリッド法の特徴 「比較評価→理由を聞く」という手順

→回答者の本音を抽出できる 調査が一定の手順に沿って進められるまとめ方がネットワーク図(文章ではない)

→調査・分析者の主観の混入が少ない 認知構造のうち対象物の良し悪し評価に関与する部分だけを選択的に抽出

→調査の効率化、結果の冗長性回避 ニーズを階層的な構造として出力

→新しい解決策への発展が期待できる

Page 12: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

適用状況

• 本年度の対象事例– 運輸局、法務局、研修施設など計5施設– インタビュイーは10名程度の場合が多い– 所要時間は1名あたり60分前後

調査日数は1.5~2日程度• 適用における詳細なノウハウ・工夫

– 数回の説明会、およびOJT– この用途に適した形へのアレンジ– 具体的な内容は割愛

Page 13: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

結果の一例• 廊下幅にはゆとりがほしい

– すれ違うとき生徒を威圧したくない(研修施設)

• 湿度の管理をしてほしい– プリンターが詰まり、発行書類が台無しに

• 変な色の外観でよかった– 電話による所在地の問合せに説明しやすい– 全く好ましくない色なのだが→真のニーズは「説明しやすい」ということであり、

「変な色がよい」ということではない

Page 14: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

記録とまとめ• 記録とまとめには「付箋」を用いる• 当日 or翌日のうちに大まかな作業を行う

Page 15: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

QFD(品質機能展開)に準じた形式

として調査結果を整理・活用

OAフロアー化により将来の機器更新などに対応している。一人当たりのスペースが適切に確保されており移動の障害にならない関連業務スペースがワンフロアーに配置されている騒音を発生するコピー機などは別途スペースがある 紙づまりなどがないようにコピー機周辺の湿

度コントロールが必要業務スペースの中に通常業務の収納が確保されている 壁面収納打ち合わせスペースがある 図面を広げて応対できるスペース(海事)個別空調で汎用性の高い会議室がある業務形態により遮音性が高くプライバシーが確保された個室がある 取り調べ、秘密保持

出入り口の区分バックヤードの職員専用スペース化職員の便所への動線を適正に

窓口カウンターの数が適正である収納などを含めて低く抑えられ全体的に見渡しがきく窓口業務エリアから便所への近接動線が確保されている窓口と執務スペースが分離されている

収納部分の適正なスペースが確保されている台車使用を考慮した収納部分への搬出入動線が確保されている EVでの運搬が容易

混雑時においても雑然としないゆったりした空間が確保されている来客者のスペースは職員のスペースと分離されている 書庫などを客溜りと関連させない

ソファー、いすなど休めるものを設置 銀行などの客溜りをイメージ自販機を設置喫煙空間の提供 呼び出しの放送設備を設置TV、雑誌などが設置してある子どもがあそべるスペースがある

分かりやすいサイン計画適切なカウンターレイアウト一ヶ所に限定されない出入り口の確保

呼び出し放送など的確な情報提供が出来るシステム 客溜り以外の部分で確認できる

業務エリアから業務関連室(書庫、倉庫など)への適正な位置関係とする

混雑期においても官用車の出入りが問題なく出来る(迅速な出動を要求される部署がある

より具体的項目具体的項目中項目大項目

(1)使い勝手がよく落ち着いて効率的に執務できる空間の確保

職員と来客の動線が分離されている

(6)快適な待ち時間の提供

Ⅰ 仕事の能率向上(仕事のしやす さ)(来客者と適正な関係)

Ⅱ 来客者の利便性向上

(2)来庁者に対しても安心感があり清潔で見た目もよい空間の確保

(3)収納部分の適正化による利便性の向上

(4)敷地の周辺状況に左右されない出入動線の確保

(5)すっきりとした開放的な室内の雰囲気つくり

業務スペース部門A

部門B

C課 D課 部門E

聴聞室

部門F

部門G

◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎◎ ◎ ◎ ◎ ◎

● ● ● ● ● ● ●○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

◎◎ ◎ ○ ○ ◎ ○ ○

◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎○ ○ ○ ○ ○ ○○ ○ △ △ △ △○ ○ ○ ○ ○ ○

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎◎ ◎ ◎ ◎

○ ○

○ ○ ○ ○ ○ ○

書庫 倉庫 会議室

印刷室

◎ ◎○ ○

業務関連スペース

○ ○

ヒアリング内容に基づいて作成 担当部署で作成

要求品質展開表(ユーザー言

語)

品質要素・品質特性(空間・設備・技

術)(設計者・技術者言

語)

Page 16: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

手法適用の効果• 具体的な要望の背後の

「本来実現すべきニーズ」の理解に役立つ–別の解決策を提案できる余地がある

• 入居官署の業務内容をリアルに理解できる–そこから求められる施設ニーズの理解に

• 説得力のある提案が可能である–営繕部内および入居官署に対して

• 入居官署関係者の施設整備への参加意識向上• 設計事務所との調整がスムーズにできる

Page 17: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

今後の課題と展望• マニュアル,教材,研修プログラムなど

手法修得ツールの開発整備• 建設プロセスにおける調査結果活用方法の検討

• 調査結果を整理するためのソフトウェア開発• 過去の調査データの蓄積・活用のためのシステム整備

• 国交省営繕部においては、試行段階から標準的手法として普及・定着の段階へ

• 他の組織への展開・普及• 調査外注のための作業標準の設定

Page 18: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

事例2

官庁施設のCS調査

手法:一連の調査分析方法を提案

Page 19: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

概要• 国交省営繕部では、H13年度より官庁施設の

CS調査の試行を開始、昨年度まで継続• 本年度、調査票・分析法など全面的に見直し• 調査の概要

–供用開始後1年以上経過した時点で実施–回答者:一般利用者および職員–回答者数:状況に応じて数十~数百– 職員は入居官署を通じて配布・回収– 一般利用者はエントランス等で手渡し配布、郵送回収あるいはその場で記入・回収

Page 20: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

一般的なCS調査の調査項目• 商品やサービスに対する評価(満足度)• 購入や利用に至るプロセス

– 購入理由、どこで知ったか、何を検討したか、他の候補商品は何か、 etc

• 商品やサービスの仕様– 回答者に聞かなければ分からない場合のみ

• 使用実態• その商品に関連する意識・行動・意見・ニー

ズ– 評価と同じ項目で聞く場合(期待度、重要度、当

たり前・魅力的など)もある• フェイス項目(回答者属性)

Page 21: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

官庁施設の場合• 商品やサービスに対する評価(満足度)• 購入や利用に至るプロセス

– 「利用目的(何しに来たか)」くらいフェイス項目に含めてよい程度

• 商品やサービスの仕様– 当然、把握しているので不要

• 使用実態• その商品に関連する意識・行動・意見・ニー

ズ– 項目重要度は統計的に求めることとした

施設別に状況に応じて設問を設ける場合あり• フェイス項目(回答者属性)

Page 22: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

提案するCS調査法:3つの要点• 事前仮説としてニーズの「階層構造」を設定

– 評価項目の設計に用いる– 仮説設定が先、項目設計が後– 仮説設定には「評価グリッド法」が有効

• 「評価」と「実態」の峻別が重要– 「評価」は5段階の統一スケールで問う– 「実態」は子設問としてMAか自由記述で問う

• 出力は「ポートフォリオ」の形式で– 弱点の把握も重要だが、強味の自覚も重要– 1施設内の項目間比較、他施設や過去との比較

Page 23: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

調査の設計に関して

• 一般的な事務庁舎・窓口業務の施設を想定し、

「標準的な調査票」を作成– 必要に応じて施設ごとに項目を削除・追加

• 参考となる情報–過去3年間の調査データ–オフィスに関する既往研究による知見– 十分な参考情報があったので、あらためて評価グリッド法を行わずにニーズの階層構造を設定できた

Page 24: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

設定したニーズの階層構造

建物内の空間移動のしやすさ、わかりやすさ

迷うか(表示のわかりやすさ)

ゴミ処理のしやすさ

トイレについて

リフレッシュコーナー

喫煙コーナー、分煙について

職場生活上の支障がない

アクセスの便(施設まで)

訪問先までたどりつけた

移動に不便はなかった

レイアウト変更容易性

動き回れる(移動スペースが確保)

収納

FAXコピー・ 作業のしやすさ

打合せスペース

会議室の使いやすさ

暑さや寒さについて不満

吹出口からの風、すきま風

空気の汚れ、臭い

室内の印象、雰囲気

室内の開放感(窓)

効率よく仕事できる

仕事のしやすさ

身体的に不快でない

気分よく気持ちよく仕事できる

施設に対する誇り

愛着

総合満足度

一般利用者に対応しやすい窓口オプション

一般利用者とのコミュニケーションオプション

上位項目

総合満足

下位項目

実態仕様

具体的にはどんな問題があるか

を察知できればよい

評価を知りたい

Page 25: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

評価と実態の峻別について

8)仕事中に周りの音や 視線が

気にならない 1 2 3 4 5 気になる

○※どんな音や周囲の視線が気になるでしょうか。あてはまるもの全てに をつけてください。

1.電話や周囲の人の声 2.放送 3.足音

4.他の室から聞こえる声や音 5.空調の音 6.OA機器の音

7.屋外からの音 8.近くを通る人の視線 9.周りの席の人の視線

10.パソコン画面が周りの人から見える

11.その他( )

「評価」は5段階のスケールで問う

「実態」は子設問としてMAか自由記述で問う

Page 26: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

● とくに、あなたのデスクまわりの仕事のしやすさについてお聞きします。

7)自分のデスクまわりは 十分に広い 1 2 3 4 5 狭くて困っている

8)仕事中に周りの音や 視線が

気にならない 1 2 3 4 5 気になる

○※どんな音や周囲の視線が気になるでしょうか。あてはまるもの全てに をつけてください。

1.電話や周囲の人の声 2.放送 3.足音

4.他の室から聞こえる声や音 5.空調の音 6.OA機器の音

7.屋外からの音 8.近くを通る人の視線 9.周りの席の人の視線

10.パソコン画面が周りの人から見える

11.その他( )

9)仕事上の会話が しやすい 1 2 3 4 5 しにくい

10)照明については 不満・不都合はない 1 2 3 4 5 不満・不都合がある

※照明について、どんな不満・不都合がありますか。具体的にお書きください。

( )

11)コンセントや OA用端子の数と位置について

不満・不都合はない 1 2 3 4 5 不満・不都合がある

12)総合的にみて、 自分のデスクまわりは

仕事がしやすい 1 2 3 4 5 仕事がしにくい

ときどき、このような補足的な質問が入ります。質問文にしたがってお答えください。

なお、お答えの際に、前の質問の回答との整合性を気にする必要はありません。

例えば、7)の質問で「気にならない」と答えた方も、いわれてみれば気になる音が

○あれば をつけてください

これが実態

これが実態

上位項目

Page 27: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

「ポートフォリオ分析」とは• 経営コンサルティング会社等が用いていた経営戦略検討ツールに由来する

• ポートフォリオ– 縦と横に何らかの軸をとり、

商品要素、評価項目などを布置した図• ポートフォリオ分析

– ポートフォリオを用いた検討・分析の総称• 本調査で用いている「ポートフォリオ」

– 美点欠点ポートフォリオ、CSポートフォリオ、分散分析プロット、平均満足 ×当該施設満足、 etc

Page 28: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

8)仕事中に周りの音や 視線が

気にならない 1 2 3 4 5 気になる

不満満足

美点欠点ポートフォリオ

Page 29: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

地域影響(総合)地域シンボル

建物周り雰囲気

建物外観印象利用者安全安心総合満足

お年寄り等利用安全性歩者分離

快適性総合満足

風・におい

暑さ寒さ執務室以外総合満足

駐輪場

駐車場

清掃ゴミ処理

喫煙・分煙

リフレッシュ快適

リフレッシュ利用

トイレ

施設内移動その他

施設内移動行き先

玄関不満

玄関雰囲気

交通の便

仕事スペース総合満足

外来レイアウト変更

外来者対応スペース

会議室打合せコーナー

FAXコピー 作業室内移動

収納スペース執務室総合満足執務室内装

執務室整然

執務室開放感 自席周り総合満足

OAコンセント 用端子数

照明について

仕事上の会話

周り気にならない

自席周り広い

総合満足

居心地よい働きやすい

愛着

誇り

ふさわしい

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

不満率

満足率

満足側に集中(美点)

不満側に集中(欠点)

評価が分かれる(要検討・クロス集計の対象)

「どちらともいえない」に集中

美点欠点ポートフォリオ

満足率←

→ 不満率

Page 30: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

美点欠点ポートフォリオの「美点」• 評価の良し悪し+ばらつきの大小 が見やす

い– 「多くの人が『まずまず』の評価」と

「満足と不満に評価が分かれる」では大違い– 「平均点」「満足率」だけでは分からない

• 項目間の相対的な比較がしやすい– 帯グラフ等、他の一般的な出力に比べても有利

• どんな項目についてクロス集計を行うべきかという、次のステップの分析の指針を与える

→  単純集計の要約にすぎないのだが、集計・分析の第一段階に最適の出力

Page 31: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

CSポートフォリオ

地域シンボル

建物周り雰囲気

建物外観印象

お年寄り等利用安全性

歩者分離

風・におい暑さ寒さ

駐輪場

駐車場

清掃 ゴミ処理

喫煙・分煙

リフレッシュ快適

リフレッシュ利用

トイレ

施設内移動その他

施設内移動行き先

玄関不満玄関雰囲気交通の便

レイアウト変更

外来者対応スペース会議室

打合せコーナー

FAXコピー 作業

室内移動

収納スペース

執務室内装執務室整然

執務室開放感

OAコンセント 用端子数

照明について

仕事上の会話

周り気にならない

自席周り広い

0.001

0.01

0.1

2 2.5 3 3.5 4 4.5

平均満足度

重要度

改善の必要大 当該施設の強味

改善の必要小 オーバースペックの可能性

重要度←

→ 満足度(平均値)

Page 32: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

重要度の求め方

• 「一般事務庁舎・窓口業務を行う施設」の場合– 統計的因果分析を用いて算出– この方法も新たに提案したもの– 「その項目の満足度が1段階上がった場合の総合満足度の増し分の期待値」を推定した数値

– 具体的には文献5)6)を参照• 「一般事務庁舎・窓口業務を行う施設」とは

みなせない場合– 重要度を回答してもらう設問を設ける

Page 33: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

適用状況

• 本年度の対象施設数:15• 配布・回収・入力とも国交省営繕部職員による

– 非常によいことである– 集計・分析を行う以前に顧客の反応が実感される

• Excelによる入力・集計・分析ツールを試作– 誰でも間違いなく入力・データチェック・基本的な集計・ポートフォリオ出力などの操作が可能

– 統計的因果分析だけは筆者が実施、施設別の分析・考察は各地の営繕部職員による

Page 34: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

「営繕フォーラム」「営繕コンクール」

• 官庁施設整備における成果発表の場(年1回)• 前者は各地方整備局ごとに開催され、後者はその全国大会のようなもの

• 優秀事例が選出・表彰される

Page 35: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

「営繕フォーラム」「営繕コンクール」

• 本年度はCS調査の結果や、その後の対応に関する報告が重要視された

• 入居官署・管理官庁の職員など「顧客側」のゲストを招いて議論に参加してもらう、等の状況も

非常に有意義な活動である

Page 36: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

CS調査に関する報告例• 狙い通りの効果を確認した、という事例

– 「無柱の執務室」に力点をおいた設計をした– CS調査で「レイアウト変更が(おそらく)容易

である」という項目の満足度が非常に高くなっていた

• 問題を発見し、改善した、という事例– サイン表示に力を入れたはずなのに、

「施設内の行き先の分かりやすさ」の不満が多い– 駐車場側からの来庁者に対する案内表示の位置が悪い、という原因を突き止めた

– 案内板の設置という対策をとった

Page 37: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

今後の課題と展望• 建築分野はCS先進分野となりうる

– 仕様:既知、実態:見に行けば分かる、– その施設へのフィードバックと、今後の施設整備へのフィードバック

– 他分野と比べ、調査が容易かつメリットが大きい• 今後は、新築時以外への拡張も

– 現状施設の維持・改善のための定点観測– リニューアル計画段階における事前調査

• 他の組織への展開・普及(ニーズ調査も同様)

• ニーズ調査との連携・役割分担など

Page 38: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

事例3

地域施設の計画段階における居住者ニーズ調査

手法:コンジョイント分析+統計的因果分析

Page 39: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

背景• 多くの利用者が多様なニーズを持つ状況

– ニーズの定量的な把握と、論点の整理が必要– インタビュー(定性調査)では限界がある

プリコード式のアンケート(定量調査)が適する

• 事例の概要:– ある住宅団地に建設予定の区民会館がテーマ– 自治会の協力のもとに居住者アンケートを実施– 「コンジョイント分析」という手法を用いる– 分析法は新たに開発したもの

Page 40: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

コンジョイント分析とは 1

• 評価対象(この場合は区民会館)を構成する要因・水準を設定する

要因 1水準 2水準和室 あり なし履き物 スリッパ くつのまま禁煙・喫煙 禁煙 喫煙可常時開放 する しない料理実習室 あり なし

Page 41: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

コンジョイント分析とは 2• 要因・水準を組合せ、仮想的な評価対象を作成

案1常時開放:するたばこ :原則として禁煙履き物 :スリッパに履き替え和室  :あり料理実習室:あり不満 1-2-3-4-5 満足

案2常時開放:するたばこ :原則として禁煙履き物 :スリッパに履き替え和室  :あり料理実習室:あり不満 1-2-3-4-5 満足

案3常時開放:するたばこ :原則として禁煙履き物 :スリッパに履き替え和室  :あり料理実習室:あり不満 1-2-3-4-5 満足

案4常時開放:するたばこ :原則として禁煙履き物 :スリッパに履き替え和室  :あり料理実習室:あり不満 1-2-3-4-5 満足

案5常時開放:するたばこ :原則として禁煙履き物 :スリッパに履き替え和室  :あり料理実習室:あり不満 1-2-3-4-5 満足

案6常時開放:するたばこ :原則として禁煙履き物 :スリッパに履き替え和室  :あり料理実習室:あり不満 1-2-3-4-5 満足

案7常時開放:するたばこ :原則として禁煙履き物 :スリッパに履き替え和室  :あり料理実習室:あり不満 1-2-3-4-5 満足

案8常時開放:するたばこ :原則として禁煙履き物 :スリッパに履き替え和室  :あり料理実習室:あり不満 1-2-3-4-5 満足

組合せ方には実験計画法の知識を用いる

各評価対象を評価してもらう

Page 42: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

分析の結果

• 回答に基づき、要因効果を把握

和室10

20

履き物10

20

禁煙10

20

常時開放10

20

料理実習室10

20

- 3.0 - 2.0 - 1.0 0.0 1.0 2.0 3.0

個人差が大きい

個人差を考えずに平均だけを見ると「重要ではない」との結論を導く

「賛否両論」→論点として重要!

なし

あり

スリッパ

くつ

禁煙喫煙可

するしない

なし

あり

どちらでもよい

Page 43: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

新開発の分析手法

• 個人差のメカニズムを因果関係として捉える

• 他の項目も含め、統計的因果分析を適用• 詳細は文献7)を参照

– 日本建築学会環境系論文集6月号に掲載予定

Page 44: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

機能空間活用型利用イメージ

交流・くつろぎ・

寄合所的な利用イメージ

分析結果

料理実習室 常時開放

満足しにくさ

喫煙

和室 履き物

禁煙

機能空間へのニーズ

スポーツできる場所必要

読書コーナー必要

PCコーナー必要

vs

交流の場となることを期待

積極活動的利用イメージ運営への要求の高さ

施設全体への要求の高さ

利用者への要求

「くつろぎ」系の利用イメージ

Page 45: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

手法適用の効果

• 多数の利用者のニーズが分かれる状況にて、• 個人差の内容(なぜニーズが分かれるのか)

を理解するのに役立つ

• 実際、自治会に分析結果を報告したところ、「意見が分かれているところについて、 論点が明確になった」と好評であった

Page 46: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

今後の課題と展望

コンジョイント分析のメインユーザー:• マーケティング分野• 近年は環境政策の分野でも注目

– 環境の価値を算定するため(CVMの発展形として)

このような分野でも新手法は歓迎されるであろう

• 調査分析には専門知識が必要– 小規模施設の場合、誰が調査分析を行うのか?

という問題がある

Page 47: 公共施設の ニーズおよび顧客満足度に関する 調査分析技術の開発

おわりに• 今後は手法と技術だけでなく、

ニーズ調査・CS調査を活用する「仕組み」を検討していく必要がある

• ニーズ調査– 建築生産プロセスの中に位置づけられるべきもの

• CS調査– 組織的な活動として位置づけられるべきもの

(製造業などの分野に比べて)圧倒的に有利です!!