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エゴグラムと住環境評価の相関性 エゴグラムを用いた建築設計コミュニケーション支援ツール 田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 1g01d171-1 横尾 貴之 C Uvwf{ qp vjg Eqttgncvkqp qh cp Giqitcoo cpf cp Gxcnwcvkqp qh Nkxkpi Gpxktqpogpvu & C Fkikvcn Vqqn Uwrrqtvkpi Eqoowpkecvkqp Dgvyggp Enkgpv cpf Ctejkvgevwtcn Rtqhguukqpcnu & 2005年度 卒業論文

エゴグラムと住環境評価の相関性 ーエゴグラムを用いた建築設計コミュニケーション支援ツールー

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2005年度、卒業論文、引田有人

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エゴグラムと住環境評価の相関性ーエゴグラムを用いた建築設計コミュニケーション支援ツールー

田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室                   1g01d171-1 横尾 貴之

2005年度 卒業論文

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はじめに

 本研究を進めるにあたり、以下の二つの評価軸を設定することで研究に対して適切な距離感をもって取り組めるように意識した。 一つ目は、住宅取得におけるコミュニケーションを相対化し、評価する指標を作り出すこと 二つ目は、研究成果を家づくりにおける実務から雑談にまで活かせる語彙に還元し、使えるツールを作成することの二つである。

 家づくりは人間同士のコミュニケーションの上に成り立つ共同作業である以上、住宅取得後の居住者の住宅に対する評価は、住宅取得プロセスにおけるコミュニケーションの質に多分に影響される。

 しかし、住宅取得におけるコミュニケーションと一口に言っても、その内容は直接会っての打ち合わせ、メールでのやり取り、施主や家族のライフスタイルからの汲み取り、家族間での意見交換など形式も割かれる時間も各事例間で異なり、状況により適切な形式が選択されている。

 このように住宅取得におけるコミュニケーションが流動的なものであるために、住宅取得プロセスにおいて一貫して評価・支援する方法というものは、いまだ確立されていない。

 そこでコミュニケーションの質を向上させるための手段として考えたのが、コミュニケーションの主体となる人のエゴグラム(思考・感情・行動パターン)とそれに有効な情報(本研究内では、住環境において重要視する項目)を関連づけることで、効率的に詳細な情報を事前にやり取りさせ、実際のコミュニケーションを支援する情報を提供することだった。

 

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目次| Index

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目 次

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6 総括 6.1 研究成果  6.1.1 エゴグラムと住環境評価との相関性 6.2 まとめ 6.3 今後の展望

7 参考文献

おわりに

資料編

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1 研究目的| Purpose

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1.1 研究背景  住宅取得のプロセスは、クライアントと専門家(設計者、不動産、ハウスメーカー、リフォーム業者、大工・・)間の中長期に渡るコミュニケーションの中で、状況に合わせて情報(希望、条件、提案・・)を交換する共同作業でもある。しかし、両者の経験や思惑の違いが、効率的なコミュニケーションを阻害し、情報に対する認識の違いを生み、後々になって住宅内外の問題として発生していると考えられる。

 例えば、 不動産取得の現場では、営業担当者の「いかに顧客と契約を結ぶか」という思いと、購入予定者の「いかに高い満足度の得られる住宅を購入するか」といった思いが交錯するため、両者の間で信頼関係を築くことが住宅取得の際に求められる。ヒアリングによれば、顧客がモデルルームや実際の物件を見学する際に営業担当者の応対に対して抵抗感を感じるということも多く、担当者との「コミュニケーション」に対する嫌悪感は依然として存在している。

 一方で、ハウスメーカーの営業担当者には月々のノルマが課せられそれを優先させるために顧客との合意形成が不十分のままでも契約を取り付け、事後のフォローによりコミュニケーション不足を補うなどということが平気でまかり通っている。営業マンとして信頼され契約を取り付けるためには、限られたコミュニケーションの中から顧客と顧客の家族の意向を最大限汲み取り、設計者とのコミュニケーションを繰り返しながら、プランニングに反映させる高いコミュニケーション能力が求められる。また、顧客の高い満足度を引き出すために、購買プロセスにおける顧客の希望や興味・疑問に答える必要があり、質の高いコミュニケーションを積み重ねることが顧客と営業担当者の双方にとって重要である。

 初めての打合せ時から物件取得までの購入予定者のエゴグラム(思考・感情・行動パターン)と興味の推移をトレースし、営業担当者と顧客との間に有益な情報を段階的に提供するコミュニケーション支援ツールを作成することで、効率的で質の高いコミュニケーションを促し、高い満足度が得られる住宅取得へと結びつけることができるのではないかと考えた。

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1.2 研究目的  エゴグラムと住環境の評価に関するアンケートの回答結果をもとに住環境の評価とエゴグラムとの相関性を明らかにする。

 これを利用し、住宅取得予定者の住環境の評価着眼点を住宅の取得過程の各段階で予測と記録を行い、顧客と担当者との間で段階的に推移するコミュニケーションを支援するツールを作成することを目的とする。

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2 研究方法|Method

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22.1 用語の定義

エゴグラム

 交流分析(エゴグラム)の基本は自我状態のモデル化にある。ここでいう自我状態とは、思考、感情、行動パターンを包括したものであり、「親(Parent:P)」、「成人(Adult:A)」「子ども(Child:C)」の3つに分類される。(図 2.1.1)

 1)A:成人の自我状態 問題に直面した時に、人は自分の持てる全ての資源(知識、決断力、体力、経験など)を使って、最良の方法を選択し、それに基づき行動する。これを、Aの自我状態にいるという。

 2)P:親の自我状態 後輩や部下の面倒をみたり、あるいは実際に自分の子どもを世話をしているときは、自分の親の行動や考え方と同じような振る舞いをしていることがある。これを、Pの自我状態にいるという。

 3)C:子どもの自我状態 コンパや宴席で一杯飲みながら騒いでいるとき、何かの遊びやゲームに熱中しているときには、自分が子どもであったときの感じ方、振る舞いに戻ってしまうことがある。これを、Cの自我状態にいるという。

 以上のように、その時々の状況に応じて自我状態は移り変わるものであり、それぞれの自我状態が一連の流れを持ち、まとまった人格を形成している。

 アンケート内で用いる人格検査は、Pの2つの機能的側面「批判的親:CP」「養育的親:NP」、Cの2つの機能的側面「自由な子ども:FC」「順応した子ども:AC」と成人(A)の5つの尺度により自分の自我状態(思考・感情・行動パターン)がどのように機能しているかを調査するために用いている。(図 2.1.2)

 回答の結果、5尺度の分布により 29のエゴグラム・パターンに分類される。(図 2.1.3)なお、本研究内ではこの 5尺度と住環境評価項目の得点の相関を求めることを行っている。

 エゴグラムの臨床領域での応用事例としては、栄養指導・教育・スポーツトレーニング・企業の採用試験における人格検査・健康診断などがある。

構造モデル

「親の自我状態」

「成人の自我状態」

「子供の自我状態」

機能モデル

「批判的親」 「養育的親

「成人」

「自由な子供」 「順応した子供」

図 2.1.1 自我状態のモデル 1

図 2.1.2 自我状態のモデル 2

図 2.1.3 パターン分類作図例

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住環境評価

 本稿内では、以下の住環境の評価 57項目についての重要視評価のことを意味する。(表 2.1.1)

表 2.1.1 住環境評価項目一覧表(9分類 57項目)

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建築設計コミュニケーション支援ツール

 住宅設計・購入・賃貸・注文・リフォームを検討する際に、web 上の質問に答える事で、回答者の住まいに対する理想や好みを具体的なヴィジュアルや言葉で引き出し、住宅取得の際の語彙学習や自分の住まいに対する価値観を検討させるためのツール。

 用途も目的も管理される企業の業種により異なり、ハウスメーカー、不動産、不動産系金融では顧客情報の管理とプロモーション目的で利用されることが多い。

 本稿内では、ユーザーの住宅取得の際のコミュニケーションに対する自発性を促す建築設計コミュニケーション支援ツールを調査対象とした。

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22.2 研究フロー本研究の研究手順を以下に示す。

2.2.1 調査

 1)現状調査 住宅取得の際のコミュニケーション支援の課題を明確にするために、住宅取得プロセスにおけるコミュニケーションの現状と、住宅取得を支援するweb 上のコミュニケーション支援ツールについて調査する。

 2)アンケート調査 アンケートによって、エゴグラムと住環境の重要視評価のサンプリングを行う。

2.2.2 分析

 1)エゴグラム・パターン分類 サンプリングされたデータについて、東大式エゴグラムを用いてエゴグラムの分類を行う。

 2)統計解析 サンプリングされたエゴグラム分類ごとに、エゴグラムの 5尺度と住環境の重要視評価(9分類と 57項目)の得点分布の相関係数と検定統計量の導出を行う。

2.2.3 ツール化

 1)ツール作成 有意な相関が得られたエゴグラム分類を用いて、web 上のアンケートに回答することでエゴグラムに関連づけられた住環境の評価が得られるツールを作成・公開する。

 2)評価・分析 住宅取得を想定した、ツールの使用感についての評価・分析を行う。(対象:非専門家、設計者、ハウスメーカー営業担当者)

 3)考察 得られた評価をもとに、ツールの有用性について、コミュニケーションの質と住宅取得後の満足度の観点から考察を行う。

調査

分析

ツール化

図 2.2.1 研究フロー

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22.3 調査方法

2.3.1 調査対象

 無作為抽出した健常成人を対象に行なう。

2.3.2 調査 1

 エゴグラムと住環境の評価についてのデータを得るために、以下の項目について調査を行なう。

 1)回答者基本情報 性別、年代、職業、所得階層、最終学歴、家族数、居住形態、現在の住まいの取得方法、居室数、転居回数、居住年数、趣味、趣味継続年数の 13項目について調査を行なった。

 2)エゴグラム 東大式エゴグラムに基づいて作成された自己分析に関する質問 50項目について調査を行なう。内訳はCP尺度、NP尺度、A尺度、FC尺度、AC尺度を測定する質問、それぞれ10項目となる。(次項、表2.3.1参照)

 3)住環境評価 2.1 用語定義*1 で示した 9分類 57項目の住環境評価項目について重要視する、重要視しない、どちらでもないの選択方式による調査を行なう。

*1. P.10 参照

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2.3.3 調査 2

 web 上のアンケートを用いて、本研究で作成するツールの使用感についての評価を得るために、仮想クライアントと仮想設計者・営業担当者を対象に、以下の項目について調査を行う。(表 2.3.2、表 2.3.3参照)

 1)コミュニケーションに対する意識調査 コミュニケーションにおいて重要視する項目、コミュニケーションの主体となる人固有の思考・感情・行動パターンがコミュニケーションに与える影響を調査することを目的とする。

 2)エゴグラムに関連づけられた評価が得られるページについて ツール作成の目的達成度を評価するために、アンケートの回答結果ページについての評価を調査する。

 3)仮想クライアントの回答履歴ページについて 非専門家と設計者・ハウスメーカー営業担当者を対象に、住宅取得を想定した際のツール利用に対する評価を調査する。

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2.3.4 調査方法

 1)現状調査 建築設計事務所勤務の設計者と住宅メーカー勤務の営業担当者を対象に、住宅取得過程におけるコミュニケーション場面に関してヒアリングを行う。

 制作者・監修者が明示され、web 上に公開されている以下の4つの既存の建築設計コミュニケーション支援ツールについて、どんなユーザーがツールを利用し(who)、いつ(when)、どこで(where)、何の目的で(why)、どうやって(how)、何を行なうか(what)の各項目について調査・分析を行ない、各ツールの位置づけを明確にする。

  ■住みここち心理テスト /平手小太郎 /RECRUIT  http://www.sumicoco.jp/  ■ CHOICE&CHOICE 住まい選び心理テスト                    /東京理科大学 /伊藤忠ハウジング  http://www.itochu-housing.co.jp/ahp/   ■タスカルテ /柏崎文昭 /TOSTEM  http://www.tostem.co.jp/scripts/tas-karte/index.asp  ■リビングスタイル診断テスト /池田早知子 /LIVING STYLE COUNCIL  http://202.221.143.238/lstest/index.php

 2)アンケート調査 質問紙法により、東大式エゴグラムに基づいた自己分析に関する質問 50項目(エゴグラムの5尺度を評価する質問 10項目づつから構成される)と、満足度評価に関する既往論文に基づいて作成した住環境における重要視評価 57項目について調査する。 以下に、web 上のアンケートのリンクを示す。

  ■アンケートページ 1(回答者基本情報・エゴグラム)

  http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/hw/2005/hikida/enquete1/

  ■アンケートページ 2(住環境評価)  http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/hw/2005/hikida/enquete2/  ■アンケートページ 3(優先項目評価)  http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/hw/2005/hikida/enquete3/

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表 2.3.1 エゴグラム質問項目表

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表 2.3.3 ツール評価質問項目(設計者・営業担当者用)

表 2.3.2 ツール評価質問項目(クライアント用)

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 3)ツールの使用感に関するアンケート調査 web 上に公開したコミュニケーション支援ツールの使用感に関するアンケート調査を以下のリンク先で行なう。

  ■アンケートページ 4(クライアント向けツール評価)

  http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/hw/2005/hikida/enquete4/

  ■アンケートページ 5(設計者・営業担当者向けツール評価)

  http://www.watanabe.arch.waseda.ac.jp/hw/2005/hikida/enquete5/

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本研究にて用いる分析方法を以下に示す。

2.4.1 エゴグラム

 アンケート調査により得られた自己分析に関する質問 50項目* 2の回答データを、東大式エゴグラムを用いてパターン分類を行なう。以下に、分類手順を示す。

 1)採点 エゴグラムの 5尺度を評価する質問 50項目について、回答形式である「はい」「いいえ」「どちらでもない」をそれぞれ「2点」「0点」「1点」で採点し(ただしCP尺度を評価する質問項目に逆転項目を1つ設定した)、尺度得点を導出する。

 2)コード分類 各尺度得点をパーセンタイル値(各尺度の得点分布の相対累積度数から求める)を基準に5段階にコード分類する。なお本研究内では、サンプリングされたデータに男女間の偏りがあるため、サンプルに基づいた標準化は行わずに 1998 年 11 月 1日現在の日本人の構成をもとに作成された標準化スケールを用いた。(図 2.4.1)

2.4 分析方法

1:0~ 5%2:5~ 25%3:25 ~ 75%4:75 ~ 95%5:95 ~ 100%

図 2.4.1 コード分類

* 2. P.14 表 2.3.1 参照

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 3)作図 コード分類した各尺度のグラフを作図し、その概形からエゴグラム・パターン分類より該当するパターンを決定する。以下に作図例を示す。(図 2.4.2)

 4)パターン分類手順 パターン分類の手順を以下に示す。 

 (1)ひとつの尺度が他の尺度よりも高い場合は優位型と分類し、どの尺度が最も高いかで、CP優位型、NP優位型、A優位型、FC優位型、AC優位型の5型が判別できる。(図 2.4.3)

 (2)1つの尺度だけが他の尺度よりも低い場合は低位型と分類し、どの尺度が最も低いかで、CP低位型、NP低位型、A低位型、FC低位型、AC低位型の 5型が判別できる。(図 2.4.4)

 (3)2つあるいは3つの尺度が同程度に高いあるいは低い場合は、混合型に分類する。パターンの形によって、台形型、U型、N型、逆N型、M型、W型のいずれかに分類する。(図 2.4.5)

 (4)5尺度がすべて同程度の時には平坦型とし、その位置する段階によって、高位平坦型、中位平坦型、低位平坦型に分類する。(図 2.4.6)

 (5)最後に、CPと NPが同程度に高い場合を P優位型、FCと ACが同程度に高い場合をC優位型に分類する。(図 2.4.7)

 (6)以上の作業によっても、分類不能の場合はもっとも近いパターンの亜型とする。

図 2.4.2 コード分類作図例

* . 資料編に全てのコード分類とエゴグラム・パターン分類との対応表を収録した。

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エゴグラム・パターン分類のコード分類一覧

1.CP 優位型 2.NP優位型 3.A優位型 4.FC 優位型 5.AC優位

図 2.4.3 優位型のエゴグラムパターン

6.CP 低位型 7.NP低位型 8.A低位型 9.FC 低位型 10.AC低位型

図 2.4.4 低位型のエゴグラムパターン

11. 台形型a c

15.M型 16.W型 18.P 優位型 19.C優位型

12.U型a c

13.N型a c

14. 逆 N型

a c

17. 平坦型a c

図 2.4.5 混合型のエゴグラムパターン

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2.4.2 住環境評価

 アンケート調査により得られた住環境の重要視評価 57項目について、重要視の有無により得点化する。以下に、採点手順を示す。

 1)住環境評価57項目の採点 住環境を評価する 57項目について、回答形式である「重要視する」「どちらでもない」「重要視しない」をそれぞれ「2点」「1点」「0点」で採点する。

 2)住環境評価9分類の採点 住環境を評価する 9分類(視環境 ( 色彩計画・照明計画・日照計画 )、熱・空調 ( 熱・換気・通風 )、におい、結露・湿気、音 ( 音響・騒音 )、作業スペース・収納、機能・配置、防犯・防災、他 ( ペット・植物・駐車スペース ))について、それぞれ 18点、18点、10点、6点、14点、22点、12点、8点、6点満点で得点化する。

2.4.3 相関係数 2.4.1、2.4.2 で得られたデータをさらに分析するために、2.4.1 で得られたエゴグラム・パターン分類ごと(サンプル数 n ≧ 4)にエゴグラムの 5尺度(CP、NP、A、FC、AC)の尺度得点と住環境の評価 57項目、9分類の得点の相関係数を求める。

 以下に、分析手順を示す。

  1)標準偏差 エゴグラムの各尺度と住環境の評価(57項目、9分類)の平均点を求め、偏差、分散、標準偏差を求める。

  2)共分散 エゴグラムの各尺度と住環境の評価の偏差積和から、共分散を求める。

  3)相関係数 上の計算から得られたエゴグラムの各尺度と住環境の評価の標準偏差、共分散から各尺度と住環境評価の標本相関係数γを求める。

  4)検定 標本相関係数γを用いて、母集団相関係数ρに関する相関係数の検定を行なう。このとき、式(1)を用いて検定統計量 tを求める。

*住環境評価、57項目、9分類については 2.1 用語定義◇住環境評価を参照。

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t 分布を用いて、有意水準α=0.05、自由度 n-2 の両側検定で棄却域を求める。

 5)採択 検定の結果、5%水準で有意である中程度以上の相関(0.5 < |γ|≦ 1)を持つ標本相関係数を有意な相関として採択する。

!

= " ## "

・・・式(1)

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22.5 ツール作成/評価

 以下に、ツール作成/評価の手順を示す。

2.5.1 準備段階

 1)ユーザー定義 作成ツールの対象ユーザーと利用場面(時間・場所)と目的、方法とそれにより得られる効果を設定する。

2.5.2 設計設備

 1)ツールの構造の決定 クライアント向けの階層と設計者・営業担当者向けの階層を設定する。

 2)各ページの情報構造の定義 各ページで入力する情報と出力する情報を定義し、クライアントと設計者が得たい情報と与える情報をマッチさせ、利用目的に最適なページ構成を決定する。

2.5.3 制作段階

 1)各ページのデザイン ツール内で表示する情報のヴィジュアル化を行ない、プロジェクトメンバー、デザイナー間で具体的なイメージを共有する。

 2)コンテンツの制作 一般的なウェブブラウジングを想定し、perl を用いてツール作成を行う。

2.5.4 評価段階

 1)フィードバック ユーザー(クライアント、設計者・ハウスメーカー営業担当者)によるツールの評価を得て、ツールの効果の検討、目的の達成率を評価し、得られたデータをシステムの性能向上のために利用する。

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Research |

3 調査| Research

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Research |

3.1 ヒアリング

 研究を進めるにあたり、建築設計や住宅販売に携わる人を対象に聞き取り調査を行った。 設計過程や販売のプロセスでのコミュニケーションに関わるキーワードを以下にまとめる。

case1. ハウスメーカー営業担当者A

・営業マンはノルマ優先のため不十分なコミュニケーションでも 事後掌握的に契約させる時がある。営業マンの信用度で補う。・情熱が空振りするような相手だとこちらからこちらから連絡を取らな くなることもある。(向こうの連絡待ち。)・性格や年代、職種によって顧客が満足する対応は違うので、相手の性 格を把握することは重要。・アンケートシートは、コミュニケーション(交渉)に先立ち計2回使 用し資料請求時に顧客情報と顧客の購買意欲を判断し営業時の対応に 利用するためと、プラン作成時に顧客の要望を聞き出すために使用。・非言語要求であったり抽象的な表現は、相手の実際の生活パターンを 知る事でこちらが解釈する。

case2. ハウスメーカー営業担当者B

・契約時のコミュニケーション不足は、家族全員とコミュニケーション を取る事で補う。・顧客に弱気だと思われないように、積極的に対応する。・顧客の性格も要望も現場で即座に判断できる事が重要。・引き渡し後のコミュニケーションは、満足度の向上、別の顧客を獲得 するためにも重要。 

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Research |

case3. 建築設計事務所所長A

・居住後に住宅に欠陥が見つかったりトラブルを抱え込む施主は、家 づくりの際に工務店やハウスメーカーに提供された住宅を、自分  の住まいやライフスタイルについて考える事無く購入している事が 多い。・施主に考えながら家づくりをして頂くためには、施主の持つ住まい に対する抽象的なイメージであったり、ライフスタイル、理想の住 宅像を施主の考えや生活から引き出してから、家づくりに取り組む 事が重要。・住宅を建てる施主の中には、住まいは提供されるものだと考える人 も多く、家づくりの際に生活や価値観を問われることに抵抗を覚え る方も多く、施主に自分流の家づくりを実践させるために、設計活 動に加えて、顔合わせ時には十分な打ち合わせと啓蒙行為を行う事 もある。・同時に、施主が住まいづくりに対して具体的なイメージやヴィジュ アルを持ち、理想のライフスタイルを明確にすることで、設計者も 取っ掛かりとして家づくりに取り組みやすくなり、施主との共同作 業(家づくり)を楽しむ事が出来る。

case4. 建築設計事務所所員A

・住宅設計などでは、施主は表層的な希望を設計者に話せばそれでよ いのだと思 っている人もいる。・既製品やセミオーダーで買っても満足できそうな施主は、生き方や ライフスタイルを問われることに耐性が無く、そういう施主に限っ て、程々の設計では満足できないと思っていることがある。

case5. 建築設計事務所所員B

・コミュニケーションを成就させるためには顧客の要望を整理し、一 段高いレベルへと導いてあげるようにコミュニケーションを取るこ とが必要。この時提案のレベルがあまりかけ離れて高すぎては、か みあわずダメ。・顧客に満足いただけると、次の顧客を紹介していただけることに繋 がるので、竣工後は小さな事でも連絡を取り続けることが重要。

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3.2 基礎調査

3.2.1 コミュニケーションに対する意識調査

 1)内容 住宅取得時のコミュニケーションを評価するために、住宅産業に携わる専門家と非専門家を対象にアンケートを用いて、コミュニケーションに対する意識調査を行った。質問は選択方式で以下の通りである。(未回答可のアンケートを実施した。)

Q.1: コミュニケーションの結果、お互いに十分な習熟が得られるとします。あなたは以下の内、どれを最も優先しますか。

 a1. 情報の質(内容、真偽、速報性、話題性、詳細性・・) a2. 相手 a3. 自己表現 a4. 手段(会話、メール、電話・・) a5. プロセス(ハプニング・すれ違い・・) a6. 他

Q.2: コミュニケーションをとる際、相手や自分の性格(思考・感情・行動パターン)を意識することはありますか。

 a1. はい a2. いいえ

Q.3: 性格を意識することで、コミュニケーションはどのように変わりますか。以下の内、最もあてはまるものを選択してください。

 a1. 楽しくなる a2. 効率的になる a3. つまらなくなる a4. 非効率的になる a5. 変わらない

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 2)結果 有効回答数は、それぞれ専門家 4, 非専門家 12であった。

 意識調査1(専門家)

Q.1: コミュニケーションの結果、お互いに十分な習熟が得られると  します。あなたは以下の内、どれを最も優先しますか。

 情報の質(内容、真偽、速報性、話題性、詳細性・・),1 相手 ,3 自己表現 ,0 手段(会話、メール、電話・・),0 プロセス(ハプニング・すれ違い・・),0 他 ,0

Q.2: コミュニケーションをとる際、相手や自分の性格(思考・感情・  行動パターン)を意識することはありますか。

 はい ,3 いいえ ,1

Q.3: 性格を意識することで、コミュニケーションはどのように変わ  りますか。以下の内、最もあてはまるものを選択してください。

 楽しくなる ,0 効率的になる ,4 つまらなくなる ,0 非効率的になる ,0 変わらない ,0

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 意識調査2(非専門家)

Q.2: コミュニケーションの結果、お互いに十分な習熟が得られるとし  ます。あなたは以下の内、どれを最も優先しますか。  情報の質(内容、真偽、速報性、話題性、詳細性・・),5 相手 ,3 自己表現 ,2 手段(会話、メール、電話・・),2 プロセス(ハプニング・すれ違い・・),0 他 ,0

Q.3: コミュニケーションをとる際、相手や自分の性格(思考・感情・  行動パターン)を意識することはありますか。

 はい ,10 いいえ ,2

Q.4: 性格を意識することで、コミュニケーションはどのように変わり  ますか。以下の内、最もあてはまるものを選択してください。

 楽しくなる ,4 効率的になる ,7 つまらなくなる ,1 非効率的になる ,0 変わらない ,0

 3)考察 専門家はコミュニケーションの際やりとりする情報よりも相手を重要視するのに対して、非専門家は相手よりも情報の質を重要視する傾向があることが分かる。

 また、専門家はコミュニケーションの相手の性格を把握する事でコミュニケーションが効率的になると考えているのに対して、非専門家は、コミュニケーションの相手の性格を把握する事に楽しみを見出していることが分かる

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3.2.2 建築設計時コミュニケーション支援ツール

 本研究を進めるにあたって、既存のコミュニケーション支援ツールについて調査を行い、本研究で作成するツールとの位置づけを行う。

 1)調査方法 1.1)調査対象 大手のハウスメーカー・不動産・不動産系金融は住宅取得の際のプローモションとしてコミュニケーション支援ツールを用いているが、設問回答の際は、自社のプロダクトやサービスの選択に終始しているものもあり、ユーザーの自発性を促すコミュニケーション支援ツールとして不適切だと考えた。 以上の理由から、調査対象として第三者の機関が製作・監修に関わり、公開されている以下の4ツールと比較対象として、某ハウスメーカーが営業時に用いる顧客情報調査シートの5つについて、調査・分析を行う。

  ■住みここち心理テスト /平手小太郎 /RECRUIT  http://www.sumicoco.jp/

  ■ CHOICE&CHOICE 住まい選び心理テスト     /東京理科大学 /伊藤忠ハウジング  http://www.itochu-housing.co.jp/ahp/

  ■リビングスタイル診断テスト     /池田早知子 /LIVING STYLE COUNCIL  http://202.221.143.238/lstest/index.php

  ■タスカルテ /柏崎文昭 /TOSTEM  http://www.tostem.co.jp/scripts/tas-karte/index.asp

 1.2)調査項目 当該ツールを利用するユーザーが(who)、いつ(when)、どこで(where)、何の目的で(why)、どうやって(how)、何を行なうか(what)をどのように設定しているかについて調査を行う。

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 2)調査結果

case1. 住みここち心理テスト

対象ユーザー: 住宅購入する場合に限らず、賃貸、注文住宅、リフォームなど全ての住まい検討者が対象。

いつ: 生活者が住まいを考える際に

どこで: インターネットで

目的: 新しい住まいや街での暮らしを考えたり、話し合ったりするきっかけとして

方法: 理想の住まいや暮らし方の 85項目の設問に選択方式で回答していくことで

図 3.1.1 トップページ

図 3.1.1 設問ページ

図 3.1.1 回答結果ページ

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case2. CHOICE&CHOICE住まい選び心理テスト

対象ユーザー: 判断基準があいまいで住まい選びに迷いを持ってるユーザーを対象。

いつ: 物件選びの前に

どこで: インターネットで

目的: 住まいの選択基準を診断するために

方法: 交通 9項目、立地・環境 10項目、商品企画 16項目、価格 4項目、信頼度 3項目について、それぞれ分類内と分類間で重要度の評価を行うことで

結果: 住宅取得の際に比較・判断する評価項目を各階層ごとの重要度として数値化して提示される。

図 3.1.4 トップページ

図 3.1.5 設問ページ

図 3.1.6 回答結果ページ

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case3. リビングスタイル診断テスト

対象ユーザー: 自分らしい住まいを求めるユーザーを対象。

いつ: 住まい探しを始める前に

どこで: インターネットで

目的: 自分らしいライフスタイルを見つけ、実現するために

方法: 現在のライフスタイルについての設問 100 項目を 5段階評価で

結果: 家で静かに暮らしたい、センス良く暮らしたい、アクティブに暮らしたい、健康に暮らしたい、デザインにこだわって個性的に暮らしたいの 5項目について 5段階評価し、上位 2項目についてアドバイスとキーワードが提示される。

図 3.1.7 トップページ

図 3.1.8 設問ページ

図 3.1.8 回答結果ページ

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case4. タスカルテ

対象ユーザー: 理想の住まいや暮らし方が、具体的な言葉やイメージに還元する事の出来ない施主や家族を対象。

いつ: 施主や設計者が家づくりに取り組む前に

どこで: インターネットで(後日代理店で)

目的: 実現したい家づくりに対する思いや漠然として明確に表現出来ない理想のライフスタイルを明確にするために

方法: 理想の住まい、現在のライフスタイルについての 100 項目の設問に選択方式で回答することで

結果: 新しい住まいで実現したい点、現在の住まいの改善したい点、家づくりのメインテーマと参考プランニング、間取りのアドバイス、インテリアのアドバイスがパターン分類された上で得られる。

図 3.1.10 トップページ

図 3.1.11 設問ページ 1

図 3.1.13 回答結果ページ

図 3.1.12 設問ページ

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case5. ハウスメーカーの要望調査シート

対象ユーザー: 住宅購入予定者を対象。

いつ: 営業担当者と家づくりに取り組む前に

どこで: 資料請求後、自宅や物件訪問時に

目的: 営業担当者に要望を伝え、購入の意思を伝えるために

方法: 施主の基本情報、家族のライフスタイル、家事の仕方と新居での要望、新居に持ち込む予定の家具、間取り・インテリア・エクステリアに対する要望・自社製品に対する意見予算・資金計画を自由記入方式で調査用紙に記入することで

結果: 営業担当者の経験に基づいて、購入予定者の購買意欲と要望が判断される。

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 3)まとめ 各々のコミュニケーション支援ツールは、細かな表現や印象の違いはあるが、新しい住まいや街での生活を考える生活者の具体化されていない理想や要望を引き出す点では一致している。

 一方で、ハウスメーカーの用いる要望調査シートは、表向きは住宅購入予定者の要望を知るために用いられているが、営業担当者が円滑に作業を進めるための資料という側面が強い。

 以下に、現状評価、理想評価、設計者向け、施主向け、キーワード、ヴィジュアル、空間、印象の評価軸でそれぞれのツールの位置づけを行い、本研究で作成するツールの目指す位置づけを示す。(図 3.1.14,図 3.1.15 参照)

図 3.1.14 v-k,s-i 評価軸

図 3.1.15 i-p,a-c 評価軸

v:ヴィジュアルk:キーワードs:空間i:印象

i:理想評価p:現状評価a:設計者向けc:施主向け

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3.3 アンケート調査

3.3.1 調査1

 2005 年 9月~ 10月末日に成人を対象に、質問紙とweb を用いて行なった。結果、110 名から有効回答を得た。

 1)回答者の構成 1.1)男女別構成(図 3.3.1)

  男   72名  女   38名

 1.2)年代別構成(図 3.3.2)

  10代 3 名  20代 88 名  30代 8 名  40代 3 名  50代 5 名  60代 2 名  70代 1 名

 1.3)職業別構成(図 3.3.3)

  学生     62名  主婦     4名  会社員     37名  公務員     0名  自営業     2名  フリーター     4名  無職     1名

 1.4)所得階層別構成(図 3.3.4)

   ~ 99 万円        55 名  100 ~ 399 万円   40名  400 ~ 699 万円   7名  700 ~ 999 万円   2名  1000 ~ 1999 万円    4名  2000 万円以上   2名

図 3.3.1 男女構成

図 3.3.2 年代別構成

図 3.3.3 職業別構成

図 3.3.4 所得階層別構成

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1.5)最終学歴別構成(図 3.3.5)

 大学院   17名 大学    62名 短大    4名 専門専修  2名 高校    25名 中学    0名

1.6)家族数別構成(図 3.3.6)

 単身    23名 2人    12名 3人    12名 4人    33名 5人    23名 6人以上  7名

1.7)居住形態別構成(図 3.3.7)

 単身  42 名 同居  68 名

1.8)住まいの取得方法別構成(図 3.3.8)

 賃貸  55 名 購入  46名 相続  9名

1.9)居室数別構成(図 3.3.9)

 1室    33名 2室    9名 3室    16名 4室    18名 5室    15名 6室     10名 7室以上  9名

図 3.3.5 最終学歴別構成

図 3.3.6 家族数別構成

図 3.3.7 居住形態別構成

図 3.3.8 住まいの取得法別構成

図 3.3.9 居室数別構成

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 1.10)転居回数別構成(図 3.3.10)

  なし 18 名  1回  21 名  2回  29 名  3回     17名  4回     10名  5回以上 15 名

 1.11)居住年数別構成(図 3.3.11)

  半年未満 13 名  1年未満 9 名  2年未満 12 名  5年未満 23 名  10年未満 20 名  10年以上 33 名

 1.12)趣味別構成(複数回答可)

  音楽鑑賞 59 名  楽器演奏 18 名    旅行 48 名  読書 46 名  映画鑑賞 49 名  資格取得 4 名  園芸 4 名  スポーツ 62 名  料理 21 名  ゲーム 15 名  電子工作 0 名

 1.13)趣味継続年数

  1年未満 2 名  3年未満 8 名  5年未満 21 名  10年未満 26 名  10年以上 53 名

マシンメンテナンス 4 名ギャンブル     9名グルメ        23名ボランティア     2名DIY         3名映像関連     4名コンピューター     19名収集         5名学問         9名名所めぐり     15名テレビ鑑賞     31名その他         19名

図 3.3.10 転居回数別構成

図 3.3.11 居住年数別構成

  

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 2)考察 回収の結果、比較的若年層と男性への偏りがあったことは、反省を踏まえ今後の研究を進める上での課題として取り組む必要がある。

 また幅広い学歴、職業、所得階層、男女比、年代構成比を対象に調査を進める事はエゴグラムのコード分類の際に使用する標準化スケールを使用する妥当性を高めるためにも必要な作業となる。

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4 分析| Analysis

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4.1 エゴグラム・パターン分類

4.1.1 エゴグラム・パターン分類結果

 パターン分類の結果、以下のエゴグラム・パターンを得る事が出来た。(表 4.1.1, 図 4.1.1)各尺度の平均値および標準偏差、得点分布は表 4.1.2 および図 4.1.2 に示す通りである。得られたエゴグラム・パターンの特徴は表 4.1.3 のようになる。

表 4.1.1 エゴグラム男女別構成

図 4.1.2 エゴグラム男女別構成

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4

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表 4.1.4 男女別の各尺度の平均値と標準偏差

表 4.1.3 パターン分類別の各尺度の平均値と標準偏差

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男性72人、平均 11.16±4.15女性 38人、平均 10.67±4.27

男性 72人、平均 11.34±2.90女性 38人、平均 12.36±3.38

男性 72人、平均 9.89±4.44女性 38人、平均 3.06±3.75

男性 72人、平均 13.97±3.78女性 38人、平均 13.35±3.50

男性 72人、平均 14.39±3.97女性 38人、平均 14.83±3.73

図 4.1.5 エゴグラム各尺度の得点分布

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4

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4.2.1 分析結果

 アンケート調査により収集された 110 名のサンプルの住環境の評価を、4.1 で得られたパターン分類(サンプル数 n ≧ 4)ごとに採点した結果を以下に示す。(表 4.2.1、表 4.2.2、表 4.2.3 参照)

表 4.2.2 パターン分類別住環境評価(分類の平均値 ±標準偏差一覧表(n ≧ 4)

4.2 住環境評価表4.2.1 住環境評価分類別得点内訳

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Analysis |

表4.2.3パターン分類別住環境評価(項目)の平均値±標準偏差一覧表(1)

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表4.2.4パターン分類別住環境評価(項目)の平均値±標準偏差一覧表(2)

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4.3 エゴグラムとの相関性

 4.3.1 住環境評価9分類との相関性

 4.1 エゴグラム・パターン分類の中で得られたエゴグラムの各尺度得点と住環境評価 9分類の相関係数を求める。

 以下の 11パターン分類の標本相関係数γについて、中程度以上の相関(0.5 <|γ|≦ 1.0)が得られた。

 NP優位型(サンプル数n=5) CP尺度と他(ペット・植物・駐車場)との間に標本相関係数γ=0.913 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量 t=3.87 となる。これは棄却域| t|≧ 2.776 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.913 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 A優位型(サンプル数n=5) A尺度と視環境 ( 色彩計画・照明計画・日照計画 ) との間に標本相関係数γ=0.933 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量 t=4.47 となる。これは棄却域| t|≧ 2.776 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.933 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 AC優位型(サンプル数n=15) CP尺度と視環境 ( 色彩計画・照明計画・日照計画 )、におい、結露・湿気との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.55、0.52、0.53 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=2.38、2.2、2.24 となる。これは棄却域| t|≧ 2.145 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.55、0.52、0.53 は、5%水準で有意である」ことが言える。

表 4.3.1 NP優位型の有意な相関

表 4.3.2 A優位型の有意な相関

表 4.3.3 AC優位型の有意な相関

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 NP尺度と作業スペース・収納との間に標本相関係数γ=0.55 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は t=2.38 となる。これは棄却域| t|≧ 2.145 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.55 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 FC尺度とにおい、結露・湿気、作業スペース・収納との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.6、0.59、0.71 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=2.71、2.61、3,61 となる。これは棄却域| t|≧ 2.145 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.6、0.59、0.71 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 AC尺度とにおい、セキュリティ・防災との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.61、0.6 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=2.78、2.72 となる。これは棄却域| t|≧ 2.145 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.61、0.6 は、5%水準で有意である」ことが言える。

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 A低位型(サンプル数n=8) CP尺度と視環境 ( 色彩計画・照明計画・日照計画 )、機能・配置との間にそれぞれ標本相関係数γ=-0.88、-0.85 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれt=-4.48,-3.91 となる。これは棄却域| t|≧ 2.365 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.88、-0.85 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 NP尺度と作業スペース・収納との間に標本相関係数γ=0.87 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は t=4.4 となる。これは棄却域| t|≧ 2.365に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.87 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 A尺度と他(ペット・植物・駐車場)との間に標本相関係数γ=0.748 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量 t=2.76 となる。これは棄却域| t|≧ 2.365 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.748 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 FC尺度とセキュリティ・防災との間に標本相関係数γ=0.778 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=3.025 となる。これは棄却域| t|≧ 2.365 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.778 は、5%水準で有意である」ことが言える。

表 4.3.4 A低位型の有意な相関

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4

Analysis |

 AC尺度と他(ペット・植物・駐車場)との間に標本相関係数γ=-0.827 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=-3.6となる。これは棄却域| t|≧ 2.365 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.827 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 FC低位型(サンプル数n=4) AC尺度と熱・空調(熱・換気・通風)との間に標本相関係数γ=-0.98 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=-7.14となる。これは棄却域| t|≧ 3.12 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.98 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 AC低位型(サンプル数n=10) AC尺度と結露・湿気、音環境との間にそれぞれ標本相関係数γ=-0.683、-0.661 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれt=-2.645、-2.493 となる。これは棄却域| t|≧ 2.262 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.683、-0.661 は、5%水準で有意である」ことが言える。

表 4.3.5 FC低位型の有意な相関

表 4.3.6 AC低位型の有意な相関

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4

Analysis |

 N型 b(サンプル数n=4) NP尺度と音環境との間に標本相関係数γ=-0.926 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は t=-3.47 となる。これは棄却域| t|≧ 3.182 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.926 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 A尺度と結露・湿気との間に標本相関係数γ=-0.982 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量 t=-7.348 となる。これは棄却域| t|≧ 3.182 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.982 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 FC尺度と音環境との間に標本相関係数γ=-0.943 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=-4.02となる。これは棄却域| t|≧ 3.182に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.943 は、5%水準で有意である」ことが言える。

表 4.3.7 N型 bの有意な相関

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4

Analysis |

 N型 c(サンプル数n=4) NP尺度と熱・空調との間に標本相関係数γ=-0.941 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は t=-3.94 となる。これは棄却域| t|≧ 3.182 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.941 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 A尺度と音環境との間に標本相関係数γ=-0.988 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量 t=-9 となる。これは棄却域| t|≧ 3.182 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.988 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 逆N型 a(サンプル数n=4) CP尺度と視環境 ( 色彩計画・照明計画・日照計画 )、機能・配置との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.92 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=3.31 となる。これは棄却域| t|≧ 3.182 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.92 は、5%水準で有意である」ことが言える。

表 4.3.8 N型 cの有意な相関

表 4.3.9 逆 N型 aの有意な相関

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4

Analysis |

 逆N型 c(サンプル数n=5) CP尺度と視環境 ( 色彩計画・照明計画・日照計画 )、熱・空調、結露・湿気との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.91、0.93、0.91 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=3.74、4.48、3.81 となる。これは棄却域| t|≧ 2.776 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.91、0.93、0.91 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 AC尺度とにおいとの間に標本相関係数γ=-9.13 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=-3.87 となる。これは棄却域| t|≧ 2.776 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-9.13 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 平坦型b(サンプル数n=6) A尺度とセキュリティとの間に標本相関係数γ=0.917 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量 t=4.613 となる。これは棄却域| t|≧ 2.571 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.917 は、5%水準で有意である」ことが言える。

上記以外の相関係数については、資料編のエゴグラム各尺度と住環境評価 9分類の相関係数・検定統計量一覧表を参照のこと。

表 4.3.10 逆N型 cの有意な相関

表4.3.11 平坦型 bの有意な相関

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4

Analysis |

4.3.2 住環境評価57項目との相関性

 4.3.1 と同様に各パターン分類ごとに、エゴグラム各尺度と住環境評価 57項目との相関係数を求める。

 以下の 9パターン分類について、中程度以上の相関が得られた。

 NP優位型(サンプル数n=5) FC尺度とインテリアの統一、植物との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.872,0.873 の正の相関が得られ , 装飾性、接客スペースに対してはそれぞれ標本相関係数γ’ =-0.873、-0.91 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は前者についてそれぞれ t=3.1、3.1、後者についてそれぞれ t=-3.1、-3.87 となる。これは棄却域| t|≧ 2.776 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.872、0.873、γ’ =-0.873、-0.91 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 AC尺度とコンセント・スイッチの数量との間に標本相関係数γ=0.927 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=4.28 となる。これは棄却域| t|≧ 2.776 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=4.28 は、5%水準で有意である」ことが言える。

表 4.3.12 NP優位型の有意な相関

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4

Analysis |

 A優位型(サンプル数n=5) NP尺度と照明の明るさとの間に標本相関係数γ=0.997 の正の相関が得られ , 室内音響に対しては標本相関係数γ’ =-0.851 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は前者についてそれぞれ t=21.69、後者について t=-2.80 となる。これは棄却域| t|≧ 2.776 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.997、γ’ =-0.851 は、5%水準で有意である」ことが言える。

A尺度と開放感、見晴らし、光・視線の遮断、照明の明るさ、適正規模との間に標本相関係数γ=0.948、0.921、0.948、0.85、0.948 の正の相関が得られ , 室内音響に対しては標本相関係数γ’ =-0.92 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は前者についてそれぞれ t=5.15、4.09、5.15、2.79、5.15、後者について t=-4.07 となる。これは棄却域| t|≧ 2.776 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.948、0.921、0.948、0.85、0.948、γ’=-0.92 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 FC尺度と洗濯まわりとの間に標本相関係数γ=-0.889 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量 t=-3.36 となる。これは棄却域| t|≧ 2.776に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.889 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 AC尺度と足下の暖かさ、排気音、床衝撃音、洗濯まわり、家事スペース、家具の収まり、バス・リビング・キッチンの位置との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.857、0.857、0.857、0.874、0.857、0.857、0.857 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は前者についてそれぞれ t=2.886、2.876、2.874、3.118、2.876、2.876、2.876 となる。これは棄却域| t|≧ 2.776 に入るため帰無仮説は棄却され、検

表 4.3.13 A優位型の有意な相関

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4

Analysis |

定の結果「標本相関係数γ=0.857、0.857、0.857、0.874、0.857、0.857、0.857 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 FC優位型(サンプル数n=6) CP尺度と見晴らし、日照との間にそれぞれ標本相関係数γ=-0.92、-0.92 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=-4.69、-4.69 となる。これは棄却域| t|≧ 2.571 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.92、-0.92 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 NP尺度と見晴らし、日照との間にそれぞれ標本相関係数γ=-0.96、-0.96 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=-6.76、-6.76 となる。これは棄却域| t|≧ 2.571 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.96、-0.96 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 FC尺度と照明の明るさとの間に標本相関係数γ=0.88 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量 t=3.705 となる。これは棄却域| t|≧ 2.571 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.88 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 AC優位型(サンプル数n=15) CP尺度と採光、インテリアの統一、カビ臭、排水溝のにおい、生ゴミのにおい、寝具や衣料の収納、家事スペース、家具の収まり、防犯性能との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.627、0.611、0.523、0.523、0.523、0.513、0.682、0.64、0.55 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=2.9、2.78、

表 4.3.14 FC優位型の有意な相関

表 4.3.15 AC優位型の有意な相関

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4

Analysis |

2.21、2.21、2.21、2.15、3.36、3.00、2.41 となる。これは棄却域| t|≧ 2.145 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.627、0.611、0.523,0.523、0.523、0.513、0.682、0.64、0.55 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 NP尺度と玄関まわり、寝具や衣料の収納、洗面脱衣、居間のスペース、接客スペース、訪問者チェック、寝室のプライバシーの間にそれぞれ標本相関係数γ=0.62、0.59、0.62、0.67、0.57、0.65、0.65 の正の相関が得られ、冷房の調整に対しては標本相関係数γ’=-0.613 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は前者についてそれぞれ t=2.84、2.63、2.85、3.26、2.47、3.06、3.12、後者についてt=-2.8 となる。これは棄却域| t|≧ 2.145 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.62、0.59、0.62、0.67、0.57、0.65、0.65、γ'=-0.613 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 FC尺度とインテリアの統一、トイレの臭い、外からの臭い壁面のカビ、窓面結露、屋外騒音、寝具や衣料収納、家具等収納、洗面脱衣、居間のスペース、接客スペースとの間にそれぞれ標本相関係数γ=0.528、0.538、0.608、0.548、0.629、0.605、0.634、0.746、0.662、0.635、0.512 の正の相関が得られ , 空気の乾燥に対しては標本相関係数γ’ =-0.511 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は前者についてそれぞれ t=2.244、2.304、2.76、2.36、2.91、2.74、2.95、4.04、3.18、2.96、2.15、後者について t=-2.15 となる。これは棄却域| t|≧2.145 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.528、0.538、0.608、0.548、0.629、0.605、0.634、0.746、0.662、0.635、0.512、γ’ =-0.511 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 AC尺度と日照、居室の暖かさ、カビ臭、トイレの臭い、排水溝の臭い、生ゴミの臭い、壁面のカビ・汚れ、洗濯まわり、居間のスペース、家具の収まりとの間にそれぞれ標本相関係数γ=0.546,0.624,0.544,0.716,0.544,0.544,0.577,0.576,0.55,0.557 の正の相関が得られ, 照明の明るさに対しては標本相関係数γ’ =-0.561 の負の相関が得

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4

Analysis |

られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は前者についてそれぞれt=2.35,2.88,2.34、3.7,2.34,2.34,2.55,2.54,2.39,2.41、後者についてt=-2.44 となる。これは棄却域| t|≧ 2.145 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=2.35,2.88,2.34、3.7,2.34,2.34,2.55,2.54,2.39,2.41、γ’ =-0.561 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 A低位型(サンプル数n=8) CP尺度と装飾性、暖房の調整、バス・キッチンの換気、換気音、給排水騒音、家具の収まりとの間にそれぞれ標本相関係数γ=-0.742、-0.735、-0.735、-0.898、-0.898、-0.735 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=-2.71、-2.657、-2.657、-4.996、-4.996、-2.657 となる。これは棄却域| t|≧ 2.365 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.742、-0.735、-0.735、-0.898、-0.898、-0.735 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 NP尺度と押し入れの湿気、台所まわり、洗濯まわり、洗面脱衣、家事スペースとの間にそれぞれ標本相関係数γ=0.733、0.921、0.705、0.708、0.873 の正の相関が得られ、涼しさ、通信回線機器の配置に対しては それぞれ標本相関係数γ’ =-0.708、-0.733 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は前者についてそれぞれ t=2.64、5.79、2.44、2.46、4.39、-2.64、後者についてt=-2.46,-2.64 となる。これは棄却域| t|≧ 2.365 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.733、0.921、0.705、0.708、0.873、γ'=-0.708、-0.733 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 A尺度と光・視線の遮断、居室の位置、駐車スペースとの間にそれぞれ標本相関係数γ=0.7、0.821、0.778 の正の相関が得られた。

表 4.3.16 A低位型の有意な相関

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4

Analysis |

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=2.40、3.53、3.03 となる。これは棄却域| t|≧ 2.365 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.7、0.821、0.778 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 FC尺度と室内音響との間に標本相関係数γ=-0.832 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量 t=-3.672 となる。これは棄却域| t|≧ 2.365 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.832 は、5%水準で有意である」ことが言える。 AC尺度とインテリアの統一、床衝撃音、駐車スペース、植物、ペットとの間に標本相関係数γ= - 0.763、-0.808、-0.747、-0.763、-0.776の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量 t=-2.887、-3.36、-2.756、-2.887、-3.012 となる。これは棄却域| t|≧ 2.365 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ= - 0.763、-0.808、-0.747、-0.763、-0.776 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 AC低位型(サンプル数n=10) CP尺度と光・視線の遮断、家具の納まり、寝室のプライバシーとの間にそれぞれ標本相関係数γ=0.669、0.776、0.705 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=2.55、3.48、2.81 となる。これは棄却域| t|≧ 2.262 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.669、0.776、0.705 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 NP尺度と家具等収納、適正規模、通信配線機器の配置、駐車スペースとの間にそれぞれ標本相関係数γ=0.776、0.776、0.749、0.749 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有

表 4.3.17 AC低位型の有意な相関

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4

Analysis |

意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=3.483、3.483、3.193、3.193 となる。これは棄却域| t|≧ 2.262 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.776、0.776、0.749、0.749 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 A尺度と光・視線の遮断、バス・キッチンの換気、床衝撃音との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.674、0.765、,0.765 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=2.58、3.357、3.357 となる。これは棄却域| t|≧ 2.262 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.674、0.765、0.765 は、5%水準で有意である」ことが言える。 FC尺度と日照・寝具収納・適正規模との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.639、0.69、0.69 の正の相関が得られ、洗面脱衣に対しては標本相関係数γ’ =-0.7 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は前者についてそれぞれt=2.35、2.69、2.69、後者について t=-2.74 となる。これは棄却域| t|≧ 2.262 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.639、0.69、0.69、γ'=-0.7 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 AC尺度と窓面結露・換気音・給排水騒音・台所まわり・洗濯まわり・洗面脱衣・家事スペース・洗濯物を干すスペースとの間にそれぞれ標本相関係数γ=-0.68、-0.75、-0.75、-0.74、-0.74、-0.68、-0.86、-0.74の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=-2.65、-3.19、-3.24、-3.11、-3.11、-2.6、-4.8、-3.11 となる。これは棄却域| t|≧ 2.262 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.68、-0.75、-0.75、-0.74、-0.74、-0.68、-0.86、-0.74 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 N型 a(サンプル数n=5) CP尺度と居室の暖かさ、室間の音の漏れとの間にそれぞれ標本相関係数γ=-0.94、-0.94 の負の相関が得られた。

表 4.3.18 N型 aの有意な相関

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4

Analysis |

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=--4.98、-4.98 となる。これは棄却域| t|≧ 2.776 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.94、-0.94 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 NP尺度と足下の暖かさ、換気音、室内音響との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.9、0.97、0.97 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=3.6、6.57、6.57 となる。これは棄却域| t|≧ 2.776 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.9、0.97、0.97 は、5%水準で有意である」ことが言える。 A尺度とインテリアの統一、給排水騒音、室間の音の漏れ、植物との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.96、0.89、0.89、0.96の正の相関が得られ、適正規模に対しては標本相関係数γ’=-0.96の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は前者についてそれぞれt=5.81、3.43、3.43、5.81、後者についてt=-5.81となる。これは棄却域|t|≧ 2.776に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.96、0.89、0.89、0.96、γ'=-0.96は、5%水準で有意である」ことが言える。

 FC尺度と照明の明るさ、家事スペース、家具の納まり、バス・リビング・キッチンの位置との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.89、0.89,0.89,0.89の正の相関が得られた。 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=3.43、3.43、3.43、3.43となる。これは棄却域|t|≧ 2.776に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.89、0.89、0.89、0.89は、5%水準で有意である」ことが言える。

 AC尺度と仕上げや色彩、台所まわり、台所の使い勝手との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.93、0.93、0.93の正の相関が得られ、天井・壁の熱に対しては標本相関係数γ’ =-0.93の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水

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Analysis |

準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は前者についてそれぞれt=4.43、4.43、4.43、後者についてt=-4.43となる。これは棄却域|t|≧ 2.776に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.93、0.93、0.93、γ'=-0.93は、5%水準で有意である」ことが言える。

 M型(サンプル数n=6) CP尺度と接客スペースとの間に標本相関係数γ=0.88 の正の相関が得られ、台所の使い勝手に対しては標本相関係数γ’ =-0.87 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は前者についてそれぞれ t=3.15、後者について t=-3.09 となる。これは棄却域| t|≧ 2.579 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.88、γ'=-0.87 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 NP尺度と通信回線機器の配置との間に標本相関係数γ=0.83 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は t=2.59 となる。これは棄却域| t|≧ 2.571に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.83 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 FC尺度と外への音の漏れ、洗面脱衣、家事スペースとの間にそれぞれ標本相関係数γ=-0.89、-0.97、-0.97 の負の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=-3.37、-6.73、-6.73 となる。これは棄却域| t|≧ 2.571 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=-0.89、-0.97、-0.97 は、5%水準で有意である」ことが言える。

表 4.3.19 M型の有意な相関

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Analysis |

 平坦型b(サンプル数n=6) NP尺度と訪問者チェックとの間に標本相関係数γ=0.81 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は t=2.79 となる。これは棄却域| t|≧ 2.571に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.81 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 A尺度と装飾性、インテリアの統一、防犯性能、駐車スペースとの間にそれぞれ標本相関係数γ=0.812、0.812、0.812、0.886 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量はそれぞれ t=2.78、2.78、2.78、3.83 となる。これは棄却域| t|≧ 2.571 に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.812、0.812、0.812、0.886 は、5%水準で有意である」ことが言える。

 FC尺度と寝室のプライバシーとの間に標本相関係数γ=0.83 の正の相関が得られた。

 また、帰無仮説「母集団の相関係数はゼロである」とした時、有意水準 5%の両側検定を行った結果、検定等計量は t=3.02 となる。これは棄却域| t|≧ 2.571に入るため帰無仮説は棄却され、検定の結果「標本相関係数γ=0.83 は、5%水準で有意である」ことが言える。

上記以外の相関係数については、資料編のエゴグラム各尺度と住環境評価 57項目の相関係数・検定統計量一覧表を参照のこと。

表 4.3.20 平坦型 bの有意な相関

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Analysis |

表4.3.21 エゴグラムパターン分類住環境評価分類相関一覧 表 4.3.22 エゴグラムパターン分類住環境評価項目相関一覧

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4

Analysis |

4.4 考察

 分析の結果、住環境評価 9分類に対しては 11パターン分類、住環境評価 57項目に対しては 9パターン分類のエゴグラム各尺度との間に中程度以上の相関が得られた。

 サンプル数が不十分であるため、今回の調査では全てのエゴグラム・パターン分類の持つ相関性について考察することはできないが、行動パターンや感情、思考を説明するエゴグラムが住環境における興味や重要視項目と関連づけられることが分かった。

 その中でも特徴的なものについて、以下にまとめる。

 1)住環境評価9分類との相関性について CP尺度と視環境 (色彩計画・照明計画・日照計画 )との相関性 住環境評価 9分類との相関が得られた 11パターン分類の内、4パターン分類のCP尺度と視環境 ( 色彩計画・照明計画・日照計画 ) との間に中程度以上の相関性が得られた。

 負の相関が得られたN型 bは、相対的にCP尺度が低いパターン分類であることから、一部のパターン分類では、CP尺度の高低は視環境に対する興味や重要視度の高さと関連づけられていることが分かる。

 AC尺度とにおい(臭い)との相関性 におい(臭い)は、 AC優位型(AC尺度は相対的に高い)のAC尺度に対し正の相関が得られ、逆N型 c(AC尺度は相対的に低い)のAC尺度に対しては負の相関が得られた。

 これは、一部のパターン分類では、AC尺度の高低はにおいの環境に対する評価に関連づけられていることが分かる。

 2)住環境評価57項目との相関性について サンプル数nと相関性 AC優位型(n=15)、A低位型(n=8)、AC低位型(n=10)はそれぞれ 40組、22組、22組の相関性を得る事ができ、サンプル数 nが増すにつれ一時的に多くの項目と相関を得ていると言える。

 しかし、相関係数は、サンプル数 nが増すにつれ減少することから、得られる相関は再び減少し、相関係数が増加するものと減少するものの二極化が進み、エゴグラムパターン固有の相関が得られることが考えられる。

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Utility |

5 ツール作成| Utility

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5

Utility |

5.1 目的 5

Utility |

 4. 分析で得られた結果をもとに、非専門家と専門家間の住宅取得におけるコミュニケーションを支援するツールを作成する。

 1)位置づけ 本コミュニケーション支援ツール ego-lysis は以下の位置づけのもと、作成することでユーザビリティの向上を目指す。

対象ユーザー: 住まいと人に対する個性が尊重でき、住まいづくりは設計者とのライフワークだと考えるユーザーを対象。

いつ: 住宅取得プロセスから居住後の評価まで

どこで: インターネットで

目的: 設計者とのコミュニケーションを含む、住宅取得プロセスを主体的に楽しむために

方法: 自己分析に関するエゴグラムの設問 50項目に答えることで

結果: 回答時の心理状態(行動パターン・感情・思考)を相対化し、その心理状態に関連づけられた住環境評価の項目を分類・項目の 2段階で提示する。回答結果は、履歴として設計者と共有される。

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5

Utility |

5

Utility |

5.2.1 作成手順

 1)マッチング エゴグラムと住環境評価の分類・項目を関連づける。

 マッチングは、エゴグラム・パターン分類のCP尺度、NP尺度、A尺度、FC尺度、AC尺度のそれぞれが持つ相関性を用いて行われるため、エゴグラム・パターン分類が持つ 3125 コード分類のひとつひとつに対応した結果が求められる。

 以下にマッチングの際の注意点を、パターン分類の類型別に挙げる。

 優位型 優位型は、任意の 1つの尺度の優位により特徴づけられる類型であるために、第一位の尺度に正の相関を持つ分類・項目、第一位の尺度に準ずる尺度に正の相関を持つ分類・項目、最低位の尺度に負の相関を持つ分類・項目の3つをエゴグラムに関連づけられた住環境評価として採用する。

 低位型 低位型は、任意の 1つの尺度の低位により特徴づけられる類型であるために、最低位の尺度に負の相関を持つ分類・項目、最低位の尺度に準ずる尺度に負の相関を持つ分類・項目、第一位の尺度に正の相関を持つ分類・項目の3つをエゴグラムに関連づけられた住環境評価として採用する。

 混合型 混合型は、任意の 2つ以上の尺度の優位、もしくは低位に特徴づけられる類型であるために、最高位の尺度に正の相関を持つ分類・項目、最低位の尺度に負の相関を持つ分類・項目の 2つ以上の分類・項目をエゴグラムに関連づけられた住環境評価として採用する。

 採用結果は、巻末の資料編・エゴグラム各尺度 - 住環境評価分類対応表、エゴグラム各尺度 - 住環境評価項目対応表を参照のこと。

5.2 ツール構成

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5

Utility |

5

Utility |

 2)ツール構成 施主と設計者・ハウスメーカー営業担当者が共有する情報と提供する情報別にウェブページの構成を決定する。

 本ツールでは、施主側の回答結果である回答履歴ページを共有される情報の軸として位置づけ、各専用ページでエゴグラム・テストに回答するという構成を採用した。

 3)ツール作成 一般的なウェブブラウザで利用できるように perl を用いて、ツール作成を行う。

 公開先:http://www.watanabe.archi.waseda.ac.jp/hw/2005/hikida/egolysis/

図 5.2.1 ツール内ページ構成

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5

Utility |

5

Utility |

5.3 利用手引き

 ツールの利用フローを、次ページに示す。(図 5.3.1) ツールの利用は、このプログラムに沿う形で行われる。

 各ページの説明を以下に記す。

 1)トップページ ツールの説明、メンバー登録、登録名(依頼主名、設計者名)+パスワード入力を行う。

 2)共有ページ 回答履歴ページ クライアントの自己分析結果と自己分析により得られたエゴグラムに関連づけられた住環境評価の分類と項目を履歴として表示する。また、設計者・ハウスメーカーの営業担当者の最新の自己分析結果もクライアントの回答結果と併せて表示する。

 3)非共有ページ 設計者・ハウスメーカー営業担当者向け情報入力ページ 回答履歴ページで、クライアントと情報を共有するために自己分析を行う。

 クライアント向け住環境評価抽出ページ 設問に答えることで、得られたエゴグラムに関連づけられた住環境評価が得られる。自己分析に加えて、語彙学習、検討項目として利用することを意図する。

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Utility |

5

Utility |

図 5.3.1 ツール利用フロー

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5

Utility |

図 5.3.2 トップページ

図 5.3.3  ログインページ(非共有)

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5

Utility |

図 5.3.4 住環境評価抽出ページ(非共有)

図 5.3.5 回答履歴一覧ページ(共有)

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5

Utility |

5

Utility |

5.4.1 アンケート調査

 住宅産業に携わる専門家(設計者・ハウスメーカー営業担当者)と非専門家を対象に、住宅取得を想定した作成ツールの使用感についてのアンケート調査を行った。

5.4.2 結果

 有効回答は、それぞれ専門家 4、非専門家 12であった。

 エゴグラムによる住環境評価抽出ページについて (設計者・ハウスメーカー営業担当者用)

Q.5: 回答の結果、表示される性格描写はあなたにあてはまりますか。

 はい ,0 いいえ ,2 どちらでもない ,2

Q.6: 回答の結果、あなたの性格に対応する評価は得られましたか。

 はい ,0 いいえ ,4 どちらでもない ,0

Q.7: 設問 5で(1)はいと答えた方にお聞きします。自分の住環境の評  価を客観的に評価する指標として、エゴグラム(思考・感情・行動  パターン)と関連付けられた評価項目は役に立つと思いますか。

 思う ,2 思わない ,0 どちらでもない ,1

* , 調査項目は np.16 表 2.3.2、表 2.3.3   参照

5.4 ツール評価 

Q.5:回答結果

Q.6:回答結果

Q.7:回答結果

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5

Utility |Utility |

 エゴグラムによる住環境評価抽出ページについて(クライアント用)Q.5: 回答の結果、表示される性格描写はあなたにあてはまりますか。

 はい ,7 いいえ ,1 どちらでもない ,4

Q.6: 回答の結果、あなたの性格に対応する評価は得られましたか。  はい ,5 いいえ ,1 どちらでもない ,7

Q.7: 設問 5で(1)はいと答えた方にお聞きします。自分の住環境の  評価を客観的に評価する指標として、エゴグラム(思考・感情・  行動パターン)と関連付けられた評価項目は役に立つと思います  か。

 思う ,4 思わない ,0 どちらでもない ,2

 クライアント回答履歴ページについて (設計者・ハウスメーカー営業担当者用)Q.8: 顧客やクライアントのエゴグラム(思考・感情・行動パターン)  の推移を知る事は、コミュニケーションに役に立つと思いますか。

 はい ,0 いいえ ,2 どちらでもない ,2

Q.9: 顧客やクライアントのエゴグラムの推移を共有することについて  どう思いますか。

 好感が持てる ,1 抵抗を感じる ,2 役に立つ ,0 役に立たない ,0 どちらでもない ,1

Q.5:回答結果

Q.6:回答結果

Q.7:回答結果

Q.8:回答結果

Q.9:回答結果

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5

Utility |

Q.10: クライアントのエゴグラム(思考・感情・行動パターン)を、   今後のコミュニケーションに役立てようと思いますか。   はい ,0   いいえ ,2   どちらでもない ,2

Q.11: クライアントの回答により得られた住環境の評価項目を、今後   のコミュニケーションに役立てようと思いますか。    はい ,0    いいえ ,4    どちらでもない ,0

Q.12: 設問 10 で(1)はいと答えた方にお聞きします。クライアント   の評価項目をどのように役立てますか。    要検討項目として ,0    話題づくりとして ,0    参考程度に ,0    他 ,2

Q.13: 顧客やクライアントの住宅取得プロセスにおいて、自分の性格   の推移を知らせたいと思いますか。    はい ,0    いいえ ,3    どちらでもない ,0

Q.14: 住宅取得のプロセスにおいてこのツールを利用するのであれば、   どの段階で使用するのが効果的だと思いますか。    資料請求時 ,0    初回顔合わせ時 ,2    クライアントの予算・要望・条件・家族構成・ライフスタイ    ル相談時 ,1    担当者決定時 ,1    設計方針決定時 ,0    設計案提示時 ,0    見積もり ,0    各種契約時 ,0    施工期間 ,0    仕上げの調整・確認 ,0    施主竣工検査 ,0    引き渡し後 ,0

資料請求時

初回顔合わせ時

条件要望相談時

担当者決定時

設計方針決定時

設計案提示時

見積もり

各種契約時

施工期間

仕上げの調整・確認

施主竣工検査

引き渡し後

Q.10:回答結果

Q.11:回答結果

Q.12:回答結果

Q.13:回答結果

Q.14:回答結果

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5

Utility |

5

Utility |

 クライアント回答履歴ページについて(クライアント用)Q.8: 自分のエゴグラム(思考・感情・行動パターン)の推移を知る事は、  コミュニケーションに役に立つと思いますか。   はい ,8   いいえ ,3   どちらでもない ,1

Q.9: 設計者/ハウスメーカーの営業担当者と自分のエゴグラムの推移  を共有することについてどう思いますか。   好感が持てる ,2   抵抗を感じる ,1   役に立つ ,6   役に立たない ,0   どちらでもない ,1

Q.10: 設計者/担当者のエゴグラム(思考・感情・行動パターン)を、  今後のコミュニケーションに役立てようと思いますか。   はい ,5   いいえ ,0   どちらでもない ,4

Q.11: 住宅取得プロセスにおいて、設計者や営業担当者のエゴグラムの   推移を知りたいと思いますか。    はい ,6    いいえ ,2    どちらでもない ,4 

Q.8:回答結果

Q.11:回答結果

Q.10:回答結果

Q.9:回答結果

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5

Utility |

Q.12: 住宅取得のプロセスにおいてこのツールを利用するのであれ    ば、どの段階で使用するのが効果的だと思いますか。    資料請求時 ,1    初回顔合わせ時 ,6    クライアントの予算・要望・条件・家族構成・ライフスタイ    ル相談 時 ,3    担当者決定時 ,0    設計方針決定時 ,0    設計案提示時 ,0    見積もり ,0    各種契約時 ,1    施工期間 ,0    仕上げの調整・確認 ,0    施主竣工検査 ,0    引き渡し後 ,1

資料請求時

初回顔合わせ時

条件要望相談時

担当者決定時

設計方針決定時

設計案提示時

見積もり

各種契約時

施工期間

仕上げの調整・確認

施主竣工検査

引き渡し後

Q.12:回答結果

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5

Utility |

5.5 まとめ

 エゴグラムによる住環境評価抽出ページについて 自己分析の回答の結果、得られた性格描写とそれに関連づけられた住環境評価をどのように処理し、コミュニケーションに利用するかを調査した。

 結果、エゴグラムに関連づけられた住環境の評価を主体的に評価し、それを自分の実際の評価と照合し、参考として積極的に利用していることが分かる。

 クライアント回答履歴ページについて 設計者・ハウスメーカー営業担当者は、クライアントのエゴグラムやエゴグラムに関連づけられた住環境の評価を積極的にコミュニケーションに利用したり、住まいづくりの参考として利用することに抵抗する傾向が見られた。

 ツール評価と同時に行った聞き取り調査では、 ・クライアントのライフスタイルを肌で感じとり、会話の中から住ま  いづくりのテーマを聞き出していく設計者としてやるべき作業であ  る。 ・ツールで得られる情報にとらわれる事で、本人の直接的な要望に気  づかないかもしれない。 ・作為をもって自己分析に答えることで、クライアントが本当の姿を  偽る可能性がある。 ・単語や性格では直接デザインにつながるものが得られない。 などの理由が挙げられた。

 一方で、クライアントの行動パターンや思考パターンを、クライアントの住まいづくりに対する姿勢やデザイナーに求める質や量に関連づける事が出来れば、住まいづくりのコミュニケーションの妥協点を模索し、クライアントのニーズに適った住まいを作ることに利用できるといった意見もあった。

5.5 まとめ 

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5

Utility |

 非専門家である仮想クライアントは、自分や設計者・ハウスメーカー営業担当者のエゴグラム(行動パターン・思考・心理状態)を主体的にコミュニケーションに取り入れ、住まいづくりに利用しようとする傾向が得られた。

 ツール評価と同時に行った聞き取り調査では、 ・設計者や営業担当者との初回謁見時には不安が大きく、事前に  できるだけ多くの情報を得たい。 ・ツールを利用することで自分が言葉やイメージで表現できない  設計語彙を学習でき、設計者や営業担当者に対し主体的にコミ  ュニケーションをとることができる。 などの理由が挙げられた。

 ツールの想定利用場面としては、顔合わせ時を挙げる人が最も多かった。

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6

Summary |

6 総括|Summary

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6.1 研究成果

本研究で得られた成果を以下にまとめる。

6.1.1 エゴグラムと住環境評価との相関性

 「4.3 エゴグラムの相関性」から、住環境に対する興味や重要視度が評価者固有の思考・感情・行動パターンに関連づけられることが分かった。

 以下に、エゴグラムの CP 尺度、NP 尺度、A尺度、FC 尺度、AC尺度に相関が得られた住環境評価の分類と項目をエゴグラム・パターン分類ごとに示す。

 NP優位型(サンプル数n=5) 住環境評価分類 ・CP尺度と他(ペット・植物・駐車場)との間に標本相関係数γ  =0.913 の正の相関が得られた。

 住環境評価項目 ・FC尺度とインテリアの統一、植物との間にそれぞれ標本相関係  数γ=0.872,0.873 の正の相関が得られ , 装飾性、接客スペース  に対してはそれぞれ標本相関係数γ’ =-0.873,-0.91 の負の相関  が得られた。 ・AC尺度とコンセント・スイッチの数量との間に標本相関係数γ  =0.927 の正の相関が得られた。

 A優位型(サンプル数n=5) 住環境評価分類 ・A尺度と視環境 ( 色彩計画・照明計画・日照計画 ) との間に標本  相関係数γ=0.933 の正の相関が得られた。

 重環境評価項目 ・NP尺度と照明の明るさとの間に標本相関係数γ=0.997 の正の  相関が得られ , 室内音響に対しては標本相関係数γ’ =-0.851 の  負の相関が得られた。 ・A尺度と開放感、見晴らし、光・視線の遮断、照明の明るさ、適  正規模との間に標本相関係数 ・FC尺度と洗濯まわりとの間に標本相関係数γ=-0.889 の負の相

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  関が得られた。 ・AC尺度と足下の暖かさ、排気音、床衝撃音、洗濯まわり、家事ス  ペース、家具の収まり、バス・リビング・キッチンの位置との間に  それぞれ標本相関係数γ=0.857,0.857,0.857,0.874,0.857,0.857,  0.857 の正の相関が得られた。

 AC優位型(サンプル数n=15) 住環境評価分類 ・CP尺度と視環境 ( 色彩計画・照明計画・日照計画 )、におい、結露・  湿気との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.55,0.52,0.53の正の相関  が得られた。 ・FC尺度とにおい、結露・湿気、作業スペース・収納との間にそれ  ぞれ標本相関係数γ=0.6,0.59,0.71 の正の相関が得られた。 ・AC尺度とにおい、セキュリティ・防災との間にそれぞれ標本相関  係数γ=0.61,0.6 の正の相関が得られた。

 重環境評価項目 ・CP尺度と採光、インテリアの統一、カビ臭、排水溝のにおい、生  ゴミのにおい、寝具や衣料の収納、家事スペース、家具の収まり、  防犯性能との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.627,0.611,0.523,0.  523,0.523,0.513,0.682,0.64,0.55 の正の相関が得られた。 ・NP尺度と玄関まわり、寝具や衣料の収納、洗面脱衣、居間のスペ  ース、接客スペース、訪問者チェック、寝室のプライバシーの間に  それぞれ標本相関係数γ=0.62,0.59,0.62,0.67,0.57,0.65,0.65 の  正の相関が得られ、冷房の調整に対しては標本相関係数γ’ =  0.613 の負の相関が得られた。 ・FC尺度とインテリアの統一、トイレの臭い、外からの臭い壁面   のカビ、窓面結露、屋外騒音、寝具や衣料収納、家具等収納、洗面  脱衣、居間のスペース、接客スペースとの間にそれぞれ標本相関  係数γ=0.528,0.538,0.608,0.548,0.629,0.605,0.634,0.746,0.66  2,0.635,0.512 の正の相関が得られ , 空気の乾燥に対しては標本相  関係数γ’ =-0.511 の負の相関が得られた。 ・AC尺度と日照、居室の暖かさ、カビ臭、トイレの臭い、排水溝の臭い、  生ゴミの臭い、壁面のカビ・汚れ、洗濯まわり、居間のスペース、  家具の収まりとの間にそれぞれ標本相関係数γ=0.546,0.624,0  .544,0.716,0.544,0.544,0.577,0.576,0.55,0.557 の正の相関が得  られ , 照明の明るさに対しては標本相関係数γ’ =-0.561 の負の相  関が得られた。

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 A低位型(サンプル数n=8) 住環境評価分類 ・CP尺度と視環境 ( 色彩計画・照明計画・日照計画 )、機能・配置と  の間にそれぞれ標本相関係数γ=-0.88,-0.85 の負の相関が得られ  た。 ・NP尺度と作業スペース・収納との間に標本相関係数γ=0.87 の正  の相関が得られた。 ・A尺度と他(ペット・植物・駐車場)との間に標本相関係数  γ=0.748 の正の相関が得られた。 ・FC尺度とセキュリティ・防災との間に標本相関係数γ=0.778 の  正の相関が得られた。 ・AC尺度と他(ペット・植物・駐車場)との間に標本相関係数γ   =-0.827 の負の相関が得られた。

 重環境評価項目 ・CP尺度と装飾性、暖房の調整、バス・キッチンの換気、換気音、  給排水騒音、家具の収まりとの間にそれぞれ標本相関係数  γ=-0.742,-0.735,-0.735,-0.898,-0.898,-0.735 の負の相関が得ら  れた。 ・NP尺度と押し入れの湿気、台所まわり、洗濯まわり、洗面脱衣  家事スペースとの間にそれぞれ標本相関係数γ=0.733,0.921,  0.705,0.708,0.873 の正の相関が得られ、涼しさ、通信回線機器の  配置に対してはそれぞれ標本相関係数γ’ =-0.708,-0.733 の負の  相関が得られた。 ・A尺度と光・視線の遮断、居室の位置、駐車スペースとの間にそ  れぞれ標本相関係数γ=0.7,0.821,0.778 の正の相関が得られた。 ・FC尺度と室内音響との間に標本相関係数γ= -0.832の負の  相関が得られた。 ・AC尺度とインテリアの統一、床衝撃音、駐車スペース、植物、ペ  ットとの間に標本相関係数γ= - 0.763,-0.808,-0.747,-0.763,-0.  776 の負の相関が得られた。

 FC低位型(サンプル数n=4) 住環境評価分類 ・AC尺度と熱・空調(熱・換気・通風)との間に標本相関係数γ   =-0.98 の負の相関が得られた。

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 AC低位型(サンプル数n=10) 住環境評価分類  ・AC尺度と結露・湿気、音環境との間にそれぞれ標本相関係数   γ=-0.683,-0.661 の負の相関が得られた。

 重環境評価項目 ・CP尺度と光・視線の遮断、家具の納まり、寝室のプライバシーと  の間にそれぞれ標本相関係数γ=0.669,0.776,0.705 の正の相関が  得られた。 ・A尺度と光・視線の遮断、バス・キッチンの換気、床衝撃音との  間にそれぞれ標本相関係数γ=0.674,0.765,0.765 の正の相関が得  られた。 ・NP尺度と家具等収納、適正規模、通信配線機器の配置、駐車スペ  ースとの間にそれぞれ標本相関係数γ=0.776,0.776,0.749,0.749  の正の相関が得られた。 ・FC尺度と日照・寝具収納・適正規模との間にそれぞれ標本相関係  数γ=0.639,0.69,0.69 の正の相関が得られ、洗面脱衣に対しては  標本相関係数γ’ =-0.7 の負の相関が得られた。 ・AC尺度と窓面結露・換気音・給排水騒音・台所まわり・洗濯まわ  り・洗面脱衣・家事スペース・洗濯物を干すスペースとの間にそ  れぞれ標本相関係数γ=-0.68,-0.75,-0.75,-0.74,-0.74,-0.68,-0.86,  -0.74 の負の相関が得られた。

 N型 a(サンプル数n=5) 住環境評価項目 ・CP尺度と居室の暖かさ、室間の音の漏れとの間にそれぞれ標本相  関係数γ= -0.94,-0.94 の負の相関が得られた。 ・NP尺度と足下の暖かさ、換気音、室内音響との間にそれぞれ標本  相関係数γ=0.9,0.97,0.97 の正の相関が得られた。 ・A尺度とインテリアの統一、給排水騒音、室間の音の漏れ、植物  との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.96,0.89,0.89,0.96 の正の相  関が得られ、適正規模に対しては標本相関係数γ’ =-0.96 の負の  相関が得られた。

 N型 b(サンプル数n=4) 住環境評価分類 ・NP尺度と音環境との間に標本相関係数γ=-0.926 の負の相関が 

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  得られた。 ・A尺度と結露・湿気との間に標本相関係数γ=-0.982 の負の相関  が得られた。 ・FC尺度と音環境との間に標本相関係数γ=-0.943 の正の相関が得  られた。

 N型 c(サンプル数n=4) 住環境評価分類 ・NP尺度と熱・空調との間に標本相関係数γ=-0.941 の負の相関が  得られた。 ・A尺度と音環境との間に標本相関係数γ=-0.988 の負の相関が得  られた。

 逆N型 a(サンプル数n=4) 住環境評価分類 ・CP尺度と視環境 ( 色彩計画・照明計画・日照計画 )、機能・配置  との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.92 の正の相関が得られた。

 逆N型 c(サンプル数n=5) 住環境評価分類 ・CP尺度と視環境 ( 色彩計画・照明計画・日照計画 )、熱・空調、  結露・湿気との間にそれぞれ標本相関係数γ=0.91,0.93,0.91 の  正の相関が得られた。 ・AC尺度とにおいとの間に標本相関係数γ=-9.13 の負の相関が得  られた。

 M型(サンプル数n=6) 重環境評価項目 ・CP尺度と接客スペースとの間に標本相関係数γ=0.88 の正の相関  が得られ、台所の使い勝手に対しては標本相関係数γ’ =-0.87 の  負の相関が得られた。 ・NP尺度と通信回線機器の配置との間に標本相関係数γ=0.83 の正  の相関が得られた。 ・FC尺度と外への音の漏れ、洗面脱衣、家事スペースとの間にそれ  ぞれ標本相関係数γ=-0.89,-0.97,-0.97 の負の相関が得られた。

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 平坦型b(サンプル数n=6) 重環境評価項目 ・NP尺度と訪問者チェックとの間に標本相関係数γ=0.81 の正の相  関が得られた。 ・A尺度と装飾性、インテリアの統一、防犯性能、駐車スペースと  の間にそれぞれ標本相関係数γ=0.812,0.812,0.812,0.886 の正の   相関が得られた。 ・A尺度とセキュリティとの間に標本相関係数γ=0.917 の正の相  関が得られた。 ・FC尺度と寝室のプライバシーとの間に標本相関係数γ=0.83 の  正の相関が得られた。

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 1)建築設計時のコミュニケーションに関する調査 住宅産業に携わる専門家(設計者・ハウスメーカー営業担当者)と非専門家(クライアント・顧客)を対象に、住宅取得時のコミュニケーションに対する意識調査を行った結果、専門家(設計者・ハウスメーカー営業担当者)は住宅取得の際にやりとりする情報よりも相手を重要視するのに対して、非専門家(クライアント・顧客)は相手よりも情報の質(内容、真偽、速報性、話題性、詳細性・・)を重要視する傾向がある。

 また、専門家はコミュニケーションを交わす相手の性格を把握する事でコミュニケーションが効率的になると考えているのに対し、非専門家はコミュニケーションを交わす相手の性格を把握することに楽しみを見出している。

 2)エゴグラム各尺度と住環境の評価の相関性 思考、感情、行動パターンをモデル化したエゴグラムにより住環境の評価が関連づけられると仮定し、エゴグラムの各尺度と住環境の重要視度の調査を行ったところ、住環境評価 9分類に対し 9つのエゴグラム・パターン分類、住環境評価 57項目に対し 11のエゴグラム・パターン分類との間に中程度以上の相関(標本相関係数γに対し、0.5<|γ|≦ 1)が得られた。(表 6.2.1 参照)

 3)建築設計コミュニケーション支援ツール ego-lysis 得られた相関をもとに、施主側が自発的に建築設計のコミュニケーションに関わるためのコミュニケーション支援ツールを作成した。

 施主と設計者が各々のエゴグラムを共有し、それに関連づけられた情報(住環境評価)をもとに建築設計を進める事で、適切な自己分析のもとにコミュニケーションに取り組むことを目指したものである。また、性格に関連付けられた住環境評価のような非言語の要求に対しても住宅設計時に検討することで、後々の住宅に対する満足度と設計者とのコミュニケーションに対する満足度の双方に良い影響を与えることを期待した。

6.2 まとめ

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表 6.2.1エゴグラム各尺度 -住環境評価 9分類 57項目相関対応表

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情報の質 相手 自己表現 手段 プロセス 他

好感が持てる

抵抗を感じる

役に立つ

役に立たない

どちらでもない

Q.1,コミュニケーションの際、何を重要視

するか。(黄:非専門家、緑:専門家)

Q.2, 相手のエゴグラム(思考・感情・行

動パターン)を今後のコミュニケーションの

に役に立てようと思いますか。

Q.3, お互いのエゴグラムを共有することに

ついてどう思いますか。

Q.4, 性格を知り意識することでどのように

コミュニケーションが変わると思いますか。

4)ツール評価

5) 今後の課題

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6.3 今後の展望

 本研究では、個人の志向や嗜好が性格のような固有な情報に少なからず影響を受けているのではないかという動機のもと研究を進め、その結果、住環境の評価が自我状態(思考・感情行動パターン)に関連づけられるということが分かった。

 性格が評価を方向づけるものという定義づけすると、個人の行動パターンや思考は性格を知ることである程度予測ができるのではないか。このように性格情報をある情報のハブとして利用すると、潜在的な要求を掘り起こす形で消費行動を促し、市場開拓や顧客満足度の向上など様々な方向で利用できるのではないかと考えた。(図 3.3.2, 図3.3.3)  短期的な展望として、調査・分析・フィードバックの流れを自立させ(図 6.3.1)、さらに多くの回答を回収するシステムを構築することで、様々な評価とエゴグラムを簡易にリンクさせることができるので

性格

住環境評価

アンケート(サンプル)収集

アンケート分析(統計処理)

フィードバック

サンプリング

性格

住環境評価

サンプリング

ツール利用・サンプル収集

事前評価データ提供

サンプル分析+フィードバック

調査要求

システムの改善

図 6.3.1 自立型システムモデル

図 6.3.2 現状コミュニケーションモデル

図 6.3.3 ツール導入後コミュニケーションモデル

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おわりに 「おわりに」のはじめにまず述べなくてはならないのは、この研究を続けることができたのは多くの匿名の方々の協力なしではありえませんでした。生活者の視点で住環境を評価するアンケート調査は可能な限り広範に渡る層からの回答を収集することが不可欠で、小学校から大学時代まで懐かしの交友録を辿りながらの調査は、回答者には多少の負担をかけるものでしたが、研究を進める楽しみのひとつでもありました。この場を借りて、感謝申し上げます。

また突然のヒアリング、ツール評価にご協力いただいた、研究室OBでもありタスカルテ制作監修者でもある甚五郎設計柏崎さんには的確なアドバイスと生きた情報を提供して頂き、今後の研究課題を提示していただきました。ありがとうございました。  そして、IOAゼミの方々。 遠田さんには、研究テーマ決定の段階から的確な研究指針を提示して頂き、本研究の骨子ともなるツール作成作業の多くを依存してしまうことにもなりました。河内さんには、ゼミ内で熱い議論を交わすこととなり、研究意義を多面的に評価して頂きました。大学入学以来の友人である横尾くんには、本研究の抱える課題を理性的な言葉で指摘して頂きました。卒論生の菊池くんをはじめとする、M0の皆とは苦労を分かつことで卒論を書き上げることができました。 ありがとうございました。

最後に、常に的確なアドバイスを提示して頂いた研究室の先輩方、長澤さん、渡辺先生には私自身の研究と研究姿勢の双方を問われ、再考するきっかけを与えて下さいました。また純粋な興味と研究意欲を論文として形にすることができたのは先輩方の培われてきた渡辺仁史研究室のよき研究風土のおかげだと実感しています。

2005年 11月

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図.エゴグラム・パターン分類別の特徴