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小児と成人とでは生理機能や心理精神構造が異なる.そこで,小児糖尿病を専門とした小 児科医もしくは小児・思春期医療に熟知した糖尿病専門医によってこの年代の特殊性に配慮 した治療をすることが大切である.糖尿病の治療のみにとどまらず,成長・発育に配慮した 治療を行う.この際,家族の協力やチーム医療は必須である ac.糖尿病教育ならびに心理的 ケアは,本人のみならず家族や保護者に対して十分に行う必要がある.学校関係者の理解も 重要であり,友人の協力が必要となる場合も多い. 日本人小児 1 型糖尿病の発症頻度は欧米白人に比べ低く,The DIAMOND Project Group 調査した,1990〜1999 年の世界 57 ヵ国 112 センターにおける 14 歳以下の 1 型糖尿病年齢調 整発症率の報告においても,日本を含むアジア人は欧米白人の約 1/20〜1/30 と推定され,日 本人の 1 型糖尿病の発症率は 1.5〜2.5(対10万人・年)と考えられている 1) .さらに自己免疫 機序の最も重要な要因となるヒト白血球抗原(human leukocyte antigenHLA)が欧米白人と 異なることが確認されている 2) .また 1 型糖尿病の臨床病型として,急性進行型(rapidly pro- gressive form)に加えて緩徐進行型(slowly progressive form)が少なからず存在している 3, 4) 一方,日本人の小児・思春期 2 型糖尿病の発症頻度は欧米白人に比べ高く,全国地方自治体 による学校検尿・糖尿病検診の報告では,発見率は 2.5〜3.5(対学童10万人・年)で,その発 見率は小学生に比べ中学生で有意に高い 5) .そして 80%以上の症例は肥満を有するが,約 15% の症例は肥満度が 20%未満の非肥満である 5) .また小児・思春期発症の糖尿病では“その他の 型”の糖尿病のうち,遺伝子異常に伴う糖尿病の頻度が成人発症の場合に比べ高いので 6) ,そ れぞれの病型を正確に判断し,病型に即した治療方針を計画することが重要である. 391 糖尿病診療ガイドライン 2016 18 小児・思春期における糖尿病 Q18-1 小児・思春期糖尿病の基本的治療方針は? 【ステートメント 小児・思春期糖尿病の治療の方針は,各年代の成長・発達,理解度に即したものとし,精神 的に未熟であることに対して十分配慮すべきである a, b

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小児と成人とでは生理機能や心理精神構造が異なる.そこで,小児糖尿病を専門とした小児科医もしくは小児・思春期医療に熟知した糖尿病専門医によってこの年代の特殊性に配慮した治療をすることが大切である.糖尿病の治療のみにとどまらず,成長・発育に配慮した治療を行う.この際,家族の協力やチーム医療は必須である a〜c).糖尿病教育ならびに心理的ケアは,本人のみならず家族や保護者に対して十分に行う必要がある.学校関係者の理解も重要であり,友人の協力が必要となる場合も多い.

日本人小児 1 型糖尿病の発症頻度は欧米白人に比べ低く,The DIAMOND Project Group が調査した,1990〜1999 年の世界 57 ヵ国 112 センターにおける 14 歳以下の 1 型糖尿病年齢調整発症率の報告においても,日本を含むアジア人は欧米白人の約 1/20〜1/30 と推定され,日本人の 1 型糖尿病の発症率は 1.5〜2.5(対 10 万人・年)と考えられている 1).さらに自己免疫機序の最も重要な要因となるヒト白血球抗原(human leukocyte antigen:HLA)が欧米白人と異なることが確認されている 2).また 1 型糖尿病の臨床病型として,急性進行型(rapidly pro-

gressive form)に加えて緩徐進行型(slowly progressive form)が少なからず存在している 3, 4).一方,日本人の小児・思春期 2 型糖尿病の発症頻度は欧米白人に比べ高く,全国地方自治体による学校検尿・糖尿病検診の報告では,発見率は 2.5〜3.5(対学童 10 万人・年)で,その発見率は小学生に比べ中学生で有意に高い 5).そして 80%以上の症例は肥満を有するが,約 15%の症例は肥満度が 20%未満の非肥満である 5).また小児・思春期発症の糖尿病では“その他の型”の糖尿病のうち,遺伝子異常に伴う糖尿病の頻度が成人発症の場合に比べ高いので 6),それぞれの病型を正確に判断し,病型に即した治療方針を計画することが重要である.

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糖尿病診療ガイドライン 2016 18小児・思春期における糖尿病

Q18-1 小児・思春期糖尿病の基本的治療方針は?

【ステートメント】� 小児・思春期糖尿病の治療の方針は,各年代の成長・発達,理解度に即したものとし,精神

的に未熟であることに対して十分配慮すべきである a, b).

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1 型糖尿病は,膵 β 細胞の破壊による内因性インスリン不足により発症し,通常は絶対的なインスリン欠乏に陥る.その原因により,膵島特異的な自己免疫現象による自己免疫性(1A

型)と,自己免疫の関与が明らかでない特発性(1B 型)に分類されるが,前者が 80〜90%を占める d).臨床経過からみた分類では,急性進行型と緩徐進行型 3)に分類されるが,欧米白人と違い後者の頻度が高いことが特徴である 4).他方急速な臨床経過を示し,原因に自己免疫が関与しない劇症型(fulminant form)は小児では報告例が少ない 7).

1 型糖尿病の診断では,インスリ分泌の低下〜欠乏と膵島特異的な自己抗体の検出が有力な指標になる d, e).インスリ分泌の低下〜欠乏に関しては,急性進行型では空腹時 C-ペプチド値 0.6 ng/mL 未満が有力な指標になるが e),グルカゴン負荷試験の C-ペプチド頂値 1.0 ng/mL

未満,24 時間尿中 C-ペプチド値 20 µg 未満であれば,内因性インスリン分泌不全があると考える a).しかし緩徐進行型では,診断から 2〜4 年は比較的内因性インスリン分泌能が保たれる症例が多い 3, 4).膵島特異的な自己抗体の検出では,急性進行型,緩徐進行型ともに 70〜90%の症例で,診断時において血中に膵島細胞抗体(islet cell antibody:ICA),インスリン自己抗体,GAD(glutamic acid decarboxylase)抗体,IA-2(insulinoma-associated protein-2)抗体のいずれか,または複数が検出される d).HLA に関しては,日本人特有のクラス Ⅱハプロタイプである DRB1*0405-DQB1*0401 と DRB1*0901-DQB1*0303 が疾患感受性ハプロタイプであり,DRB1*1502-DQB1*0601 と DRB1*1501-DQB1*0602 が疾患抵抗性ハプロタイプである 2).

日本人では非肥満 2 型糖尿病の頻度が欧米白人に比べて高いが,これらの症例は,診断時の臨床症状や検査所見だけでは 1 型糖尿病,特に緩徐進行型との鑑別が困難なことが多い.しかし,基本的に非肥満 2 型糖尿病や若年発症成人型糖尿病(maturity-onset diabetes of the

young:MODY)では膵島特異的な自己抗体は陰性であり,診断から少なくとも 2〜4 年以上は生命維持のために継続したインスリン治療を必要としない 8).これらを参考に後方視的に病型診断する必要がある.

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Q18-2 小児・思春期 1 型糖尿病をどのように診断するか?

【ステートメント】� 小児・思春期 1 型糖尿病の診断は,内因性インスリンの進行性の分泌低下~欠乏を証明す

ることにあるが,大多数(70~90%)では血中に膵島特異的な自己抗体が検出される d).

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小児・思春期 1 型糖尿病においては,個々の患者の普段の食習慣や運動習慣,身体活動強度とインスリン治療をうまく組み合わせることが必要である a〜c).心身の正常な成長と発育のためには,食事や運動とインスリン療法に柔軟性を持たせることを考慮しなければならない.特に思春期以降は,患者の生活習慣を把握し,糖尿病の治療を生活習慣に合わせていく.小児・思春期の血糖コントロールの目標を表 1 に示すが g),患者の年齢が 18 歳以上であれば成人と同じ目標を適用する.小児,特に年少者では,重症低血糖の発生を避けることを第一目標とし,無為に目標血糖値の達成を目指すのではなく,年齢や生活様式に応じた個々人に適

18 小児・思春期における糖尿病

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Q18-3 小児・思春期 1 型糖尿病をどのように治療するか?

【ステートメント】� 治療の目標は,血糖コントロールによる合併症の予防と,社会的・精神的に健全な状態を保

つことである a, b).� 小児・思春期 1 型糖尿病においてインスリン注射は必須であり,診断がつき次第インスリ

ン治療を開始する a, b).� 食事療法の基本は,摂取エネルギーの制限を行うのではなく,正常な成長発育に必要十分な

年齢・性別に即したエネルギーを摂取させることにある a, b).� 進行した合併症がなく,血糖コントロールが落ち着いている限り,運動療法としてすべての

スポーツを勧める a, b).� 低血糖は認知機能障害をもたらす可能性があり,6~7 歳以下の患者は低血糖を認知できな

いで重症低血糖となる可能性を考慮して低血糖対策を行う必要がある.また低血糖のみならず,高血糖の持続も認知機能の障害と関連する f).

表1 血糖コントロールの目標値コントロールの水準 理想(非糖尿病) 適切 不適切(介入提議) ハイリスク(介入必要)臨床的評価高血糖 高血糖なし 無症状 多飲,多尿,夜尿 視力障害,体重増加不良,発

育不良,思春期遅延,学校出席不良,皮膚または外陰部感染,血管合併症の所見

低血糖 低血糖なし 軽度の低血糖,重症低血糖なし

重症低血糖の発生(意識障害,痙攣)

生化学的評価SMBG 値(mg/dL) 早朝,食前 65~100 90~145 > 145 > 162PG(mg/dL) 食後PG 就寝時PG 夜間PG

80~12680~10065~100

90~180120~180< 80~161

180~250< 120 or 180~200< 75 or > 162

> 250< 80 or > 200< 70 or > 200

HbA1c(%) < 6.05 < 7.5 7.5~9.0 > 9.0注1)示した目標値はガイドラインとしての値であり,重症低血糖や頻回の軽度~中等度の低血糖を起こさず,できる限り正常血糖に近い血糖値を達成するよう各症例に適した目標値を持つべきである.

2)示した目標値は,重症低血糖の既往や無自覚低血糖の有無などの要因により,各症例で調節されるべきである.3)PGは SMBGによる血漿血糖値である.(文献 gより改変引用)

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した血糖コントロールの目標を持つべきである g).そして最終的な治療目標は,血糖コントロールによる合併症の予防と,社会的・精神的に健全な状態を保つことである.小児・思春期の HbA1c を目標値に保つことにより,慢性血管合併症の発生と進行を抑制することが示されている 9, 10).

小児・思春期 1 型糖尿病のインスリン療法の基本は強化インスリン療法であり,各食前に追加インスリンを注射し,1 日 1〜2 回基礎インスリンを注射する g).1 日のインスリン使用量は,おおよそ 0.5〜1.5 単位/kg・体重であり,追加インスリンと基礎インスリン量の比率は,基礎インスリンが全体の 30〜40%になる h).しかし,思春期には主に成長ホルモンの分泌が増大し,インスリン抵抗性が生理的に増大するので,体重 1 kg あたりのインスリン使用量は,思春期前より思春期に入ってから増加することが多い b, 11, 12).

超速効型インスリンを用いた頻回注射法は,速効型インスリンと比較して血糖コントロールはやや優り,低血糖発作の頻度,生活の質(quality of life:QOL)の向上の面で優れていることが明らかにされている 13〜15).さらに超速効型インスリンは食事が不規則な年少児やシックデイにおいて,食事の摂取量をみながら食間あるいは食直後に投与することも可能である h, 13).一方基礎インスリンに関しては,16 歳未満の日本人小児 1 型糖尿病を対象とした多施設共同研究の結果,持効型溶解インスリンは中間型インスリン(NPH)と比較して,朝食前血糖値および HbA1c を有意に改善することが確認されている 16).また海外の報告では,6 歳未満の 1型糖尿病においても,血糖コントロールと低血糖頻度は NPH と統計学的に同等であると報告されている 17).

一方,持続皮下インスリン注入療法(continuous subcutaneous insulin infusion:CSII)は,インスリン頻回注射法を行っても血糖値の変動が激しく目標とするコントロールが得られない場合でも,生活の自由度を保ちつつ血糖コントロールを得られるという利点がある i, 18)ので,欧米では小児期から頻用されている.日本でも年少児を含めて CSII の使用は増加している.CSII の小児の適応は,①重症低血糖が反復する症例,②血糖値の変動が大きい症例,③血糖コントロールが不良な症例,④大血管症のリスクが高い症例,⑤生活様式にあったインスリン注射法を選択したい症例,などである h〜j).乳幼児では,毎日の生活様式や食事の摂取量が一定しないため,これらに合わせてインスリンの投与量を変更する必要があり,更に頻回の注射手技に伴う苦痛を軽減できるために CSII を使用する場合が多い h〜j).また思春期でも,生活様式に応じて柔軟性をもってインスリン投与を変更できることから,CSII を使用する症例が増加している.

近年,CGM(continuous glucose monitoring)さらにはリアルタイムに血糖値が表示されるCGM が小児・思春期 1 型糖尿病でも血糖コントロールの手段として利用できるようになった.そしてリアルタイム CGM と一体化したインスリンポンプ(sensor-augmented insulin-

pump:SAP)が 2015 年になり日本でも利用できるようになったが,小児・思春期症例では,SAP を長期間使用するアドヒアランスが成人に比べ低いことが指摘されており,結果として成人に比べ HbA1c の改善は少ない 19).食事療法の基本は,正常な発育のために必要十分なエネルギーの摂取,良好な血糖コントロールの維持,そして重症低血糖を起こさないようにすることである a〜c).学校保健統計に用いられている性別,年齢別,身長別の標準体重の数値は表 2 によって求められる.必要なエネルギー量は,思春期で最大(上限の目安は,16 歳の男児 2,750 kcal,14 歳の女児 2,300 kcal)となり,その後徐々に減少していく a).食育指導ではバランスのとれた食事の質を保つことを大切にする 20, 21).一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸

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を含んだ食事 22)や GI(glycemic index)の低い食事が血糖コントロールを改善する 23)という報告もある.

食事の炭水化物量に応じて食前の追加インスリン注射量を調節するカーボカウントが,超速効型インスリンの使用とともに普及してきている a〜c).しかし,カーボカウントのみに固執すると摂取する栄養素のバランスを欠くこともあり,日本人での 1 日食事摂取エネルギーの 50〜60%が炭水化物であることも指導する.また,単純糖質が多いと血糖上昇が急峻なこと,一方,たんぱく質や脂肪の多い食事では血糖上昇が遅延することも指導する a〜c).

運動療法は,進行した合併症がなく,血糖コントロールが落ち着いている限りは積極的に推奨し,競技を含めたすべてのスポーツを許可する.運動時は血糖値を 80 mg/dL 以上に保つようにインスリン量の調節を行い,必要に応じて補食を摂取させる a〜c).

低血糖はインスリン投与量と食事摂取量および運動量のミスマッチの結果発症する.小児科領域では,血糖値 65 mg/dL 未満を低血糖として扱うことが多いが,臨床的に治療を要するのは 70 mg/dL 未満と考えるのがよい f).低血糖は 1 型糖尿病の最も多い急性合併症であるが,重症低血糖の頻度 f)は,強化インスリン療法の導入初期には増加したが 9),強化インスリン療法の蓄積とインスリンアナログ製剤の出現により減少し 24),近年重症低血糖の頻度は頻回注射法や CSII を行っている小児・思春期 1 型糖尿病では年間 100 人あたり 25.5〜2.7 人まで低下している 25〜27).一方乳幼児では,低血糖を認知できない可能性がある a〜c).さらに低年齢で重症低血糖が発症するほど,認知機能障害が発生するリスクが高い 28, 29).また,学童・思春期以降では,血糖コントロール不良または高血糖の持続がむしろ認知機能障害に関連する 29).

低血糖の発症を予防する対策としては,まずインスリン注射の方法(量・時間)やエネルギー

18 小児・思春期における糖尿病

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表2 日本人小児の年齢・性別・身長別の標準体重の計算法  係数

年齢男 女

a b a b5 0.386 23.699 0.377 22.7506 0.461 32.382 0.458 32.0797 0.513 38.876 0.508 38.3678 0.592 48.804 0.561 45.0069 0.687 61.390 0.652 56.99210 0.752 70.461 0.730 68.09111 0.782 75.106 0.803 78.84612 0.783 75.642 0.796 76.93413 0.815 81.348 0.655 54.23414 0.832 83.695 0.594 43.26415 0.766 70.989 0.560 37.00216 0.656 51.822 0.578 39.05717 0.672 53.642 0.598 42.339

解説1)身長別標準体重は表中の各性別・年齢別の係数を用いて下記の式により求める.   身長別標準体重(kg)= a×(実測身長)- b2)肥満度は下記の式により算出し,学校保健統計では+20%以上を肥満としている.+30%以上を中等度肥満,+50%以上を高度肥満とする.   ±肥満度(%)=(実測体重-標準体重)/標準体重×100(財団法人日本学校保健会『児童生徒の健康診断マニュアル(改訂版)』平成18年)

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(補食を含む)摂取に留意する必要がある f).そして低血糖の発症を予防する新しい対策として,リアルタイム CGM の使用 30, 31)やある一定の血糖値以下になると低血糖アラームが鳴り,その後気づかなければ一定の時間自動的にインスリン供給が中止できるシステムを持つ SAP

は 32),特に無自覚低血糖を有する症例で,夜間低血糖や重症低血糖の発症を予防する効果があると報告されている.

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小児・思春期 2 型の約 80%は肥満度(実測体重-標準体重を標準体重で割った値 × 100)が20%以上の肥満小児である 5).1 型糖尿病に比して軽度な症状により,学校検尿糖尿病健診などの偶然の検査で発見されることが多いが,清涼飲料水の多飲などを契機にケトアシドーシスで発症することもある a, 5).発症は小学生より中学生で多い.これには思春期におけるインスリン抵抗性が関与している可能性がある 5).日本の 2 型糖尿病は糖尿病の家族歴が多く,非糖尿病対照児に比べ出生体重が低体重または高体重である割合が高い 33).原則として,非肥満例を含め膵島特異的な自己免疫は発症に関与しない 8).身体所見の特徴として,インスリン抵抗性を示す黒色表皮腫を高頻度に認める a, k).これらのことから,思春期以降の発症で,濃厚な糖尿病の家族歴を示し,肥満を有しかつインスリン抵抗性を示す身体所見を認め,血中に膵島特異的な自己抗体が検出されないことが診断の有力な指標になる a, k).糖尿病診断のためにOGTT を行う際は,体重 × 1.75 g(標準体重を用いても可,最大 75 g)のブドウ糖を負荷する.高血糖の判定区分ならびに糖尿病の診断は成人と同じである a).多くの症例で発症初期は空腹時のインスリンは高値であるが,ブドウ糖静注負荷時の急性相インスリン分泌の低下がみられる 34).

18 小児・思春期における糖尿病

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Q18-4 小児・思春期 2 型糖尿病をどのように診断するか?

【ステートメント】� 糖尿病診断のために経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose tolerance test:OGTT)を行う

際は,体重×1.75g(標準体重を用いても可,最大 75g)のブドウ糖を負荷する.高血糖の判定区分ならびに糖尿病の診断基準は成人と同じである a).

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小児・思春期 2 型糖尿病の治療の目標は,食生活ならびに運動習慣を改善することによって,インスリン抵抗性ならびに代謝を改善し,血糖コントロールを正常化させることにある a).2 型糖尿病においても,思春期では摂食障害などにより血糖コントロールが困難になることがある.小児 2 型糖尿病は,通常自覚症状が乏しいために治療に対する動機づけが難しい.したがって,通院が不定期になりやすく,通院を中断する症例もある.その結果として 1 型糖尿病よりも短い期間で慢性血管合併症が進行するリスクが高いことが報告されている 35, 36).診断時から患児とその家族に糖尿病教育を行い,さらには個々人の家族背景や心理・社期的問題も考慮し,治療の中断を防ぐ.

食事療法は,正常な成長と発育を促し,かつインスリン抵抗性を改善することを目標とする.肥満を伴う症例に関しては性別・年齢の標準体重に対するエネルギー必要量の 90〜95%程度に制限することもあるが,長期的に維持可能な指示エネルギーにより指導を行うことが肝要である a, l).栄養の配分は,「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」に従い,年齢毎に定める.食事指導では,適切な食品を選び,食事量のコントロールができるように患児およびその家族にも指導を行い,この習慣を一生続けられるように支援する.

運動療法に関しては,患児の日常生活を把握して,楽しみながら運動量を増やせるように,実行可能な運動メニューを作成する.基本的には毎日 30 分以上体を動かし,1 日摂取エネルギーの最低 10%以上を運動で消費できるようにする a, l).進行した合併症がない限り運動を制限しない.運動療法に定型はなく,活動的な生活を行うことによって日々の活動エネルギーを増やすようにする.食事および運動療法は,本人のみでなく家族全体の生活習慣の見直しによってうまくいく場合が多い.

また肥満を伴うときには,肥満の原因に家庭・学校・社会での問題を抱えての不登校や引き籠りが関与していることも少なくない a, k).

小児・思春期 2 型糖尿病の薬物療法では,食事療法ならびに運動療法のみで継続して血糖コントロールが得られるのは 60〜70%程度であり,残りの症例において薬物療法が行われている a, 37).小児糖尿病を対象とした経口血糖降下薬の臨床試験はほとんど行われていない.アメリカの症例の大半は最終的に薬物療法が必要になる k)という.

薬物療法の適応は十分な食事・運動療法を行っても,これらに抵抗して血糖コントロール

Q18-5 小児・思春期 2 型糖尿病をどのように治療するか?

【ステートメント】� 小児・思春期 1 型糖尿病に準じ,血糖コントロールによる慢性合併症の予防と,社会的・

精神的に健全な状態を保つことである.細小血管症および大血管症の早期合併の発症予防には,早期からの悪化要因への介入が重要である a, k).

� 食事療法の基本は食事制限ではなく,正常な成長発育に必要十分な年齢・性別に即したエネルギーを摂取させることである.肥満を伴う場合は,標準体重に対するエネルギー必要量の90~95%程度に調整し,栄養バランスを整える a, l).体重減少を目的に有酸素運動を中心に行い,または身体活動度を増加させ,消費エネルギーの増大を図る a, l).

� 食事療法ならびに運動療法を行っても,目的とした血糖コントロールが得られない場合には,薬物療法を開始する a, k).ケトアシドーシスがある場合や経口血糖降下薬によっても十分なコントロールが得られない場合には,インスリンを使用する a, k).高血圧ならびに脂質異常症が合併する場合は,これらについても治療する a, k).

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が改善しない場合である.肥満症例の多くは,食事・運動療法により体重が減少すると比較的短期間で血糖コントロールが改善するが 38),非肥満例では薬物療法に移行することが多い 9).一般的には初期治療の指針として,高血糖の症状がなく,HbA1c 9.0%未満でケトアシドーシスを認めない場合は,メトホルミンの内服から開始する.高血糖の症状があり,HbA1c 9.0%以上でケトアシドーシスを認めない場合は,メトホルミンの内服あるいは基礎インスリンの補充から開始する. そしてケトアシドーシスを認める場合には 1 型糖尿病に準じた治療を行う a, k, l).

経口血糖降下薬の使用に関しては,小児においてその使用が承認されていないものが多い.日本で適用が承認されているのは,メトホルミン(10 歳以上)とスルホニル尿素(sulfony-

lurea:SU)薬のグリメピリドのみである.海外および日本の報告でも,肥満および非肥満の2 型糖尿病に対して,メトホルミンが有効かつ安全であると報告されている 39〜42).その他の糖尿病治療薬は「小児などに対する安全性は確立していない」ことを本人ならびに保護者に伝え,使用に際しては説明に基づいた同意を得るようにする a).

一方,感染,ストレス,清涼飲料水ケトーシスなどによるケトアシドーシスや,経口血糖降下薬によって十分なコントロールが得られない場合はインスリンを使用する a, k).非肥満 2 型糖尿病では,経時的な内因性インスリン分泌の低下に伴いインスリン治療に移行する症例が多く,このような症例では追加インスリンの補充や 1 型糖尿病に準じたインスリン治療を必要とする場合がある 8).

動脈硬化のリスクファクターである脂質異常症や高血圧が合併する場合は,生活習慣の改善によってこれらの病態の改善を図ることが原則である.改善しない場合は,薬物により治療する a, k).

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生後 6 ヵ月までに発症した糖尿病は原因として共通の要因が多いため,一括して新生児糖尿病として扱われる.新生児糖尿病は約 30 万人に 1 人の頻度で発症し,発症に自己免疫が関与することはまれである.新生児糖尿病は大別して,一過性新生児糖尿病(transient neonatal

diabetes mellitus:TNDM)と持続性新生児糖尿病(permanent neonatal diabetes mellitus:PNDM)に分類されるが,TNDM が新生児糖尿病全体の 50〜60%を占める a, m).

TNDM は生後 1 年までに血糖値が回復することが多いが,年長児になって再発することもある.TNDM の最も多い原因は,6 番染色体長腕の 6q24 部位の父親由来アリルの過剰発現により発症する 42).これ以外の原因として,後述する PNDM の原因遺伝子として同定されたKCNJ11 遺伝子異常,ABCCB8 遺伝子異常の変異が TNDM の病態を示すこともある.

PNDM の最も多い原因は,膵 β 細胞上の ATP 感受性カリウムチャネルを構成する 2 つのサブユニットである Kir6.2(KCNJ11 遺伝子)と SUR1(ABCCB8 遺伝子)の活性型ヘテロ接合性の変異とインスリン遺伝子の機能喪失型ヘテロ接合性である 44).KCNJ11 遺伝子異常によるPNDM では,糖尿病以外に精神発達遅滞やてんかんを合併する DEND(developmental

delay,epilepsy,neonatal diabetes)症候群の存在が知られている.またインスリン遺伝子異常による PNDM では,家系内の同様の変異でも乳児期以降の発症が認められている 45).

治療に関しては,大半の症例は診断早期においてはインスリンにより治療されるが,近年は微量なインスリンを基礎インスリンとして供給し,哺乳ごとに摂取量に応じて追加インスリンを投与できる CSII が用いられるようになった m).また KCNJ11 遺伝子異常,ABCCB8 遺伝子異常では SU 薬の使用が有効であり,インスリン治療からの離脱が可能である症例が報告されている 38, 43).

Q18-6 新生児糖尿病の診断と治療をどのように行うのか?

【ステートメント】� 大別して,一過性と持続性に分類されるが,診断には責任遺伝子の解析が必要である m).� KCNJ11 遺伝子異常,ABCCB8 遺伝子異常では,SU 薬が有効でインスリン治療からの

離脱が可能である 38, 43).

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現在も小児・思春期糖尿病に対する誤解や偏見は存在する.特に 1 型糖尿病では,糖尿病という言葉だけから連想される生活習慣の乱れから発症する 2 型糖尿病と混同され,また日本では 1 型糖尿病の数が少ないため,不当な扱いや学校生活での制限を受ける場合が少なくない.学校においても,患児にとって最適な治療が行われるべきであり,学校でのインスリン注射や血糖自己測定,低血糖時の補食などを患児にかかわるすべての学校関係者が理解し,これらの手技がスムーズに行えるよう支援すべきである a, n).そして部活動,宿泊行事を含むすべての学校行事には制限はなく,学校側は糖尿病を持たない子ども達と同様に学校活動が行えるような支援体制をつくるように配慮する a, n).一方近年増加している 2 型糖尿病に関しても,患児は家庭環境に問題を抱え,心理・社会的支援を必要としている場合があるので,このような点についても十分配慮する必要がある.

小児・思春期 1 型糖尿病患児において,精神的な要因が糖尿病管理とその予後に重要な影響を与えることが報告されているため,十分な配慮と対処が必要である a, n, 1).特に診断時の初期段階に心理的問題が発生するリスクが高く,いったん適応障害が生じると,その後も持続する可能性が極めて高い.したがって,心理専門家やソーシャルワーカーとチームになって,発症初期から心理的ケアを考慮した診療に心がけるべきである a, n, o).また小児期発症 1 型糖尿病の場合,家族がその治療と管理にかかわる割合が大きいが,家族内の問題や責任転嫁や治療法への葛藤が,患児の治療への適応障害や血糖コントロールに関係する 1).そして糖尿病治療に対する支援が確立されている家庭では,治療のアドヒアランスが良好である 46).このように家庭環境と患児の QOL,血糖コントロールには関係があるため,患児とその家族に対する心理指導は糖尿病治療の重要な要素になっている.

また糖尿病の女性は,食行動異常を高率に発症し,また食行動異常は血糖コントロールの悪化と関係している 47).思春期の糖尿病女性の約 10%が食行動異常の診断基準を満たし,それは一般の 2 倍であることが報告されている 48).食行動異常を適切に治療しないと,食行動異常とインスリンオミッション(インスリン自己中止ないしインスリン自己中断)などの問題行動が時間とともに悪化し,将来の合併症発症に大きな影響を与える 49, 50).

家族教育においても,小児・思春期糖尿病を熟知する多種職の専門家で構成された糖尿病チームによるチーム医療が必須であり,発症後から各個人の成熟度に即して,糖尿病ならびに今後の治療について十分教育する必要がある a, n).糖尿病チームは,家庭の背景や家族機能を聞き出し,個々の家族に応じた糖尿病教育を計画する.計画の実行にあたっては,糖尿病が大きな負担になっていることを配慮し,こまやかな対応を行う.

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Q18-7 患児・家族の支援をどのように行うのか?

【ステートメント】� 学校においても,患児にとって最適な治療が行われるべきである a, n).� すべての学校行事に参加すべきであり,学校側は支援する体制をつくるよう配慮する n).� 精神的な要因が糖尿病管理とその予後に重要な影響を与えるため,心理指導にあたっては各

個人の成熟度に即した十分な配慮と対処が必要である o, 46).� 発症後から各個人の成熟度に即して,糖尿病ならびに今後の治療について家族に対して十分

教育する必要がある n).� キャンプの目的・意義は,糖尿病をもっていても自立した成人に成長していくことを援助す

ることであり,医療キャンプとしてのプログラムの他レクリエーション行事も含まれる a).

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指導法としては,発症初期,初期教育(入院)後,発症 1 年後とその後の時期により内容を変えて,糖尿病管理とその治療法を段階的に教育する.すなわち,発症初期の家族教育は診断と同時に始めるべきである.しかし,発症直後の両親や患児の多くは大きな衝撃を受けて,一時的ではあるが抑うつ状態や心的外傷後ストレス障害になりやすい a, o).こうした状態では,糖尿病管理にかかわる多量な情報を一度に受け入れることは困難であるため,個々人や経過に合わせて指導を行うようにする.また,患児の年齢により病気に対する理解度が異なるために,患児の年齢と成熟度に合わせて適切な指導を患者とその家族に行う必要がある.思春期の患者と両親に教育プログラムによる介入を行うと,親子間の関係が改善することがある a, n).小児科医から内科医への移行のタイミングは症例ごとに異なる.本人とよく話し合い,小児科医と内科医が連絡を密に行い,大学進学や就職などの機会を捉えて移行することが望ましい.

現在のキャンプの多くは,実施日数が 2〜7 泊で,内容は糖尿病教育,インスリン注射や血糖自己測定手技の獲得,参加者同士のグループディスカッションなどを主とした医療キャンプであるが,登山や球技大会,海水浴などのレクリエーションも含まれている.スタッフの構成はボランティアが大半で,医療スタッフ,看護スタッフ,栄養スタッフ,生活スタッフなどから成る.キャンプの運営費用は,参加者からの参加費,日本糖尿病協会や地区の糖尿病協会からの補助金,企業や個人からの寄付で賄われている a).

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文 献

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18 小児・思春期における糖尿病

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1)DIAMOND Project Study Group, 2006

コホート研究[レベル 3]

2)Sugihara S et al, 2012横断研究

[レベル 4]

3)Urakami T et al,1989横断研究

[レベル 4]

4)Urakami T et al, 2008横断研究

[レベル 4]

5)Urakami T et al, 2007横断研究

[レベル 4]

6)Yorifuji T et al, 2012横断研究

[レベル 4]

7)Urakami T et al, 2002横断研究

[レベル 4]

8)Urakami T et al, 2013横断研究

[レベル 4]

9)DCCT Research Group, 1994

RCT サブ解析[レベル 2]

10)DCCT/EDIC Research Group, 2001

コホート研究[レベル 2]

11)南 昌江ほか, 1993後ろ向きコホート研究

[レベル 3]

1型 糖 尿 病 ,0〜 14歳(世 界57ヵ国,112センター参加)[日本人を含む].

1型糖尿病,1〜18歳(430人)[日本人].

1型糖尿病,1〜15歳(40人)[日本人].

緩徐進行型1型糖尿病,7〜15歳(54人)[日本人].

2型糖尿病7〜15歳(236人)[日本人].

MODY,小児(80人)[日本人].

1型糖尿病,1〜18歳(85人)[日本人].

2型糖尿病,7〜15歳(218人)[日本人].

1型糖尿病,13〜17歳(195人).

1型糖尿病,13〜17歳(175人).

1型糖尿病,8歳未満発症(15人)[日本人].

世界各国の1型糖尿病発症率の比較.

日本人小児期発症1A型患者および149組の両親-同胞でのHLAクラスⅡとⅠを解析.

急性発症1型糖尿病と緩徐進行型1型糖尿病の臨床的特徴の比較.

主に東京都のデータを中心にして,学校検尿・糖尿病検診で発見された緩徐進行型1型糖尿病の発見率と臨床的特徴.

東京都のデータを中心にして,学校検尿・糖尿病検診で発見された2型糖尿病の発見率と臨床的特徴を調査.

日本人MODY家系における包括的MODY遺伝子の解析.

小児1型糖尿病のなかで特発性劇症型1型糖尿病の頻度と特徴を調査.

肥満度20%未満の非肥満例と20%以上の肥満例で診断時の臨床的特徴を比較.

強化インスリン療法,従来インスリン療法で臨床効果を比較

[平均7.4年間].

強化インスリン療法,従来インスリン療法の介入終了後4年間で臨床効果を比較[RCT後の観察研究].

インスリンの1日平均使用量を20年以上の経過で観察.

北欧の1型糖尿病発症率は30〜40(対10万人・年)で,日本を含むアジア人は1.0〜3.0(対10万人・年)であり,欧米白人の約1/20〜1/30の発症頻度であると推定された.

日本人小児期発症1A型糖尿病ではHLAクラスⅡおよびクラスⅠに特異な関連が証明された.

従来報告されていた急性発症1型糖尿病と異なる臨床経過を示す緩徐進行型1型糖尿病が存在することを示した.

発見率は0.57(対学童10万人・年)で,小児・思春期1型糖尿病の約30%が緩徐進行型と推察された.

発見率は2.5〜3.5(対学童10万人・年)で,その発見率は小学生に比べ中学生で有意に高く,80%以上の症例は肥満を有した.

従来アジア人成人でのMODY遺伝子の解析より高頻度でMODY遺伝子が同定された.GCK遺伝子異常が最も多かった.

85人中6人が日本糖尿病学会の定義に合致する劇症型1型糖尿病であった.

非肥満例は全例で膵島関連自己抗体は陰性であり,肥満例に比べインスリン抵抗性は軽度で,インスリン分泌能が低下している.

強化インスリン療法は思春期症例の,網膜症,腎症の発症・進展の抑制に有効である.

強化インスリン療法の効果はDCCT終了後の4年間においても,血糖コントロールの差は消失したが,網膜症の発症・進展の抑制に有効であった.

思春期において平均1日インスリン使用量は増加し,20歳以降では減少した.

論文コード 対 象 方 法 結 果

アブストラクトテーブル

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12)Urakami T et al, 2014横断研究

[レベル 4]

13)Urakami T et al, 2004横断研究

[レベル 4]

14)Holcombe JH et al, 2002

RCT[レベル 1]

15)Downie E et al, 2011横断研究

[レベル 4]

16)Danne T et al (the PRESCHOOL study), 2013

RCT[レベル 1]

17)Urakami T et al, 2014前後比較試験[レベル 3]

18)Danne T et al, 2008横断研究

[レベル 4]

19) The Juvenile DiabetesResearch Foundation Con-tinuous Glucose MonitoringStudy Group, 2008

RCT[レベル 1]

20)Overby NC et al, 2007ケースコントロール研究

[レベル 3]

21)Overby NC et al, 2007横断研究

[レベル 4]

22)Donaghue KC et al, 2000

RCT[レベル 1]

23)Gilbertson HR et al, 2001

RCT[レベル 1]

24)Holcombe JH et al, 2002

RCT[レベル 1]

0〜10>歳,10〜<20歳,20〜<25歳の3グループ(69人)

[日本人].

1型糖尿病,18歳以下(944人)[日本人].

1型糖尿病,9〜18歳(481人).

1型糖尿病,12〜20歳(1,604人).

1型糖尿病,6>歳(125人).

1型糖尿病,16>歳(113人)[日本人].

1型糖尿病,0〜18歳(1,041人).

1型糖尿病,8〜14歳,15〜24歳,25<歳の3グループ(322人).

1型糖尿病,9〜13歳(177人).

1型糖尿病,2〜19歳(550人).

1型糖尿病,14〜21歳(23人).

1型糖尿病,8〜13歳(104人).

1型糖尿病,9〜18歳(463人).

1日の総インスリン量に対する基礎インスリン量の比率 を比較.

速効型インスリン,超速効型インスリンの比較.

速効型インスリン,超速効型インスリンの比較[16週間].

1990〜2009年の間を4期にわたり,治療法およびHbA1cなどを比較.

インスリングラルギンとNPHの有効性と安全性の比較[24週間].

NPHからインスリングラルギン へ 変 更 後 の 空 腹 時 血 糖 ,HbA1c,低血糖頻度の推移を比較[24週間].

CSIIによるHbA1c値,重症低血糖頻度を年代別に比較[3ヵ月間].

CGM一体化CSII(SAP)による血糖値,HbA1の推移を年代別に比較し,CGM使用頻度との関係を検討した[26週間].

非糖尿病対照群(1,809人)と4日間の食事内容調査比較.

血糖コントロール状況別に4日間の食生活を検討.

高一価不飽和脂肪食(12人),通常食(11人)[12週間].

炭水化物食(49人),低GI食(55人).

インスリンリスプロと速効型インスリンの臨床効果の比較[4ヵ月間].

10〜<20歳の思春期年齢に一致するグループは他に比べ基礎インスリンの比率が有意に高かった.

超速効型インスリンはQOLを改善した.その使用方法は個人の要求に応じて異なった.

超速効型インスリンでは有意に食後血糖が改善し,夜間低血糖も減少した.

強化インスリン療法の進歩により4年ごとの4期で網膜症合併が連続的に減少している.

血糖コントロールおよび低血糖頻度は両者で同等であった.

血糖コントロールの有意な改善がみられ,低血糖頻度は増加せず,インスリングラルギンの有効性と安全性が確認された.

幼児および学童期は思春期よりHbA1cは低く,追加投与が多い人もHbA1cは低かった.

小児・思春期症例では,SAPを長期間使用するアドヒアランスが成人に比べ低く,結果として成人に比べHbA1cの改善は少なかった.

糖尿病群では飽和脂肪酸の摂取が多く,繊維と野菜の摂取が少なかった.

食物繊維摂取と定期的な食事を摂り,または砂糖添加やソフトドリンクが少なく果物野菜の摂取が多い者は血糖コントロールがよい.

高一価不飽和脂肪食摂取では通常食に比べ有意にHbA1cが改善した.

GIの低い食事は低血糖を増やすことなくHbA1cを改善する.

インスリンリスプロは食後血糖の改善と1日,夜間の低血糖頻度の減少に有用である.

論文コード 対 象 方 法 結 果

18 小児・思春期における糖尿病

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25)Alemzadeh R et al, 2005横断研究

[レベル 4]

26)広瀬正和ほか, 2009前後比較研究[レベル 3]

27)Urakami T et al, 2014コホート研究[レベル 3]

28)Hershey T et al, 2005ケースコントロール研究

[レベル 3]

29)Musen G et al, 2008コホート研究[レベル 2]

30)Bergenstal RM, 2011RCT

[レベル 1]

31)Ly TT et al, 2011RCT

[レベル 1]

32)Ly TT et al, 2013RCT

[レベル 1]

33)Sugihara S et al, 2008横断研究

[レベル 4]

34)Kobayashi K et al, 2000横断研究

[レベル 4]

35)Yokoyama H et al, 1997ケースコントロール研究

[レベル 3]

36)TODAY Study Group, 2013

横断研究[レベル 4]

37)Person ER et al, 2006前後比較研究[レベル 3]

1型糖尿病,7>歳(35人).

1型糖尿病,小児〜成人(76人)[日本人].

1型糖尿病,1〜歳(150人)[日本人].

1型糖尿病,6〜18歳(103人).

1型糖尿病,13〜19歳(249人).

1型糖尿病,7〜70歳(485人).

無自覚低血糖を有する1型糖尿病(12〜18人).

1型糖尿病,4〜50歳(95人).

2型糖尿病,9〜17歳(259人)[日本人].

非肥満青年,肥満青年,食事療法中の肥満2型糖尿病,薬物療法の既往のある肥満2型糖尿病,

(40人)[日本人].

2型 糖 尿 病 ,30歳 未 満 発 症(1,065人)[日本人].

2型糖尿病,15歳未満発症(517人)[東アジア人を含む].

KCNJ11遺伝子異常(49人).

1年以上頻回注射法により治療されている対象の重症低血糖の頻度を調査.

1年以上CSIIにより治療されている対象の重症低血糖の頻度を調査.

2003〜2013年のDKAおよび重症低血糖の発症頻度と原因の検討.

非糖尿病対象者(60人)と空間的記憶力を比較.

血糖コントロールおよび重症低血糖の約18年後の認知機能への影響を検討.

CGM 一 体 型 CSII:SAP( 244人)と,頻回注射法(241人)で臨床効果を比較[1年間].

リアルタイムCGM(6人)と標準(5人)で低血糖時のエピネフリン反応を比較)[4週間].

Low glucose suspension(LGS)を有するCSII(46人),通常のCSII(49人)で低血糖頻度を比較[6ヵ月間].

日本小児インスリン治療研究会に登録されている2型糖尿病の出生状況の調査.

インスリン抵抗性,インスリン感受性,急性相インスリン分泌反応をFSIGTおよびminimalmodel analysisで検討.

35歳までの増殖性網膜症進展した135人の背景を解析.

罹病期間2〜8年の網膜症罹患率を調査し,網膜症発症に関連する要因を解析.

インスリン治療からSU薬治療へ変更し,血糖コントロールの変化を観察.

頻回注射法により治療されている対象の重症低血糖頻度は年間100人あたり25.5であるが,柔軟性のある食生活を送ったほうが重症低血糖頻度は少ない.

CSII導入後の重症低血糖頻度は年間100人あたり2.7であり,導入前に比べ有意に減少している.

頻回注射法,CSIIで治療されていた対象の重症低血糖頻度は年間100人あたり4.1であった.

5歳以下の年齢で繰り返す重症低血糖の既往がある場合は空間的記憶に影響を及ぼした.

重症低血糖は長期間後の認知機能への影響を認めなかったが,HbA1c高値は精神運動および精神効率に関連した.

SAPではHbA1cが有意に低値を示したが重症低血糖頻度は同等であり,有意な体重増も認められなかった.

低血糖時のエピネフリン反応はCGMで有意に高かった.

HbA1cの変化には有意差がなかったが,中等度〜重症低血糖頻度がLGSで有意に減少した.

2,500g以下の低出生体重と4,000g以上の巨大児の割合が,非糖尿病者に比べ2型糖尿病で有意に高かった.

2型糖尿病の初期においては,インスリン抵抗性に加え,ブドウ糖静注負荷時の急性相インスリン分泌の低下がみられた.

若年発症2型糖尿病の網膜症進展は早く,定期的受診や治療を受けてない者に網膜症は多かった.

網膜症罹患率を13.7%に認め,年齢,罹病期間,平均HbA1cが網膜症発症と関連した.

90%の症例でSU薬の使用が有効であり,インスリン治療からの離脱が可能であった.

論文コード 対 象 方 法 結 果

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38)Sugihara S et al, 2005横断研究

[レベル 4]

39)Laffel L et al, 2012前後比較試験[レベル 3]

40)Jones KL et al, 2002RCT

[レベル 1]

41)松浦信夫ほか, 2008前後比較試験[レベル 3]

42)Mackay DJ et al, 2005横断研究

[レベル 4]

43)Rafiq M et al, 2008前後比較研究[レベル 3]

44)Edghill EL et al, 2008横断研究

[レベル 4]

45)Moritani M et al, 2013横断研究

[レベル 4]

46)Winkley K et al, 2006システマティックレビュー

[レベル 1]

47)Rydall AC et al, 1997コホート研究[レベル 2]

48)Jones JM et al, 2000ケースコントロール研究

[レベル 3]

2型糖尿病,12〜17歳(259人)[日本人].

2型糖尿病,10〜17歳(927人)[東アジア人を含む].

2型糖尿病,10〜16歳(82人).

2型糖尿病,10〜20歳(47人)[日本人].

一過性新生児糖尿病45人.

ABCCB8遺伝子異常(27人).

2歳未満発症の糖尿病(285人),MODY(296人),45歳未満発症2型糖尿病(463人).

5歳未満で膵島関連自己抗体陰性の1型糖尿病(1B型糖尿病)34例[日本人].

小児1型糖尿病を含む慢性疾患を持つ小児に関する論文のシステマティックレビュー.

1型糖尿病,思春期女子(91人).

1型糖尿病,思春期女子(356人).

診断時の肥満度,同世代対照と比較した出生時体重,糖尿病家族歴の関連を解析.

メトホルミン1,000〜1,500mg/日 単 独 治 療 開 始 後 のHbA1c,血清脂質体重変化を検討.

メトホルミン(42人),プラセボ(40人)[80日間]で臨床効果を比較.

メトホルミンの有効性,安全性を750mg/日および効果不良例での1,500mg/日で検討.

一過性新生児糖尿病の遺伝的原因の同定.

インスリン治療からSU薬治療へ変更し,血糖コントロールの変化を観察.

永続性新生児糖尿病の原因としてINS遺伝子変異を調査.

INS およびKCNJ11遺伝子の変異を調査.

うつ,不安と慢性疾患の関係をメタアナリシス.

食行動の異常と糖尿病合併症の関係を追跡.

思春期女子1,098人の対象と1型糖尿病でDSM-Ⅳの定義に合致する摂食障害の頻度を比較,摂食障害と関連ある事象を解析.

69%が診断時肥満であり,同世代対照に比べ低または過出生時体重児のU字型リスクを示した.家族歴は高いが,低出生体重児群のほうが少なかった.

試験前に 比し ,平均71日後HbA1cは有意に低下し.BMI zスコアに変化はなかった.

メトホルミンでは空腹時血糖,HbA1c,血清脂質が有意に低値を示し,有害事象は同等であった.

試験前に比し12週,24週終了時でのHbA1cと空腹時血糖は有意に低下.重篤な有害事象は認めなかった.

6q24部位の父親由来アリルの過剰発現を39人で同定した.

90%の症例でSU薬の使用が有効であり,インスリン治療からの離脱が可能であった.

6ヵ月未満発症の糖尿病141人中33人でINS遺伝子変異を同定したが,KCNJ11遺伝子とABCCB8遺伝子の活性型ヘテロ接合性の変異とインスリン遺伝子の機能喪失型ヘテロ接合性を 各 々 全 体 の 31%,10%,12%で認めた.

5例でINS遺伝子の変異を,1例でKCNJ11遺伝子の変異が発見された.したがって,5歳未満で1B型糖尿病と臨床診断された症例では,単一遺伝子糖尿病の原因遺伝子特にINS遺伝子を検索すべきである.

精神的な要因は糖尿病コントロールとその予後に重要な影響を与えることが確認された.

食行動異常は思春期女子では3割に認め,持続した血糖コントロール不良と糖尿病合併症進展に関係した.

1型糖尿病では摂食障害の頻度が2倍であり,摂食障害は減量目的のインスリンオミッションや血糖コントロール不良と関連がある.

論文コード 対 象 方 法 結 果

18 小児・思春期における糖尿病

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49)Olmsted MP et al, 2008コホート研究[レベル 2]

50)Takii M et al, 2008横断研究

[レベル 4]

1型糖尿病,9〜13歳(126人).

1型糖尿病,食行動異常女性(109人)[日本人].

Children’s Eating DisorderExamination interview andself-reportで5年間5回の評価.

食行動の異常と糖尿病合併症の関係を解析.

食行動異常は,うつ,体重・容姿への関心,低い自己価値感,食行動異常前1〜2年のBMIで予測できる.したがって,早期の介入が重要である.

食行動異常に伴うインスリンオミッションの期間が糖尿病合併症に最も強く関連していた.

論文コード 対 象 方 法 結 果

糖尿病GL2016組版ss.qxp_糖尿病GL2016 2016/04/28 17:10 ページ 410

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