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~パーキンソン病の方・はじめに~ 生活のコツ 体の動かしにくさを感じると、家に閉じこ もりがちになることもありますが、できるだ け家事や趣味活動を継続することが有効 です。体の柔軟性や体力を維持するため に、生活の中で活動量を保ちましょう。服 薬の時間や量を守り、生活リズムを崩さな いこと、薬の効果や副作用についても主 治医とよく相談して、心身の状態を把握す ることが大切です運動習慣 パーキンソン病の諸症状のため、運動不足 になりやすい場合があります。予防の観点か らも毎日の生活に運動を取り入れることをお薦 めします。運動は、お薬が効いている時に、無 理をせず、徐々に回数を増やしていきましょう。 筋力トレーニングに偏重せず、ストレッチや深 呼吸なども積極的に取り入れましょう。 住環境などの工夫 歩くこと、食事、着替え、入浴など日常生活の場 面で、ちょっとした工夫で動作が楽になります。 方向転換を少なくできるような環境整備や手すり の設置なども有効です。細かな手指の動きがしにく いと感じたら、食事や着替えを少し楽にする用具な ども積極的に取り入れて、自分でできることを継続 して行いましょう。 動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、 保健師などに相談してみましょう。 体調の変化を把握し、生活リズムを整えましょう。 体調管理表は、一定時間ごとの体の動きやすさを記入 します。服薬時間も合わせて記入することで、1日の中 で動きやすい時間を把握することや、お薬の効果持続 時間を確認することに役立ちます。 写真左:深呼吸/胸郭を広げる運動 写真右:体をひねる運動 はじめに パーキンソン病の諸症状に対して、生活の中での工夫や用具などの利用が有 効なことがあります。今回からのシリーズは、パーキンソン病の方向けに、日常生 活で気を付けることや簡単に行える工夫などを生活場面ごとに紹介していきます。 写真左:方向転換する場所への手すり設置例 写真右:ボタンエイドの活用

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~パーキンソン病の方・はじめに~

■ 生活のコツ

体の動かしにくさを感じると、家に閉じこもりがちになることもありますが、できるだけ家事や趣味活動を継続することが有効です。体の柔軟性や体力を維持するために、生活の中で活動量を保ちましょう。服薬の時間や量を守り、生活リズムを崩さないこと、薬の効果や副作用についても主治医とよく相談して、心身の状態を把握することが大切です。

■ 運動習慣

パーキンソン病の諸症状のため、運動不足になりやすい場合があります。予防の観点からも毎日の生活に運動を取り入れることをお薦めします。運動は、お薬が効いている時に、無理をせず、徐々に回数を増やしていきましょう。筋力トレーニングに偏重せず、ストレッチや深呼吸なども積極的に取り入れましょう。

■ 住環境などの工夫

歩くこと、食事、着替え、入浴など日常生活の場面で、ちょっとした工夫で動作が楽になります。方向転換を少なくできるような環境整備や手すりの設置なども有効です。細かな手指の動きがしにくいと感じたら、食事や着替えを少し楽にする用具なども積極的に取り入れて、自分でできることを継続して行いましょう。

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

体調の変化を把握し、生活リズムを整えましょう。体調管理表は、一定時間ごとの体の動きやすさを記入します。服薬時間も合わせて記入することで、1日の中で動きやすい時間を把握することや、お薬の効果持続時間を確認することに役立ちます。

写真左:深呼吸/胸郭を広げる運動写真右:体をひねる運動

■ はじめにパーキンソン病の諸症状に対して、生活の中での工夫や用具などの利用が有効なことがあります。今回からのシリーズは、パーキンソン病の方向けに、日常生活で気を付けることや簡単に行える工夫などを生活場面ごとに紹介していきます。

写真左:方向転換する場所への手すり設置例写真右:ボタンエイドの活用

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~ パーキンソン病の方・起居編 ~

■ 寝返りについてパーキンソン病の方は、身体をひねる動作が行いにくくなり、寝返りや起き上がりが大変になることがあります。寝返りが大変な場合、柔らかい寝具では動きにくくなるため、比較的固めの寝具が有効です。また、動作を始めるきっかけがあると行いやすくなる場合もあります。具体的には、顔を寝返る方向に向けることや、寝返る方向と反対側の手で寝返る方向のベッド手すりや紐をつかむことがきっかけとなります。ベッド手すりがない場合は、もともとのベッドや布団の横に「床置き式起き上がり用手すり」を設置する工夫があります(写真1)。また、動作をイメージしてから動き始めることが有効な場合もあります。

■ 起き上がり起き上がりが大変な場合、電動ベッドの背上げ機構を利用すると楽に行えることがあります。また、掛け布団のかけはぎが大変な場合、片側に布団を寄せておくことや掛け布団の片側の端を敷き布団の下に挟んで固定しておくこと(写真2)、出来るだけ軽い布団を選択することなどの工夫があります。

【写真1:床置き式起き上がり用手すり】

【写真2:掛け布団の工夫 左:片側に寄せる 右:片側を固定】

【写真3:握りバー】

■ 立ち上がり椅子やベッドからの立ち上がりも、動作の開始が出来ず行いにくくなることがあります。立ち上がり動作は、①足を引き、②おじぎをして、③立ち上がる という手順からなり、「イチ・ニ・サン」と声を出しながらその動作を行うことや、手すり(写真3)をつかむといった動作のきっかけを利用すると、立ち上がりやすくなる場合もあります。

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

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~ パーキンソン病の方・歩行編① ~

■ 歩行場面の特徴歩きにくさを感じる方は多いのですが、その現象にはいくつかの特徴があります。たとえば、歩き出そうとすると床に足が貼り付いたようになり一歩目が出にくい「すくみ足」と呼ばれる現象がみられます。平地では足が出にくいのに、階段ではすっと足が出ることもあります。歩き出すと、つんのめるような姿勢になり、止まれなくなる「突進現象」が生じる場合もあります。体幹が固くなりやすく、体をひねる動作がしにくくなりがちです。そのため振り向く動作や方向転換が苦手になり、バランスを崩しやすくなります。また、物と体の距離感がとりにくくなることもあります。まだ届かない遠い位置から扉の取っ手に手を伸ばしたり、反対に冷蔵庫の扉などに近づきすぎて、開けようとすると体に当ってしまうということがみられます。歩きにくさの症状はひとりひとり異なります。

自身の特徴を把握することが大切です。

■ 歩行の工夫~動作編~すくみ足への対処方法をご紹介します。・「せーの、いち、に、いち、に・・・」とリズミカルな掛け声をかける・背中が丸くなっていることが多いので、姿勢を直してから動き出す・一歩目を高く上げる・一歩目を後ろや横に踏み出す・床にビニールテープではしご状のしるしを付け、そこをまたぐように歩く(図2)・深呼吸してから歩く・歩いている感覚をイメージするこれらの中で、自分に合った方法をいくつか組み合わせながら行うと良いでしょう。広いところから狭いところに移るときに足がすくんでしまう場合は、ドアや壁などに触れて幅を確認しながら移動することで、改善されることがあります。方向転換は、顔(視線)を目標物に向けてから、体を回転するとやりやすい場合があります。外出した時に、人混みが気になって歩きにくい場合は、人はあまり気にせず、目標を見定めて歩くと、歩きにくさが改善されます。【図1:特徴的な姿勢

出典:東京都神経科学総合研究所】

【図2:すくみ足への対応 床への目印の一例】

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

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~ パーキンソン病の方・歩行編② ~

■ 歩行の工夫~環境編~

バランスを崩したときに安心してつかまれるように、手すりや家具などを設置することで、歩行の安全性を確保できます。手すりの設置が安心感につながり、動作時のすくみを軽減する効果もあります。手すりは歩行のガイドとして使用することが多いため、手を伸ばす目安に利用することもあります。横手すりは、体重を支えるというよりはバランスをとるために利用し、高さは杖よりも若干高め(腰の高さを目安)に設定すると効果的な場合があります(図1) 。ベッドなど目標物に向かって歩く際、突進現象により目標物の前でうまく止まれない場合は、斜め方向から近づくと立ち止まりやすいことがあります。方向転換が少ない動線を考えると良いでしょう。 わずかな段差はつっかかり転倒の危険があるため、中途半端な段差は避け、はっきりした段差は残すことが無難なときもあります。

■ 歩行の工夫~用具編~

安全に歩行するために、杖や歩行器などの用具を検討しましょう。歩行のバランスを助けるだけでなく、歩き始めのきっかけづくりに有効な場合があります。視覚刺激が有効な場合は、目印となるレーザーがでる杖や歩行器もあります(写真1)。歩行車よりも、歩くたびに持ち上げる必要のあるピックアップ歩行器の方が、自分自身でリズムをとりやすく足が踏み出しやすい場合もあります。

歩行の困りごとや現象はひとりひとり違います。身近にいる理学療法士などに相談し、自分にあった用具を探してみましょう。

【写真1:レーザーがでる杖・歩行器】

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

【図1:手すりの工夫】

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~ パーキンソン病の方・食事編 ~

■ 食事姿勢食事を開始する前に、背中を伸ばして姿勢を良くする方が食べやすくなります。深く腰掛けて足の裏全体を床につけることで、背中が伸ばしやすくなります。また、食事をしていると前かがみになる・食べものをこぼしやすいなどの症状がみられることがあります。こぼさないように食べようとすることで、口をお皿に近づけるときに、更に姿勢が悪くなることもあります。このため、食事の途中で背中を伸ばすなどが有効です。しかし、理解していてもなかなか姿勢を変えることができないときもあります。その際は、背中を伸ばした時の目の高さの壁に目印を付けておき、周囲の方が見るように促すと姿勢を修正するきっかけになります。(図1)食べ物は口に近づくと見えにくくなります。その時にこぼしやすくなることが多いため、スプーンや箸の先をよく見て操作することで距離を確認すると、改善する場合があります。

【図1】目の高さに目印を付ける

【図4】飲み口の広いコップや取っ手が大きいコップ

■ 食器操作

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

スプーンを使うときには、さじ部分が大きいと食品をこぼしやすく、また、飲み込みにくくなります。さじ部分は大きすぎないものを選びましょう。また、お皿は深めで内側が図2のような形状のものがすくいやすく、テーブルの上で滑るときには濡らした布巾や滑り止めマット(図3)で固定するとよりすくいやすくなります。コップは軽量で取っ手が大きめのものや、飲み口が広がっている形状のものが飲みやすいと思います。(図4)手の震えによって動作がしにくい時は、肘をテーブルに付くことで改善する場合があります。お椀を持ちながらお箸の操作をするなどの両手動作がうまくいかない場合は、片手動作か両手でお椀を持つなどに変更して操作しやすい方を選んでください。食べ物を口へ運ぶ動作を繰り返していると、手が動きにくくなるようなときは、動作を一度やめてから再び行うと動きやすくなる場合があります。

【図3】滑り止めマット

【図2】すくいやすい形状の皿

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■ 着替えの工夫

症状として前かがみとなる、肩関節の動く範囲が少なくなる、手指の細かい動きが難しくなる場合があります。これらにより着替えがしにくくなります。まず姿勢を安定させるため、足底がしっかり床に着く高さの椅子を選びましょう(写真1)。ベッド上で着替えるときはベッドの高さを同様に調整しましょう。また、座ったときに背筋が伸びるようにしましょう(食事編を参照)。衣服の形はゆったり目で、手足が通しやすいもの、素材は伸縮性のあるものや滑りやすいもの、ボタンは大きめのものを選びましょう。動作時は自分の手足がよく見えないと動き難い場合があります。袖や裾を輪状にたぐって手足を通すと、手足が見えやすくなります(写真2)。予め動作と手順をイメージする、体が動きやすい時間帯を選んで着替えるのも有効です。

【写真1】 座ったときに腰・膝・足首が、それぞれ直角になるくらいの高さだと足底がしっかり床に着きます。

【写真3】姿勢を安定させる工夫。洗面台の端を持つ。椅子はシャワーチェアで代用。

■ 身だしなみ動作の工夫

手を交互に動かす、両手で行うといった動作が難しくなった場合、歯磨きや洗顔がしにくくなります。歯磨きでは、動かす一方向のみを意識してみる(図1。上方向のみ、あるいは右方向のみの動きを意識する)、洗顔は片手で行ってみると上手くいく場合があります。洗顔や髭剃りなどの前に、鏡で顔の形を確認するように手で十分に顔を触れておくと、動かすイメージが摑みやすくなり、実際の動作がスムーズに行いやすくなります。また、立った姿勢で行うと不安定な場合は、洗面所に椅子を置き座って行いましょう。それでも体が傾きやすい場合は、片手で洗面台の端を持つなどして、姿勢を安定させましょう。椅子は入浴用のシャワーチェアで代用しても良いでしょう(写真3) 。

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

~ パーキンソン病の方・ ~着替え、

身だしなみ編

【図1】上方向の動きのみ意識してみる。

【写真2】 袖をたぐってから手を通す。

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~ パーキンソン病の方・排泄編 ~

■ トイレまで、およびトイレ内の移動開き戸の開閉時は特に後方へバランスを崩しやすくなるため、一方の手を手すりや壁に置き、体を支えてドアを開閉しましょう。改修が可能な場合は引き戸への交換もおすすめです。【図1】空間が狭いトイレ内では、すくみ足が出ることも多いようです。ガイドとなる手すりを設置したり、床に足位置を示す目印をつけると、方向転換がおこないやすい場合があります。便座に座る際には、ふくらはぎを便器につけて位置を確認してから座りましょう。【写真1】排泄後の水洗タンクレバー操作で、後方へ手を伸ばすこともバランスを崩しやすくなるため、手すり等の支持物を持って動作をおこないましょう。水洗レバーがリモコンで操作できる便器を選ぶことも有効です。(移動に関しては歩行編も参照ください)

■ 下衣の上げ下ろし上げ下ろしがおこないやすいように、緩めのゴムのズボンや下着を使用される方が多いです。ズボンを上げる際には、ズボンの内側に手を差し込み、おしりの部分を引き上げましょう。おでこなど体の一部を壁等に押し当てると立位のバランスが安定し、下衣の上げ下ろしがおこないやすい場合があります。 【写真2】

【図1:手すりの設置/引き戸への交換】

【図2:ポータブルトイレの利用】

■ 体調に合わせた排泄方法の選択

排泄方法には、トイレやポータブルトイレ、尿器、オムツなどさまざまな方法があります。一日の中でも薬の効き具合などによって、動作のしやすさが変わってきます。日中はトイレ、夜間や早朝はポータブルトイレや尿器を使用するなど、時間帯や体調に合わせていくつかの排泄方法を組み合わせている方もいます。【図2】

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

【写真2:ズボンを上げる】【写真1:便器を確認して座る】

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~ パーキンソン病の方・入浴編 ~

■ 安心して入浴するために

入浴は一般的に難易度の高い動作と言われます。そのため、できるだけ薬の効果が現れて、動きやすい時間帯を選ぶことが大切です。また、一人で入浴される時に急に動きにくくなった場合の対処方法として、防水ケースに入れた薬を浴室に準備したり、家族を呼ぶための呼び出し装置等を用意する方もいらっしゃいます。【写真1】

■ 浴槽の出入りについて

■ 洗体について

両手で持ったタオルを同時に上手く動かせず、背中が洗いにくい場合は、一方の手は動かさず、もう一方の手だけを動かすようにするとスムーズに洗えることがあります。【図2】実際に洗い始める前に、身体を洗う動作や手順を頭の中でイメージすると、動作が円滑に行えることがあります。

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

身体をひねったり向きを変えることは難しい動作なので、なるべく少なくするように工夫しましょう。例えば、浴室の壁に横手すりを取り付け、両手でつかまって、横に移動しながら浴槽をまたぐと身体をひねらずにすみます。さらにそのまましゃがむと、向きを変えずに浴槽に浸かれます。【図1】浴槽をまたぐ際に足が上がりにくい場合は、洗い場にすのこを敷いたり、浴槽内に浴槽台を置くことで、足を大きく持ち上げずに済みます。浴槽台を置く場合は、しゃがむ時に邪魔にならない位置に移動できるか確認しましょう 【写真2】

【図2:背中をこする動作】

固定

動かす

【図1:手すりを使用した浴槽出入り】

【写真1:呼び出し装置(無線式:受信機と防浸型発信機) 】

【 写真2: 浴室すのこと浴槽台 】

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~ パーキンソン病の方・外出編 ~

■ 外出の準備

玄関での靴の脱ぎ履きを立って行う場合は、安定している下駄箱や手すりを持ち、長い柄の靴べらを利用するとバランスが安定します(写真1)。いすを置いて座って行うのも安全な方法です。玄関から公道までの通路が不整地や段差のある環境の場合は、必要に応じて歩きやすい路面への調整・改修や手すりの設置も検討しましょう。

■ 外出先での動作の工夫屋外では、人込み、店内や改札などの狭い通路の通り抜け、信号や電車・バスの乗降など限られた時間での移動などで、歩きにくさを感じることがあります。人込みでは、周囲の動く人ではなく目標物を見定めて歩くとよい場合があります。店内や改札など狭い通路では、店内の陳列棚や改札機を少し触りながら歩いてみると動きやすくなることもあります。信号は青の変わり始めまで待ってから渡り始める、電車やバスの車内では乗降口に近い座席や固定した手すりがある場所に位置するようにしましょう。買い物では、財布からお金を取り出しにくいことがあります。財布は取り出しやすい決まった場所に入れましょう。口が大きく開いて小銭が見えやすい財布(写真2)や電子マネーを利用する方法もあります。

写真1:立って行う靴履き動作

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

写真2:口が大きく開く財布

■ 玄関での動作の工夫

外出は、活動的な生活リズムを保ち、体力や筋力を維持するほか、気分転換など気持ちの面でもよい影響をもたらします。安心して外出を楽しむためにも、あらかじめ経路を確認し電車・バスの乗り換え時間に余裕をもった計画を立てましょう。また、杖など自分にあった歩行補助具や、バッグは重心が安定しやすいショルダーバックやリュックサックを準備しましょう。

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~ パーキンソン病の方・体操編 ~

■ はじめに体操は、体力やバランスを考慮して行いましょう。やり過ぎて次の日に疲れが残ったり、無理な力や姿勢で行うことは避けましょう。体の動きやすさが1日の中で変化する方は、体が動きやすい時間帯に行うようにします。継続的に行うためには、行う時間や場所を決めるなどして、生活の中に体操を組み込むようにします。

■ 体操のメニューについてここでご紹介する体操は、日常の生活動作(屋内移動、排泄、入浴など)を自立して行っていらっしゃる方を対象にしています。生活動作が困難で、運動量が低下している方は、脚の筋力トレーニングが必要になります。また、寝て過ごす時間が多い方は、さらに、関節を柔らかく保つための運動を取り入れる必要があります。これらの場合は、医師や理学療法士、作業療法士などの専門家に相談してください。

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

■ 体操の方法

③リズム体操

“1、2、・・・”のかけ声にあわせて、リズミカルに足踏みを行います。できる方は、手も振り、体のねじりも加えます。

柱や壁を利用して、背をつけるようにして体を伸ばします。トイレの帰りに行う、お出かけ前に行う、などすると無理なく続けられます。

~生活の中で~

②体をねじる

ゆっくり、しっかりと体をねじりましょう。椅子の背もたれを利用すると、行いやすいでしょう。

①深呼吸

胸をひらくようなイメージでしっかり息を吸い込みます。息を吸うとき、手のひらを上に向けるようにすると、自然に行うことができます。

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~ パーキンソン病の方・コミュニケーション編 ~

■ はじめにパーキンソン病の方は姿勢が「前かがみになる、口の中に唾液がたまりやすくなる、顔の筋肉がこわばる」などの症状が出現することがあります。そのため声が口の中でこもってはっきりしなかったり、早口になってしまい話し相手が聞き取りにくくなることがあります。

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

■ 口周囲の筋肉の緊張をやわらげる

■ 姿勢について前かがみな姿勢になってくると呼吸機能が低下して大きな声が出しづらくなることがありますので、正しい姿勢で過ごすことが大切です。(「詳細は体操編」を参照下さい。)

■ 語らいの場を作りましょう!

顔面の筋肉を動かす運動をして、表情をつくる練習をしましょう。

日々の生活の中で家族や友人と楽しくおしゃべりする場面を多く取ることが大切です。時には音楽に合わせて歌うなど気分がリフレッシュができるといいですね。話しづらさが気になるようでしたら医師や言語聴覚士など専門職にご相談ください。

頬をふくらます 口を開けたり閉じたりする 口を左右に動かす

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パーキンソン病の方・趣味編

■ 趣味を楽しみましょう!

■ どのような工夫をしているのでしょうか、考えられる効果は?

※動作のやりにくさを感じたら、身近にいる理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ケースワーカー、保健師などに相談してみましょう。

■ どのような活動をしているのでしょうか。

脳が感じるストレスは、パーキンソン病の症状を悪化させると言われています。日々の生活の中で、心と体のバランスを保つことが大切です。そのためには、好きなことを選んで、疲れない程度に楽しむと良いでしょう。また、趣味を通じて、友達との付き合いが広がったり、他の人と一緒にやることで励みになったりして、ストレス解消や外出機会の増加につながることもあるでしょう。

パーキンソン病の方々にお話を聞くと、皆さん、機能維持にも良いと考え、ご自身のペースで趣味を継続されています。手芸、園芸、陶芸、絵画、器楽演奏、合唱、写真撮影などです。吹き矢や、家庭用ゲーム機のトレーニング用ソフトを楽しんでいる方もいます。地域の講演会、交流会へ参加して、情報収集・情報交換などを積極的に行っている方もいます。

・薬効が持続する時間に配慮し(服薬日誌を付けている方もいます)、スケジュールを調整すると良いでしょう。一般的に疲れやすくなるので、活動量に留意します。歩行するときに、万歩計をつけて、活動量の目安にしている方もいます。

・道具の工夫や安定する姿勢をみつけましょう。手芸では、糸を上から押し付けて針穴に糸が通るものを使用したり、かがむ姿勢を避けるため、作業台の高さを調整したりします。パソコンを行うときは、椅子を工夫して座位姿勢を安定させると、手が動かしやすくなることもあります。机で作業する場合は、途中で休憩し伸びをするのも良いでしょう。

■ まずは、ちょっとした時間を楽しむことからはじめましょう!

すぐに始められて、心と体のバランスを保つためにすると良いことを紹介します。・早起きをして朝日を浴びながら、朝食を摂ったり、運動をしたりする・簡単な運動を毎日続ける・近所の方、友人と気を使わないふれあいを心がける (あいさつ、お天気の話など)

・手芸や陶芸、ピアノ演奏などは手の巧緻性の維持に、合唱や吹き矢は呼吸機能維持に役立つでしょう。また、写真撮影は、撮影中、一定姿勢を保持する必要があり、筋持久力の維持に役立つでしょう。