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基礎インフラ工事起工式 基礎インフラ工事起工式 成長と競争力強化 1.ホアラック・ハイテクパークにおける基礎インフラ整備 工式開催 2015 6 26 日、ハノイ市ホアラックにおいて、円借款事業 「ホアラック科学技術都市新興事業」の基礎インフラ整備にかか る契約がホアラック・ハイテクパーク管理委員会と、大成建設- VINACONEX-Truong Son Construction JV の間で締結されたことを 受け、起工式が開催されました。 起工式には、ベトナム政府代 表グエン・タン・ズン首相をはじめ、科学技術省大臣ほか関係省 庁及び関係自治体代表者が出席、日本政府代表として深田大使、 森JICAベトナム事務所長 が出席しました。 基礎インフラ整備にかかる 契約パッケージは、本事業で調 達される 5 つの契約パッケージ のうち最大規模の工事となり、 基幹・接続道路整備(約 35km)、 水道管新設(約 69km)、排水路 更新・新設(約 51km)、下水道管 新設(約 45km)、配電網新設(約 75km)、通信網新設(約 63kmを総合的に整備するものです。本格的な工事開始は、 2015 8 を予定、工期は 37 ヶ月を見込んでいます。 ホアラック・ハイテクパーク(HHTP)は、ハイテク工業団地だ けでなく、大学等の研究開発・教育訓練施設の建設が計画・実施 されており、ベトナム初の「科学技術新興都市」として、産学官 連携の実現とともに、そこで働く市民の居住地域が一体となった 新しい都市づくりの実現を目指しています。本事業を通じて支援 されるインフラ整備により、HHTPへの研究教育機関や民間企業の 誘致を促進し、国レベルの科学技術新興、ベトナムの社会・経済 全体の発展に寄与することが期待されています。 2(円借款)ホーチミン市都市鉄道建設事業(ベンタイン―スオ イティエン間(1 号線))高架桁架設式典 住友商事株式会社(Sumitomo-CIENCO6 Consortiumプジェクト・マネージャー 伊原 繁樹 2015 6 4 日、ホーチミン市中心部から北東に延びる国道 1 号線沿いのタオディエン地区にてホーチミン市都市鉄道 1 号線の 高架桁架設が開始され、記念式典が執り行われました。 式典には、高架土木パッケージの主契約者である住友商事と国 営第 6 シビル・エンジニアリング・コンストラクション(CIENCO6から成るコンソーシアムの関係者のほか、ホーチミン市人民委員 会のレ・ホアン・クアン委員長やグエン・ゴック・ドン交通運輸 省副大臣、JICA ベトナム事務所の森睦也所長らが参加しました。 今回の高架桁建設にあたって は「プレキャスト・セグメント 工法」が採用されています。こ の工法は、平均 35 メートルある 高架脚のスパンをつなぐ桁を 13 個のセグメントに分け、プレス トレスト・コンクリート(PC鋼材で一体化するもので、ベト ナムでは道路なども含めて初め て採用された工法です。この工法により、高架脚と高架桁を同時 並行で工事できるため工期短縮につながるほか、建設現場周辺の 交通への影響を最小限に留めることが可能になります。 今後 2 年程度をかけて全体で 450 カ所のスパンに対し高架桁の 架設を行う予定であり、安全かつ高品質な工事が求められていま す。 3.ニャッタン橋(日越友好橋)が土木学会田中賞を受賞 日本のODA (円借款)による支援を通じて建設された、ハノイ市 紅河にかかるニャッタン橋(日越友好橋)が平成26年度土木学会 田中賞(作品部門)を受賞しました。先月東京で開催された授賞 式には、関係者を代表してIHIインフラシステムの西東十郎所長が 出席されました。 土木学会田中賞は、 1966年から優 れた橋梁などの業績に対して贈ら れている、極めて名誉ある賞と評価 されています。田中賞の由来は、関 東大震災の復興にあたり、東京隅田 川にかかる永代橋や清洲橋といっ た数々の名橋を生み出した、田中豊博士の功績にちなんでいます。 なかでも作品部門は、橋梁が多くの人々との共同作業の成果とい う点から、受賞対象は企業者、設計者、施工者などの組織あるい は個人ではなく、作品そのものに贈られる特色ある賞となってい ます。 今年1月の開通以来、その美しさと完成度の高さにより日本ブラ ンドをベトナムの人々に強く印象づけているニャッタン橋。建設 ピーク時には1日あたり1,000人以上の雇用を生み出し、日越両国 の技術者による共同作業を積み重ねて建設されました。日本が高 度成長期に培った技術力とノウハウが、日本人技術者の高いプロ 意識とともに、若い世代へと受け継がれる大きな機会にもなりま した。この橋がハノイの風景の象徴として市民にますますなじみ の深い橋となり、また日越友好の絆がいっそう深まることが期待 されます。 実施機関:ベトナム交通運輸省 Project Management Unit No.85 PMU85コンサルタント:長大・大日本コンサルタント JV 施工者(主橋梁):IHIインフラシステム・三井住友建設JV 所在地: ハノイ市 構造形式:(上部構造)床版構造、 6径間連続合成2主Ⅰ桁斜張橋 プレキャスト床版+現場打ちコンク リート合成桁 (下部構造)A型コンクリート製主 塔構造+鋼管矢板井筒基礎 橋長:1,500m 4技プロ)「省エネルギー研修センター設立支援プロジェクト(ス テージ 2)」省エネルギー研修センターの開所式―省エネ人材の養 成拠点が誕生― 総括 石原 6 26 日、ベトナムで初めての省エネルギー研修センター EMTC)の開所式が、ホーチミン市商工局(HCMC-DOIT)傘下のプ ラスチック・ゴム技術省エネルギー研修センター(PRET)で開催 されました。商工省(MOIT)エネルギー総局副総局長、 HCMC-DOIT 副総局長、JICA 南部連絡所長を始め、100 名余の関係者が見守る 中、日本から供与された研修設備が披露されました。 JICAベトナム事務所 87 号(2015 6 月号) (ベトナム事務所月報) 今月のトピックス 高架桁架設

ベトナム事務所月報 _87号

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基礎インフラ工事起工式

基礎インフラ工事起工式

成長と競争力強化

1.ホアラック・ハイテクパークにおける基礎インフラ整備 起

工式開催

2015年 6月 26日、ハノイ市ホアラックにおいて、円借款事業

「ホアラック科学技術都市新興事業」の基礎インフラ整備にかか

る契約がホアラック・ハイテクパーク管理委員会と、大成建設-

VINACONEX-Truong Son Construction JVの間で締結されたことを

受け、起工式が開催されました。 起工式には、ベトナム政府代

表グエン・タン・ズン首相をはじめ、科学技術省大臣ほか関係省

庁及び関係自治体代表者が出席、日本政府代表として深田大使、

森JICAベトナム事務所長

が出席しました。

基礎インフラ整備にかかる

契約パッケージは、本事業で調

達される5つの契約パッケージ

のうち最大規模の工事となり、

基幹・接続道路整備(約 35km)、

水道管新設(約 69km)、排水路

更新・新設(約 51km)、下水道管

新設(約 45km)、配電網新設(約 75km)、通信網新設(約 63km)

を総合的に整備するものです。本格的な工事開始は、2015年 8月

を予定、工期は 37ヶ月を見込んでいます。

ホアラック・ハイテクパーク(HHTP)は、ハイテク工業団地だ

けでなく、大学等の研究開発・教育訓練施設の建設が計画・実施

されており、ベトナム初の「科学技術新興都市」として、産学官

連携の実現とともに、そこで働く市民の居住地域が一体となった

新しい都市づくりの実現を目指しています。本事業を通じて支援

されるインフラ整備により、HHTPへの研究教育機関や民間企業の

誘致を促進し、国レベルの科学技術新興、ベトナムの社会・経済

全体の発展に寄与することが期待されています。

2.(円借款)ホーチミン市都市鉄道建設事業(ベンタイン―スオ

イティエン間(1号線))高架桁架設式典

住友商事株式会社(Sumitomo-CIENCO6 Consortium)

プジェクト・マネージャー 伊原 繁樹

2015年 6月 4日、ホーチミン市中心部から北東に延びる国道 1

号線沿いのタオディエン地区にてホーチミン市都市鉄道 1号線の

高架桁架設が開始され、記念式典が執り行われました。

式典には、高架土木パッケージの主契約者である住友商事と国

営第 6シビル・エンジニアリング・コンストラクション(CIENCO6)

から成るコンソーシアムの関係者のほか、ホーチミン市人民委員

会のレ・ホアン・クアン委員長やグエン・ゴック・ドン交通運輸

省副大臣、JICAベトナム事務所の森睦也所長らが参加しました。

今回の高架桁建設にあたって

は「プレキャスト・セグメント

工法」が採用されています。こ

の工法は、平均 35メートルある

高架脚のスパンをつなぐ桁を 13

個のセグメントに分け、プレス

トレスト・コンクリート(PC)

鋼材で一体化するもので、ベト

ナムでは道路なども含めて初め

て採用された工法です。この工法により、高架脚と高架桁を同時

並行で工事できるため工期短縮につながるほか、建設現場周辺の

交通への影響を最小限に留めることが可能になります。

今後 2年程度をかけて全体で 450カ所のスパンに対し高架桁の

架設を行う予定であり、安全かつ高品質な工事が求められていま

す。

3.ニャッタン橋(日越友好橋)が土木学会田中賞を受賞

日本のODA(円借款)による支援を通じて建設された、ハノイ市

紅河にかかるニャッタン橋(日越友好橋)が平成26年度土木学会

田中賞(作品部門)を受賞しました。先月東京で開催された授賞

式には、関係者を代表してIHIインフラシステムの西東十郎所長が

出席されました。

土木学会田中賞は、1966年から優

れた橋梁などの業績に対して贈ら

れている、極めて名誉ある賞と評価

されています。田中賞の由来は、関

東大震災の復興にあたり、東京隅田

川にかかる永代橋や清洲橋といっ

た数々の名橋を生み出した、田中豊博士の功績にちなんでいます。

なかでも作品部門は、橋梁が多くの人々との共同作業の成果とい

う点から、受賞対象は企業者、設計者、施工者などの組織あるい

は個人ではなく、作品そのものに贈られる特色ある賞となってい

ます。

今年1月の開通以来、その美しさと完成度の高さにより日本ブラ

ンドをベトナムの人々に強く印象づけているニャッタン橋。建設

ピーク時には1日あたり1,000人以上の雇用を生み出し、日越両国

の技術者による共同作業を積み重ねて建設されました。日本が高

度成長期に培った技術力とノウハウが、日本人技術者の高いプロ

意識とともに、若い世代へと受け継がれる大きな機会にもなりま

した。この橋がハノイの風景の象徴として市民にますますなじみ

の深い橋となり、また日越友好の絆がいっそう深まることが期待

されます。

実施機関:ベトナム交通運輸省 Project Management Unit No.85 (PMU85)

コンサルタント:長大・大日本コンサルタント JV

施工者(主橋梁):IHIインフラシステム・三井住友建設JV

所在地: ハノイ市

構造形式:(上部構造)床版構造、

6径間連続合成2主Ⅰ桁斜張橋

プレキャスト床版+現場打ちコンク

リート合成桁

(下部構造)A型コンクリート製主

塔構造+鋼管矢板井筒基礎

橋長:1,500m

4.技プロ)「省エネルギー研修センター設立支援プロジェクト(ステージ 2)」省エネルギー研修センターの開所式―省エネ人材の養

成拠点が誕生―

総括 石原 明

6 月 26 日、ベトナムで初めての省エネルギー研修センター

(EMTC)の開所式が、ホーチミン市商工局(HCMC-DOIT)傘下のプ

ラスチック・ゴム技術省エネルギー研修センター(PRET)で開催

されました。商工省(MOIT)エネルギー総局副総局長、HCMC-DOIT

副総局長、JICA南部連絡所長を始め、100名余の関係者が見守る

中、日本から供与された研修設備が披露されました。

JICAベトナム事務所 第 87号(2015年 6 月号)

(ベトナム事務所月報)

今月のトピックス

高架桁架設

キックオフ・ワークショップ(平成 27年 6

月 23日、国立畜産研究所にて)

ホアビン省家畜水産改良センター視察

(平成 27年 6月 26日)

ベトナムでは、2011年 1月の省エネルギー法施行により、エネ

ルギー指定事業者に対し、エネルギー管理士の配置や 3年毎のエ

ネルギー診断が義務付けられました。これに伴い、エネルギー管

理士やエネルギー診断士の育成が急務となっています。JICA は

MOITに対し、「省エネルギー研修センター設立支援プロジェクト

(ステージ 1)」(2011年 7月~2012年 9月)を通じて、省エネ

人材育成の制度構築に向けた研修やセミナーを実施してきました。

現在実施中の「同(ステージ 2)」(2013年 7月~2016年 3月)

では、ハノイの MOITに対してエネルギー管理士/診断士の研修コ

ースのカリキュラムや資格試験法令の見直しを助言する傍ら、省

エネ研修設備を備えた EMTCをホーチミン市に設置し、エネルギー

管理士/診断士向けの実技研修を提供できるよう能力強化を行い

ます。

今回供与されたポンプ、ファン、燃焼炉等の研修設備は、日本

で製作された後、輸送・据付・試運転を経て、今年 2月にベトナ

ム側へ移管されました。4~6月には、操作及び保守点検に関する

研修を、6 月には研修講師向けの研修(トレーナーズ・トレーニ

ング)を、それぞれ実施しています。実際の設備を用いた研修は

ベトナムでは初めてであり、2016年よりエネルギー管理士/診断

士に対する研修が開始します。

ポンプ 蒸気回収機

現在、MOITはハノイ郊外のホアラック・ハイテクパークに二番

目のEMTCを自己予算で建設中であり、上述のトレーナーズ・トレ

ーニングにはハノイの研修講師予定者も参加するなど、本プロジ

ェクトの成果は拡大しつつあります。今後、ホーチミン市及びハ

ノイのEMTCにおいて、多くのエネルギー管理士/診断士が育成さ

れ、ベトナムの省エネ推進に大きく貢献することが期待されてい

ます。

ガバナンス

5.(技プロ)「2020 年を目標とする法・司法改革支援プロジェク

ト」企業法及び投資法の施行議定セミナー

松本剛(チーフアドバイザー)

標記プロジェクトでは、6月 11日、12日の 2日間にわたり、首

相府とともに、企業法及び投資法の施行細則を定める政府議定(デ

クレ)に関する意見聴取セミナーを開催しました。

2014年秋に成立した企業法及び投資法は、本年 7月 1日に施行

予定であり、現在、その施行細則を定める政府議定の策定が急務

となっています。本セミナーは、これらの議定の最新ドラフトに

対する関係者からの意見聴取を行うこと、そして、その過程を通

じて現在のベトナムにおける立法過程上の課題をあぶり出すこと

を目的として実施したものでしたが、当日は、首相府及び計画投

資省の幹部による説明・進行の下、約 80名もの参加者(関係省庁、

関係業界、法律事務所等)が

多様な意見を活発に述べ、そ

れにより、議定ドラフト作成

過程における関係者との調

整状況の実態を把握するこ

とができるなど、当初の目的

を十二分に達成して盛況の

うちに終えることができま

した。また、両日ともに、ベ

トナム日本商工会(JBAV)の

投資法・企業法検討ワーキングチームの代表者が招かれて意見を

述べており、在ベトナム日系企業関係者にとっても有意義な機会

となったものと思われます。

標記プロジェクトは「法規範文書相互間の不整合・齟齬矛盾の

解消を目指す」ことを目的の一つとしています。今後、5年間に

わたり、今回把握したものを含む諸課題の克服に向けて、首相府、

あるいは法規範文書の事前審査・事後監査等の権限を持つ司法省

と協力していきますので、引き続きのご支援ご協力を賜りますよ

う、何卒よろしくお願い申し上げます。

脆弱性への対応

6.科学技術プロジェクト「在来ブタ資源の遺伝子バンクシステ

ムの設立と多様性維持が可能な持続的生産システムの構築」開始

プロジェクト業務調整員 山岸信子

2015年 5月 5日、標題のプロジェクトが 5年間の予定で開始さ

れました。ベトナムの在来ブタは 26種いると言われていますが、

近年その数が減少し続け、絶滅の危機に直面しています。在来ブ

タは貴重な経済資源であるとともに、医療動物としての可能性も

有しています。本プロジェクトは、減少する在来ブタの品種を保

存する為に遺伝子バンクを設立し、その貴重な遺伝資源を有効活

用する方法を探索します。

活動の本格的な開始を前に、2015年 6月 22-26日、ベトナム側

カウンターパートで

あるベトナム国立畜

産研究所において、

今後5年間の活動計画

の確認を行うべく、日

越両国の9つの研究

機関の関係者が一同

に参集しました。5日

間のキックオフ・ワー

クショップでは、プロ

ジェクトの成果ごと

にグループを編成し、活動の詳細や日程、日越の各研究機関の役

割、モニタリングや報告の方法などについて協議、確認しました。

ワークショプの開会式は、国立畜産研究所代表 Dr. Nguyen

Thanh Son、生物工学研究所所長 Dr. Chu Hoang Hanh、ベトナム

農業大学副学長 Prof. Nguyen Xuan Trachをはじめ、JICA事務所

からの参加も得て行われました。複数の研究機関の異なる科学技

術の専門的知見をもとに実施される本プロジェクトにおいては、

組織の枠を越えた 効果的な協力関係を構築することの重要性が

改めて認識され、両国関係者は本プロジェクトの実施に向けて、

新たな意欲をみせていました。

6月 26日にはプロジェクトのモデルサイトとなるホアビン省を

訪問、同省家畜水産改良センターをはじめ、在来ブタ飼育農家を

訪れ、現状視察を行うとともに、今後のプロジェクト活動の進め

方を検討・協議しました。

本ワークショップの結果、

平成27年度のプロジェクト

活動計画表が改訂され、来

る第1回プロジェクト調整

委員会会議の承認を経て、

本格的な活動が開始される

予定です。

朝礼風景:工事関係者全員集合。元

請、下請の安全管理者が前に立ち、

当日の注意事項を一言表明、その後、

全員でラジオ体操

7.工事安全への対応

JICAベトナム事務所はイ

ンフラ建設の援助効果を計

画どおりに発現させるため、

所定の品質を確保しつつ、工

期内に工事が完了するよう

に、適切に実施していく役割

を担っています。その阻害要

因である事故の防止・低減へ

の取り組みを行うことが

「工事安全への対応」です。

事業実施者や施工監理コン

サルタントを通して、時に

は自ら現地調査を実施して

事故防止・低減に向け活動

しています。

最近、工事関係者の安全意識は徐々に高まっています。特に円

借款の STEP案件においてはコンサルタントとコントラクターが

協働してリスクアセスメントの導入・実施等、安全管理が強化さ

れ、工事に直接関係する事故は減少傾向にある一方で、工事箇所

近傍の一般道路での交通事故による第三者の死傷者は増加傾向に

あります。工事関係者の対策だけでは限界があり、事故防止・軽

減に向けては警察等による交通取締りの協力が欠かせません。ま

た工事用重機事故の大半は移動式クレーンによるものです。大都

市の道路、鉄道工事では工事区域に隣接して道路、建物が密集し

ており、第三者を巻き込む恐れがある、機器類の整備、オペレー

ターの教育、操作条件のチェックが欠かせません。

昨年制定された「ODA建設工事安全管理ガイダンス」の実施

で、リスクを想定し、その対策を取り入れた施工を実施していく

ことで事故が減少していくことが期待されています。

8.(草の技協)横浜の水道技術をベトナムやカンボジアの水道事

業体に紹介

6月 17日、ベトナム国フエ市において、横浜市水道局とフエ省

水道公社は日本企業の優れた水道技術を紹介するワークショップ

を開催しました。

このワークショップは、草の根技術協力(地域経済活性化特別

枠)「横浜の民間技術によるベトナム国「安全な水」供給プロジェ

クト1 」の活動の一環として行われたものです。ベトナム上下水

道協会、フエ省関係部局、フエ省水道公社をはじめとするベトナ

ムやカンボジアの水道事業体や企業等から約 40団体、総勢約 120

名以上の方々が参加し、横浜の民間技術への関心の高さがうかが

えました。また、ベトナムやカンボジアにおけるそれぞれの技術

導入の可能性について活発な意見交換が行われました。

フエ省水道公社のナム局長から「本プロジェクトは、フエ省水

道公社と横浜市水道局の 12年にわたる連携に基づき、JICAの協

力で開始した。活動成果として、4企業の技術をベトナム国内の

水道事業体に広く紹介したい」、横浜市水道局の土井局長から「フ

エ省水道公社と横浜水ビジネス協議会の中から参加した 4企業と

のチームワークにより、このイベントを実現させることができた。

今後もフエ省水道公社やベトナムの各水道事業体との友情を深め

ベトナムと日本の友好関係のさらなる深化に努力をしてまいりた

い」といった発言があり、水ビジネス分野における日越ネットワ

ーク構築の検討に期待が寄せられました。

本プロジェクトは 2016年 11月まで活動を行います。

1横浜の民間技術によるベトナム国「安全な水」供給プロジェクト

http://www.jica.go.jp/partner/kusanone/tokubetsu/vie_12.html

給配水管改良チームによるソフト

フレキ管のデモンストレーション 無収水対策チームによる L-signを

活用した漏水探査手法のデモンス

トレーション

9.ボランティア総会

6月 25日、26日の 2日間に渡り、ボランティア中間・帰国報告

会及びボランティア総会を実施しました。

一日目の中間・帰国報告会では、赴任後一年目にあたる 26年度

1次隊 6名が中間報告、帰国を間近に控えた 2名(25年度 1次隊、

26年度 1次隊各 1名)が帰国報告を行いました。中間報告では任

期の折り返し地点にいたるまでの活動の振り返り、今後の一年の

計画について各自、発表を行いました。また、帰国報告では、専

門家や他のボランティアからのコメントや質疑応答もあり、活動

における課題や解決に向けた地道な努力など、普段は見えにくい

部分を共有することが出来ました。

二日目の総会では、各種委員会や職種別分科会の報告、ケース

スタディ等、ボランティアの企画によるプログラムが行われまし

た。特に、ボランティアが直面した活動上の問題点についてグル

ープごとに話し合うケーススタディでは、活発な意見交換がなさ

れました。

ボランティア総会は、ベトナム全土で活動するボランティアが

一堂に会する唯一の機会であり、年一回、ハノイで実施いたしま

す。普段、顔を合わす機会が少ないボランティアにとって、総会

での意見交換や併せて実施される職種別分科会は、情報共有・交

換の場としても有意義な会であると言えます。

10.ジャーナリスト・デイ 90周年記念、3ドナー・メディアとの

意見交換会開催

今年で 90周年を迎えるベトナムのジャーナリスト・デイを記念

し、6月 15日、JICAは世界銀行、アジア開発銀行と合同で、記者

25名を招待し、意見交換会を開催しました。本会では各ドナーか

らの日頃の報道に対する感謝とお礼、続いて記者からドナーへの

要望が述べられました。

JICAに対し記者からは、本会の直前に立ち上げた JICAのベト

ナム語ウェブページについて、JICA事業の理解促進に役立つとの

コメントを多くいただくことができました。一方、JICA事業の特

長でもある、技術協力、有償資金協力、無償資金協力という 3つ

の援助手法を一元的に手がけることで、より効果の高い援助を実

施するという点については多くの記者からスキームの違いについ

てよりわかりやすい説明を求められました。これを受けて JICA

は、越語ウェブエージにスキームの違いについて解説を加えまし

た。

また、意見交換会に他のドナーから招待された記者の中には、

JICAとのコンタクトがなかったロイターや AP通信といった記者

もいたことから、JICAとしても新たなメディアの開拓につながり

ました。

その他