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Version 2.2010, 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. All rights reserved. These guidelines and this illustration may not be reproduced in any form without the express written permission of NCCN. Guidelines Index NCCN ® Practice Guidelines Prostate Early Detection TOC in Oncology – v.2.2010 前立腺癌早期発見 Discussion, References NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology™ NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン) 前 立 腺 癌 早 期 発 見 2010 年 第 2 www.nccn.org つづく

前 立 腺 癌 早 期 発 見...Stephen G. Patterson, MD † H. Lee Moffitt Cancer Center and Research Institute at the University of South Florida Veda N. Giri, MD † Fox Chase

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Page 1: 前 立 腺 癌 早 期 発 見...Stephen G. Patterson, MD † H. Lee Moffitt Cancer Center and Research Institute at the University of South Florida Veda N. Giri, MD † Fox Chase

Version 2.2010, 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. All rights reserved. These guidelines and this illustration may not be reproduced in any form without the express written permission of NCCN.

Guidelines Index

NCCN® Practice Guidelines Prostate Early Detection TOC

in Oncology – v.2.2010 前立腺癌早期発見 Discussion, References

NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology™ (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン)

前 立 腺 癌 早 期 発 見

2010年 第2版

www.nccn.org

つづく

Page 2: 前 立 腺 癌 早 期 発 見...Stephen G. Patterson, MD † H. Lee Moffitt Cancer Center and Research Institute at the University of South Florida Veda N. Giri, MD † Fox Chase

つづく

NCCN 前立腺癌早期発見委員会メンバー

Mark H. Kawachi, MD/Chair w City of Hope Cancer Center

Jonathan I. Epstein, MD The Sidney Kimmel Comprehensive CancerCenter at Johns Hopkins

Judd Moul, MD w Duke Comprehensive Cancer Center

Richard J. Babaian, MD w The University of Texas M.D. Anderson Cancer Center

Robert B. Nadler, MD w Robert H. Lurie Comprehensive CancerCenter of Northwestern University

Ruth B. Etzioni, PhD †† Fred Hutchinson Cancer Research Center/Seattle Cancer Care Alliance

Robert R. Bahnson, MD w Arthur G. James Cancer Hospital & Richard J. Solove Research Institute at The Ohio State University

Stephen G. Patterson, MD † H. Lee Moffitt Cancer Center and Research Institute at the University of South Florida

Veda N. Giri, MD † Fox Chase Cancer Center

George P. Hemstreet, III, MD, PhD w UNMC Eppley Cancer Center at The Nebraska Medical Center

Joseph C. Presti, MD w Stanford Comprehensive Cancer CenterMichael Barry, MD Þ

Dana-Farber/Brigham and Women’s Cancer Center | Massachusetts General Hospital Cancer Center

Antoinette M. Stroup, PhD &Huntsman Cancer Institute at theUniversity of Utah

Richard J. Howe, PhD ¥Consultant

J. Erik Busby, MD University of Alabama at Birmingham Comprehensive Cancer Center

Paul H. Lange, MD w Fred Hutchinson Cancer Research Center/Seattle Cancer Care Alliance

Robert Wake, MD w St. Jude’s Children’s Research Hospital/University of Tennessee Cancer Institute Peter R. Carroll, MD w

UCSF Comprehensive Cancer Center Hans Lilja, MD, PhD † Memorial Sloan-Kettering Cancer Center John T. Wei, MD, MS w

University of Michigan ComprehensiveCancer Center

H. Ballentine Carter, MD w The Sidney Kimmel Comprehensive CancerCenter at Johns Hopkins

Kevin R. Loughlin, MDDana-Farber/Brigham and Women’s Cancer Center | Massachusetts General Hospital Cancer Center

William J. Catalona, MD w Robert H. Lurie Comprehensive Cancer Center of Northwestern University

James Mohler, MD w Roswell Park Cancer Institute

Michael S. Cookson, MD w Vanderbilt-Ingram Cancer Center

NCCNガイドライン委員会に関する情報開示

† 腫瘍内科学 § 放射線療法/放射線腫瘍学 w 泌尿器科学 Þ 内科学 病理学 & 疫学 †† 生物統計家 ¥ 患者擁護団体 * 作成委員会メンバー

ガイドライン索引 前立腺癌早期発見 目次

考察、参考文献 前立腺癌早期発見 Practice Guidelines in Oncology – v.2.2010

®

NCCN

2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

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目次

NCCN前立腺癌早期発見委員会メンバー

ガイドライン更新の要約(UPDATES)

序文(PROSD-1)

ベースライン時の評価(PROSD-2)

診断的評価、スクリーニング結果(PROSD-3) 直腸指診(DRE)陽性(PROSD-4) 直腸指診(DRE)陰性、PSA実施(PROSD-5)

スクリーニング結果;PSA4~10ng/mL(PROSD-6)

スクリーニング結果;PSA > 10ng/mL (PROSD-7)

経直腸的超音波検査(TRUS)ガイド下生検結果(PROSD-8)

PSA検査の是非に関する論点(PROSD-A) ガイドライン索引

前立腺癌早期発見ガイドラインを印刷

ガイドラインのヘルプは ここをクリック

考察

参考文献

これらのガイドラインは、エビデンスと現在受け入れられている治療方針に対する見解についての著者らの合意を記述したものである。 これらのガイドラインを適用または参照する臨床医には、患者のケアまたは治療法の決定において個々の臨床状況に応じた独自の医学的判断を行う

ことが期待される。National Conprehensive Cancer Network は、その内容、使用、または適用に関して、意見陳述ないし保証を行うものではなく、

いかなる場合においても、その適用または使用について一切責任を負わない。このガイドラインの著作権は National Comprehensive Cancer Nerworkにある。NCCN の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられてい

る。 @2009.

臨床試験: NCCN はすべての癌患者

にとって、 良の管理法は臨床試験に

あると考えている。 臨床試験への参加

が特に推奨される。

NCCN加盟施設における臨床試験のオ

ンライン検索は こちら: nccn.org/clinical_trials/physician.html NCCN のエビデンスとコンセンサスに

よるカテゴリー: 特に指定のない限り、すべての推奨は

カテゴリー2A である。

NCCNのエビデンスとコンセンサスに

よるカテゴリーを参照

ガイドライン索引 前立腺癌早期発見 目次

考察、参考文献 前立腺癌早期発見 Practice Guidelines in Oncology – v.2.2010

®

NCCN

2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

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ガイドライン索引 前立腺癌早期発見 目次

考察、参考文献 前立腺癌早期発見 Practice Guidelines in Oncology – v.2.2010

®

NCCN 前立腺癌早期発見ガイドライン 2010 年第 2 版の変更の要約は以下の通りである: 考察部分を更新し追加。 前立腺癌早期発見ガイドライン 2010 年第 1 版の変更の要約は以下の通りである: PROSD-1 • 本ガイドラインは(早期発見の是非について適切なカウンセリングを受けた後で)早期発見プログラムへの参加を選択した男性を対象としている。 PROSD-2 • 脚注「a」が修正されている。「75歳を超える男性のスクリーニングは個別に対応すべきである。」以前は80歳を超える男性に対してはスクリーニング実施の判

断を個別に対応するべきとされていた。 • スクリーニング時およびフォローアップ中のPSA値について0.6 ng/mLから1.0 ng/mLに変更し、脚注を追加した。脚注「e」には「40~49歳男性のPSA上限値と

しては1.0 ng/mLを採用した」と記載されている。 • 脚注「g」がページに追加された。「高齢患者のPSA/DREによるフォローアップ頻度を減らすことは、個別リスク層別化に基づき適切であろう」 PROSD-A (2 of 3) • 現在、PSAスクリーニングのレベル1エビデンスとしては、2009年に公表されたヨーロッパの研究結果がある。European Randomized Study of Screening for

Prostate Cancer (ERSPC) は、前立腺特異抗原(PSA)検査の前立腺癌死亡率に対する効果を評価するため1990年代初頭に開始された。この試験には欧州7カ国

で50~74歳の男性182,000人が参加し、平均して4年に1回PSAスクリーニングを受ける群またはPSAスクリーニングを受けない対照群にランダムに割り付けられ

た。あらかじめ定義されたコア群には55~69歳の男性162,243人が組み入れられた。 主要評価項目は前立腺癌死である。追跡期間中央値9年間で、前立腺癌の累積

罹患率はスクリーニング群の8.2%に対し対照群では4.8%であった。前立腺癌による死亡はスクリーニング群214例、対照群326例であった。 対照群と比較したス

クリーニング群の前立腺癌による死亡率比は0.80(95%信頼区間[CI]、0.65-0.98;調整P=0.04)であった。研究者らは、PSAに基づくスクリーニングプログラ

ムによって前立腺癌死亡率が20%減少したと結論づけた。しかし、研究者らはPSAスクリーニングによる死亡率低下効果が得られる過程で、過剰診断リスクが高

くなるとも指摘している。統計学的にみて、前立腺癌による死亡を1例予防するには1,410人がスクリーニングを受ける必要があり、48人が治療を受ける必要があ

る。

UPDATES 2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー 2 A である。 臨床試験:NCCNはすべての癌患者にとって、 良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

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序文

ベースライン時の評価

(PROSD-2)を参照

当委員会は、前立腺癌と診断されたすべての男性が治療をすべきとの意図はもっておらず、そのような提案もしていない。もし、すべて

の早期前立腺癌を発見することになれば、生物学的悪性度の低い(増殖が遅い)癌と、悪性度の高い(増殖が早い)癌の両方の発見

が増加することになるであろう。課題は、発見された癌の生物学的特性を同定し、さらに有効な治療を行えば癌の進行による病状の悪化

や死亡率を有意に低下させることができる癌を同定することである。

このような前立腺腫瘍の特性は他の癌と異なり多様であり、結果的に、過剰治療となれば、生活の質の低下(例、排尿障害、腸機能障

害、勃起障害)というあきらかに有害な影響がでる可能性があり、重大な事項として考慮が必要である。前立腺癌の自然史は、一般的に

長期間かけて進行するといわれているが、その期間についてはわかっていない。

前立腺癌早期発見ガイドラインでは前立腺癌の治療は扱わない。本ガイドラインは(早期発見の是非について適切なカウンセリングを受

けた後で)早期発見プログラムへの参加を選択した男性を対象としている。前立腺癌早期発見委員会メンバーの大多数の意見では、前立

腺癌治療ガイドラインにも記載されている通り、現在、前立腺癌と診断され、その後の経過観察が可能であり、また観察が必要な男性

の数が増加している。 ガイドラインの中で、PSA基礎値や生検の適応となるPSA閾値を引き下げについては、委員会メンバーの多く

が推奨したが、コンセンサスには至らなかった。 本ガイドラインは常に進化し続けるものであり、委員会は新たなエビデンスおよび専門家の意見に基づき変更を加え、それぞれの

推奨に関してコンセンサスの評価を与えていく。

スクリーニングを受ける可能性のある人とPSA検査の是非について話し合う際の"論点"(PROSD-A)を参照。

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考察、参考文献 前立腺癌早期発見 Practice Guidelines in Oncology – v.2.2010

®

NCCN

2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー 2 A である。 臨床試験:NCCNはすべての癌患者にとって、 良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

PROSD-1

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a 75 歳を超える男性のスクリーニングは個別に考慮すべきである。 b 家族歴は生検実施の決定に影響を及ぼすことがある。血縁者の前立腺癌罹患者について、近親者であるほど、発症が早いほど、 罹患家族数が多いほど、当事者の前立腺癌発症リスクは高まる。

C PSA年間増加度:PSA が4 ng/mL未満の男性の場合、PSA年間増加度が0.35 ng/mL/年以上であれば、癌の存在が疑われることが示唆され(Carter HB, Ferrucci L, Kettermann A at el. Detection of Life-Threatening Prostate Cancer With Prostate-Specific Antigen Velocity During a Window of Curability. J Natl Cancer Inst 2006;98(21):1521-1527)、生検が推奨される;

PSA が4~10 ng/mLの男性の場合、PSA年間増加度が0.75 ng/mL/年以上であれば癌が疑われる。PSA が10 ng/mLを超える男性における、生検適応の指標となる年較差PSA値は不明で

ある。測定は少なくとも18~24ヵ月間にわたって採取した3回以上連続する検体で実施すべきである。PSA値は様々な要因で変動する。長期間であれば年較差PSA値の信頼性は高まる

が、年較差PSA値の計算に、長期間にわたり測定された古いPSA値を用いると、通常、年較差PSA値の推定値は低く見積もられ、癌罹患の予測力を低下させる恐れがある。 また、PSA 年間増加度の計算時に、生物学的変動や前立腺炎の影響があるかもしれないことに留意することは重要である;したがって、このような原因による PSA 変動の混乱を 小

限に抑えるために抗生物質治療および PSA の反復測定を行うべきである。 d 序文(PROSD-1)を参照 e 40~49歳男性のPSA上限値としては1.0 ng/mLを採用した。 f 文献上、本ガイドラインで記載されているフォローアップの推奨事項を支持するエビデンスはない;臨床経験に基づいた委員会でのコンセンサスによるものである g 高齢患者の PSA/DRE によるフォローアップ頻度を減らすことは、個別リスク層別化に基づき適切であろう。

リスク評価 d フォローアップベースライン時

の評価 スクリーニング

評価PSA ≦ 1.0 ng/mL の場合、50歳時

のスクリーニン

グを提案g

診断的評価(PROSD-3)を参照

PSA ≦ 1.0 ng/mL

45歳で 再検査 PSA ≧

1.0 ng/mLe または アフリカ

系米国人

または 家族歴

年1回のフォローアップ(カテゴリー2B):f •DRE •PSA •既往歴及び理学的所見

a

は以下を含む: 家族歴b 薬物治療 前立腺疾患の病歴

および過去のPSAおよび/または

PSAアイソフォー

ム、検査、生検な

どのスクリーニン

グ歴 PSA年間増加度

(可能な場合)c

年1回のフォロー

アップ(カテゴ

リー2B): •DRE •PSA

スクリーニング結果(PROSD-3)を参照

リスクおよび利

益の話し合いを

開始 および 40歳でのベース

ラインのDRE実施およびPSA検

査を提案(カテ

ゴリー2B)

PSA > 1.0 ng/mL

診断的評価(PROSD-3)を参照

50 歳時の定期

的スクリーニ

ングを提案 g PSA ≦ 1.0 ng/mL

45 歳で 再検査

PSA < 1.0 ng/mLe 年1回のフォロー

アップ(カテゴリ

ー2B): •DRE •PSA

スクリーニング結果(PROSD-3)を参照

PSA > 1.0 ng/mL

前立腺癌早期発見の

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注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー 2 A である。 臨床試験:NCCNはすべての癌患者にとって、 良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

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診断のための

評価項目 スクリーニング結果 フォローアップ

PSA の結果に

関係なく DRE陽性

TRUSガイド下

生検 (PROSD-8 を参照)

フォローアップ

(PROSD-4)を参照

DRE の結果に

基づく総 PSA検査の提案

スクリーニング結果 およびフォローアップ

(PROSD-5)を参照

DRE陰性でPSA検

査実施済みの場合

h フィナステリドまたはデュタステリドを使用している患者の場合、期待される PSA の低下(約 50%の低下)が得られない時、または薬物治療中にもかかわらず増加する場合は、前立腺癌に

罹患している可能性が高い。

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PROSD-3 2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

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フォローアップ

癌 NCCN前立腺癌治療ガイドラインを参照

PSA の結果に 関係なく DRE 陽性:

異型腺管、 癌の疑い、 または高悪性度

前立腺上皮細胞

内腫瘍(PIN) TRUSガイド 下生検の所見(PROSD-8を 参照)

TRUSガイド下生検結果に基づく フォローアップ(PROSD-8)を参照

スクリーニング結果

(PROSD-5)を参照 良性

h フィナステリドまたはデュタステリドを使用している患者の場合、期待される PSA の低下(約 50%の低下)が得られ

ない時、または薬物治療中にもかかわらず増加する場合は、前立腺癌に罹患している可能性が高い。

PSA • 射精:

患者が48時間射精を控えた場合、結果はより信頼

性が高まる。この条件に合致しない場合に測定し

た検体でのPSA値がわずかな上昇を示していた場

合、48時間の禁欲後に再検する。 • PSAに影響を及ぼす薬剤:

フィナステリドh アンドロゲン受容体遮断薬 デュタステリドh

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フォローアップ

PSA 年間増加度 < 0.35 ng/mL/年 c

•PSA ≦ 2.5ng/mLおよび •PSA年間増加度 < 0.35 ng/mL/年(測定が可能な 場合)

フォローアップを継続

年1回のDREおよびPSA 初回のTRUSガイド

下生検実施(PROSD-8を参照)を考慮

PSA 年間増加度 ≧ 0.35 ng/mL/年 c

NCCN前立腺癌治療 ガイドラインを参照

TRUSガイド 下生検実施済み

(PROSD-8を 参照)

異型腺管、 癌の疑い、 または高悪性度

前立腺上皮細胞

内腫瘍(PIN)

TRUSガイド下生検結果に基づくフォローアップ(PROSD-8)を参照 •PSA 2.6~4ng/mL

または •PSA ≦2.5 ng/mLの場合

でPSA年間増加度 ≧ 0.35 ng/mL/年c

生検実施を考慮j DRE陰性

PSA検査 実施済み

良性DRE を用いた 6~12 ヵ月の フォローアップ c TRUS ガイド

下生検未実施

PSA 4~10 ng/ mLng/mL

PSA 4~10 ng/mL (PROSD-6)を参照

PSA > 10 ng/mL PSA > 10 ng/mL (PROSD-7)を参照

c PSA年間増加度:PSA が4 ng/mL未満の男性の場合、PSA年間増加度が0.35 ng/mL/年以上であれば、癌の存在が疑われることが示唆され(Carter HB, Ferrucci L, Kettermann A at el. Detection of Life-Threatening Prostate Cancer With Prostate-Specific Antigen Velocity During a Window of Curability. J Natl Cancer Inst 2006;98(21):1521-1527)、生検が推奨され

る;PSA が4~10 ng/mLの男性の場合、PSA年間増加度が0.75 ng/mL/年以上であれば癌が疑われる。PSA が10 ng/mLを超える男性において、生検適応の指標となるPSA年間増加度

は不明である。測定は少なくとも18~24ヵ月間にわたって採取した3回以上連続する検体で実施すべきである。PSA値は様々要因で変動するため、長期間であればPSA年間増加度の

信頼性は高まる。しかし一方で、PSA年間増加度の計算に、長期間にわたり測定された古いPSA値を用いすぎると、通常、PSA年間増加度の推定値は低く見積もられ、癌罹患の予測

力を低下させる恐れがある。また、PSA年間増加度の計算時に、生物学的変動や前立腺炎の影響があるかもしれないことに留意することは重要である;したがって、このような原因

によるPSA変動の混乱を 小限に抑えるために抗生物質治療およびPSAの反復測定を行うべきである。 j 考慮すべき因子:年齢(75歳を超える男性は個別に判断すべきである)、合併症、遊離型PSA/総PSA比、前立腺の直腸指診の所見/大きさ、家族歴の程度、アフリカ系米国人。 k 一般的に、遊離型PSA/総PSA比は初回の生検を実施するかどうかを決定する際には用いられない。しかし、特定の条件では次の参考値を使用することを考慮してもよい:25%を超

えると生検実施せず;10%以下では生検を実施する;10%超~25%以下の中間的な結果では生検を考慮する。

初回生検の実施を考慮する場合の遊離型PSA/総PSA比の参考値:k • ≦10% 生検 • >10 ≦25% 生検を考慮 •>25% 生検の延期を考慮

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スクリーニング結果

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考察、参考文献

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NCCN前立腺癌治療 ガイドラインを参照

スクリーニング結果 フォローアップ生検陽性

遊離型 PSA/総 PSA 比 ≦ 10%l

再生 検実施 DREおよび、総PSA

または遊離型PSA/総PSA比(PSAVを含む)を用いた6~12ヵ月ごとのフォローアップc

生検陰性

DRE、および総PSAまたは遊離型PSA/総PSA比を用いた6~12ヵ月ごとのフォローアップc

再生検の実施について 話し合う または DRE、総 PSA または 遊離型 PSA/総 PSA 比を

用いたフォローアップ c

遊離型 PSA/総 PSA 比 >10 ≦ 25%l

陰性

TRUS ガイド 下生検実施 (望ましい)

(PROSD-8 を

参照)

生検結果

(PROSD-8 を参照) DREおよび、総PSAま

たは遊離型PSA/総PSA比(PSAVを含む)を用いた6~12ヵ月ごとのフォローアップc

遊離型 PSA/総 PSA 比 > 25%l

NCCN前立腺癌治療

ガイドラインを参照陽性

PSA 4~10 ng/mL

または

≦ 10%l 生検結果 (PROSD-8 を参照) 合併症の状態が、生検お

よび/または診断、その

後の治療によるリスクを

上回るような患者では、

遊離型PSA/総PSA比を測

定する

DREおよび総PSAまたは遊離型PSA/総PSA比を

用いたフォローアップ(カテゴリー2B)>10≦ 25%l

DRE、総PSA、c遊離型PSA/総PSA比を用いた年1回のフォローアップ > 25%l

c PSA年間増加度:PSA が4 ng/mL未満の男性の場合、PSA年間増加度が0.35 ng/mL/年以上であれば、癌の存在が疑われることが示唆され(Carter HB, Ferrucci L, Kettermann A at el. Detection of Life-Threatening Prostate Cancer With Prostate-Specific Antigen Velocity During a Window of Curability. J Natl Cancer Inst 2006;98(21):1521-1527)、生検が推奨され

る;PSA が4~10 ng/mLの男性の場合、PSA年間増加度が0.75 ng/mL/年以上であれば癌が疑われる。PSA が10 ng/mLを超える男性において、生検適応の指標となるPSA年間増加度

は不明である。測定は少なくとも18~24ヵ月間にわたって採取した3回以上連続する検体で実施すべきである。PSA値は様々要因で変動するため、長期間であればPSA年間増加度の

信頼性は高まる。しかし一方で、PSA年間増加度の計算に、長期間にわたり測定された古いPSA値を用いすぎると、通常、PSA年間増加度の推定値は低く見積もられ、癌罹患の予測

力を低下させる恐れがある。また、PSA年間増加度の計算時に、生物学的変動や前立腺炎の影響があるかもしれないことに留意することは重要である;したがって、このような原因

によるPSA変動の混乱を 小限に抑えるために抗生物質治療およびPSAの反復測定を行うべきである。 l Catalona WJ、 Partin AW、 Slawin KMらのデータに基づく遊離型PSA/総PSA比のカットオフ値。Use of percentage of free prostate-specific antigen to enhance differentiation of

prostate cancer and benign prostatic disease: a prospective multicenter trial. JAMA 1998; 279: 1542-7.

ガイドライン索引 前立腺癌早期発見 目次

考察、参考文献 前立腺癌早期発見 Practice Guidelines in Oncology – v.2.2010

®

NCCN

PROSD-6 2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー 2 A である。 臨床試験:NCCNはすべての癌患者にとって、 良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

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スクリーニング結果 フォローアップ

癌 NCCN前立腺癌治療ガイドラインを参照

異型腺管、 癌の疑い、 または高悪性

度前立腺上皮

細胞内腫瘍

(PIN)

PSA > 10 ng/mL 生検 実施 TRUSガイド下生検結果に基づくフォローアップ(PROSD-8)を参照

生検実施

せず 6~12ヵ月ごとにPSA およびDREを反復

• PSAおよびDREによ

る再評価 • 医師と患者の話し合

いに基づき3~12ヵ月後の再生検を考慮

DRE、および総PSAまたは遊離型PSA/総PSA比(PSAVを含む)を用いた6~12ヵ月ご

とのフォローアップ;c

個別の患者の因子と希望に基づき3回目の生検を考慮

良性 陰性

NCCN前立腺癌治療 ガイドラインを参照 陽性

c PSA年間増加度:PSA が4 ng/mL未満の男性の場合、PSA年間増加度が0.35 ng/mL/年以上であれば、癌の存在が疑われることが示唆され(Carter HB, Ferrucci L, Kettermann A at el. Detection of Life-Threatening Prostate Cancer With Prostate-Specific Antigen Velocity During a Window of Curability. J Natl Cancer Inst 2006;98(21):1521-1527)、生検が推奨され

る;PSA が4~10 ng/mLの男性の場合、PSA年間増加度が0.75 ng/mL/年以上であれば癌が疑われる。PSA が10 ng/mLを超える男性において、生検適応の指標となるPSA年間増加度

は不明である。測定は少なくとも18~24ヵ月間にわたって採取した3回以上連続する検体で実施すべきである。PSA値は様々な要因で変動するため、長期間であればPSA年間増加度

の信頼性は高まる。しかし一方で、PSA年間増加度の計算に、長期間にわたり測定された古いPSA値を用いすぎると、通常、PSA年間増加度の推定値は低く見積もられ、癌罹患の予

測力を低下させる恐れがある。また、PSA年間増加度の計算時に、生物学的変動や前立腺炎の影響があるかもしれないことに留意することは重要である;したがって、このような原

因によるPSA変動の混乱を 小限に抑えるために抗生物質治療およびPSAの反復測定を行うべきである。

ガイドライン索引 前立腺癌早期発見 目次

考察、参考文献 前立腺癌早期発見 Practice Guidelines in Oncology – v.2.2010

®

NCCN

PROSD-7 2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー 2 A である。 臨床試験:NCCNはすべての癌患者にとって、 良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

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前立腺癌早期発見の

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PROSD-8

ガイドライン索引 前立腺癌早期発見 目次

考察、参考文献 前立腺癌早期発見 Practice Guidelines in Oncology – v.2.2010

®

NCCN

2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー 2 A である。 臨床試験:NCCNはすべての癌患者にとって、 良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

TRUS生検結果に基づくフォローアップ方法

癌 NCCN前立腺癌治療ガイドラインを参照

ASAP(atypical small acinar proliferation;腺癌を疑う小

病巣を認めるが,細胞異型や細胞構築などの所見が十分で

はなく確定診断に至らない)を認めた部位、およびその隣

接部位の追加採取を含む、より多部位の再生検(3ヵ月以

内)の実施。癌が認められなかった場合は、PSAおよび

DREを用いた綿密なフォローアップ

異型腺管、

癌の疑い

TRUSガイド

下生検結果 初回に 6 カ所生検を用いた場合は、

より多部位の再生検

癌が認められな

かった場合は、

PSA および

DRE を用いた フォローアップ

高悪性度PIN

初回に多部位生検を実施した場合は、

おそらく1年以内の即時再生検を行う

必要はない; 多部位の再生検の延期を考慮

DREおよびPSA所見に基づくフォローアップ: • DRE陽性(PROSD-4を参照) • ハイリスク(PROSD-5を参照) • PSA 4~10 (PROSD-6を参照) • PSA > 10 (PROSD-7を参照)

良性

TRUSガイド下生検結果 初回および反復の多部位生検(12コア)

• コア数: 通常の6カ所生検および、 さらに側方の辺縁領域への6カ所および、 触知可能な結節病変または画像上疑わしい部位

への狙撃生検 • 移行域の生検はルーチン生検での実施は支持されて

いない。しかし、PSAが持続的に上昇している場合

には、多部位生検プロトコルに移行域生検を追加す

ることを考慮してもよい。 • TRUSガイド下の多部位生検で2回陰性が続いた後

は、一般的に再生検で前立腺癌が発見されることは

ない。 • 複数回の多部位生検で陰性であったハイリスク男性

の場合、飽和生検の実施を考慮する。 • 局所麻酔は前立腺生検時の疼痛/不快感を軽減する

ことができる。

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スクリーニングを受ける可能性のある人と PSA 検査の是非について話し合う際の"論点"

ガイドライン索引 前立腺癌早期発見 目次

考察、参考文献 前立腺癌早期発見 Practice Guidelines in Oncology – v.2.2010

®

NCCN

PROSD-A 1 of 3 2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー 2 A である。 臨床試験:NCCNはすべての癌患者にとって、 良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

• 前立腺癌は、皮膚癌以外で高齢男性に も多くみられる癌である。1 米国の男性は、生涯のうちに前立腺癌が見つかる確率は約6分の1である。2 定期的なPSA検査

を行う男性は前立腺癌が見つかる確率が高い;PSA検査を受けない男性は癌が見つかる確率は低いが、 終的に癌が診断された場合にはすでに進行した癌である確

率が高くなる。 症状がない場合は、PSA検査のほうが直腸指診よりも早期に前立腺癌の大部分を発見することができる。 • アフリカ系米国人、および前立腺癌(特に若年で発見された場合)に罹患した父親、兄弟、または息子がいる男性は前立腺癌発癌リスクが高い。 アメリカ先住民お

よびアジア系米国人男性はリスクがかなり低い。2

• また、米国の男性が 終的に前立腺癌で死亡する確率は約30分の1である。しかし、早期発見および治療を選択した男性がもしいなければ、この死亡する確率はさ

らに高くなるであろう。米国では、毎年約30,000人の男性が前立腺癌で死亡している。その前立腺癌死亡のなかで、55歳未満の男性は約100分の1を占めるにすぎな

い。全前立腺癌死亡のうち、55~64歳の男性は約20分の1を占め、65~74歳の男性は10分の2、75歳以上の男性は10分の7を占めている。2 しかし、このような死亡

は、通常、一定期間遠隔転移癌を患った後に生じる。 • 多くの前立腺癌は増殖が非常に遅い。したがって、前立腺癌に罹患する男性の多くはその前立腺癌が何らかの症状を現す前に他の原因で死亡する可能性がある。 しかし、より急速に増殖する前立腺癌は全生存および生活の質に影響を及ぼす可能性がある。男性が他の原因で死亡するか前立腺癌で死亡するかは、年齢およびその

他の医学的問題はもちろんのこと、その癌がどれくらい悪性か、どれくらい早期に発見されるか、どの程度治療が有効であったかによる。大半の専門家は、一般的

に75歳を超える男性、またはそれ以下の年齢の男性であっても深刻な医学的問題を抱える場合には、PSA検査から得るものは少ないと考えている。 • 前立腺癌の確定診断のために、前立腺生検などのさらなる精密検査を行うべきPSA検査値上限については、医師の間で意見が分かれている。大半の医師はPSA値が

4を超える男性は生検をすべきであると考えているが、2.5を超える男性は生検をすべきと考える医師もいる。 PSAの絶対値だけを考慮する傾向は薄れ、PSA値の経

時的変化を考慮する傾向が高まっている。 PSA値が着実に上昇している男性は癌である可能性が高く、上昇が急激な場合は生命にかかわる癌である可能性が高いこ

とを示すエビデンスが蓄積されている。患者の年齢および前立腺容積(腺の大きさ)などのその他の因子も前立腺生検がいつ必要なのかを決定する上で重要であ

る。 • 前立腺生検は、通常、局所麻酔下に、経直腸的超音波プローブを用いて、経直腸的に生検針を刺入して行われる。この生検針は前立腺組織から検体を採取するため

に使用される。通常、10~12検体を採取する。前立腺生検は、PSA検査とは異なり、前立腺癌の有無がわかる。 前立腺生検は、通常、忍容性が高く、直腸または

尿路出血、感染または尿閉などの重大な問題を引き起こすことはまれである。 • PSA検査は、前立腺癌がない男性の場合でも異常となる可能性がある。これは、検査の「偽陽性」というものである。このような偽陽性のPSA検査は、診断されて

も重要ではないその他の前立腺疾患(煩わしい尿路症状がない限り)に由来する可能性がある。 PSA値が高い男性の約3人に1人が前立腺癌であるということは、す

なわち3人のうち2人は前立腺癌ではないということである。前立腺生検を行う場合、PSA値が高いほど前立腺癌が発見される可能性は高まる。3

論点は次のページに続く

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スクリーニングを受ける可能性のある人と PSA 検査の是非について話し合う際に検討されるべき、推奨される"論点"

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考察、参考文献 前立腺癌早期発見 Practice Guidelines in Oncology – v.2.2010

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PROSD-A 2 of 3 2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー 2 A である。 臨床試験:NCCNはすべての癌患者にとって、 良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

• また、PSA検査は前立腺癌がある男性の場合でも正常となることがある。これは検査の「偽陰性」というものである。PSA値が4未満の男性の約7人に1人が前立腺

癌であるということは、すなわち7人のうち6人は前立腺癌ではないということである。4 PSA値が0を超えていればPSAの範囲を問わず値が高いほど前立腺癌である

可能性が高まる。これは後述の「正常」と呼ばれる範囲内であってもあてはまる。4

• また、前立腺生検は完全な検査ではない。 前立腺生検は、癌がある場合でも時に見逃すことがある。 初の生検が陰性であっても2回目の生検実施を推奨する医師

もいる。 PSA値を追跡し、値が上昇を続ける場合に限り追加の生検を提案する医師もいる。 • 手術による死亡のリスクは極めて少ない。放射線療法と手術のどちらも、一部の男性に尿漏れの問題を引き起こす可能性はあるが、そのリスクは手術でより高い。 放射線療法と手術のどちらも、多くの男性で勃起および勃起維持の障害を引き起こす可能性がある。勃起障害を起こすリスクは、短期的には手術の方が高いが、長

期的に見るとこの2つの治療ではほぼ同じである。3 しかし、放射線療法には一部の男性に腸の問題を引き起こすリスクもある。一部の男性、特に癌の増殖が遅い高

齢男性は、前立腺癌に対し手術または放射線療法のような治療を必要としないことがあり、定期的なPSA検査および診察により経過観察をおこなう、PSA監視療

法、または待機療法といわれる方法で追跡することができる。 • PSA検査で男性をスクリーニングすると、 終的に前立腺癌で死亡する可能性が低下するのか、またはその男性の生存期間を延長するのに役立つかは不明である。

また、PSA検査でスクリーニングをおこなうと、 終的に疼痛を伴う前立腺癌の骨転移などの前立腺癌の進行による合併症に対処しなければならない可能性が低下

するのかは明らかではないが、診断時の進行癌の割合が低下し、死亡率が低下し、進行癌により苦しむ男性が少なくなる可能性が示唆されている。その結果、

P S A 検査によるスクリーニングの意義について医師の意見は一致していない。しかし、スクリーニングは明らかに、診断時の前立腺癌の病期

にかつてないほどの大きな変化をもたらした。今や75%を超える癌が、前立腺に限局した段階で、そして 新の治療法が も有効な時期に発見されている。P S A検 査 そ の も の に よ る 関 連 性 は 依 然 と し て 不 明 で あ る が 、 い ま ま で の エ ビ デ ン ス で は 、 前 立 腺 癌 の 死 亡 率 低 下 効 果 の 少 な く と も

一 部 は P S A 検 査 に よ る も の で あ る こ と が 示 唆 さ れ て い る 。 ランダム化試験と呼ばれる特殊な試験は、PSA検査が前立腺癌の死亡率に与える影響を

判断する も優れた方法である。 • 現在、PSAスクリーニングのレベル1エビデンスとしては、2009年に公表されたヨーロッパの研究結果がある。European Randomized Study of Screening for

Prostate Cancer (ERSPC) は、前立腺特異抗原(PSA)検査の前立腺癌死亡率に対する効果を評価するため1990年代初頭に開始された。この試験には欧州7カ国で

50~74歳の男性182,000人が参加し、平均して4年に1回PSAスクリーニングを受ける群またはPSAスクリーニングを受けない対照群にランダムに割り付けられた。

あらかじめ定義されたコア群には55~69歳の男性162,243人が組み入れられた。主要評価項目は前立腺癌死である。追跡期間中央値9年間で、前立腺癌の累積罹患率

はスクリーニング群の8.2%に対し対照群では4.8%であった。前立腺癌による死亡はスクリーニング群214例、対照群326例であった。対照群と比較したスクリーニ

ング群の前立腺癌による死亡率比は0.80(95%信頼区間[CI]、0.65-0.98;調整P=0.04)であった研究者らは、PSAに基づくスクリーニングプログラムによって前

立腺癌死亡率が20%減少したと結論づけた。しかし、研究者らはPSAスクリーニングによる死亡率低下効果が得られる過程で、過剰診断リスクが高くなるとも指摘

している。統計学的にみて、前立腺癌による死亡を1例予防するには1,410人がスクリーニングを受ける必要があり、48人が治療を受ける必要がある。

論点は次のページに続く

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スクリーニングを受ける可能性のある人と PSA 検査の是非について話し合う際に検討されるべき、推奨される"論点"

1 Jemal A, et al. Cancer Statistics, 2006. CA Cancer J Clin 2006;56:106-130. 2 Ries, et al (eds). SEER Cancer Statistics Review, 1975-2003, National Cancer institute. Bethesda, MD, http://seer.cancer.gov/csrl/975_2003/, based on November 2005 SEER data submission, posted to the SEER web site, 2006.

3 Andriole GL, et al. Prostate cancer screening in the Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian (PLCO) Cancer Screening Trial: Findings from the initial screening round of a randomized trial. J Natl Cancer inst 2005;97:433-8.

4 Thompson iM, et al. Operating characteristics of prostate-specific antigen in men with an initial PSA level of 3.0 ng/mL or lower. JAMA 2005;294:66-70. 5 Andriole GL, Reding D, Hayes RB, Prorok PC, JK; G. The prostate, lung, colon, and ovarian (PLCO) cancer screening trial: Status and promise. Urol Oncol. 2004;22(4):358-361.

6 de Koning HJ, Auvinen A, Berenguer Sanchez A, et al. Large-scale randomized prostate cancer screening trials: program performances in the European Randomized Screening for Prostate Cancer trial and the Prostate, Lung, Colorectal and Ovary cancer trial. int J Cancer. 2002;97(2):237-244.

7 Prorok PC, Andriole GL, Bresalier RS, et al. Design of the Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian (PLCO) Cancer Screening Trial. Control Clin Trials. 2000;21(6 suppl):273S-309S.

PROSD-A 3 of 3 2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー 2 A である。 臨床試験:NCCNはすべての癌患者にとって、 良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

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考察、参考文献 前立腺癌早期発見 Practice Guidelines in Oncology – v.2.2010

®

NCCN

• 要約すると、PSA検査の受診には利点もあれば欠点もあり、PSA検査についてはすべての人に適応できる「正解」というものはい。 各自が説明を受けたうえでPSA検査が自分に適しているか決定すべきである。

• 10箇所生検に伴う合併症の頻度: 血精液症 - 37.4% 1日以上続く血尿 - 14.5% 直腸出血 < 2日 - 2.2% 前立腺炎- 1.0% 発熱 > 38.5℃ (101.3°F)- 0.8% 精巣上体炎- 0.7% 直腸出血(外科的治療の必要性の有無を問わない) > 2日 - 0.7% 尿閉 - 0.2% その他の入院を要した合併症- 0.3%

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前立腺癌早期発見

2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

Practice Guidelinesin Oncology – v.2.2010 NCCN

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考察、参考文献

MS-1

考察

NCCN のエビデンスとコンセンサスによるカテゴリー

カテゴリー1:高レベルのエビデンス(例、ランダム化比較試験)に基

づく推奨で、NCCN の統一したコンセンサスが存在する。

カテゴリー2A:比較的低レベルのエビデンスに基づく推奨で、NCCN の統一したコンセンサスが存在する。

カテゴリー2B:比較的低レベルのエビデンスに基づく推奨で、NCCN の統一したコンセンサスは存在しない(ただし大きな意見の不一致も

ない)。

カテゴリー3:いずれかのレベルのエビデンスに基づく推奨ではある

が、大きな意見の不一致がある。

特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2A である。

前立腺癌早期発見

NCCN 前立腺癌早期発見腫瘍学臨床診療ガイドラインは、臓器に限局し

ている早期前立腺癌を 大限に検出し不要な手技を 小限に抑えるため

に、スクリーニングからその後の精密検査までの一連の戦略について推

奨を提供する。本ガイドラインは前立腺癌スクリーニングに参加するこ

とを選択した男性に対して開発されたものであり、住民検診に関する議

論に対処するものではないことに留意されたい。

概要

前立腺癌は米国人男性に も多く診断される癌であり、癌死因の第 2 位

である。2009 年には 192,000 人を超える男性が前立腺癌と診断され、

27,360 人が本疾患で死亡すると推定されている。1

同時に米国ではほぼ 2000 万人の男性が前立腺癌の早期発見に関して重

要な決断を迫られることになる。米国の男性が生涯のうちでこの悪性腫

瘍と診断される可能性は約 6 分の 1 であり、 終的に前立腺癌で死亡す

る可能性は約 30 分の 1 である。2 アフリカ系米国人男性および第一度

近親者 1 名が前立腺癌(特にその近親者の癌が若年時に発見された場

合)患者である男性は前立腺癌を発症するリスクが高い。2-4 26,111 人

を対象とした 近の研究によると、PSA 基礎値は、家族歴陽性またはア

フリカ系米国人の血筋よりも強力な予測因子であることがわかった。5

定期的に前立腺特異抗原(PSA)検査を受ける男性は、PSA 検査を受け

ない男性と比べ前立腺生検を受ける機会が多く、前立腺癌があれば発見

される可能性は高い。しかしながら、家族性前立腺癌は一般的に診断時

点で異型度が高く病期も進んでおり、より活動性に病勢が進行し、死亡

するリスクが高い。6

PSA 検査に関する議論

前立腺癌の早期発見を実施するかどうかに関する決定は複雑である。い

つ、誰がどのような方法で検査するかは依然として委員の間で大きな議

論となるテーマである。要するに、前立腺癌罹患男性の大半はこの疾患

で死亡しないため、一部の患者には治療(しばしば重要な副作用を伴

う)の必要はないというジレンマがある。これとは逆に、前立腺癌は依

然として 2 番目に多い男性の癌死因である。前立腺癌に関する死亡率は、

癌の活動性がどの程度高いかということと患者の年齢および併存疾患に

依存する。大半の専門家は、75 歳を超える男性は PSA 検査から得るも

のはほとんどないが、彼らに活動性の高い腫瘍がある場合はかなりの利

益が得られると考えている。残念ながら、現在のところ活動性に病状が

進行する腫瘍と増殖が緩徐な腫瘍を鑑別する信頼性の高い方法はない。

過去 10 年間で前立腺癌の病期がより早期に移行したが、これには直腸指

診(DRE)および血清 PSA 検査といった早期発見法の導入が重要な役割

を果たしていることは多くが同意するところであろう。1988 年以降、診

断時に転移性疾患である前立腺癌症例の割合はかなり減少している。7,8

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前立腺癌早期発見

2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

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考察、参考文献

MS-2

現在、診断時点で前立腺癌の 70~80%は病理学的に前立腺内にとどまっ

た限局性癌である。9 PSA スクリーニングで発見された前立腺癌症例は

DRE のみで発見された症例よりも前立腺に限局する頻度が高いことが複

数の研究によって示されている。10,11

1990 年代初頭に開始された 2 つの大規模ランダム化試験は、 近、健康

上のアウトカムに対する PSA スクリーニングの影響を報告した:米国の

PLCO(Prostate, Lung, Colorectal, and Ovary)試験および欧州の

ERSPC(European Randomized Screening for Prostate Cancer)試験

である。これらは 2009 年に中間報告が公表されている。12,13 ERSPC試験 13には欧州 7 カ国で 50~74 歳の男性 182,000 人が参加し、平均し

て 4 年に 1 回 PSA スクリーニングを受ける群または PSA スクリーニン

グを受けない対照群にランダムに割り付けられた。対照群の「コンタミ

ネーション」(PSA 検査の実施)は 20%と推定された。あらかじめ定義

されたコア群には 55~69 歳の男性 162,243 人が組み入れられた。前立

腺癌による死亡を主要評価項目とした。追跡期間中央値 9 年間における

前立腺癌の累積罹患率はスクリーニング群の 8.2%に対し対照群では

4.8%であった。前立腺癌死はスクリーニング群で 214 例、対照群で 326例であった。対照群と比較したスクリーニング群の前立腺癌による死亡

率比は 0.80(95% CI、0.65-0.98;調整 P=0.04)であった。研究者らは、

PSA に基づくスクリーニングプログラムによって前立腺癌死亡率が 20%減少したと結論づけた。しかし、研究者らは PSA スクリーニングによる

死亡率低下効果が得られる過程で、過剰診断リスクが高くなるとも指摘

している。統計学的にみて、前立腺癌による死亡を 1 例予防するには

1,410 人がスクリーニングを受ける必要があり、48 人が治療を受ける必

要がある。NCCN 委員会は、 終的な結論を出すにはフォローアップ期

間がまだ短いものの、この報告を高レベルのエビデンスと認めた。この

試験について今後も結果の更新があった場合、さらに多くの情報を提供

していく。

PLCO 試験 12では米国 10 施設で男性 76,693 人を年 1 回のスクリーニン

グ(年 1 回の PSA を 6 年間および DRE を 4 年間)または通常のケアに

ランダムに割り付けた。7 年間のフォローアップの後、スクリーニング

群の対照群に対する罹患率の比は 1.22(95%CI、1.16-1.29)であった。

スクリーニング群の死亡率(死亡 50 例、10,000 人当たり 2.0 人)と対

照群の死亡率(死亡 44 例、10,000 人当たり 1.7 人)に統計的有意差を

認めなかった。十分な症例数であったにもかかわらず、この報告の価値

はフォローアップが短期間であったことと対照群のコンタミネーション

が 40~52%と著しく高率であったことにより大きく損なわれている。

PSA 検査による死亡率の改善効果の検証が長期的な本研究の目的なので

あろうが、おそらくより長期間のフォローアップによってのみはじめて

明らかとなる事であろう。

このような結果を踏まえて、委員らはいくつかのポイントを挙げた。第

一に、ERSPC は、PSA 検査を用いて前立腺癌による死亡を予防すると

いう社会の仕組み作り(50~74 歳の男性を 4 年毎に検査)は、有益とい

えるが、その他の選択肢を全くなくすというものではない。第二に、お

そらく PSA 検査は一般的スクリーニングではなくハイリスク集団の早期

発見に も適している。アフリカ系または前立腺癌の強い家族歴(特に

若くして前立腺癌に罹患した第一度近親者)を有する若年男性の早期発

見を厳格に行うことに重点をおくことが、この悪性腫瘍の生存率を改善

する鍵となる可能性がある。残念ながら、どちらの研究もハイリスク因

子に言及しておこなったものではなく、PLCO ではアフリカ系米国人は

参加者の 5%未満で、家族歴が報告された参加者は 7%に過ぎなかった。12 第三に、委員らは検討材料として年齢が重要な因子であることに意見

が一致した。ハイリスク群に属する若年男性は前立腺癌で死亡する確率

が高く、したがって早期発見により利益が得られるはずである。高齢男

性には、過剰診断を防止するために PSA 検査のより慎重に判断したうえ

での使用が求められる。

PSA 検査およびそれに派生した検査 前立腺癌早期発見プログラムについてはじめての推奨を提唱した際は、

血清総 PSA 検査のみが PSA を基軸にしたプログラムに採用された検

査であった。その後、極めて興味深い一連の PSA 関連検査が開発され

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前立腺癌早期発見

2010年第 2版 08/07/09 © 2009 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。

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® ガイドライン索引 前立腺癌早期発見 目次

考察、参考文献

MS-3

特異度の上昇および不要な生検の減少に役立つ可能性があることがわ

かってきた。

総 PSA(tPSA)

PSA 検査の開発は前立腺癌早期発見にとって、間違いなく も重要な

進歩である。PSA は前立腺上皮細胞によって分泌される糖蛋白であり、

そのプロテアーゼ活性は凝固した精液を液状化し精子運動性を活発に

する。PSA は主に精漿に局在するが、機序は不明であるが循環血流中

に「漏出」する。血清検査用に市販された PSA 抗体の多くが現在世界

中で利用可能である。それらの測定方法には方法間格差がわずかにあ

るが、それらは適正に使用すれば比較が可能と考えてよい。しかし、

それらの測定法は 2 つの異なる標準物質を用いて値づけされているた

め、検査値に互換性はない。もし、PSA 値の上昇が認められていた場

合、特にその値が閾値に近い場合には再検査を行うべきである。

総 PSA に対する薬剤およびハーブ系サプリメントの影響

5α還元酵素阻害薬であるフィナステリドおよびデュタステリドの血清

PSA 値に対する影響は数件の研究で十分立証されている。一般的に、

この種の薬物を 6~12 ヵ月間使用すると血清 PSA 値が約 50%減少す

る。しかし、この効果は非常にバラツキがある。例えばある研究では、

1年間の使用後に 40%~60%という予測どおりの血清 PSA の低下が

みられたのはわずか 35%の男性にすぎなかったが、一方で 30%の男性

には 60%を超える低下がみられた。14 従って、病歴聴取の際に 5α還

元酵素阻害薬の使用および使用期間を聞き出すよう注意すべきであり、

さらに、PSA 測定値を単純に 2 倍するという一般的に使用される「お

おざっぱなやり方」は、結果的に癌検出の信頼性を損う恐れがあるこ

とにも留意すべきである。

前立腺癌スクリーニング外来を受診している男性 12,457 人を対象とし

た健康調査によると、20%を超える男性がハーブ系サプリメントを摂

取しているが、下部尿路症状に対する処方薬(フィナステリドなど)

を服用している男性は 10%に過ぎないことがわかった。15 このような

ノコギリヤシなどのハーブ系サプリメントのいくつかは血清 PSA 値に

影響を及ぼす植物エストロゲン化合物を含有している可能性がある。

このようなハーブ系サプリメントの正確な組成および血清 PSA 値に対

する特異的な影響についてはほとんどわかっていない。

総 PSA 閾値

数多くの研究で、PSA 値が 4ng/mL を超えると前立腺生検で前立腺癌

が発見される確率はほぼ 30~35%増加することが示された。前立腺癌

早期発見を目的とした大規模プログラムの結果から、PSA カットオフ

値を 4ng/mL とすることで 初の 4 年間に癌症例のほぼ 70%が検出可

能であることがわかっている。16 今までの報告をまとめると、PSA 単

独でも適切に使用することにより、DRE と比較して診断までにほぼ 5~10 年のリードタイムを得る可能性がある。腫瘍容積および腫瘍異型

度基準に基づくと PSA で発見される癌は 90%を超えるものが、生物

学的に重要である。16 結果的に PSA 検査はより早期に臓器限局性癌を

検出することになる。10,11,17 近のいくつかの研究では、PSA 値が 2.5~4.0ng/mL の範囲にある男性を評価した場合の的中率を検証している

(以下の節を参照)。

PSA 年間増加度

経時的な PSA の変化率を PSA 年間増加度(PSAV)と呼ぶ。このパラ

メータは Carter らによって初めて導入された。18 この研究により経時

的な血清 PSA の「変化率」は有用な情報を提供し PSA の癌検出特異

度を高めることが初めて示された。著者らによると、PSA 値 4~10ng/mL の場合は、カットオフ値 0.75ng/mL/年では癌患者の感度は

79%であり、癌に罹患していない男性での特異度は約 90%であったこ

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前立腺癌早期発見

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考察、参考文献

MS-4

とが示された。PSA 値が 4ng/mL 未満の場合、カットオフ値

0.75ng/mL を用いた時の感度は 11%にすぎないが、同グループの 近

の研究によると 0.35ng/mL/年を超える PSAV 19 および診断前 10~20年のハイリスク回数(PSAV が閾値を超える回数)20によりハイリスク

前立腺癌が予測されることが示された。前立腺癌患者では、診断前 1年間の高い PSAV(2ng/mL/年超)も本疾患による死亡リスクの上昇と

関連している。21 PSAV の予測因子としての価値は PSA 絶対値などの

その他の因子により影響を受ける可能性があることに注意すべきであ

る。21-23

PSA 年間増加度の計算は、PSA 値が劇的に上昇する前立腺炎によって

影響を受ける可能性がある。24 実際に、PSA 年間増加度がきわめて高

い男性は前立腺癌より前立腺炎である可能性が高い。したがって、診

断的評価および経験に基づく抗生物質の治療によって前立腺炎の除外

を試みることが有用である。25 現在のところ、PSA 年間増加度の使用

は、早期発見プログラムの開始を決めた 50 歳までの若年男性に も適

している。この年齢層の男性であれば、PSA 値の判断が混乱するよう

な前立腺の肥大を認めることはほとんどない。

年齢階層別および人種別 PSA 基準範囲

年齢階層別 PSA 基準範囲は、PSA カットオフ値を下げることによって

若年男性の癌検出を増加(感度を上昇)し、PSA カットオフ値を上げ

ることによって高齢男性の不要な生検を減少(特異度を改善)する方

法として Oesterling らにより導入された。26-28 このような年齢階層別

範囲はいくつかのグループによって研究されているが、その結果は確

定的なものではない。人種別基準範囲も提案されている。29 しかし、

前立腺癌早期発見におけるこのような年齢階層別および人種別 PSA カ

ットオフ値の正確な役割はいまだ不明であり、論議が続いている。し

たがって当委員会はこれらの因子を現在のガイドラインに組み入れな

いという選択をした。

遊離型 PSA の割合(fPSA)

過去 10 年間にわたり極めて興味深い研究が相次ぎ、一連の PSA 分子

形態様式とそれらの臨床上の位置づけが明らかにされてきた。総 PSAの比として表される遊離型(非結合型)PSA は、臨床的に有用な PSAの分子形態として登場したが、前立腺癌の早期発見、病期分類、モニ

タリングに改善をもたらす可能性がある。PSA の分子形態のうちいく

つかは血中を循環することがわかっている。大半の男性では、血中

PSA の大部分(60~90%)は内因性プロテアーゼ阻害物質と共有結合

している。免疫反応性 PSA の大部分はα1 アンチキモトリプシンと呼

ばれるプロテアーゼ阻害物質と結合する。その他の免疫反応性 PSA‐プロテアーゼ阻害物質結合体では、α1 アンチトリプシンおよびプロ

テアーゼ C 阻害物質などと結合するが、血清中濃度は低くその臨床的

意義は解明されていない。さらに、大部分の PSA はα2 マクログロブ

リン(AMG)と結合している。残念ながら、この PSA‐AMG 結合体

は AMG により PSA の抗原エピトープ部分が覆い隠されるため従来の

測定法では測定することができない。

前立腺癌早期発見に PSA の分子形態の使用を検討している臨床研究の

ほとんどが、(総 PSA に対する)遊離型または非結合型で血中に見出

される PSA の割合(F/T PSA 比)に焦点を当てている。多数の研究によ

り、F/T PSA 比は前立腺癌ではない男性と比較し前立腺癌患者で有意

に低いことが示されている。

米国食品医薬品局(FDA)は PSA 値が 4~10ng/mL の男性の前立腺癌

早期発見に F/T PSA 比を用いることを承認した。この測定法の臨床的

有用性を明らかにした多施設研究では、F/T PSA 比のカットオフ値を

25%にすることで前立腺癌の 95%を検出し、不要な前立腺生検の

20%を回避したことが示された。30 FDA の承認以来、米国では F/T PSA 比が臨床で広範に検査されるようになり、特に DRE は正常であ

るが総 PSA 値が「診断上のグレーゾーン」(すなわち 4~10ng/mL)

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考察、参考文献

MS-5

であったために過去に前立腺生検を受けたことがある患者に用いられ

ている。

結合型 PSA(cPSA)

前述のように、PSA は遊離型およびいくつかの種類の結合型の両方で

存在する。現在、α1 アンチキモトリプシンとの結合型は直接測定す

ることができる。よって実際の測定では、総 PSA 値は遊離型 PSA お

よびα1 アンチキモトリプシン結合型を合わせたものとなる。したが

って閾値は同等ではない:cPSA 値 2.2ng/mL および 3.4ng/mL はそれ

ぞれ総 PSA 値 2.5ng/mL および 4.0ng/mL に相当する。男性 831 人

(このうち 313 人が前立腺癌患者)を対象とした多施設試験の結果で

は、感度を 80~95%の範囲とした場合の特異度は、cPSA の方が tPSAと比べて高くなった。31 cPSA の(総 PSA に対する)割合および F/T PSA 比を比較した研究結果では、同等であった。したがって、総 PSAに対する結合型の比は F/T PSA 比と同等の情報を提供するはずである。32 また、その他の研究では、ある総 PSA の範囲内において、cPSA の

使用により特異度が改善することも示された。33-35 50 歳以上の男性の

前立腺癌検出の補助検査として DRE との併用した cPSA の使用が認可

されている。しかしながら、cPSA は日常臨床診療で普及していないた

め、このアルゴリズムには組み込んでいない。

PSA density

PSA density (PSAD)は経直腸的超音波検査(TRUS)によって前立腺

容積を測定する必要があり、PSA 値(ng/mL)を前立腺容積(cm3)で

除したものである。Benson ら 36はまず、PSA 上昇の原因として も

多い前立腺肥大症と前立腺癌を鑑別する手段として PSAD の使用を提

案した。初めは、PSAD は前立腺が大きく PSA 値が高い男性において、

前立腺癌ではない人を鑑別するために用いられていた。初期の研究で

は PSA 濃度カットオフとして 0.15mg/mL/cc を推奨し、このような患

者の約 50%が不要な生検を回避でるとの結果であった。しかし、その

後に行われた一部の研究では、カットオフ 0.15 では感度が不十分であ

ると報告している。37

さらに 近の研究では分子に結合型 38 または遊離型 PSA39 を用いるか、

または分母を移行域の容積 40に修正することによって PSAD の成績が

向上するよう試みている。PSA および前立腺容積の両方の測定精度不

足が妨げとなり、PSAD の臨床使用は広まっていない。さらに、研究

によると F/T PSA 比を早期発見アルゴリズム用いれば、PSAD と同様

の結果が得られることが示されている。41 当委員会は、陰性の生検結

果が出た場合には、その PSA 値の上昇の原因を考える場合、PSAD で

説明できるかもしれないとの認識をもっているが、他の検査を上回る

付加利益はほとんどないため早期発見ガイドラインに組み入れていな

い。しかし、PSAD は臨床応用はあまりされていないのではあるが、

患者評価に用いることを考慮してもよく、特に事前に超音波で前立腺

容積を測定したことがある患者を評価する際にはより考慮される可能

性がある。PSAD は前立腺癌の存在および悪性度に関連することが示

されており、治療後の悪い病理学的所見および生化学的進行を予測す

ることができる。42,43

スクリーニング開始年齢

従来から PSA スクリーニングを考慮し始める年齢は 50 歳とされてき

たが、アフリカ系米国人および前立腺癌の家族歴を有する男性などの

ハイリスク群ではより若い年齢でスクリーニングを開始することによ

り利益が得られると研究者らは認識している。

Baltimore Longitudinal Study on Aging によって年齢に応じた PSA の中

央値が同定された;PSA 中央値は 40 歳代の男性で 0.6ng/mL、50 歳代

の男性では 0.7ng/mL である。さらに重要なことには、PSA がその患

者の年齢群の中央値よりも高値であれば 10~25 年以内に前立腺癌を発

症するリスクが 3 倍高まることがわかった。44 50 歳代でスクリーニン

グを受けた患者のベースライン PSA 値が年齢階層別中央値~2.5ng/mL

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考察、参考文献

MS-6

にあれば前立腺癌発症リスクは 7.6 倍であった。45 剖検研究によると、

組織学的には 30 歳代男性の約 25%に前立腺癌が存在することが示さ

れており、Surveillance Epidemiology and End Results (SEER) Database では前立腺癌による死亡が 40 歳代から発現し始めることが

示されている。2 したがって、こういった悲惨な早すぎる死亡を防ぐた

めに前立腺癌のスクリーニングを早期に開始すべきである。さらに、

40 歳代での PSA 値は、将来発症しうる前立腺肥大症(BPH)による

影響はまだ少ない。その後の前立腺癌検出リスクを評価するには 40 歳

で PSA 基礎値を測定することが妥当であろう。このリスク評価は、前

立腺生検を推奨すべきか、またはいつ推奨すべきかなどの、個々人の

適なサーベイランス戦略を決定する際に有用である。しかし、委員

の中にはその費用対効果に対する疑念、および 40 歳全員を検査するこ

とによって生じる過剰診断の可能性に対して懸念を表明するものもい

る。それでもなお、早期のスクリーニングプログラムは、今まで定義

されているハイリスク群(アフリカ系、家族歴)の若年男性にとって

利益となりうるという点では意見が一致している。

前立腺生検の閾値

総 PSA 値の 4.0ng/mL は、従来から前立腺生検を考慮する閾値として

用いられ、4~10ng/mL の範囲にある男性の 30~35%で癌が見つかる

と認識されている。その後の研究では、PSA 値 2.5~4.0ng/mL におい

てもかなりの数の男性が癌と診断されることが示された。PSA 値がこ

の範囲にあるスクリーニング受診男性 332 人を対象とした研究では、

生検によって前立腺癌が 22%で発見されることを明らかにした。46

PSA 値がこの範囲にある被験者 151 人を対象とした前向き研究による

と、発見率は 24.5%であった。47 この範囲の PSA 値で発見された癌は、

容積およびグリソンスコアに基づく臨床的意義の観点から見ると、さ

らに高い範囲の PSA 値で発見された癌と類似しているが、より臓器限

局性である確率が高い。48,49 閾値を 2.6ng/mL に引き下げることで特異

度をほとんど落とすことなく 60 歳未満の男性の癌検出率が 2 倍になる

と推定している研究もある。50

Prostate Cancer Prevention Trial (PCPT)では、PSA 値が 4.0ng/mL 以

下で DRE が正常な男性の 15%が試験終了時の生検で前立腺癌と診断

されたことが示された。51 PSA 値と前立腺癌検出率には直接的な相関

があり、PSA が 3.1~4.0ng/mL であった患者の検出率は 26.9%にまで

高くなった。高いグレードの前立腺癌(グリソンスコア 7 以上と定

義)は PSA 値 3.1~4.0ng/mL の患者の 25%でみられた。したがって、

生検で高いグレードの前立腺癌が発見されることは PSA 値 4.0ng/mL以下の男性においても珍しくはない。

これまでのところ、このデータおよびその他のいくつかのそれを裏づ

けデータによれば、PSA 閾値として 4.0ng/mL を使用することで相当

数の治癒可能な腫瘍を見逃してしまうことになる。したがって、

NCCN ガイドラインは PSA 値が 2.6~4.0ng/mL の範囲にある男性に対

して生検を考慮するよう推奨する。当然のことながら、PSA スクリー

ニングによる死亡率の改善を 終的に証明するには、現在進行中の大

規模ランダム化試験結果を待つ必要があり、また QOL(生活の質)に

対して配慮することに注意すべきであることには変わりがない。

NCCN ガイドライン

一般的指針 前立腺癌の早期発見プログラムに参加するという決定は患者および医

師の両者にとっていくつかの考慮すべき点があり簡単ではない。早期

発見プログラムを開始する際に考慮しなければならない重要な要因に

は、患者の年齢、平均余命、家族歴、人種、および過去に受けた早期

発見検査の結果などがある。 も重要な点は、患者および医師は前立

腺癌の早期発見および治療に関連するリスクおよび利益を理解する必

要があることである。NCCN ガイドラインを使用する前に、いくつか

の早期発見に関する本質的な概略を明確に理解しておくべきである:

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考察、参考文献

MS-7

• このような早期発見ガイドラインは、医師による正確な病歴聴

取および徹底した診察に代わるものではない。

• 早期発見プログラムを推奨する場合、または計画する場合には、

患者の全般的な健康状態、併存疾患、および平均余命が も重

要である。

• 家族歴および人種(すなわち、アフリカ系米国人)といった前

立腺癌の危険因子は、早期発見プログラムの開始について決定

する場合に検討すべきである。

• 早期の前立腺癌に特徴的な症状はない。進行癌の場合は、尿路

通過障害、前立腺出血、血精液症、および骨痛などの症状が出

現する事がある。早期発見プログラムへの参加を希望する男性

の大半は、前立腺癌による症状はないが、良性前立腺腫大によ

り軽度から重度の下部尿路症状を有していることがある。早期

発見に関連するリスクおよび利益について話し合う際には、こ

の 2 つの疾患の区別について、注意を払って患者に説明すべき

である。

• DRE、PSA、PSA 関連検査、および前立腺生検など、患者の検

査歴はその患者の早期発見プログラムを計画する際に考慮する

必要がある。多数の連続する PSA 値の測定歴がある患者は医師

にその情報を提供すべきである。さらに、過去に陰性であった

前立腺生検結果および実際の組織学的所見も入手できるように

すべきである。長期にわたり PSA 値が異常な男性における早期

発見のアプローチについて明確に理解できるような、完全な記

述はされていないが、検査間隔を決定する際にはこのような以

前の検査結果を考慮すべきである。

• 数多くの大規模な地域ベース早期発見プログラムは、DRE およ

び PSA 検査の相乗効果によってどちらか一方の検査の単独使用

よりも前立腺癌検出感度が向上することを明確に示している。

血清 PSA 検査は完全に DRE を補完できるものではない。

• 総 PSA 値が 10ng/mL を超えると前立腺癌である可能性は 67%を超える。したがって、血清 PSA 値が(DRE 結果、F/T PSA比、または PSA 年間増加度に関係なく)この値を上回っている

男性は TRUS ガイド下前立腺生検を受けるべきである。生検の

偽陰性所見の可能性については患者とよく話し合い、総 PSA 値

が依然としてハイリスクの範疇にある場合は再生検を考慮すべ

きである。

具体的な考慮事項 スクリーニングの利点と欠点について、医師とスクリーニングプログ

ラムへの参加候補者であり参加の可能性がある人との間で、徹底的に

議論を交わすべきである。(PROSD-Aを参照)。

40 歳代男性の一般集団では、PSA 基礎値によって、かなり長期的な前

立腺癌の診断可能性を予測できることが研究により示されてい

る。.45,52 したがって、早期発見プログラムに参加することを選択した

男性には、40 歳時のベースライン DRE および PSA 検査が有用である。

PSA 値が 1.0ng/mL 以上の男性には年 1 回のフォローアップが推奨さ

れる。PSA 値が 1.0ng/mL 未満の男性は、45 歳で再度スクリーニング

を受けるべきである。平均的リスクの男性に対するこのような推奨は、

完全一致ではないものの、委員の多数のコンセンサスが得られている

(カテゴリー2B)。50 歳で開始するすべての参加者には、定期的なス

クリーニングを提案すべきである。

アフリカ系米国人家系の男性、および前立腺癌と診断(特に若年時)

された第一度近親者 1 名を有する男性のリスクは有意に高い。2-4 この

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考察、参考文献

MS-8

ような男性には早期(40 歳代で開始)および頻繁なスクリーニングが

適しているという点で委員の意見は一致している。75 歳を超える男性

のスクリーニングおよび生検は個別に考慮すべきであるという点でも

委員の意見は一致している;高齢患者には PSA/DRE の頻度を減らす

ことは理論的である。このことは 849 人の男性を対象とした 近の縦

断的研究により裏付けられており、この研究によると PSA 値が

3.0ng/mL 未満の 75~80 歳男性では前立腺癌による死亡を認めなかっ

た。53

前立腺生検

初回生検

経直腸的超音波(TRUS)ガイド下による系統的な前立腺生検が、推奨

される前立腺生検の方法である。当初は、傍正中矢状面で尖部、中央

部、底部の左右両側から検体を採取する 6 カ所生検法がについて記載

していたが、 近は多部位生検法によって癌検出率が向上することが

実証されている。あらゆる前立腺の形状および大きさに 適に対応で

きるような生検方式はないが、大多数は辺縁部の側方面をより多く採

取することが重要と考えている。一般的に使用される方式の一つは、

標準の 6 カ所および側方 6 カ所(側方尖部、側方腺中央部、側方底

部)を含む 12 カ所生検法である。この方法は、患者 2,299 人を対象と

し地域社会を拠点とする泌尿器科医 167 人が関与した大規模試験で検

証されている。54 この委託研究に基づいた集団全体の癌検出率は 44%であった。もし 6 カ所生検法のみを行った場合、この研究で発見され

た癌の約 20%が見逃されたであろう。病変が疑われる部位への狙撃生

検(TRUS で認められた低エコー部位)が系統的な多部位生検でも検

出できないような癌の同定に役立つことはまれである。初回生検の患

者にとって移行域生検の有用性は低く、推奨されない。55,56

当委員会は拡大パターンの 12 カ所生検[通常の 6 カ所生検およびさら

に側方の辺縁部領域への 6 カ所、および触知可能な結節病変または画

像上疑わしい部位への狙撃生検]を推奨する。移行域の生検はルーチ

ン生検での実施は支持されていない。しかし、PSA が持続的に上昇し

ている場合には、多部位生検プロトコルに移行域の生検を追加するこ

とを考慮してもよい。

再生検技法

過去の生検が陰性であったにもかかわらず持続的に PSA 値が上昇して

いる患者は再生検を受けるべきである。再生検で癌の可能性を予測す

る際の重要な因子には、PSA 年間増加度および初回生検の妥当性(コ

ア数、前立腺の大きさ)などがある。以前の生検については、多部位

生検が陰性であった男性に比べ、6 カ所生検が陰性であった男性の方

で癌検出率が高い。側方のコアおよび尖端のコアで検出される可能性

が も高い。57 辺縁部の中でも尖部前方角などの尖部の検体採取には

特に注意すべきである。58 再生検の患者には移行域の生検を考慮して

もよい。多部位生検で 2 度陰性となったにもかかわらず持続的に PSA値が上昇している患者には、飽和生検を考慮してもよい。59

麻酔の使用

これまで、前立腺生検を受けた人のうち 90%もの人が手技中に何らか

の不快感を報告している。60 局所リドカインゲルと神経ブロック注射

のいずれも安全で不快感の軽減に効果的であることが示されている。61

局所リドカインはプローブ挿入中の疼痛軽減に効果的であるが、前立

腺周囲の注射は生検に伴う疼痛を軽減した。このような軽い麻酔技術

は一般的に一連の生検手技の認容性を高め、特にテンプレートを用い

た拡大生検および飽和生検では有用であるが、すべての患者で考慮さ

れるべきではない。62 例外的なものとして、肛門狭窄症を有する男性

または前立腺周囲注射によるブロックが不十分な患者などでは、静脈

内投与による鎮静法または全身麻酔薬が適している場合がある。

F/T PSA 比

生検が禁忌である場合、NCCN ガイドラインは DRE 正常および総

PSA 値 4~-10ng/mL の患者を管理するための代替方法として F/T PSA

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MS-9

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考察、参考文献

比の使用を推奨する。F/T PSA 比による経過観察を選んだ医師および

患者は、この測定法の開発および FDA の承認取得した多施設試験は、

前立腺癌である可能性それほど高くないであろう男性の不要な生検の

回避を目的にデザインされたことについて認識すべきである。抗凝固

療法を受けている患者が DRE 陰性、総 PSA 値 4~10ng/mL、F/T PSA比が 25%超である場合、DRE、総 PSA、および F/T PSA 比による年

1 回のフォローアップが検討されうる。63 F/T PSA 比が 10%超 25%以

下の場合に生検を行うことが好ましいが、この診断戦略はほとんどコ

ンセンサスを得られていない(カテゴリー2B)。

F/T PSA 比が 10%未満の場合、前立腺癌が存在するリスクは明らかに

高く、F/T PSA 比がこの値を下回れば患者に生検を受けるよう推奨す

べきである。前立腺癌である可能性と F/T PSA 比の関係については、

F/T PSA 比が 10~25%の範囲において負の線形関係がある。前立腺生

検実施を検討するに先立ち、このようなリスクの関連性について患者

と慎重に話し合うべきである。一般に、F/T PSA 比は、初回生検が陰

性であった場合において、以降の方針決定において用いられる。

さらに、医師は、検体採取および検体取扱いに関する検査薬業者の推

奨事項について正確に取り決めを行うために、臨床検査室に相談すべ

きである。異なる検査薬業者の遊離型および総 PSA 測定法を混ぜて用

いたり、また換算することは推奨されず、それは正確性に乏しい結果

が出る恐れがあることにも注意すべきである。

PSA 年間増加度

PSA 年間増加度に関する初期の研究結果では、血清 PSA 値の

0.5ng/mL/年以上の上昇は前立腺癌である可能性が高いとの結論であっ

た。Carter ら 19による男性 980 人を対象とした研究結果からは、

PSAV が 0.35ng/mL/年以上であれば癌が疑われ生検が推奨されるべき

と示唆された。しかし、この研究の前立腺癌による死亡は少数(20例)であり 終的な結論を下すことはできない。PSA 値が低い場合、

PSA 年間増加度 0.35ng/mL/年が、生検を推奨する上で信頼性の高い判

断基準か否かという点については議論がある。

Cater らは PSA 年間増加度の計算方法について詳細に記述している。

18,19 PSA 年間増加度の計算に用いる PSA 値は同一の臨床検査室で

同様の測定方法により検査すべきである。少なくとも 18~24 ヵ月間に

わたって 3 回以上連続して測定した PSA 値から、PSA 年間増加度を計

算すべきであり、期間が長いほど信頼性は増す。フィナステリドまた

はデュタステリドを使用中の患者の場合、期待される PSA の低下が得

られない時、または薬物治療中にもかかわらず増加する場合は、前立

腺癌に罹患している可能性が高い。

PSA 年間増加度のカットオフポイントを決定するため収集されたデー

タは、主に PSA 値が 10ng/mL 以下の男性を対象としたものであった。

近のスクリーニング研究は、PSA 値が 10ng/mL を超える男性の癌検

出または予後予測に PSA 年間増加度は有用でないことを報告した。64 しかしながら、ガイドライン委員会メンバーは、PSA 値が 10ng/mL を

超え、その他のスクリーニング実施基準も満たしている男性すべてに

前立腺生検を実施することを一様に支持している。PSA 年間増加度の

測定により前立腺疾患をモニターすることを選択した患者および医師

は、異なる測定キットを用いたときの測定方法間差に関連する検査値

の変動、または個々人の生物学的変動によっても測定値にバラツキが

生じる可能性があることに注意すべきである。前立腺炎も PSA 年間増

加度が上昇する原因となる可能性がある。このような交絡因子による

PSA 変動の混乱を 小限にするために抗生物質治療および PSA の反復

測定を考慮してもよい。

陰性または疑わしい生検結果後の対応

病理医は、悪性ではないが病理学的に異型である腺管の存在を報告す

ることの重要性をますます認識している。悪性度が高い前立腺上皮内

腫瘍および異型小腺房増殖はそれぞれ 大で生検の 14%および 3%に

認められると報告されている。65,66 このような診断は基底細胞マーカ

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前立腺癌早期発見

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Practice Guidelinesin Oncology – v.2.2010 NCCN

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考察、参考文献

MS-10

ーおよび Alpha Methyl Acyl CoA Racemase(AMACR)などの腫瘍マ

ーカーに対する免疫組織化学染色を用いて確認されることが多い。67,68

高悪性度前立腺上皮内腫瘍(HGPIN)。細胞学的に、HGPIN の核の特徴

は癌の核の特徴に類似している;しかし、腺房の基底層の存在により

この疾患を癌と区別している。多部位生検法の導入により、初めの生

検で HGPIN が存在していた患者の再生検での癌陽性率は劇的に低下し

た。6 カ所生検法が行われていた時代の報告では、再生検における癌

陽性率は約 50%であったが、多部位生検法を用いるという現代の流れ

の中では、再生検での癌陽性率は約 10~20%と報告されている。69,70

異型腺管、癌の疑い。基底細胞層が存在する HGPIN とは異なり、異型

腺管は小型で単一細胞層の腺房がその特徴である。しかし、生検標本

に存在する腺が極めて少ないため、明確な癌の診断を確立することは

できない。多部位生検法の時代にあっても、異型腺管を有する患者の

再生検での癌陽性率は 50%以上であり、癌が も発見される領域は、

異型腺管が存在している前立腺領域にある可能性が高い。71,72 したが

って、多部位生検法を繰り返す場合、以前に異型腺管が存在した領域

から、さらに追加の生検コアを採取する必要がある。

PSA 値が 10ng/mL を超える男性の生検結果から異型腺管または高悪性

度 PIN(前立腺上皮内腫瘍)の組織学的証拠が得られた場合、TRUSガイド下生検が適応となる。したがって NCCN ガイドラインでは、生

検コア数が 10 個未満の TRUS ガイド下生検で高悪性度 PIN が発見さ

れた場合、以前の生検で多部位生検戦略が用いられたことがないので

あれば、移行域を含む拡大パターンの多部位生検法による再生検を行

うよう推奨する。多部位生検を過去に行ったことがある場合には、

Lefkowitz らによって提案されている延期戦略(多部位生検から 1 年

後)を考慮してもよい。73 異型腺管、癌が疑われる所見がある場合に

は、異型腺管存在部位および隣接部位の検体採取を増やした拡大パタ

ーンの再生検(3 ヵ月以内)が推奨される。

疑わしい病変のない陰性生検後の対応。PSA 値が 4~10ng/mL で F/T PSA 比が 10%以下の男性は再生検を受けるべきである。F/T PSA 比が

10%超 25%以下であれば、再生検か、または総 PSA もしくは F/T PSA 比を用いた綿密なフォローアップを考慮することができる(カテ

ゴリー2B)。F/T PSA 比が 25%を超える場合は、サーベイランス戦略

(DRE、tPSA、および F/T PSA 比を用いた 6~12 ヵ月ごとのフォロ

ーアップ)を用いることができる。

血清 PSA 値が 10ng/mL を超えた男性の再生検結果が再び陰性の場合、

3~12 ヵ月の間隔で DRE および PSA 検査を繰り返し、同時に患者と

の話し合いに基づき前立腺再生検の実施について相談すべきである。

技術の重要性について情報提供し、前立腺再生検には前述の多部位ま

たは飽和生検法を行うことを考慮すべきである。

要約 1990 年代初頭以来、スクリーニングプログラム(癌検出)の特異度を

維持(不必要な生検を避ける)しながら感度を上げようと、総PSA測定方法の改良がおこなわれ続け、多数のものが導入されてきた。繰り

返しにはなるが、NCCNガイドラインでは、前立腺癌早期発見のため

に、このような新技術を個人およびその担当医が合理的に使用するた

めの一つの方策を推奨していることが重要である。NCCNの一連のガ

イドラインは、前立腺癌の住民検診プログラムを用いることについて

議論することを目的とするものではない。むしろ、このようなプログ

ラムに参加することを選択した患者において、科学的証拠に基づく系

統だった方法で早期発見の取り組みについて、実践的な手段を提供す

るよう意図されている。診断のついた患者を治療するかどうかは、本

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考察、参考文献

ガイドラインの範囲を超えている(NCCN前立腺癌ガイドラインを参

照)。

NCCN ガイドラインは、DRE および総 PSA 検査に加えて新たに有効

な知見を多く取り入れている。この新たな因子には F/T PSA 比、PSA年間増加度、結合型 PSA、生検病理所見、および TRUS ガイド下生検

法の技術などがある。当委員会はこの新たな様式の臨床的有用性を年

1 回再検討し、ガイドラインを適宜修正する。さらに、本ガイドライ

ンの今後の更新では、現在臨床研究を実施している新たな血清マーカ

ーを組み込む可能性がある。

このアルゴリズムを更新するに当たり、NCCN および当ガイドライン

委員会の目標は、前立腺癌の早期発見プログラムについて賛同した男

性および臨床医が前立腺生検の必要性に関して決定を下す際の一助と

なることである。本ガイドラインを使用するすべての臨床医は、前立

腺生検に対する患者ニーズを見極め、個々の臨床状況に応じ、自ら医

学的判断を行うことが期待される。本ガイドラインは前立腺癌領域の

研究発展とともに進化し続けていく。

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