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1 Copyright © 2015 by 発行(改定):2015年3月 スイッチング電源勉強資料 コツをつかんで、高効率化・低ノイズ化・低コスト化・小型化を実現させる Ver. 2.0 初版資料作成 2014129

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Copyright © 2015 by CKS

発行(改定):2015年3月

スイッチング電源勉強資料

-コツをつかんで、高効率化・低ノイズ化・低コスト化・小型化を実現させる-

Ver. 2.0

初版資料作成 2014年12月9日

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講習概要・日程

講義は、4回。下記日程・大題目で実施

(注:すべて実機を活用します。)

第1回目:4Hr

➡ 基本設計、実装設計のツボ

第2回目:4hr

➡ 実機動作を見ての評価法・実機ノイズ対策法

第3回目:4hr

➡ 実機雑音端子電圧・不要輻射を見ての実際の対策法

第4回目:4hr

➡ 電源設計の裏話・電源設計不具合事例など

本講習は、一般的な講義とは違い、お客様が実際に設計もしくは量産さ

れている実機などを活用しながら、より実践的な“開発設計のツボ”を理

解していただき、コストパフォーマンスを重視しながら、より高品質・高

性能な製品開発に応用できるようにすることが目的です。

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第1回目:《基本設計、実装設計のツボ》勉強会内容

■ 内容

1) 出力電力と出力電流などを鑑みて採用する回路方式

・フライバック ・フォワード ・ハーフブリッジ ・フルブリッジなど

2) 基本設計時の各部の定数設定

① 入力フィルター

② 入力コンデンサ容量

③ Yコンと漏洩電流

④ チョークコイルL値

⑤ スイッチング素子ゲート定数

⑥ スナバ回路部品設定

⑦ 出力フィルタ

⑧ その他

3) 実装設計のポイント

① 実装配置

② 配線ポイント

③ 干渉回避

④ 放熱設計

4) その他

➡ 基本設計について、説明

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第2回目:《実機動作を見ての評価法・実機ノイズ対策法》勉強会内容

■ 内容

1) 実機でのDC/DC部スイッチング波形(電流/電圧)診断

2) 実機でのDC/DC部起動波形(電圧/電流)診断

3) 実機での補助電源立上り(電圧/電流)診断

4) 実機でのPFC部スイッチング波形(電流/電圧)診断

5) 実機でのPFC部起動波形(電圧/電流)診断

6) その他

➡ 実際の動作波形・データなどを見ながら、説明

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第3回目:《実機雑端・不要輻射を見ての実際の対策法》講習内容

■ 内容

1) 実機での雑音端子電圧診断をしながらの改善手法説明

2) 実機での不要輻射診断をしながらの改善手法説明

3) ノイズ対策 実施実例紹介

4) やってはいけないノイズ対策

5) ノイズ対策部品選定

6) その他

➡ 実際の雑音端子・不要輻射データなどを見ながら、説明

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第4回目:《電源設計の裏話・電源設計不具合事例》講習内容

■ 内容

1) 第1回講義から第3回講義までの追加質問等説明

2) 電源設計の裏話

3) 電源回路・電源部品の発案

4) 電源設計不具合事例

5) フリーディスカッション

第4回目は、最終日として、電源設計の裏話や電源設計不具合事例など

を紹介 最終フリーディスカッションの時間設置

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1111....スイッチングスイッチングスイッチングスイッチング電源回路電源回路電源回路電源回路ノウハウノウハウノウハウノウハウ((((初級編初級編初級編初級編))))説明資料参考例説明資料参考例説明資料参考例説明資料参考例1111

ブロックで、

回路を把握

①入力フィルタ

発振周波数に

よりL・Cを決定

する。

重要なのは実

装配置と方向

②Yキャパシタ

実装配置や

パターンレイア

ウトにより、期

待するノイズ減

衰が違ってくる

大きくしても効

果が得られず、

漏洩電流が大

きくなることは

要注意!

③全波整流平滑/突入電流防止回路

雷サージ耐量等要注意、

突入電流防止回路は、電源仕様・要領等

で回路決定。

⑥(クランプ)スナバ回路ノイズ対策で、重要な部分

であるが、ノイズと発熱(

損失)を左右する重要な

回路。

④メインSW回路

スィッチングスピード調整

過電流設定を実施する。

パターン設計で性能・ノイズ

・信頼性を大きく作用する。

⑤メインSW用Vcc電圧

DiodeA側の抵抗で出力Reg.改善平滑Cの容量による起動時間注意

⑦半波整流平滑回路

同定格電流のダイオード

でも、ノイズ・効率が変化

フライバック方式では、

コンデンサのリップル電流

要注意。

⑨出力フィルタ

特に“不要輻射”で

問題が無ければ、

ノーマルモードの

フィルタでよい。

また、負荷によって

は削除。

⑧定電圧回路

位相合せ・応答性を調整

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①入力フィルタ

②Yキャパシタ

③全波整流平滑・突入電流防止回路

④メインSW回路

⑤メインSW用Vcc電圧

⑥スナバ回路

⑦半波整流平滑回路

⑧定電圧回路

⑨出力フィルタ

入力フィルタを2段等にして強化しても、図1のように入力近くにSW素子やSW-TRANS

を配置していると、意味が無い(図1)

漏洩電流は、次計算式でまずは理論計算で! I=V/|Z|=VI=V/|Z|=VI=V/|Z|=VI=V/|Z|=V××××2222πf・Cf・Cf・Cf・C

V:AC入力電圧V:AC入力電圧V:AC入力電圧V:AC入力電圧 f:商用周波数(50Hz/60Hz)f:商用周波数(50Hz/60Hz)f:商用周波数(50Hz/60Hz)f:商用周波数(50Hz/60Hz) C:コンデンサ容量C:コンデンサ容量C:コンデンサ容量C:コンデンサ容量

ダイオードブリッジによっては、雷サージ等に弱いものあり、

ノイズ・サージ耐量が選定ポイント

スイッチングOFFスピードとONスピードを調整して、効率・ノイズ対策を

両立させることが設計の大きなポイント

トランスの補助巻き線電圧を含めて、起動時間・

低温起動・出力レギュレーション等設定注意ポイント

急激な電圧上昇(スパイクノイズ・リンギング電圧)を抑える回路

であるが、損失を増大する悪影響もあり設定要注意

選定するダイオードでノイズや効率に影響

フライバック公式の場合は、使用する電解コンのリップル電流定格を注意

位相補正は、パターン配線等に大きく依存・リファレンス波形で安定性確認

過度応答を対策するための応答性の補正等を行う回路

負荷により、不要輻射を改善する場合は、コモンモードチョークが効果を発揮するが、

リップル電圧低減であれば、ノーマルモードで十分 ただし、定電圧回路との結線注意!

図1

入力

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3333....スイッチングスイッチングスイッチングスイッチング電源設計電源設計電源設計電源設計ノウハウノウハウノウハウノウハウ ((((パターンパターンパターンパターン設計設計設計設計))))

電源では、パターン設計の良し悪しが、大きく特性に影響する!

① 放熱性

② 電源寿命

③ 雑音端子電圧・不要輻射ノイズレベル!

④ 効率!

⑤ 部品点数の増減!

基板アートワークは、“4次元設計”で!

⑥ 製造不良の増減!

パターン設計により、パターン設計により、パターン設計により、パターン設計により、

回路を臨機応変に変更する!回路を臨機応変に変更する!回路を臨機応変に変更する!回路を臨機応変に変更する!

理想的なレイアウトにして、理想的なレイアウトにして、理想的なレイアウトにして、理想的なレイアウトにして、

部品点数を削減する、部品点数を削減する、部品点数を削減する、部品点数を削減する、

最大のテクニック!最大のテクニック!最大のテクニック!最大のテクニック!

⑦ 製品原価の増減!

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4. 回路から見るパターン設計ノウハウ

回路の流れを理解して、

パターンを設計すること!

スイッチング素子

と入力ライン不ル

ター回路入力部

を近づけての実

装はNG!

何段にしてもフィ

ルター効果がなく

なり、ノイズ対策

で高価な電源と

なってしまう!

①と同じ理由により、入力

フィルタ回路部とトランスを近

接させることは、NG!

A,B,C,D・・・電解コンデンサは、

発熱部に近づけないこと!

このパターンを制するものが、最適の電源設計を

行えるもの

1) 太く、短く!

2) スイッチング制御信号系パターン、部品と

近づけさせないこと!

定電圧/帰還回路のGNDは、負荷変動や出力リッ

プルに影響しないループとすること!

A

パワー系GNDと信号系GNDの

セパレート!は、必須!

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5.良い・悪い実例パターンレイアウト・実装配置

パターン設計の良し悪しで、性能・信頼性はまったく違うものになる!パターン設計の良し悪しで、性能・信頼性はまったく違うものになる!パターン設計の良し悪しで、性能・信頼性はまったく違うものになる!パターン設計の良し悪しで、性能・信頼性はまったく違うものになる!

① 悪い例

② 良い例

ヒートシンクと電解コンガが近い!

←の、製品での雑音端子電圧

←の、製品での雑音端子電圧

入力とスイッチング素子が近い!

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6.スイッチング電源用インダクタの特性比較

A: ドラム・チョークコイル

B: トロイダル・チョークコイル

C: フェライトEEタイプ・チョークコイル

特性を理解して、チョークコイルを使用すること!

I(A)⇒

L(H

)⇒

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7.非絶縁系DC/DCコンバータ用チョーク設計

⊿IL=出力電流×0.2~0.4※

※ 出力電流が小さい場合 ~0.4

出力電流が大きい場合 0.2~

あくまでも目安!

チョークコイル自体の

①サイズ

②発熱

③直流抵抗

が、許す限り、計算値より大きい

インダクタンス値にすることが

ポイント!

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8.絶縁系スイッチングトランス設計

トランス設計が、最も重要なポイントでもあるが、基本を理解すると

難しくは無い。

インダクタンス:

リーケージインダクタンス:

巻線比率:

巻線方法:

トランス材質・形状:

トランス設計により、トランス設計により、トランス設計により、トランス設計により、

特性・性能が一変する。特性・性能が一変する。特性・性能が一変する。特性・性能が一変する。

トランス仕様が同じでもトランス仕様が同じでもトランス仕様が同じでもトランス仕様が同じでも

巻き仕上がりだけで、巻き仕上がりだけで、巻き仕上がりだけで、巻き仕上がりだけで、

性能が変化する。性能が変化する。性能が変化する。性能が変化する。

別紙Bトランス仕様書(記載例)参照

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9.スイッチング電源設計 “7つのツボ”

① 美しい実装レイアウト・パターン設計は、安心と信用を高める。

② 回路図も美しさを追求すると、配線が見やすく、第三者が理解しやすくなる。

③ 設計仕様から信頼性仕様・安全規格仕様、そして製造仕様を、正確に把握・

理解することで、最適設計(高信頼性・低コスト)が可能となる。

⑤ 組立(完成)状態も考慮した設計を4次元設計で実施することがコツ。

⑦ 禍生有胎(禍が生ずるには、兆しが存在するということ)、

螻蟻潰堤(極めて小さいことでも後で大きな事故を引き起こす原因になること)

画竜点睛(物事を完成させるために、最後に付け加える肝心な部分のこと)

この3点を注意すれば、必ず良いものができる。

④ パターン設計だけで、性能・品質が変わり、コストにも影響する。

⑥ 魂(情熱)の入っていない、製品は必ず不具合を起こす。

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10.ノイズ対策法-1

《ノイズ対策の3つの方法》

1)ノイズをインダクターやコンデンサで減衰させる

2)ノイズがでないようにシールドする

3)ノイズが出にくい電子部品や電子回路方式を採用する

しかしノイズは、電子機器完成品での、ハーネスの長さや引き回し

でも大きく変わり、GND接地ポイントも重要なファクター。

また、基板アートワーク時の電子部品の実装配置やパターン引き回

しの違いにより、ノイズの大きさが顕著に変わることは希なことで

はない。

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11.ノイズ対策法-2

《ノイズ対策の最初のツボ》

ノイズ対策は、まず回路設計時点から始まる。

原価を大幅に上げてしまう追加加イズ対策部品や、高価なシールド板

などは、避けたいものである。

その中でも基板パターン設計は、ノイズ対策での大きなファクターで

ある。パターンの良し悪しで、”雑音端子電圧(伝導ノイズ)が10dB

以上変わることもある。

そこで、

① 発振素子の適切な実装配置にする

↓ (入力部やフィルタ部への飛び込みがないような流れにすること)

② 発振部で電流が大きい配線部を、できる限り、太く最短にする

単純にこれだけを適確に”アート・ジョブ”できれば、原価を上げて

しまうやっかいなノイズ対策部品の追加を回避することは、それほど

難しいものではない。

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11.ノイズ対策法-3

《ノイズ対策の流れ》

① 電源における最大のノイズ発生源が、“トランスやチョークコイル”

であること。

を理解して、

② 発振周波数とパワーを考慮した、素材のものを使用する。

そして、

③ 適切な接地GNDの考慮とハーネス等の引き回しの考慮を実施する

こと。

以上の対応を明確に理解して、対処すればノイズ対策は、難しいもので

はありません。

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12.やってはいけないノイズ対策

電源設計のプロであれば、

《ノイズを発熱に変える対策》すなわち「損失を大きくする」対策は、

実施しないこと!

避けたい対策例

・スイッチングトランスを銅箔などで、ショートリングすること

・スイッチング素子の端子にビーズインダクタを挿入すること

・フェライトタイプのトランスを使用していて、発振周波数を40Khz※

以下にすること

・漏洩電流が、0.5mA※を超すようなYコンデンサの容量アップ

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13.ノイズ対策部品選定

1) 入力ラインフィルタ(コモンモード)

2) Xキャパシタ

3) Yキャパシタ

4) 入力ノーマルモードフィルタ

5) ダイオードブリッジ

6) クランプスナバダイオード

7) スイッチングトランス

8) スイッチング素子

9) スイッチングコントロールIC

10) 出力平滑ダイオード

11) 出力平滑コンデンサ

12) 出力コモンモードフィルタ

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14.不良率には、季節相関がある

《半導体の不良》

《インダクタの不良》

2.電源の本来の寿命(使用できなくなる)は、電解コンデンサではない

3.FETの破壊モード

《ダイナミックモードとスタティックモード》

《半導体の寿命》

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■ フォトカプラの寿命

《フォトカプラのCTRは、主に次の要因によって決まる。

発光ダイオード(LED)の発光効率

発光-受光間の光結合効率

トランジスタの受光感度および電流増幅率(hFE)

CTRは、これらのうち、主にLEDの発光効率の低下のために経時変化する。

一般には、順電流(IF)が大きいほど、また次図のように、周囲温度が高いほど

早く低下する。

ルネサス・データより

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■ ウィスカ・マイグレーション現象の設計・製造因果関係

ウィスカウィスカウィスカウィスカ((((Whisker) :

結晶表面からその外側に向けて髭状に成長した結晶。

鉛フリー半田の普及により、電子機器の絶縁不具合が再浮上した。

マイグレーション(Migration):

電界の影響で金属成分が非金属媒体の上や中を横切って移動する現象。

この現象では、移動の前後で金属成分は金属状態であり導電性を示す。

マイグレーションも、移動現象の違いにより、さらに2つに分けることができる。

一つは電子運動によって運ばれるエレクトロマイグレーション(Electro Migration)。

もう一つは電解現象によるイオンマイグレーション(Ionic Migration)。

【特徴】 温度 電流密度 湿度

イオンマイグレーション 低温(<100℃) 小(<1mA/cm2) 高いほど顕著

エレクトロマイグレーション 高温(>150℃) 大(>104mA/cm2) ほとんど乾燥

記: マイグレーションは、設計的要因(パターン間距離など)と製造要因(フラックス・ボン

ドなどの副材変更など)の両方の複合で発生する場合がある厄介な現象である。

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