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2018年度 須磨学園中学校入学試験
国 語第 2 回
(注 意)
解答用紙は、この問題冊子の中央にはさんであります。まず、解答用紙を取り出して、
受験番号と氏名を記入しなさい。
1.すべての問題を解答しなさい。
2.解答はすべて解答用紙に記入しなさい。
3.字数制限のある問題については、記号、句読点も1字と数えること。
4.試験終了後、 解答用紙のみ提出し、問題冊子は持ち帰りなさい。
※この紙は再生紙・大豆インクを使用しています。
一
次の文章を読んで、後の設問に答えなさい。
若い人たちと話していると、「人間どうしは決してわかりあ
えない」という人がいる。たしかに私は他人の心を覗の
ぞ
きこむこ
とはできないし、他人も私の心を覗くことはできない。【
①
】、だからといって「わかりあえない」といえるだろうか。
私たちがじっさいに注1他
者とコミュニケーションしている場面
から考えてみよう。駅の売店で買い物してお金を払は
ら
ったら「お
客さん、二十円足りませんよ」。【
②
】私たちは「しまっ
た」と思って二十円払う。ちゃんとわかりあっている。「そん
なことじゃない、他人の心は結局はわからないといっているん
だ」とaハンロン
⌇⌇⌇⌇する人がいるだろうけれど、それもどうか。会
話のさいちゅう、友達が楽しい・悲しい気分でいることを私た
ちは明らかにわかる。友達が「おまえには俺の気持ちなんか絶
対にわからない!」と叫さ
け
んだときでさえ、彼がいま怒っている
ということだけは「わかる」のである。
つまり、ア私たちはふだん、他者のいうことをそれなりに理解
しあって生きているのだ。「それなりじゃダメ、一〇〇パーセ
ントわかってくれなきゃ嫌い
や
だ」という人もいるかもしれない。
でもほんとうに「すべて」わかってもらう必要があるだろう
か。私たちの心のなかにはさまざまな感情や考えや物たちが浮う
かんでいるが、それをそっくりそのまま、イちょうどコンピュー
タ同士をケーブルでつなぐようにして相手に伝える必要がある
のだろうか。「いいたいこと」があるときに、それだけを伝え
られればいいのではないか。そして、それはかなり簡単な場合
(売店の例)もあるし、難しいけれど一い
っしょうけんめい
生懸命に言葉をbクフウ
⌇⌇⌇
して伝えようとする場合もある(小説や詩)。
ウ
しかし人はしばしば、「人間は『そもそも』わかりあえな
い」と思う。なぜなのだろう。なかなか他人にいえないよう
な傷(劣れ
っ
等とう
感かん
と結びついたものなど)を抱えこんでいて、い
つも他人との間に「壁」を感じている人もいるかもしれな
い。友達から裏切られたと思って「しょせん他人は信頼でき
ない」という感覚になっている人もいるかもしれない。
いま「信頼」といったけれど、他者関係のうえで大切なのは
「すべてわかること」ではなく「信頼できること」なのであ
る。この人は自分の話すことをきちんと聞いてくれるし、わか
らなかったら率そ
っちょく直にこちらに尋た
ず
ねてくる。自分のほうも相手の
いいたいことをちゃんと聞こうとする。そういうエキャッチ・
ボールのできる人間関係が(少なくとも何人かのあいだには)
必要なのである。
若い人に多いのだが、嫌き
ら
われていないかどうか相手の心をあ
れこれ想像し、疲つ
か
れたあげくに「しょせんわからない」とい
う。でも、相手の気持ちがわからないのなら、勇気を出してた
ずねてみるしかない。そういう率直さからしか、深い信頼関係
はつくっていけない。わからないと思うより、どういう努力の
仕方があるか、と考えてみてはどうか。
大学生に「あなたが恐れていること」という題で書いてもらっ
たら、いちばん多かったのは「他人に嫌われること」だった。
「集団のなかで孤こ
独どく
になるのがとても怖くて自分の意見をい
えなかったりねじまげたりする」「友達と待ち合わせをしてい
て相手がなかなか来ないとcミスてられる
⌇⌇⌇⌇⌇⌇のではないかと不安に
なる。話をしていても相手が自分のことをどう思っているのか
気になって仕方がない」。全体の三分の一くらいの人がこのよ
うに書いてきたのだが、そんなにも多くの人が他者関係に脅お
び
え
ながら毎日を過ごしているのには驚お
どろい
た。
この現象は、「集団主義的教育の結果そうなったのだ」とか
「日本人はもともとオ他者志向的なのだ」というような言い方で
は説明がつかないと思う。日本社会では、八〇年代くらいから
「人は自分の幸福のために生きてよい」という個人主義の感覚
が広がってきたが、それにつれて学校のなかでも、集団が個人
を拘こ
うそく束する力(学校内ではこうふるまうのが当然、という注2規き
範はん
の力)は明らかに弱まってきている。なのに、集団や友達との
関係に脅える若者の数は【
③
】増えているのだ。これはど
ういうことなのだろうか。
かつて、大学へ進学することが少数者の注3特と
っけん権だった時代が
あった。そのころの大学生はいまよりもずっと「大人」だっ
た。〈dヒンコン
⌇⌇⌇⌇のために進学できない友人たちもいるのに自分
は大学までこられたのだから、ぜひとも社会に貢こ
うけん献する立派な
人間にならなくてはいけない〉。こういう時代には、何がほん
とうに貢献といえるのか、どういう進路をとるべきなのかにつ
いて悩な
や
むことはあっても、カ他人の視線が気になって仕方がない
人は少なかっただろう。「社会に貢献する人物になる」という
目標がはっきりしているからだ。
何が価値あることなのかが自分のなかではっきりしていて、
自分がそこをめざして進んでいると思えるとき、人は他人の視
線にあまり脅えないですむ。だれがなんといおうと我が道を行
く、というふうな「気き
概がい
」をもつこともある。しかしいまのeタイ⌇⌇
シュウ
⌇⌇⌇化した大学の学生には、大義も人生の目標も与えられな
い。そして進むべき方向がはっきりしないとき、人は自分自身
の存在を肯こ
うてい定することができない(俺お
れ
ってカッコいいとなかな
か思えない)。だから「他者から嫌われない」ということが自
分を支える最後の手段になってくるのかもしれない。
いまどきの若者は、自分の価値観を築きあげ自信をもって生
きていくためには、キかなり苦労しなくてはいけなくなっている
のだなあ、と思う。
(西に
しけん研
『哲学の練習問題』による)
注1
他者
…
ここでは「他人」のこと。
注2
規範
…
判断や行動の基準。ルール。
注3
特権
…
特定の人間に与えられた権利。
ウ
─ 2 ─ ─ 1 ─
一の設問
問一 【
①
】~【
③
】に入る語として最も適当なもの
をそれぞれ一つ選び、番号で答えなさい。
【
①
】
1
でも
2
そして
3
さて
4
一方
【
②
】
1
すると
2
ゆえに
3
もしくは
4
すなわち
【
③
】
1
むしろ
2
ずっと
3
やはり
4
むろん
問二 「私たちはふだん、他者のいうことをそれなりに理解し
あって生きている」(
線部ア)とは、どういうこ
とですか。その説明として最も適当なものを、次の中か
ら一つ選び、番号で答えなさい。
1
私たちはふだん、他者のいうことを一〇〇パーセント
ではないにしても、言いたいことを伝えられる程度に
は理解し合って生きているということ。
2
人間同士は、他者の心は結局は分からないが、会話の
最中、目の前にいる他者の気持ちについては、ある程
度理解し合って生きているということ。
3
人間同士は、決してわかり合えないわけではなく、日
常生活では、他者の発言における最低限の情報や感情
を理解し合って生きているということ。
4
人間とは、確かに他者の心を覗くことはできないもの
の、相手との深い信頼関係を築くために、相手の気持
ちを理解しようと生きているということ。
問三 「ちょうどコンピュータ同士をケーブルでつなぐように
して相手に伝える」(
線部イ)について、
一
ここで使用されている比喩の名称として正しいものを
次の中から一つ選び、番号で答えなさい。
1
直喩
2
隠喩
3
擬人法
4
倒置法
二
文脈上、同じ意味となるような、四字熟語を答えなさい。
問四
段落ウの働きについての説明として最も適当なものを、
次の中から一つ選び、番号で答えなさい。
1
内容の伝わりやすさ以前に、人間が本質的にわかり合え
ないと思うのは他人との人間関係に原因があると考え、
他者との信頼関係について話題を展開させようとしている。
2
人間関係においては、どんな人間も他人には言えないよ
うな傷を抱えているものだから、勇気を出して話しかけ
てゆくしか信頼関係はつくることができないと述べている。
3
たとえ他人に自分の言いたいことを伝えることができた
としても、そもそも他人が自分のことを分かってくれな
いのは、他人との信頼関係に原因があると推察している。
4
どのような努力をしても、他人とはそもそもわかりあえ
ないと諦めてしまうのは、他人との間にある壁や裏切り
が原因にあると考え、信頼関係の大切さを示し
唆さ
している。
問五 「キャッチ・ボール」(
線部エ)と同じ意味の語を
抜き出して答えなさい。
問六 「他者志向的」(
線部オ)とありますが、その意味
を踏まえた例文として適当でないものを一つ選び、番号
で答えなさい。
1
A君は、いつも周りばかりを見て行動している。
2
Bさんは常にお友達と同じメニューを注文する。
3
C君は、朝のテレビの占いをとても信じやすい。
4
Dさんはクラスのために自ら活動する良い人だ。
問七 「他人の視線が気になって仕方がない人は少なかっただろ
う」(
線部カ)とありますが、それはなぜですか。その
理由として最も適当なものを一つ選び、番号で答えなさい。
1
かつての大学進学が少数者の特権だった時代には、集
団を拘束する力が強かった分だけ、大学生はどのよう
な悩みにもくじけない強い意志を持っていただろうから。
2
大学に進学できた少数の学生には、大勢の友人にはな
いたぐいまれな才能が備わっており、社会に貢献する
立派な人物になるという目標もはっきりしているから。
3
一部の人間しか大学進学できなかった時代は、進学を
諦あきらめた友人の分も立派な人物になろうという明確な目
標に向かって、一い
ち途ず
に突き進むことができただろうから。
4
人間とは他者の幸福のために生きるべきだという時代
感覚が残っていたため、集団における、あるべき個人
のふるまい方が意識するまでもなく決まっていたから。
一の設問は裏面に続く
─ 4 ─ ─ 3 ─
問八
筆者が「かなり苦労しなくてはいけなくなっているのだ
なあ、と思う」(
線部キ)のは、若者がどういう
状況にあるからだと考えられますか。本文全体の内容を
踏まえ、一〇〇字以上一二〇字以内で説明しなさい。
(句読点も一字として数えます。なお、採点については、
どういう書かれ方をしているかについても見ます。)
問九
〰〰
〰
線部a~eのカタカナを漢字で答えなさい。
a
ハンロン
b
クフウ c
ミス(てられる)
d
ヒンコン e
タイシュウ
下書き用(※これは解答用紙ではありません)
90100110120 80 70 30405060 20 10
─ 6 ─ ─ 5 ─
次の【A】【B】は、ある家族をめぐる物語の一節です。
この作品は、作者の自伝的小説だとされています。これを
読んで、後の設問に答えなさい。
【A】
「どうか私を許してください」静子は大きな太い字で書き始
めた。「私の弱さ、あなたに迷め
いわく惑
をかけてしまったことを」私
もあなたの冷たさを許したのだから。忙い
そがしいと言って、有紀や
私を放っておいた時間を、日々を、私は許した。ア私はすべて許
した。許すしかなかった。
「発ほ
っ
作さ
的てき
にこんなことをするわけではありません。よく考え
た末のことです。私たちみんなにとって、こうするのが一番よ
いことなのです。どんな形であれ、罪の意識など感じないでく
ださい。あなたにとってだけでなく、私にとっても一番よいこ
となのですから。いま、この最後の瞬と
間き
にも、私は幸せを感じ
ていると言っていいでしょう。そして、あなたの幸せを祈い
の
って
います。」
静子はイ自分の名前を記すと、もう一枚、紙を取り出した。有
紀に言い残すことは考えてあった。「こんなことになってしま
いましたが、母さんが有紀を愛していることだけは信じてくだ
さい。まわりの人は、母さんが有紀を愛していなかったからあ
んなことをしたんだと言うでしょう。でも、そんなことは気に
しないようにね。有紀が大きくなって強い女性になったら、こ
二れが一番よい方法だったことがわかるでしょう。母さんがいま
何よりも残念に思っているのは、母さんを最初に見つけるのが
有紀だろうということです。ごめんなさいね。お父さんの会社
に電話して、全部、お父さんにやってもらうようにしてね」
■ウ筆を置いて読み返す。私の不幸せに負けないように、私のよ
うな女にならないようにしてやること、それが私にできる最良
のことなのよ。有紀にはこの先、まだまだ楽しいことが待って
いる。エ十二歳さ
い
のいまでも、わけなくクラス一番の成績を取れる
と、担任の教師は口を揃そ
ろ
えて言う。ことに美術の教師は、有紀
の水す
い
彩さい
画が
に感服している。有紀の絵には、絵画の技術だけでな
く、際き
わ
だった知性と想像力が描き出されていると言っていた。
「有紀は強い人です。きっとこのことを乗り越えて、素晴ら
しい女性になるでしょう。
オ
」静子は名前
を書きながら、有紀が新しいスカートをはいて駆か
けている姿を
思い描いた。コットンの白い生き
地じ
と栗く
りいろ色
のすそ飾か
ざ
りが、船の真
新しい帆ほ
のように春風に舞ま
う。ただ、私はそこにいてあなたを
抱だ
きとめてあげることはできない。でも、あなたはきっと自分
一人でもうまくやっていけるわ。
【B】
秀ひで
樹き
はせき立てられるように注1ペ
ージをめくった。最後の一枚
は、注2コテージの椅い
子す
に座す
わ
って眠ね
む
っている秀樹の鉛え
ん
筆ぴつ
画が
だった。
緑色の注3キャンバス地が張られた寝ね
椅い
子す
だった。ピンと張った布
地を背中に感じられそうな気がした。絵に近づいて見ると、紙
の上に薄う
す
い花びらが押お
してあった。インクのしみのような色を
した花びらが四枚ずつ、花のような形にくっつけて押してあ
る。少なくとも十の花がスケッチにちりばめてあった。秀樹は
それが何の花か思い出した。あじさい。この小さな花が寄り集
まって、霧き
り
の山道に浮う
かぶ風船のような一つの大きなボールを
作る。
乾かわ
いた花びらを見つめながら、その休き
ゅう暇か
のことを思い返し
た。二日めに、秀樹と静子は何かのことで言い争いをし、秀樹
はコテージから出て行った。結局、何時間かあとになって、山
道を一人きりでぶらぶらしているときに摘つ
んだ大きなアジサイ
の花を持って戻も
ど
った。山道を歩きながら、はじめは不ふ
機き
嫌げん
だっ
たが、やがて悪かったと思い始めた。本当に悪かったと。カ秀樹
はその花を静子に突つ
きだした。静子の顔にぶつかりそうな勢い
で。それから、湿し
っ
気け
があったからだったか、なかったからだっ
たか、とにかく湿気のせいでピンクにならずにブルーになった
んだというようなことをつぶやき、静子がまるで何ごともな
かったようにふるまってくれることを願いながら、寝椅子に
座った。
静子は願い通りの振ふ
る舞ま
いをしてくれた。花を受け取り、大
きな水差しにそれを活い
けて、夕食は近くのリゾートホテルに食
べに行きましょうか、と聞いた。朝の口げんかのことはひとこ
とも口にしなかった。そして微ほ
ほ
笑え
みを浮かべて、怯お
び
えたような
顔の有紀の方を振ふ
り向む
いて言った。見てごらんなさい、あじさ
いはね、キ土の中の水分がどのぐらいあるかで色が決まるんで
すって。それが静子だった……穏お
だ
やかで、つつましやかで、秀
樹の気持ちをいつも思いやる。一い
っしょ緒
に暮らしていた間に、静子
が秀樹に対して声を荒あ
ら
げたこともなかったし、部屋を出ていっ
てドアを叩た
た
きつけ、すねてしまうようなこともなかった。静子
が許してくれたらしいとわかると、一日じゅう歩いた疲つ
か
れか
ら、寝椅子で眠りこんでしまった。静子はそのときにスケッチ
をし、この花を最後のページに押したのだろう。
秀樹は、あの午後の静子をありのままに思い出そうとした。
思い出そうとして、何度も瞬ま
ばたきをした。だが、無む
駄だ
だった。デ
スクスタンドの強き
ょうれつ烈な
光の中で、秀樹ははかなげな花をじっと
見つめていた。記き
憶おく
は、インクのしみだけを彼か
れ
に残し、彼から
逃に
げていく。スケッチブックを閉じ、引き出しにしまって鍵か
ぎ
を
かけた。それから、ずっと長いことそのまま座っていた。ク肘ひ
じ
を
机の端は
し
につき、頭を抱か
か
えて。まるで重い荷物を支えているかの
ように。
(キョウコモリ『シズコズ・ドーター』
〈池田真紀子訳〉による)
注1
ページ
…………
静子のスケッチブックを指す。
注2
コテージ
………
キャンプ用の設備の整った宿泊施設。
注3
キャンバス地
…
丈夫な厚手の粗布。
─ 8 ─ ─ 7 ─
の設問
問一 「私はすべて許した。許すしかなかった。」(
線部
ア)に込められた「静子」の気持ちの説明として、最も
適当なものを一つ選び、番号で答えなさい。
1
家族に関わろうとしない夫だとしても、娘にはかけが
えのない一人の家族である事実を受け入れようとして
いる。
2
夫のふるまいを家族のために許したのだから、きっと
夫も、自分の行いを許してくれるはずだと納得する気
持ち。
3
長い間、娘や妻を省みなかった夫に対し、家族のため
とは言え、許すしかなかった境遇を耐えがたく感じて
いる。
4
家族で過ごす時間よりも自分の仕事を優先した夫を、
家族のために許すべきではなかったと激しく後悔して
いる。
問二 「自分の名前を記す」(
線部イ)とは、ここではど
ういうことを意味していますか。二〇字以内で説明しな
さい。
問三 「筆を置いて読み返す」(
線部ウ)とありますが、
「静子」が「読み返」した内容のはじめの五字を抜き出
して答えなさい。
問四 「十二歳のいまでも、わけなくクラス一番の成績を取れ
ると、担任の教師は口を揃えて言う」(
線部エ)
に込められた「静子」の気持ちの説明として、最も適当
なものを一つ選び、番号で答えなさい。
1
得意な美術のように、やる気さえあれば学業成績も少
しは良くなるのにと少し不満に思っている。
2
どの担任も認めるほど、昔から素晴らしく優秀である
自分の娘を母親として誇らしく思っている。
3
有紀がたやすくクラス一番の成績を取ることができほ
ど頭が良かったのだと、静かに驚いている。
4
有紀には自分の努力次第で、クラス一番の成績を取る
楽しみが待っていること羨ましく思っている。
問五
オ
にあてはまる内容を次の中から二つ選び、
番号で答えなさい。
1
一度は有紀とお出かけしたかった。
2
母さんは有紀を愛しています。
3
母さんがいたら、有紀を邪じゃ
魔ま
してしまうわ。
4
お父さんのこと、お願いね。
5
母さんは素敵な女性になった有紀に会えるのを楽しみ
にしています。
6
なぜだか昔の有紀のことばかり思い出してしまうわ。
問六 「秀樹はその花を静子に突きだした」(
線部カ)と
いう表現からうかがわれる「秀樹」の人物像についての
説明として、最も適当なものを一つ選び、番号で答えな
さい。
1
気持ちが強すぎると、相手との距離感を適切に保てな
くなる人物。
2
どうするべきかという理性よりも、やや感情が先走り
がちな人物。
3
良いと思ったことは行動し、相手の迷惑をあまり気に
しない人物。
4
相手への思いとは裏腹に、つい無愛想な態度を取って
しまう人物。
問七 「土の中の水分がどのぐらいあるかで色が決まるんで
すって」(
線部キ)という発言に関する説明とし
て、最も適当なものを一つ選び、番号で答えなさい。
1
直前の秀樹との間の言い争いをやり過ごし、夫婦のい
さかいとは関係のない有紀の前では、落ち着いた、知
的な母親を演じようとする意味合いもある。
2
秀樹から聞いたアジサイの色が変わる原因を自分なり
に捉え返し、才能豊かな有紀に伝えることで、有紀の
知的好奇心を育もうとする意味合いもある。
3
直接的には有紀を落ち着かせながら、直前の秀樹の発
言を受けて応答した発言である点で、間接的には言い
争いをしていた秀樹を許す意味合いもある。
4
有紀に向けた何気ない発言を通して、実はアジサイが
湿気によって色が変わると考えていた秀樹の間違いを
遠回しに否定しようとする意味合いもある。
二の設問は裏面に続く
二
─ 10 ─ ─ 9 ─
問八 「肘を机の端につき、頭を抱えて」(
線部ク)とあ
りますが、それはなぜですか。その理由として、最も適
当なものを一つ選び、番号で答えなさい。
1
静子の死後に、控ひか
えめな彼女の深い愛情に気づいたから。
2
静子にもっと優しくしておけばと、激しく後悔したから。
3
静子の死を、今さらどうしようもできないと思ったから。
4
静子は、夫との関係に悩んで死んだのだと分かったから。
問九 「有紀」の精神的な自立について、「静子」と「有紀」と
の関わりに触れつつ、あなた自身の考えるところを
一〇〇字以上一二〇字以内で述べなさい。(句読点も一
字として数えます。なお、採点については、どういう書
かれ方をしているかについても見ます。)
下書き用(※これは解答用紙ではありません)
90100110120 80 70 30405060 20 10
─ 12 ─ ─ 11 ─
※
※
一
問三
問一
※
問二
※
問四
※
一
※
二
①
②
③
問五
※※
問七
※
問六
30405060708090100110120 20 10
※
問八
問九a
b
c
d
e
※
二※
問四
※
問一
※
問八
※
問七
※
問六
※
問五
問三
※
問二
※
102030405060708090100110 20 10
※
問九
120
てられる
(※の欄には、何も記入してはいけません)
受 験 番 号氏 名
2018年度 須磨学園中学校 第2回入学試験解答用紙 国語
※