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楽しい国語 -中学校1年から三年 はじめに 教員になって六年目。ふり返ってみると'校内外を問わ 習意欲を喚起するための」といったテーマの研修会がなん ったことか。今の中学生というのは、それほど意欲がないのだ うか。授業のつくり方に問題はないだろうか。 とにかく楽しい授業を工夫したい。私達は過四時間ずつへ二百 人前後の生徒に授業をするのだから'一ケ月に一本のホームラン より毎回安打をねらいたい。そしてへそれを積み重ねて碓かな国 語力をつけたい。そういう気持ちでこの三年間試みたいことを、 まとめてみた。 一、指導目標とその手立て 先に述べた願いから'次の三つを目標としへまたそれぞれにつ いて手立てを考えてみた。 It授業の中で'生徒が主体的に動-ことができ 2'自己の内面をみつめることによってへ生徒が精神 できる。 3'生徒に'情報を整理して理解する楽しみを身につけさせ る。 まずへ目標Iについてはへ次の三つの手立てが考えられるo 生徒が興味をもてる教材を扱う。-生活経験と結びつ-と ころのある (記憶の底の感覚を呼び醒まして問い直すよう な)教材。もしくは、想像の枠を広げたり'ゲーム性のある 面白い教材など。 学習の個別化をはかる。-能力や通性に合わせてへ表現方 法が選べるようにする。 学習の目的を明らかにする。-各単元へ各教材へ各作業の 目的がいつもわかるよう工夫する。 目標2についてはへ次の二つの手立てが考えられる。 54

は じ め に 楽しい国語の授業づ-り - 広島大学 学術 …...楽しい国語の授業づ-り-中学校1年から三年までを通して-は じ め に 教員になって六年目。ふり返ってみると'校内外を問わず「学

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楽しい国語の授業づ-り

-中学校1年から三年までを通して-

 

 

 

教員になって六年目。ふり返ってみると'校内外を問わず「学

習意欲を喚起するための」といったテーマの研修会がなんと多か

ったことか。今の中学生というのは、それほど意欲がないのだろ

うか。授業のつくり方に問題はないだろうか。

とにかく楽しい授業を工夫したい。私達は過四時間ずつへ二百

人前後の生徒に授業をするのだから'一ケ月に一本のホームラン

より毎回安打をねらいたい。そしてへそれを積み重ねて碓かな国

語力をつけたい。そういう気持ちでこの三年間試みたいことを、

まとめてみた。

一、指導目標とその手立て

先に述べた願いから'次の三つを目標としへまたそれぞれにつ

福  田  伸  子

いて手立てを考えてみた。

It授業の中で'生徒が主体的に動-ことができる。

2'自己の内面をみつめることによってへ生徒が精神的に成長

できる。

3'生徒に'情報を整理して理解する楽しみを身につけさせ

る。

まずへ目標Iについてはへ次の三つの手立てが考えられるo

① 生徒が興味をもてる教材を扱う。-生活経験と結びつ-と

ころのある (記憶の底の感覚を呼び醒まして問い直すよう

な)教材。もしくは、想像の枠を広げたり'ゲーム性のある

面白い教材など。

② 学習の個別化をはかる。-能力や通性に合わせてへ表現方

法が選べるようにする。

③ 学習の目的を明らかにする。-各単元へ各教材へ各作業の

目的がいつもわかるよう工夫する。

目標2についてはへ次の二つの手立てが考えられる。

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① 作品へ意見をたくさん読ませる.-友達の心の中を次々と

のぞくことは'友達の成長と比較することで次へのステッ

プが踏み出せるはずである。

② 自分史をめざす。 中学校のたった三年間で'生徒は顔も

体も心も大き-変化する。その変化をとらえる意味で、作

品は書きっ放しにせずへ一年間の最後に綴じて'「その時の

自分」を残す。

目標3についてはへ次のような手立てが考えられる。

① 文章の構造を明らかにする。-情報化社会に生きる人間の

思考は'まず自分に与えられた膨大な員の情報を整理し、ま

とめへかみ砕いて後に始まるのだろう。中学生にとって'そ

れはすべての授業で要求される.どこに図を入れるか'疑問

をメモするか-O情報の構造を明らかにし、一日で自分の頭

に入る-らいに整理する力をつけるためにへ古きこむことに

よって全体が見えるようなプリントを与えることにする。

この三つの目標を達成するためにへ私はノートを使わず'プリ

ントで授業をすすめる方法をとった。一時間毎のねらいをはっき

りさせることが1番の目的である.今の中学生のペースで'「聞

きながらへ書きながらへ考えて発表する」などという芸当が一日

六時間も続-わけはない。そこでへ 「雷-」の部分のあまり虫要

でないと思われる作業(表の外枠など)を省略して、「考えて発

表する」にかける時間を増やすのである。

二も指導の実際

の 印象の強い作品を読んでイメ上ンを広げる。

教科苔で扱われている教榊は'ある意味で完成されたものであ

ろう。しかし'仮に六時間扱いの教材があったとして'順調にす

すんで二週間へ行事等で運が恋ければ'とびとびで三週間はども

かけて学習するわけで'作品の世界にひたることは容易ではな

いOそこでへしばしば発展教材を使って考えを探める方法をとる

ことになる。その中でも特に印象の強かったものに、一年時r平

家物語」の「敦盛の最期」学習後に読ませた「木曽長和」へ 二年

時、安岡車太郎の「幸福」学習後に読ませた「サーカスの馬」が

ある。前

者は、「敦盛の最期」で直実と敦盛の人間性について考えた

ので'「直実を出家に追いこんだ戦とは'武士とはどんなものだ

ったのか。」を'他の人物の印象的な場面を読むことでイメージ

を広げさせることにした。中学一年ということで'原文を詳しく

読むことはせずへ注を参考にどんどんE]語訳させた。「木曽最

期」の戦のイメージも含めて、生徒の感想は次のようである。

私は、戦というものは本当にいやだと忠った。戦さえなけれ

ば'こんなつらい思いをする人はでなかったと思う。この時代に

は、熊谷のほかに苦しみへ涙をのんで出家した人がいると思う。

それで家族や家来を見捨ててもいいか? これはとてもむずかし

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いことだと思う。でもへ このむずかしくつらいことをのりこえて

出家した時へ初めてその人に'人間らしい清らかな心がそなわる

と思う。

またへ自分の行動を後悔しながら、それでも武士でいたいと思

った人も'ある意味では立派といえるかもしれない。しかし'自

分の行動を後悔する、くやむtということは'人間らしい心をど

こかに忘れているのだと思う。その人はその人なりに苦しんでい

るのだろうけれども。(女子)

「サーカスの馬」を発展教材にした時は'ほとんどの生徒が

「幸福」の主人公-「サーカスの馬」の主人公・安岡-作者とし

て考えていたが'二つの作品を読んで、何か奥にある負い目や'

1人の自分の姿などをグッとつかみ出すような安岡串太郎の世界

に入ってしまったようなので'そのままにしておいた。「幸福」

だけではそこまでいけなかった。次の感想文は'感想を離れて'

主人公の生き方からストレートに自分自身を思って書いているも

のである。

自分はtかならず動くとはじをかく。全く気合いが入っていな

い。世の中を甘-見てるせいかもしれない。情けないことは'一

日に一回かならずある。運のわるい運命だと思う。でも坦れてい

るからおそれはない。

ある本にはこう書いてあった。「刀を作るにはヘヤキを入れた

りたたいたりして、じようぶな刀になるのだ。いつもはじをかく

とそれを思い出してへたえるのです。でも自分が惑いのです。

(男子)

∽ 遊びの要素をとり入れることで興味をもたせる。

次に挙げるのは'一年生の表現Iで行なった「表現ゲーム」で

ある。人にわかってもらえるように説明(表現)するのがいかに

難しいか'自分の使える言糞がどれだけ少ないかを実感すること

ができる。

まずへ教室を右半分と左半分に分け(人数をそろえる)右半分

の生徒にはAの紙を、左半分の生徒にはBの紙を配る0 (資料

-)紙をもらったら'あらかじめ配られた説明用紙に'それぞれ

の言糞の説明(例えばAの紙なら「サラダ」とは何かへ 「松」と

は何か)を古く。

時間を決めて、一旦全員の説明用紙を染め、今度は'右半分に

はBの言兼について説明してある紙(さっき左半分の生徒が書い

たもの)左半分にはAの言柴についての説明を配るoそしてへそ

こに説明してあるものが何なのかをへ下の解答欄に普く。たくさ

ん正解し'させたものの勝ちとする。

生徒の書いた説明に次のようなものがあったo 「小学生は夏休

みにつける。ふつうは毎日つける」 「走るのが早い'横断歩道を

しょっている動物」 「細長い鉄でできた'三次元の迷路」等えは

順に「日記」 「しまうま」 「ジャングル・ジム」である。

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二年生の表現単位では「悪魔の辞典」を作った。あるエッセイ

ストが'題材に困った時には家族に何か物の名前を言ってもらう

と雑誌に書いていたのをヒントに'作文の題材さがLは「物」か

ら始めることにした。「あ」~「ん」の順で言糞を柴め'その日

的意識を高めることが'辞典作りの目的であるo

クラス内で「あ」~「ん」の担当を決めへ項目毎にカードに内

容を書いて提出させ'四クラス分をまとめて優秀作を選び、配列

する。今回は私がカード選びをしたが'生徒の中で辞典網袋委員

をつくって選ばせれば、もっと生徒の意見が反映できたかと思

う。資料2は辞典の「か」~「き」の部分である。

川 想像することで'教材を自分のものにする。

小説の続きを苔-作業が'生徒は好きである。丁寧に読んだあ

となので'登場人物のイメージが出来上がっていて'頭の中で動

かしやすいのだろうか。

想像するのは'小説の続きばかりではない。例えば短歌など

は'作者の思いが凝縮されている分へ読者は想像を広げる菜しみ

がある。二年生の単元〔感性を豊かに) では'教科書とは別にへ

石川啄木の短歌を紹介し'歌そのものから想像をふくらませてド

ラマを作ることを試みたo次の作文は'「こはりたるインクの曙

を 火に勤し 涙ながれぬともしぴの下」という歌からイメージ

を広げたものである。

ふるさとに手紙を書こうと思ったら'インクがこおっていた。

ひきだしの中に入っていればこおらなかったろうに。外にポッン

と出ていてこおってしまったインク0それが'ふるさとから1人

追い出されてぽつんとしている自分に思えて悲し-なった。

インクを火にかざしてとかしていると'水滴がポトポトおち

た。「ああへお前もさびしくて泣いてしまったのか-」とつぶや

いて涙を流した。(女子)

川 学習の個別化をはかる.

一年生の単元〔独り立ち) に「自分を書く」というのがあるo

中学生になって独り立ちするためには自分をよくみつめてみよ

う、というのである。

生徒はここで初めてまとまった文章を書くことになるoただ

「自分について書きなさい。」では'立ち往生するのは目に見え

ている。しかもこちらはまだ生徒についての情報をあまりつかん

でいないので'各々にアドバイスできないという状態である。

そこでへ自分についての切り口をはっきりさせるためにへ次の

A~Eのコースを用意し'選ばせることにした。

OAコース-・中学生になった今の自分について、誰かに手紙を出

すつもりで古く。相手は架空の人物でも良い。小学校時代の

担任の先生に出すつもりならへ中学校生活の報告のような感

じで、書き易い。

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OBコースー上目分自身を主人公にLへ日常生活を小説風に書く。

これはへ 1番難しいコースなのでt Bコースを選んだ人の作

品には写兵を貼って返す。(雑誌のグラビア等)

Ocコース-自分の友達を紹介することで、その中にいる自分を

考える。自分のことより友達のことの方が書き易く'1人1

人は短い文章になるので'書くことの苦手な生徒でも書ける

SSSk

ODコース-宇宙人がもし自分を見つけてUFOに観察報告書を

送ったら'どんな風に書かれると思うか、想像して書く。(資

料3参照)

OEコース-普通の原稿用紙。形式自由。

糊 ひとりひとりとの対話を心かける。

生徒が感想文なり意見文なりを書く時は'当然のことだが、そ

れを先生が読んで-れることを期待し'どういう形で返ってくる

かを気にする。

同じハンコでも'単なる検印と「よ-できました」 「もう少し

です」の印とでは、反応が全然違う。後者は'少なくとも読まな

ければそれを押せないからだ。だが「もう少しです」というなら

ばへ何をすればよいのか。

それを明確にするためにへ三年生になってからへ試験後へ資料

4のような「弱点カルテ」を始めた。これはへ試験を返して答え

あわせをする時、自分の間違いの原因によって何点ひかれている

かを記入し'グラフにするものである。

グラフを見て感想を苔-。例えば「私は漢字が大のニガテであ

ります。グラフでも文法と並んでトップ-(実は文法も-)この

グラフへズバリです。(女子)」 「8点も損してしまった。いつ

も不注意-スをしてしまう。泣けて-る。(男子)」など。これ

に全員返事を書いて'次の試験の前に返す。

ふだんから意見集に度々載ったり'机間巡視中にでもどんどん

話ができる生徒はそれでいいのだがへそうでない生徒はこういう

機会にいろいろ書いたり'その他の提出物で「対話」することで

意欲をもたせたい。

の 8元日標に関わって短作文を書かせる。

授業の中での「知識」や「練習」はすべて国語力へすなわち生

きる力につながるはずなのに'生徒の頭の中ではへそのことがな

かなか今からの人生とはつながらない。教材で学びとったこと

を'自分とどう関係づけていくのか'何のために勉強するのかへ

常に確認しながらすすめてい-ことで'生徒は主体的に考えるこ

とができるようになるのではないだろうか。

一年生の軍刀〔想像豊かに〕の中の詩「名づけられた菓」を扱

った時には'学習後へ ひとりひとりの名前の由来を調べさせた。

例えば'「森万史-父方の昔の商売の屋号が r万屋 (よろず

や)」といった。母方のへぼ-から見たおじいちゃんの名前が

r万里(ぱんり)という名前だった。「万屋」とr万里」 の

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r万」をとって'万の歴史ということでr万史」となった。」「児

玉容子-誰とでも仲良-なれる優しい子になるように'願いをこ

めて父と母でつけたそうです」などである。

この詩の主題が「人間はひとりひとりへ名前をもったかけがえ

のないものだから、誰のまねでもない生き方、命を輝かせるよう

な生き方をしなければならない」ということで'名駒にこめられ

た願いを知りへ自分を大切に考えるために書かせた。

当時は五クラスの授業をうけもっていたがt HIl的から考えて全

員のをプリントに載せた。生徒はもちろんお互いの名前の由来に

感心しあっていたが'私自身「こんなに大切に思われている子供

達を預かっているんだなあ。なのに-」と反省する材料になっ

た。∽

 作業の目的を明確に示す。

資料5は'二年生の単元〔自然と人間〕 の論説文「瀬戸内海と

赤潮」の学習プリントである。

論理的文章を学習する時へまとめる'表にするへなどという方

法をつかって内容をつかみへ展開へ構成をとらえてい-が'たい

ていの場合へ教える側が方法を提示し、生徒は指示通り作業する

だけになり易い。

しかし'実生活で論理的文章に触れる機会は多くへその時はひ

とりで内容を整理し'つかまなくてはならないわけで'先生が

「ここからここまでは表にしてみたら」などとは言って-れな

い。そ

こでへ資料5ではへその練習として'固~四七日分で整理す

るためにET皿へmTE5.凶丁団の作業をするへという方法をと

り入れた。つまり、順番を最初から迫っていくのではなく、「段

落の要点をまとめる」 「いくつかの段落をひとつにまとめる」

「表をつ-って整理する」という作業を'「国~四百日分の力で

つかむ」という目的のための手段として扱うという方法である。

ここでは表にまとめるのが1番簡単なのだが'その他いろいろ

工夫するものもあり、「主体的に」という意味ではおおむね良か

った。糾

 作品や意見をたくさん読ませる.

賢料6は'冬休みの課冠である。実際の用紙はpj4サイズだ

が'縮小コピ-して方法を示したものを必ずつける0 この課題の

意図は'「とにかく1冊以上は本を読んでほしい」ということな

のだが'これの提出後へ全員の読んだ本を紹介して読召案内を作

るという目的もあった。友達の意見を読んでその本を読もうかと

いう気になればtというつもりで。

「屋の王子さま」サン=テグジュペリ--作家サン=テグジュ

ペリは'飛行機の操縦士でもあるのです。この本は、友人レオン

がユダヤ人なので♪もうあえないか~も~しれない~と思って形

見に容いたのです。この本には'いろんなtだいじなものがか-

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されているので'絶対読んで得すると思います。でもそのかくさ

れたものがわからなかったらヘビーしよIもないケド。(女子)

川 自分史をめざす。

資料7は'「その時の自分のもついろいろなもの」を新聞形式

でまとめる「夏休み新関」である.1年生の時は切り抜きのス

ペースが多く、二年、三年と書くスペースを増やしている。

)1 0 構造を明らかにする。

はじ

資料8はt I年生の軍刀【想像を豊かに)の「空中プランコ乗

りのキキ」の学習プリントである。(実際生徒に渡すプリント

は,0昌の中が空白)

このプリントは'主人公キキにとって命よりも大事な「人気」

を軸にして'他の登場人物の気持ちなどが古きこめるように考え

ている。右上から下,そして左上への順番で学習し,○が人気を

示した線であることに気づいた時点で赤鉛筆でたどっていくと'

三回宙返りで得た人気を魔法の力で超えた時点で、キキが人間と

しての命を失ってしまったことがわかるように考えた。

情報を整理するということは'同じ次元で部分を分けていく方

法もあるが'物語の場合は必ずいろいろな要素が複雑にからみあ

っているので、主鎚につながる要素を選び出して「軸」を決めな

ければ'あれもこれもで混乱してしまうであろう。そのためへ一

枚のプリントで数時間かけて学習し、最終的には全体の構造がひ

と目でわかるようにした。

三も考 察

の 生徒が主体的に活動することについて。

現在の生徒が三年生になって'生活指導上はたくさんの問血を

抱えておりへ一'二年時に比べて教師の負担は大きくなってい

る。しかし'授業については全-反対で'一年から二年へ二年か

ら三年へと進むにしたがってへどんどん面白くなってきた。その

原Egは'生徒が授業のパターンを呑み込み'私の方法を知ってく

れたからではないかと思う。

みんなの意見を染めたプリントには'「なぜだか面白い文章」

とか'「ちょっとイイ'ほのぼのした文章」とかがたくさん載っ

ている。またへ 「こんなことを書いても仕方がない」と思って'

紙を前にボーッとしていたような題材でも'他の生徒が堂々と古

いていて読んでみたらけっこう良かった、とかいうこともあっ

て'生徒は少なくともへ雷-ことを楽しみにしているようであ

る。

「個別化」というと大けさになるが'貞面目に書いた文章には

必ずどこか良いところがある。それを認めることが次への意欲に

つながりへ主体的に活動することに結びつくのではないだろう

か。それはムリヤリ認めるのではな-て'心から「いいな」と恩

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わなければだめなのである。そのためには'生徒と良くつきあっ

ておく必要がある。「あの子」が「こう書いた」から心にグッと

くるのであって文章の表面だけ見るのだったらへ文章の上手な生

徒しか活綻できない。

わが校は1学年十二~十三クラスで、三年間続けて授業でお目

にかかる碓率は少ない。またへ適正規模の学校に比べれば'生徒

と接触するチャンスも少ないo Lかしへ三年間へ械会をとらえて

は古かせることによってへ生徒の様々な考えを知りへまたそれに

返事を書いたり、プリントに載せたりすることで'私自身の情報

も与え続けたOその接触のつみ蛮ねが'三年生の授業につながっ

てきたのだと思う。

∽ 自己の内面を見つめることによる精神的な成長について。

意見袋・感想仰Tこれが'生徒にとっては一番の楽しみであ

り'私にとっては'最も時間と労力のかかる'肩こりと睡眠不足

のタネである。プリントに自分の文章が載り'約二百人の生徒に

読まれることは'他の場面でそうそうあることではないOだか

ら、プリントを配ると大騒ぎになり、全員読み始めると静かにな

り'次第にクスクスと笑い声。そしてへ質問や感想が出たりす

る。友

達との話題はほとんどテレビや音楽のことで'あるひとつの

問題をめぐって貞面目に意見を言い合うことなどはほとんどな

い。これは自分もそうだったからよくわかる。だがそれは'話さ

ないというだけで'ひとりひとりの中では'いろいろな畠面目な

考えがうずまいているはずだ。それをひき出すきっかけは'果た

しているのではないかと思う。ひとつのテーマで召いているの

で'自分の考えと比較し易-'精神的な成長段階がわかるという

ことだ。

最近へ意見集のプリントを出すのが遅れがちになっている。載

せたいと思う意見が多くて迷っているのが原因である。ただへ こ

れはへ成長した生徒の数が増えたことの証明にはなるかもしれな

いが'ひとりの生徒にねらいをしぼって見てきたわけではないの

で'ある生徒がどういう凪に成長してきたかは'本人にしかわか

らない。三年間を通してのテーマを設定していなかったのが原因

でも これは今後の課題にしたい。

川 情報を整理して理解する楽しみを身につけさせることにつ

いて。

メモをとる'日記を古くへ手紙を古くへなど、日常生活におい

て普く作業はたくさんあるが'生徒の苔-作業で最も大きな比重

を占めるのは'ノートをとることだ。

ただ先生の話を聞いて鉛筆でズラズラ古くだけのノートでは'

役に立たない。他教科の自習課題で'「〇ページから〇ページま

での内容をノートにまとめなさい」というのがよ-あるが'要点

を浮かび上がらせる方法を知らない者にとっては'「まとめる」

とはどういうことかわからないのである。

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一時「知的生産の技術」というのが流行したが'それの中学生

版のようなものをもっと与えてやらなければならないと思う0プ

リントのねらいは、例えば「主人公の気持ちの変化」とか「周囲

の反応」とか軸を決めて、全体の椛造がひと日でわかるように、

ということだ。だから、総合的に考える場合は'何校かのプリン

トを並べて見ることになる。一枚一枚へ整理のし方を示している

つもりだが'生徒はどう生かしているのかへ夏休み新聞などを見

るとも少しは効果が表われているようである。

四、今後の課題

以上は'教科苔に沿って'「次はこういう風に料理してみよ

う」 「こういう進め方が面白いんじゃないかな」とその都度行な

ってきたものをまとめただけで'指導目標の三つはこの三年間へ

常に念頚においてきたことであるOだからへ今後の大きな課題と

して'仮説-⊥芙践-枚証という手順をふむということがある。そ

の具体的課滋は次のようなものである。

∽ 生徒ひとりひとりの成長がわかるような手立てを考える。

t.'r亘問を 辿した叩一ZttztKiJ"

川 言語事項の指導のし方を工夫し'確かな言葉の力をつけ

る。

 

 

 

学生時代「教師は生徒から学ぶ」という言薬はきれいごとだと

思っていた。しかし実際に生徒と対話し'文章で表現された彼等

の一生懸命な姿に触れてへその言兼が本当だとわかった。日常に

埋もれて鈍りがちな自分の感性が'「オレは強く生きたいと思っ

ている」の一文に叩き起こされる。私はそうやって彼等から吸収

したエネルギーを、かみ砕いたり別の色に変えて還元Ltまた自

分も成長していきたいと思う。

(広島市立牛田中学校教諭)

6 3   -

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