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Title [原著]小児イヌ回虫症の1例 : 広東住血線虫症との鑑別診 断が困難であった興味ある症例 Author(s) 佐藤, 良也; 大鶴, 正満; 安里, 龍二; 知念, 正夫 Citation 琉球大学保健学医学雑誌=Ryukyu University Journal of Health Sciences and Medicine, 4(1): 67-73 Issue Date 1981 URL http://hdl.handle.net/20.500.12001/4042 Rights 琉球医学会

小児 イ ヌ 回虫症の1例 - okinawa-repo.lib.u ...okinawa-repo.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/20.500.12001/4042/1/v4p67.pdf · る幼線虫移行症には,イヌ回虫幼虫移行症をはじ

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Title [原著]小児イヌ回虫症の1例 : 広東住血線虫症との鑑別診断が困難であった興味ある症例

Author(s) 佐藤, 良也; 大鶴, 正満; 安里, 龍二; 知念, 正夫

Citation 琉球大学保健学医学雑誌=Ryukyu University Journal ofHealth Sciences and Medicine, 4(1): 67-73

Issue Date 1981

URL http://hdl.handle.net/20.500.12001/4042

Rights 琉球医学会

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琉大保医誌4(1) : 67-73, 1981

小児 イ ヌ 回虫症の1例

-広東住血線虫症との鑑別診断が困難であった興味ある症例-

琉球大学医学部寄生虫学教室

佐藤良也  大鶴正満

沖縄県公害衛生研究所

安里龍二

沖縄県立那覇病院小児科

知念正夫※

はじめに

人間以外の動物を固有宿主とする寄生線虫類の

幼虫が人体を侵琴することによってひき起こされ

る幼線虫移行症には,イヌ回虫幼虫移行症をはじ

めとして,韻口虫症,アニサキス症,広東住血線

虫症など多くのものが知られている。わがEgでは

北海道など北日本を中心として多数のアニサキス

症が報告されており,また,沖縄県では広東住血

線虫症が注目を集めている。しかし,イヌ回虫幼

虫移行症についての関心は低く,本症では幼虫が

どの臓器組織を侵聾するかによって症状が一定し

ないことから,かなりの症例が他疾患と混同もし

くは確定診断のされないままに見逃がされている

ものと思われる。今回,著者らは,不規則な間歓

熱,極度の全身倦怠,末梢血および髄液での持続

性の好酸球増多,さらに中枢神経系の異常などを

きたし,広東住血線虫症を疑われたが,血清学的

検査によりイラ回虫幼虫移行症と診断し得た1症

例を経験したので報告する。

症   例

患者:t.y., 1才6カ月 男児。

主訴:発熱

家族歴,既往歴:特記すべき事項なし

生活歴:患者は沖縄本島中部の西原町に居住し,

家は住宅街にあるが,付近には畑などもあり,ア

※現:那覇市立市民病院小児科

フリカマイマイ,ナメクジなどが多数生息してい

る。生後6カ月頃に仔イヌを数ヵ月間飼育したこ

ともあるほか,近所にもイヌは普通にみられ,こ

れらイヌとの接触も多かった。また,患者は以前

から異食性が強く,何でも拾って口に入れる癖が

あるということである。

現病歴:昭和52年2月17日, 38度台の高熱と咳

堰吐を認め, 2月20日某診療所で受診。風邪とし

て治療されたが,その後も弛張熟が持続。 2月26

日頃より全身倦怠,食欲不振におちいり, 3月1

日頃より殆んど歩かなくなった。 3月6B,高熱

持続と歩か射)とのことからポリオの疑いで紹介

され,県立那覇病院小児科に入院。

入院時現症:活気がなく,不機嫌であるという

以外,全身状態は比較的良好で,皮膚に発疹はみ

られない。意識も清明である。心音,呼吸音にも

異常は認められないが,腹部は肝1横指ふれる。

眼に黄症,貧血はなく,眼底にもうっ血乳頭はみ

られないが,軽度蒼白で視神経の萎縮が認められ

る。軽度の項部強直とケルニッヒ徴候を認めたが

4肢に麻痔はみられ射、。

入院時検査所見・(表1 ) :末梢血での好酸球増

多(26%;が認められ,髄液でも著明な細胞増多

(1,500/mni)にともなって,細胞の41%を好酸球

が占めていた。その他,赤沈の促進がみられたが

検尿,検便,肝機能,血清分画値などには拝に異

常を認めか)0

臨床経過:入院後も微熱,極度の全身倦怠が持

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表1 入院時検査所見

佐 藤 良 也 他

表2 入院後の検査所見(血液,髄液)

血  液

続し,時に悪心,曜吐をともなった軽度の項部強

直,痛撃発作も出現した。また,両眼の視神経萎

縮と視力低下も著明となった。末梢血での好酸球

増多は入院後も約2カ月ちかく持続し,髄液の細

胞増多,好酸球増多も1カ月余にわたって認めら

れた(表2)。視力障害を除く臨床症状は入院後約

1カ月で改善され, 3月31日に退院した。

免疫血清学的検査:著明な好酸球増多の所見か

ら,何らかの寄生虫感染を疑い,各種寄生虫抗原

との間で寒天ゲル内沈降反応を行なった。図1に

みられるごとく,イヌ回虫(Tc)イヌ糸状虫(D

i)広東住血線虫(Ac)など,線虫類の抗原との間

で沈降線の形成を認め,拝にイヌ回虫抗原との間

で認められた沈降線は他のそれに比べて強かった。

この結果および上述の臨床所見より,広東住血線

虫症,イヌ回虫幼虫移行症が強く疑われ,両者を

鑑別すべく両種抗原との問で免疫電気泳動法によ

る分析を行なった(図2)。イヌ回虫抗原との形で

形成された沈降線は10本,広東住血線虫抗原との

間では8本が識別され,各々の沈降線形成のパタ

ーンは対照とした家兎およびラットの抗血清によ

る沈降線パターンとよく似ていた。また,間接赤

血球凝集反応によっても,両抗原に対して高い抗

体価が示されたが,この場合にも,イヌ回虫抗原

に対する抗体価が広東住血線虫抗原に対するより

も高かった(表3)。しかし,これらの違いから,

本症例がいずれの寄生虫感染によるものであるか

を結論づけることは,これら寄生虫抗原のもつ複

雑を要素と関連して難かしく,そこで,血清を両

3 月 13 日 3 月2 0 日 4 月 7 日 4 月 14 日 4 月2 7 日 5 月 4 日 II 9 d

赤 血球 数 (×1 0 ' mm . 4 48 4 7 0 48 0 4 42 4 59 4 65 4 18

血色 素 量 g / d i; 12 .6 13 .3 12 .6 12 .1 12 .0 12 .3 10 .6

ヘ マ トク リ ッ ト値 (% ) 37 37 38 35 36 26 32

赤 沈 (m m/ lh r 2 h r ) 2 5 - 6 1 5 0 - 85 3 3 - 70

白血 球 数 (/ mm ) 8 ,3 00 9 ,9 00 6 ,9 00 6 ,9 00 7 ,3 00 8 ,1 00 7 ,5 00

好 中球 % ) 39 30 18 18 3 76 67

好 酸 球 % ) 23 28 l l 13 20 0 0

リ ンパ球 % : 32 37 59 4 1 10 20 26

I1 .-. 4 12 28 66 4 6

好 塩 基球 % ) 0 0 0 0 0 0

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小児イヌ回虫症の1例一広東住血線虫症との鑑別静断がEg難であった興味ある症例

髄液3月10日 3月17日3月31日

細月負数(/id) 1,176 1,0 165

67 69 52

33 31 48

.'蝣-v.i- .. 54 49 32

蛋白 110 250 100

糖 (mg/ dl) 25 20 36

種抗原で相互に吸収し,吸収前後の抗体価の比較

を行なった。表3に示したごとく,いろいろな時

期に採取した血清5検体,髄液1検体のいずれも

イヌ回虫抗原で吸収することによってイヌ回虫抗

原で感作した赤血球に対する凝集抗体はほぼ完全

に吸収されたが,非対応の広東住血線虫抗原によ

る吸収後では抗体価はあまり低下せず,他方,広

東住血線虫抗原感作赤血球に対する抗体価は,対

図1患者血清(3月27日採取)によるゲル内沈降反応イヌ回虫抗原(Tc)との問で著明な沈降線が認められるほか,イヌ糸状虫(Di,)、広東住血線虫(Ac)抗原との間でも弱い沈降線が認められるoEm:多包虫, Pw:ウエステルマン肺吸虫

図2 免疫電気泳動パターンの比較患者血清(3月27日採戟)はイヌ回虫,広東住血線虫抗原との間で多数の沈降線を形成し,各々のパターンは対応する感染動物血清によるパターンと類似している。Case :患者血清, Inf. Ac :広東住血線虫感染

ラット血清, Anti-Tc !イヌ回虫抗原免疫家兎血清

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70 佐 藤 良 也 他

応,非対応のいずれの抗原で吸収した場合にも著

しい低下を示した。このことから,広東住血線虫

抗原に対する陽性の反応は,イヌ回虫抗原との間

の交差反応によるものであると推定され,本症を

イヌ回虫幼虫移行症と診断した。

表3 血清および髄液の間接赤血球凝集抗体価

検体 採取 月 日イヌ回虫抗原感 作赤血 球

吸収 前 吸収後 *

広東住 血線 虫抗原感 作赤血球

吸収前 吸収後 *

3 月16 日 256 ノ 8 64 256 8 ( 8

3 月27 日 - (- ) 512 ー (I )

3 月27 日§ 1024 32 256 ) 128 8

4 月 7 日 2048 64 1024 512 16 -

4 月27 日 2048 32 512 512 - 16

5 月 4 日 1024 1024 512 -

§髄液検査; *イヌ回虫抗原,( )内は広東住血線虫抗原で吸収後の抗体価; -検査せず

考   察

本症例は持続的な発熱,全身倦怠を主な症璃と

し,長期にわたって末梢血,髄液での好酸球増多

をきたした例である。髄液での著明な細月包増多,

好酸球増多に加えて,視神経の萎縮,項部強直,

ケルニッヒ徴候,癌撃発作などもみられ,これら

の臨床所見や沖縄県が広東住血線虫症の高浸淫地

域であって,これまでに16例の人体症例が報告さ

れているという疫学的背景(1-4)などから,最初,

広東住血線虫症が強く疑われた。事実,その血清

学的検査においても,広東住血線虫抗原に対して

著明を陽性の反応が示された。しかし,同時に行

なったイヌ回虫抗原に対する反応も,それ以上に

強い陽性の反応であったことから,両種抗原によ

る吸収試験を行なったところ,イヌ回虫抗原に対

する反応は広東住血線虫抗原による吸収では完全

に吸収できないが,広東住血線虫抗原に対する反

応はイヌ回虫抗原によってほぼ完全に吸収された。

このことから,本症例はイヌ回虫幼虫の感染によ

る幼虫移行症と判断した。

イヌ回虫幼虫移行症は, Beaver (1952)1'が持

続性の好酸球増多を示した患者の肝生検標本中に

Toxocara属線虫の幼虫の断端を確認したことに

はじまり,外国では小児科,眼科領域で数多くの

臨床報告例が知られている。しかし,わが国では

本症として報告された例はまだ少なく,大島ら(

1965f'が2例の疑がわしい患者を報告したのには

じまり,吉岡(1966)1'が網膜腸腫の診断で摘出さ

れた女児の眼球にイヌ回虫幼虫を中心とした肉芽

腫形成を認め,はじめての確定症例として報告を

行なった.その後,佐藤ら(1966),旗下ら(1968)?

吉村ら(1970)(10)が各々,本症と推定される症例を

告しているにすぎない。

ヒトにおける本症好発年令は,本症例のように

主として1-3才の小児が圧倒的に多く,成人で

は感染しても発病しにくいことが指摘されている。

感染した幼虫は約3日で肺の毛細血管に現われ,

出血性の肺炎を起こすほか,患者があらかじめ感

作されているような場合には,咳,職場などをと

もをった肺浸潤をきたし,著明なアレルギー性噌

息様の病像を示す。しかし,幼虫の肺滞在期間は

一時的であるため,このよう射乱息様症状も一過

性である。幼虫はその後10日目頃には皮下組織,

筋肉,脳神経系,実質臓器中に現われ,この時期

以降の病変,自覚症状は幼虫がどこの組織を侵聾

するかによって必ずしも一定しか、。本症例の場

合も,最初,発熱,咳などから風邪を疑われ,そ

の後,頭痛,全身倦怠,その他中枢神経系の異常

をきたすようにをったものである。本症において,

幼虫が中枢神経系を侵聾するケースは少なくない

と考えられており,患者にはかなりの割合で疫撃

発作など何らかの中枢神経系の異常が認められる

ことが報告されている。しかし,わが国ではこれ

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小児イヌ回虫症のl例-広東住血線虫症との鑑別診断が困難であった興味ある症例

まで,幼虫が中枢神経系を侵襲したと思われる例

は報告されていない。

本症の診断にあたって Shrand (1964)は生

後18カ月から4才までの小児40症例の臨床症状を

まとめ,異食症100%,発熱57%,咳37%,白血

球増多100%,好酸球増多100%,肺腫87%,柿

浸潤32%,高グロブリン血症30%などが認められ

たとしている。本症例の場合にも,上記の臨床症

状にてらして拝に矛盾するものはなく,このよう

な臨床症状から本症を疑うことはできるが,そ

の診断には生検標本などによって幼虫を証明する

ことが必要とされる。しかし,肝生検などによっ

て実際に幼虫を証明できる例は稀である。このた

め,免疫血清学的手段による診断が重要視され,

本症例も幼虫を証明することはできなかったもの

の,血清検査によってイヌ回虫抗原との間で強い

陽性の反応を認めたものである。他方,かかる血

清検査では,寄生虫病の示す複雑で多様な要素と

関連して,その結果は必ずしも一定しない場合が

多い。本症例の場合も,他の線虫類抗原との間で

著明を交差反応が認められ,特に広東住血線虫抗

原との間で認められた陽性反応は,これまで著者

らが9例の広東住血線虫症患者について検討し,

得られた成績(4用2)と比較しても鑑別し牡いほど

のものであった。このことは,かかる寄生虫病の

診断にあたって,かなり厳密な交差反応性のチェ

ックを行ないつつ検査すべきことを示唆しており,

今回は,多数の検体について相互に吸収試験を行

なったことで診断し得たものである。特に本症例

の場合,幼虫が中枢神経系を侵襲したと思われ,

その臨床所見が広東住血線虫幼虫による好酸球性

脳脊髄膜炎のそれとよく似ていたことが,その鑑

別をより困難なものにしたと考えられる。

ま と め

長期にわたる末梢血,髄液での好酸球増多,間

放熱,全身倦怠視力障害,痩撃発作などをきた

し,その臨床所見,免疫血清学的検査において広

東住血線虫症との鑑別が困難であった小児イヌ回

虫症の1例を報告した。

71

文献

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72 佐 藤 良 也 他

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小児イヌ回虫症の1例一広東住血線虫症との鑑別診断が困難であった興味ある症例

Abstract

A case of infantile toxocariasis diagnosed with difficulty

to differentiate from angiostrongyhasis.

Yoshiya SATO, Masamitsu OTSURUDepartment of Parasitology, School of Medicine, University of the Ryukyus

Ryuji ASATOOkinawa Prefectural Institute of Public Health

Masao CHINENDivision of Pediatrics, Naha Prefectural Hospital

73

An infant case showing a long term persisted eosinophilia in the peripheral blood and

cerebrospinal fluid was diagnosed as toxocariasis (visceral larva migrans by Toxocara

canis). The clinical symptoms were quite similar to those of angiostrongyliasis and the

immunodiffusion test also could not distinguish these parasitic diseases. The positive

antibody respense for angiostrongyliasis, however, almost disappeared after coss-absorption

test, and it might be interpreted as the cross reaction of Angiostrongylus antigens with

anti- Toxocara antibodies.