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Instructions for use Title オバマ政権以降における米国STEM 教育関連予算の変化 Author(s) 標葉, 靖子 Citation 科学技術コミュニケーション, 23, 25-36 Issue Date 2018-07 DOI 10.14943/85367 Doc URL http://hdl.handle.net/2115/71119 Type bulletin (article) File Information 03_shineha_25-36.pdf Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

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Instructions for use

Title オバマ政権以降における米国STEM 教育関連予算の変化

Author(s) 標葉, 靖子

Citation 科学技術コミュニケーション, 23, 25-36

Issue Date 2018-07

DOI 10.14943/85367

Doc URL http://hdl.handle.net/2115/71119

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Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

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ノ ー ト

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ノート

オバマ政権以降における米国 STEM教育関連予算の変化

標葉 靖子1

Changes of Federal Investments for STEM Educationafter the Obama Administration

SHINEHA Seiko1

要旨オバマ政権(2009-2016)は,米国の科学技術イノベーション政策における重要な省庁横断的な優

先事項の一つとして STEM(Science, Technology, Engineering, and Mathematics)教育の振興を掲げ,連邦政府レベルでの STEM 教育への財政支援を積極的に行ってきた.ところが 2017 年 1 月に就任したトランプ大統領は,そうした STEM 教育推進の流れを大きく転換させるかもしれない.そこで本稿では,まずオバマ政権における STEM 教育への優先的な予算配分について概説した.その上で,2017 年 5 月にトランプ大統領が発表した 2018 年度予算教書における STEM 教育関連予算要求の詳細を確認した.トランプ予算教書では,これまでオバマ政権とは対照的に,STEM 教育関連予算が前年度比 47.1%減の大幅削減要求となっていた.上下両院の予算委員会で作成・可決された 2018 年度予算決議案では,STEM 教育関連予算の総額はいずれも前年度とほぼ変わらない水準となっているものの,当該政権が何を重視しているかがその予算案に色濃く反映されることを鑑みれば,トランプ政権が科学技術全般や STEM 教育に対してこれまでのような重点投資のビジョンを有していないことは明らかであるといえよう.日本と米国では状況が異なるものの,米国のイノベーション政策動向は日本の科学技術イノベーションならびに STEM 教育関連政策にとって参照点も多く,トランプ政権下での米国 STEM 教育関連予算の動向について,日本においても引き続き注視していく必要がある.

キーワード:科学技術政策,米国 STEM 教育,トランプ予算教書

Keywords: science and technology policy, US federal STEM education program, Trump’s budgetrequest

1. はじめにアメリカ合衆国(以下,米国という)では,連邦政府による財政支援を背景とした科学教育改革

がなされてきた.たとえば,1957 年のスプートニク・ショックを契機に連邦政府による科学教育への援助が大々的に推し進められたことが追い風となり,1960 年代の米国では優秀な科学者・技術者養成を念頭に置いた知識的学力自体の向上をも目指した科学教育のカリキュラム改革が急速に進ん

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科学技術コミュニケーション 第23号(2018) Japanese Journal of Science Communication, No.23(2018)

2017年9月26日受付 2017年12月2日受理所 属:1. 東京工業大学環境・社会理工学院イノベーション科学系連絡先:[email protected]

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だと言われている(廣野 2008).1970 年頃には国際学力調査が実施されるようになっていたが,国際理科教育調査の結果,1970-1983 年の間に,米国の小・中学生の理科の学力は向上されていないことが明らかとなった1).やがて 80 年代半ばには全米レベルで科学教育の改革を求める報告書類が相次いで公表されることとなった(丹沢 2006).こうした背景のなか作成されたのが,高校卒業時に身につけておくべき「市民の科学技術リテラシー」を提示した「プロジェクト 2061:全てのアメリカ人のための科学(Project 2061: Science for All Americans)」(1989)(Rutherford and Ahlgren1991)2) であり,初等・中等教育における科学教育スタンダードとなる「全米科学教育スタンダードNSES(National Science Education Standards)」(NRC 1996)3) である.前者は全米科学振興協会AAAS(American Association for the Advancement of Science)が,後者は理科教員の団体である全米科学教育連合学会 NSTA(National Science Teachers Associations)の要請を受けて全米研究協議会 NRC(National Research Council)が公表したものである.こうした科学教育改革の取り組みには科学者や現場の教員の努力と情熱があったことは言うまでもないが,いずれも全米科学財団NSF(National Science Foundation)など連邦政府からの財政的支援によって支えられた取り組みであった.

米国における科学教育改革について,より近年では STEM(Science, Technology, Engineering,and Mathematics)教育が注目されている.特にオバマ政権(2009-2016)下において連邦政府レベルでの STEM 教育振興がより強く推されるようになった.STEM とは,科学(Science),技術

(Technology),工学(Engineering),数学(Mathematics)の頭文字をとったもので,科学・技術・工学・数学の教育分野の総称が STEM 教育である.詳細は 2 節で後述するが,オバマ政権は科学技術イノベーション政策を重視し,なかでも重要な省庁横断的な優先事項の一つとして STEM 教育の振興を掲げ,優先的な予算配分を行なってきた(熊野 2014,千田 2013).K-12 における理数科目教育に重点が置かれた従来の科学教育と比べ,オバマ政権下の STEM 教育戦略では,高度なスキルを持った科学技術系人材や STEM 分野に精通した市民を継続的に育成すべく,就学前から初等・中等教育,博士課程修了までを含む高等教育までの幅広い段階を対象としたこと,また心理学や政策科学などの社会科学的な観点を取り入れたことなどが特徴的であった(Gonzalez and Kuenzi,2012).

ところが,2017 年 1 月 20 日に就任したトランプ大統領(Donald John Trump)は,こうした全米レベルでの STEM 教育推進の流れを大きく転換させるかもしれない.同年 5 月 23 日にトランプ政権が議会に提出した 2018 会計年度(FY2018,fiscal year,2017 年 10 月~2018 年 9 月)の予算教書では,歳出削減の方策として,STEM 教育を含む科学技術関連予算の大幅な削減提案が盛り込まれていたのである.

科学技術イノベーションや STEM 教育含む科学技術イノーション人材育成に関する米国連邦政府レベルでの政策や各種提言は,米国と日本では状況が異なるためそのまま当てはめられるわけではないものの,日本の科学技術イノベーションやその人材育成にかかわる政策を議論する上で参照すべき点は多い(千田 2013).例えば,1998 年に出された米国下院科学委員会による報告書

『Unlocking Our Future: Toward a New National Science Policy』(Committee on Science 1998)4) に登場した,基礎研究と応用研究のあいだのギャップを意味する「死の谷」という概念は,2000 年以降の日本の科学技術政策に関わる文書でも度々登場している(文部科学省 2004)5).また科学技術振興を一つの背景として日本で推し進められた大学院の拡大・重点化や科学界に競争的刺激を与えるための大学教員の任期制導入,大学から民間への技術移転を促進するための日本版バイ・ドール法などは,まさに米国モデルに沿った大学改革であった(塚原 2015).他にも科学技術イノベーションを支える人材として日本でもその導入が進められているリサーチアドミニストレーターも,事業

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開始にあたってはやはり米国を参考としている(高橋 2011).さらに近年日本では科学技術政策自体の科学化を目指した「科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」」(通称 SciREX)事業が 2011 年度より開始されているが,その背景には米国で 2005 年より開始された NSF のScience of Science and Innovation Policy(SciSIP)がある.

このように科学技術イノベーション政策において日本と米国では状況は異なりつつも一定の共通性を持っており,日本の当該政策に米国の政策動向が少なからず影響を与えてきたことは明らかである(内閣府 2017,塚原 2015).就学前から博士後期課程修了までの広い範囲を対象とした STEM教育戦略は,科学技術の専門家と一般市民との対話という意味にとどまらず,科学的知識の伝達,あるいは科学教育や理科教育,科学広報といったことも含む広義の科学コミュニケーション(標葉2016)の実践や,その実践を担う人材の育成に関わることである(齋藤・小林 2011,都築・鈴木2009,標葉 2014).これらに鑑みれば,米国における STEM 教育戦略の動向を把握しておくことは日本の科学コミュニケーション研究にとって一定の意義があると考えられる.

そこで本稿では,まず 2 節においてこれまでのオバマ政権下での STEM 教育戦略について概説する.その上で,3 節において,トランプ政権になって初めて成立した 2018 年度成立予算におけるSTEM 教育関連予算の詳細を確認するとともに,5 月に発表されたトランプ予算教書の内容との比較から,今後の米国の STEM 教育関連予算が厳しい状況に置かれるだろうことを報告する.

2. オバマ政権におけるSTEM教育戦略オバマ大統領(Barack Hussein Obama)は,1 期目の就任間もない 2009 年 4 月,全米科学アカデ

ミー NAS(National Academy of Science)年次総会に出席し,その演説の中でアメリカの科学を本来あるべき姿に取り戻すこと,また次世代の進歩・繁栄のためにも理数教育が重要であることなど,科学技術イノベーション政策および STEM 教育の重要性を強調した(The White House 2009).同年 11 月にはアメリカの STEM 教育を今後 10 年で世界トップレベルに引き上げるべく,「革新への教育(Educate to Innovate)」キャンペーンの開始が宣言された.2010 年 9 月には米国大統領科学技術諮問委員会 PCAST(President’s Council of Advisors on Science and Technology)が「準備し触発せよ:米国の未来のための STEM における K-12 教育(Prepare and Inspire: K-12 Education inScience, Technology, Engineering andMath (STEM) for America’s Future)」(PCAST 2010)と題した提言レポートを大統領に提出,さらに,2012 年 2 月には「優越を目指して取り組め:100 万人のSTEM の学位を持つ大学学部卒業生の新たな輩出(Engage to Excel: Producing One MillionAdditional College Graduate with Degrees in Science, Technology, Engineering, and Mathematics)」

(PCAST 2012)を提出している.オバマ政権では,これら 2 つの提言に基づき,具体的な数値目標のある STEM 教育関連施策が進められていくこととなった(千田 2013,科学技術政策局 OSTP

(Office of Science and Technology Policy)2014).なかでもオバマ政権下での STEM 教育関連施策に対する継続的な優先的予算配分の指針となる重要な文書の一つとして忘れてはならないのが,2013 年 5 月に関連する 12 省庁からなる国家科学技術会議 NSTC(National Science andTechnology Council)の STEM 教育委員会によって発表された「STEM 教育 5 カ年戦略計画

(Federal Science, Technology, Engineering, and Mathematics (STEM) Education 5-year StrategicPlan)」(NSTC 2013)である.STEM 教育 5 カ年戦略計画では STEM 教育への連邦政府投資の優先順位が示されており,米国は大学への入口である K-12 教育から出口である産業界の意向までを考慮した一貫性のある教育を志向すること,STEM 教育の推進にあたっては STEM 教授・学習の改善,若者・市民の STEM 教育への参加・関与の拡大,大学学部と大学院教育の改善等に留意すべきであること等,オバマ政権下での STEM 教育戦略が明記されていた.

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オバマ政権でのこうした STEM 教育への重点投資は,予算教書における STEM 教育への言及回数からもみてとることができる.米国の予算決定プロセスでは,科学技術に関連する各省庁が予算案の作成を行う際の編成方針を示す覚書として,大統領によって予算教書が発表される前年の 6~8月頃に大統領府行政管理予算局 OMB(Office of Management and Budget)と科学技術政策局OSTP 両局長連名での科学技術優先項目の共同覚書が発表される6).9 月にはこの指針に基づき各省が作成した予算案が OMB に提出され,OMB による査定や各省との交渉・調整等を経て,年明けの 1 月には最終案が確定,2 月の第一月曜日に予算教書が発表されるのが通例である.予算教書が発表されると連邦議会での審議に入り,6~9 月には両院での承認を経た予算関連法案に大統領が署名することで予算成立となる(CRDS 2015,上原 2016).税財政の立案・決定権は全て連邦議会にあるため,政権が発表する予算教書は「たたき台」に過ぎない.しかしながら,予算教書の要求は,当該政権が何を重視しているかを色濃く反映したものだと言える.表 1 は,その予算教書におけるSTEM 教育への言及に着目し,年度ごとにカウント集計したものである7).連邦政府レベルでの理数系教育関連施策への投資はブッシュ政権においてもなされていたものの(教育省 ED

(Department of Education)2007,Kuenzi 2008),予算教書本文のなかで「STEM 教育」への投資が言葉として明確に言及されるようになったのはオバマ政権に入ってからであることが分かる(表1).

米国の科学技術イノベーション政策では,基礎研究の強化やハイリスクリサーチ支援の拡大といった積極的な取り組みが進められる反面,折しも緊縮財政下にあって,予算増を伴う新規プログラムの設置は困難な状況が続いていた(遠藤 2014).さらに 2010 年の米国議会中間選挙で共和党

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表⚑ 米国政府予算教書における“STEM”出現回数の変化

※1 X年度の予算教書の対象は,X会計年度(X-1 年 10 月から X年 9月)である.※2 1996 年度以降予算教書の全文が,連邦議会に属する機関である米国政府印刷局GPO(United

States Government Publishing Office)のウェブサイトで確認することができる.※3 年度によって書式が若干異なるため,ページ数は必ずしも予算教書の総単語数を正確に表す

ものではないが,おおよそのボリュームは反映されているため参考として記した.※4 それぞれの単語の使用回数を機械的に算出した.(定義上の違いを考慮したものではない).※5 各年度の予算教書(Budget of the U.S. government)について“STEM”と“Education”で 3 語以

内の近傍検索を行い,ノイズは除外した.※6 “Science Education”で一致検索を行い,ノイズは除外した.

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が下院の過半数を占め,さらに 2014 年の中間選挙では,上下両院とも過半数が共和党となり,オバマ大統領は「ねじれ」状態での政権運営という厳しさを抱えていた.実際,連邦議会からの検査要請に応じた米国会計検査院 GAO(U.S. Government Accountability Office)8) によって,STEM 教育プログラムの重複を見直し,連邦政府レベルで支援すべきことの整理を行うべきだとする提案が繰り返しなされていた(GAO 2012;2014).そうした緊縮財政下にあって,オバマ政権が科学技術イノベーション政策の一つの柱として STEM 教育支援の重要性を予算教書のなかで強調し続けたことは,STEM 教育への投資拡大や継続性といった点で,非常に大きな意味を持っていたといえる.

政権最終年度の 2016 年,ホワイトハウスは「オバマ政権の科学技術イノベーション成果 100 選(IMPACT REPORT: 100 Examples of President Obama’s Leadership in Science, Technology, andInnovation)」(The White House 2016)を発表した.そこで挙げられた成果 100 例のうち,STEM教育および STEM 人材育成の強化に関わるものとして,10 例が挙げられている(表 2).これら成果が米国,さらには日本の科学技術イノベーションに何をもたらしたかの評価は今後の課題であり,ここではその詳細には踏み込まないが,その一部をみるだけも,オバマ政権では STEM 教育 5 カ年戦略計画に沿って,大統領府,教育省,NSF,国防総省,その他の多くの関係機関において,すべて

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表⚒ オバマ政権の科学技術イノベーション成果 100 選:STEM教育および人材育成の強化※1

※1 TheWhite House(2016)で挙げられている 100 例から,STEM教育およびSTEM人材育成の強化として挙げられている#16-25 のうち,就労支援を除いたものを抜粋し,表にまとめた.

※2 教育省が実施する公立学校改革のための教育イニシアティブの一つで,全米 50 州を対象に「教員の質と生徒の成績を上げるための最も革新的な計画を提案した州に対して,競争的補助金を与える」というものである.

※3 初等中等教育全般にかかわる教育法で,ブッシュ政権下の 2002 年に成立した「どの子も置き去りにしない法(NoChild Left Behind Act,NCLB法)」に代わるものとして制定された.詳細は巻末脚注(9)を参照されたい.

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の生徒を対象とした STEM 教育からイノベーション人材としての STEM 専門人材育成まで幅広い支援が行なわれてきたことが分かる(表 2).

オバマ政権下で米国イノベーション戦略の重要な柱の一つとして推し進められてきた STEM 教育戦略だが,こうした米国イノベーション戦略の方針はオバマ政権で初めて示された訳ではない.ブッシュ政権下の 2007 年 8 月に成立した米国の競争力強化法(COMPETES 法)10) でも科学技術関連予算の増額の必要性が言及されていた他,STEM 教育に関する条項が設けられ,幼稚園から研究者までのすべてのレベルでの STEM 分野への参加促進などがイノベーションのために必要であることが示されるなど,共和党政権下においても連邦政府レベルでの STEM 教育戦略の重要性が示されていたのである(NISTEP 2007,岡村 2011).

このようにブッシュ政権からオバマ政権へ引き継がれ,強化されてきた米国の STEM 教育への重点投資政策が今,トランプ大統領の誕生によって大きな岐路に立たされている.次節では,2017年 5 月に提出されたトランプ予算教書の中で大幅な削減対象とされた STEM 教育関連プログラムが具体的にどう扱われているのか,その詳細を確認する.

3. トランプ政権における 2018 年度 STEM教育関連予算案2017 年 1 月 20 日に大統領に就任したトランプ大統領は,3 月に予算案の骨子,さらに 5 月 23 日

には,トランプ政権としての最初の予算教書となる FY2018 予算教書を上下両院に提出した.「偉大なる米国のための新しい礎(A New Foundation For American Greatness)」と題された FY2018予算教書には,FY2027 までに財政赤字を解消するとして,今後 10 年で 3 兆 5,630 億ドルという過去最大規模の歳出削減の提案が盛り込まれていた11).その中で,オバマ時代には重点投資領域であった科学技術系予算や STEM 教育関連予算も大規模な歳出削減の対象とされた.トランプ大統領は,就任以前から科学技術や教育への連邦政府レベルでの投資について語る機会が少なく,特に明確な STEM 教育戦略は示してこなかった12).トランプ大統領の意向が不透明な中,3 月に予算骨子,5 月に予算教書が発表され,STEM 教育を含む科学技術系予算の大幅な削減方針が明らかになったのである.予算骨子および教書が発表されるや否や,AAAS や全米大学協会 AAU(Associationof American Universities)などの科学コミュニティから,中間層やマイノリティの STEM 教育への参加障壁を上げ格差を拡大してしまうこと,また基礎研究・科学技術立国としての米国の立場を危うくするものである等,多くの批判の声が上がった(Science News Staff 2017,Wolfe 2017)13).

では,2018 年度予算における STEM 教育関連予算は具体的に何が削減対象となったのだろうか.表 3 は,アメリカ物理学協会 AIP(American Institute of Physics)が米国政府印刷局 GPO の公開データから科学技術関連予算を抜粋しまとめた Federal Science Budget Tracker14) をもとに,STEM 教育関連予算(FY2017,FY2018 歳出予算案)を筆者がまとめ直したものである.なお予算項目の何を STEM 教育プログラムとしてカウントするかについて,GAO(2012,2014)による調査では,国立衛生研究所 NIH(National Institutes of Health)の教育プログラムも STEM 教育関連予算に含めてカウントしているが15),NIH の教育プログラムには医療・保健の専門人材育成にかかわる予算が多く含まれており STEM 教育と切り分けての議論が困難である.そこで本稿では,NIHの教育プログラムを含めない AIP の Federal Science Budget Tracker による STEM 教育区分を採用した.

表 3 に示すように,FY2016 実績で約 37 億ドル,FY2017 予算では約 40 億ドル(要求 39 億ドル)だった STEM 教育関連予算は,トランプ政権が提出した FY2018 予算教書では,47.1%減の 21 億ドル要求となっていた.以下,その詳細を確認する.

まず教育省 ED では,学力格差の縮小を目的とした全米レベルでの STEM イニシアティブを支

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えている主要な財政支援プログラムが廃止の対象となっている.とくに,廃止対象の一つであるthe 21st Century Community Center は,課外活動プログラムを対象とした連邦政府レベルで唯一の財源であった.また STEM 人材育成のための支援や STEM 分野へのマイノリティ参加を促すプログラムも大幅削減の対象となっている.たとえば,NSF が支援する STEM 教育研究や STEM 分野を目指す学生への支援プログラムが軒並み削減されている他,航空宇宙局 NASA(NationalAeronautics and Space Administration)では,年間 1 億ドルの予算となっていた教育局が廃止対象となっている.NASA 教育局が廃止となれば,航空・宇宙資源分野における研究開発の振興や理解増進にかかわる STEM 人材の育成やアウトリーチを支援するプロジェクト等が全て廃止されるこ

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表⚓ 連邦政府による主なSTEM教育プログラムの予算の変化

※1 AIP の Federal Science Budget Tracker の STEM Education FY2017,FY2018 歳出予算の表を元に,筆者がまとめた.「-」は当該プログラムが存在していない(開始前/前年度中に廃止が決定していた)もの,「0」は当該年度でゼロ(廃止)要求されたもの,空白は当該プログラムについての明確な言及がなされていないことを意味する.

※2 大統領予算教書での数字.※3 前年度(FY2017)成立予算と比較した増減(%).増減が 0%のもの,および該当プログラムが存在しないもの

は空欄で示している.※4 部分的/全体の予算をNSFの Research directorates から負担しているプログラムがあるため,合計が内訳と一

致しない.※5 部分的/全体の予算をNSFの Research directorates から負担しているプログラム.※6 これまで実施していたプログラムへの支援は全て廃止し,教育局をクロージングするための予算として別途計

上した数字.※7 具体的数値は示されていないものの,上院予算委員会の予算決議案では FY2017 と同程度の額をNSFに直接配

分するとされている.

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ととなる.他にも,エネルギー省 DOE(Department of Energy)や国防総省(DoD, Department ofDefense)の STEM 教育プログラム,海洋大気庁(NOAA, National Oceanic and AtmosphericAdministration)の年間 2,700 万ドルの予算となっていた教育局および教育局に関わるプログラムが廃止対象となっている(表 3).これら削減対象となったものの多くは,オバマ政権の科学技術イノベーション政策成果 100 選の中で,STEM 教育および人材育成の強化として掲げられたものであった(表 2).

米国での税財政の立案・決定権は全て連邦議会にある.したがって,米国議会の予算審議プロセス全体から見れば,政権が発表する予算教書は議会に対する要求に過ぎず,その後の予算審議に何ら拘束力を持たない.実際,予算教書提出後に上下両院のそれぞれの予算委員会が作成したFY2018 予算決議案では,それぞれ約 40 億ドル,39 億ドル(前年度成立予算比 約 0.3%減,2.1%減)と前年度とほぼ同額となっている(表 3).とはいえ,予算教書での要求は当該政権が何を重視しているかを表すものである.すなわち,トランプ政権が STEM 教育に対してこれまでのような連邦政府レベルでの重点投資のビジョンを有していないことは,当該関連予算が大幅に削減された予算教書から明らかであるといえよう16).

4. おわりに本稿では,これまでのオバマ政権下では重点投資領域とされてきたこととは一転し,トランプ政

権の 2018 年度予算教書においては,連邦政府レベルでの STEM 教育関連プログラム予算の大幅削減が提案されていたことを解説してきた.このような STEM 教育関連の連邦政府予算の削減提案について,トランプ大統領が就任する以前から,STEM 教育プログラムの重複を見直し,連邦政府レベルで支援すべきことの整理を行うべきだとする提案が米国会計検査院によってなされていたことは 2 節で述べた通りである(GAO 2012;2014).そうした提案に対して,オバマ政権は STEM 教育の重要性を強く打ち出すことでその予算を確保してきた.その経緯に鑑みれば,上下両院の予算委員会それぞれの 2018 年度予算決議案では前年度とほぼ変わらない予算決議案となっているとはいえ,トランプ予算教書における STEM 教育関連予算のあまりに大規模な削減提案は決して看過できるものではない.日本と米国では状況や背景が異なるものの,米国同様緊縮財政下にある日本の科学技術イノベーションならびに人材育成政策にとって米国のイノベーション政策動向は,1 節で述べたように参照点も多く,トランプ政権下での米国 STEM 教育関連予算の動向について,日本においても引き続き注視していく必要があるだろう.

注1) 国際理科教育調査第 1 回(1970,参加国 16 カ国)と第 2 回(1983,参加国 19 カ国)では参加国数が異

なるなど単純比較できるものではないが,米国は 4 学年(日本の小学 4 年生)での調査で 4 位から 19位に,8 学年(日本の中学 2 年生)の調査で 7 位から 9 位となっている.

2) 日本理数教育比較学会による邦訳がインターネット上で公開されている他,日本版である「Science forAll Japanese」が,平成 18 年度科学技術振興調整費の支援を受け日本学術会議と国立教育政策研究所の共同プロジェクトとして作成・公表される(科学技術の智プロジェクト 2008)など,日本の科学教育や科学リテラシー論に大きな影響を与えたプロジェクトである.

3) NSES の後継として,より近年では,「K-12 科学教育のフレームワーク」(NRC 2012,「科学に関する次世代スタンダードNGSS(Next Generation Science Standards)」(NGSS Lead States 2013a; 2013b)が公表されている.

4)『Unlocking Our Future』は,それまでのアメリカの科学技術政策の基盤となっていたヴァネヴァー・

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ブッシュの『Science: The Endless Frontier』(Bush 1945)で展開されたリニアモデルや冷戦型科学技術政策の終焉を公言した公式文書であり,基礎研究と応用研究のあいだのギャップを「死の谷」と表現しその概念を初めて用いた文献であった(小林 2017).

5) 現在も継続している競争的資金としては,例えば,科学技術振興機構の A-STEP(研究成果最適展開支援プログラム)や大学発新産業創出プログラム(https://www.jst.go.jp/start/jigyo/index.html,2017 年11 月 13 日)などがある.こうしたプログラムについて,科学技術白書では「文部科学省では、大学等における研究成果を基に将来起業が期待されるものを対象に、基礎研究と製品化開発研究との間の研究開発支援が不足している段階(いわゆる「死の谷」)の研究開発を行おうとする大学等の研究者に対して研究開発費及び事業化に向けた事業化計画作成等のマネジメント経費を助成している」(文部科学省 2004,第 3 部第 3 章第 2 節 1.(2))と記載されている.2004 年以降,2011 年版を除き,2013 年半まで「死の谷」は科学技術白書内で言及され続けている.

6) 2009 年の 8 月に発表された FY2011 予算の科学技術優先項目の覚書では,STEM 教育が 8 つの優先事項の一つとして掲げられた.以降,覚書が発表されなかった FY2013 を除き,FY2015 科学技術優先項目の覚書(OMB and OSTP 2013)に至るまで,毎年 STEM 教育が優先項目の一つとして明記されている.また,STEM 教育 5 カ年戦略計画が出されて以降の FY2016,FY2017 の覚書でも,優先項目からは外れたものの,各省庁は NSTC が作成した STEM 教育 5 カ年戦略計画と,PCAST の 2 つの報告書

(PCAT 2010; 2012)に沿って STEM 教育に投資する必要があるとの指針が示されている(CRDS 2015;OMB and OSTP 2015).

7) 1996 年度以降予算教書の全文が米国政府印刷局 GPO(United States Government Publishing Office)のウェブサイト Budget of the United States Government(https://www.govinfo.gov/app/collection/budget/,2017 年 6 月 27 日 参照)で確認することができる.

8) 米国会計検査院 GAO は,立法府附属型の最高会計検査機関であり,その検査のおよそ 90%は連邦議会からの検査要請に対応し行われている(東 2007).

9) NCLB 法は,2002 年のブッシュ大統領時に成立した教育法で,1965 年のジョンソン大統領時に公民権運動の流れを受け,教育格差の縮小を目的に制定された初等中等教育法(ESEA)の改正法である.2002 年の NCLB 法成立以降,全米共通学力基準であるコモン・コアやその到達度を測る統一テストが導入され,統一テストの結果が学校と教員の評価,連邦政府からの財政支援に結びつけられるようになるにつれ,NCLB 法の画一的な方法の限界が露呈し,多くの反対運動が起きていた.そうしたなか2015 年 10 月に超党派で成立した ESSA は,「高い基準・アカウンタビリティ・学力格差縮小」というNCLB 法の理念は維持しつつ,統一テストの実施方法やカリキュラムなどにより柔軟性を持たせたものであった(Korte 2015).

10)COMPETES 法の訳は,http://endostr.la.coocan.jp/sci-ron.AmericaCOMPETES.htm(2017 年 11 月 13日)で確認することができる.

11)一方でトランプ大統領が選挙公約としてきた「メキシコ国境の壁」には,FY2018 で 16 億ドルの費用を予算に計上し,国防費も FY2018 は前年度比 10%増に当たる 540 億ドルの増額を要求している.

12)GAO(2012,2014)による調査によれば STEM 教育プログラム予算全体に占める割合は NIH への予算が最も多い(2006 年度は,STEM 教育プログラム予算全体に占める割合が教育省 23%に対して NIH は27%).

13)選挙において,科学技術政策や STEM 教育政策が主要な議題に上がることがほとんどないことが一つの大きな理由としてあげられる.こうした状況に対して科学技術に関する政治的議論をうながす非営利団体である Science Debate.org が,AAAS をはじめとする 50 以上の関連団体・学会と共同で,選挙期間中にクリントン氏,トランプ氏を含む候補者に対して科学技術に関する 20 の質問事項を同時に送付し,その回答を一次情報としてウェブ上で公開している(Science Debate 2016).その内容を確認すれば,トランプ陣営からの回答は,クリントン陣営からの回答に比べて分量が少ないだけでなく,具体的な内容をほとんど含んでいないものであったことがわかる(CRDS 2016).なお,STEM 教育についてトランプ陣営は,教育省ではなく,地域・州の管理の下で推進すべきであると回答していた(Science

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科学技術コミュニケーション 第23号(2018) Japanese Journal of Science Communication, No.23(2018)

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Debate 2016).また,民間のシンクタンクである情報技術イノベーション財団 ITIF(InformationTechnology and Innovation Foundation)が,それぞれの候補者が,異なる時期・場面で個別の問題に対して表明した立場・政策(討論会・演説・新聞記事)を整理した報告書によれば,トランプ陣営は,「STEM分野で学位を取ってもその分野に就職していない人が多くいるのだから,STEM 人材の不足は起きていない」とさえ述べている(ITIF 2016).

14)AIP (American Institute of Physics): Federal Science Budget Tracker.(https: //www.aip.org/fyi/federal-science-budget-tracker,2017 年 9 月 26 日 参照).

15)STEM 教育に限定しない,より広範な科学技術関連予算全体に対する包括的な声明としては,大学協会・学協会・大学等による上院多数党リーダー,上院少数党リーダー,下院議長,下院民主党リーダー宛ての書簡(2017 年 5 月 24 日)(https://www.aau.edu/sites/default/files/Multi-organization-Letter-FY-2018-Research-Budget.pdf,2017 年 7 月 12 日参照)がある.また科学技術政策全体にかかわる予算教書の分析や声明等については,遠藤悟氏が運営するウェブサイト「米国の科学政策」(http://endostr.la.coocan.jp/sci-ron.home.htm#a,2017 年 7 月 12 日参照)に詳しい.

16)オバマ政権下の 2016 年に開始された「すべての人のためのコンピューターサイエンス教育(CS forAll)」イニシアチブ(表 2,#19)について,9 月 25 日にトランプ大統領が,オバマ政権での方針を引き継ぎ,STEM およびコンピューターサイエンス教育を優先するよう教育省に指示をしたと報じられている(10 月 4 日付 Science Policy News from AIP,https://www.aip.org/fyi/2017/trump-orders-education-department-prioritize-stem-computer-science-activities,2017 年 11 月 12 日参照).指示では,教育省は STEM および CS 教育へのアクセスを支援すべきだと書かれている一方で,その他の連邦政府レベルでの支援については特に言及されていない.CS for All の一部として教育省が要求した追加予算について連邦議会では予算承認されなかったことから,既存予算の枠内または州・地方行政区レベルでの取り組みが注視される.

●文献:東信男 2007: 「検査要請と米国会計検査院(GAO)」『会計検査研究』 35, 151-169.Bush, V. 1945: Science: The Endless Frontier, Washington, D.C.: GPO.千田有一 2013:「米国における科学技術人材育成戦略─科学、技術、工学、数学(STEM)分野卒業生の 100

万人増員計画─」『科学技術動向』 2013 年 1・2 月号, 17-26.Committee on Science 1998: Unlocking Our Future: Toward a New National Science Policy, Washington, D.

C.: GPO.CRDS(科学技術振興機構研究開発戦略センター)2015: 米国: 2017 年度予算の科学技術優先事項(http://

www.jst.go.jp/crds/pdf/2015/FU/US20150712.pdf, 2017 年 7 月 3 日 参照).CRDS 2016: 2016 年米国大統領候補 科学技術政策について(平成 28 年 10 月 5 日)(https://www.jst.go.

jp/crds/ pdf/2016/FU/US20161005.pdf, 2017 年 6 月 27 日参照).ED (U.S. Department of Education) 2007: Report of the Academic Competitiveness Council, Washington, D.C.,

2007(http://coalition4evidence.org/wp-content/uploads/ACC-report-final.pdf, 2017 年 6 月 26 日参照).遠藤悟 2014: 「オバマ政権下の最近の米国の科学技術政策の展開 ─第一部 緊縮財政下における研究開発優

先順位設定」『科学技術動向』 2014 年 9・10 月号, 24-29.GAO 2012: Science, Technology, Engineering, and Mathematics Education: Strategic Planning Needed to

Better Manage Overlapping Programs across Multiple Agencies, GAO-12-108, January 2012.(http://www.gao.gov/assets/590/587839.pdf, 2017 年 6 月 27 日参照).

GAO 2014: Science, Technology, Engineering, and Mathematics Education: Strategic Planning Needed toBetter Manage Overlapping Programs across Multiple Agencies, GAO-14-374, May 2014.(http://www.gao.gov/assets/670/663079.pdf, 2017 年 6 月 27 日参照).

Gonzalez, H.B., Kuenzi, J.J. 2012: Science, Technology, Engineering, and Mathematics (STEM) Education: APrimer, Congressional Research Service,(https://fas.org/sgp/crs/misc/R42642.pdf, 2017 年 11 月 9 日 参

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Japanese Journal of Science Communication, No.23(2018) 科学技術コミュニケーション 第23号(2018)

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照).廣野喜幸 2008: 「科学教育」, 藤垣・廣野編 『科学コミュニケーション論』 203-238, 東京大学出版会.ITIF (Information Technology and Innovation Foundation) 2016: Clinton vs. Trump: Comparing the

Candidates’ Positions on Technology and Innovation, September, 2016.(http://www2.itif.org/2016-clinton-vs-trump.pdf, 2017 年 6 月 27 日参照).

科学技術の智プロジェクト 2008: 総合報告書(2010 改訂), 専門部会報告書(研究代表者 北原和夫)(http://www.jst.go.jp/csc/knowledge/investigation/s4a.html, 2017 年 6 月 29 日 参照).

小林信一 2017: 「科学技術イノベーション政策の誕生とその背景」『科学技術社会論研究』 13, 48-65.Korte, G. 2015: The Every Student Succeeds Act vs. No Child Left Behind: What’s changed?, USA Today,

published 4: 25 p.m. ET Dec. 10, 2015.(https: //www. usatoday. com/story/news/politics/2015/12/10/every-student-succeeds-act-vs-no-child-left-behind-whats-changed/77088780/, 2017 年 7 月 4 日 参照).

Kuenzi, J. J. 2008: Science, Technology, Engineering, and Mathematics (STEM) Education: Background,Federal Policy, and Legislative Action. Congressional Research Service Report. Paper 35.(https://fas.org/sgp/crs/ misc/RL33434.pdf, 2017 年 6 月 27 日参照).

熊野善介 2014: 「科学技術ガバナンスと STEM 教育」『日本科学教育学会年会論文集』 38, 301-304.文部科学省 2004: 平成 16 年版科学技術白書(http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa200401/

index.html, 2017 年 11 月 13 日参照).内閣府 2017: 科学技術イノベーション総合戦略 2017(http://www8.cao.go.jp/cstp/sogosenryaku/2017.html,

2017 年 6 月 29 日参照).NGSS Lead States 2013a: Next Generation Science Standards: For States, By States Vol. 1, National

Academies Press.NGSS Lead States 2013b: Next Generation Science Standards: For States, By States Vol. 2, National

Academies Press.NISTEP 2007: 「米国で America COMPETES 法が成立」『科学技術動向』 79, 7.NRC (National Research Council) 1996: National Science Education Standards, National Academies Press.(長

洲南海男 監修, 熊野善介 他訳(2001): 全米科学教育スタンダード: アメリカ科学教育の未来を展望する,松戸, 梓出版社).

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Plan,(http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/stem_stratplan_2013.pdf, 2017 年7 月 11 日 参照).

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OSTP 2014: Preparing Americans with 21st Century Skills Science, Technology, Engineering, andMathematics (STEM) Education in the 2015 Budget(http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/fy_2015_stem_ed.pdf, 2017 年 7 月 11 日 参照).

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PCAST 2010: Prepare and Inspire: K-12 Education in Science, Technology, Engineering and Math (STEM) forAmerica’s Future,(http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/pcast-stemed-report.pdf, 2017 年 7 月 11 日参照).

PCAST 2012: Engage to Excel: Producing One Million Additional College Graduate with Degrees in Science,Technology, Engineering, and Mathematics,(http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/pcast-executive-report-final_2-13-12.pdf, 2017 年 7 月 11 日 参照).

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科学技術コミュニケーション 第23号(2018) Japanese Journal of Science Communication, No.23(2018)

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齋藤芳子・小林信一 2011: 「博士がキャリアを展開するための大学等におけるスキルトレーニング」『第 26回研究・技術計画学会 年次学術大会講演要旨集』 264-267.(http://hdl.handle.net/10119/10116, 2017 年11 月 13 日 参照).

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標葉隆馬 2016:「政策的議論の経緯から見る科学コミュニケーションのこれまでとその課題」『コミュニケーション紀要』 27, 13-29.

標葉靖子 2014:「米国における科学, 技術, 工学, 数学(STEM)分野大学院生への科学コミュニケーショントレーニングの取り組み ~AAAS2014 年次大会報告事例からの日本への示唆」『科学技術コミュニケーション』 16, 45-55.

高橋真木子(2011)「リサーチアドミニストレーターの日本での発足及び定着に向けて」科学技術・学術審議会 産業連携・地域支援部会 産学官連携推進委員会(第 5 回)(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu16/001/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2011/10/03/1310035_3.pdf, 2017 年 11 月 12 日参照).

丹沢哲郎 2006: 「アメリカにおける科学的リテラシー論の過去と現在」, 国立教育政策研究所『「科学技術リテラシー構築のための調査研究」報告書 II』, 1-9.

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上原啓一 2016: 「米国の予算編成に係る調査機関の役割~米国における財政及び予算制度に関する実情調査~」『経済のプリズム』149, 1-18.

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Japanese Journal of Science Communication, No.23(2018) 科学技術コミュニケーション 第23号(2018)