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〔千葉医会誌 ⠱㤶㜩 㐶6,⸮⸮⸮大動脈粥状硬化症と内分泌腺 ζ とに甲状腺変化との関係 千葉大学医学部病理学教室⢎瞓놑 ь沽妋뎎 副島秀夫 䡉䑅传 协䕊䥍䄠 ⢏몘愠 9 日受付) ㄮ緒言 䥉. 材料および方法 䤮検索結果 甲状腺の変化 各年代別における変化とおのおのの 小括 甲状腺の変化の総括 大動脈粥状硬化症と年令との関係 男性例 女性例 小括 年代別に見た甲状腺の変化と大動脈粥 ㄮ緒 動脈硬化症,ことに動脈の粥状硬化症はかつては年令 と関連して起こる一種の老人性疾患と考えられていた。 しかしながらその後若年者にも本症が認められる事実が 注目されてきた ㌱) 。この事から本症は年令と関連した動 脈における不可避的な病変であるとはいい難いことを示 している。その発生要因としては脂肪代謝異常が重要視 されるがそのほかに遺伝性要因,食餌性要因,局所性要 因,神経性要因および内分泌性の要因等が挙げられてい る。 これらのうち形態学的に追究の可能なものとしては動 状硬化症との関係 甲状腺および唾液腺の変化と大動脈中 膜の弾力線維との関係 甲状腺の変化と中膜の弾力線維変性 との関係 唾液腺,ことに耳下腺の変化と中膜 の弾力線維との関係 小括 䥖. 考案 結論 文献 附図 脈壁内における脂質の沈着の異常,局所の一定の病変, 内分泌臓器の病変が挙げられるであろう。このうち甲状 腺と本症との関係については 䕩獥汳扥牧 㠹5 年⦏箈ネ 来,古くから数多くの研究がある。本研究では,剖検例 を用いて形態学的に両者の関係を検索した。 日. 材料および方法 検索した材料は千葉大学医学部病理学教室で ㄹ㔶 より ㄹ㘶 年までに剖検された症例より無作為的に を選んで、用いた。材料とした症例は表 l および表 2 のご とくである。 表ㄮ検索材料一覧表 喜安全理号 1 剖検番号 1 年令 1 1 1 g 1 病理解剖学的所見 k 心重 ㄠ䤠 㤭㘱 䤠ㄹ ㄵ㘠䤠㌴ 䤠㈳〠 右前頭措吋究明部軟脳膜下血+ キルセン氏術後 ⺗벑꒔碂ꒂ슌戟䎋䎊잎碔碉梶C 血性 勝脱炎⢔碉株嶓 潔몏澌戟l I I I ㄵㄠ I …ング航組問〉吋血 守的よぴ岡崎部 ㈠䤠 ㄷ㘱 䤠ㄳ ㄵㄠ䤠㌰ 䤠ㄷ〠 組血,織感ㄮ染左牌鎖骨⠱ 5 0 ,骨 髄全線身維貧 左心室大豆大心筋出 ㌠尠 ωⴶ㉜ 岁訠 I ㄶ㈠尠㐸 尠ㄹ㔠 岊䪑릏pE の状態十大脳の問調妹膜下出血 ㄮ心外膜下 出血, カタル性胃炎, 膜下出血

| I 230 · 467 . 4 7 . ョャdサヌニェBC アニノbBマサニフヨW. 25020264AO14310042260357878094. 111111111111mill--[lili--[11111. ォ. gキ フdハdハ| a 理

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〔千葉医会誌� (1967)43,466,......497]

大動脈粥状硬化症と内分泌腺�

ζ とに甲状腺変化との関係

千葉大学医学部病理学教室(指導滝沢延次郎教授)

副 島秀夫�

HIDEO SOEJIMA

(昭和 42年� 9月27日受付)

目�

1. 緒 言 �

II. 材料および方法�

III.検索結果

1) 甲状腺の変化

A. 各年代別における変化とおのおのの

小括�

B. 甲状腺の変化の総括�

2) 大動脈粥状硬化症と年令との関係�

A. 男性例�

B. 女性例�

C. 小括�

3) 年代別に見た甲状腺の変化と大動脈粥

1.緒 言

動脈硬化症,ことに動脈の粥状硬化症はかつては年令

と関連して起こる一種の老人性疾患と考えられていた。

しかしながらその後若年者にも本症が認められる事実が

注目されてきた31)。この事から本症は年令と関連した動

脈における不可避的な病変であるとはいい難いことを示

している。その発生要因としては脂肪代謝異常が重要視

されるがそのほかに遺伝性要因,食餌性要因,局所性要

因,神経性要因および内分泌性の要因等が挙げられてい

る。

これらのうち形態学的に追究の可能なものとしては動

状硬化症との関係�

4) 甲状腺および唾液腺の変化と大動脈中

膜の弾力線維との関係�

A. 甲状腺の変化と中膜の弾力線維変性

との関係�

B. 唾液腺,ことに耳下腺の変化と中膜

の弾力線維との関係�

C. 小括�

IV.考案�

V.結論

文献

附図

脈壁内における脂質の沈着の異常,局所の一定の病変,

内分泌臓器の病変が挙げられるであろう。このうち甲状

腺と本症との関係については� Eiselsberg (1895年)旬以

来,古くから数多くの研究がある。本研究では,剖検例

を用いて形態学的に両者の関係を検索した。

日. 材料および方法

検索した材料は千葉大学医学部病理学教室で� 1956年

より� 1966年までに剖検された症例より無作為的に� 95例

を選んで、用いた。材料とした症例は表� lおよび表� 2のご

とくである。

表1.検 索 材 料 一 覧 表

喜安全理号� 1剖検番号� 1年令� 1性� 1身長� 1体重� g量1 病理解剖学的所見cm k:1心重�

1 I 9-61 I 19 合� 156 I 34 I 230 右前頭措吋究明部軟脳膜下血+||| |1 l 11 1 11 キルセン氏術後 .両側肺うつ血,気管支肺炎, 血性勝脱炎(肺炎脳軟膜下出血〕

I13 I15 I151 I30 I … ング航組問〉吋血守的よぴ岡崎部2 I 170-61 I 13 合� 151 I 30 I 170 組血,織3.感1.染左牌鎖骨(15硬0化g),骨4.髄全線身維貧イ 左心室大豆大心筋出�

3 ¥ ω-62¥ 15 ¥♀ I162 ¥ 48 ¥ 195 ¥開損術Eの状態十大脳の問調妹膜下出血 1.心外膜下出血, カタル性胃炎, 膜下出血

Page 2: | I 230 · 467 . 4 7 . ョャdサヌニェBC アニノbBマサニフヨW. 25020264AO14310042260357878094. 111111111111mill--[lili--[11111. ォ. gキ フdハdハ| a 理

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大動脈粥状硬化症と内分泌腺, ことに甲状腺変化との関係

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病 理 解 音U 学 的 所 見Cロ1 kg Ig I

29 合 65 1 360 1脳腫脹(神経細胞腫脹+気管支肺炎〉� l.左心室肥大, 2.胃

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| |粘膜下点状出血, 3.牌うつ血| 岬(悶脈前下行問七血栓附� l うつ血性肝� 5 28 60合� 580 1硬変厄� 2 吋維化� 3 大 動 附 症 � 4 両 肺 褐叩

と睦水症�

I330 Iネフローゼ症候群を伴った亜慢性糸球体腎炎+尿毒症 l.オ6 20 47♀ ニオンスキン病変のある牌炎�

I460 I小脳虫部の血管腫+出血,� 1 胸腺リンパ体質,� 2 肝脂肪化25 76合(中枢神経死〉

1 1直 恥腺癌)[臓器〕腹膜牌骨髄左尿管〔リンパ節〕8 22 40 150150 I後腹膜。l.左肺中葉劉出術後。右肺下葉結核巣,� 2.圧迫性合�

|脊髄炎, 3.左腎孟腎炎

重症筋無力症(全身骨格筋萎縮,胸腺腫摘出術後状態)� l.心 22 ♀

唱� 4.耳36.51 190 1萎縮(190g),2.肺うつ血,出血,� 3.牌腫大(120g),

| |下腺萎縮(窒息,呼吸衰弱〉

I540 I僧帽弁癒痕性狭窄による心拡張性肥大特岬心房の拡張,10 29 ♀唱� 37

1.諸臓器の慢性うつ血と硬化,� 2.胸腺残存�

I210 I ト川ソン氏術後)� 1 両~u~~~…tom (左橋角部胡桃大側下葉気管支肺炎,� 2.肝黄痘,� 3.胃びらん,� 4.声門水腫�

11 27 40合�

l lMe吋叫ma叫� num (tiiWml:葉原発一部劇除 305 1後)C臓器〕全硬脳膜,脳底部,12 21 62合 1.右下葉気管支肺炎,� 2.肝

|細胞粘液変性(術後性肺炎〉

I200 I悪性胸腺腫,� 1右肺摘出,胸腺摘出術後状態 〔臓器〕肝,13 29 59合|牌,H華,左肺, l.肝黄痘, 2.心褐色萎縮�

l240 I右肺大葉性肺炎,14 34 41合 1 脳腫脹,� 2 食道炎,� 3 感染牌�

I240 I空洞性肺結核症+空洞出血目,下葉巨大空洞より) 1 線

|15 38 34合 維性癒着性胸膜炎,� 2.軽度大動脈粥状硬化,� 3.血性胃内容�

直腸癌術後開〔鵬〕直腸跨脱廻腸空腸横隔膜〔リ16 35 37合 叫 パ 節 〕 後 腹 膜 同 脈 腸 間 膜 傍 胃 肝 門 部町�

1.心褐色萎縮,� 2.肝黄痘,� 3.牌血鉄症�

I230 I両側空洞性肺結核症,� 1 廻腸末端結核結節,� 2 右肺下葉巣17 36 35♀ 状肺炎,� 3.右心室拡張,� 4.肉ずく肝,� 5.感染牌�

I200 平滑筋肉腫(結腸壁原発?)[臓器〕右心筋,肺,肝,腎, X" , 唱� 18 37 合� 55

|XII胸椎。〔リンパ節〕後腹膜,� 1心褐色萎縮,� 2気管支炎�

I490 ¥僧帽弁狭窄症術後状態(僧帽弁切開術) 1 心拡張性肥大(右19 32 47合 室)490 g.線維素性心外膜炎,� 2.肺,肝,牌,慢性うつ血�

I200 ¥第 2-7頚髄の謬腫(希突起穆腫)� 1 圧迫性頚部脊髄炎,延20 31 30♀ 髄下部錐体路の脱髄,� 2.偽膜性勝脱炎

lm 食道癌再発(扇平上皮癌)+腕頭動脈外傷性出血, [臓器〕宇21 40 35合 |部より前縦隔軟部組織, 1両側肺の血液吸引状態,� 2 肝貧�

¥ 400 I醇癌(頭部切除後状態)+全身うつ血,� 1 肉ずく肝,� 2 肺う22

24

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|2 感染牌,� 3 腎潤濁腫脹,� 4 胃大轡部ピラン(感染死〉�

い叫十二指腸潰蕩手術後壊死性出血性腸炎,� 1 前縦隔洞,腸間膜|白d お|出血,� 2.線維素性心嚢炎,� 3.肝の散在性巣状壊死�

¥ 190 ¥黒色癌腫(大腿部,左膝,切断術後状態) [臓器〕肺,肝,|心嚢,腎,副腎,皮膚, [リンパ節〕鼠腹部,傍気管

1 250 1胃癌間態(単伽化膿性即時肝〔リンパ250 I節〕後腹膜, ウイルヒョウ,傍気管, l.両側下葉巣状肺炎

|2.感染牌

叫大動向破綻即よび壊痘即l乙吋…も付ωとMづく)+大� l 食道癌� ωげ山山1ソ山日/ん3

出血�

骨,�

48

48

37

30

55 つ血,� 3.腔水症

|260 胆石症術後(胆嚢摘出術後)+肝下面部膿蕩,� 1 肝ジストマ,38

28

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咽�

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¥ 190 ¥圧迫性脊髄炎(頚椎々間板ヘルニアによる) 1 結核性初期変化群(肺),� 2.腎砂,� 3.腸脱炎,� 4.膝蓋骨の潰湯�

33.51 220 1尿道癌(扇平上皮癌〉による左側宰丸陰茎摘出,跨脱,直腸� | |吻合術後の状態+腎孟腎炎, l.出血性胃炎, 2.牌萎縮

川心肝,褐色萎縮� 2 脊髄白質萎縮� 3 牌血鉄症� 4 腹� l 直昨ー癌骨盤町一〉腕(一)

水� (450 cc)

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¥ 395 1 続発性萎縮腎,� 1 左心室肥大,線維素性心膜炎,� 2 肺, ぅ

I430 I続発性萎縮腎+慢性腎孟腎炎,� 1 心拡張性肥大,躍斑,� 2 両

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う血浮腫,� 3.肝,牌うつ血,� 4.胃粘膜下出血,� 5.全身貧血�

59 肺うつ血浮腫.� 3.胃腸粘膜下浮腫,� 4.脳腫脹,� 5.肝血管腫�

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468 副島秀夫

病理解剖学的所見�

I I大動脈弁および僧帽弁の狭窄,閉鎖不全(心� 490g)+冠動脈

体重|心重量� kg 1 g

3 6犯 433|白一」ベ� 1 490 1硬化, 1.両肺うつ血, 2.続発性萎縮腎およびうつ血,� 3.高|度大動脈硬化

67 I4ω|下部食道癌〈扇平上皮癌) [リンパ節〕傍気管,右肺門部,|1.肝うつ血脂肪化, 2.両肺うつ血,� 3.脳腫脹�

46 I210 I倖体部癌〔臓器〕肝,副腎,牌,癌性腹膜炎, 1.肝黄痘, |2.胃粘膜びらん,� 3.廻腸末端小潰蕩,� 4.肺浮腫�

合戸司 61 I390 I両側腎の高度発育不全(左 70g.右 40g)+亜急性腎孟腎炎,|1.腎孟,尿管,勝腕の著明な拡張, 2.肝のうつ血硬化,浮腫�

58 1 400 1心拡張性肥大,左室壁,左室乳頭筋の線維化巣, 1.両側肺高|度うつ血,浮腫,うつ血硬化および線維化, 2.肝うつ血硬化

|胃癌(噴門部単純癌) [臓器〕陣頭部,肝両側副腎,左胸膜, 6 5012…弱� 合|刈1 5 1 300 1硬脳膜, [リンパ節〕傍気管,肺門,ウイルヒョウ,後腹膜,

|1.内脳水腫(1400g)38犯�

39 51犯� 115…|卜�

4引1 1 白ベ 位42 1 m-62位ペ� 5

7 一一6211 幻�

4必3 1…ベ1 臼55

6珂5

46 1 刊山…一一判位引6211 幻57

伺� -62

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合|日合凶

|虫垂癌(腺癌) [臓器〕肝,癌性腹膜炎, [リンパ節〕肝門,左 35 1 170 1肺門,後腹膜,腸間膜, 1.壊痘性食道炎, 2.牌萎縮,� 3.腹

|水 (500cc)

58 1 620 I動脈癌,肺動脈起始部, 1.心拡張性肥大,右室肥大, 2.両|肺うつ血, 3.牌うつ血,� 4.肝潤濁,� 5.両腎うつ血,浮腫�

1)捧臓癌(腺癌)[臓器〕胃,右肺,肝骨盤,腹膜, [リンパ節〕 40 1 190 1傍醇,傍胃,後腹膜, ウイルヒョウ, 1.肺結核症, 2.心肝

|褐色萎縮

|肺癌(左肺上葉,手掌大,扇平上皮癌〕左癌性胸膜炎〔臓器〕 44 1 310 1右肺,小脳左半球,両腎,第� l胸椎, [リンパ節〕傍気管,肺

|門,傍大動脈, ウイルヒョウ,後腹膜

|食道癌術後再発(食道切除,食道胃吻合術後の状態) [臓器〕

合� l叫3012901左肺下葉肋膜下,左肺下葉横隔膜面, [リンパ節〕気管分岐|部,傍気管,右鎖骨上, 1.腸管の出血性硬塞

♀戸可

合|叶合� E

4613001壊死後性肝硬変症+胆石症+化膿性腹膜炎, 1.牌線維症, |2.胆嚢痩設置後,� 3.慢性円型胃潰虜�

53 1 320 1大動脈弓部偽性大動脈癌,右肺上葉石灰化巣,大動脈弓部リ|ンパ節の結核性病変による大動脈壁の崩壊(失血死〉

|肺癌(右肺下葉扇平上皮癌) [臓器〕両肺,胸膜,腎,肩甲 38 1 190 1骨, [リンパ節〕肺門,縦隔澗, 1.肺気腫, 2.腎髄質線維腫�

|3.心褐色萎縮�

39 1 270 1食道癌,気管支肺炎, 1.硬脳膜および脳実質の点状出血, 12.多発性胃出血と胃びらん�

38 1 160 1胃癌(胃部分摘出術後,単純癌)腹膜(腹水� 2500cc),1.右|肺白霊化結核病巣, 2.左総腸骨静脈の器質化血栓�

41 1 225 1左側頭葉髄膜腫(術後)+融合性気管支肺炎, 1.硬脳膜下出|血(術後性), 2.肝,腎うつ血,� 3.官十二指腸びらん�

32 1 250 1皮膚癌再発(左頭部届平上皮癌) [臓器〕左頚部組織, 1.左|頚部潰蕩, 2.肝萎縮,� 3.大動脈硬化�

43 1 200 1虫垂癌(腺癌) [臓器〕肺,肝, [リンパ節〕腸間膜,腰部,|胃周囲,傍気管, 1.心肝,褐色萎縮

57 I400 I左室心筋硬塞+陰嚢癌,章丸摘除術後状態(扇平上皮癌)|1.前立腺肥大, 2.肝,腎の潤濁腫脹,� 3.慢性胃炎

|弓部大動脈癒(人工血管設置後:併合性硬化) 1.出血性線

♀|叶5弘4 I1 I臼6

4 合 I160 I4o一� 49 1 440 1維素性心嚢炎,縦隔血腫,� 2.左血胸,左無気肺,右肺うつ血5臼3 1 9666--tiIイ|卜叶い一叫日山1154

|浮腫

I220 I胃癌(胃切除術吋),� 1肝,牌腫脹,� 2 腎うつ血

|胃癌(胃部分切除術後状態,腺癌)+術後の穿孔による線維性合|日86ω 55 1 1臼� …

1一� 230 1線維素性化膿性腹膜炎, 1.両側浸出性胸膜炎, 2.左肺うつ

|血性肺水腫

IMyocard Schwille 心筋併臆(左室鳩卵大)+心拡張性肥大

合|叫 770 1 (770g),1.動脈硬化性腎不全, 2.肝,牌うつ血硬化,� 3.右|肺下葉出血性硬塞56 162

86ω 11山一57 1幻� ♀同

5臼9 1 611 … ♀|叫

|肺癌(左上葉:人頭大:角化扇平上皮癌) [臓器〕胸膜,上部 220 1縦隔洞,腕頭静脈内腫癌血栓, 1.左胸水 (2400cc),左無気

|肺, 2.心褐色萎縮,� 3.胃小聾部線状潰蕩�

280 I書道癌(術後状態)+穿孔性肺膿蕩,� 1縦隔洞炎,� 2 左肺膿�

11跨脱乳噛腫+左膿腎症性萎縮腎(左腎摘出術後) 1.左心肥 420 1大,� 2.肺� 5つ血浮腫,� 3.胃小警部栂指頭大潰湯,� 4.十二指

|腸憩室

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1

1

469 大動脈粥状硬化症と内分泌腺,ことに甲状腺変化との関係�

|身長|体重|ほ量|器|引間司年令� c~ Ikgl'u'g~1 病理解剖学的所見

胆管癌(胆嚢胆管原発:円柱上皮癌) [臓器〕肝,胸膜〔リン

1 62 ♀ I147 I35 I260 Iパ節〕肝門,傍膳,傍胃,肺門,傍気管,鎖骨上富,後腹膜,6o 11…| 1 1.うつ滞性黄痘, 2.細動脈硬化性腎萎縮�

I 胃癌(幽門部硬性癌)転移(一), 1.肺うつ血浮腫,結核性 60 ♀ I 143 I 35 1 225 1石灰化巣,� 2.肝褐色萎縮,� 3.心筋併臆,冠動脈硬化,� 4.全�

61 1 1 1 , ,身麻揮

臼…

胃穿通性潰湯+潰蕩辺縁癌化, [リンパ節〕傍胃,腸間膜,62 1 仙山……621 侃6

8 合� | 1 157 1 37 1 320 1

血管腫"1.胃出血,

5.2.肺気腫

左レンズ核脳軟化巣,� 3.小脳出血,� 4.前立腺臼ペ� - 1 1脳出血(左内包,右レンズ核), 1.大動脈硬化症と剥離性大

7 合 I138 I46 I380 I動脈癌,� 2.脳底動脈硬化症,� 3.動脈硬化性求心性心肥大,…胆嚢乳頭状腫脹5.動脈硬化性腎萎縮,.14,. 6

1 幻63 1 1臼�

♀ I150 I35 I470 I脳底動脈硬化+脳実質萎縮, 1.左心室求心性心肥大, 併臆� | 1 '"''"' 1 1形成,� 2.混合性大動脈硬化,� 3.動脈硬化性腎萎縮./V

合 I157 I48 I400 I腹部大動脈癌破綻,� 1心拡張性肥大,� 2 腎萎縮,� 3 線維性� | 1 .~ 1 .vv 1胸膜炎,� 4.脳浮腫(失血死)

合� 1155

1ω1 280 Ir三官官碕122宅福IZTぶ3fkヤf品張合 I160 I52 I290 I胃癌(単純癌)+癌穿通, [臓器〕大網,限局性癌性腹膜炎,

.VV1 1 1 ~'"'V 11.癒着性心膜,� 2.動脈硬化性萎縮腎,� 3.高度大動脈硬化症

68 日� 21 67 合 I159 I39 I320 I胃癌(腺癌)C臓器〕肝,腹膜,� cリンパ節〕胃周囲,傍騨,後印� 1 7

| 1 '"''"' 1 ,",~vl 腹膜, 1.肺,肝,腎うつ血, 2.気管支炎,� 3.腹水� (300cc)

合 I159 I53 I425 I剥離性腹部大動脈癌破裂,� 1後腹膜血腫,� 2 高度大動脈粥� | 1 v v 1 .~v 1状硬化,冠動脈硬化,心拡張性肥大,� 3.動脈硬化性腎萎縮

1 520 7.警護伊野生品官1 音�

1 胃癌(小轡部,手拳大,乳頭状腺癌), 肝転移巣の破裂によ

合� |1691 62

64一1

bA-右血胸(捌叫� 2 右心�

I 右上葉肺癌術後(扇平上皮癌)� Cリンパ節〕傍気管,慢性骨髄性白血病(膿様髄,肝,牌リンパ節腫大),420!54.51I160 I合2 7η 1.空腸潰虜,

2 1一1 臼6 1 12.心求心性肥大

乃�

乃�

73

74

合� 1 185 1 61.5 1 380 1る出血, 1.左肺下葉の気管支肺炎, 2.大動脈硬化症,� 3.左� 7η1 1 | 股静脈血栓形成�

亀裂性大動脈癌(大動脈起始部),大動脈弁閉鎖不全, 1.高11日1叫� 6ωO 合� 1 158 1 45 I480 I度心拡張性肥大, 心筋内昨腿形成,� 2.線維性心外膜炎,� 3.

| 肺気腫(心臓死)

肺癌(左肺尖部, 腺癌) [臓器〕胸膜(胸水 1360cc), 肝�

66 ♀ I160 I53 I295 I1.胆石症,コレステリン石色素石 16コ,� 2.甲状腺腫,� 3.子…“1 | 官筋腫�

1 ヘパトーム(肝右葉,硬変症を伴わず) (臓器〕胆嚢,左右 却叫イ 68 ♀ 1 144 I40.5 1 340 1副腎,横隔膜,心外膜,両肺,両腎,牒,甲状腺,大脳, [リ侃75万�

7沌6 1

| 1 ンパ節〕後椋膜,腸間膜,障問囲, ウイルヒョウ

5 6幻一一一-62 臼

ベ叫臼引621

1 1臼…一6イ177-61引l

顎下腺癌(左顎下腺および左頭部リンパ節廓清術後,腺癌),� ♀ I146 I43 I290 IC臓器〕肺,胸膜,� Cリンパ節〕両側顎下,鎖骨上窟,気管周�

| 囲, 1.両側肺空洞結核, 2.気管切開の状態

気管支癌 (扇平上皮癒:右上葉気管支分岐部小指頭大)+右合� 1 150 1 34 I210 1上,中葉気管支肺炎, (リンパ節〕気管周囲, 1.左肺浮腫,77打�

| 1 12.心肝褐色萎縮

7478

79

沌�

27η 拘� …

8剖1 113ωOイ7乃5

8ω2 ¥山 8邸3 1 ω-62臼ペ6 7O山…叫一21 河イ� 悩� 1 93-61 1 70

1 乃山621←円一寸臼� 九74 合� |160 I36 I290 1四品!市内説臨扇平上皮癌)+左肺気管支肺炎,

肺癌(燕麦細胞癌)� C臓器〕大動脈弓, 心嚢, 左心房, [リI420 Iンパ節〕気管分岐部, 1.肺壊痘,� 2. 化膿性胸膜炎, 胸水�

| I(2500 cc)

I330 I舌癌(扇平上皮癌)舌右縁の擁痕性収縮(ラドン針挿入) Cリ� 1 v'"'v 1ンパ節〕左鎖骨上窺, 1.気管支肺炎, 2.腎の多発性膿蕩�

I j慢性骨髄性白血病(白血病性骨髄), 1.肝白血病性浸潤,胆I230 I石(コレステリン石),� 2.腎白血病性浸潤,硝子滴変性,� 3.腸�

管粘膜下出血,白血病性浸潤

I360 I肺結核症+両側線維性胸膜炎,� 1肝褐色萎縮,� 2.大動脈硬� 1 1化症,� 3.胃,小腸のうつ血v V V

I リンパ肉腫,� C臓器〕肺,胃,首腸,牌,腰椎骨,届桃, (リI300 Iンパ節〕頚部,気管周囲,鎖骨上富,服窟,肘部,、肺門,肝�

門,牌門,腸間膜,腰部,そけい部

1 330 I 濁腫脹,� 2 牌髄増生,� 3 大蝶翫室戸時虫日dr)I230 I脳室出血(側脳室聞の中隔よりの出血), 1.右肺下葉気管支 1 ..vv I肺炎,� 2.動脈硬化性腎萎縮,� 3.肋膜癒着,� 4.心褐色萎縮

合� 1 160 1 47

♀ I158 I33 1 •v~ 1 vv

I 合 I155 I40

| I

合 I138 I36 | 1 '"'~

合� 1 147 1 40 | I

合� |1751 61

♀ I152 I28 1 • '"'~ 1 ~V

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470 副 島秀夫�

g| 病理解剖学的所見�

瓦戸J 420 I大脳右被殻部軟化嚢胞(脳底動脈硬化)+心筋餅腿(冠動脈硬|化), 1.大動脈粥状硬化症, 2.動脈硬化性腎萎縮(心不全)

87 I …1 74| ♀

|脳軟化症(内包部)+気管支肺炎および右肺膿蕩, 1.高度脳 400 I底動脈硬化,心肥大� (400 g),2.細動脈硬化性腎萎縮,� 3.右

|副腎腫, 4.肝萎縮� (670 g)

88 1ω-61 1 75 1 ♀ 可ー|胃癌(小響部,腺癌) C臓器〕結腸,肝,左副腎,小腸,癌�

290 I性腹膜炎,� cリンパ節〕傍胃,傍障,後腹膜, ゥイルヒヨゥ,|1.腹水 (1000 cc), (腫癌死)

89 1 I叶� 72i 合�

|肺癌(左肺上葉),左癌性胸膜炎,癌性心外膜炎, c臓器〕腎,� 430 ICリンパ節〕肺門,傍気管, 1.両肺気管支肺炎および左肺の

|壊痘性空洞, 2.肝褐色萎縮�

300 I腹部大動脈癌, 1.廻腸起始部と動脈癌壁の癒着, 2.高度大|動脈硬化症, 3.心拡張性肥大,� 4.肺気腫�

525 I脳軟化症, 1.大動脈硬化症, 2.求心性心肥大,� 3.左側結核|性萎縮腎

92 1 276-63 1 71 l合� |左腎グラヴィッツ腫蕩(乳鳴状腺癌) C臓器〕脳左前頭葉下�

260 I部,腸骨,腰椎,左肺尖部胸膜下,� Cリンバ節〕胸管内栓塞|1.牌腫大

380 I肺癌(右上葉,角化扇平上皮癌)C臓器〕肋骨, 1.心併肱形成, |2.高度大動脈硬化症,� 3.左腎驚卵大嚢胞,� 4.前立腺腺腫

|胆嚢癌(アデノカンクロイド)+肝胆管性膿蕩形成, C臓器〕� 94 1112-631 72| 合 350 I肝,十二指腸,�

13.甲状腺腫� Cリンパ節〕肝門, 1.胆石症, 2.全身黄痘,�

210 I肺結核(右肺の硬化性結核巣), 1.剥離性大動脈癌(弓部),

心重量l

1 2.慢性胃潰蕩,� 3.腎萎縮(老人性),� 4.心褐色萎縮

表� 2. 検索材料例数表エオジン染色, ワンギーソン染色,マロリー染色(アザ

年 代 | 男性例|女性例| ン変法), ワイゲJレト氏エラスチカ染色を行ない, また

210 才 代�

720 才 代�

530 才 代�

40 才 代� 10

1650 才 代�

60 才 代� 15

70,...._,80才代� 14

68計

3

2

3

4

8

5

26

3 大動脈についてはホルマリン固定後ゼラチン包埋とし凍

10 結切片を作製し,ズダン� 111染色を行なった。各臓器の

7 病変の程度を分類するため一定の判定基準を作り,以下

13 の症例はいずれもその基準によって分類した。その判定

20 基準は次の表3から表6までのごとくである。

23

19 表� 4. 大動脈弾力線稚判定基準

95 基準| 大動脈中膜の弾力線維の組織学的変化�

i弾力線維日とんど変化のないもの 0

表� 3. 大動脈粥状硬化判定基準-L I太い弾力線維聞に存在する,微細な弾力線維に

基準「 大動脈の肉眼的および組織学的変化-やや乏しいもの。

+1徴細な弾力線維の明らかな変性消失。|内膜層にほとんど変化のないもの。

件 |太い弾力線維の組霧化と,その軽度の断裂。+1内膜層� lと脂肪浸j閏などあるもの。 時

+1散在町小さい粥状壊死巣のあるもの。�

|太い弾力線維の著明な粗霧化と,その穎粒状の|著明な断裂。

*1所々 d 状lζ 粥状壊死を呈するもの。� 表� 5. 甲状腺の判定基準

*1かなり広汎に広がった粥状壊死巣のあるもの。 基準| 甲 状 腺 の 組 織 学 的 変 化

|中および小櫨胞性で立方形のj慮胞上皮が多く,� 1 1 コロイドは淡明で辺歳空胞が多く,時にi慮胞新

まず大動脈については上行大動脈(起始部), 下行大 |生像あり。

動脈(弓部直下),腹部大動脈(総腸骨動脈分岐部直上〉 |大, 中および小櫨胞性で,� i慮胞上皮は立方形の� 11 ものが多く,扇平なものもあり,コロイドは濃1

より標本を作製した。同時に甲状腺,耳下腺より切片を |厚ではなく,辺縁空胞がやや目立つ。

採取した。組織標本は� 10%ホルマリン固定後, 通常の |大,中および巨大な櫨胞が混在し, i慮胞上皮は� 111 1扇平なものが多く, コロイドは濃厚で辺縁空胞

パラフィン包埋により切片を作製し,ヘマトキシリン・ |は一般に少なく櫨胞の融合像を見る。

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471 大動脈粥状硬化症と内分泌腺,ことに甲状腺変化との関係�

表� 6. 王 手 下 腺 の 判 定 基 準

基準| 耳下腺線条部の組織学的変化�

l線条部上皮細胞は円柱状で核配列整。

|線条部上皮細胞は一般に円柱状であるが,その土� 1核の配列の不整,あるいは濃縮像を呈する細胞

|が混在してみられるもの。

+1線条部上皮細胞は立方状で核配列不整,多層性,|あるいは変性像が見られる。

件 |線条部上皮細胞は変性強く,一部の線条部の嚢 l状拡張がある。

*1線条部上皮細胞は著しい変性を呈し,多くの線� l条部は嚢状拡張を呈する。�

111. 検索結果�

1) 甲状腺の変化�

A. 各年代別における変化とおのおのの小括�

10才代:�

9-61 (甲状腺重量 25g);かなり巨大なものから中等

大までの鴻胞が見られ,小型のi慮胞はほとんど見られ

ず,� i慮胞内 lζ はエオジンに濃染するコロイドが充満し,

わずかの辺縁空胞が見られる程度である。� i慮胞上皮は多

くは盾平で,所々に立方状のものを混じている。乙のコ

ロイドはマロリー染色で中等大のものは赤紫色であり,

それ以上の径を示すものは赤染している。(判定I1I)

170-61 (14.5 g);鴻胞は中等大より小型のものまで

あり,コロイドはエオジンに比較的淡染し,辺縁空胞は

軽度に認められる。櫨胞上皮は一般に立方状である。マ

ロリー染色でコロイドは淡赤紫色に染色される。(判定�

1)

149-62 (20 g);漉胞は中等大より小型のものまで見

られ,かなり巨大なものが混じている。コロイドはエオ

ジンに濃染するものが多く,少数のマロリーに青染する

ものを除いて多くは同染色法で赤染し,辺縁空胞はわず

かに認められる程度で, 乙の青染するコロイドは小型の

ものに多いが,中等大の同大の鴻胞の聞でも赤染するも

のと青染するものとがある。上皮は一般に立方状のもの

が多く,屑平な上皮も混在して見られる。(判定� 1)

10才代小括;少数例ではあるが, 櫨胞上皮のほとん

ど立方状のもの� l例,立方状および肩平状のものが混じ

たもの 2例であり,櫨胞は 2例が中等大以下であるが,�

l例に巨大なものを有している。コロイドは概してエオ

ジンに濃染し,マロリー染色では赤紫色に染まるものが

多く,辺縁空胞は比較的軽度に認められている。�

20才代;�

100-61 (20 g) ;中等大ないし小型鴻胞が多く, コロ

イドは� HE染色でエオジンに濃染するが, 辺縁空胞が

目立ち, ~,慮胞上皮は立方状のものと扇平なものが混在し

ている。(判定� 11)

56-62 (24 g);櫨胞は大型および中型のものと小型

のものが約半数ずつの割合で混在し, コロイドは大型の

ものでは� HE染色で赤染されるが, 比較的小型のもの

ではエオジンで淡染し,マロリー染色ではいずれも帯赤

紫色に染色される。滴胞上皮は立方状のものから扇平の

ものまでが認められる。(判定� 11)

55-62 (15g);鴻胞は大型中型小型のものが混在し,

櫨胞上皮は立方状のものが多い, コロイドは� HE染色

で淡赤染し,マロリー染色で赤色から赤紫色のものまで

が認められる。辺縁空胞は軽度に認められる。(判定I1)�

183-61 (15g) ;鴻胞は大型のものと中型のものが多

く,� HE染色でエオツンに濃染する。コロイドはマロリ

ー染色で赤染する。� i慮胞上皮は届平なものが多く辺縁空

胞はわずかに散見される。(判定� 111)

228-61 (20 g);大型中型櫨胞が多く, コロイドは�

HE染色でエオジンに淡染し,マロリー染色では赤紫色

調を呈する。� i慮胞上皮は肩平で辺縁空胞は軽度に認めら

れる。(判定� 111)

131--61 (12g) ;漉胞は巨大なものから中等大までの

ものが大部分で,t慮胞上皮は扇平なものから立方状のも

のが混在し,コロイドは� HE染色で赤染し,マロリー染

色で中等大のi慮胞は赤紫色に大型のものは赤色が強い。

辺縁空胞は中等大のものに少数見られる。(判定� 111)

36-62 (23 g);大中漏胞性で, コロイドは大型の漉

胞では� HE染色で濃赤染し, マロリー染色で比較的濃

い赤色に染まり,中等大の櫨胞では赤紫色に染色され

る。� i慮胞上皮は扇平なものが多く辺縁空胞はごく少数が

見られる。(判定� 111)

137-61 (26 g) :大部分は大型の漏胞であり, 櫨胞

上皮はほとんどが盾平で, コロイドは� HE染色で赤染

し,マロリー染色で濃赤染する。(判定I1I)

167-61 (20 g);滴胞は大型のものが多く, 中型のも

のが混在する。櫨胞上皮は扇平で,コロイドは大型のも

のでは� HE染色で赤染し, マロリー染色で濃赤色 i乙染

色される。中型のものは後者で赤紫色に染色される。辺

縁空胞は中型のものに少数認められる。(判定� 111)

3-62 (23 g);大型ないし中型の鴻胞が見られ, コロ

イドは� HE染色で淡赤色調のものが多く, マロリー染

色では大型のものでは濃赤色のものが多く,中型のもの

では同染色で赤紫色のものから淡青色のものが混じてい

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472 副島秀夫

る。辺縁空胞は比較的に少なく漉胞上皮は一般に扇平で

ある。(判定� III)

20才代小括;以上を総括すると� 20代においてもすで

に漉胞上皮は扇平なものが多く,少数の立方状の上皮を

有する例も見られ,その櫨胞の大きさは� l例を除いて,

他の大部分が大型中型のものが混在している。コロイド

は� HE染色でエオツンに濃染するものが 2例あり他に

中等度に赤染し,マロリー染色では� 2例が赤染,他はい

ずれも赤紫色に染色される漉胞を有する。辺縁空胞はい

ずれも少数に認められる。�

30才代:�

79-62 (12 g) ;漏胞は巨大なものから小型のものま

であり,� HE染色で一般に淡赤染し,マロリー染色では

大型のものが濃赤色調を示し,中型のものでは淡赤色,

小型のものは淡青色調を呈する。辺縁空胞はやや目立

ち,櫨胞上皮は扇平状のものが多い。(判定� II)

53-61 (18g) ;大型のi慮胞から小型のものまでが混

在し,t慮胞上皮は一般に立方状あるいはそれに近い形を

示す。 コロイドは� HE染色で淡赤色調のものが多く,

マロリー染色で赤色調から青色を呈するものまでが混在

する。辺縁空胞は中型小型の櫨胞に比較的に多く認めら

れる。(判定� II)

113-61 (21 g) ;大型から小型のものまでの櫨胞が混

在し,i慮胞上皮は立方状のものが多い。コロイドは� HE

染色で淡赤染し, マロリー染色で大型の鴻胞は濃赤色�

κ,中,小型のものは赤紫色から淡青色までに染色され

る。辺縁空胞はかなり多数認められる。(判定� II)

25-61 (15 g) ;漉胞は大型のものから中型, 小型の

ものが混じ,� i慮胞上皮は立方状のものが多数を占める。

コロイドは� HE染色でエオヲンに濃染し, マロリー染

色では大型のものが比較的濃赤紫色K,中,小型のもの

は淡赤紫色から淡青色までに染色される。辺縁空胞は軽

度に認められる。(判定� II)

105-61 (23 g) ;大,中,小型の櫨胞がほぼ同数l乙混

じ,� i慮胞上皮は扇平から立方状のものがあり, コロイド

は� HE染色で赤染し, マロリー染色で赤染するものが

多く,間質結合織の増加が目立つ。辺縁空胞はごく軽度

に認められる。(判定� II)

87-61 (29 g) ;濡胞は巨大なものから中型のものが

多く,一部小型のものも見られる。 コロイドは� HE染

色で赤色を呈するものと淡青色を呈するものが混じ,マ

ロリ{染色でも濃赤色と淡青色が混在し,辺縁空胞は濃

赤色を呈する部lと軽度に認められる。� i慮胞上皮は扇平な

ものから立方状のものが混在する。(判定� III)

76-62 (13g) ;鴻胞は大型ないし中型で,櫨胞上皮は

扇平なものがかなり多い。 コロイドは� HE染色でエオ

ジン� l乙濃染するものから淡染するものが混じ,マロリー

染色では濃赤色から淡赤紫色を呈する。辺縁空胞はとく

軽度 l乙見られる。(判定� III)

30才代小括;� 30代を総括すると, 漉胞上皮は� 7例中�

5例は立方状の櫨胞のみからなるか,あるいは扇平な上

皮の漉胞と混じており,また大鴻胞性の� 1例を除いて中

等大,あるいは小型の漉胞が混在している。またコロイ

ドはマロリー染色で赤染するもののみからなる� I例を除

いて,他はいずれも同染色で淡青染するものが見られ

る。辺縁空胞は大部分が明瞭に見られ,その乏しいもの

は� l例のみである。�

40才代:�

263-63 (10g) ;大,中,小型櫨胞が混在し櫨胞上皮

は立方状のものが多く認められる。 コロイドは� HE染

色でエオジンに淡染し,マロリー染色では中,小型櫨胞�

i乙一部青染するものを認めるが,他はほとんど赤紫色を

呈する。辺縁空胞は中等度に認められる。(判定� 1)

41-62 (25 g) ;漉胞上皮は立方状のものが多く, 漉

胞は大,中,小型のものが均等に認められる。� HE染色

では比較的に淡赤染し,マロリー染色では淡赤紫色のも

のが多い。辺縁空胞は比較的多数l乙認められる。(判定�

II)

156--61 (30 g) ;大, 中,小型j慮胞で� HE染色で赤

色から淡青色のものまであり, マロリー染色では大型櫨

胞は濃赤染し小型のものは青紫色,中型はその中聞の色

をとる。� i慮胞上皮は立方状のものが多数認められる。辺

縁空胞は比較的多数見られる。(判定� II)

19-61 (29.3 g) ;櫨胞は,大,中小型のものが混在し,

i慮胞上皮は立方状のものが多いが� C くわずかに扇平なも

のを認める。 コロイドは� HE染色でエオジンに濃染す

る櫨胞多く,淡青色を呈するものは� C くわずかに認めら

れる。マロリー染色では濃赤色を呈するものが多い。辺

縁空胞は軽度に認める。(判定� II)

147-62 (25 g);漉胞上皮は扇平なものと立方状のも

のとを混じ,� i慮胞は大型から小型までが見られる。コロ

イドは� HE染色でエオ:;ン� lと淡染し, ヘマトキシリン

染色性もある淡赤青色をおびるものが多く,マロリー染

色では青紫色をおびる i慮胞が多く見られる。辺縁空胞は

ごくわずかである。(判定� II)

54-61 (20 g) ;大型ないし中型の櫨胞で占められ,漉

胞上皮は立方状のものが多く, コロイドは� HE染色で

エオジンに淡染するものが多く,マロリー染色では赤紫

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473 大動脈粥状硬化症と内分泌腺,ことに甲状腺変化との関係�

色を呈するものが多い。辺縁空胞は比較的多数見られ

る。(判定� II)

153-61 (11 g);櫨胞は大型中型のものが見られ, i慮

胞上皮は立方状から扇平状のものがあるが前者の方が目

立ち,� i慮胞は� HE染色でエオジンにやや濃染し, マロ

リー染色で濃赤色のものが多く,辺縁空胞はわずかであ

る。(判定� III)

58-62 (62g);大型中型櫨胞性で, HE染色で赤色調

が強く,マロリー染色では濃赤紫色調を呈するものが多

い。� i慮胞上皮は扇平で立方状のものがわずかに混在す

る。辺縁空胞は軽度に認められる。(判定� III)

33-64 (25 g);大, 中,小型i慮胞が混在し, ~.慮胞上皮

は立方状のものが多く,大, 中型i慮胞の一部l乙扇平な上

皮を認める。コロイドは一部穎粒状を呈し,� HE染色で

濃赤染し一部大型i慮抱は赤紫色を呈する。マロリー染色

では全体 i乙濃赤染する。辺縁空胞はほとんど認められな

い。(判定� III)

18-61 (19g);大型櫨胞が多く,中型のものが少数混

在する。 コロイドは� HE染色で赤紫色を呈するものが

多いが,赤色を呈するものもかなり認められる。マロリ

ー染色では全体に濃赤色のものが多い。辺縁空胞はほと

んど認められず,� i慮胞上皮はすべて盾平である。(判定�

III)

136--61 (20g) ;ほとんど大型鴻胞で櫨胞上皮は扇平

なものが多い。 コロイドは� HE染色で赤染するもの多

く, うちに赤紫色を呈するものが混在する。マロリー染

色では濃赤色を呈するものがほとんどである。辺縁空胞

は軽度に認められる。(判定� III)

171-61 (20g) ;大型鴻胞が多いが中型のものも少数

混在する。� i慮胞上皮は扇平でコロイドは� HE染色で赤

染し,マロリー染色で濃赤色を呈する。辺綾空胞は軽度

に見られる。(判定� III)

95-62 (10 g);櫨胞は巨大なものから中型のものま

でが混在し, 滴胞上皮は屑平でコロイドは� HE染色で

淡赤青色を呈するものから赤染するものまでが認められ

る。マロリー染色では赤紫色から濃赤色のものまでが混

在する。辺縁空胞は軽度に認められる。(判定III)

40才代小括;この年代では鴻胞上皮は� 13例中� 5例は

著しく扇平で,� 3例が立方状のものと混在し,� 5例が主

として立方状を呈する。扇平な上皮を示す甲状腺はいず

れも大型から中型までの大きさの漉胞を有し,他の� 6例

では小型の漏胞が混在する。コロイドはかなり濃厚でほ

とんどエオジンのみに染まる例9例,他はヘマトキシリ

ンの色をもとっている。�

50才代:�

104-61 (26g) ;ほとんどが中型漏胞で占められ, 漏

胞上皮は立方状を示す。 コロイドは� HE染色で赤青色

が強く,マロリー染色では青紫色のものが多い。辺縁空

胞は比較的多数に認められる。(判定� 1)

22-61 (22g) ;大型中型小型鴻胞性で,漏胞上皮は立

方状のものから一部円柱状のものが認められ, コロイド

は� HE染色で淡赤色のものが大部分であり, マロリー

染色では青色のものが多く認められる。辺縁空胞は軽度

に見られる。(判定� II)

132-61 (18g);浦胞は大型中型小型が混在し, i慮胞

上皮は立方状である。 コロイドは� HE染色でエオジン�

l乙赤染し,マロリー染色では赤色を呈する。辺縁空胞は

とく軽度に認められる。(判定� II)

259-63 (21 g);中, 小櫨胞性でj慮胞上皮は立方状を

呈し, コロイトは� HE染色でエオジン� l乙赤染され,マ

ロリー染色では赤染するものが多い。辺縁空胞 1はごくわ

ずかに認められる。(判定� II)

287--63 (20g) ;漉胞は巨大なものから中, 小型のも

のが混在し, コロイドはエオジンに赤染し,マロリー染

色では淡赤色を呈するものが多く認められる。� i慮胞上皮

はすべて立方状を皇し,辺縁空胞はわずかに認められ

る。(判定� II)

158-63 (10 g);中型小型の滞胞が混在し, 櫨胞上皮

は立方状を呈する。� HE染色でコロイドは赤青色を呈す

るものがかなり多く,マロリー染色では小型憶胞は淡紫

赤色を呈し,中型漏胞は淡赤色を呈する。辺縁空胞はほ

とんど認められない。(判定� II)

169-56 (22g) ;大型中型鴻胞で, 滴胞上皮は扇平状

でコロイドはマロリー染色で濃赤色を呈するものが多

く,� HE染色で赤色を呈するものがほとんどを占める。

辺縁空胞は軽度に認められる。(判定� II)

216-66 (20g);鴻胞は大,中,小型のものが混在し,�

i慮胞上皮は大型i慮胞では扇平状で中,小型i慮胞では立方

状を呈する。コロイドは� HE染色でエオジン lζ赤染し,

マロリー染色では一般に赤紫色を呈する。辺縁空胞は軽

度に見られる。(判定� II)

95-61 (23 g);巨大な櫨胞から中型i慮胞が多く一部

小型の穂胞が混在する。漉胞上皮は扇平で,コロイドは

巨大な櫨胞は� HE染色で赤色調が強く, 中型小型漏胞

は淡赤色を呈する。マロリー染色では濃赤色を呈するも

のは巨大な鴻胞で,中,小型i慮胞は淡赤色から淡赤青色

を呈する。辺縁空胞は比較的多数I乙認められる。(判定�

II)

29-62 (20g);大型中型小型の櫨胞が混在し,櫨胞上

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474 副 島秀夫

皮は立方状を呈し, コロイドは� HE染色で大型i慮胞は

エオジンに濃染し,中,小型櫨胞は淡赤色から一部淡赤

紫色を呈する。マロリー染色では全般に淡青色調を呈す

る中,小型i慮胞が多く,一部濃赤染する大型櫨胞が混在

する。辺縁空胞はごくわずかに認められる。(判定� II)

149-61 (15g) ;櫨胞は中型小型であり, 櫨胞上皮は

立方状を呈する。コロイドはエオジン� lζ淡染するものが

多く, マロリー染色では青色調を大部分の� i慮胞が呈す

る。辺縁空胞は軽度 l乙認められる。(判定� II)

111-61 (30 g) ;濡胞は巨大なものがごく一部で, 中

型,小型i慮胞が大部分を占める。鴻胞上庄は扇平でコロ

イドは� HE染色でエオヲンに赤染するものと赤青色を

呈するものとが混在し,マロリー染色では巨大な櫨胞を

除いては青染するものが大部分である。辺縁空胞はほと

んど認められない。(判定� III)

49-62 (19g);巨大な櫨胞と中等大の櫨胞で占めら

れ,i慮胞上皮は扇平で, コロイドは� HE染色でエオ汐

ンlζ濃赤染し,マロリー染色では全体に赤色調を示す。

辺縁空胞は軽度に認められる。(判定� III)

63--62 (21 g);大型中型櫨胞が認められ,纏胞上皮は

扇平なものと立方状のものとが混在する。 コロイドは�

HE染色で赤染し,マロリー染色で濃赤染するものが多

く,中型の一部に青紫色を呈するものが認められる。辺

縁空胞は軽度に認められる。(判定� III)

64-62 (22 g) ;大型中型櫨胞が混在し,コロイドはマ

ロリー染色で赤紫色を呈し,� HE染色で赤色調を呈す

る。� i慮胞上庄はすべて扇平で辺縁空胞は軽度に証明され

る。(判定� III)

155-61 (10g) ;櫨胞は巨大,小型を示し, コロイド

は� HE染色でエオヲン� lζ 赤染するものが多く, マロリ

ー染色では赤色から淡赤紫色を呈する。� i慮胞上皮は扇平

で辺縁空胞はごく軽度に認められる。(判定� III)

246-63 (18g) ;大型中型j慮胞が認められ, 漉胞上皮

は扇平状を呈する。 コロイドは� HE染色でエオジンに

赤染し,マロリー染色では赤紫色を呈する。辺縁空胞は

ごく軽度に認められる。(判定� III)

114-62 (22 g) ;巨大なものと中型の櫨胞が混在し,

i慮胞上皮は扇平なものが多い。 コロイドは� HE染色で

は青赤色が強く, マロリー染色では全体に淡青色を呈

し,一部l乙青紫色を呈する比較的大型i慮胞が認められ

る。辺縁空胞は軽度である。(判定� III)

17-62 (35 g) ;巨大な櫨胞がほとんどで大部分の漏

胞上皮は扇平状を呈する。 コロイドは� HE染色で淡赤

染し,マロリー染色では淡赤青色を呈する。辺縁空胞は

中等度 l乙認められる。(判定� III)

96-61 (24 g) ;大型の漏胞が多く認められるが一部

中型櫨胞も認められる。 コロイドは� HE染色でエオジ

ンl乙淡染する傾向が認められる。マロリー染色では赤紫

色を呈するものが多いが,大型i慮胞の一部に濃赤色を呈

するものを認める。辺縁空胞は軽度に認められ,� i慮胞上

皮はすべて扇平である。(判定� III)

50才代小括;この年代では,� 20例中� 8例は主として

立方状の櫨胞上皮よりなり,他はすべて扇平な上皮より

なる。それらの所見に対応して,櫨胞には小型のものを

含む甲状腺が 9例あり, コロイドは総じて� HE染色で

赤染するものが大部分であるが,マロリー染色では淡青

染する例が数例あり,青染の傾向と漉胞の大きさ,ある

いは上皮の性状とは必らずしも同様の傾向を示さない。

辺縁空胞についてもその乏しいもの� 3例があるが,いず

れも小型漉胞を混在する甲状腺において見られる所見で

ある。�

60才代:�

130-62 (10 g); 中型小型櫨胞が多く,� i慮胞上皮は立

方状のものが多く認められる。 コロイドは� HE染色で

エオジン� l乙淡染するものが多く,マロリー染色ではほと

んどの櫨胞が青染し, ごく一部の大型櫨胞が濃赤色を呈

する。また一部i慮胞は顎粒状を呈し,辺縁空胞はごく軽

度に認められる。(判定� 1)

105-62 (15g) ;大, 中,小型j慮胞が混在し,i慮胞上

皮は立方状のものから盾平状のものまでが認められ, コ

ロイドは� HE染色でエオジンに淡染し, マロリー染色

で青紫色を呈するものが多い。辺縁空胞は比較的多数に

認められる。(判定� II)

148-61 (15.5 g);大,中,小 j慮胞が混在し,櫨胞上皮

は立方状を呈する。 コロイドは� HE染色でエオジンに

比較的濃染するものが多く,マロリー染色では濃赤色か

ら淡青紫色を呈するものがほぼ同数l乙見られる。辺縁空

胞は軽度である。(判定� II)

99-61 (15g) ;巨大な漉胞から小型のものまでが同

数ずつ認められ,t コロイドの慮胞上皮はすべて扇平で,

大部分は� HE染色でエオジンに濃染し, マロリー染色

では濃赤色のものと赤色のものがほぼ同数混在する。辺

縁空胞は軽度に認められる。(判定� II)

125-62 (17 g);大型中型小型櫨胞が混在し, i慮胞上

皮は立方状を呈するものが多い。 コロイドは� HE染色

で淡赤染するものが多く,マロリー染色では淡赤紫色を

呈する。辺縁空胞は軽度に認められる。(判定� II)

177-61 (38 g) ;大型鴻胞が特に目立ち, 中,小型鴻

胞がその聞に混在する。� i慮胞上皮は全体 l乙立方状を呈す

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475 大動脈粥状硬化症と内分泌腺,ことに甲状腺変化との関係�

るものが多く, コロイドは� HE染色でエオジンに淡染

し,マロリー染色では全体に青紫色を呈するものが多く

認められる。辺縁空胞は中等度 i乙認める。(判定� II)

102-61 (11 g) ;大, 中, 小型i慮胞が混在し櫨胞上皮

は立方状を呈する。 コロイドは� HE染色でエオジンに

淡赤染する傾向が強く,マロリー染色で赤色調から青紫

色を呈するものが多く認められる。辺縁空胞は軽度に認

められる。(判定� II)

123-61 (25 g);巨大な櫨胞から小型のものまでが混

在し, ~,慮胞上皮はほとんどが立方状を皇し, コロイドは�

HE染色で赤染するものが多く,マロリー染色では淡赤

紫色を呈する傾向が強し、。辺縁空胞は比較的多数に認め

られる。(判定� II)

80-62 (28 g);巨大な鴻胞が一部に認められるほか,

大型から小型までの鴻胞が認められ,やや間質結合織の

増加が見られる。� i慮胞上皮は巨大なもの,大型のものは

扇平で, 他は立方状を呈する。 コロイドは� HE染色で

エオツン� l乙濃染するものから淡赤染するものまでがあ

り,マロリー染色では巨大なj慮胞が赤色調が強く,他の�

i慮胞は赤紫色が強ぐ認められる。辺縁空胞はほとんど認

められない。(判定I1)�

10-62 (28 g) ;大型中型小型櫨胞が混在し特に中型

小型鴻胞が目立つ。また間質結合織の増生があり,その

一部に円形細胞浸潤を認める。 コロイドは� HE染色で

エオジン� l乙淡染し,マロリー染色では大型滴胞が赤紫色

を呈する他はすべて青色を呈する。辺縁空胞は中等度に

認められi慮胞上皮は立方状から扇平状のものが認められ

る。(判定I1)�

239-63 (13g) ;大型中型小型の鴻胞が混在し, j慮胞

上皮は扇平状一部立方状のものが認められる。コロイド

は� HE染色で淡赤染し, 濃赤染する大型鴻胞が少数認

められる。辺縁空胞は中等度に認められ,マロリー染色

ではほとんどの鴻胞は青染し大型櫨胞の一部が濃赤染す

る。また間質結合織の増生がやや目立つ。(判定I1)�

40-59 (18 g);巨大な鴻胞から中型の櫨胞までを認

め,一部に漏胞の融合像を認める。コロイドは一部では

穎粒状を呈し,� HE染色でエオジンに淡染し,マロリー

染色では巨大浦胞は赤染し中型漉胞は淡赤紫色を呈す

る。� i慮胞上皮は扇平状のものと立方状のものが混在し,

辺縁空胞は軽度 l乙認められる。(判定I1I)

220-63 (18 g) ;巨大から中型, 小型までのi慮胞で,�

i慮胞上皮は屑平状, コロイドは� HE染色ではエオ少ン�

lζ濃染する i慮胞多く,その他l乙赤紫色から青色までの櫨

胞が混在する。マロリー染色では濃赤染するi慮胞が特l乙

多い。辺縁空胞は中等度に認められる。(判定� 111)

229-63 (16g) ;大型から中型, 小型までのi慮胞が混

在する。滞胞上皮は一部立方状を呈するが,ほとんどは

扇平状である。 コロイドは� HE染色で淡赤染するもの

が多く,マロリー染色では一部大型櫨胞が濃赤染するほ

かはすべて淡赤紫色から青色を呈する。辺縁空胞はごく

わずかに認められる。(判定� 111)

6-62 (20 g);櫨胞は大型中型で,� i慮胞上皮は扇平状,

コロイドは� HE染色ですべてエオ:;ン� l乙濃染し, マロ

リー染色では濃赤色を呈する。辺縁空胞は認められな

い。(判定� III)

160-61 (22 g);大型中型漏胞で, 浦胞上皮はすべて

扇平状を呈する。 コロイドは� HE染色で赤染するもの

が多く,マロリー染色では大部分が濃赤染する。辺縁空

胞は軽度に認められる。(判定� III)

136-63 (32 g) ;大部分の濡胞は巨大で, 一部小型漏

胞が見られる。� i慮胞上皮はすべて扇平状で, コロイドは�

HE染色でエオジンに濃染するものが多く,小型櫨胞で

は淡赤染する。マロリー染色では濃赤色から淡赤紫色を

呈するものが混在する。辺縁空胞はほとんど認められな

い。(判定� III)

15-62 (13.5 g);耀胞は大型中型を呈し,穂胞上皮は

扇平状から立方状を呈するものが混在する。コロイドは

大型櫨胞では� HE染色でエオジン� l乙濃染し, 中型i慮胞

は同染色法で淡染するものと濃染するものが混ずる。マ

ロリー染色でも同様に大型i慮胞は濃赤染し,他は青色よ

り赤紫色までを呈する。辺縁空胞は軽度に見られる。(判

定I1I)

166-61 (24 g);漏胞は大型中型で, コロイドは� HE

染色でエオジンに淡染するものが多く,マロリー染色で

いずれのi慮胞も赤色から淡赤紫色を呈する。辺縁空胞は

ごく軽度に認められ,t慮胞上皮は立方状のものと扇平状

のものが混ずる。(判定� III)

111-60 (23 g) ;大型中型櫨胞性で, 大型i慮胞は� HE

染色でエオジン� l乙濃染し,中型i慮胞は淡染するものが多

い。マロリー染色では濃赤色から青色までの色調を呈す

る。� i慮胞上皮は扇平状で辺縁空胞は軽度に認められる。

(判定I1I)

136-62 (28 g);巨大な滴胞から小型のものまでが混

在し,� i慮胞上皮は巨大浦胞は扇平状を呈するものが多い

が,小型のものでは一部立方状を呈するものも認められ

る。 コロイドは� HE染色でエオツンに濃染する巨大浦

胞と中型i慮胞が見られ,小型のものは淡染する。マロリ

ー染色で巨大穂胞は濃赤染し他は淡赤紫色から青色を呈

するものまでが認められる。辺縁空胞は軽度に認められ

る。(判定� III)

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476 副島秀夫�

28-62"(14g);大型から小型のものまでの櫨胞が見

られ, コロイドは� HE染色でエオジンに淡染するもの

が多く,マロリー染色で大型漉胞のみが赤色を呈し,そ

の他のi慮胞は赤紫色ないし青色を呈する。積胞上皮は小

型のものは立方状その他のものは扇平状を呈する。辺縁

空胞は軽度に認められる。(判定� III)

93-62 (13g) ;大型ないし中型鴻胞が多く,滴胞上皮

は立方状と扇平状を呈するものがほぼ同数認められる。

コロイドは� HE染色で淡赤染するものがほとんどで,

マロリー染色ではすべて青色を呈する。辺縁空胞は軽度

に認められる。(判定� III)

60才代小括;60才代では,� 23例中� 7例は全く扇平な

櫨胞上皮であり,� 10例は扇平状および立方状の上皮が混

在し,� 6例が立方状の上皮よりなるものである。漉胞は�

7例が巨大なものを含むが,同時に小型に至る漉胞まで

の段階が共存するものが� l例の例外を除いて� 6例に見ら

れ,櫨胞の大きさの多様性が顕著となる。他の例もいず

れも大型程度から小型に至る櫨胞を示すものが多い。コ

ロイドはほとんど大部分がエオジンに赤染するが,マロ

リー染色によると比較的赤みに乏しく,青色がまさって

いるものが 8例見られる。�

70才代以上:�

162-61 (19g);小型漉胞が特に目立ち, 中型大型穣

胞が混在する。� i慮胞上皮は立方状を呈する。コロイドは�

HE染色でエオジンに淡染するものがほとんどで,マロ

リー染色でも赤染するものが多く,大型中型櫨胞が一部

赤紫色を呈する。辺縁空胞は軽度に認められる。(判定�

11)

74-62 (25 g) ;巨大なi慮胞から小型のものまでが混

在し,巨大なものの上皮は扇平であり,小型のものは立

方状を呈する。 コロイドは一般に� HE染色でエオジン

に淡染し,マロリー染色では大型i慮胞は比較的赤色が強

く,小型のものは淡赤紫色を呈する。辺縁空胞はごく軽

度に認められる。(判定� II)

86-63 (16g);中型櫨胞が多く,一部巨大櫨胞が存在

する。 コロイドは巨大な櫨胞では� HE染色でエオジン

に濃染し,中型i慮胞は頼粒状を呈するものが多い。マロ

リー染色では巨大なものは濃赤染し,中型のものでは淡

赤紫色を呈する。濡胞上皮はほとんど扇平状であり,辺

緩空胞はほとんど認められない。(判定� II)

65-62 (18g);中型および小型鴻胞が多く, ~慮胞上皮

は肩平状から立方状を呈する。 コロイドは� HE染色で

赤染し,マロリー染色lとても赤染する漉胞が多く認めら

れる。辺縁空胞は軽度に見られる。(判定� II)

130-61 (21 g);大型, 中型および小型穏胞がほぼ同

数認められ, ~慮胞上皮は立方状から一部扇平状のものが

認められる。コロイドは� HE染色でエオジンに淡染し,

マロリー染色では大型,中型の鴻胞の一部が淡赤染し,

他はすべて青染する。辺縁空胞はほとんど認められな

い。(判定� II)

148-62 (30 g);漉胞は大型中型小型で, 濡胞上皮は

立方状のものが多く, コロイドは� HE染色でほとんど

のi慮胞が淡赤色を呈し,マロリー染色では大型中型i慮胞

の一部に淡赤染するものが認められるほかは青染する。

辺縁空胞は軽度に認められる。(判定� II)

60-62 (5 g);大型漉胞から小型櫨胞まで混在し, 漉

胞上皮は一般に立方状で, コロイドは� HE染色で淡赤

色を呈し,同色の頼粒を含むi慮胞が多く見られる。マロ

リー染色では赤色から淡赤紫色までの頼粒を含をi慮胞が

多数認められるほかは,すべて淡赤染する。辺縁空胞は�

Cく軽度に認められる。(判定� II)

93-61 (22 g);中型小型i慮胞が多く,櫨胞上皮は立方

状のものがほとんどであるが,一部円柱状を呈するもの

が混在する。コロイドは穎粒状を呈し,� HE染色で淡赤

染し,マロリー染色で赤紫色を呈する。辺縁空胞はほと

んど認められない。(判定� II)

6-64 (14g);積胞は中型および小型で, 一部大型の

ものが見られる。漉胞上皮は立方状を呈し, コロイドは�

HE染色でエオジンに赤染し,マロリー染色では赤紫色

を呈するものが多く認められる。辺縁空胞は軽度に見ら

れる。(判定� II)

8-61 (14g);濡胞は大型中型小型のものが混在し,

瀦胞上皮は一部立方状のものを認めるがほとんど扇平状

である。 コロイドは� HE染色で比較的濃赤染し, マロ

リー染色で濃赤色調を示すi慮胞がほとんどである。辺縁

空胞は軽度κ認められる。(判定� III)

62-61 (15g) ;巨大から中型の櫨胞が多く認められ,

鴻胞上皮はすべて扇平状, コロイドは� HE染色でエオ

ジンに濃染し,マロリー染色で濃赤色を呈するi慮胞がほ

とんどである。中等度 l乙辺縁空胞を認める。(判定� III)

69-61 (10g);巨大な櫨胞から中型のものまであり,

i慮胞上皮はごく一部が立方状を呈するほかすべて扇平状

を呈し, コロイドは� HE染色で淡赤染するものが多い

が,巨大穂胞および一部中型漏胞でエオジン� κ濃染する

ものが見られる。マロリー染色では巨大積胞が濃赤染す

るほかは,青染するものがほとんどである。辺縁空胞は

認められない。(判定� III)

12-62 (15g);大型中型鴻胞が多く,漉胞上皮は立方

状を呈する。 コロイドは� HE染色でエオヲンに濃染す

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477 大動脈粥状硬化症と内分泌腺,ことに甲状腺変化との関係

るものが多く認められるが,一部淡染するものも認めら

れる。マロリー染色では濃赤色から淡赤紫色を皇する。

辺縁空胞は軽度に認められる。(判定 III)

167-58 (20 g) ;中型小型漏胞性で, コロイドは HE

染色で淡赤染し,マロリー染色でほとんどの j慮胞が淡赤

紫色を呈する。 i慮胞上皮は立方状を呈し,辺縁空胞は中

等度に認められる。(判定 II)

146-62 (18 g) ;櫨胞は大型中型で, コロイドは HE

染色でエオツン l乙赤染し,マロリー染色で赤色を呈す

る。 i慮胞上皮は扇平で辺縁空胞は軽度に見られる。(判

定 III)

276-63 (12g);巨大な浦胞から小型のものまで混在

し,t慮胞上皮は屑平状のものと立方状のものが同数ずつ

認められる。 コロイドは HE染色で赤染するものから

淡赤染するものまでが認められる。マロリー染色では濃

赤染する巨大i慮胞のほか,すべて赤紫色から淡青色を呈

する。辺縁空胞はほとんど認められない。(判定 III)

45-63 (33 g) ;滴胞は巨大なものから小型のものま

で認められ, i慮胞上皮は扇平なものと立方状のものが混

在する。 コロイドは HE染色で全般に淡赤染し, マロ

リー染色では赤紫色から淡青色を呈する。辺縁空胞は軽

度 l乙見られる。(判定 III)

112-63 (80 g) ;巨大, 中型および小型櫨胞性で,櫨

胞上皮は一般に扇平状のものが大部分であれコロイド

は HE染色で濃赤染し, マロリー染色ではほとんどの

櫨胞が赤染し, ごく一部の小型i慮胞が淡青染する。辺縁

空胞はわずかに認められる。(判定 111)

51-64 (11 g);巨大な濡胞と中型のもので占められ,

i慮胞上皮は扇平状, コロイドは HE染色でエオジンに

濃染しマロリー染色で赤染するが,一部中型i慮胞が赤紫

色を呈する。辺縁空胞は軽度に見られる。(判定 111)

70才代以上,小括;この年代は 19例中, 扇平な上皮

が大部分を示すものが 7例,立方状の上皮と混在するも

の 5例,立方状の上皮が大部分のもの 6例を有する。ま

た鴻胞の巨大なものを 7例が示し,その大きさが中型お

よび小型のみの漉胞からなるもの 4例である。マロリー

染色では青色調に富んだコロイドは 4例に見られる程度

である。

B. 甲状腺の変化の総括

以上 95例を総括すると, 表 7および表 8のごとくで

ある。まず鴻胞の大きさから見ると, 10才代で症例の

2/3において小型の漉胞が目立ち, 20才代では例外的に

小型の漉胞は一般に乏しく, 30才代では半数よりやや多

才代で半数以下が小型の漉胞を有50才代および40く,

しており, 60才代より 70才代になるにつれて小型の漉

胞を有する症例が減少する。 さらに 60才代以後では巨

大な漉胞を有する症例が増加する。また漉胞上皮の性状

に関しては, 30才代でその半数以上が立方状に近い上皮

のみよりなるか,あるいはそれと扇平状の上皮と共存す

る櫨胞を有し, 40才代以後では扇平な上皮のみからなる

か,あるいは立方状と屑平状の上皮の混在する漉胞から

なるものが増加してくる傾向がある。

器|剖検番号|年令 lEJElZ変引|鰐|剖検番号|年令 124i:(E|霊変喜〈

159-61 25 III 263-6319 40 10 I

14.5 16 41-622 170-61 I13 42 25 I

100-61 20 156-6129 I 17 413 30 11

56-62 24 II 18 54-6128 43 204 11

11115 19 153--615 183-61 25 49 III11

111 20 58-62228-61 2022 48 62 III6

111 21137-61 26 33-64 49 25 111277

11120 22 18-61167-61 21 45 III198

111 136--613-62 23 23 III29 449 20

11 2479-62 12 171-61 III4735 2010

11 25 104-6153-61 18 55 I38 2611

11113-61 21 26 22-61 53 1135 2212

11105-61 132-61 5623 27 1137 1813

III 2887-61 29 259-63 5632 II2114

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478 副島秀夫

碧|剖検番号|年令 lEJ♂1: 29 287-63 56 20 II

30 169-56 53 22 II

31 95-61 56 23 II

32 29-62 57 20 II

33 216--66 55 20 II

34 111-61 58 30 III

35 49-62 57 19 III

36 63-62 57 21 III

37 155-61 56 10 III

38 246-63 53 18 III

39 114-62 59 22 III

40 17-62 55 35 III

41 130-62 64 10 I

42 105-62 68 15 II

43 148-61 62 15.5 II

44 125-62 67 17 II

45 80-62 68 28 II

46 10-62 67 28 II

47 40-59 64 18 III

48 220-63 65 18 III

49 229-63 68 16 III

(病変の程度 1.II. IIIは表� 5参照)

表� 7(b).

変喜lzr(ElZ碧|剖検番号|年令11変良6-62 67 2050 III

51 160-61 67 22 III

52 136-63 68 32 III

15-62 6453 13.5 III

62166-6154 24 III

6055 111-60 23 III

162-61 1956 II77

74-62 2557 74 II

58 86-63 16 II72

130-6159 2175 II

148-6260 3077 II

60-6261 70 5 II

62 93-61 2270 II

167-5863 20 II75

12-6264 15 III72

65 146-62 18 III77

66 276-63 12 III71

45-6367 75 33 III

112-6368 III8072

51-6469 11 III78

器l剖検番号|年令 lzr♂1=変凶器l剖検番号|年令 l♂!霊変長EJ149-62 15 20 I 14 99-61 68 15 II

2 55--62 20 15 II 15 177-61 61 38 II

3 131-61 22 12 III 16 102-61 62 11 II

4 36-62 29 23 III 17 123-61 60 25 II

5 25-61 36 15 II 18 239-63 60 13 II

6 76-62 31 13 III 19 136--62 66 32 III

7 19-61 48 29.3 II 20 28-62 68 14 III

8 147-62 49 25 II 21 93-62 65 13 III

9 95-62 46 10 III 22 65-62 74 18 II

10 158-63 51 10 II 23 6-64 81 14 II

11 149-61 51 15 II 24 8-61 71 14 III

12 64-62 50 22 III 25 62-61 74 15 III

13 96-61 54 24 III 26 69-61 75 10 nI

(病変の程度 1. II. IIIは表� 5参照〉

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479 大動脈粥状硬化症と内分泌腺,ことに甲状腺変化との関係�

表� 8. 年代別� l乙見た甲状腺の変化�

男性� 例

m~雪山富| 1 III IIII II~喧~I10 才 代� 2 10 才 代�

20 才 代� 5 7 20 才 代� 2

性一日

430 才 代� 5 30 才 代�

2 240 才 代� 6 10 40 才 代� 2

850 才 代� 167 250 才 代� 2

60 才 代� 5 9 15 560 才 代� 3

70,.....,80才代� 8 6 14 70,.....,80才代� 2 3

計 6 28 35 69 13 12計

例一

3

2

3

4

8

5

26

(1.II. IIIは表� 5参照)�

2) 大動脈粥状硬化症と年令との関係

前述した大動脈粥状硬化判定基準に従って個々の症例

を性別および年代別に総括すると, 表9および表� 10の

ごとくである。�

A 男性例�

10才代は症例数� 2例のみではあるが,大動脈全長を通

じていずれの部分にも粥状硬化巣は認められず,内膜脂

肪化の像も認められない。�

20才代では,� 7例中� 2例が明らかな粥状硬化を呈し,

他はいずれも内膜脂肪化の程度か,あるいは全く病変を

呈さない症例である。そのうち� I例はほとんど無変化で

あり,他の� 1例はわずかに腹部大動脈にのみ内膜脂肪化�

を呈する程度である。�

30才代の� 5例中� l例に粥状壊死を認め,他の� 2例は内

膜脂肪化を呈し,残る� 2例では全く病変を呈さない。�

40才代の� 10例中� 5例は, いずれの部分においても軽

度の粥状壊死像を呈し,内膜脂肪化例� 4例,無変化例� l

例である。粥状壊死を呈する� 5例はいずれも軽度の変化

であり,かつその変化が全身にわたるものは� 2例にすぎ

ない。�

50才代の� 16例中� 12例は, 明らかな粥状壊死を呈し,

このうちには中等度から高度の変性を呈するもの� 5例が

含まれ,他の� 5例は下行大動脈,あるいは腹部大動脈に

おいて粥状硬化を示すが,上行大動脈では内膜脂肪化,

あるいはほとんど病変の認められない症例である。

表� 9. 大動 脈粥状硬化症と年令

男 』性 例

整理 胸部大動脈 腹 音日 整理 胸 部大動脈 腹 音日剖検番号 年令 剖検番号 年令

番号 上行部|下行部 大動脈 番号 上行部|下行部 大動脈�

9-61 19 一� 14 87-61 32 + + 2 170-61 13 15 263--63 40 + + + 3 100-61 29 一� + + 16 41-62 42 十� + + 4 56-62 28 十� + 十十� 17 156-61 41

5 183-61 25 一� 18 54-61 43 十� + + 6 228-61 22 + 19 153-61 49 一 十 十�

7 137-61 27 + + + 20 58-62 48 + + + 8 167-61 21 + + + 21 33--64 49 + + + 9 3-62 29 + + + 22 18-61 45 十� + + 10 79-62 35 一� 23 136-61 44 + 十 十�

11 53-61 38 十� + 24 171-61 47 一 一� 12 113-61 35 25 104-61 55 + 十� + 13 105--61 37 + + + 26 22-61 53 一 十 十

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480 副島秀夫

整理 胸部大動脈 腹 部 整理 胸部大動脈 腹 部

剖検番号 年令上行部|下行部

剖検番号 年令上行部|下行部番号 大動脈 番号 大動脈�

27 132-61 56 一 一� 49 229-63 68 + -tt 十十�

28 259-63 56 一� 50 6-62 67 + 十� + 29 287-63 56 一� + + 51 160-61 67 + + 十�

30 169-56 53 + -tt 4十� 52 136-63 68 + -tt -tt 31 95--61 56 + + + 53 15-62 64 十 +ト +十

32 29-62 57 十� + 十十� 54 166-61 62 +十 十件 +十十

33 216-66 55 + + +十 55 111-60 60 + + 十�

34 111-61 58 + + + 56 162-61 77

35 49-62 57 + 斗� + 57 74-62 74 一� + 36 63-62 57 + + 十� 58 86-63 72 一� + + 37 155-61 56 4十 十件 十件� 59 130-61 75 + -tt 十�

38 246-63 53 + + + 60 148-62 77 十 -tt十 +十十

39 114-62 59 十� + + 61 60-62 70 十� -tt + 40 17-62 55 +十 -tt 十十� 62 93-61 70 + -tt 十�

41 130-62 64 + + + 63 167-58 75 + +十 -tt 42 105-62 68 一� + 64 12-62 72 十� + +十

43 148-61 62 +十十 +十 65 146-62 77 +ト -tt十 -tt十

44 125-62 67 + + + 66 276-63 71 +十 -tt +十

45 80-62 68 十 +ト +十 67 45-63 75 + 4十 十件�

46 10-62 67 + 十件 十|十� 68 112-63 72 十 十� + 47 40-59 64 + +十十 +十十 69 51-64 78 十� -ttt +十

48 220-63 65 + + +

(ー.土.+. -tt. -tt十.は表 3参照)

表� 10. 大動脈粥状硬化症と年令

女� i性 例

整理 胸部大動脈 腹 音E 整理 胸部大動脈 腹 部剖検番号 年令 剖検番号 年令

番号 上行部|下行部 大動脈 番号 上行部|下行部 大動脈�

149-62 15 14 99-61 68 + + 2 55-62 20 + + 15 177-61 61 + + + 3 131-61 22 一� 16 102-61 62 + + + 4 36-62 29 + + 17 123-61 60 + + + 5 25--61 36 + + 18 239-63 60 十 -tt十 +十

6 76-62 31 + + 19 136-62 66 + -tt 十件�

7 19-61 48 + + 20 28-62 68 + + +十

8 147-62 49 + + + 21 93-62 65 + + +十

9 95-62 46 十十 +十 十件� 22 65-62 74 + + + 10 158-63 51 + 23 6-64 81 +十 -tt 十十�

11 149-61 51 + + + 24 8-61 71 + +十十 tH-12 64-62 50 + + + 25 62-61 74 + + 件�

13 96-61 54 tH- 十ト +ト 26 69-61 75 + + +十

(-. +. +. +十.-tt十.は表 3参照)

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4131 犬動脈粥状硬化症と内分泌腺,とと に甲状腺変化との関係�

60才代では� 15例中� 4例は高度の,� 4例は中等度の,

他の� 5例は軽度の粥状硬化を呈し,他に内膜脂肪化のみ

のもの� 2例からなる。すなわちこの年代では大多数の症

例が粥状硬化を示すことになるが,これを起始部につい

てのみ見ると,� 5例のみは主として軽度の硬化像を呈し,

下行部のみを見ると,� 12例が軽度から高度にいたる変性

像を呈し,腹部大動脈においても同数の変性像を呈する

症例がある。�

70才代以上では,� 14例中� l例を除いて, 他はすべて

明らかな粥状硬化を示すが,このうち高度のもの� 4例,

中等度のもの� 6例,� 3例の軽度のものを見る。この年代

では上行大動脈において無変化のもの� 3例,下行大動脈

における同様の例� 2例,腹部では� I例である。�

B 女性例

女性例は比較的少数例のため年代を総括的に調べる

と,� 10才代,..,.,20才代では� 4例中,� 1例� (29才例〉が腹

部で軽度の粥状硬化を呈するが,他の例では無変化か,

あるいは内膜脂肪化を示す程度である。�

30才代,..,.,40才代では� 5例中� 3例が硬化像に乏しく,�

l例が軽度,� 1例が高度の硬化像を呈している。全く無

変化の症例は存在していない。�

50才代では,� 4例中� 1例が内膜脂肪化を示し,� 2例は

軽度の,� 1例は� lカ所において高度の硬化像を示す。�

60才代の� 8例中,� 2例は内膜脂肪化程度であるが,� 2

例が軽度の,� 2例が中等度の,他の� 2例がそれぞれ� lカ

所において高度の粥状硬化を示す。�

70才代以上では硬化像を示さない症例は認められず,

軽度のもの� l例,中等度� 3例,高度のもの� l例となって

いる。�

C 小括

以上を総括すると,男性例では� 20才代で,� 7例中� 2例

がすでに明らかな大動脈の粥状硬化症が認められ,他は

内膜脂肪化像を呈するか,あるいはほとんど無変化の症

例が含まれる。� 30才代では� 5例中,� 1例が粥状硬化を示

し,残る� 4例中半数が内膜脂肪化を呈し,半数が無変化

例である。� 40才代にはいると半数が粥状壊死像を呈し,

全く無変化のものは� l例のみである。� 50才代では� 16例

中� 12例までが中等度の粥状壊死像を有する病変を呈す

るものに対して, 変性像を呈さないもの� 4例が含まれ

る。 さらに� 60才代では,� 15例中� 13例が軽度から中等

度までの,� 70才代以上では� 14例中,� 13例が同様に軽度

から中等度までの粥状壊死像を示す。 しかし� 60才代に�

2例,� 70才代以上に� l例, にその変性を示さない症例

が含まれている。さらに粥状硬化を示す症例中でも,軽

度より高度にいたる粥状壊死の程度はさまざまである。

以上の所見から粥状硬化は年代と共に増加する傾向は

あるが,個々の年代において個々の症例の聞にその程度

にかなりの差異がある。

女性例においては,� 20才代までに� 4例中,� 1例の,� 30

才代から� 40才代に� 5例中� 2例の, いずれも粥状硬化症

が見られる。� 50才代では� 4例中� 3例に,� 60才代で� 8例

中6例に硬化症を認め,� 70才代以上では観察した� 5例

のすべてに病変が見られる。しかし各年代における個々

の症例の硬化の程度ははなはだ多様であることは男性例

におけると同様で、ある。�

3) 年代別に見た甲状腺の変化と大動脈粥状硬化症と

の関係

各年代群において,甲状腺の組織学的所見と大動脈粥

状硬化とを対比してその関係を観察すると次のごとくで

ある。(表� 11,12)

10才代:男性例� 2例では� l例(170-61) が甲状腺の�

Iに属し,他の� I例� (9-.61)では甲状腺の変化は� IIIに

属しているが, 上記の� Iに属する大動脈においては上

行,下行,および腹部のいずれの部位にも脂肪化,ある

いは粥状壊死の像は認められない。� IIIに属する症例に

おいても,甲状腺における著明な組織学的差異にもかか

わらず大動脈には脂肪変性像などは認められない。

女性例は� l例� (149.-6わであるが甲状腺の所見は前

記の� Iに属し,大動脈の脂肪変性を全く呈していないこ

とは男性例におけると同様で、ある。�

20才代:男性例� (7例)においては,甲状腺の所見は

甲状腺� Iに属する� 1例(100-61)では, 動脈は肉眼的

に下行および腹部において内膜の脂肪化を呈している。

組織学的にも内膜は脂肪染色により明らかな間質性の脂

肪化の像を呈し,内膜の謬原線維に軽度のびまん性の脂

肪化を認める。また甲状腺IIに属するもの� l例� (56-62)

があり,同例では肉眼的に上行および下行大動脈が軽度

の粥状壊死を呈し,腹部では中等度の同様の変性を呈し

ている。組織学的には線維性に肥厚した内膜の深層に小

さい脂肪性壊死があり, 同部にはズダン� III染色で明ら

かに中性脂肪とコレステローJレの沈着を認める。甲状腺�

IIIに属するもの� 5例では,� 1例(167-61)が下行部お

よび腹部において散在性に粥腫巣が見られ組織学的にも

軽度の粥状壊死を呈するが,� 2例(137-61,3-62)で

は上行,下行および腹部の三部分における内膜脂肪化が

肉眼的組織学的にも見られ,他の� 2例� (183-61,228-

61)ではほとんど脂肪変性の像を呈していない。

女性例� (3例〉では,� 1例� (55-62)が甲状腺� IIに属

する所見で,同例の大動脈は一般に内膜脂肪化を呈し,

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10

20

30

40

50

60

482 副島秀夫

表� 11. 年代別に見Tこ甲状腺の変化と大動脈粥状硬化との関係

男 性例�

|甲状腺変化

年 代�

JF 一�

+

才代 十

+十

十十十

一�

+

才代 十

十十

-tt十

一�

+

才代 十

十十

十件�

+

才代� +

+十

十件

一�

+

才代� +

++

十件

一�

+

才代� +

++

+十十

I II III

A,IAn IAm A,IAn IAm A,IAn IAm

。 。

。 。。�

。。

。 。� 00 。。�

@ @・・ 1・・.1..・

。 。。� •• 1... 1..

。。。 。 。。�

•• 。.1.. @ 1... 1..・,,I ,・@'8

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483 大動脈粥状硬化症と内分~腺,ことに甲状腺変化左の関係

変甲状腺化� I II III

年代ザfE AI IA,IAm AI IA,IAm 一�

+ 10才才t代

十� 80 代

+十 •• 1..・・・#ト

1・1・� 0 大動脈は全く変性像が認められないか,あるいは内膜脂肪化を呈する例。

.粥状硬化を呈する例。

1. II. IIIは表� 5参照。�

Arは胸部大動脈上行部。� A][は胸部大動脈下行部。� Amは腹部大動脈を表わす。�

-.+. +.十十.+t十は表 3参照。

表� 12. 年代別に見た甲状腺の変化と大動脈粥状硬化との関係

女 性例�

I II III

IA IA][I Am 一� 10

11

+ l l 10才代� +

11

十十11

#十 ll

土。� |。|

1

0

。。

20才代� + l l 日廿

11

+t十11。1l

。� 一+

30才代� +

|| |@ 8

1

十十� 11

-Ht 1 |

一一一一戸ト一¥一」三に〕¥二一〔

土 。。o

1

lo100

40才代 十� 1 1

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484 副 島秀夫

変甲状化腺� I II III

I 1 1 ・|・|� I I・�

+ 1 1 1 10

1 0

10

10

1

1 1・|・�

| | ・・・|・� 1-. 1

1 ・一� | |1|1 1

70 代 士� | o l |

ム� + | | ・|・ ・・-,・・ |

|・|・|.|!" I 1 1 1

0 大動脈は全く変性像が認められないか,あるいは内膜脂肪化を呈する例。

.粥状硬化を呈する例。

1. II.IIIは表� 5参照。�

Arは胸部大動脈上行部。� A][は胸部大動脈下行部。� Amは腹部大動脈を表わす。

一.+.+.十十.1+十は表� 3参照。

他の� 2例(131-61.36-62)の甲状腺は� IIIに属し, う

ちl例� (36-62)が腹部に散在性の粥腫巣があり組織学

的に軽度の粥状壊死を呈し,胸部で内膜脂肪化を呈する

程度である。�

30才代:男性例� (5例),甲状腺� IIに属するもの� 4例�

(79-62,53-61,113-61,105-61)と,� IIIに属する

と考えられるもの� l例� (87-61)があり,� IIを呈する� l

例� (53-61)ではその大動脈の下行部および腹部で少数

の粥腫が形成されており,組織学的にも軽度の粥状壊死

が確認され, また� l例� (105-61)の大動脈が内膜脂肪

化を各部で呈するが, 他の� 2例� (113-61,79-62) で

は内膜に著変は認められない。また� IIIに属する� 1例�

(87-61)では下行部および腹部で内膜脂肪化が肉眼的

に明らかで,組織学的にも粥状壊死は認められず間質性

脂肪化を呈する程度である。

女性例� (2例)では� l例� (25-61)が甲状腺� IIに相当

し,他の� l例(76-62)は甲状腺� IIIに属する。� II(25

-61)の症例が下行部および腹部で軽度の粥状壊死を呈

するのに対し,� III (76-62)の例では上記,下行部およ

び腹部において内膜脂肪化を呈し組織学的にも粥状壊死

を呈していない。�

40才代:男性例� (10例),甲状腺� 2例� (263-63,41-

62)は組織学的に� Iに相当し,� 2例� (156-61,54-61)

が� IIに属し,� IIIが6例であるが,� 1の2例はほぼ同様

の大動脈の所見があり,その� 3部分でいずれも内膜脂肪

化を呈し,� IIの例では� 1例� (54-61)が上行部の軽度の

粥状壊死とそれ以下の部分の脂肪化を呈し, 他の� 1例�

(156-61)は大動脈の変性像を示さない。� IIIの例では

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485 大動脈粥状硬化症と内分泌腺ことに甲状腺変化との関係�

そのうち� 3例(18-61,� 136-61, 153--61)が広範な,

かっ軽度の粥状壊死を呈し,� 2例� (58-62,33-64)が

各部で内膜脂肪化を呈し,� 1例(171-61)は全く大動脈

の変化を示さない。

女性例� (3例)では甲状腺� IIが2例(19-61,147-

62),IIIが� l倒� (95-62)あるが,� II群では一般に内膜

の脂肪化が明らかであるが, そのうちの� l例(19-61)

の下行部では変性は認められない。� III (95-62) では

大動脈の粥状壊死が強く上行および下行部で中等度,腹

部で高度の変性を示す。�

50才代:男性例� (16例),この年代になると甲状腺� I

が� l例で,� IIが8例,� IIIが7例となり,� 1(104--61)の

例では大動脈下行部の軽度の粥状壊死と他の部分の内膜

脂肪化が認められるにすぎない。� IIのうち大動脈の明

らかな粥状壊死を呈するものが� 5例あって,そのうち� 1

例(169-56) の下行部および腹部で中等度の粥状壊死

を示すが, 上行部では脂肪化の程度であり, 他の� l例�

(29-62) では上行部で軽度の粥状壊死を, 腹部で中等

度の変性を呈するが,下行部では内膜脂肪化を呈するの

みである。また上行部,下行部において軽度の粥状壊死

を示し,腹部で中等度の変性を呈する� l例� (216-66)が

ある。また他の� 2例� (287-63,22-61)では下行部,

腹部において軽度の粥状壊死を呈するが,上行部では全

く変性像を呈さない。また大動脈全体にわたって内膜脂

肪化を呈する程度のものが� 1例� (95-61),ほとんど変化

を認めないもの� 2例� (132-61,259-63)が存在する。�

IIIでは� 7例で、大動脈の各部にわたる粥状壊死があり,

うち� l例(155-61)は胸部に中等度の, 他はいずれも

高度の変性を示す。また下行部,腹部が軽度の粥状壊死

で上行部が内膜脂肪化の所見を示す� l例� (63-62)があ

る。また腹部にのみ粥状壊死を示し他部には脂肪化を呈

する� l例� (49-62)および全長にわたり軽度の粥状壊死

を呈するもの� 2例(114-62,246-63),中等度の変性を

呈するもの� l例(17-62)があり,全長にわたり脂肪化

を呈するにすぎないもの� 1例(111--6りがある。

女性例� (4例),甲状腺� IIおよび� IIIが各� 2例あり� II

の群では,上行部,下行部で全く変化を示さず腹部にお

いて脂肪化を呈すのみのもの� l例� (158--63)。上行部,

腹部で軽度の粥状壊死を呈し下行部で脂肪化を呈するも

の� l例� (149-6りがある。� IIIでは� 2例のうち� l例� (96

-61)が上行部で高度の,それ以下の部分で中等度の変

性を呈し,他の� l例� (64-62)は腹部で軽度の変性を呈

する。�

60才代:男性例(15例)では甲状腺� Iが� l例(130--

62)のみで,同例における大動脈は内膜の脂肪化を呈す

る程度であり粥状壊死は認められない。 甲状腺� IIに属

するものは� 5例で,大動脈ではいずれの部分かで粥状壊

死を呈するが,大動脈を三部分に分けると,いずれか一

部分は全く粥状壊死を呈さないものが� 2例(105-62,�

148-61)あり, (上行部脂肪化を呈するもの l例),これ

らの例の大動脈の残る部位および他の� 3例(125-62,�

80-62,10-62)では軽度から高度までの明らかな粥状

壊死を呈している。次に甲状腺� IIIに属するもの� 9例で

は, 全長にわたり内膜脂肪沈着のみのもの� 1例� (220-

63), さらに上行部に同様の脂肪沈着を呈するが, その

他の部分では明らかな粥状壊死を呈するもの(下行部お

よび腹部が中等度の変性)� 3例,高度の変性を呈するも

の2例を含む� (40-59,166-61)。

女性例� (8例),� IIに属するものが� 5例で, そのうち

下行部で軽度の粥状壊死を呈するもの� l例� (102-61)

をのぞいて,� 2例(177-61,123-61)が脂肪沈着のみ

を呈している。残る� 2例� (99-61,239-63)は,� 1例�

(99-61)が上行部で全く病変を呈さないが, その例の

残る部分および他の� l例では,� 3部分においていずれも

粥状壊死を呈しており,� 1例� (239--63)が全長にわた

って高度の粥状壊死を呈する。

この年代の女性例には甲状腺� IIIに属する� 3例があり,

大動脈では� 3例を通じて上行部では内膜脂肪化,� 2例�

(28-62,93-62)は下行部において軽度の, 腹部にお

いて中等度の, 残る� 1例� (136-62) が下行部において

中等度の,腹部において高度の,いずれも粥状壊死を呈

している。�

70才代以上(19例):男性例 14例,女性例� 5例。

男性例では甲状腺� Iは認められず,� IIに属するもの

は7例(162-61,74--62. 86-63,130---61,148-62,

60-62,93-61)で,この群では大動脈の変化に乏しい

ものがかなり含まれており,� 1例(162-61) では� 3部

分を通じて全く病変を認めず,� 1例� (74-62)では上行,

下行部に病変はなく,腹部のみ軽度の粥状壊死を有し,

また他の� 1例� (86-63)では上行部に病変がなく,下行

部および腹部が軽度の粥状壊死を示し,残る� 3例では,

下行部に中等度の変性を示すが,他の部分ではいずれも

軽度の変性を示している。更に他の� 1例(148-62)で

は,上行部で中等度,下行部および腹部で高度の粥状壊

死を呈している。� IIIに属するもの� 7例で, いずれも三

部分を通じて粥状壊死を呈し, うち� l例(112-63)が

三部分で軽度であるものを除いて,いずれも腹部あるい

は下行部で中等度あるいは高度の粥状壊死を呈する。

女性例,� IIに属するもの� 2例で,わずかに� l例� (65ー

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486 副島秀夫�

62)が上行部で脂肪沈着を示すが,他の� I例� (6-64)で

はいずれも軽度から高度までの粥状壊死を呈している,

甲状腺� IIIは� 3例� (8-61,62-61,69-61)で全例が明

らかな粥状壊死を呈することは男性例と同様である。

小括:

男性例および女性例において� 10才代では甲状腺� Iお

よび� IIIに属する� 3例があるが,大動脈にはほとんど変

化は見られない。� 20才代では男性例の甲状腺� Iの� l例

と,甲状腺� IIIの5例中� 4例が内膜脂肪化を示し,甲状

腺� IIおよび� IIIの各� l例が軽度の粥状壊死を呈する。

女性例では甲状腺� IIIの� 2例中� l例が軽度の粥腫巣を呈

する。� 30才代では甲状腺� IIの4例中� I例が粥状壊死を

呈するが,他の� 3例および甲状腺� IIIに属する� I例では

粥腫巣が見られない。女性例では� IIの� l例が粥腫巣を

示し,� IIIの� 1例がその病変を示さない。� 40才代の男性

例では甲状腺� Iの2例は内膜脂肪化,甲状腺� IIの2例

中� l例が軽度の粥状壊死を呈し,甲状腺� IIIの6例中� 3

例が粥状壊死を呈する。女性例では甲状腺� IIの2例は

内膜脂肪化程度であるが,甲状腺� IIIに属する� l例が著

明な粥状硬化を示す。� 50才代では男子例の甲状腺� Iの�

1例がわずかの粥状壊死を示し, 甲状腺� IIの8例中� 5

例, 甲状腺� IIIの� 7例中全例が明らかな粥状壊死を示

す。女性例では甲状腺� IIの2例中� l例が軽度の, 甲状

腺� IIIの2例中各例が軽度ないし高度の粥腫巣を示す。�

60才代では甲状腺� Iの� I例は粥腫巣を示さず, 甲状腺�

IIの5例は軽度の,甲状腺� IIIの9例は� I例を除いて軽

度ないし高度の粥腫巣を呈する。女性例は甲状腺� IIの�

5例中,� 2例が硬化像を示さず,他の� 2例が軽度の,残

る1例が高度の硬化像を示す。甲状腺� IIIの3例はいず

れも中等度ないし高度の粥状壊死を呈す。� 70才代以上

では男性例は甲状腺� IIに属する� 7例中,� 1例は全く無変

化であり,� 3例が軽度の,残る� 3例は中等度の変性像を

示す。甲状腺� IIIの� 7例では,� 1例が軽度であることを

除いて他はいずれも中等度ないし高度の変性像を示す。

女性例では甲状腺� IIの2例中,� 1例および甲状腺� IIIの�

3例が明らかな粥状壊死を呈する。

以上の所見から� 10才代では男性, 女性例共に甲状腺

の変化にかかわらず大動脈には粥状壊死は見られない。�

20才代および� 30才代では甲状腺の病変との聞に明らか

な関連は認められないが,� 40才代以後ではその病変と

大動脈粥状硬化症との聞に明らかな関連を示してくる。�

4) 甲状腺および唾液腺の変化と大動脈中膜の弾力線

維との関係�

A. 甲状腺の変化と中膜の弾力線維変性との関係

甲状腺の組織学的変化と大動脈中膜の弾力線維変性と

の関係を一括すると表� 13のごとくである。� 10才代にお

いては弾力線維の変性は甲状腺変化の際にもかかわらず

ほとんどその変性像は認められない。� 20才代では甲状

腺� IIIの例が弾力線維の変性を示さず,� IIの例が軽度

の変性像を示す。� 30才代では弾力線維変性を示さない�

3例中,甲状腺� IIに属するもの� 2例,� IIIに属するもの�

l例がありその線維にわずかの変性が見られるもの� l例

が甲状腺� IIに属している。� 40才代では弾力線維変性の

認められないもの� l例が甲状腺� IIIで,わずかの変性を

示すもの� I例は甲状腺� IIであり, 軽度の線維の変性を

呈するもの� 3例はそれぞれ甲状腺� 1,IIおよび� IIIに属

している。さらに線維の変性が中等度である� 2例は甲状

腺� IIIであるが,線維の変性が高度で、ある� l例は甲状腺�

IIに属している。� 50才代では弾力線維に変性像を示さ

ぬ症例はなく,わずかの変性を示すもの� 3例のうち� 2例

は甲状腺� IIIであり� l例が� IIである。 さらに弾力線維

表� 13. 甲状腺の変化と大動脈弾力線維の変化との関係

年代の変化�

弾力線維変性

+ + 十十 +十十

10才代�

20才代

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487 大動脈粥状硬化症と内分泌腺y ことに甲状腺案化との関係�

tヲ単 力 線 維 方~ιミ 性

年 代の変化�

甲状腺

+ 十 -Ht

30才代�

III I76-62

1. I I19-6140才代�

111

I

50才代� 11 22.-61. 1ι611l 9Ml ll

III

I

60才代�

, 6-6211印� 61 62 40-59 I136-63

11

111 93-62 「羽

I |70才代� |19361,lι 60-62,

1 11 「�

6-641

74← tl2, 65-62

12-62111

80才代�

+十

ー.土.十.十十.-1+十は表� 4参照。�

1. II. 111は表� 5参照。

数字は症例番号を表わす。

の変性が軽度から高度にいたるもの� 5例中には甲状腺�

IIIが2例, 甲状腺� IIが3例含まれている。� 60才代で

は弾力線維の変性をほとんど示さぬもの� l例が甲状腺�

IIIであり,線維の変性が軽度から高度におよぶ� 7例は

いずれも甲状腺� IIIに属する。その他わずかの線維の変

性を示す甲状腺� IIの� l例, 線維の軽度の変性を示す甲

状腺� Iおよび� 11の例が各� l例ある。�

70才代以上の群では弾力線維の変性はわずかに見ら

れる� 2例は甲状腺� 11である。線維が中等度から高度に

いたる変性を示す� 4例は甲状腺� IIであり, 線維が軽度

から中等度の変性を示す� 3例は甲状腺� IIIに属してい

る。

小括:以上の結果を見ると,大動脈中膜の弾力線維の

変性は� 30才代以下では少数例にしか認められず,� 40才

代以後では年代と共に強い変性像を示す傾向が見られる

が,甲状腺の変化とは全く関連を示していない。�

B. 唾液腺,ことに耳下腺の変化と中膜の弾力線維と

の関係

唾液腺内分泌装置である耳下腺線条部の変化と,大動

脈中膜弾力線維変性との関係を表に一括すると表� 14の

ごとくである。この表から見ると,� 10才代では耳下腺線

条部には変性像は見られず弾力線維も全く変性を示さな

い。� 20才代では弾力線維の変性が見られない� 1例では

耳下腺にも変性像はなく,線維の軽度の変性を示す� l例

では, 中等度の耳下腺の変性像を示す。� 30才代では弾

力線維の変性が認められないか,あるいはきわめて軽度

の変性像(土)を呈する� 4例において,耳下腺の変性像

も全く認められないか, あるいはわずかの変性像(土)

を示している。� 40才代では弾力線維性の� 30才代におけ

ると同様(土)である� 2例は,耳下腺の変化も(土〉で

ある。線維の変性が軽度である� 3例では,耳下腺の変化

は2例が軽度,� 1例がそれよりも変化の少ない(土)で

あり,線維の変性の中等度の� 2例では,耳下腺の変化は

軽度ないし中等度である。さらに線維が高度の変性を示

す� l例では耳下腺も著明な変性像を呈している。� 50才

代では弾力線維の変性および耳下腺の変化のいずれもき

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488 副島秀夫

わめてわずかの,すなわち(土)である� 3例がこの年代 いし高度の線維の変性を示す� 5例では,耳下腺の変化は

にも認められる。線維の変性が軽度ないし中等度の� 5例 中等度ないし高度である。� 70才代以上では弾力線維お

では耳下腺の変化は軽度ないし中等度であり,高度の線 よび耳下腺内分泌装置にいずれも変性像がきわめて軽度

維の変性を示す� 1例では,耳下腺の変化も高度である。(土)である� 2例が含まれる。線維の変性が軽度な� I例�

60才代では弾力線維の変性も,耳下腺の変化もきわめて では耳下腺の変化は軽度で,中等度以上の線維の変性を

軽度(土〉な� 2例が含まれる。線維の変性が軽度に見ら 示す� 6例では耳下腺に中等度ないし高度の変性像が認め

れる� 4例では,耳下腺も軽度の変性像を示し,中等度な られる。

表� 14. 唾液腺の変化と大動脈弾力線維の変化との関係

耳下腺 弾力線維変性

年代+ + +十 -H十変化�

10才代�

i十件� | I- I

36-62

土� I I 20才代

30才代�

十ト�

~ I76-62 I25--61

40才代� + I

I29-62,63-621 I

50才代� 1i226l,凶� 61l19ML 111「1

49-62

96-61

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489 大動脈粥状硬化症と内分泌腺,ことに甲状腺変作との関係�

60才代�

70才代�

80才代

ヲ単�

+

力 線 維 変 性�

+ 十十 廿十�

¥1お� 62,1叩~~\- ¥93-62, 6-62

I60--62, 69-61¥ 74-62

12-62, 6-641 65-62

ー.土.十.+ト.-1+十は表� 4および表� 6参照。

数字は症例番号を表わす。

C. 小括

上記の所見から見ると大動脈中膜弾力線維の変性は,

年代が増加するにつれて著明となる傾向がある。一方,

耳下腺内分泌装置の変化の程度と関連させて観察する

と,両者の聞に明らかな関連を示している。この観点、か

ら耳下腺の変化を年代別に見ると,一般に年代が増加す

るにつれて耳下腺の変化も著明となる傾向があり,それ

に対応した弾力線維の変』性像が見られている。�

IV.考案

緒言に挙げられた種々の要因の多くはいずれも脂肪代

謝と関連しての病変の過程であり, 大動脈粥状硬化症

は,周知のごとく病理組織学的に大動脈壁において,始

めに内膜の脂肪化,間質性脂肪浸潤等をへてそこに壊死

を伴う脂肪壊死巣が生じたものであり,同部にはコレス

テリンに富む� Plaqueが形成される。このことから見て

も本症の発生には脂質,ことにコレステリンが動脈壁に

沈着することが病変の中心で、あると考えられる。これと

関連して動脈硬化症の病因についても当初は血中コレス

テリン量が検索され,ついでその脂質の質的な問題がと

り上げられ,さらにリポ蛋白の変動に関心が向けられて

きている現況である。しかしながら組織の側から見た場

合に,正常な場合に大動脈壁内には洗着を起こさない脂

質が同部に集積して壊死を惹起することから,組織自体

の変調の存在する可能性を考えざるを得ない。

かかる観点から著者は内分泌臓器の機能との関連につ

いて検索を行なった。内分泌の異常には甲状腺,副腎,

性ホノレモンおよび下垂体の関与が考えられており,一方

からこれを見ればそれらのおのおのお場合にはいずれも

脂質代謝の障害がこれと関連している。ことに粥状硬化

症の際はこのうち,甲状腺について古くからその関連性

が考えられている。

ここでまず甲状腺の機能の形態的な判定には,その機

能の減退像を示すものとして鴻胞上皮の扇平化,その変

性萎縮による漉胞の融合,濃厚なコロイドの貯留,辺縁

空胞の少ないこと等があげられ,またその逆の場合の所

見としては,漉胞上皮が原形質に富み,立方状または円

柱状の形をなすこと,コロイドの薄いこと,辺縁空胞に

富むこと等が考えられる。本研究もこれらの像を判定基

準の所見として三つの段階に分けた次第で、ある。上記の

立方状または円柱状の漉胞上皮細胞や,淡明なコロイド

等の一連の所見は甲状腺の機能の充進像を示すと考えら

れるが,そのような櫨胞上皮の肥大等の所見がむしろ機

能の減退像としている学者6)もある。 しかしかかる報告

はむしろ例外と見てよいと思われる。� 70才から� 90才ま

での甲状腺の老人性変化を� Mustacchi2

ぺ� Cooperめら

は組織学的に観察し,漏胞上皮の萎縮による扇平化,間

質結合織の増加,漉胞径の減少とコロイドの淡明化等を

のべている。著者の用いた症例では,� 70才以上の年代に

属するものは少数であるため,かかる傾向を把握するこ

とは困難であった。今回の検索でみられた漉胞上皮の萎

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490 副島秀夫

縮,扇平化,小型の漉胞から巨大な漉胞まで共存するこ

とによる櫨胞の多様化等の所見は,上記の論文と共通す

る所見であるが, コロイドの淡明化については逆の結果

であり,むしろ萎縮性の機能の一衰えたと思われる甲状腺

に,濃厚なコロイドを含んでいた。いずれにしても上記

の諸変性像は基礎代謝率の低下を示すものとされてい

る4)。

次に甲状腺と大動脈粥状硬化症との関係について

は, Eisels berg9)は 1895年に甲状腺別出動物の動脈硬

化症を初めて実験的に証明している。また FischerlO)

は Thyreoidin注射により動脈硬化症を発生せしめ,村

田ら 25)26)によると甲状腺末を家兎に経口的に与えて,ア

ドレナリン型動脈硬化症を起こさしめたという。かつ

て Anitschkowl), Wacker叫らは, 動物にコレステロ

ーjレを負荷して実験的動脈硬化症を発生せしめたが,

Shapiro均は甲状腺摘出家兎にラノリン投与して本症を

発生せしめた。

人体例において甲状腺機能の低下と動脈硬化症の発生

との関連についての検索について GoffmanI3), および

Blumgart2)の報告がある。古く Mason2η

ら (1930年)

は血清脂肪分画が甲状腺の機能により,他の要因による

よりも,最も大きい影響を受けると報告しているが,甲

状腺の病変の場合,すなわち,その機能充進を示すパセ

ドウ氏病では,血清コレステロールは低下し,反対に機能

低下によって起こる粘液水腫では血清コレステロールは

上昇するといっている 14)21)。動物実験において, p31 を

用いて同様に血清コレステロールの上昇することが証明

されている九 さらに著明な甲状腺機能低下の症例で中

膜の変性を起こし,その結果動脈の破裂を起こしたとい

う報告が見られる 11)1へまた病理解剖学的に Douglass7)

らは 10例の粘液水腫を検索し, 9例の冠状動脈, その

他の主要動脈に年令の割に不相応な強い粥状変性を認

めている。著者の結果によると男性, 女性例とも 40才

以後の年代においては甲状腺の機能と粥状硬化の発生と

が密切な関連を有することが知られた。粥状壊死は一般

的には高令者ほど著明となるが,この際甲状腺の萎縮像

を伴っている。この事について Kountzl9)は年令が進む

と甲状腺の機能が低下し,その酸素の消費が減少し血清

コレステロールが上昇するとしている。今回の結果では

高令者においても粥状硬化の比較的軽度の症例では,甲

状腺の機能減退像も比較的軽い結果となっている。した

がって動脈硬化の進展は年令と関連するというよりもむ

しろ,甲状腺機能の減退と密接な関連を有すると考えら

れる。甲状腺機能と年令の関係との関連については,

Stoffer33)らは 50才以上の群と 40才以下の群を比較し,

40才以下の群ではその 30%に, 50才以上ではその 40%

に甲状腺間質の結合織の増加があり,その多少が甲状腺

の活性を示すという。彼らの報告では性別による差異は

示されていないが.今回の検索でも男女の聞に明らかな

差異はみられず, 男性群女性群とも 40才以上で, 甲状

腺と動脈硬化との相闘が明らかとなっている。これらの

年代以前では,甲状腺の作用以外にも種々の内分泌的要

因,その他の影響により動脈壁の変化が左右されるもの

と考えられるが,その解明は今後の研究にまたれるであ

ろう。

Dock5)によれば, 40才以後の年代においては冠状動

脈以外には性別による差異は認められないとしている

が,この結果は今回の大動脈を対象とした結果と共通す

る所見である。

さらにかリポ蛋白の値が青年男性において, 女性の

34-60才のものとほぼ等しいという報告がある問。 こ

の所見は本症が男性例において早く惹起されるという本

研究の結果と関連するものである。しかし一方リポ蛋白

の Sf10-20は, Goffman15)によれば 20才 40才代で

は男性例が女性例よりも多いのに反し, 40才以後におい

ては男女聞は明らかな値の差がなくなるともいわれてい

る。一方甲状腺機能低下時における高コレステリン血症

に,脂質の質的な特異性があるや否やについても研究が

行なわれている。 Jonesl7)らによると冠状動脈粥状硬化

症で,脂血症を有する患者と比較すると,甲状腺機能低

下症の患者においては,戸ーリポ蛋白の分画が低いことを

統計学的に証明している。

次に甲状腺と大動脈硬化症との関連性を基礎として,

治療的な立場から甲状腺ホルモンを生体に応用したもの

として, F1eischmann12) らは Thyroxinは血中コレス

テロールを組織に移行させると報告しているが,甲状腺

エキスを粘液水腫治療の目的で投与すると, 高コレス

テロール血症が軽減するが, このリポ蛋白 Sf0-20は

減少し, Sf 20-400は変化を示さないという向。 また

Weiss43) らによれば白鼠に甲状腺ホルモンを投与する

と, コレステロー jレの化学変化が促進され,低コレステ

ロール飼育の際には初期にはコレステロールの合成が促

進され,後にステロールの排世を促進するが,高コレス

テロール飼育の際にはコレステロールの分解と排世に関

与するという。鶏に Stilbesterolを埋没し甲状腺剤を

与えると, その初期にのみ影響する刊。また鶏をコレ

ステロールで、飼育し乾燥甲状腺を与えると, 過コレス

テロー Jレ血症および粥状硬化をある程度抑制しうると

いうへその理由は血管内膜の透過性をを低下させ,

Cytochrom C を上昇させるためと説明されている加。

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491 大動脈粥状硬化症と内分泌腺,ことに甲状腺変化との関係�

1931年� Liebig22)は家兎に高コレステロー Jレ食を与え

て:惹起される動脈硬化症を, ヨードを用いて予防しうる

としたが,� Turner36)37)38)らは甲状腺末を用いて動脈硬

化症および過コレステローJレ血症を予防しうることを報

告している。さらに� Turner聞は甲状腺を欠如させた動

物にヨードカリを与えると,動物の高コレステローJレ血

症は予防し得ず,甲状腺が存在する時にのみ効果がある

としたが, その後� 1935年間, 甲状腺摘出家兎において

もヨードカリの予防作用があることを報告している。�

Ungar41)も同様の結果を得ている。有機ヨードを健康な

粥状硬化症を起こした兎に投与すると, 甲状腺が正常

〉,37の場合にはその硬化症を抑制されるとされており問�

Thiocyanateも同様の効果が報告されている問。

これらのヨードの動脈硬化症に対する予防的な作用の

機転はまだ明らかではないが,� in vitroではヨードは蛋

白質と結合して生物学的活性を有する物質を形成し,そ

の物質は甲状腺ホJルレモンと似ているといわれている 的〉3川0 すると, 男性例女性例共� 40才代以上で, 密接な関係を

さらに生体の末梢組織には遊離したヨ一ドを,サイロキ

シン様物質の形成に利用する能力があるという。これら

の事実は臨床的に� Herrmann16) らにより, 甲状腺末と

ヨードカリを用いて動脈硬化症に対する,若干の効果の

あることにより裏付けられている。

次に動脈壁の重要な構成要素である弾力線維の変性に

ついては,その変性が甲状腺機能の低下と関連すること

を示唆した報告m もあるが,本研究における検索ではか

かる関係は全く否定された。弾力線維の変性に関して

は,緒方,滝沢らの唾液腺内分泌に関する学説的が最も

有力と考えられ,今回検索した範囲でも唾液腺内分泌装

置である線条部の変化と,大動脈中膜の弾力線維変性と

の聞に明らかな関係が証明された。�

V.結論�

1. 大動脈粥状硬化症と内分泌腺,ことに甲状腺の変

化との関連を調べるため, 剖検倒� 95例の大動脈(上行

部,下行部および腹部), 甲状腺, 耳下腺の病変を病理

組織学的に検索した。�

2. 甲状腺の年令的な変化は� 10才では, 甲状腺の鴻

胞は各例においでほぼ� 2/3が小型の癒胞からなるが,年

代と共に小型の櫨胞は減少し, さらに� 60才代以後では

巨大な櫨胞を混ずるようになるため,漉胞の大きさの多

様性が目立つ。また異なった年代における甲状腺のほぼ

同大の鴻胞においても上皮の形態は異なっており,漉胞

上皮は漉胞の約半数以上は立方状の上皮を示すが,それ

以後の年代では属平な上皮を有する漉胞が増加する。�

3. 年代別に大動脈粥状硬化症の発生を調べると,男

性例においては� 20才代で� 7例中� 2倒にすでに本症が認

められ,� 30才代では� 5例中� l例に見られたが,� 40才代で

は本症は急激に増加し,� 10例中� 5例が粥状硬化症を呈す

る。これまでの年代では粥状壊死の程度は一般に比較的

軽度である。� 50才代では� 16例中� 12例が中等度の硬化を

呈し,� 60才代では� 15例中� 13例に,� 70才代以上では� 14

例中� 13例までが同様の変化を呈する。他方女性例にお

いても,その傾向は男性例におけるとほぼ同様で,� 10才

代-20才代では� 4例中� l例に,� 30-40才代で� 5例中� 2

例に,� 50才代では� 4例中� 3例に認められ, さらに� 60才

代では� 8例中� 6例に,� 70才代以上では観察した� 5例のす

べてに病変が認められた。しかし各年代にはほとんど粥

状壊死を示さない症例が含まれ,また粥状壊死を示す症

例においてもその程度は多様である。�

4. 甲状腺の変化と大動脈の粥状壊死との関連を観察

有することが明らかとなった。 まず� 40才代において男

性例で,甲状腺の変化の軽度(1 )な 2例は粥状壊死を

示さず,甲状腺変化中等度� (11)の2例中� l例および高

度� (III) の6例中� 3例が軽度の粥状硬化症を示す。女

性例では甲状腺の変化が中等度� (11)の2例は粥状壊死

を示さず, 甲状腺の変化の高度(III) の� l例が軽度の

硬化像を示す。� 50才代では男性例における甲状腺変化

の軽度(1)な 1例が,わずかの粥状壊死を示すにすぎ

ないが,甲状腺変化の中等度� (II)の8例中� 5例および

甲状腺変化の高度� (III) の� 7例中の全例が, 軽度から

中等度までの粥状壊死を示し,女性側では甲状腺変化中

等度� (11)の2例中� 1例および甲状腺変化高度� (III)の�

2例全例が同様の硬化像を示す。� 60才代では男性例の甲

状腺変化軽度(1)の l例では粥状壊死は認められず,

甲状腺変化中等度� (11)の5例はいずれも軽度の,甲状

腺変化高度� (III)の9例は,� 1例を除いて高度の粥状壊

死を示す。女性例では甲状腺変化中等度� (11)の5例中�

3例および甲状腺変化高度� (III)の3例全例が中等度な

いし高度の粥状硬化を示す。� 70才代以上では男性例の甲

状腺変化中等度� (11)の8例中� 7例が粥状硬化を示し,

うち� 2例は軽度,� 4例が中等度の病変を示し,甲状腺変

化高度� (III)の6例は全例とも中等度ないし,高度の変

性像を示す。女性例では甲状腺変化中等度� (11)の2例,

甲状腺変化高度� (III)の3例がいずれも軽度から高度に

いたる粥状硬化症を呈する。以上の所見は古くから多く

の文献で述べられている,甲状腺機能の減退と動脈硬化

症の発生との関係を,病理形態学的に確認し得たものと

思われる。

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492 副島秀夫�

5. 大動脈中膜の弾力線維の変性は甲状腺の変化とは stirpation. Arch. f. klin. Chir., 49,207,.....,234,

全く関連を示さず,一部の研究者の説は否定された。同 1895.

部の弾力線維の変性はすでに先人が明らかにしているよ 10) Fischer,B.: Experimentelle Arterienerkrankun-

うに,耳下腺の内分泌装置である線条部の変性像と関連 gen durch Adrenalin-injektionen. Munch. Med.

していることが確認された。 Wschr. 46,46,.....,47,1905.

11) Foster,M.,and Bαrr,D.: Myxedema: Record 稿を終わるにあたり,終始� C懇篤なると指導を賜 of an autopsied case with special emphasis upon

わった恩師滝沢延次郎教授,林豊助教授に衷心より

感謝の意をささげるとともに,C'協力を惜しまなか

った教室員各位に深く感謝致します。

本論文の一部は第� 53回日本病理学会に発表した。

文献�

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493 大動脈粥状硬化症と内分泌腺� ことに甲状腺変化との関係p

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494 副島論文附図(1 )

図1. 大動脈の肉眼所見:

左より軽度(症例番号 130-62) 64才男

性,中等度 (216-66)55才男性,および

高度(155-61)56才男性の粥腫状硬化症

を示す。

図 2. 向上,一部強拡大

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495 副 島論文附図 (II)

図 3. 大動脈の組織像; 図 5. 大動脈組織像:

軽度の粥腫状硬化を示す(130-62)64才男性 中等度の粥腫状硬化を示す (216-66)55才,男性

HE染色, X40 HE染色, x40

図 4. 向上,ズダン III染色, x40

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496 副島論文附図 (III)

図 7. 大動脈組織像: 図 8. 同左,ズダン III染色, X40

高度の粥腫状硬化を示す(155-61)56才,男性

HE染色, X40

図 9. (130-62)の甲状腺:小型の漉胞と中型のi慮胞が混じ

ており, i慮胞上皮は立方状のものが多く,コロイドは

薄く,辺縁空胞も認められる。

(判定 1),HE染色 X100

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497 副島論文附図 (IV)

図 10. (216-66)の甲状腺:中等大以上の鴻胞が多く,櫨胞

上皮は立方状のi慮胞と扇平のi慮胞があり, コロイドに

富み,辺縁空胞が認められる。

(判定 11),HE染 色 x 100

図 11. (155-61)の甲状腺:小型の滴胞より巨大な鴻胞まで

が認められ, i慮胞上皮は扇平化し,辺縁空胞に乏しい。

(判定 111),HE染 色 x lOO