ワークショップ９ ICPC による臨床分析と将来展望

ワークショップ９ICPC による臨床分析と将来展望

《　企　画　》日本プライマリ・ケア学会

日本プライマリ・ケア学会国際疾病分類研究会

第 29 回日本プライマリ・ケア学会　　 ICPC2 ワークショップ

1 時 30 分から始めますしばらくお待ち下さい

序　言

本ワークショップの目的

国際疾病分類研究会委員大野　毎子

第 29 回日本プライマリ・ケア学会　 ICPC-2 ワークショップ

第 1部

ICPC コーディングの基礎


第 1部． ICPC コーディングの基礎プログラム１

ICPC- ２の概要

国際疾病分類研究会担当理事山田　隆司


プライマリ・ケア医の必要とする診療情報• 診療の特徴

– 地域住民全体– 日常的な健康問題– 病気の早い時期から– 病悩期を越えた関係– 全身を診る– 家庭から近い– 地域社会と密接な関係

• ＰＣ医に必要な情報– 地域を母集団とした健康情報– 重症疾患ではなく日常病に比重を置いている– 症状の発現時期に有用なもの– 継続的に評価できる– 全身的に管理しやすい– 患者にとって有益で判り易い情報

腹痛胃腸炎による腹痛

胃潰瘍による腹痛癌による腹痛

腹痛

すぐに治ってしまった腹痛診断に至らなかった腹痛

Episode of Careの概念- 健康問題の１単位 -

認知された健康問題受療行動受診理由

受診理由

診断病名

診断病名

介入

介入

（診断病名は途中で変わっても健康問題としては同一としてとらえる。）

同一の健康問題による繰り返しの受診

病原ウィルスが浸入発熱、頭痛医師を受診

ウィルスが消失症状が無くなる診断書をもらいにくる

Episode of disease

Episode of illness

Episode of care

Episode of Care Episode of Care とはとは

診断病名の階層構造

Pathophysiological Diagnosis: 病態生理学的診断病名

Nosological Diagnosis: 分類学的診断病名

Symptomatic Diagnosis:症状診断病名

健康問題の経過0 Death

腹痛、頭痛

外傷、蕁麻疹

急性上気道炎、インフルエンザ

アトピー性皮膚炎、気管支喘息

高血圧、糖尿病、狭心症

変形性関節症、骨粗鬆症

脳卒中、癌

10 20 40 70

ICD の不便な点• 元々死因分類として整備されてきている。• 重症疾患は網羅しているものの、日常的に出会わない疾患がほとんど。• ４桁表示で細分されすぎて検索しづらい。• 愁訴、症状といった項目が追加されたものの、系統だっていない。• 病院の専門診療科での利用は比較的容易だが、診療所等プライマリ・ケアの現場では実用性に乏しい。

ICPC （ International Classification of Primary Care:プライマリ・ケア国際分類）とは• WONCA （世界家庭医機構）分類委員会が家庭医のための病名分類として開発• 1975 年、 ICD-8 に準拠したプライマリ・ケア健康問題国際分類（ International Classification of Health Problems in Primary Care:ICHPPC ）を開発• 1976 年、 WHO は ICD-9 を発表、第１６章に兆候、症状の項目を加えた• 1978 年、 WHO は愁訴、受診理由を分類する Working Party を結成。受診理由国際分類 (REFC) を開発• WICC は独自に臨床試験を行い、 1987 年 REFC を発展的に組み替え、 ICPCを開発した• 1998 年、 ICPC-2 を出版• 現在 WHO-FIC （国際分類ファミリー）との連携を保ちながら、国際的な普及に努めている

ICPC の特徴• 愁訴、症状を分類できる• 確定診断に至らない健康問題を分類できる• 受診理由、病名、診断行為を一括して記録できる• 健康問題を継続的、包括的に把握できる• プライマリ・ケア医、コメディカルにとって使いやすい• 他の分類（ ICD-10 ）と互換性がある• 患者中心の医療情報システムのツールである• 国際的に利用されている

CHAPT

ERS

A-Gene

ral

B-Bloo

d,bloo

d form

ingD-D

igestiv

eF-E

yeH-E

arK-C

ircura

tory

L-Musc

uloske

letal

N-Neur

ologic

alP-P

sychol

ogical

R-Resp

irator

yS-S

kinT-M

etabol

ic,Endc

rine,N

utrU-U

rinary

W-Pre

gnancy

,Childb

ering,

Fam

lyPla

nning

X-Fem

ale ge

nital

Y-Male

genit

alZ-S

ocial

1.Symptoms andcomplaints2.Diagnostic,screeningprevention3.Treatment,procedures,medication

4.Test results

5.Administrative

6.Other

7.Diagnosis,disease

COMP

ONENT

ICPCICPC の２軸構造の２軸構造

1 2 3 4 5 6 71 2 3 4 5 6 7

ICPCcomponents

ICPCRFE-classification

ICPCDiagnosis-classification

ICPCProcess-classification

Component 1

Ａ０１全身の／多発する疼痛Ａ０２悪感Ａ０３発熱Ａ０４全身脱力／倦怠感Ａ０５不快感Ａ０６失神Ａ０７昏睡Ａ０８腫脹（除外　Ｋ０７）Ａ０９発汗異常Ａ１０その他の出血Ａ１３治療に関する事柄／心配Ａ１６落ち着きのない乳幼児

Ａ１８外見に関する愁訴Ａ２０安楽死の希望／討論Ａ２１悪性疾患の危険因子Ａ２３その他の危険因子Ａ２５死の心配Ａ２６癌の心配　ＮＯＳＡ２７その他の疾患の心配　ＮＯＳ、ＮＥＣＡ２８その他の疾患による機能障害／能力低下Ａ２９その他の全身症状／愁訴

Component 7

Ａ７０結核Ａ７１麻疹Ａ７２水痘Ａ７３マラリアＡ７４風疹Ａ７５伝染性単核細胞症Ａ７６その他のウイルス性発疹Ａ７７その他のウイルス性疾患Ａ７８その他の感染症Ａ７９その他の悪性腫瘍Ａ８０その他の事故、損傷Ａ８１多発性外傷Ａ８２外傷の二次的影響Ａ８４医療品による中毒Ａ８５医薬品の副作用Ａ８６医薬品以外の物質による中毒Ａ８７治療の合併症Ａ８８物理的因子の有害作用Ａ８９装具による影響Ａ９０その他の先天奇形／重複奇形Ａ９１異常結果の精査Ａ９２アレルギー／アレルギー反応

Ａ　全身と部位不特定

Component 1 症状と愁訴Ｄ０１腹部全体の疼痛Ｄ０２心窩部痛Ｄ０３胸やけＤ０４直腸／肛門痛Ｄ０５肛門周囲の掻痒感Ｄ０６その他の限局性の腹痛Ｄ７０消化不良／胃酸過多Ｄ０８鼓腸／げっぷＤ０９嘔気Ｄ１０嘔吐Ｄ１１下痢Ｄ１２便秘Ｄ１３黄疸Ｄ１４吐血Ｄ１５メレナ／黒色便

Ｄ１６直腸出血Ｄ１７便失禁Ｄ１８便通異常Ｄ１９歯／歯齦の症状／愁訴Ｄ２０口腔／舌／口唇の症状／愁訴Ｄ２１嚥下異常Ｄ２３肝腫大Ｄ２４その他の腹部腫瘤Ｄ２５腹部膨満Ｄ２６消化器癌の心配Ｄ２７その他の消化器疾患の心配Ｄ２８消化器による機能障害／能力低下Ｄ２９消化器のその他の症状／愁訴

Ｄ　消化器Ｄ　消化器

Component 7 診断／疾病

Ｄ７０病原体の確定された消化管感染症Ｄ７１流行性耳下腺炎Ｄ７２ウイルス性肝炎Ｄ７３感染を疑う消化器疾患Ｄ７４胃悪性新生物Ｄ７５大腸／直腸悪性新生物Ｄ７６膵悪性新生物Ｄ７７その他の／詳細不明の悪性新生物Ｄ７８良性新生物Ｄ７９消化管異物Ｄ８０その他の消化器の損傷Ｄ８１その他の消化器の先天奇形Ｄ８２歯／歯齦の疾患Ｄ８３口腔／舌／口唇の疾患Ｄ８４食道の疾患

Ｄ８５十二指腸潰瘍Ｄ８６その他の消化性潰瘍Ｄ８７胃の機能障害Ｄ８８虫垂炎Ｄ８９鼠径ヘルニアＤ９０横隔膜／食道裂孔ヘルニアＤ９１その他の腹部ヘルニアＤ９２消化管憩室症Ｄ９３過敏性腸症候群Ｄ９４慢性腸炎／潰瘍性大腸炎Ｄ９５裂肛／肛門周囲膿瘍Ｄ９６寄生虫病Ｄ９７その他の肝疾患Ｄ９８胆嚢炎／胆石症Ｄ９９その他の消化器疾患

1 2 3 4 5 6 71 2 3 4 5 6 7

ICPCcomponents

ICPCRFE-classification

ICPCDiagnosis-classification

ICPCProcess-classification

Thesaurus ICD-10ICF

Component 3 投薬、治療、治療行為-50 薬の処方／投薬、注射-51 切開、ドレナージ、吸引-52 摘出、試験切除、除去、焼灼-53 カテーテル挿入、挿管、拡張術-54 修復、縫合、キプス、補綴-55 局所の注入／浸潤-56 包帯、圧迫、タンポナーデ-57 理学療法、徒手整復-58 治療的カウンセリング／聴取-59 その他の治療的行為

Component 4 検査結果-60 検査／診療行為の結果-61 他からえた検査／診療行為の結果

Component 5 書類作成-62 各種書類作成

Component 6 紹介およびその他の受診理由-63 経過観察のための受診-64 健康管理者で発見された健康問題-65 その他の人で発見された健康問題-66 健康管理者への照会／紹介-67 医師への照会／紹介-68 その他の照会／紹介　ＮＯＳ-69 その他の受診理由　ＮＥＣ

Component 2 診断行為、スクリーニング、予防行為

-30 診察・健康診断（完全）-31 診察・健康診断（部分）-32 感受性試験-33 微生物／その他の免疫の検査-34 血液検査-35 尿検査-36 便検査-37 病理組織検査／細胞診-38 その他の臨床化学検査　ＮＯＳ-39 生理機能検査-40 内視鏡検査-41 エックス線検査／画像検査-42 電気生理的検査-43 その他の診断的行為-44 予防接種／予防的投薬-45 健康教育／経過観察／助言-46 プライマリ・ケア医との対診-47 専門医との対診-48 患者の受診理由の分類／考察-49 その他の予防行為

症例５８歳男性、以前より高血圧で治療中。今日も定期受診の日であったが、数日前より食後に胃もたれ、不快感があるとの訴えあり。

簡単な腹部診察を行うも特に所見は無かった。しかしここ数年胃の検査も受けていないとのことで、次週に内視鏡検査の予定とした。受診理由（愁訴）診療要求診断前介入行為診断病名新旧前病名確定不確定診断後介入行為　　 K31（診察） K31（診察） K86（高血圧） O K86 C K50（投薬）　

D02 　　 D31 D02 N 　 C 　　前記の男性が内視鏡検査を受けにやってきた。検査の結果胃角部に潰瘍があり、念のため組織検査を施行した。同日薬も処方した。

受診理由　診療要求診断前介入行為診断病名新旧前病名確定不確定診断後介入行為　　 D40 D40 D86 O D02 U D37 D50

前記の男性が組織検査の結果を聞きにきた。現在は症状も無いとのこと。病理組織検査では Class5 で胃がんであった。近くの病院を紹介することとした。受診理由　診療要求診断前介入行為診断病名新旧前病名確定不確定診断後介入行為

　　 D60 　 D74 O D86 C D67 　

演者交代


第 1部． ICPC コーディングの基礎プログラム２

北欧での ICPC 活用状況と今後の展望

国際疾病分類研究会委員藤田伸輔


演者交代


第 1部． ICPC コーディングの基礎プログラム３

ICPC- ２コード化演習まず、コードの検索方法のご紹介です

国際疾病分類研究会委員山岡雅顕


プログラム３－１　 ICPC-2 コード検索方法

「発熱」を例としてコードを検索してみます


本を使用した検索方法（臓器別： p42~160 ）

臓器別に予測して･･･ A,B,D ･･･ ,Z

順に探していく（愁訴は 1 ～ 29 にある）

p42


本を使用した検索方法（索引： p161~216 ）

五十音順に探して･･･

p204


本を使用した検索方法（ ICPC-2 簡易表：本日のプログラム巻末です）

臓器別に探して･･･

簡易コード表 p1


パソコンを使用した検索方法（ Excel ）

「発熱」と入力して･･･

付録 CD-ROM の ICPC-2 ファイル： ICPC-2-J.xlsICPC-2-J


パソコンを使用した検索方法（ Access ）

付録 CD-ROM の ICPC-2 ファイル： ICPC2.mdeICPC2

プログラム３－１　 ICPC-2 コード検索方法「発熱」と入力して･･･

ICPC2


パソコンを使用した検索方法（ FEP ：日本語変換システム）

辞書に登録して使用します

変換･･･確定

ƒpƒbƒP[ƒW

プログラム３－２

では、お手元のプログラムにある具体的な症例で

コード化の演習をしましょう


症例１

４９歳男性。昨日から熱が出て、咳と鼻もでている、と言う。診察したところ、急性上気道炎と診断して、薬を処方した。

咳R05鼻汁R07

熱A03

診察R31急性上気道炎R74薬処方R50

受診理由

診断行為

診断

治療行為

患者の言葉そのまま

症例２５歳女児。今朝から急に高熱が出ていると言う。母親はインフルエンザの検査をして欲しいとのこと。検査の結果、インフルエンザ A と判明し、薬を処方した。

受診理由

診断行為

診断治療行為

症例２

５歳女児。今朝から急に高熱が出ていると言う。母親はインフルエンザの検査をして欲しいとのこと。検査の結果、インフルエンザ A と判明し、薬を処方した。

熱A03インフルエンザの検査R33診察R31

インフルエンザR80抗インフルエンザ薬処方R50

受診理由

診断行為

診断

治療行為

インフルエンザの検査R33

患者の言葉そのまま

症例３

８歳男児。昨日から腹痛と発熱を訴え、今日は嘔吐している。診察の結果、急性虫垂炎を疑い、後方病院に紹介した。

腹痛D06熱A03

診察D31

急性虫垂炎D88後方病院に紹介D67

受診理由

診断行為

診断

治療行為

嘔吐D10

症例４

３歳女児。水イボだといって母親が連れてきた。診察の結果、水痘と診断し、痂皮化するまでの外出禁止を指導して、薬を処方した。

水イボS95

診察S31

水痘A72

水痘の投薬A50

受診理由

診断行為

診断

治療行為

助言 /生活指導A45

症例５

１歳女児。のどに魚の骨が刺さったようだといって母親が連れてきた。診察の結果、咽頭に魚の骨を発見し、ピンセットで除去した。

のどに魚の骨が刺さったR87

診察R31

咽頭異物R87咽頭異物除去R59

受診理由

診断行為

診断

治療行為

症例６

５７歳女性。農作業中に右上腕を蜂に刺された。診察の結果、消毒と投薬を行った。

蜂に刺されたS12

診察S31

蜂刺傷S12消毒S56薬の処方S50

受診理由

診断行為

診断

治療行為

症例７

３歳女児。歩き方がおかしくて、左足が痛いようだと母親が連れてきた。左足部が痛いようなので湿布を処方したが原因はわからなかった。様子をみて、よくならないようなら再診を指示した

歩き方がおかしいN29左足痛L17診察N31

左足痛L17

助言 /再診指示L45

受診理由

診断行為

診断

治療行為湿布処方L50

診断がつかなければ受診理由を病名にする

症例８ 58 歳男性。高血圧で通院している。今日もいつものように診察したが、水虫の薬が欲しいという。足白癬を認めたので、軟膏といつもの降圧薬を処方した。

高血圧経過観察K31

受診理由

診断行為

診断

治療行為

水虫の薬希望S50

診察K31

高血圧K86

診察S31

足白癬S74

降圧薬K50

複数のエピソードを区別してコードする

抗真菌剤S50

症例９ –１

50 歳男性。3週間前から鼻閉、鼻汁が続くので受診した。後鼻漏があるが身体所見は異常ない。レントゲン撮影にて右上顎洞の急性副鼻腔炎の診断で抗生剤を処方して再診を指示した。

鼻閉、鼻汁R07

診察R31

急性副鼻腔炎R75

助言 /再診指示R45

受診理由

診断行為

診断

治療行為抗生剤処方R50

副鼻腔 X-pR41

症例９ –２数日後、鼻の症状はよくなったが、最近息切れがするといって再診。動くと息がきれるので仕事を休んでおり、横になるよりも座っていたほうが楽だという。数年前心筋症といわれ治療を受けたことがあるが、現在は落ち着いているため定期通院はしていないという。

胸部聴診上湿性ラ音を聴取。酸素飽和度 92％、胸部 X-P 上著名な心拡大と肺浮腫を認め心不全を合併したものと診断した。

利尿剤静注により症状は改善したが、精査加療のため入院を勧めた。

副鼻腔炎再診R31診察R31

急性副鼻腔炎R75

入院助言K45

受診理由

診断行為

診断

治療行為

利尿剤静注K50

息切れR02

診察R31 ・ K31SpO2R39胸部 X-pR41心不全K77

エピソードが複数ある場合、それぞれコード化していく

第 1部． ICPC コーディングの基礎プログラム３

ICPC- ２コード化演習コード例（解答）配布


第２部

ICPC の臨床分析と将来展望


第２部． ICPC の臨床分析と将来展望４． ICPC の臨床分析例

４－１　松戸市夜間小児応急診療所

国際疾病分類研究会委員和座一弘



４－２　自治医科大学

国際疾病分類研究会委員三瀬　順一



４－３　千葉大学医学部

国際疾病分類研究会委員藤田　伸輔



４－４　洲本市応急診療所

国際疾病分類研究会委員山岡　雅顕


洲本市応急診療所洲本市応急診療所は平日の準夜間と休日に診療を行う年中無休の一次応急診療所である。 1年間の受診者数は、 3,500 ～ 4,000人。

洲本市健康福祉館洲本市健康福祉館（（ 11 階に診療所がある）階に診療所がある）洲本市応急診療所診察室洲本市応急診療所診察室

診察時間

年中無休、年中無休、 12/3112/31～～ 1/31/3、、 8/158/15は日祝に準は日祝に準じるじる

診察時間

月火水木金土日祝

9:00-12:00 ○13:00-17:00 ○ ○ ○18:00-22:00 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

ICPC2の記録方法患者一人診察終了毎に、パソコンの表計算ソフトMS-EXCELに入力する。演者以外の診療日の分は、直近の演者勤務日にカルテを見てまとめて入力している。現在、主訴と診断病名のみ ICPC コードに変換している。 ICPC コードの参照は、 ICPC-2の EXCELファイルから、 EXCELの検索機能を使って行うが頻出するコードは限られており、入力はコピーアンド､ペーストで済むことが多い。

診察して･･･入力する･･･

症状別集計平成 12年 10月 1 日～平成 18年 1月 19 日（プライマリ・ケア国際分類コード別）

A037947発熱名22%

S07( )436発疹全身名

1%

D02363胃痛名1%

S18398切創名1%

L20375多関節痛名

1%

S12309虫刺症名

1%

S02236皮膚の痒み

名1%

H01230耳痛名1%

その他5936名

17%

S06( )214発疹部分名

1%

T03383食欲不振名

1%

D09609嘔気名2%S56

759消毒名2%

A04483倦怠感名

1%

R74895風邪名3%

D061185腹痛名3%

N011258頭痛名4%

D111750下痢名5%

D101888嘔吐名5%

R054302咳嗽名12%

R212521咽頭痛名

7%

R073155鼻汁名9%

患者数　 18,189名症状総数 35,6321人平均症状数　 1.96

受診理由上位 20で全受診理由の82% 、上位 30で全受診理由の89% を占める。

病名別集計平成 12年 10月 1 日～平成 18年 1月 19 日（プライマリ・ケア国際分類コード別）

R74急性上気道炎

6778名35%

A72220水痘名1%

H71167急性中耳炎

名1%

S13213動物咬傷名

1%

S14199熱傷名1%

D12159便秘名1%

A03145発熱名1%

D83口舌耳下腺疾患

141名1%

その他3862名

20%

U71213膀胱炎名

1%

S98306蕁麻疹名

2%R76323急性扁桃炎

名2%

S17287擦過傷名

1%

S12350虫刺症名

2%

D87366胃炎名2%S16

/ 373挫傷打撲傷名2%

R78急性気管支炎

470名2%

R96482気管支喘息

名3%

D732417急性胃腸炎

名13%

S18716切創名4%

R801089ｲﾝﾌﾙｴﾝｻﾞ

名6%

患者数　 18,189名病名総数 19,2761人平均病名数　 1.06

診断病名上位 20で全病名の 80% 、上位 30 で全病名の 85% を占める。

症状割合の推移平成 12年 10月 1 日～平成 18年 1月 19 日（プライマリ・ケア国際分類コード別）

0%5%

10%15%20%25%30%35%

2 0 0 0 / 1 0

2 0 0 0 / 1 2

2 0 0 1 / 2

2 0 0 1 / 4

2 0 0 1 / 6

2 0 0 1 / 8

2 0 0 1 / 1 0

2 0 0 1 / 1 2

2 0 0 2 / 2

2 0 0 2 / 4

2 0 0 2 / 6

2 0 0 2 / 8

2 0 0 2 / 1 0

2 0 0 2 / 1 2

2 0 0 3 / 2

2 0 0 3 / 4

2 0 0 3 / 6

2 0 0 3 / 8

2 0 0 3 / 1 0

2 0 0 3 / 1 2

2 0 0 4 / 2

2 0 0 4 / 4

2 0 0 4 / 6

2 0 0 4 / 8

2 0 0 4 / 1 0

2 0 0 4 / 1 2

2 0 0 5 / 2

2 0 0 5 / 4

2 0 0 5 / 6

2 0 0 5 / 8

2 0 0 5 / 1 0

2 0 0 5 / 1 2

A03発熱

R05咳嗽

R07鼻汁

R21咽頭痛

D10嘔吐

D11下痢

D06腹痛

N01頭痛

S56消毒

S18切創

S12虫刺症

R03喘鳴

※ 外傷はここでは、 S18 切創、S16 挫傷 / 打撲傷、 S13 動物咬傷、 S17 擦過傷、 S14 熱傷　の 5つのコードの合計とした

病名割合の推移平成 12年 10月 1 日～平成 18年 1月 19 日（プライマリ・ケア国際分類コード別）

0 %

1 0 %

2 0 %

3 0 %

4 0 %

5 0 %

6 0 %

R74 急性上気道炎 D73 急性胃腸炎R80 インフルエンザ R96 気管支喘息S12 虫刺傷外傷

流行している、あるいは流行が予測される疾患をホームページで随時情報提供・警告している。

能動喫煙と受診理由

能動喫煙と受診理由で有意な関係が認められたのは、 ICPC コード別に、 A03発熱（ 1.51。数値はオッズ比。以下同じ。）、 R21咽頭痛（ 1.45）、 R05咳（ 1.49）、 D11下痢（ 1.82）、 D06腹痛（ 1.82）等だった。

受診理由 P オッズ比 χ 2乗値A03発熱 0.0005 1.51 1.20 1.91 12.24R21咽頭痛 0.0062 1.45 1.11 1.89 7.50R05咳 0.0050 1.49 1.13 1.97 7.88R07鼻汁 0.2846 1.20D11下痢 0.0006 1.82 1.29 2.56 11.81R74急性上気道炎 0.0119 1.57 1.10 2.22 6.33N01頭痛 0.0549 1.43D10嘔吐 0.7398 1.07D06腹痛 0.0034 1.82 1.22 2.73 8.57D09嘔気 0.9963 1.00D02胃痛 0.2643 1.31A04全身倦怠感 0.4897 1.20L20関節痛 0.0272 1.79 1.07 3.01 4.88S12虫刺傷 0.3385 0.76S18切創 0.6283 1.15N17めまい 0.3604 0.69

95%CI 受診理由 P オッズ比U01排尿痛 0.0971 0.49T03食欲不振 0.2214 0.48L03腰痛 0.0611 0.36S13動物咬傷 0.6236 1.25R50投薬希望 0.1588 1.84S06発疹（限局） 0.4575 1.39S02掻痒 0.6236 1.25D19歯の症状 0.2517 1.70S07発疹（全身） 0.0661 2.40S98蕁麻疹 0.5552 0.64S16挫傷・打撲傷 0.9560 0.97S04腫脹（限局） 0.8915 1.07S17擦過傷 0.8218 1.11F76耳内異物 0.8018 1.15D12便秘 0.9710 1.02

※対象は成人の初診患者 2,651 名、5,131受診理由。※対照群との間で2×2表を作成し、χ2乗分析を行った。※赤字は有意差が認められたもので、95%信頼区間も示した。

能動喫煙と診断病名で有意な関係が認められたのは、 R74 急性上気道炎（ 1.48）、 D87胃炎（ 1.65）、 R76 急性扁桃炎（ 4.45）、D82歯疾患（ 2.80 ）であった。

能動喫煙と診断病名診断病名 P オッズ比 χ 2乗値

R74急性上気道炎 0.0010 1.48 1.17 1.87 10.78D73急性胃腸炎 0.0583 1.36R80インフルエンザ 0.1399 1.45D87胃炎 0.0365 1.65 1.03 2.64 4.37S12虫刺傷 0.1932 0.70S18切創 0.5254 1.19R76急性扁桃炎 0.0000 4.45 2.31 8.57 19.94R96気管支喘息 0.2030 1.53R78急性気管支炎 0.6169 1.18U71尿路感染症 0.0385 0.44 0.20 0.96 4.28S16挫傷・打撲傷 0.5597 1.22S98蕁麻疹 0.9004 1.05S13動物咬傷 0.6236 1.25S17擦過傷 0.6834 0.82H82回転性めまい 0.9667 1.02N17めまい 0.4469 0.59

95%CI 診断病名 P オッズ比 χ 2乗値D82歯疾患 0.0371 2.80 1.06 7.39 4.35N01頭痛 0.8018 1.15D83口腔疾患 0.4596 0.56S14熱傷・火傷 0.9313 1.27D12便秘 0.8018 1.15S88接触性皮膚炎 0.9904 0.85F76眼内異物 0.8816 1.09U95尿路結石 0.7245 0.68A03発熱 0.1647 0.19L03腰痛 0.1162 0.17F70感染性結膜炎 0.2975 1.78S09爪周囲炎 0.7755 0.66S02掻痒 0.5772 2.04L77足関節捻挫 0.4711 0.31S19その他皮膚損傷 0.2605 0.34

95%CI

※対象は成人の初診患者 2,651 名、 2,840 診断病名。※赤字は有意差、青字は逆の関係が認められたもので、 95%信頼区間も示した。年齢調整はしていない。

受動喫煙と受診理由で有意な関係が認められたのは、 A03発熱（ 1.23）、R21咽頭痛（ 1.29）、 R05咳（ 1.24 ）、 R07鼻汁（ 1.26 ）、 D11下痢（ 1.37）、 N01頭痛（ 1.54）、 D02胃痛（ 1.68）などであった。

受動喫煙と受診理由受診理由 P オッズ比 χ 2乗値

A03発熱 0.0074 1.23 1.06 1.43 7.16R21咽頭痛 0.0162 1.29 1.05 1.60 5.78R05咳 0.0142 1.24 1.04 1.48 6.02R07鼻汁 0.0136 1.26 1.05 1.52 6.08D11下痢 0.0081 1.37 1.08 1.72 7.00R74急性上気道炎 0.0096 1.44 1.09 1.89 6.70N01頭痛 0.0010 1.54 1.19 2.00 10.84D10嘔吐 0.0758 1.22D06腹痛 0.1681 1.20D09嘔気 0.0636 1.39S07発疹（全身） 0.1210 1.33D02胃痛 0.0125 1.68 1.12 2.53 6.24A04全身倦怠感 0.0157 1.65 1.10 2.48 5.84S18切創 0.4140 0.83L20関節痛 0.1019 1.48S12虫刺傷 0.9663 1.01H01耳痛 0.3011 1.29T03食欲不振 0.0376 1.67 1.03 2.71 4.32

95%CI 受診理由 P オッズ比 χ 2乗値S06発疹（限局） 0.4324 1.23S98蕁麻疹 0.0551 1.65R03喘鳴 0.0059 2.10 1.24 3.58 7.58S02掻痒 0.7296 1.11S17擦過傷 0.8678 1.05R96喘息 0.0435 1.76 1.02 3.04 4.08S04腫脹（限局） 0.7877 1.08S16挫傷・打撲傷 0.5076 1.22S14熱傷・火傷 0.8966 1.04R50投薬希望 0.5766 1.22U01排尿痛 0.2487 0.65L03腰痛 0.5491 0.80N17めまい 0.7344 1.13S13動物咬傷 0.0707 1.95D19歯の症状 0.5264 1.30S01皮膚疼痛 0.1824 1.61D12便秘 0.0811 0.46D20口腔症状 0.1012 0.48

95%CI

※対象は全年齢の初診患者 5,732 名、 10,980 受診理由。※対照群との間で 2×2表を作成し、 χ2乗分析を行った。※赤字は有意差が認められたもので、 95%信頼区間も示した。

受動喫煙と診断病名で有意な関係が認められたのは、 R74 急性上気道炎（ 1.22）、 D73急性胃腸炎（ 1.32）、 R80 インフルエンザ（ 1.32）、R96 気管支喘息（ 1.73）、 D87胃炎（ 1.65）などであった。 10 歳未満の年齢層では、 R74 急性上気道炎（ 1.28）、 A72 水痘（ 1.78）、 S06発疹（限局）（ 5.63）が受動喫煙と有意な関係があった。

受動喫煙と診断病名

※対象は全年齢の初診患者 5,732 名、 6,118診断病名。※対照群との間で 2×2表を作成し、 χ2乗分析を行った。※赤字は有意差、青字は逆の関係が認められたもので、 95%信頼区間も示した。年齢調整はしていない。

診断病名 P オッズ比 χ 2乗値R74急性上気道炎 0.0109 1.22 1.05 1.43 6.48D73急性胃腸炎 0.0068 1.32 1.08 1.62 7.33R80インフルエンザ 0.0491 1.32 1.00 1.75 3.87R96気管支喘息 0.0014 1.73 1.24 2.43 10.16S12虫刺傷 0.6716 0.91R78急性気管支炎 0.6302 0.90S18切創 0.3414 0.80D87胃炎 0.0186 1.65 1.09 2.49 5.53S98蕁麻疹 0.1586 1.39S16挫傷・打撲傷 0.8156 1.06A72水痘 0.0436 1.63 1.01 2.63 4.07R76急性扁桃炎 0.2109 1.38H71急性中耳炎 0.9735 0.99S17擦過傷 0.8389 0.94S14熱傷・火傷 0.8297 1.07

95%CI 診断病名 P オッズ比 χ 2乗値A03発熱 0.3203 0.72U71尿路感染症 0.3699 0.74D12便秘 0.2289 0.66D83口腔疾患 0.6255 0.85S88接触性皮膚炎 0.5766 1.22F70感染性結膜炎 0.3955 0.71S13動物咬傷 0.0436 2.08 1.02 4.26 4.07S07発疹（多発） 0.2296 1.58D71流行性耳下腺炎 0.0528 2.13S02掻痒 0.2187 1.67N17めまい 0.8440 0.91A76その他のウイルス性発疹 0.0256 0.19 0.05 0.82 4.98N01頭痛 0.1772 1.82L77足関節捻挫 0.1772 1.82S84伝染性膿痂疹 0.1252 0.34

95%CI

まとめ•受診者に特徴的な受診理由・診断名・流行時期がわかった。

•一次救急患者において、能動喫煙および受動喫煙と関連している受診理由・診断病名が多数ある可能性がわかった。

•このように、受診理由や診断名を ICPC コードで表すことによって、プライマリ・ケアの現場での統一した基準の下での比較研究の可能性の一例を示した。

洲本市応急診療所ホームページhttp://www1.sumoto.gr.jp/shinryou/

第２部． ICPC の臨床分析と将来展望プログラム５

質疑応答


第２部． ICPC の臨床分析と将来展望プログラム６

ICPC の将来～　身近な応用法についての

ディスカッション　～


第２部． ICPC の臨床分析と将来展望プログラム７

グループ別発表


プログラム８

閉会

ワークショップ評価票にご記入の上、回収箱にお入れください。

ご参加、まことにありがとうございました。

国際疾病分類研究会委員一同第 29 回日本プライマリ・ケア学会　 ICPC-2 ワークショップ

ありがとうございました


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ワークショップ９ ICPC による臨床分析と将来展望