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はじめに 髄膜炎尿閉症候群(meningitis-retention syn- drome:MRS)は,無菌性髄膜炎に排尿障害を 合併する稀な症候群であり,自然軽快すること が知られており,内科だけでなく,泌尿器科分 野で症例報告が散見されているが,報告数は少 なく,初期症状や症状の経過についてのまと まった報告はない.今回,排尿障害,尿閉が初 期症状で,無菌性髄膜炎としては頭痛が軽微 で,嘔気が後に出現したMRSを経験したため, ここに報告する. 症例 患者:50代,女性.主訴:発熱,腰痛,排尿 困難.現病歴:入院9日前より尿が出にくいこ とを自覚し,6日前に腰痛が出現したが,この 前日に重いものを持ったためと思っていた.5 日前に37℃後半の発熱があり,頻尿を認めるよ うになり,3日前に近医を受診,感冒の診断で 第1世代セフェム抗菌薬を処方された.入院日 午前に排尿困難を主訴に近医泌尿器科を受診 し,尿閉を認め,導尿を施行し,帰宅.その後, 頻尿,発熱があり,当院救急外来に夕方受診. 尿路感染の診断でceftriaxone(CTRX)を投与し 尿閉で発症した無菌性髄膜炎, meningitis-retention syndromeの1例 松坂 俊 1) 星 哲哉 1) 山田 玄 1) 大橋 祐介 1) 萬 春花 1) 宮本 翔平 1) 高松 茜 1) 小山 敏樹 2) 本田 奈々瀬 3) 芹澤 良幹 1) 要 旨 髄膜炎尿閉症候群(meningitis-retention syndrome:MRS)は無菌性髄膜炎に尿閉を合併する疾患であるが, 今回,尿閉が初期症状であった症例を経験した.50代女性が排尿障害を発症,後に発熱を来たし,尿路感染とし て入院加療を開始したところ,悪心嘔吐が出現,髄液検査で無菌性髄膜炎が診断され,排尿障害は尿閉であった ことから,MRSと診断された.MRSは尿閉を初期症状として発症し得るため,原因不明の急性尿閉を来たす疾 患としてMRSを念頭に置く必要がある. 〔日内会誌 106:107~113,2017〕 ポイント ・排尿障害,尿閉は無菌性髄膜炎の稀な合併症である. ・尿閉で発症する無菌性髄膜炎が存在する. ・特別な治療はないが,診断することにより自然軽快する予後を予測することができる. Key words 排尿障害,尿閉,無菌性髄膜炎,髄膜炎尿閉症候群,meningitis-retention syndrome 〔第276回北海道地方会(2016/02/27)推薦〕〔受稿2016/08/12,採用2016/09/20〕 1)手稲渓仁会病院総合内科/感染症科,2)同 泌尿器科,3)多摩総合医療センターリウマチ膠原病科 Case Report;Meningitis-retention syndrome presented with primary symptom of urinary retention. Suguru Matsuzaka 1) , Tetsuya Hoshi 1) , Gen Yamada 1) , Yusuke Ohashi 1) , Haruka Yorozu 1) , Shouhei Miyamoto 1) , Akane Takamatsu 1) , Hideki Koyama 2) , Nanase Honda 3) and Yoshimoto Serizawa 1) 1) Department of General Internal Medicine and Infectional Disease Medicine, Teine Kei- jinkai Hospital, Japan, 2) Department of Urology, Teine Keijinkai Hospital, Japan and 3) Department of Rheumatology, Tokyo Metropolitan Tama Medical Center, Japan. 107 日本内科学会雑誌 106 巻 1 号 今月の症例

今の症例 尿閉で発症した無菌性髄膜炎, meningitis-retention …

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はじめに

 髄膜炎尿閉症候群(meningitis-retention syn-drome:MRS)は,無菌性髄膜炎に排尿障害を合併する稀な症候群であり,自然軽快することが知られており,内科だけでなく,泌尿器科分野で症例報告が散見されているが,報告数は少なく,初期症状や症状の経過についてのまとまった報告はない.今回,排尿障害,尿閉が初期症状で,無菌性髄膜炎としては頭痛が軽微で,嘔気が後に出現したMRSを経験したため,ここに報告する.

症例

 患者:50 代,女性.主訴:発熱,腰痛,排尿困難.現病歴:入院 9 日前より尿が出にくいことを自覚し,6 日前に腰痛が出現したが,この前日に重いものを持ったためと思っていた.5日前に37℃後半の発熱があり,頻尿を認めるようになり,3 日前に近医を受診,感冒の診断で第 1 世代セフェム抗菌薬を処方された.入院日午前に排尿困難を主訴に近医泌尿器科を受診し,尿閉を認め,導尿を施行し,帰宅.その後,頻尿,発熱があり,当院救急外来に夕方受診.尿路感染の診断でceftriaxone(CTRX)を投与し

尿閉で発症した無菌性髄膜炎,meningitis-retention syndromeの1例

松坂 俊1)  星 哲哉1)   山田 玄1)   大橋 祐介1)   萬 春花1)

宮本 翔平1)  高松 茜1)  小山 敏樹2)  本田 奈々瀬3)  芹澤 良幹1)

要 旨

 髄膜炎尿閉症候群(meningitis-retention syndrome:MRS)は無菌性髄膜炎に尿閉を合併する疾患であるが,今回,尿閉が初期症状であった症例を経験した.50代女性が排尿障害を発症,後に発熱を来たし,尿路感染として入院加療を開始したところ,悪心嘔吐が出現,髄液検査で無菌性髄膜炎が診断され,排尿障害は尿閉であったことから,MRSと診断された.MRSは尿閉を初期症状として発症し得るため,原因不明の急性尿閉を来たす疾患としてMRSを念頭に置く必要がある.

〔日内会誌 106:107~113,2017〕

ポイント ・排尿障害,尿閉は無菌性髄膜炎の稀な合併症である. ・尿閉で発症する無菌性髄膜炎が存在する. ・特別な治療はないが,診断することにより自然軽快する予後を予測することができる.

Key words 排尿障害,尿閉,無菌性髄膜炎,髄膜炎尿閉症候群,meningitis-retention syndrome

〔第276回北海道地方会(2016/02/27)推薦〕〔受稿2016/08/12,採用2016/09/20〕1)手稲渓仁会病院総合内科/感染症科,2)同 泌尿器科,3)多摩総合医療センターリウマチ膠原病科Case Report;Meningitis-retention syndrome presented with primary symptom of urinary retention.Suguru Matsuzaka1), Tetsuya Hoshi1), Gen Yamada1), Yusuke Ohashi1), Haruka Yorozu1), Shouhei Miyamoto1), Akane Takamatsu1), Hideki Koyama2), Nanase Honda3) and Yoshimoto Serizawa1):1)Department of General Internal Medicine and Infectional Disease Medicine, Teine Kei-jinkai Hospital, Japan, 2)Department of Urology, Teine Keijinkai Hospital, Japan and 3)Department of Rheumatology, Tokyo Metropolitan Tama Medical Center, Japan.

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て帰宅したところ,悪寒戦慄および尿閉の再燃を認めて入院となった.入院時の導尿では約700 mlの排尿を認め,尿閉が確認されていた.既往歴:膀胱炎(3回),小学生のときにウイルス性髄膜炎.家族歴:特記すべき事項なし.内服薬:上記抗菌薬以外なし.社会歴:飲酒,喫煙なし.身体所見:全身状態はやや倦怠感あり不 良. 体 温 37.4℃. 脈 拍 69/分, 整. 血 圧121/77 mmHg.呼吸数18回/分.SpO2 97%(室内気).眼球,眼瞼結膜異常なし,頸部リンパ節腫大なし,肺雑音,心雑音聴取せず,腹部は平坦軟で腫瘤などは触れないが,右下腹部に軽度の圧痛を認める.腸音は正常で特記すべき所見なし.左腰部の叩打痛があるが,脊柱には認めず.軽度手足のしびれを自覚しているが,身体所見上の感覚低下なし.腱反射は左右差なく,病的反射も認められない.血液検査所見:赤血球 397 万/μl,Hb 12.3 g/dl,白血球 7,050/μl,血小板 25.7 万/μl,Alb 3.8 g/dl,BUN 13.1 mg/dl,Cr 0.53 mg/dl,AST 16 U/l,ALT 14 U/l,ALP 151 U/l,γ-GTP 11 U/l,Na 136 mEq/l,K 4.1 mEq/l,Cl 100 mEq/l,Ca 9.1 mg/dl,CRP<0.05 mg/dl,尿沈渣所見:赤血球0~4/HPF,白血球尿 0~4/HPF,尿蛋白定性陰性.造影CT所見:腎周囲の脂肪織の炎症はなかったが,尿管拡張が軽度みられた(図 1).

明らかな尿路症状(特に頻尿)があり,当初,抗菌薬を近医で処方されていたため,尿沈渣が陰性の尿路感染の可能性を考えた.

入院後経過(図 2)

 入院後の経過を図 2 に示す.尿路感染としてCTRXを継続したが,38℃台の発熱が継続した.2日目より軽度の嘔気が出現し,5日目に嘔気の急激な悪化が認められたため,頭部単純MRIを施行したが,異常所見は認められなかった.排尿障害は尿閉であり,発熱および嘔気・嘔吐が継続したことから,症状について文献検索したところ,MRSの疑いがあると判断し,頭痛は軽度であり,後部硬直およびJolt accentuationも陰性であったが,6 日目に髄液検査を施行し,細胞数 520/μl,細胞種類,単核球 99%,多核球1%,蛋白質172 mg/dl(10~40),糖定量35 mg/dl(50~75,血清血糖は83 mg/dl)と髄膜炎の所見を認めた.やや髄液糖は低かったが,入院時の血液培養は陰性であり,経過から細菌性髄膜炎は否定的と判断し,抗菌薬の投与を終了した.7 日目に泌尿器科に受診し,排尿筋障害を認められ(図 3),脊髄MRIで異常所見なく(図4),無菌性髄膜炎に伴うMRSと診断した.コリン作動薬を開始したが改善なく,10日目に清潔

一口メモ

図1 腹部造影CT

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間 欠 自 己 導 尿(clean intermittent catheteriza-tion:CIC)を開始した.13 日目に嘔気は消失し,15 日目には解熱,18 日目にCICを行えるようになったため,退院となった.その後,外来

フォローにて発症約 1 カ月後に排尿障害は自然消失したため,無菌性髄膜炎によるMRSを最終診断とした. 無菌性髄膜炎の原因検索として,各種ウイル

図2 入院後経過

36

36.5

37

37.5

38

38.5

39

1 3 7 8 96542 10 15 1614131211

体温(℃)

病日

嘔気嘔気

MRI

髄液検査陽性

EBV PCR 陽性

HSV PCR 陰性

退院

CTRXCTRX

泌尿器科受診コリン作動薬開始

CIC 開始

嘔気増悪

図3 ウロダイナミクス排尿反射の消失があり,いきみ後も膀胱内の尿がなくならず,圧が高い.

<入院中>

いきみ指示

時間

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ス検査を施行した.EBV(Epstein-Barr virus)のペア血清は表の通りで,髄液のマルチプレックスPCR(Herpes Mplex®)にてEBVが検出され,ペア血清での抗VCA-IgGおよび抗EA-DR-IgGの上昇,抗EBNA抗体陽性から,EBVの再燃によるMRSであったことが示唆された.

考察

 本症例よりMRSには排尿障害,尿閉で発症する場合があり,髄膜炎様症状に乏しいこともあること,MRSの原因がEBVの再活性化の可能性があることが示された. MRSでは排尿障害,尿閉が初期症状となり得るが,稀である.MRS,無菌性髄膜炎/尿閉をPubMedおよび医学中央雑誌で検索してみると,HSV(herpes simplex virus)による性器感染に伴うもの1)や六君子湯と真武湯による薬剤性の症例2)などの症例以外ではほぼ全例で頭痛が主訴に入っていた.MRSの原因として原田病の症例も報告されているが,この症例でも髄膜炎症状としての頭痛が初発症状で認められている3).

 メカニズムとしては,原因疾患による仙髄神経根障害,一過性の括約筋障害とされており,性器ヘルペス感染に併発するときには狭義にElsberg症候群と呼ばれることもある1)が,MRSと同様に扱っている論文も多い.現在は無菌性髄膜炎に合併する尿閉としてMRSと主に報告されているようであり,髄膜炎症状が主でない場合はElsberg症候群とされていることが多いようである. 排尿障害,尿閉を主訴とした場合は,通常,泌尿器科疾患として男性では前立腺疾患,女性では神経因性膀胱を主に考える.若年女性の場合にはFowler症候群という原因不明の尿道弛緩不全などもある4)が,悪性疾患の除外も考慮する必要がある.内科的疾患は,稀ではあるが,Guillain–Barré症候群,ADEM(acute disseminated encephalomyelitis),脊髄炎,仙骨ヘルペスなどが鑑別となるが,一般的にはこれらは感覚運動障害を有する点で異なる.今回は尿路感染症による膀胱刺激症状を排尿障害として認識してしまっており,当初は尿閉に着目していなかった. 治療は,HSV感染によるものでは,抗ウイルス薬の早期投与が早期改善に関係する可能性があると報告されている5)が,通常は特に治療は必要なく,排尿障害も自然に改善することが知られており,この症例も外来で完全に治癒した. 無菌性髄膜炎の原因で報告されているものとしては,局所感染からの波及でElsberg症候群とし て 尿 閉 を 来 た すHSV,VZV(varicella-zoster virus) のほかに, 原田病3)やウエストナイル

図 4 脊髄MRI T2明らかな異常は認められない.

表 EBVの抗体価の変化

EBV 抗体 入院時 退院後(約 3週間後)抗VCA-IgG 320 倍 640 倍抗VCA-IgM 10 倍未満 10 倍未満抗EA-IgG 20 倍 10 倍抗EBNA抗体 160 倍 160 倍EBV抗体の変化について軽度ではあるが,抗VCA-IgG抗体と抗EA-IgG抗体の上昇がみられた.

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熱6),EBV7)などの報告がある.今回,保険適用外であるが,ヘルペス属であるHSV-1,HSV-2,CMV(cytomegalovirus),EBV,HHV(human herpesvirus)-6 遺伝子を髄液PCRにて同定できるマルチプレックスPCR8)を使用し,EBVを検出した.2 倍ではあるが,EBV抗VCA-IgGの上昇が認められ,EBVの再活性化によるMRSが考えられた.

最終診断

EBV再活性化による 無菌性髄膜炎に伴うMRS

 女性の尿路感染の頻度が高いことより,初発症状である排尿障害が尿閉であることに着目できず,当初,尿路感染と診断したが,その後,発熱,嘔気・嘔吐があり,髄膜炎症状と考え,髄液検査により診断に至った症例であった.

おわりに

 尿閉より発症したMRSを経験した.発熱と尿閉の組み合わせの鑑別診断にMRSを入れることが大切である.

著者のCOI(conflicts of interest)開示:本論文発表内容に関連して特に申告なし

文 献

1) Hemrika DJ, et al : Elsberg syndrome : a neurologic basis for acute urinary retention in patients with genital her-pes. Obstet Gynecol 68 : 37s―39s, 1986.

2) Takahashi O, et al : Herbal medicine-induced meningitis-retention syndrome. Intern Med 49 : 1813―1816, 2010.

3) Hiraga A, et al : Vogt-Koyanagi-Harada disease with meningitis-retention syndrome and increased CSF adenos-ine deaminase levels. Clin Neurol Neurosurg 127 : 42―43, 2014.

4) Karmarkar R, et al : Gynaecological pathology in women with Fowler’s syndrome. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 194 : 54―57, 2015.

5) Krishna A, et al : Meningitis retention syndrome. J Community Hosp Intern Med Perspect 2, 2012.6) Mankongpaisarnrung C, et al : Meningitis-retention syndrome as a presentation of west nile virus meningitis.

Case Rep Med 2013 : 984345, 2013.7) 渡辺 悠,他:EBウイルス感染による髄膜炎尿閉症候群(meningitis-retention syndrome : MRS).日小児会誌 

118 : 1551, 2014. 8) 田中稔生,斎藤由美子:マルチプレックスPCR. 臨床と微生物 31 : 111―115, 2004.

 

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【 最先端医療を含む, 質の高い高度急性期医療を実現】

 手稲渓仁会病院は,質の高い急性期総合医療の提供を使命としています.地域の基幹病院として救急医療・専門医療に注力しつつ,提携医療機関との連携を進めることで慢性期から在宅医療までを見渡し,切れ目のない医療の提供を進めています.また,医療人の育成やスタッフのキャリアアップを支援し,職員一丸となって医療の質の向上を実現させていきます.

【診療科目】 内科・呼吸器内科・循環器内科・消化器内科・外科・呼吸器外科・乳腺外科・心臓血管外科・整形外科・脳神経外科・形成外科・精神保健科・リウマチ科・小児科・皮膚科・泌尿器科・産科・婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・リハビリテーション科・麻酔科・歯科・口腔外科・小児歯科・血液内科・腎臓内科・消化器外科・頭頸部外科・放射線診断科・放射線治療科・病理診断科・救急科・腫瘍内科

【主な特徴】 地域医療支援病院(医療法第 4 条第 1 項)

 救命救急センター 災害拠点病院 地域周産期センター 地域がん診療連携拠点病院 臨床研修指定病院 DPC(診断群分類別包括評価)II群 ISO9001 認証(審査登録)

【主な実績:2015 年度】 ・1 日平均外来患者数 717 名 ・1 日平均入院患者数 543 名 ・月平均新入院患者数 1,427 名 ・平均在院日数 10.6 日 ・ 救急患者数 21,090 名

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【総合内科・感染症科の紹介】 2016 年度の医師数 8 名,後期研修医 5 名. 2015年1~12月の年間入院患者877人,臨時入院比率約94%,救急搬送から入院になった患

症例掲載施設紹介

地域医療支援病院 医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院

回診風景

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者の約38%は総合内科入院で,急性期医療を主に担当しています. 感染症,不明熱が主な診察ですが,問題を多数抱える患者で整理が必要な場合や他科で診断がつかなかった症例(原発不明癌も含む),特別な治療の必要がないcommon diseasesなども当科で引き受けて診療しています. 現在4,5年目の後期研修医をチームリーダーとし,その下に 3 年目のサブリーダー,1~2 年目の初期研修医でのチーム編成で 2 チーム,常時 40~50 人,毎日 2~4 人の新規入院を受けています. 疾患はバラエティに富んでおり,一次~三次医療病院で大学級の規模であることから,重症

であったり稀であったりする疾患も来院します. 研修の特徴として,総合内科病棟のduty以外は自分のスキルを上げたい分野での研修の選択肢が豊富であることです.本年度は 6 カ月間,チームリーダーとして総合内科病棟研修をしてもらった以外は消化器で内視鏡をやったり,緩和ケアを学んだり,マイナー科での研修をしたり,地域に行ったりと,比較的自由な研修をしています.後期研修が終わったら「どこに行っても応用の利く医療ができる」を目標にしています.

文責: 手稲渓仁会病院 総合内科・感染症科 主任医長 松坂  俊

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