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document number: 63719 www.vishay.com Revision: 02-Dec-04 1 本文書は、予告なしに変更される場合があります。ここに記載された製品および本文書は、ビシェイ社の免責条項に基づいています。詳細はビシェイ社の ウェブサイト(www.vishay.com/doc?99900 )をご参照ください。 VISHAY SILICONIX パワー MOSFET Application Note 608 パワー MOSFET の基礎:ゲート電荷を理解し、それを利用して スイッチング性能を評価する アプリケーションノート 執筆者:Jess Brown はじめに これは、単独デバイスとして使用した場合と、スイッチン グデバイスとしてスイッチモード電源(SMPS)に実装した 場合の両方について MOSFET の基本動作を説明する、一連 のアプリケーションノートの 2 つめです。1 つめのアプリ ケーションノート (1) では、 MOSFET とこのデバイスに関連 した用語について、定義や物理構造を含む基本事項を説明 しました。今回のアプリケーションノートでは、実用的な アプリケーション回路で使用した場合の MOSFET のスイッ チング動作についてさらに詳しく説明し、データシートに 記載されている最小限の情報に基づいて、読者や設計者が アプリケーションにふさわしいデバイスを選択できるよう にすることを目指します。このアプリケーションノートで は、MOSFET のスイッチング性能を評価する手法をいくつ か取り上げ、これらの手法を実際の結果に照らして比較し ます。文中で使用するいくつかの定義は、アプリケーショ ンノート AN605 から借用したものです。 (1) AN605 「パワーMOSFET の基礎」:「性能指数に関連したMOSFET の特性を理解する」、Doc. No. 71933 MOSFET 単独でのスイッチング 静電容量の利用 MOSFET のスイッチング動作を基礎から理解するには、ま ず外部的な影響を一切排除して、このデバイス単独で考え るのが最善です。この条件下での MOSFET ゲートの等価回 路を図 1 に示します。この場合、ゲートは 1 つの内部ゲー ト抵抗(R g )と 2 つの入力コンデンサ(C gs C gd )で構成 されています。この簡単な等価回路で、ステップゲート電 圧の出力電圧応答を取得することが可能です。 図 1 - C gs C gd R g のみを 示した MOSFET ゲートの等価回路 電圧 V GS はこのデバイスのゲートにおける実際の電圧であ り、デバイスのスイッチング動作を分析する際に検討する 必要があるのは、このポイントにほかなりません。 ステップ入力が V GS_APP で印加される場合、次の式が成り 立ちます。 (1) (2) (3) また、V DS が一定であるため、次のようになります。 (4) したがって、次の式が導かれます。 (5) さらに、 (6) となり、次の式が得られます。 (7) (8) t = 0 V GS = 0 V であるため、次のようになります。 (9) V DS C gd C gs I gd I gs V GS R g I g V GS_APP i g V GS_APP V GS R g ---------------------------------------- = i g i gs i gd + = i gs C gs dV GS dt -------------- = i gs C gd dV GS dt -------------- = V GS_APP V GS R g ---------------------------------------- C gs dV GS dt -------------- C gd dV GS dt -------------- + = dV GS V GS_APP V GS ---------------------------------------- dt C gs C gd + ( ) R g -------------------------------------- = In V GS_APP V GS ( ) t C gs C gd + ( ) R g -------------------------------------- k + = V GS V GS_APP ke t C gs C gd + ( ) R g = V GS V GS_APP 1 e t C gs C gd + ( ) R g ( ) =

パワー MOSFET の基礎:ゲート電荷を理解し、それを利用して

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V I SHAY S I L I CON IX

パワーMOSFET Application Note 608

パワーMOSFETの基礎:ゲート電荷を理解し、それを利用してスイッチング性能を評価する

アプ

リケ

ーシ

ョン

ノー

執筆者:Jess Brown

はじめにこれは、単独デバイスとして使用した場合と、スイッチングデバイスとしてスイッチモード電源(SMPS)に実装した場合の両方について MOSFET の基本動作を説明する、一連のアプリケーションノートの 2 つめです。1 つめのアプリケーションノート (1) では、MOSFET とこのデバイスに関連した用語について、定義や物理構造を含む基本事項を説明しました。今回のアプリケーションノートでは、実用的なアプリケーション回路で使用した場合の MOSFET のスイッチング動作についてさらに詳しく説明し、データシートに記載されている最小限の情報に基づいて、読者や設計者がアプリケーションにふさわしいデバイスを選択できるようにすることを目指します。このアプリケーションノートでは、MOSFET のスイッチング性能を評価する手法をいくつか取り上げ、これらの手法を実際の結果に照らして比較します。文中で使用するいくつかの定義は、アプリケーションノート AN605 から借用したものです。注(1) AN605「パワーMOSFETの基礎」:「性能指数に関連したMOSFET

の特性を理解する」、Doc. No. 71933

MOSFET 単独でのスイッチング静電容量の利用MOSFET のスイッチング動作を基礎から理解するには、まず外部的な影響を一切排除して、このデバイス単独で考えるのが最善です。この条件下での MOSFET ゲートの等価回路を図 1 に示します。この場合、ゲートは 1 つの内部ゲート抵抗(Rg)と 2 つの入力コンデンサ(Cgs と Cgd)で構成されています。この簡単な等価回路で、ステップゲート電圧の出力電圧応答を取得することが可能です。

図 1 - Cgs、Cgd、Rg のみを示した MOSFET ゲートの等価回路

電圧 VGS はこのデバイスのゲートにおける実際の電圧であり、デバイスのスイッチング動作を分析する際に検討する必要があるのは、このポイントにほかなりません。ステップ入力が VGS_APP で印加される場合、次の式が成り立ちます。

(1)

(2)

(3)

また、VDS が一定であるため、次のようになります。 (4)

したがって、次の式が導かれます。 (5)

さらに、 (6)

となり、次の式が得られます。 (7)

(8)t =

0 で VGS = 0 V であるため、次のようになります。 (9)

VDS

Cgd

Cgs

Igd

IgsVGS

RgIgVGS_APP

igVGS_APP VGS–

Rg----------------------------------------=

ig igs igd+=

igs Cgs

dVGS

dt---------------=

igs Cgd

dVGS

dt---------------=

VGS_APP VGS–

Rg---------------------------------------- Cgs

dVGS

dt--------------- Cgd

dVGS

dt---------------+=

dVGS

VGS_APP VGS–---------------------------------------- dt

Cgs Cgd+( )Rg--------------------------------------=

In VGS_APP VGS–( )–t

Cgs Cgd+( )Rg-------------------------------------- k+=

VGS VGS_APP ke t– Cgs Cgd+( )Rg⁄–=

VGS VGS_APP 1 e t– Cgs Cgd+( )Rg⁄–( )=

document number: 63719 www.vishay.comRevision: 02-Dec-04 1

本文書は、予告なしに変更される場合があります。ここに記載された製品および本文書は、ビシェイ社の免責条項に基づいています。詳細はビシェイ社のウェブサイト(www.vishay.com/doc?99900)をご参照ください。

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プリ

ケー

ショ

ンノ

ート

この式から、実際のゲート電圧(VGS)がスレッショルド電圧に達するまでの時間がわかります。説明のために、より現実的な回路を図 2 に示します。この回路では、VDS と Cgdの間に抵抗が追加されています。この例では、ステップ応答が極めて複雑になり、式(式 10)を解くのが非常に難しくなります。

図 2 - Cgs、Cgd、Rg に加え、Rgd を示した MOSFET の等価回路

(10)

A と B は、それぞれ次のとおりです。

また、k は次のように表されます。

図 3 - 式 9(標準的な式)と式 10(複雑な式)をプロットしたグラフ

図 3 の式 9 と式 10 のプロットは、ゲート電圧が 1 V のス レッショルド電圧に達するまでの時間に約 1 ns の違いしか ないことを示しています。したがって、あまり複雑でない手法を採用しても、ゲート過渡電圧の確度に有意な影響を与えることはないという議論があり得ます。ただし、スイッチング時間の計算値はいずれも MOSFET で実際に発生する過渡事象よりも短くなることが指摘されています。上記のとおり、MOSFET に寄生要素を追加して考えると、そうした現実的な回路についてこれらの式を人手で扱うのはますます難しくなります。そのため、現実的な回路を分析する手法が必要です。これらの 2 次(寄生)要因を無視すると、MOSFET のターンオンおよびターンオフ時間の式を導くことが可能です。これは式 11 ~ 16 で得られ、得られる波形を図 4 と図 5 に示しています。これらの式は B. J. Baliga (1) によって考案された式に基づいています。ここで、 Rg は内部ゲート抵抗、Rg_app は外部ゲート抵抗、Vth はMOSFETのスレッショルド電圧、VGPはゲートプラトー電圧です。注(1) B. J. Baliga, Power Semiconductor Devices

VDS

Cgd

Cgs

Igd

Rgd

IgsVGS

RgIg

VGS_APP

VGS VGS_APP

VGS_APP

2 k----------------------- A B–( )–=

A CRk k+( )e t CR k–( )2CgdRgdCgsRg------------------------------------------–

=

B CRk k–( )e t CR k+( )2CgdRgdCgsRg------------------------------------------–

=

CRk CgsRg CgdRg CgdRgd++=

k Cgs2 Rg

2 2CgsRg2Cgd 2CgdRgdCgsRg–+=

Cgd2 Rg

2 2Cgd2 RgRgd Cgd

2 Rgd2

+++

VGS complex

VGS standard

00

0

2.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2

4

6

8

10

12

5040302010

0 54321

Time (ns)

Time (ns)

VGS (V

)VGS (V

)VGS standard

VGS complex

www.vishay.com document number: 637192 Revision: 02-Dec-04

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アプ

リケ

ーシ

ョン

ノー

(11)

(12)

(13)

VF は全負荷電流を流したときの MOSFET 両端の電圧であり、VDS はそれをオフにしたときの MOSFET 両端の電圧です。ここから、データシート値を使用すると正確な t1 と t2 が得られますが、Cgd が VDS とともに変化するため、t3 を計算するのは困難です。

図 4 - MOSFET のターンオン過渡事象 同じ原理をターンオフに適用すると、スイッチング過渡事象の式が次のように与えられます。

(14)

(15)

(16)

この場合、t4 と t6 は正確に計算できますが、解くのがより難しいのは t5 の式です。この時間中に VDS が変化し、それに伴って Cgs も変化するためです。したがって、何らかの手法で、動的な Cgd を使わずに t3 と t5 を計算する必要があります。

図 5 - MOSFET のターンオフ過渡事象

ゲート電荷を使用したスイッチング時間の算定図 6 のゲート電荷の波形 (1) を見ると、Qgs は原点から Millerプラトーの始点(VGP)までの電荷、Qgd は VGP からプラトーの終点までの電荷、Qg は原点から、駆動電圧 VGS がデバイスの実際のゲート電圧と等しくなる曲線上の点までの電荷として、それぞれ定義されます。注(1) Gate Charge Principles and Usage, Power Electronics Europe.

Issue 3, 2002. Technology.

図 6 - ゲート電荷の降伏を示す概略図t2 中の VGS の立ち上がり(図 4)は、Cgs と Cgd を帯電させると発生します。この時間中は VDS が変化しないため、VDSの関数として変化する Cgd と Cds も比較的一定にとどまります。この時点では、Cgs が概して Cgd よりも大きいため、駆動電流の大部分が Cgd よりも Cgs に流れ込みます。Cgd とCds を流れるこの電流は、静電容量と電圧との積の時間微分に依存します。そのため、ゲート電荷は Qgs であると仮定できます。

t1 Rg Rg_app+( ) Cgs Cgd+( )In 1

1Vth

VGS_APP-----------------------–

---------------------------------

=

t1 Rg Rg_app+( ) Cgs Cgd+( )In 1

1VGP

VGS_APP-----------------------–

---------------------------------

=

t3VDS VF–( ) Rg Rg_app+( )Cgd

VGS_APP VGP–----------------------------------------------------------------------------=

VDS

VGS

VGP

Vth

t1 t3

t2

IDS

t4 Rg Rg_app+( ) Cgd Cgs+( )InVGS_APP

VGP----------------------- =

t4 Rg Rg_app+( )Cgd

VDS VF–

VGP------------------------ =

t6 Rg Rg_app+( ) Cgd Cgs+( )VGP

Vth----------- =

VGS

VDS

IDS

t5 t6t4

Gat

e-S

ourc

e V

olta

ge (V

)

Gate Charge (nC)

VGS

VGPQgs

Qgd

Qg

Miller Plateau

2

3

1

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波形の次の部分は Miller プラトーです。一般に、ゲート電荷のグラフがプラトー領域に入る点は、ピーク電流のピーク値と一致すると見なされています。しかし、このゲート電荷の屈曲点は、実際には時間に対する積 (1)(CgdVGD)に依存します。したがって、小さな値のドレイン電流と大きな値の出力インピーダンスがある場合、実際には左の屈曲点が現れた後に IDS がその最大値に達することがあります。しかし、この電流の最大値は屈曲点に近いと仮定でき、このアプリケーションノート全体を通じて、屈曲点のゲート電圧は負荷電流 IDS に対応すると仮定されています。Millerプラトーの傾きは一般にゼロまたはほぼゼロであることが知られていますが、この勾配は Cgd と Cgs 間における駆動電流の分割に依存します。傾きがゼロでなければ、駆動電流の一部が Cgs に流れ込んでいます。傾きがゼロであれば、駆動電流すべてが Cgd に流れ込んでいます。こうした状態になるのは、CgdVGD の積が急速に増大し、駆動電流すべてが Cgd 両端の電圧の変化に対応するために使用されている場合です。したがって、Qgd は、デバイスが Miller プラトーにある間にゲートに注入された電荷です。プラトーが終わると(VDS がそのオン状態の値に達したとき)、Cgd が再び一定になり、電流の大部分が再び Cgs に流れ込むことに注意する必要があります。Cgd がはるかに大きく、より Cgs に近いため、勾配は第 1 の区間(t2)ほど急ではありません。注(1) Ibid.

ゲート電荷と静電容量を組み合わせたスイッチング時間の計算このアプリケーションノートの目的は、データシートの値を使用して MOSFET のスイッチング時間を予測し、それによってスイッチング損失の見積もりを可能にすることです。ターンオン損失が発生するのは t1 の終点から t3 の終点までの時間であるため、この時間を計算する必要があります(図 4)。式 11 と式 12 を組み合わせると、電流の立ち上がり時間を計算することが可能であり(tir = t2 - t1)、この時 間中は VDS が一定にとどまるため、適切な VDS 値で Ciss のデータシート定格値を使用することが可能です。 伝達 特性が一定であると仮定すると、VGP を Vth + IDS/gfs の代わ りに使用できます。したがって、次の式が得られます。

(17)VDSの立

ち下がり時間(tvf = t3)に Cgd の値を使用するのは困難で す。そのため、ゲート電荷のデータシート値を使用し

(Qgd_d)、ドレイン接続における電圧振幅(VDS_D - VF_D)で 除算すれば、実質的に過渡事象のデータシート値に基づいた Cgd の値が得られます。

(18)

同様に、ターンオフの状態変化について、電圧の立ち上がり時間(tvr = t5)は次の式で表されます。

(19)また、

電流の立ち下がり時間(tif = t6)は次のとおりです。 (20)

式とデータシート値の比較データシートで与えられているターンオン時間とターンオフ時間の定義を図 7 に示します。これらの定義は前述の式と同等と見なすことができ、次の関係が成立します。

(21)

(22)

(23)

(24)

図 7 - ターンオン時間とターンオフ時間の定義を示す概略図

tir Rg Rg_app+( ) Cissat VDS( )=

x Ingfs VGS_APP Vth–( )

gfs VGS_APP Vth–( ) IDS–-----------------------------------------------------------------

tvf

Qgd_d VDS VF–( ) Rg Rg_app+( )

VDS_D VF_D–( ) VGS_APP Vth

IDS

gfs--------+

----------------------------------------------------------------------------------------------------------=

tvr

Qgd_d VDS VF–( ) Rg Rg_app+( )

VDS_D VF_D–( ) Vth

IDS

gfs--------+

----------------------------------------------------------------------------------=

tif Rg Rg_app+( ) Cissat VDS( )In

Vth

IDS

gfs--------+

Vth-----------------------------

=

td on( ) t1 tir+≈

tr tvf≈

td off( ) t4≈

tf tvr≈

V

10 %

10 % 10 % 10 %

10 %

t

10%

VDS VGS

td(on) tf

tr td(off)

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スイッチング過渡事象の各最小値は適切なパラメータ値を使用して計算しました。これによって、最短のスイッチング過渡値が算出されました。場合によっては、スイッチング過渡事象の最小値の計算にパラメータの最大値を使用し、スイッチング過渡事象の最大値の計算にパラメータの最小値を使用しました。

式と実測したスイッチング過渡事象の比較スイッチング過渡事象のデータシート値は抵抗負荷を使用して測定したもので、実用的な回路を真に表しているとはいえません。その結果、デバイスは前述の理想的な動作の様には動きません。そのため、実際のスイッチング波形を測定し、それを図 8 と図 9 に示しています。これらのスイッチング過渡事象は、Si4892DY をバックコンバータ構成のハイサイドに使用した場合です。回路パラメータは次のとおりです。

VDS = 5 V、IDS = 5 A、VGS_APP = 5 V、Rg_app = 10 W

図 8 - ターンオンスイッチング過渡時の電流と電圧の実測値

図 9 - ターンオフスイッチング過渡時の電流と電圧の実測値

表 1 - スイッチング過渡事象の検討例:Si4892DY計算 最小値 標準値 最大値 単位Rg 0.6 0.8 1

WRg_app 5.4 6 6.6Ciss(VDS 時) 620 775 930

pFCiss(0 V 時) 880 1100 1320

gfs 21.6 27 32.4 S

VGS_APP 9 10 11V

Vth 0.8 1.4 1.8IDS 0.9 1 1.1 A

Qgd_d 2.8 3.5 4.2 nC

VDS_D 13.5 15 16.5 V

IDS_D 11.2 12.4 13.6 A

RDS(on) 0.008 0.01 0.012 W

VF 0.0072 0.01 0.0132

VVF_D 0.09 0.12 0.16

VDS 13.5 15 16.5t1(式 11) 0.28 0.79 1.6

ns

tir(式 17) 0.01 0.02 0.05

tvf(式 18) 1.4 2.8 5.5t4(式 14) 8.4 14.5 26

tvr(式 19) 7.5 16.7 47.7tif(式 20) 0.06 0.14 0.44

td(on) 0.29 0.81 1.7tr 1.4 2.8 5.5td(off) 8.4 14.5 26

tf 7.5 16.7 47.7データシートtd(on) - 10 20

nstr - 11 20

td(off) - 24 50

tf - 10 20

表 2 - 実測値と計算値の比較計算 最小値 標準値 最大値 単位tir(式 17) 0.18 0.44 1.1

nstvf(式 18) 1.6 3.7 8.4tvr(式 19) 3.5 7.9 22

tif(式 20) 0.95 1.0 1.5実測tir 16 20 24

nstvf 8.8 11 13.2tvr 10.4 13 15.6tif 28 35 42

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駆動回路による制限表 2 は、計算値と過渡事象の実測値を比較したものです。電圧過渡事象については比較的近い値であることがわかります。しかし、MOSFET のスイッチング時間は寄生要素だけでなく、駆動回路からも影響を受けます。前述の条件下では、ゲート回路によってパワー MOSFET のスイッチング性能が制限されることはないと仮定しています。たとえば、MOSFETのPチャネルおよびNチャネルドライバを使用した場合、ゲートへの理論上の電流がドライバで供給可能な電流よりも大きくなる可能性があります。MOSFET ドライバを実現する方法はいくつかありますが、それはこのアプリケーションノートの検討範囲を超える話題です。文中で説明した式を使用すれば、複雑な式やモデル、高価なシミュレーションソフトウェアを操作しなくても、スイッチング時間の評価と、したがってスイッチング損失の見積もりを行うことができます。重大な不一致は、電流過渡事象の計算値と実測値の間に見られます。これらの計算値は、実際の過渡事象よりも 1 桁小さくなっています。そのため、電流の立ち上がり時間と立ち下がり時間については、さらに検討する必要があります。以下では、これについて説明します。

電流過渡事象計算値と実測値の間に不一致が生じるのは、計算は理想的な状況下で行われているためです。式に取り入れることができる 1 つの重要なパラメータは、MOSFET のパッケージインダクタンスです。これは電流過渡事象を緩慢にし、いくつかの仮定を置けば、比較的簡単に考慮に入れることができます。負荷電流は通常、ゲート電流よりもはるかに大きいため、パッケージインダクタンスを流れる電流すべてが IDSになると考えられます。その結果、ターンオン時の MOSFET のパッケージインダクタンス両端の電圧は、次の式で表すことができます。

(25)

これは電流過渡事象から生じる電圧であり、ゲート電圧から差し引かれ、したがって電流過渡事象を緩慢にします。

式 25 を VGS から差し引き、t について解くと、過渡事象のtir が次のように得られます。

(26)

同じ原理を tif に適用すると、電流過渡事象について次の結果が得られます。

(27)

まとめこのアプリケーションノートでは、単独で評価した場合のパワーMOSFET の立ち上がり時間と立ち下がり時間について、有効な概算法を示しています。導出した式にデータシート値を使用すれば、MOSFET のスイッチング性能やスイッチング損失の適度な指標が得られます。ただし、図 3 に示したとおり、理想的なスイッチング過渡事象は必ず実際よりも短くなるため、現実的な結果を導くには、常にデータシートの最大パラメータを使用する必要があります。

VL

VGS_APP Vth–( )gfsL

Rg Rg_app+( )Cissat VDS

-------------------------------------------------------------=

x e t– Rg Rg_app+( ) Cissat VDS( )⁄

表 3 - パッケージインダクタンスを考慮に入れた実測値と計算値の比較計算 最小値 標準値 最大値 単位tir(式 26) 4.7 8.1 13.2

nstvf(式 18) 1.6 3.7 8.4tvr(式 19) 3.5 7.9 22

tif(式 27) 8.1 17.9 32.8実測tir 16 20 24

nstvf 8.8 11 13.2tvr 10.4 13 15.6tif 28 35 42

tir Rg Rg_app+( )Cissat VDS=

x In

VGS_APP Vth–( )VGS_APP Vth–( )gfsL

Rg Rg_app+( )Cissat VDS

-------------------------------------------------------------+

VGS_APP VGP–( )---------------------------------------------------------------------------------------------------------------

tif Rg Rg_app+( )Cissat VDS=

x In

VGP 1gfsL

Rg Rg_app+( )Cissat VDS

-------------------------------------------------------------+

Vth-----------------------------------------------------------------------------------------

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