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Translated by the Global CCS Institute CCS とその他低炭素技術のコストについて—2011 年課 題の概要 NO.2

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CCS とその他低炭素技術のコストについて—2011 年課

題の概要 NO.2

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「CCS とその他低炭素技術のコストについて—2011 年課題の概要 NO.2」は、利用者の便宜のために“THE COSTS OF CCS AND OTHER LOW-CARBON TECHNOLOGIES — ISSUES BRIEF 2011, NO. 2”を英語から日本語に翻訳したものです。グローバル CCS インスティテュートは日本語版のいかなる内容についてもその正確性、信頼性又は完全性について保証しません。

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要点要点要点要点 気候変動のリスク管理には、様々な産業分野にまたがる幅広い低炭素技術の開発や普及が必要とされる。

450ppm という厳しい目標は、大気中の CO2を除去する技術や CO2回収貯留(CCS)技術などの産業由来のCO2排出を相殺することができる技術を結集させることによってのみ効率的に達成可能であると考えられる。 本書は、発電事業に焦点をあて、大気への CO2排出量削減の一役を担うと考えられる様々な技術のコストを検証する。 グローバル CCS インスティテュートは、過去 2 年間にわたり、様々な CCS 技術に関する最新のコスト研究を追跡調査し、報告してきた。CCS 以外の低炭素技術に最新の研究をあてはめ、様々な技術に係るコストを、一貫した手法とこれら技術に内在する経済的な前提条件から算出した。本書で比較対象とする技術には、CCS、風力、原子力、太陽熱、太陽光発電などが含まれる。 主な成果を以下に示す。 ・CCS は、電力部門における CO2排出削減手段として、他の低炭素技術よりも高い競争力がある。 ・水力発電と陸上風力発電は、電力部門からの CO2排出削減技術の中で最も低コストである。 ・比較的低コストであるこれらの技術が(利用可能性が限られているという理由により)開発され尽くされた場合又はこれら技術が利用できない国では、CCS が非常に高い競争力を持つようになる。 ・現在の CCS 技術を導入した石炭火力発電所における CO2の排出低減又は排出防止に係るコストは、CO2 1トン当たり 23~92 米ドルで、天然ガス火力発電所のコストよりも若干高い。これに対して、洋上風力発電による削減コストは CO2 1 トンあたり 90~176 米ドル、太陽熱では 139~201 米ドル、太陽光発電ではさらにそれを上回る。 ・特に CCS などのまだ十分に成熟していない最新技術については、将来的にコストが下がることに留意する必要がある。 ・国際エネルギー機関(IEA)は、CCS を利用しない場合電気事業分野における CO2削減コストが 70%以上高くなる可能性があることを示しており、上述の知見と一致する。

気候変動対策には早急な対応が必要である。国際社会は、地球の気温上昇を 2℃以内に抑えるレベルに大気中の温室効果ガス(GHG)濃度を維持するための目標を、コペンハーゲン合意で設定した(UNFCCC 2009)。この大気中の GHG の濃度目標は CO2換算で約 450ppm であり、2050 年までに世界全体の排出量を 2000 年比の炭素換算量で 50~85%減じるという大幅な削減が求められている(IPCC

2007)。

CO2の軽減又は削減コストが産業分野ごとに異なることにかんがみると、国や世界全体で効率的な排出量の大幅削減を達成することは、一部の産業分野が他分野よりも早く、一段と踏み込んで調整を行うことを意味する。エネルギーに関連した世界全体の CO2排出量の 40%以上を占める発電及び熱供給事業分野は(図 1)、完全な脱炭素化を実施すべき分野の候補の一つである。この分野における脱炭素化は、農業などの他の分野よりも少ない費用で達成できる可能性が高い。

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図図図図 1 世界のエネルギー関連の分野別世界のエネルギー関連の分野別世界のエネルギー関連の分野別世界のエネルギー関連の分野別 CO2 排出量(排出量(排出量(排出量(2008 年年年年))))

出典:CO2 Emissions from Fuel Combustion Highlights(IEA 2010a)

増え続ける電力需要に対応するため、発電の脱炭素化には、CO2の回収又は削減を行わない化石燃料発電から脱却し、例えば、再生可能エネルギー、原子力、CCS といった、低炭素又はゼロ炭素の発電技術を導入する必要がある。450ppm という厳しい目標は、バイオマスを燃料資源として導入した CCS など、ネガティブ CO2排出(CO2排出を全く行わないとともに、大気中の CO2を除去する)の可能性がある技術の効果的な利用によってのみ達成可能である(Ecofys 2011、IPCC 2011)。このようなネガティブ CO2排出の技術は、現段階では未だ開発の初期段階にある。 技術的な課題と可能性を評価するため、2050 年までに GHG濃度目標 450~550ppm を達成するには電気事業分野にどのような変化が必要かについて、気候変動の緩和モデルを用いて検証した。一例として、IEA が策定した「ブルーマップ」シナリオがある。これは、2050 年までにエネルギー関連の CO2排出量を半減させるため、どのような技術がどの程度の速度で導入可能かを検証している。このシナリオでは、実現可能な最低コストで、既存及び新規の低炭素発電技術が幅広く導入された場合のエネルギー展望が検討されている(IEA 2010b)。 需要の増加を抑えるため、効果的にエネルギー効率化の機会を利用することに加え、ブルーマップシナリオでは、風力などの比較的低コストの再生可能エネルギーを 2020 年代までの早期に導入すること(及び水力発電の役割強化)を明示している。しかし、風や水といった資源は十分に活用されつつあるため、CCS 及び原子力並びにより高コストな太陽熱及び太陽光発電技術といった再生可能エネルギー技術が、需要を満たすと同時に CO2排出量を削減するためには必要とされている。2050 年までに、高効率の発電所、CCS、原子力及び再生可能エネルギー技術が電力分野における年間 CO2排出量削減に貢献する割合は、それぞれ最大 16%、31%、19%、34%と見込まれている(図 2)。

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図図図図 2 電力分野の電力分野の電力分野の電力分野の CO2 排出量削減技術の寄与率排出量削減技術の寄与率排出量削減技術の寄与率排出量削減技術の寄与率

出典:Energy Technology Perspectives 2010: Scenarios and Strategies to 2050 (IEA 2010b)

技術開発の速度及び風力や太陽エネルギーなどの資源の利用可能性は、その技術のコストと導入速度に影響を及ぼす。大規模 CCS の実証プログラムや、大規模太陽熱発電及び太陽光発電技術の実証プログラムが計画されているが、技術開発の速度は、研究、開発及び実証活動に対する産官両者の取組に影響される。最終的には、気候変動リスクを管理するための発電技術が世界的に展開する道筋は、ブルーマップシナリオを含む特定のいかなるモデルシナリオとも異なるであろうし、需要を満たす技術の商業規模での利用可能性とコストによってのみ決定されるであろう。

2009 年以降、当インスティテュートは、様々な CCS 技術について、最新のコスト調査を追跡、報告してきた(Worley Parsons et al. 2009、Global CCS Institute 2011a、2011b、Worley Parsons 2011参照)。これらの調査には、CCS 技術のコストと性能に関する詳細データが含まれている。再生可能エネルギーと原子力技術に関するコストと性能に関する調査についても、その技術を専門とする様々な機関から同時期に公表されている。 本文書では、将来の電力需要の大半を満たすことが可能と見込まれる様々な技術の相対的な格付けを評価するため、低炭素技術について、入手可能な最新の調査に基づいた、現時点におけるコストの比較を示している。ここでの比較は、一般的な手法や標準化された技術的、経済的前提条件を適宜用いて導出された、均等化発電原価(LCOE: Lvelised cost of electricity)や CO2削減コストなどを使用し、等価にして行われている。

コスト算定基準コスト算定基準コスト算定基準コスト算定基準

均等化発電原価均等化発電原価均等化発電原価均等化発電原価 均等化発電原価(LCOE)は、発電所の経済的な耐用年数における平均発電コストを表す基準である。すなわち、LCOE とは、プロジェクト提案者が、資本コストと操業コストのすべてを回収すべく、発電所を連日稼動させることで得る必要がある対価の平均であり、回収された投下資本を

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含んで算出されている。LCOE はメガワット時当たりの純発電コスト(US$/MWh)で定義され、その算出には以下が含まれる。 ・ 投資コスト(又は導入設備費) ・ 操業費 ・ 燃料費 しばしば製造コストの大半を占める投資コストには、プロジェクト開発や建設に伴う不確定要素やリスクを管理するための予備費に加え、エンジニアリング費、調達費、建設費、サイト固有のコスト(オーナーズコストとも言う)などが含まれる。これらの現在価値を合算した値は、プラントの「オーバーナイトコスト(直ちに行われる建設のコスト全額を賄う前払い金)」となる。プロジェクトの開発と建設には数年を要するため、最終的なプラントの投資コスト又は導入設備費には、オーバーナイトコストに加え、この期間に発生した資金調達コストの現在価値が含まれる。 プラント建設後に発生する操業費には固定費と変動費があり、これはプラントの稼動と管理に関連する支出である。燃料費は、操業中のプラントが必要とする原料又は燃料を考慮した特定の操業コストで、石炭、天然ガス、ウラン、エネルギー作物又は他の原料などの燃料価格に左右される。

LCOE 算出に使用されるその他の重要な技術経済パラメータを以下に示す。 ・ プラントの耐用年数 ・ 建設のリードタイム ・ 熱効率 ・ 設備利用率 ・ 割引率

CO2削減コスト削減コスト削減コスト削減コスト

CO2の低減が CCS に投資する唯一の動機であり、また、気候変動政策の目的が CO2(及びその他の GHG)の削減であるため、低炭素技術を比較するための適切な基準は CO2削減コストである。CO2削減コストは、CO2を多く排出する化石燃料の置換を通じて CO2排出量を削減するのに要するコストであり、ドル/CO2 1 トンで表される。大気中への CO2排出の削減量は、低炭素技術への投資により置換又は廃止された化石燃料プラントの種類によって異なる。CO2削減コストを算出するには、評価対象プラントの均等化コストに加え、CO2の排出係数に関する情報が必要である。 気候変動リスクを効率的に管理すれば、各経済部門が負担する限界削減コストは同じになる。CO2 1 トンを新たに削減するコストが経済活動又は供給エネルギーによって異なる場合、低コストの活動による削減量を増やし、高コストの活動による削減量を減らすことで特定の排出削減目標を少ない支出で達成することが可能である。同様に、炭素価格を設定することは、(今後の炭素価格の見通しと削減コスト見込みを含めて)その炭素価格よりも低い削減コストの発電技術利用を促進する。より高コストの CO2削減技術は、電力市場と炭素市場の双方からコストを回収できなくなるため、規制によりその使用が義務化されない限り選ばれることはないであろう。

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コスト:データとアプローチコスト:データとアプローチコスト:データとアプローチコスト:データとアプローチ 本コスト評価は、CCS、原子力、再生可能エネルギー技術などの固定発電に利用される低炭素技術を対象とする。CCS は石炭 CCS と天然ガス CCS に更に分類され、再生可能エネルギー技術はバイオマス(又はバイオエネルギー)発電、従来の地熱発電、水力発電、太陽光発電(PV)及び太陽熱発電(又は集光型太陽熱発電―CSP)並びに洋上及び陸上風力発電に細分化される。付録 A に各低炭素技術の簡単な解説が記載されている。

排出量削減目標排出量削減目標排出量削減目標排出量削減目標をををを設定設定設定設定するというこするというこするというこするということは、とは、とは、とは、CO2 排出排出排出排出削減削減削減削減コストがコストがコストがコストが技術比較の技術比較の技術比較の技術比較の適切な適切な適切な適切な評価評価評価評価基準基準基準基準となるとなるとなるとなることことことことををををとなるとなるとなるとなることを意味する。ことを意味する。ことを意味する。ことを意味する。

当インスティテュートは、本調査で使用するコストデータを入手するため、新設の低炭素及びゼロ炭素発電所に関して公開されている調査情報を精査した。様々な調査から得られたコストを等価にして比較すると、いくつかの問題が生じる。例えば、使用されたコストの算定手法が異なる上、プラント耐用年数、割引率、設備利用率といった経済的な前提条件が異なるため、様々な調査から得られた均等化原価の試算を直接比較できない場合が多い。 均等化原価を比較できるようにするには、発電技術の基本的なコストと性能に関する特性が必要である。しかし、表示される通貨や名目上の年度が異なることがあるため、これらのデータは直接比較できない場合が多い。様々な地域で建設及び操業されているプラントのコストも、様々な経済事情によって変動する。こうした経済事情は、人件費、設備費及び風力や太陽エネルギー資源などの性能を決定する要素が立地に左右される原因となっている。もう一つの問題は、いくつかの調査では基本的な技術的、経済的前提条件が十分に明示されていなかったり、同じ発電所の工程間の境界条件が異なっていたりすることである。このように不明瞭な点があると、基本的なデータの試験、検証及び更なる調整が制限される。 これらの調査を同じ基準で比較できるようにするため、以下の基準に従ってこれらの調査を選別した。コストと性能に関するデータを自身で作成・分析した組織によるコスト調査を、検討し、又は優先するものとした。このため、他の調査で作成されたデータを引用した調査は除外した。ただし、最新の IEA 及び OECD NEA(2010)並びに IPCC(2011)の調査は、他の技術経済調査を含む様々な出典から収集されたコスト及び性能データを分析しているが、例外とした。地域ごとに差がある人件費と建設費又は資産(resource)の品質のばらつきを減らすため、米国内の低炭素発電所のコストと性能に関する情報を使用した調査のみを対象とした。ただし、IEA 及び OECD NEA(2010)、IPCC(2011)の調査は例外とし、これらの調査から得られた OECD と世界の技術経済データ平均値も使用した。コスト価値が最新であることを保証するため、(2010 年以降の)過去 2年間のコストと性能に関するデータを使用した出版物のみを評価した。 上述の基準に基づいて本調査で対象としたコスト調査を以下に示す。 ・ Cost and Performance Assumptions for Modelling Electricity Generation Technologies 2010 - United

States Department of Energy National Renewable Energy Laboratory ・ Cost and Performance Baseline for Fossil Energy Power Plants Study Vol. 1 2010 - United States

Department of Energy National Energy Technology Laboratory ・ Economic Assessment of Carbon Capture and Storage Technologies: 2011 Update – WorleyParsons ・ Projected Cost of Generated Electricity 2010 – International Energy Agency and Organisation for

Economic Co-operation and Development Nuclear Energy Agency

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・ Special Report on Renewable Energy Sources 2011 - Intergovernmental Panel on Climate Change ・ Annual Energy Outlook 2011 - United States Energy Information Administration 上述のコスト調査から、コスト及び性能に関するデータを 2010 年の米ドル水準に修正した。設備利用率、効率、プラント耐用年数、リードタイムなど、基本的な技術経済的前提条件は、上述の調査から得られたデータの平均から導出した。さらに、本調査では発電容量が 50MW 以上の発電所のコスト及び性能に関するデータのみを対象とした(表 1)。 表表表表 1 プラント発電プラント発電プラント発電プラント発電容量容量容量容量の例の例の例の例 発電技術発電技術発電技術発電技術 発電発電発電発電容量容量容量容量((((MW、正、正、正、正味味味味)))) 水力 500~10,000 原子力 1,350~2,240 石炭 CCS 475~550 天然ガス CCS 400~485 洋上風力 70~400 太陽熱 100~150 陸上風力 50~155 太陽光 50~150 バイオマス 50~80 地熱 50~55

平均的な技術経済的前提条件及び一般的な割引率(付録 B参照。)を使用して、標準的な手法を LCOE と CO2削減コストの算出に適用した。

結果結果結果結果

投資コスト投資コスト投資コスト投資コスト 投資コストのレベルと全体のコストに占める投資コストの割合(資本集約度)はいずれも、不確定要素や進行中の様々な方向性とその成果がある中で、発電技術を選択するための重要な要素である。必要とされる投資レベルが大きいほど、資本のリスクは高まる。資本集約度が高いほど、その投資は将来の電力価格の変動にさらされ、損失を完全に防ぐことも難しい。実際の投資判断では、このようなリスクは生じているリスクの予測レベルに合わせて適切に調整されるため、求められる利益率を変更することで対処される。しかし、均等化原価の調査では、すべての技術の割引率は一定であるという前提でこのようなリスクは取り除かれる場合が多い。それでもなお、導入される投資コストの試算は、それぞれの技術で「リスクにさらされる」可能性がある資本のレベルを反映している。

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従来の(石炭火力)プラントと比べて投資コストが高い発電技術は、石炭 CCS、バイオマス、太陽光、洋上風力、原子力及び太陽熱を利用した技術である(図 3)。また、従来のプラントと投資コストが同程度あるいはそれよりも低い発電技術には、天然ガス CCS、水力、地熱及び陸上風力が含まれる。

CCS 技術に対する投資コストは、CO2の回収・輸送・貯留に伴う設備費が従来のプラントに加算されるため、石炭及び天然ガスの火力発電所よりも高い。図 3 では、天然ガス CCS の投資コストは従来の天然ガス火力発電所よりも高いものの、従来の石炭火力発電所(図 3 のオレンジ色の線参照)よりも低いことが示されている。 図図図図 3 低炭素技術と従来の発電技術に導入された資本コスト低炭素技術と従来の発電技術に導入された資本コスト低炭素技術と従来の発電技術に導入された資本コスト低炭素技術と従来の発電技術に導入された資本コスト

均等化発電原価均等化発電原価均等化発電原価均等化発電原価 各技術の性能特性を反映した基本的な設備費と操業費を抽出した後、付録 B に示される各技術のプラント耐用年数、設備利用率、建設のリードタイム、オーナーズコスト、予備費及び(必要に応じて)熱効率に関する一般的な前提条件と、一般的な割引率及びコストの算定手法を使用して均等化原価を算出した。 従来の火力発電所と比べ、相対的に LCOE が低い低炭素技術は、従来の地熱発電(43~61 米ドル/MWh)と水力発電(52~60 米ドル/MWh)である(図 4)。

LCOE 分布の「中間」に位置する技術には、陸上風力(67~86 米ドル/MWh)、原子力(68~94米ドル/MWh)、バイオマス(81~113 米ドル/MWh)、天然ガス CCS(107~119 米ドル/MWh)、石炭 CCS(89~139 米ドル/MWh)がある。 洋上風力(146~215 米ドル/MWh)及び太陽光・太陽熱(185 米ドル/MWh 以上)は LCOE が最も高い。

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図図図図 4 低炭素技術と従来の発電技術の均等化発電原価低炭素技術と従来の発電技術の均等化発電原価低炭素技術と従来の発電技術の均等化発電原価低炭素技術と従来の発電技術の均等化発電原価

電力供給が不安定な発電技術電力供給が不安定な発電技術電力供給が不安定な発電技術電力供給が不安定な発電技術 太陽エネルギーや風力などの電力供給が不安定な発電技術と、化石燃料発電や原子力などの電力供給が安定した発電技術の LCOE試算の比較において結論を出す際には、注意が必要である。消費電力の経済的価値は、市場原理に基づく方式あるいは規制を伴う役務原価方式のいずれにおいても、需要の程度や 1 日の時間帯によって変化する。したがって、需要を満たす技術に関係なく、その価値は変化する。消費者が支払う額を操業費が下回る場合に限り、経済的な価値はプラスとなり、規制を伴う方式では全体のシステムコストが最小限に抑えられる。平均値を基準として算出される均等化原価は、更なる補正がなければこの経済的価値の程度が十分に考慮されない可能性がある。例えば、陸上風力の LCOE推定値は平均で 76 米ドル/MWh と推定される。このエネルギーがオフピークの時間帯に生成された場合、特に電力価格がマイナスの場合、風力は必ずしもそのシステムに経済的価値を付加しない。すなわち、LCOE を基準として使用した場合、風力発電技術は安定して電力供給できる技術と比較して過大評価される(Joskow 2010)。 風力発電所の操業が電力価格の低い時間帯に制限されるのはこうした影響が原因である。すなわち、風力発電所が稼動すると市場価格をさらに押し下げ、風力発電所そのものを含め、このシステムにおけるすべての技術への投資状況を悪化させることになるからである(Parkinson 2011)。通常、電気の価値がより高くなる日中の時間帯にのみ稼動する太陽技術も同様に、LCOE の試算では、風力技術と比較して過小評価される。 全体のシステムコストに対する「断続性」の影響は、電力網に経済的にプラスの貢献をもたらす場合の時間分布との整合性をよくするために設備利用率を補正することで、LCOE試算の中で考慮可能である。本調査では補正を行っていないが、均等化原価が類似している技術の場合に推測する際には注意が必要である。例えば、陸上風力プラントの中には、均等化原価が従来の(天然ガス火力)プラントの均等化原価と等しかったり、低かったりする(図 4)。

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発電技術の成熟度発電技術の成熟度発電技術の成熟度発電技術の成熟度 低炭素技術は様々な技術開発段階にあるが、新たな設計や仕様が出現するため、複数の開発段階にまたがることも少なくない。例えば、原子力発電は 50 年以上利用され続けている成熟した技術である(IEA 2010c)。低炭素技術の中には技術的に証明されているものの、広く利用される前に克服すべきコストや規制上の障壁が今もなお存在するものがある。このような技術には、太陽光や太太陽熱、陸上風力、バイオマスを利用したものがある(IEA 2010b)が、化石燃料プラントに匹敵する規模で運転している技術はほとんどない。 現在も試験中及び実証中の技術には、CCS、深海洋上風力発電技術及び稼働時間を延ばすために蓄熱を利用した太陽熱発電がある。CCS は、発電分野においてパイロット規模で既に実証されており、現在建設中の 2 つの発電所で大規模な実証試験がまもなく行われる予定である。また、これ以外にも今後 1、2 年の間に投資判断が見込まれる発電所が数ヶ所存在する(Global CCS Institute

2011b)。水深 60メートルを超える場所での洋上風力発電技術、特に浮体構造を使用した技術は現在も試験段階にある。太陽熱発電技術については、溶融塩などの蓄熱方法を利用してベースロード電力を提供するための実証試験が実施されている(IEA 2010b)。それらの技術の発電コストが将来どのように変化するかは、低炭素発電技術の成熟度によって表すことができる。それらの発電コストは、技術が十分に開発、改良、実証され、市場展開されるに従って低下する。 成熟技術について現在行われているコスト削減は、未成熟な新しい技術についてのコスト削減ほど飛躍的ではないと考えられている。

CO2削減コスト削減コスト削減コスト削減コスト 化石燃料による発電を代替する技術のメガワット時当たりの発電は、それにより代替される発電に伴う CO2排出量のすべてではないがほとんどを一掃する。しかし、本調査における削減コストの試算では、風力や太陽エネルギーなどの電力供給が不安定な技術を導入する際に必要とされるバックアップ発電からの排出量は考慮されていない。CCS 技術に関しては、CO2は 100%回収される訳ではなく、回収と貯留で更にエネルギーを消費するため、CO2排出量の削減は 100%未満となる。電力供給が不安定な技術に関する削減コストの試算と異なり、CCS 技術による CO2の回収が100%に満たない点については、これらの技術のコスト試算の中で明確に説明されている。 従来の地熱発電所や水力発電所など、削減コストがゼロ又はマイナスになる技術が存在する(図 5)。これは、これら 2 つの技術の均等化原価が、CO2の削減コストを計算するために比較される石炭火力発電所の均等化原価よりも低いために生じる。これは、これらの技術を利用したプラントからの発電量が増加する、新たに地熱や水力発電所を建設する、あるいは石炭火力由来の発電量を抑えたり、置き換えたりすることが可能な場合、CO2排出量の削減コスト全体が低下することを意味する。OECD の非加盟国では、水力発電所や従来の地熱発電所を追加的に設置する大きな潜在性がある(IEA 2010d)が、OECD加盟国については、そうした可能性は相対的に小さい。これらの資源に係るコストが比較的低いということは、その国のエネルギーシステムの開発過程でこうした資源が既に活用され尽くしたことを意味する。しかし、こうした資源が開発中又は既存の電力システムで利用できる限り、すべての国はコスト節減の可能性を積極的に追求すべきである。 新しい技術である CCSプラントに係るコスト試算と比較して、成熟した技術である陸上風力発電や原子力発電の CO2排出量の削減コストは低いが、風力発電では資源の制約(陸上風力)、また、原子力では放射性廃棄物の取り扱いに関する課題があるため、その利用可能性は制限される。太陽光発電や太陽熱システムの現在の CO2削減コストは、それぞれ 182~239 米ドル/トン及び 139

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~203 米ドル/トンであり、これは石炭火力 CCSプラントのコスト(23~92 米ドル/トン)よりも 2~3倍高い。 発電コストと比較した場合の削減コストに関して、わずかだが重要な変化は、石炭火力 CCSプラントと洋上風力発電に比べて、ガス火力 CCSプラントのコストが増加していることである。すなわち、ガス火力発電所において CCS を実施するために必要な炭素の価格は、石炭火力発電所のそれよりも高くなる可能性があり、洋上風力発電と大きく重なる部分がある。コスト試算における石炭火力 CCS と天然ガス CCS の推定 CO2回収率は同じ(約 90%)ではあるが、ガス火力発電所の排出係数が小さいため、そこからの CO2回収量は低い。結果として、ガス火力プラントの CCS よりも石炭火力 CCS によって削減される CO2の方が多い。これにより、CCS ガス火力プラントよりもCCS 石炭火力プラントの削減コストの方が低くなることが多い。 図図図図 5 CO2 削減コスト削減コスト削減コスト削減コスト 1

1 ガス火力 CCSプラント以外のすべての発電技術に関する CO2の削減量は、超臨界微粉炭プラントからの排出量を基準としている。ガス火力 CCS については、排出削減を行っていないコンバインドサイクルプラントを基準としている。

政策への影響政策への影響政策への影響政策への影響

コスト競争力と導入コスト競争力と導入コスト競争力と導入コスト競争力と導入 既存の従来型プラントと比較して、IEA が電力部門における削減を予想している低炭素技術の多くは、現時点では比較的コストが高い(図 5)。初期導入コストが比較的低い(又はマイナスの)選択肢には、従来の地熱発電、水力発電、陸上風力発電などの成熟した技術がある。これらの低コスト技術は、IEA のブルーマップシナリオの下で、CO2排出量削減の初期段階における利用が急速に広まっている(図 6)。このシナリオに示される再生可能エネルギーの利用率は、排出量削減に力を入れる国が増えると予測される 2020 年以降、世界中で増加している。しかし、風や水といった資源の利用は限定されるため、排出削減目標を達成するための役割も限定され、CCS や太陽熱発電技術といった高コストの選択肢が必要となる。予測期間の後半で太陽技術の利用が増加するのに対して、再生可能エネルギー技術による CO2削減量の年間増分は 2030 年以降減少している。

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反対に、(電力及び産業の両分野における)CCS 技術の利用率は、エネルギー分野の脱炭素化に係るその他の技術とのコスト競争力予測を反映して、2030 年以降急速に増加している。 図図図図 5 CO2 削減コスト削減コスト削減コスト削減コスト 1

1 ガス火力 CCSプラント以外のすべての発電技術に関する CO2の削減量は、超臨界微粉炭プラントからの排出量を基準としている。ガス火力 CCS については、排出削減を行っていないコンバインドサイクルプラントを基準としている。

政策への影響政策への影響政策への影響政策への影響

コスト競争力と導入コスト競争力と導入コスト競争力と導入コスト競争力と導入 既存の従来型プラントと比較して、IEA が電力部門における削減を予想している低炭素技術の多くは、現時点では比較的コストが高い(図 5)。初期導入コストが比較的低い(又はマイナスの)選択肢には、従来の地熱発電、水力発電、陸上風力発電などの成熟した技術がある。これらの低コスト技術は、IEA のブルーマップシナリオの下で、CO2排出量削減の初期段階における利用が急速に広まっている(図 6)。このシナリオに示される再生可能エネルギーの利用率は、排出量削減に力を入れる国が増えると予測される 2020 年以降、世界中で増加している。しかし、風や水といった資源の利用は限定されるため、排出削減目標を達成するための役割も限定され、CCS や太陽熱発電技術といった高コストの選択肢が必要となる。予測期間の後半で太陽技術の利用が増加するのに対して、再生可能エネルギー技術による CO2削減量の年間増分は 2030 年以降減少している。反対に、(電力及び産業の両分野における)CCS 技術の利用率は、エネルギー分野の脱炭素化に係るその他の技術とのコスト競争力予測を反映して、2030 年以降急速に増加している。

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図図図図 6 IEA のブルーマップシナリオにおける発電技術グループごとののブルーマップシナリオにおける発電技術グループごとののブルーマップシナリオにおける発電技術グループごとののブルーマップシナリオにおける発電技術グループごとの CO2 削減量削減量削減量削減量

各技術の限界削減コストの試算は、GHG の排出削減政策を実施する政策立案者にとって指針となるものである。CO2 削減コストが排出価格を下回るような排出削減の機会がすべて活用されれば、排出価格を 1 つだけ明示することで、最も効率的に排出削減を実現できる。しかし、排出削減政策は多くの場合、価格設定のみならず、分野や技術に基づく様々な手段で実施されている。このため政策立案者は、限界削減コスト試算を定期的にチェックし、GHG 削減目標を達成するためのCO2削減コストを減らすため、あらゆる排出削減分野においてこれらのコストがほぼ同等であることを確認する必要がある(Stern 2009)。例えば、本文書に使用されている CCS のコスト試算は、2~3 年前に考えられていた CCS コストよりも高いことが明らかにされている(Global CCS Institute

2010a)。しかし、本文書が示す試算では、新しい技術である CCSプラントの CO2削減コストは、過去 30 年でコストが 10 分の 1 以上低下した太陽光発電プラントの半分以下となっている(IPCC

2011)。限界削減コスト試算の際に現地の事情や資源の入手可能性を考慮することは、政策立案者が効果的に削減コストを管理する上で大きな指針となる。

技術の革新と研究、開発技術の革新と研究、開発技術の革新と研究、開発技術の革新と研究、開発及び及び及び及び実証実証実証実証 より一層の研究、開発及び実証(RD&D)による継続的な技術革新は、低炭素技術のコスト競争力に関するいくつかの課題の解決に役立つ。高性能化に向けた技術改善(設計、工程、操業などにおける)により、コストを節減できる場合がある。さらに、多くの低炭素技術が現在も実証段階にあるため、より一層の技術改善とコスト削減の可能性が存在する。 しかし、上述したとおり、あらゆる技術革新や改善及びそれによって削減されるコストは、成熟度の高い技術ほど小さくなる傾向がある。

緩和措置全体に対するポートフォリオアプローチ緩和措置全体に対するポートフォリオアプローチ緩和措置全体に対するポートフォリオアプローチ緩和措置全体に対するポートフォリオアプローチ 最もコスト効率が高い方法で気候変動リスクに対応するため、商業的に利用可能で現地のエネルギー資源事情と整合しているすべての技術を利用する必要がある。利用する技術のいずれか一つが欠けても、発電と GHG 削減にかかる全体のコストが増加することになる。例えば、エネルギー関連の CO2排出量が 2050 年までに半減されなければならないとした場合、CCS を除外すると削減コストが 70%以上増加すると IEA は試算している(IEA 2010b)。現時点での調査でも CCS などのクリーンな発電技術が除外された場合、(平均的な)発電コストはより高くなるとしており、IEA の分析と一致している。

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結論結論結論結論 電力分野の脱炭素化は、大気中の GHG濃度を安定させ、地球の気温上昇を 2℃以内に抑えるために不可欠である。化石燃料発電への大きな依存から低炭素発電技術を広く展開するための遷移プロセスは容易ではなく、多種多様な方法が考えられる。低炭素発電技術を展開するには考慮すべき課題が多くあり、中でも最も重要な課題は、これらの技術を取り巻くコストである。本調査では、最も一般的に利用される基準を使用して、(最低コストでなくても)低コストでどのように展開できるかを理解するため、様々な低炭素技術の現在の発電コストと CO2削減コストについて比較検討を行った。 太陽エネルギーや風力プラントによる発電量のばらつきや不確定要素は、各技術の真の経済的価値や収益性に影響を及ぼす。また同時に、これら不確定要素により、電力供給が安定した技術と風力や太陽エネルギーなどの電力供給が不安定な再生可能エネルギー技術の均等化原価を比較することが容易でなくなる。低炭素発電技術の均等化発電原価と削減コストの差によって、陸上風力発電と水力発電が現時点で広く展開可能な低コスト技術であることが分かる。それ以外の低炭素発電技術は、世界的に展開するにはまだコストが高い。

コストが最もかからない方法で電力コストが最もかからない方法で電力コストが最もかからない方法で電力コストが最もかからない方法で電力分野分野分野分野を脱炭素化するには、多様な低炭素技術を併用する必を脱炭素化するには、多様な低炭素技術を併用する必を脱炭素化するには、多様な低炭素技術を併用する必を脱炭素化するには、多様な低炭素技術を併用する必要がある。要がある。要がある。要がある。CCS を除外した場合は、全体の削減コストが増加する。を除外した場合は、全体の削減コストが増加する。を除外した場合は、全体の削減コストが増加する。を除外した場合は、全体の削減コストが増加する。

従来の発電技術と比較して、現時点で削減コストが高い低炭素技術のコストが変化しない訳ではなく、特に未成熟な技術のコストは、技術が更に革新・改善されるにつれて徐々に下降すると予想される。 全体として、最も低コストな方法で電力分野を脱炭素化するには、あらゆる低炭素技術を導入する必要がある。エネルギーミックスから技術を排除すること、特に CCSを排除することは CO2削減コストの増大につながる。

参考文献参考文献参考文献参考文献

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IEAGHG (IEA Greenhouse Gas R&D Programme) 2011, ‘Potential for Biomass and Carbon Dioxide Capture

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Stern, N 2009, The global deal: climate change and the creation of a new era of progress and prosperity,

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WorleyParsons, Schlumberger, Baker & McKenzie and EPRI (Electric Power Reseach Institute) 2009,

‘Strategic Analysis of the Global Status of Carbon Capture and Storage Report 2: Economic Assessment of

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付録付録付録付録 A 低炭素技術低炭素技術低炭素技術低炭素技術 – 用語解説用語解説用語解説用語解説

1. CO2 回収貯留回収貯留回収貯留回収貯留::::CCSは、CO2排出削減方法の一つであり、燃焼前又は燃焼後の化石燃料からのCO2回収、パイプラインなどによる輸送及び枯渇油ガス田、塩水層、採掘不能な石炭層などの深い地層中への恒久的な貯留を行う一連のプロセスから成る。

a. 石炭石炭石炭石炭 CCS―燃焼後回収、燃焼前回収又は酸素燃焼技術のいずれかにより、約 90%の CO2を除去する石炭火力(ベースロード)発電所で利用される CCS技術

b. 天然ガス天然ガス天然ガス天然ガス CCS――――燃焼後回収により、約 90%の CO2を除去する天然ガス火力(ベースロード)発電所で利用される CCS技術

2. 原子力発電原子力発電原子力発電原子力発電::::原子力発電のプロセスは、核分裂、すなわち原子炉の炉心で水を沸騰させる熱エネルギーを放出しながら(ウラン)原子を分裂させることから始まる。炉心の熱水は一連のパイプへ送られ、パイプを満たす水を熱することで蒸気が発生する。この蒸気がスチームタービンへ送られ、CO2を排出せずに(ベースロード)電力を発生させる。

3. 再生可能エネルギー技術再生可能エネルギー技術再生可能エネルギー技術再生可能エネルギー技術::::

a. バイオマスバイオマスバイオマスバイオマス::::バイオマス(バイオエネルギー)は、熱又はバイオガスを生成するために(油糧作物、糖料・でんぷん作物、リグノセルロース系バイオマス、生分解性の都市廃棄物や都市固形廃棄物などの)供給原料を燃焼、熱分解、ガス化又は嫌気性消化処理することによって変換したものである。これらを蒸気タービンやエンジンに使用して発電する。燃焼中に生成される CO2は、バイオマスが成長する間に消費される CO2とほぼ同量であるため、バイオマスはカーボンニュートラルとみなされる(IEAGHG 2011)。

b. 地熱発電地熱発電地熱発電地熱発電::::従来の地熱発電は、地下熱を利用し、蒸気又は高温の水を介してタービンを回転させて、実質的に CO2を排出せずに(ベースロード)電力を発生させる。

c. 水力発電水力発電水力発電水力発電::::水力発電は、(ダムにせき止められた水を制御された量だけ放出することで作り出される)水の力を利用して一連のタービンを動かすことで、CO2 を排出せずに発電する。

d. ソーラーパワーソーラーパワーソーラーパワーソーラーパワー::::

(1) 太陽光発電太陽光発電太陽光発電太陽光発電((((PV))))――――PVセルと呼ばれる半導体デバイスを使用したシステムにより、太陽エネルギーを直流(DC)電力に変換する。

(2) 太陽熱発電太陽熱発電太陽熱発電太陽熱発電((((集光型太陽熱発電集光型太陽熱発電集光型太陽熱発電集光型太陽熱発電又は又は又は又は CSP))))――――太陽光からエネルギーを集約し、受信機を高温に熱する。生成された熱は発電機関となるタービン又はエンジンの動力として利用される。CO2の排出レベルは極めて低い。

e. 風力発電風力発電風力発電風力発電::::風力発電は、動く空気の力を利用して大型のタービンを回転させ、CO2を排出せずに発電する。この発電技術は風資源の質に左右されるため、発電量の分布が変わりやすく電力供給が不安定な技術と考えられている。

(1) 洋上風力発電洋上風力発電洋上風力発電洋上風力発電――――海上に風力発電所を建設し、風力で発電する。本技術の表現において使用されている「洋上」は、海洋分野における一般的な使用方法に留まるものではなく、洋上風力は、湖、フィヨルド、港湾などの水域におけるものを含む場合がある。

(2) 陸上風力発電陸上風力発電陸上風力発電陸上風力発電――――地上に設置された大型のタービンによる発電。陸上風力発電技術は、大規模な製造及び導入が既に行われている。

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付録付録付録付録 B 技術・経済の前提条件技術・経済の前提条件技術・経済の前提条件技術・経済の前提条件 発電技術 バイオマス 石炭 CCS 天然ガス CCS 地熱 水力 原子力 太陽光 太陽熱 陸上風力 洋上風力 割引率/IDC1レート % 8 8 8 8 8 8 8 8 8 8 プラント耐用年数 年数 26 32 30 28 45 60 27 28 24 24 設備利用率 % 80 84 84 86 49 88 21 28 37 39 リードタイム 年数 3 4 4 3 4 6 2 2 2 3 オーナーズコスト % 5 15 15 5 5 15 5 5 5 5 熱効率 % 27 30 42 - - 33 - - - -

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