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Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 海外における無電柱化実態調査報告 2015年2月

海外における無電柱化実態調査報告…電会社 PLN DISJAYA (ジャカルタ特別州とタンゲラン市の一部を管轄) 国の行政機関 エネルギー・鉱物資源省(MEMR)電力総局

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海外における無電柱化実態調査報告

2015年2月

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訪問先・調査団①

英国

配電会社 UK Power Networks(UKPN)

国の行政機関 電力・ガス規制局(Ofgem)

地方行政機関 ロンドン交通局(TfL)(※)

現地視察 ロンドン市内の工事現場

仏国

配電会社 ERDF

国の行政機関 エコロジー・持続可能開発・エネルギー省(MEDDE)(※)

地方行政機関 パリ市道路交通課レンヌ中都市共同体・レンヌ市 インフラ関連部局

現地視察 パリ市内の工事現場レンヌ市内の工事現場

所属・役職 氏名

資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力基盤整備課 係長

山垣 悠

電気事業連合会 工務部 副長 広瀬 壮一

東京電力 配電部 配電企画グループ チームリーダー

野田 祥一

同 配電技術グループ 穴見 英介

無電柱化が進んでいる英国、フランス、インドネシアにおける関連制度・規制、工事の実情把握を目的として、調査委員会の委員(ま

たはその代理者)等による訪問調査を実施(英・仏調査:2014年12月7~14日、インドネシア調査:2015年2月4~8日)

無電柱化工事を行っている配電会社、都市開発や工事許認可、および無電柱化を推進等を担当する中央・地方行政機関を訪問

ロンドン(UKPN)(Ofgem)(TfL)

パリ(ERDF)

(パリ市政府)(環境省)

レンヌ(レンヌ中都市

共同体・レンヌ市)

訪 問 先 (欧 州)

所属・役職 氏名

関電工 配電本部 地中配電部 課長 山口 正史

電線工業会(ジェイパワーシステムズ 電力事業部 技術部 スペシャリスト)

古沢 健一

三菱総合研究所 環境・エネルギー研究本部 主席研究員 岩崎 裕典

同 社会公共マネジメント研究本部 研究員 岩崎 亜希

調 査 団 (欧 州)

(※)TfL、およびMEDDEは、国土交通省の訪問調査に同行した

(※) UKPN、Ofgem、ERDF、パリ市道路交通課へは、国土交通省道路局環境安全課 岡邦彦交通安全政策分析官も同行

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訪問先・調査団②

訪問先(インドネシア)

ジャカルタ(PLN)

(DKI ジャカルタ)(MEMR)(PU)

所属・役職 氏名

資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力基盤整備課 課長補佐

田久保 憲彦

電気事業連合会 工務部 副長 広瀬 壮一

東京電力 配電部 配電企画グループ チームリーダー

野田 祥一

同 配電技術グループ 穴見 英介

所属・役職 氏名

関電工 配電本部 地中配電部 課長 山口 正史

電線工業会(ジェイパワーシステムズ 電力事業部 技術部スペシャリスト)

古沢 健一

三菱総合研究所 環境・エネルギー研究本部 主席研究員 岩崎 裕典

同 研究員 石橋 賢士

調 査 団

インドネシア

配電会社 PLN DISJAYA(ジャカルタ特別州とタンゲラン市の一部を管轄)

国の行政機関 エネルギー・鉱物資源省(MEMR)電力総局公共事業省(PU)道路総局、工事総局

地方行政機関 ジャカルタ首都特別州(DKI ジャカルタ)空間計画局同 公共事業局

現地視察 ジャカルタ市内各地

(※) PLN DISJAYA、MEMR、およびDKIジャカルタ(両部門)へは、ジャカルタ駐在の中尾吉宏JICA専門家(国土交通省からの出向者)も同行

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エグゼクティブサマリー

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エグゼクティブサマリー

フランスでは、既設地中配電線は大半が直接埋設である。パリでは更新の際に、数年前までは直接埋設だったが、将来の設備更新や工事規制の観点から、数年前から管を使う傾向にある。5,000kmのうち毎年約70kmずつ更新なので、管はまだ少ない。英国(UKPN管内)では、高圧の約60%が管路方式、約40%が直接埋設、低圧の約45%が管路方式、約55%が直接埋設であり、管路方式の割合は増加している。なお、一度の工事で30mまでの場合はトレンチにケーブルを直接埋設する方式も採用している。ジャカルタ特別州では20kV系統は地中化(直接埋設)が主流であり、低圧は架空線が主流である。

工事渋滞の回避、開削工法による道路損傷を防ぐため、今後はボーリング工法による管路方式を採用する方針だが、技術的に困難な場合には開削も可能

ロンドン・パリのような大都市や都市中心部では、電気専用溝や共同溝方式も一部で採用されており、ジャカルタ特別州でも採用の検討がなされている

各国では、以下のような方針により無電柱化を進めている 英国 原則として全額UKPN負担であるものの、送配電料金収入規制における収入査定の対象に景観や信頼度の項

目があるため、無電柱化の促進に間接的に寄与している 景観地域(国立公園や特別自然美観地域(AONB))における既設架空線の地中化費用は、送配電料金収入規

制の制度下でさらに一定額を需要家から回収することを認めており、配電会社は地中化を推進しやすくなる フランス 自治体と配電会社(ERDF)との契約(パリ市)、及び自治体の都市計画(レンヌ市)において無電柱化を推進する

という直接的な方法で推進

都市部でも日中工事が基本であり、工事誘導員も不要、作業帯の常設設置が可能で日々の埋戻・仮復旧が不要など、コストを抑制しやすい

インドネシア(ジャカルタ特別州) ジャカルタ特別州では、州知事条例および州の地域空間計画で電線類を地中化する方針を明記して推進

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訪問調査の結果

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1.無電柱化方針

英・仏では、無電柱化は架空に比べて高コストだが、景観の向上、供給信頼度の向上に繋がると認識 フランスでは、自治体と配電会社(ERDF)との契約(パリ市)、及び自治体の都市計画(レンヌ市)において無電柱化

を推進するという直接的な方法で推進

一方、英国では送配電料金収入規制における収入査定の対象に景観や信頼度の項目があるため、無電柱化の促進に間接的に寄与

ジャカルタ特別州では、州の知事条例および州の地域空間計画により配電線地中化の方針を明記して推進

項目 日本 英国 フランス インドネシア

無電柱化に対する捉え方

「安全で快適な通行空間の確保」「良好な景観の形成や観光振興」「道路の防災性の向上」などを目的として実施

架空線は不必要なものと見なされ、無電柱化が当たり前という認識

コストは高いものの、無電柱化は景観を高め、風雪災害に強く供給信頼度を向上させるものと認識

道路閉鎖の防止等、道路防災の観点で推進している訳ではない

無電柱化エリアは一旦停電すると復旧までの時間は長くかかる

無電柱化は当たり前という認識 コストの面では課題があるが、

地中化は実施する必要がある

都市の景観を高め、人や自転車にやさしいまちづくりの観点などから推進されている

風雪災害に強く供給信頼度向上という観点もある

パリなどの都市部では地震は発生しない

州レベルで無電柱化を推進

ジャカルタ特別州では、景観や美観、都市の安全性の観点から地中化が望ましいと認識

無電柱化の推進方針

「無電柱化に係るガイドライン」による計画的な無電柱化の推進(無電柱化推進検討会議)

「社会資本整備重点計画」(H24.8.31閣議決定)において、「市

街地等の幹線道路の無電柱化率」の目標設定

「経済財政運営と改革の基本方針2014(骨太の方針)」や「日本再興戦略」(各々H26.6.24閣議決定)にて無電柱化を推進

交通政策基本計画(H27.2.13閣議決定)

送配電料金収入規制における収入査定の対象に景観や信頼度の項目があるため、無電柱化の促進に間接的に寄与

景観地域における既設架空線の地中化費用は、送配電料金収入規制の制度下でさらに一定額を需要家から回収することを認めており、配電会社は地中化を推進しやすくなる

パリ市とERDFの契約において、新規配電線の無電柱化を義務づけ

レンヌ市では、都市計画にもとづき無電柱化を進めている

※配電設備は自治体の資産となり、ERDFは配電設備の運営会社

※ERDFは、すべての道路に配電設備を設置する権利を有している

ジャカルタ特別州では、州知事条例および州の地域空間計画で配電線を地中化する方針を明記して推進

歴代の州知事が景観に関心を持っており、重点地区(現在7地区、以前は9地区)を定め地中化を推進

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2.無電柱化に関する指標 全国の配電網の地中化率(※)は英国(11kV:48%、低圧84%)、フランス(20kV:45%、低圧:42%)(インドネシアは

不明) (※)地中化率=地中線延長÷(架空線亘長+地中線延長)

ロンドン、パリ市は100%の地中化率であるが、地方部では架空線も残る

ジャカルタ特別州を中心とするPLN DISJAYA供給区域の地中化率は20kV:89%、低圧:8%である

項目 日本 英国 フランス インドネシア

地中化率(=地中線延長÷(架空線亘長+地中線延長))

全国:6.6kV 8%、低圧1%(2013年度)

東京電力管内:6.6kV 18%、低圧 1.5%(2014年)

東京23区:6.6kV 59%、低圧10%(2014年)

全国:11kV 48%、低圧 84%(2011年)

ロンドン地区:11kV、低圧とも100%(2014年)

東部イングランド地区:11kV51%、低圧 81%(2014年)

南東部イングランド地区:11kV 69%、低圧 85%(2014年)

※英国の配電電圧は132kV以下であ

るが、他国と電圧階級をそろえるため、11kV以下を対象に算出した数値

全国:20kV 45%、低圧 42%(2013年)

パリ市:20kV、低圧とも100%(2014年)

レンヌ市:20kV 98%、低圧77%(2010年)

ジャカルタ特別州を中心とするPLN DISJAYA供給区域:20kV 89%、低圧 8%(2014年)

架空配電線から地中配電線への変更状況

全国:1,300km(325km/年、2009~12年までの平均)

東京電力:460km(92km/年、2009~13年迄の平均)

UKPN管内の景観地域における約6,000~7,000kmの架空線のうち、年間70~100km程度を更新

レンヌ市では年間2~3km(予算制約による)

今後、ジャカルタ特別州は低圧も地中化していきたいとの意向を持っている

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(資料)英国の地中化率

単位)km注)イングランド・ウェールズ地域の配電電圧は、132kV、33kV、11kV、400/230V

(スコットランドは66kV以下)

地域

電圧階級

英国全体(※1)UKPN供給区域(※2)

ロンドン地区(LPN)東部イングランド地区

(EPN)南東部イングランド地区

(SPN)

架空線地中線

地中化率架空線地中線

地中化率架空線地中線

地中化率架空線地中線

地中化率

132~33kV 48,36824,881 34% 22

1,802 99% 5,8102,757 32% 2,376

1,748 42%

11kV 169,191155,760 48% 0

12,248 100% 19,10819,774 51% 5,538

12,192 69%

400/230V 64,876329,188 84% 0.03

22,750 100% 9,13040,189 81% 4,544

26,290 85%

全体の地中率282,435509,829 64% 22

36,800 100% 34,04862,720 65% 12,458

40,230 76%

11kV以下の地中率234,067484,948 67% 0.03

34,998 100% 28,23859,963 68% 10,082

38,482 79%

出典)※1は「海外諸国の電気事業」(海外電力調査会)( 2011年3月末時点のデータ)※2はUK Power Networks資料(原典:RIGs Table & Ellipse V10, July 2014)

8:ロンドン地区(LPN)9:南東部イングランド地区(SPN)10:東部イングランド地区(EPN)

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(資料)フランスの地中化率

単位)km注)2013年末時点のデータ出典)ERDF資料より作成

架空線 地中線 地中化率

20kV 342,900 279,300 45%

400/230V 407,500 294,400 42%

合計 750,400 573,700 43%

2009年 2010年 差

20kV架空線 11.7 11.4 -238m地中線 455.6 456.9 1,315m

地中化率 97.5% 97.6% +0.1%

400/230V

架空線 154.5 152.8 -1,686m地中線 493.9 502.7 8,752m

地中化率 76.2% 76.7% +0.5%

合計

架空線 166.2 164.3 -1,924m

地中線 949.5 959.6 10,067m

地中化率 85.1% 85.4% +0.3%単位)km出典)レンヌ市資料より作成

フランスの地中化率等

レンヌ市の地中化率等

架空線 地中線 地中化率

20kV 200 9,400 98%

400/230V 1,360 4,200 80%

単位)km出典)ERDF資料より作成

フランスの2013年の想定導入量

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(資料)インドネシアの地中化率

単位)km注)2014年12月の値出典)PLN DISJAYA資料より作成

架空線 地中線 地中化率

20kV 2,332 km 18,051 km 89%

380/220V 30,525 km 2,552 km 8%

合計 32,857 km 20,603 km 39%

PLN DISJAYA供給区域の地中化率等

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3.無電柱化に係わる法規・ルール① 英・仏共に、地中埋設の記録を義務づける法律を整備 フランスでは、自治体と配電会社(ERDF)との契約(パリ市)、及び自治体の都市計画(レンヌ市)において無電柱化

を推進 英・仏共に数値目標は設定していない ジャカルタ特別州では、地域空間計画や州知事条例により地中化を推進している

項目 日本 英国 フランス インドネシア

全国レベルの法令等

「無電柱化に係るガイドライン」の整備(国土交通省)

「社会資本整備重点計画」(2012年8月31日閣議決定)

において、「市街地等の幹線道路の無電柱化率」の目標設定

「経済財政運営と改革の基本方針2014(骨太の方針)」や「日本再興戦略」(いずれも平成26年6月24日閣議決定)にて無電柱化を推進

交通政策基本計画(H27.2.13閣議決定)

送配電料金の規制方式(RIIO)• る収入査定の対象に景観や信頼度の項目があるため、無電柱化の促進に間接的に寄与

• 景観地域における既設架空線の地中化費用について、一定額を需要家から回収することを認めており、配電会社は地中化を推進しやすくなる

ESQCR 2002(2002 年電力安全・品質・維持規則:the Electricity Safety Quality and ContinuityRegulations 2002)

• 埋設深さ(14条)、埋設記録(15条)

新設線路の地中化供給の協定・・・「電力系統と環境に関する協定」(1992年8月)等

地中インフラの3次元デジタルマップ整備・・・2012年障害対策規制(Déclaration de travaux à proximité de réseaux。DT-DICT:工事申請-工事意思表示申請)

自治体の道路規制・・・道路法典

道路に関する規制・・・道路法(2004年法律第38号)、道路に関する政令(2006年第34号)、道路利用に関す

るガイドライン(公共事業大臣規程2010年第20号)

自治体レベルの法令等

国で策定している地中化計画に基づき、各自治体で計画を定めている

自治体は景観地域における既設架空線の地中化に向けた推進活動を実施(法令に基づく活動かは不明)

自治体とERDFとの契約(パリ市)

自治体の都市計画(レンヌ市)

歴史的建造物の保護規制(パリ市)

ジャカルタ特別州の地方条例2012年1号「2030年の地

域空間計画(マスタープラン)」

ジャカルタ特別州知事条例2010年195号

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3.無電柱化に係わる法規・ルール② 埋設深さや他インフラとの離隔距離、ケーブルについては、法規や規格、ガイドラインで基準を整備 フランスのレンヌ市では、都市計画で地中化路線を策定

英国では、景観地域における既設架空線の地中化路線は、配電会社がステークホルダ(自然保護等の慈善団体等)との協議や費用対効果を勘案して、実施場所を選定

ジャカルタ特別州では、州が地中化の重点地区を定めている

項目 日本 英国 フランス インドネシア

規格・ガイドライン等

埋設深さ・・・道路法施行令、電技解釈

弱電線との離隔距離・・・電技解釈

ケーブル・・・JISやJCS規格、JEA規格に準拠

埋設深さ・離隔距離:NJUGガイドライン

ケーブル・・・IEC準拠の国家規格(BS)に準拠

埋設深さ・離隔距離:国家規格(NF)、および各自治体の基準

ケーブル・・・IEC規格を強化した国家規格(NF)に準拠

埋設深さ・離隔距離:国の政令、州の基準、国家規格(SNI)、PLN規格(SPLN)

ケーブル・・・IEC規格に準拠した電力規格(SPLN)

地中化路線の決定方法

道路管理者、自治体、電線管理者が協議・合意した路線を実施

景観地域における既設架空線の地中化路線は、配電会社がステークホルダ(自然保護等の慈善団体等)との協議や費用対効果を勘案して、実施場所を選定

フランスのレンヌ市では、都市計画で地中化路線を策定

パリ市では、地中ケーブルやジョイント部の年間更新距離を、ERDFとの委託契約で規定

ジャカルタ特別州等では、州の計画により、重点地区から地中化が推進

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(資料)道路利用に関する規制(インドネシア)

道路法(2004年法律第38号)、道路に関する政令(2006年代34号)、道路利用に関するガイドライン(公共事業大臣

規程2010年第20号)により、以下のルールが定められている

RUMAJA(道路および歩道部):地上5m、地下1.5mにわたり、原則何も設置してはいけない

RUMIJA(道路管理地):道路管理者の許可を得れば、ケーブルの埋設や電柱を立てて良い

RUWASJA(規制対象区域):看板などに関する規制対象となる区域

通常、RUMIJAにケーブルや電柱は布設される

出典)公共事業省資料

a:車道b:路肩c:側溝d:安全地帯(歩道など)x:道路(b+a+b)

フェンス

フェンス

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フランスでは、既設地中配電線は大半が直接埋設である。パリでは更新の際に、数年前までは直接埋設だったが、将来の設備更新や工事規制の観点から、数年前から管を使う傾向にある。5,000kmのうち毎年約70kmずつ更新なので、管はまだ少ない。英国(UKPN管内)では、高圧の約60%が管路方式、約40%が直接埋設、低圧の約45%が管路方式、約55%が直接埋設であり、管路方式の割合は増加している。なお、一度の工事で30mまでの場合はトレンチにケーブルを直接埋設する方式も採用している。ジャカルタ特別州では20kV系統は地中化(直接埋設)が主流で、低圧は架空線が主流。工事渋滞の回避、開削工法による道路損傷を防ぐため、今後はボーリング工法による管路方式を採用する方針

ロンドン・パリのような大都市や都市中心部では、電気専用溝や共同溝方式も一部で採用。ジャカルタ特別州でも採用を検討している

英国では歩道下、道路下の両方に設置されている。パリは歩道下への設置が基本だが、道路横断時のみ道路下に布設。ジャカルタ特別州では、歩道下や路肩(歩道がない道路の場合)に設置

項目 日本 英国 フランス インドネシア

地中化方式

現在、電線共同溝法による整備や自治体管路方式、要請者負担方式による整備

2004年までは、

キャブシステムで整備

UKPN管内では、管路方式は1960年代より採

用され始め、現在は地中配電線延長の約60%が管路方式、約40%が直接埋設

ロンドンでは他のインフラと共同収容するトンネル型の共同溝や電気専用溝もある

パリ市やレンヌ市の既存電力線は直接埋設を採用。パリ市では更新の際に、数年前までは直接埋設だったが、将来の設備更新や工事規制の観点から、数年前から管を使う傾向にある。5000kmのうち毎年約70kmずつ更新なので、管はまだ少ない。

ERDFはケーブル容量の有効利用の観点から、直接埋設方式を志向

パリの再開発地域(ラ デファンス地区等)やレンヌ市中心部では、トンネル型の共同溝や電気専用溝も採用

ジャカルタ特別州では20kV系統は地中化(直接埋設)が主流で、低圧は架空線が主流。工事渋滞の回避、開削工法による道路損傷を防ぐため、今後はボーリング工法による管路方式を採用する方針

一方PLN DISJAYAは、コスト面、

需要増加時等に柔軟な対応が可能などの面から直接埋設方式を志向

州では共同溝も実施したい意向

埋設場所による違い

歩道幅2.5m以上は電線共同溝、歩道が狭い場合は柱状型変圧器や軒下配線などによる無電柱化

UKPNでは工事規制(1日の掘削区間が 長30mまで)の関係から、近年は30m未満の短いも

のは直接埋設、それ以外は管路方式を採用

パリでは、車道を横断する場合は、以前より管路方式を採用(道路封鎖の防止、第三者保護の観点から、義務ではないがERDFの判断で実施)

歩道下ではこれまでは直接埋設が主流であったが、今後は管路方式を採用する傾向

PLNの基準では道路横断の場合は管路方式となっているが、それ以外の場所では現在は直接埋設が主流

一般的な埋設場所

基本は歩道下 既設埋設物の回

避策として道路下へ布設する場合もあり

ケーブルは歩道下、道路下への布設が原則(電力会社に道路占用権限有り)

自治体・ERDF間の契約により、機器・ケーブルは歩道下、道路下への布設が原則(電力会社に道路占用権限有り)

パリ市・ERDF間の委託契約では、道路下の利用は道路横断時のみと規定

歩道下や(歩道がない場合は)道路の路肩部分

4.無電柱化の方式①

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4.無電柱化の方式②

低埋設の深さは日本の60cmに対し、英国では低圧は歩道で45cmと浅い基準。フランスは60cmで同程度 パリ市では第三者保護の観点から、コスト低減化のための浅層埋設(埋設基準より浅い埋設)は志向されていない 各国では、管路・ケーブル上方に警告のためのシート等の設置を行っている

項目 日本 英国 フランス インドネシア

低埋設深さ

道路法施行令• 歩道60cm超、車道80cm超※ただし、通達により、次の通り緩和している。「電線の頂部と路面との距離は、当該電線を設ける道路の舗装の厚さ30cmを加えた値(ただし60cm未満の場合は60cm)以下としないこと。なお、歩道の場合は、原則50cm以下としないこと」

電技解釈

• 管路式・・・車両その他の重量物の圧力に耐えるものであれば深さ制限なし

• 直接埋設式・・・車両等の圧力を受けるおそれがある場所は120cm以上、その他の場所は60cm以上(圧力に耐えるよう施設する場合はこの限りでない)

2002年電力安全・品質・維持規則(ESQCR 2002)第14条により、損傷を受けない適切な深さに埋設することを義務づけ

NJUG(全国公益サービス企業

連合)がガイドラインで推奨値を制定

• 歩道・・・45~120cm(11kV)、45cm(230V)

UKPNの基準• 歩道・・・60cm(11kV)、45cm

(230V)• 車道・・・75cm(11kV)、60cm

(230V)

国家規格(NF)を制定(自治体の基準が優先)

• 歩道・・・60~80cm、車道・・・80~110cm(20kV、230Vとも)

パリ市の基準• 歩道・・・90cm(20kV)、

60cm(230V) コスト低減化のための浅層

埋設は志向しない

浅層埋設時には、第三者保護のため追加対策が必要

道路法• 道路・歩道下への設置は

表面から1.5m以上 ジャカルタ特別州条例

• 20kV:110~130cm以下 PLNの基準

• 20kVは、道路・歩道とも、150cm~170cm

工事の許認可は道路管理者が有するため、実際の埋設深さは道路管理者との調整により決まる

離隔距離

電技解釈により規定 NJUGガイドラインで規定 国家規格(NF)を制定(自治体の基準が優先)

国家規格(SNI)およびPLN規格(SPLN)で規程

舗装方式

表層アスファルト層、上層路盤、下層路盤の3層構造

ケーブル周辺の埋戻方法は配電事業者が指定、そこから道路表面までは道路管理者(地方自治体)が指定

自治体は、掘削時と同じ条件で埋め戻すことをルール化

歩道(パリ市)・・・表層アスファルト2cm、コンクリ10cm(消防等の車が乗り入れる場所はコンクリ30cm)

地層(地質)は地域毎に安定(同一)

ケーブル周辺は砂で埋め戻し、その上部は掘削土による埋戻し、及び表層は周辺の舗装構造に合わせる

警告標識

管路の25~40cm上方に埋設標識シートを布設

ケーブルの20cm上方に警告板を布設

ケーブルの20cm上法に警告網を布設

ケーブル中心から10cm上方にコンクリート板を布設

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(資料)地中化および警告表示の事例

道路への設置工事(管路方式、11kV) トンネル方式 出典)UKPN資料

英 国

道路への設置工事(直接埋設)出典)パリ市資料

電気専用溝出典)ERDF資料

フランス

警告標識の例出典)UKPN資料

警告網の例

歩道への設置工事(直接埋設) 出典)国土交通省提供

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(資料)地中化および警告表示の事例

インドネシア

管路方式の例(606.K/DIR/2010、PLN)

トンネル方式の例(606.K/DIR/2010、PLN)

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(資料)埋設深さ、離隔距離の基準(英国)

出典) 図、表いずれも、NJUG Guidelines on the Positioning and Colour Coding of Underground Utilities’ Apparatus 2013

全国公益サービス企業連合(NJUG: National Joint Utilities Group)は、歩道や道路等における地中埋設ガイドライン( 新版は

2013年)を設定し、これに準拠することを奨励

電圧階級低埋設深さ

歩道/路肩 車道

低圧 45cm 60cm

高圧 45~120cm 75~120cm

図 2mの歩道における埋設物の推奨位置表 地表面からケーブル頂上部までの推奨 低埋設深さ

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(資料)埋設深さの基準(英国 UKPN)

図 低圧ケーブルの埋設 図 高圧(11kV)ケーブルの埋設

注1)図中の-は警告標識(低圧の管路方式の場合はオプション)注2)図中、警告標識はケーブル上方10cmに記載されているのは間違いで、正しくは20cm

出典)Excavation and Cable Installation Manual、UKPN、2012

UKPNの社内マニュアルによる低圧、高圧(11kV)の開削方式による埋設例

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(参考)埋設深さ、離隔距離の基準(フランス)

設備並行に設置

する場合(cm)交差して設置する場合(cm)

下水道・本管(ケーブル直径<0.70m)との離隔・本管(ケーブル直径>0.70m)との離隔・継ぎ手(PVC, PE-HD etc.)との離隔・継ぎ手(鋳鉄、コンクリート etc.)との離隔

40503540

20202020

上水道(引込管)・管路とその付属品との離隔・継ぎ手(PVC, PE-HD etc.)との離隔・継ぎ手(鋳鉄、コンクリート etc.)との離隔

402040

202020

上水道(本管)・管路とその付属品との離隔 60 20

電力・配電系統との離隔・送電系統との離隔

2020

2020

ガス・本管との離隔・引込管との離隔

5020

5020

通信・管路により布設されている場合の離隔・直接埋設により布設されている場合の離隔

2050

2020

電圧 歩道(cm) 車道(cm)

低圧、20kV

60~80(トレンチ深さ:

80~100)

80~110(トレンチ深さ:

100~130)

表 電力ケーブルと他埋設物との離隔距離の基準

表 ケーブルの 低埋設深さ

出典)NF P98-332(2005)より作成

出典)NF P98-332(2005)より作成

自治体の規定がない場合には、国家規格(NF)で定めた以下の基準に従う

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(参考)パリ市の埋設深さ、離隔距離の基準

地面(歩道)

60cm 90cm

低電圧

高電圧

20cm

50cm

電気. 通信

シース

埋設深さ基準 離隔距離基準

出典) パリ市資料

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(参考)ERDFによる直接埋設の構造例

地下ケーブル布設技術コーティングによる直接埋設のトレンチ構造

舗装

路盤

布設部分

表層

基層

上層路盤

下層路盤

コーティング

布設床部分

警告フェンス

CMS 85又は65cm(技術規程や道路規程を参

照)

トレンチの 下部

低圧は5cm、20kVは10cm

0または10cm

出典) ERDF資料

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(参考)埋設深さの基準(インドネシア) ケーブルの埋設深さの基準は、国家規格(SNI 0255:2011)をもとにPLNが定めている

終的な埋設場所は、地方政府の許可を取得する事が必要

道路及び歩道下に直接埋設する場合• ケーブル保護のために掘削部を砂で充填

道路を横断する場合 開削が可能な場合

• 直径4インチ以上のコンクリート管又はPVC管に通して設置• 複数ケーブルを設置する場合は、管の間に6cmのコンクリート板

を設置• ケーブル及び管の敷設後、スタンパーで道路を圧縮• 少なくとも再舗装後1か月間は舗装状態の確認を行う

開削ができない場合• ボーリングによりトンネルをつくりケーブルを埋設する• ボーリングは、人力、機械利用のいずれも可能• ボーリング後、直径6インチ以上の鋼管を設置• 大通りでの深さは原則として線路の場合と同様

出典)606.K/DIR/2010、PLN

埋設ケーブル条数 埋設深さ(cm) 埋設幅(cm)

1

150

40

2 50

3 60

4 80

5

170

60

6

7 80

8

9 100

10

表 20kVケーブルの道路・歩道への埋設深さ基準 表 20kVケーブルの埋設方法

出典)606.K/DIR/2010、PLN

埋設深さ(cm) 埋設幅(cm) 埋設方法

70 40以上

• ケーブル周辺部は20cm厚の砂で覆う• 砂の上部に6cm以上の厚さの保護板を置く。警告標示も記載する• 管路は主要交通路の地下や橋を通る場合に利用可。管路は直径4インチ以上で、断面積

10mm2以上のケーブル引き出し線を管路内に準備する。30m毎にマンホールを設置する

表 低圧ケーブルの埋設深さ基準・埋設方法

出典)473.K/DIR/2010、PLN

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(参考)埋設深さの基準(インドネシア)

図 20kVケーブルの直接埋設例(公園や普通の土地への埋設例)

A-Aの断面

注)単位はmm出典)606.K/DIR/2010、PLN

土(締め固める)

ケーブル

保護用コンクリート板

地表

図 20kVケーブルの管路を用いた埋設例(大通りへの埋設例)

A-Aの断面

PVC/コンクリート管砂

大通りのアスファルト

ケーブル

保護用コンクリート板

注)単位はmm出典)606.K/DIR/2010、PLN

土(締め固める)

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(参考)埋設深さの基準(インドネシア)

図 低圧ケーブルの直接埋設例(歩道への埋設例)

A-Aの断面

注)単位はmm出典)473.K/DIR/2010、PLN

①石板、②砂、③ケーブル

土(圧縮する)

歩道

図 低圧ケーブルの管路を用いた埋設例(道路横断時の埋設例)

A-Aの断面

土(圧縮する)

大通りのアスファルト

注)単位はmm出典)473.K/DIR/2010、PLN

砕石層

①石板、②砂、③4インチPVCパイプ 5mm厚④ケーブル

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(参考)離隔距離の基準(インドネシア)

設備 20kV地中ケーブルと他の設備との離隔距離

20kVケーブルとの交差 • 30cm距離を確保し、6cmのコンクリート板で隔離する

地中通信線との交差・並走

• 30cm以上離隔する• 電線を通信線の下方に設置し、厚さ6cm以上のコンクリート管かコンクリート板で保護し、交差部分の左右

0.5mの余裕を確保のこと• 通信線が20kVケーブルと並走する場合、並走部分はコンクリー管、コンクリート板、又は相応のもので隔離す

水道/ガス管との交差

• 30cm以上離隔する• 電線を水道/ガス管の下方に設置し、厚さ6cm以上のコンクリート管かコンクリート板で保護し、交差部分の左

右0.5mの余裕を確保のこと• 水道/ガス管が20kVケーブルと並走する場合、並走部分はコンクリート管、コンクリート板、又は相応のもので

隔離する

線路との交差・並走• 線路から2m以上離隔する• 交差する場合、直径4インチ以上の鋼管の中を通し、線路から2mの距離を確保し、かつ2mの深さにする

大通り・環境道路との交差

• 0.80m以上の深さに設置すること• 4インチの鋼管、又はPVC管を通し、路肩の左右0.5m以上の余裕を確保のこと

灌漑設備/水路との交差

• ケーブルは灌漑設備/水路の下方を通し、離隔距離は0.3m以上• 4インチ以上のコンクリートか金属管を通し、交差部分両側0.5mの余裕を確保のこと• ケーブルを埋設している水路の両端には印をつけること• 横断の必要がある場合には、スチールシールドケーブルを用いること

低圧ケーブルとの交差・並走

• 20kVケーブルは低圧ケーブルの下方に設置• 交差・並走いずれの場合にも離隔距離は30cm以上

ケーブルの離隔距離の基準も、国家規格(SNI 0255:2011)をもとにPLNが定めている

終的な埋設場所は、地方政府の許可を取得する事が必要

出典)606.K/DIR/2010、PLN

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(参考)離隔距離の基準(インドネシア)

設備 低圧地中ケーブルと他の設備との離隔距離 ケーブル保護

他のPLN電力線との交差 D >= 20cm

• 6cm厚のコンクリート管又はコンクリート板で保護

• コンクリート管或いは板による保護は1m以上行うこと

通信線との交差 80cm >= D >= 30cm

ガス管との交差 D >= 1m

建物の基礎との交差 80cm >= D >= 50cm

高圧鉄塔との交差 80cm >= D >= 30cm

出典)473.K/DIR/2010、PLN

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(参考)離隔距離の基準(インドネシア)

図 20kVケーブルが通信線と交差する場合の例

通信線用防護板

通信ケーブル

電力線用防護板

コンクリート管

20kVケーブル

出典)606.K/DIR/2010、PLN

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5.ケーブル・管路技術①

項目 日本 英国 フランス インドネシア

導体 銅が主流 アルミが主流(銅は高圧の超

高負荷線でのみ利用) アルミが主流(低圧の91%がアルミ) アルミが主流(地中線も架

空線もほぼアルミ)

絶縁体 架橋ポリエチレン 架橋ポリエチレン 架橋ポリエチレン 架橋ポリエチレン

遮へい 銅テープシールド 銅ワイヤシールド アルミラミネートテープシールド 銅ワイヤ+銅テープシー

ルド

シース 塩化ビニルが主流 ポリエチレンが主流 ポリエチレンが主流 塩化ビニルが主流

保護層(直埋目的)

管路布設のため保護層はない

構造は確認中も埋設環境で保護(直接埋設時は、砂とセメントを14:1で混ぜたものでケーブルを保護している)

ポリエチレンなどのアウターシースが施されている。

保護繊維を布設時に施す場合もある

絶縁コア撚り合せの隙間を樹脂で充填した上で鋼帯がい装が施されている

ケーブル耐用年数

布設環境により耐用年数は大30年(電線工業会技術

資料より) 点検、メンテナンスにより30

年を超える使用実績有り

40年で計画されるが60~70年使用されているものもある

ケーブル部は40年以上の耐用年数が必要。完全防水(遮水構造)により100年以上の設計寿命を想定

ジョイント部は事故が多く、寿命延長が課題

基準は25年で、経験的にも25年を超えるとトラブルが増える

防水仕様

ケーブル例

導体は英国、フランス、インドネシアではアルミが主流 絶縁体は各国とも架橋ポリエチレン絶縁であり、日本と仕様はほぼ同一 シースは外傷保護目的として各国独自の材料を用いていた

⇒導体・絶縁体・遮へい・シースまでのケーブルの基本構造は各国ほぼ同一 フランス・インドネシアでは、直接埋設を行うケーブルは、その外側に

何らかの機械的保護を施している 耐用年数の考え方は各国で異なることに留意

導体 絶縁体 遮蔽 シース

※上の写真はイギリスのケーブル

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5.ケーブル・管路技術② 各国とも、ケーブル規格はIECに準拠した国家規格(BSやNF)や電力規格(SPLN)にて規定 直接埋設、管路方式向けに、発煙性能や遮蔽、ケーブル保護膜などの仕様が異なっている 高圧(6.6kV~20kV)のケーブル許容曲げ半径は、日本の8~12×Dに対して10~20×Dと曲がりにくい構造である 管路の素材はプラスチック、鋼管、コンクリート管が用いられている

項目 日本 英国 フランス インドネシア

ケーブル準拠規格

JISやJCS規格、JEA規格に準拠

6.6kV・・・JIS C 3606、JCS 4395、C-301

600V・・・JIS C 3605

IEC準拠の国家規格(BS)に準拠(33kV以下:BS 7870、33kVより上:IEC 60840)

IEC規格を強化した国家規格(NF)に準拠(20kV:NF C 33-226、低圧:NF C33-210)

IEC準拠の電力規格(SPLN)に準拠(20kV:SPLN 43-5-1~6、低圧:SPLN 43-2)

使用されているケーブルの特徴

直接埋設の場合、がい装付ケーブルを採用

管路方式の場合は低発煙性ケーブルを利用

砂地以外に直接埋設する場合は、保護被覆付きケーブル、布設時に保護繊維を縦添えしているケーブルを採用

直接埋設の場合は、鋼製外装(スチールシールド)有りのケーブルを利用

ケーブル許容曲げ半径

600V 単芯:8×D、多芯:6×D

6.6kV CVケーブル・・・10~12×D

6.6kV CVTケーブル・・・8×D

低圧・・・8×D 11kV単心ケーブル・・・20×D 11kV三心ケーブル・・・15×D

低圧・・・6~12×D 20kV・・・ケーブル断面積によ

り65cm~100cm(10~20×D相当)

20kV・・・20×D

使用管路

材質:塩ビ管・鋼管 直径:φ100mm・130mm

材質:ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、硬質塩ビ

形状:11kV以下ではコルゲート(波形)管を仕様

強度:11kV以下用は450N @50℃

内径:11kV以下用は32、38、41、50(mm)

- 材質:コンクリート管又は塩ビ管(1の場合)、鋼管(2の場合)

直径:4インチ以上(1の場合。通常6インチ程度を利用)、6インチ以上(2の場合)

(1)道路横断時に開削工事可能な場合、(2)道路横断時に開削工事不可(ボーリング工事)の場合

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(資料)使用ケーブル例(英国UKPN 管路・直接埋設用)

英国 低圧ケーブル(引き込み線) 出典)UKPN資料

英国 低圧ケーブル(幹線) 出典)UKPN資料

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(資料)使用ケーブル例(英国UKPN 管路・直接埋設用)

英国 6.35/11kVケーブル(幹線) 出典)UKPN資料

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(資料)使用ケーブル例(フランスERDF 直接埋設用)

フランス 20kVケーブル(保護被覆付きケーブル) 出典)ERDF資料

フランス 20kVケーブル(後付けの保護繊維方式ケーブル) 出典)ERDF資料

• 保護被覆の仕様は各メーカ独自の仕様を採用

• 保護被覆の材質はポリエチレン

• 耐水性向上のためアルミラミネートによる遮水構造を採用

• 布設時に保護繊維を縦添えしている

• 土壌と一体化することにより熱放散を向上させ、管路布設より許容電流の低下を抑制

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(資料)使用ケーブル例(インドネシアPLN 直接埋設用)

・導体はアルミニウム

・絶縁体は架橋ポリエチレン

・静電遮へいは各線心にワイヤ+銅テープシールド

・シースは塩化ビニル(インナー、アウターとも)

【直接埋設用として工夫されている点】

・亜鉛メッキ鋼テープが撚り合せ上に施されている。

・介在物が充実型となっている。

(隙間に樹脂を充填)

【品名略号の意味】NA:アルミニウム導体2X:架橋ポリエチレン絶縁体SE:各心銅遮へいY :PVCシース(インナー)B :亜鉛メッキ鋼テープシールドY :PVCシース(アウター)

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(資料)ケーブル許容曲げ半径(英国)

ケーブル種類 低曲げ半径(D:ケーブル外径) 参照規格

低圧ケーブル

8D但し以下の全ての条件が適用される場合は 大50%低減できる• Single Bendの時• ケーブルが30℃以上の時か30℃まで温められる時• 型板などを用いて曲げられる時

BS 7870-1BS 7870-3シリーズ

高圧ケーブル

単心ケーブル(11kV~33kV) 20D BS 7870-4.10

三心ケーブル11kV 15D BS 7870-4.20

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(資料)ケーブル許容曲げ半径(フランス)

断面積(mm2) 3×50 3×95 3×150 3×240 3×630

布設時の小半径(cm)

張力ありケーブル外径の20倍、単心ケーブル外径の40倍。換算値は以下の通り。

130 140 160 180 200

張力無しケーブルの場合1m未満、単心ケーブルの場合は以下の通り。

130 140 160 180 200

布設後の 小半径(cm)

65 70 80 90 100

出典)NF C33-226より作成

20kVケーブル

低圧ケーブル

低曲げ半径(D:ケーブル外径) 参照規格

12D但し以下の全ての条件が適用される場合は 大50%低減できる• Single Bendの時• 資格者の工事の時• ケーブルが30℃まで温められる時• 型板などを用いて曲げられる時

NF C22-210

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(資料)使用管路の例

英 国 フランス

11kV用の波形管路(ロンドン市内の事例)

低圧(外灯用)の波形管路(レンヌ市の事例)

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6.変電設備の設置場所及び供給先

英国では、新規に設置する場合は民地、ビル、公園などの地上に設置される。ロンドンの場合は通りには設置しない方針となっている

インドネシアは原則自治体所有地に設置するが、大規模需要家の場合は需要家からの許可を得て民地に設置することが可能

各国共に、民地に設置した変電設備から、他の顧客への供給を行っている

項目 日本 英国 フランス インドネシア

変電設備の設置場所

東京都では歩道内の車道よりへの設置を原則

十分な歩道幅を確保できない場合、柱状型変圧器を用いた電線共同溝を採用

上記でも対応が困難な場合に、官公有地や民地を活用する例もある

官公有地や民地を活用する場合は、法などに基づく占用権がないため、個別協議により対応

新規の場合、地上設置を推奨(伝統的には地下に設置されてきた)

ロンドンの場合、民地、ビル、公園などに設置し、通りに設置しない方針

顧客理由の工事の場合、合意できれば顧客敷地内に設置するが、 近は、地価を意識し、民地設置を断られるケースが多い

新規電力申込が有り、新たに変電設備が必要な場合は占用契約を締結して建物内に設置する。建物の所有者は場所を提供する義務を有する

再開発地区では、建設許可の一部として計画に含む

パリ市では、景観の管理を建築家協会が行っており、公園内への機器設置については、建築家協会の許可が必要(コンコルド広場への変電設備設置拒否事例有り)

パリ市内の変電所約5,000のうち43%が地中化。歩道下に多い

変電所は全て歩道の端や民地などの地上に設置

原則自治体所有地に設置する

電力法により、41kVAを超

える需要家に対しては、需要家からの許可を得て変電所設置を民地に設置できる権利をPLNは有しており、許可を得られれば民地に設置する

変電所を設置するためにPLNが土地を購入したり賃借することはない

変電設備からの供給先

官公有地の場合には道路と同様に他の顧客に供給

民地の場合には、基本的に地権者以外の顧客に供給は行っていない

官公有地および民地から、他の顧客に供給

官公有地および民地から、他の顧客に供給

官公有地および民地から、他の顧客に供給

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民地への11kV/低圧変電所の設置(ロンドン)

英 国 フランス

(資料)変電設備の設置形態

20kV/低圧 変圧器出典)GUIDE TECHNIQUE relatif aux travaux à proximité des réseaux Version1, Juin 2012

インドネシア

民地への20kV/低圧変電所の設置(ジャカルタ特別州)

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7.無電柱化に係わるコスト①

(試算の前提条件や系統構成が異なるため単純な比較はできないものの)高圧1回線、kmあたりの地中化コストは、日本の約3,200万円に対してロンドン・パリ市では約2,600万円~約6,000万円、ジャカルタ特別州では約1,050万円

日本では常設作業帯の確保は困難であるが、各国では常設作業帯の設置が可能である

項目 日本 英国 フランス インドネシア

地中化コスト(高圧、kmあたり、1回線あたり)

約3,200万円• 約1.6億円/km(5回線分。土木工事費を含まない)より、1回線分に換算

UKPNの高圧ケーブル(11kV)埋設工事費用(概算)• 30万ポンド(約6,000万円)(300Cu XLPE利用時)

• 26万ポンド(約5,200万円)(300Al XLPE利用時)

注)掘削、ケーブルと管路の布設、埋戻の土木工事費、ケーブル費用を含む。ケーブル連結、プロジェクト管理、交通管理等、他の費用を除く。これ以上の詳細化は提示不可とのこと。

都市部全国平均(20kV)・・・10.6万ユーロ(約1,600万円)

パリ市(20kV)・・・17万ユーロ(約2,600万円)

レンヌ市(低圧)・・・15万~30万ユーロ(約2,300~4,600万円)

PLN DISJAYAの工事・ケーブル・保守・機器コスト合計:約Rp 976,653,600(約1,075万円)• 工事:Rp.623,995,600(約

690万円)• ケーブル:325~355万円(下記)

• 機器コスト:約Rp.29,964,600(約33万円)

地中ケーブルコスト(mあたり)

【銅電線】 6.6kV用CVT(三相)150mm2:約

5,000円 200V用CVQ(4相)250mm2:約

7,000円

把握不可(提示不可とのこと) 【アルミ電線】 20kV(単相)150mm2・・・単

相分が4ユーロ(約600円)(三相分相当で約1,800円)

低圧(4相)・・・6~10ユーロ(約900~1,500円)

【アルミ電線】 20kV(三相)300mm2:

Rp.322,694(約3,550円) 20kV(三相)240mm2:

Rp.294,644(約3,250円)(ヒアリングで240mm2でRp.36万~40万(約4,000円~4,400円)とのコメント)

架空線との比較

架空線のコストは地中線の1/10程度

架空線のコストは地中線の1/10程度

- -

作業員人件費

職長21,600円/日、作業員18,900円/日(公共工事設計労務単価)

約130ポンド(約2.6万円)/日 低賃金・・・昼間で概ね10ユーロ(約1,500円)/h/人

Rp.150,000(1,650円)/日

常設作業帯

現道工事では常設作業帯(保安柵を設置したまま)の確保が難しく、かつ、毎日埋戻や仮復旧を行うことが多いため、1日の工事量に制約が課せられている

常設作業帯の設置が可能 常設作業帯の設置が可能 常設作業帯の設置が可能

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7.無電柱化に係わるコスト②

英国は原則として全額電力会社負担。景観地域における既存架空線の地中化費用については、送配電料金収入規制の制度下において一定額を需要家から回収することが認められている

フランスは顧客や自治体からの要請がある場合は、60%を要請者負担、40%を事業者(ERDF)負担 ジャカルタ特別州の20kVは原則として全額電力会社負担であるが、低圧線を地中化する場合は全額要請者負担

(電気事業者の標準は架空線であるため)

項目

日本 英国 フランス インドネシア

費用負担

電線共同溝方式・・・国、地方自治体(道路管理者)、電線管理者が各々1/3程度負担

自治体管路方式・・・管路設備の材料費及び布設費を地方公共団体が、残りを電線管理者が負担

単独地中化方式・・・全額電線管理者負担

要請者負担方式・・・無電柱化協議会で優先度が低いとされた箇所の無電柱化を実施する場合、原則全額要請者負担

全て電力会社負担(掘削、埋戻、舗装)

景観地域における既存架空線の地中化費用については、送配電料金収入規制の制度下において一定額を需要家から回収することが認められている

SRU法(連帯・都市再生法)により、顧客や自治体からの要請による工事の場合(新規接続も含む)、60%が要請側負担、40%がERDF負担

メンテや予防措置はERDFの100%負担

自治体の都市計画や道路工事と一体工事する場合、掘削・埋戻・舗装は電力線を管理する自治体負担、ERDFはケーブル布設部分のみ負担

地中化に対する国の補助はない

20kVの地中化コストは全てPLN負担

低圧を地中化する場合は、全て住民や開発業者の負担(PLNは架空線が基本のため)

道路拡張等に伴う移設に係る費用は、全てPLN負担

その他

- 直接埋設と管路方式の布設コストは同等程度(ランニングを考えると管路式が有利との認識)

経費の 大項目は掘削と埋戻

コスト低減のため、埋設深さ基準を見直す動きは無い(電力会社はルールを遵守している)

埋戻に対して2年間の瑕疵担保をUKPNは求められる

オリンピックのためだけの設備等は、一般需要家に負担を求めず、組織委員会負担とするようOfgemが判断

地域住民の合意形成のための追加条件等がコスト上乗せ要因となっている(工期・工事時間の短縮等のため、工区を細切れにする等)

その他コストアップ要因・・・障害対策規制による事前の埋設物確認、道路のアスベスト規制、工事中の仮舗装のような道路規制強化

道路工事に併せた地中化工事はコストダウン効果有り

コスト低減に向けては、実作業の効率化よりも、工事進捗を効率的とする計画立案が必要とPLN DISJAYAは認識

現在の基準よりも浅く埋設することによるコストダウンの検討は、PLNDISJAYAではされてない

州政府は共同溝も実施したい考え

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8.無電柱化工事の状況①

英、仏では、配電事業者は道路占用権限を与えられており、道路の占用に関して許可は不要 英国は道路占用料を支払う制度はない フランスでは、公共地占用料として、原則として自治体の人口に応じて設定される定額制となっている ジャカルタ特別州では、道路占用料は新設時に一度支払うのみ

項目 日本 英国 フランス インドネシア

工事規制 道路管理者・警察の許

可が必要 殆どの自治体では一回あたりの

開削区間は30mまで 工事時間等の規制はプロジェクト

毎に決める 工事時間、工事区間長はプロ

ジェクト毎に決める

道路使用許可の有無

警察の許可が必要 道路工事の場合、道路庁と警察に許可申請

市町村長が工事の許認可権を有す

道路工事の場合、国や州の道路管理者の許可が必要

占用許可

道路管理者の許可が必要

道路占用権限を有しているため、届出は必要だが、許可不要

自治体とERDFの契約により、機器、ケーブルの設置に関して、公共用地占用権限を有している(公園などの公有地には無い)

届出は必要だが、許可不要

道路管理者の許可が必要

占用料

定額物件として、道路価格×使用料率×占用面積×(修正率)で算出

英国は道路占用料を支払う制度はない

公共用地利用権の対価として、公共地占用料を支払う

公共地占用料は自治体の人口に応じて設定される定額制

パリ市だけは電気料金、供給電力量に連動した定額制になっている

ジャカルタ特別州では新設時に一度支払うが、その後の支払いはない

ジャカルタ特別州では、Rp 1万/m(約110円/m)

工事の際の工夫

通信事業者の管路は、電力又は電話と共同工事で実施することもある

新規集合住宅等の場合、他の埋設インフラとの共同工事事例を増やそうとしている

都市計画に則り、道路や地中インフラの一体工事を市がコーディネート(レンヌ市)

ERDFとフランステレコムも共同工事を実施する方向となってきた

現状は、各事業者をまとめる組織が無く、別々に地中化工事をしている

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8.無電柱化工事の状況②

諸外国では、都市部でも日中工事が基本

フランスでは柵をはり、迂回歩道等整備することで許可を得られ、現場の即日の埋戻は不要で工事の機材等を現場にそのまま存置にしておくことが可能

諸外国では、工事誘導員は不要とされている

項目 日本 英国 フランス インドネシア

工事時間

東京都区内にある現道では夜間工事が基本【夜間率:60%】

夜間工事を指示されない限り通常は昼間工事

昼間工事が基本 夜間工事は市町村長等の許可が

必要なため、珍しい

シャンゼリゼ通りなどの大通りは夜間工事

昼間工事が基本 事業毎に判断し、大通り等は

行政からの要請で夜間工事とする場合もある

現場復旧

毎日埋戻・仮復旧が必要 1日で埋戻~仮復旧が出来

ない場合は覆工板で道路開放という方法もあるが、かなりのコストアップになる

毎日の現場復旧の要否は場所により異なる。不要の場合は柵で囲む

柵をはり、迂回歩道等整備することで許可を得られ、現場の即日の埋戻は不要で工事の機材等を現場にそのまま存置にしておくことが可能

原則、一日で工事が終わる距離だけ掘削し、埋め戻す

ジョイント部等で掘削したままの方が良い等、一日で終わらない場合は柵で囲っておく

工事員

1パーティー6~8人 3~6人 4~5人 標準的な班構成は無し 20人の作業員で、ケーブルド

ラム一巻き(250m)を一日で対応可能

誘導員

必要(警察や地元住民等からの要請により誘導員を設置。通行止め工事の場合8人以上の場合もあり)

不要 不要 不要

住民説明・住民合意

事業実施にあたってはあらかじめ自治体や事業者が実施し、工事実施段階では工事会社が実施

UKPNの場合、多数の住民に影響する大規模プロジェクトの場合に説明会を開催。UKPNが主催し、自治体関係者も出席

Ofgemは、自治体がサポートすると円滑に進むと認識している

レンヌ市では、法的義務はないものの、良い街にするため市が先頭に立って住民への工事説明を実施

年間工事計画の策定にあたり、パリ市が地域住民との協議を行う

ジャカルタ特別州では、工事説明は(州の下部行政組織である)区が主催し、PLNがそこに参加する形で開催される

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(資料)電気工事の状況

英 国 フランス

ERDFの開削工事現場の様子(パリ)

UKPNの開削工事現場の様子(ロンドン)

インドネシア

PLN DISJAYAの開削工事現場の様子出典)PLN DISJAYA資料

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9.事故・トラブルの発生・対応状況① UKPNの管内では、感電事故は毎週発生しており、工事作業員の知識不足によるところが大きい フランス、インドネシアではケーブル不良などによる停電事故が頻発している。なお、両国とも感電事故は稀である

項目 日本 英国 フランス インドネシア

地中ケーブルに関する事故・トラブル発生頻度

東電管内で他工事による外傷事故は約60件/年程度(高圧・低圧含む)

ケーブル不良事故は約10件/年程度

UKPN管内で、毎週1~2名の工事作業員の火傷レベルの感電事故が発生

感電による死亡事故はあまりない

20kVで6千件/年の停電事故 低圧でも5千~6千件/年のトラブル パリ市では100kmあたり20kVで

6.79回/年、低圧で10.42回/年のトラブル回数(2013年)

感電事故、人身事故はすごく少ない

PLN DISJAYAでは、架空・地中とも含むが、20kVで100kmあたり17.3回(2014年)

接続部の問題が40%、ケーブ

ル部(他工事によるケーブル破損も含む)が20%、その他40%

感電事故は殆どない

(参考)需要家あたり停電時間

15分/年(東京電力、2013年度)

40.5分/年(UKPN、2011/12年)

23分/年(2012年、パリ市)

約335分/年(PLN DISJAYA、2012年)

原因

古年度ケーブル不良や接続部不良

他企業掘削等による損傷

研修未受講の工事作業員の事故が多い

研修未受講のものが直接埋設箇所の工事をすることが原因

古いケーブルが多く、ジョイント部の補機の破損が多い

接続部の問題は、作業員の能力不足

他工事によるケーブル破損は、関係者間の連絡ミス

対応策

ケーブル、接続材料の品質向上

作業責任者は認定制とし、施工品質の向上と維持

他企業掘削前の埋設物協議の実施

NJUGが実施する研修を雇用主は工事作業員に受講させる

工事作業員は認定制• ERDFが主催・認定書を発行• 1995年から開始• 2年毎に実績を確認、4年毎に更新。問題があれば資格剥奪

接続工事は施工品質を確保するため接続部品メーカにて実施。PLN DISJAYAはメーカに5年保証をさせている

その他

- ロンドン五輪関連のトラブル• オリンピックパーク周辺のフェンスが地中ケーブルを損傷し、降雨により2箇所漏電

• 仮設テント用の1mのピンが高圧ケーブルに接触

パリ市の地下変電所は大雨時に浸水することもある。対策は取っているが解決が難しい

ERDFは事故点の発見も直接埋設の方が容易との見解

各国の事故・トラブルの定義が異なるため、単純な数値比較はできない点に留意が必要

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9.事故・トラブルの発生・対応状況②

項目 日本 英国 フランス インドネシア

ケーブル不良発生時の取替方法

ケーブル不良発生時は、原則当該ケーブルは撤去し、張替を行う。管路から引き抜き、新規ケーブルを引入れるため掘削は不要

接続部の不良発生時は、接続部のみ取替。接続部解体時にケーブルにも劣化が見られた場合はケーブル取替を行うこともある

UKPNでは、ケーブル不良発生時の取替は、事故箇所を特定し、その部分だけを除去・張替している

- PLN DISJAYAでは、変電所間の区間(約2km)で年間3回以上トラブルがあると全部張り替える

トラブル箇所を特定できないため、一部のみ張り替えることはできないとのことである

ケーブル全体張替え時の(古い)既存ケーブルの扱い

空き管路がある場合は、新規ケーブルを新しい管路に布設し、古いケーブルは撤去

空き管路が無い場合は、古いケーブル撤去後に新規ケーブルを引入れ。撤去ケーブルを残置することは原則なし

UKPNでは、簡単に張り替えられる場合以外は、既存の古いケーブルは地中へそのまま埋設しておく(撤去コストが資源回収コストより高くなるため)

- PLN DISJAYAでは、原則回収する

UKPNでは、ケーブル不良発生時の取り替えは、当該部分だけを取り替え。ケーブル全体を張り替える場合は、原則古いケーブルは回収せずに埋設したままにしておく

PLN DISJAYAでは、トラブル箇所の特定が難しいためケーブル不良発生時は全部張替。古いケーブルは原則回収している

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(資料)パリ配電網の経過年数、トラブル数 パリ市の配電ケーブルは、20kVのものは40年超経過しているものが40%程度

トラブル頻度は100kmあたり6~10回程度

経過年数 20kV(km) % 低圧(km) %

~10年 480 9.9 317 6.5

10~20年 688 14.2 1,093 22.4

20~30年 897 18.6 1,662 34.0

30~40年 911 18.8 510 10.4

40年~ 1,859 38.4 1,302 26.7

合計 4,835 100 4,884 100

表 2013年時点のケーブルの経過年数(パリ市)

出典)CRAC 2013 Ville de Paris – ERDF - Version du 30 juin 2014

経過年数 2012年 2013年

100kmあたりのトラブル回数(20kV) 7.88 6.79

100kmあたりのトラブル回数(低圧)

11.32 10.42

3分以上の停電トラブル回数

1,211 1,033

1~3分の停電トラブル回数

750 1,507

表 2013年のトラブル頻度(パリ市)

出典)CRAC 2013 Ville de Paris – ERDF - Version du 30 juin 2014

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10.地中化以外の敷設状況 フランスでは屋側配線が採用されている 英国では、屋側配線はロンドンでは採用されていないが、地方都市では採用されている

項目 日本 英国 フランス インドネシア

地中化以外の敷設状況(軒下・裏配線のなど)

地中化協議会において裏配線や軒下配線の方式が合意された箇所で導入されている

ロンドンでは軒下配線をすることはない

地方都市では架空引込線で使用。1軒の家が引込線を受けたところから、軒下や屋根上を配線して隣家に送電している

屋側配線は費用がかからず、見た目もきれいであるためERDFでは実施している

地中ケーブルからCVケーブル

につなぎ替えて屋側を配線している

屋側配線の例(レンヌ市)

フランスの屋側配線の事例(レンヌ市)

地中からの立ち上がり機器(レンヌ市)

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(参考)英国・フランス・インドネシア訪問地の概要

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(参考)英国①

英国の電気事業は、現在は発電、送電、配電、小売の各部門に機能分離されている

配電部門は現在7社に分割されており、ロンドンとその近郊はUK Power Networks(UKPN)の営業区域である(UK Power

Networksの営業区域は更に3地区に分かれており、ロンドンはLPN:LONDON POWER NETWORKS LIMITEDの区域)

UKPNはロンドンオリンピックの際の配電工事、電力供給なども行った

UKPNは英国の配電事業の28%、810万人の顧客を抱え、また地中配電線は29%、134千kmを抱える

イングランド・ウェールズ地域の配電標準電圧は、132kV、33kV、高圧11kV、低圧400/230V(スコットランド地域は66kV以下)

出典)UK Power Networks資料より作成

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(参考)英国②

ロンドン地区の配電区域はUKPNの一地域会社であるLONDON POWER NETWORKS LIMITED(LPN)が担っている

通常ロンドンと言う場合は、シティ・オブ・ロンドンと32のロンドン特別区からなる大ロンドン(Greater London)という行政地区を指し、

LPNは大ロンドンの中心部への電力供給を担っている(面積比率で約40%)

LPN供給区域のみならず、大ロンドン全体で地中化率は100%である

項目 内容

供給エリア 665 km2

需要家数 1.5百万件

需要密度 7.8MW/km2

ピーク需要 5,200MW

高圧(22、11、6.6kV。主に11kV)架空線:0km地中線:12,248km地中化率:100%

低圧(400/230V)架空線:0.03km地中線:22,750km地中化率:100%

LPNの供給区域の概要

出典)UKPN資料

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(参考)フランス①

フランスではEDFが発送配電一貫体制にて電気事業を行ってきたが、2000年代半ばより送電部門、配電部門を法的分

離し、それぞれ100%子会社のRTE社(送電部門)、ERDF社(配電部門)を設立

ERDF以外に地方配電事業者が160社程度存在するが、配電電力量のシェアはERDFが約95%とほぼ独占

フランスの配電電圧は、高圧が20kV、15kV、10kV、低圧が400/230V

フランスの配電系統の所有者は地方自治体。管理・運営に関してERDFと委託契約を締結

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(参考)フランス②

項目 内容

供給エリア 105 km2

需要家数低圧需要家・・・160万件高圧(20kV)需要家・・・2,000件

需要密度 35MW/km2

ピーク需要 3,472MW(2012年2月9日)

高圧(20kV) 地中線:4,835km地中化率:100%

低圧(400/230V) 地中線:4,885km地中化率:100%

パリ市やレンヌ市の配電系統は、所有は自治体であり、委託契約により保守・運用をERDFに委託している

パリ市は100%の地中化率であるが、レンヌ市では低圧の地中化率は76.7%であり、市の都市計画により地中化を進めている

パリ市

出典)パリ市資料

項目 内容

供給エリア 40 km2

需要家数低圧需要家・・・114,400件高圧(20kV)需要家・・・302件

需要密度 5MW/km2

ピーク需要 200MW

高圧(20kV)架空線:11.4km地中線:456.9km地中化率:97.6%

低圧(400/230V)架空線:152.8km地中線:502.7km地中化率:76.7%

レンヌ市

出典)レンヌ市資料

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(参考)インドネシア

インドネシアでは、発電部門はPLNとその子会社、及び独立系発電事業者(IPP)が受け持ち、送配電部門はPLNが独占

ジャカルタ特別州が存在するジャワ・バリ地域では、送電・給電をジャワ・バリ送電・給電センター(P3B Jawa Bali)が担当し、配電

は地域ごとに5つの配電ユニットを設置

今回訪問したPLN DISJAYA(Distribusi Jakarta Raya dan Tangerang)は、ジャカルタ特別州とその西に隣接するタンゲラン市の

一部を供給区域としている

インドネシアの配電電圧は中圧20kV、低圧380/220V

PLN DISJAYAの供給区域では、中圧(20kV)の地中化率は88.6%、低圧は7.7%

項目 内容

供給エリア 2,072 km2(ジャカルタ特別州及びタンゲラン市の一部)

需要家数一般需要家・・・約480万件大規模需要家(200kVA以上)・・・5,977件

需要密度 3.4MW/km2

ピーク需要 7,000MW

中圧(20kV)

地中線:18,051km架空線:2,332km地中化率:88.6%

低圧(380/220V)

地中線:2,552km架空線;30,525km地中化率:7.7%

PLN DISJAYA

出典)PLN DISJAYA資料

PLN DISJAYAの供給エリア

出典)PLN DISJAYA資料