20
建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対策に関する一連の研究 工学院大学 建築学部 建築学科 教授 宇,D.P.H.,Dr.Eng. 2016年日本建築学会賞(論文) 受賞業績 2016年4月

建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

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建築環境における微生物汚染機構の解明

とその対策に関する一連の研究

工学院大学 建築学部 建築学科 教授

柳 宇,D.P.H.,Dr.Eng.

2016年日本建築学会賞(論文) 受賞業績2016年4月

Page 2: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

・空中微生物粒子の挙動の解明とその評価方法

・表面での微生物増殖機構の解明とその評価方法

課題1微生物汚染評価方法の確立

建築環境における微生物汚染機構の解明とその対策に関する一連の研究

課題2建築環境における微生物汚染実態の解明

課題3建築環境における微生物汚染の対策方法の検討

・空調システム内付着微生物の増殖特性

・諸環境における浮遊微生物汚染の実態の解明

・微生物の室内への侵入の防止

・微生物汚染の除去・微生物増殖の抑制

0100200300400500600700

9:30

10:0

0

10:3

0

11:0

0

11:3

0

12:0

0

12:3

0

13:0

0

13:3

0

14:0

0

14:3

0

15:0

0

15:3

0

16:0

0

MG

[cfu

/m3 ]

010000

200003000040000

5000060000

IMD

[Bio

-par

ticle

/m3 ]MG

IMDE病院r=0.4254n=72p<0.01

0

20

40

60

80

100

0 20 40 60 80 100

浮遊粒子に対する捕集率 [%]

浮遊微生物粒子に対する捕集率

[%]

△ 細菌□ 真菌○ 黄色ブドウ球菌

1

2

3

4

5

6

7

0 5 1015202530354045505560

MG

I[-]

経過日数[日]

C. globosumy=7/(1+6exp(-0.24t))

0

20

40

60

80

100

0

200

400

600

800

1000

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

在室

者数

[人]

浮遊

細菌

[cfu

/m3 ]

r=0.9020p<0.02

B病院

0

10

20

30

40

0 20 40 60 80 100

カビ指数

[-]

≧70%累積頻度 [%]

y=0.5711x-17r=0.8646(P<0.05)

クリーニング

Page 3: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

細菌,真菌のような微生物に特定波長の紫外線を照射すると,細胞の代謝物,即ち蛍光物質(蛍光を放射する全ての分子の総称,ニコチンジアミドアデニンネクレオチドNADHとリボプラビンなど)を放出する。

レーザー光源

Mie散乱理論

紫外線光源

蛍光測定

演算部

ParticleかBio-particle

レーザー光源

Mie散乱理論

紫外線光源

蛍光測定

演算部

ParticleかBio-particle

第1章 微生物汚染評価方法の確立

リアルタイム微生物計測の原理

1-1空中微生物粒子の挙動の解明とその評価方法浮遊微生物濃度リアルタイム測定法の一般環境への適用

Page 4: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

第1章 微生物汚染評価方法の確立

蛍光粒子

0

5

10

15

20

25

30

35

0.5

1.5

2.5

3.5

4.5

5.5

6.5

7.5

8.5

9.5

10.5

11.5

12.5

13.5

14.5

15.5

濃度

[p/L

]粒径[μm]

発生前

発生後

1-1空中微生物粒子の挙動の解明とその評価方法応答性能に関する基礎実験

標準蛍光粒子を用いたクリーンルーム内での実験結果

Page 5: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

第1章 微生物汚染評価方法の確立

1-1空中微生物粒子の挙動の解明とその評価方法浮遊微生物濃度リアルタイム測定法の一般環境への適用

浮遊細菌(MG)と浮遊微生物粒子(IMD)濃度の関係

0200400600800

100012001400

9:30

10:0

0

10:3

0

11:0

0

11:3

0

12:0

0

12:3

0

13:0

0

13:3

0

14:0

0

14:3

0

15:0

0

15:3

0

16:0

0

MG

[cfu

/m3 ]

020000400006000080000100000120000140000160000

IMD

[bio

-par

ticle

/m3 ]

MGIMD

A病院r=0.6148n=72p<0.01

0100200300400500600700

9:30

10:0

0

10:3

0

11:0

0

11:3

0

12:0

0

12:3

0

13:0

0

13:3

0

14:0

0

14:3

0

15:0

0

15:3

0

16:0

0

MG

[cfu

/m3 ]

010000

200003000040000

5000060000

IMD

[Bio

-par

ticle

/m3 ]MG

IMDE病院r=0.4254n=72p<0.01

0

200

400

600

800

1,000

9:30

10:0

010

:30

11:0

011

:30

12:0

012

:30

13:0

013

:30

14:0

014

:30

15:0

015

:30

16:0

016

:30

17:0

0

MG

[cfu

/m3 ]

020,00040,00060,00080,000100,000120,000140,000

IMD

[bio

-par

ticle

/m3 ]MG

IMDr=0.5926p<0.01n=94

0100200300400500600700800

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

16:0

0

17:0

0

18:0

0

19:0

0

20:0

0

MG

[cfu

/m3 ]

0

100,000

200,000300,000

400,000

500,000

600,000

IMD

[Bio

-par

ticle

/m3 ]MG

IMDr=0.5999n=122p<0.01

A病院待合室 E病院待合室

オフィス 住宅

Page 6: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

1-1空中微生物粒子の挙動の解明とその評価方法飛散した微生物粒子粒度分布の解明

微生物空中での状態 Wallemia sebiの写真と粒度分布

単体

凝縮体

複合体

微生物非生物粒子

0

20

40

60

80

100

0.1 1 10

浮遊

胞子

濃度

[cfu

/14L]

粒径 [μm]

0

100

200

300

400

500

0.1 1 10

⊿N

/⊿

logd

p [c

fu/m

3]

dp [μm]

第1章 微生物汚染評価方法の確立

Page 7: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

1-2 表面での微生物増殖機構の解明とその評価方法

【培養 6日後】 菌糸が確認

できる

【培養 8 日後】 胞子が確認

できる(MMI=3) 【培養 10 日後】 胞子が増え

ている

【培養 16 日後】 胞子の色付

きが確認できる(MMI=5) 【培養 20 日後】 色付きのあ

る 胞 子 が 増 え て い る

【培養 32 日後】 色付き胞

子 が 成 長 し て い る

(MMI=7)

x=1+6e-

bt

7 x:カビ増殖指数[-]b:比例係数(カビの増殖速度に対応したもので,カビの種類に

よって異なる)[-]t:経過時間[日]

1 顕微鏡にて菌糸が確認されない

2 顕微鏡にて菌糸が確認できる

3 顕微鏡にて胞子が確認できる

4 顕微鏡にて胞子の増殖が確認できる

5 顕微鏡にて胞子の色付きが確認できる

6顕微鏡にて色付きのある胞子の増殖が確認できる

7顕微鏡にて色付きの胞子が旺盛に増殖していること(かび胞子が大きく成長する)

かび増殖指数の提案

第1章 微生物汚染評価方法の確立

Page 8: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

1-2 表面での微生物増殖機構の解明とその評価方法

カビ増殖指数の経日変化

1

2

3

4

5

6

7

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60

経過日数[日]

MM

I[-]

C. cladsporioidesy=7/(1+6exp(-0.18t))r=0.9710p < 0.01

1

2

3

4

5

6

7

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60

経過日数[日]

MM

I[-]

P. pinophilumy=7/(1+6exp( - 0.18t))r=0.9891P<0.01

1

2

3

4

5

6

7

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60

経過日数[日]

MM

I[-]

A. nigery = 7/(1+6exp( - 0.24t))r= 0.9666P<0.01

1

2

3

4

5

6

7

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60

経過日数[日]

MG

I[-]

C. globosumy=7/(1+6exp(-0.24t))r=0.9871p < 0.01

かび増殖指数の経日変化実測値と予測値の比較

第1章 微生物汚染評価方法の確立

Page 9: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

第2章 建築環境における微生物汚染実態の解明

2-1空調システム内付着微生物の増殖特性

室内浮遊微生物濃度に与える空調設備の影響に関する検討

用途 オフィスビル

規模 地下2階,地上10階延床面積:7,000m2

竣工年 1990年熱源 電気熱源ヒートポンプ

空調方式 冷媒式天井埋め込み型パッケージ

加湿方式 気化式加湿器(外調機に組み込み式)

加湿量 2Fと4F:1.0kg/h×11台

10F:1.0kg/h×9台

換気方式 外調機(取入れ口:屋上

屋外機

OA EA

外調機

室内機

加湿器

測定対象ビルの建築・設備概要 室内機

エアサンプラ

ビニルシート

テープ留め

空調方式 測定方法

加湿器エレメント表面付着細菌(左)と真菌(右)

0

100

200

300

400

OFF ON1 ON2 ON3浮遊

細菌

・真

菌濃

度 [C

FU/m

3 ]

細菌

真菌

空調機運転前と直後の給気中浮遊微生物濃度の変化

Page 10: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

第2章 建築環境における微生物汚染実態の解明

2-1空調システム内付着微生物の増殖特性

空調システム内での微生物の増殖に与える温湿度の影響

ダクト内フィルタ上流

吹出口 コイル下流

2日後

1週間後

2週間後

2日後

1週間後

2週間後

コイル下流 ダクト内

センサー菌Eurotium Herbariorumの生育様子

Page 11: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

第2章 建築環境における微生物汚染実態の解明

2-1空調システム内付着微生物の増殖特性

空調システム内での微生物の増殖に与える温湿度の影響

給気

外気

Page 12: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

第2章 建築環境における微生物汚染実態の解明

2-1空調システム内付着微生物の増殖特性

空調システム内での微生物の増殖に与える温湿度の影響

0

20

40

60

80

100

0 20 40 60 80 100相対湿度 [%]

累積

頻度

[%

]

ビルO_②ビルO_③ビルM_②ビルK_④ビルE_④

0

20

40

60

80

100

0 20 40 60 80 100相対湿度 [%]

累積

頻度

[%

]

ビルO_①

ビルO_④

ビルT_①

ビルT_②

ビルT_④

ビルM_①

ビルM_④

ビルY_①

ビルY_②

ビルY_④

ビルZ_①

ビルZ_④

ビルD_④

0

10

20

30

40

0 20 40 60 80 100

カビ

指数

[-]

≧70%累積頻度 [%]

y=0.5711x-17r=0.8646(P<0.05)N=6

カビ指数と相対湿度累積頻度の関係

カビの生育が認められた箇所の相対湿度

カビの生育が認められなかったた箇所の相対湿度

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第2章 建築環境における微生物汚染実態の解明

2-2 諸環境における室内浮遊微生物汚染の実態の解明

0

200

400

600

800

1000

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

浮遊

細菌

[cfu

/m

3]

0

20

40

60

80

100

在室

者数

[人]

r=0.9020p<0.02

B病院

0

200

400

600

800

1000

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

浮遊

細菌

[cfu

/m

3]

0

10

20

30

40

50

在室

者数

[人]

r=0.8590p<0.05

J病院

0

300

600

900

1200

1500

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

浮遊

細菌

[cfu

/m

3]

0

6

12

18

24

30

在室

者数

[人]

細菌

在室者数

r=0.9696p<0.01

D病院

0

200

400

600

800

1000

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

浮遊

細菌

[cfu

/m

3]

0

4

8

12

16

20

在室

者数

[人]

K病院

0

200

400

600

800

1000

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

浮遊

細菌

[cfu

/m

3]

0

3

6

9

12

15

在室

者数

[人]

L病院

0

400

800

1200

1600

2000

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

浮遊

細菌

[cfu

/m

3]

0

12

24

36

48

60

在室

者数

[人]

r=0.8076p<0.10

M病院

0

300

600

900

1200

1500

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

浮遊

細菌

[cfu

/m

3]

0

20

40

60

80

100

在室

者数

[人]

r=0.8591p<0.05

N病院

0

200

400

600

800

1000

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

浮遊

細菌

[cfu

/m

3]

0

10

20

30

40

50

在室

者数

[人]

O病院

0

200

400

600

800

1000

10:0

0

11:0

0

12:0

0

13:0

0

14:0

0

15:0

0

浮遊

細菌

[cfu

/m

3]

0

15

30

45

60

75

在室

者数

[人]

P病院

病院待合室内浮遊細菌濃度と在室者数の関係

Page 14: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

第2章 建築環境における微生物汚染実態の解明

社会福祉施設で検出された日和見病原菌等の病原性菌

施設名 時期 時間帯 Genus デイルーム 居室

Corynebacterium sp. 検出されず C. xerosisS. haemolyticus,S. hominisS. epidermidis

Acinetobacter sp. 検出されず A. baumanniiStaphylococcus sp. S.hominis S. saprophyticusBacillus sp. 検出されず B. cereus*Serratia sp. S. marcescens* 検出されずStaphylococcus sp. S.hominis 検出されずAcinetobacter sp. 検出されず A. calcoaceticusAerococcus sp. A.viridians 検出されずCorynebacterium sp. C.freneyi 検出されずStaphylococcus sp. S. hominis,S. capitis S. epidermidis,S. haemolyticus

AM Staphylococcus sp. S. saprophyticus S. aureus*,S. hominisBacillus sp. B. cereus* 検出されずStaphylococcus sp. S. hominis,S. epidermidis S. hominis

冬季 - Staphylococcus sp. S.hominis,S. haemolyticus S. hominis,S. epidermidisBacillus sp. B. cereus* 検出されずStenotrophomonas sp. S. maltophilia S. maltophiliaBacillus sp. B. cereus* B. cereus*

S. capitis,S. S. hominisS. haemolyticusS. epidermidis,S. hominis

冬季 - Staphylococcus sp. S. hominis 検出されずAM Staphylococcus sp. 検出されず S. saprophyticusPM 検出されず 検出されず

検出されず

TO

夏季

AM

PM

冬季 -

TM 冬季 - Staphylococcus sp.

KT 夏季 PM

KI 夏季

AM

PM Staphylococcus sp.

HF 夏季

2-2 諸環境における室内浮遊微生物汚染の実態の解明

Page 15: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

第2章 建築環境における微生物汚染実態の解明

オフィスビルにおける浮遊微生物濃度の特性

050

100150200250

7:00

9:00

11:0

0

13:0

0

15:0

0

17:0

0

細菌

「cf

u/m

3 ]

01020304050

7:00

9:00

11:0

0

13:0

0

15:0

0

17:0

0

室内吹出口外気

0306090

120150

7:00

9:00

11:0

0

13:0

0

15:0

0

17:0

0

0200400600800

7:00

9:00

11:0

0

13:0

0

15:0

0

17:0

0

真菌

[cfu

/m3 ]

01020304050

7:00

9:00

11:0

0

13:0

0

15:0

0

17:0

0

01020304050

7:00

9:00

11:0

0

13:0

0

15:0

0

17:0

0

0369

1215

7:00

9:00

11:0

0

13:0

0

15:0

0

17:0

0

在室

者数

[人]

0369

1215

7:00

9:00

11:0

0

13:0

0

15:0

0

17:0

0

05

10152025

7:00

9:00

11:0

0

13:0

0

15:0

0

17:0

0

Mビル,冷房期 Mビル,暖房期 Oビル,冷房期

2-2 諸環境における室内浮遊微生物汚染の実態の解明

Page 16: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

第3章建築環境における微生物汚染の対策方法の検討

3-1微生物の室内への侵入の防止-エアフィルタによる浮遊微生物粒子除去性能の実証

浮遊粒子に対する捕集率 浮遊粒子と浮遊微生物の捕集率の関係

0

20

40

60

80

100

0.1 1 10粒径 [μm]

捕集

率 [%

]

Aビル

Bビル

Cビル

Dビル0

20

40

60

80

100

0 20 40 60 80 100

浮遊粒子に対する捕集率 [%]

浮遊微生物粒子に対する捕集率

[%]

△ 細菌□ 真菌○ 黄色ブドウ球菌

Aビル:y=19.9*Ln(x)+58.8,r=0.978(p<0.010)Bビル:y=19.1*Ln(x)+72.4,r=0.905(p<0.020)Cビル:y=24.1*Ln(x)+29.5,r=0.986(p<0.010)Dビル:y=18.2*Ln(x)+77.8,r=0.931(p<0.010)

細菌:y=0.98x,r=0.925(p<0.100)真菌: y=1.01x,r=0.912(p<0.100)黄色ブドウ球菌:y=0.95x,r=0.958(p<0.050)

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3-2微生物汚染の除去-ダクトと空調機クリーニング効果の検証

清掃状態 総真菌数 Aspergillus Penicillium

ダクト内下面 清掃前 4.6×102 2.0×10 7.6×10

清掃後 <20 <20 <20

ダクト内側面 清掃前 2.2×102 2.0×102 <20

清掃後 <20 <20 <20

ダクト内上面 清掃前 6.0×10 4.0×10 <20

清掃後 <20 <20 <20

清掃前後のダクト内真菌数[cfu/100cm2]

ドレンパン清浄前(左)と洗浄後(右)

ドレンパン清浄前(左)と洗浄後(右)-真菌

ドレンパン清浄前(左)と洗浄後(右)-細菌

第3章建築環境における微生物汚染の対策方法の検討

Page 18: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

3-3微生物増殖の抑制-抗菌・殺菌に関する検討

対象機コイルフィン

1

10

100

1,000

10,000

100,000

1,000,000

10,000,000

0 1 2 3 4 5経過時間(h)

菌数

(C

FU/5

0cm2 )

対象機

比較機

5時間:殺菌

3時間:抗菌性能がある

[API=log(A1/A2)ーlog(B1/B2)

=log(516000/11000)-log(416000/538000)

=2 ]

外気フィルタ

混合箱

プレーフィルタ

中性能フィルタ

冷温水コイル

加湿器

送風機

給気外気

還気 ①

② ⑤

③ ④

外気フィルタ

混合箱

プレーフィルタ

中性能フィルタ

冷温水コイル

加湿器

送風機

給気外気

還気 ①

② ⑤

③ ④

抗菌(表面付着菌)

第3章建築環境における微生物汚染の対策方法の検討

Page 19: 建築環境における微生物汚染機構の解明 とその対 … r=0.5999 n=122 p

3-3微生物増殖の抑制-抗菌・殺菌に関する検討

オゾンによる殺菌(表面付着菌)

95

96

97

98

99

100

① ② ③ ④

実験条件

死滅

率[%

]

実験条件① 0.5ppm×240min② 1ppm×120min③ 2ppm×60min④ 6ppm×20min

0.01

0.1

1

10

100

0 1 2 3 4 5経過時間[hr]

生存

率[%

]

O3濃度:10ppm

□ A.niger y=100e-0.5139

● C.cladosporioides y=100e-0.7099

○ P.pinophilum y=100e-0.1656

同暴露強度の殺菌効果の比較(大腸菌)

カビに対するオゾンの殺菌効果

第3章建築環境における微生物汚染の対策方法の検討

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本業績の主要な部分は国立保健医療科学院時代に開始し、その後継続的に行ってきたものです。本業績の候補論文の共著者池田耕一先生、鍵直樹先生、大澤元毅先生などの方々に厚く御礼申し上げます。

特に本業績の一部は東京大学学位論文の内容であり、主査の加藤信介先生から多くの示唆をいただきました。ここに厚く御礼申し上げます。

最後に研究の扉を開いていただいた入江建久先生、この10年間の共同研究で、たくさんのことを学ばせていただいた吉野博先生、学会関係者に深く感謝申し上げます。

大変名誉のある賞をいただき、身に余る光栄です。これを励みに今後より一層努力する所存です。

ありがとうございました!

謝 辞