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13 1.「木育インストラクター」とは? ■「木育のインストラクター」について 「木育インストラクター」は、「木育」の意義や役割を理解し、森林・林 業、木材、環境についてわかりやすく伝える指導者です。また、「木育」の 推進に情熱と使命感を持ち、各地域で進められる「木育」活動の普及・啓発 活動においてリーダーとして活躍することが期待されます。 「木育インストラクター」は、木の良さを伝え、木とともに暮らしていき たいという思いを育て、ひいては森林や林業、木材利用について関心をもっ た市民、子どもを育てるという、「木育」の大きなねらいを常に意識してい ることが大切です。また、楽しく、有意義で、地域の特性を活かした「木育」 活動を実践するためには、様々な知識やスキルを身に付けてくことが求めら れます。不断の努力が大切です。 ■「木育のインストラクター」になるために 平成 20 年度、21 年度と、「特定非営利活動法人活木活木(いきいき) 森ネットワーク」が、希望者を全国から公募して「木育インストラクター研 修会」を開催してきました。 この研修会では、受講者の資格等に関係なく、「木育」の実践に関心を持 つ様々な職業、年齢層の方が受講されました。また、研修を受講した「木育 インストラクター」には、「特定非営利活動法人 活木活木(いきいき)森 ネットワーク」が受講修了書を発行しています。 研修後には指導者として、全国各地で「木育」の普及・啓発活動を展開し ていただいています。 木を使った活動が「木育」ではない。 木の良さを伝えるのが「木育」。 し、実行できる知識と技術、指導力、そして情熱をもった人です。 「木育インストラクター」にとって最も重要なことは、木や木に囲まれた暮らしが大好きな ことです。次のような方は「木育インストラクター」の資質をすでにお持ちです。 ・ふだん森や木に関わる仕事をしている方 ・木材や森林、環境について学んだことのある方 ・学校、地域、NPO などで指導者として活躍している方、など

・ふだん森や木に関わる仕事をしている方 ・木材 …mokuiku.jp/tools/inst/013-016.pdfMicrosoft Word - 21木育インストラクター・テキスト_HP用・p5~p41_20100315.docx

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1.「木育インストラクター」とは?

■「木育のインストラクター」について

「木育インストラクター」は、「木育」の意義や役割を理解し、森林・林

業、木材、環境についてわかりやすく伝える指導者です。また、「木育」の

推進に情熱と使命感を持ち、各地域で進められる「木育」活動の普及・啓発

活動においてリーダーとして活躍することが期待されます。

「木育インストラクター」は、木の良さを伝え、木とともに暮らしていき

たいという思いを育て、ひいては森林や林業、木材利用について関心をもっ

た市民、子どもを育てるという、「木育」の大きなねらいを常に意識してい

ることが大切です。また、楽しく、有意義で、地域の特性を活かした「木育」

活動を実践するためには、様々な知識やスキルを身に付けてくことが求めら

れます。不断の努力が大切です。

■「木育のインストラクター」になるために

平成 20 年度、21 年度と、「特定非営利活動法人活木活木(いきいき)

森ネットワーク」が、希望者を全国から公募して「木育インストラクター研

修会」を開催してきました。

この研修会では、受講者の資格等に関係なく、「木育」の実践に関心を持

つ様々な職業、年齢層の方が受講されました。また、研修を受講した「木育

インストラクター」には、「特定非営利活動法人 活木活木(いきいき)森

ネットワーク」が受講修了書を発行しています。

研修後には指導者として、全国各地で「木育」の普及・啓発活動を展開し

ていただいています。

木を使った活動が「木育」ではない。

木の良さを伝えるのが「木育」。

「木育インストラクター」は、多くの市民や子どもに対し、木の良さや木の文化への理解を深めるために、効果的な「木育」活動を積極的に計画し、実行できる知識と技術、指導力、そして情熱をもった人です。

「木育インストラクター」にとって最も重要なことは、木や木に囲まれた暮らしが大好きな

ことです。次のような方は「木育インストラクター」の資質をすでにお持ちです。

・ふだん森や木に関わる仕事をしている方

・木材や森林、環境について学んだことのある方

・学校、地域、NPO などで指導者として活躍している方、など

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2.「木育インストラクター」に必要な力

■「木育のインストラクター」の社会的使命

「木育インストラクター」は、「社会のグリーン・エコ意識改革の実践家」

と表すことができます。具体的には、世界の課題である地球温暖化防止のた

めに、リサイクル、「MOTTAINAI」スピリッツなどへのライフスタイルの

チェンジ、バイオマス(生物資源)の利用拡大と再生可能資源社会の形成な

どを目指します。

木工ものづくりの観点からは、市民による木のものづくり力の復権を目指

します。木材はものづくりに最適な教材であり、ものづくり力はリサイクル

力でもあります。さらに、木工活動は、人と頭脳と肉体の復権であり、人間

性の復権です。

木製のおもちゃ、木工遊びによって、園児・児童・生徒が「集中・夢中・

熱中」できる遊び広場の実現、何でも自分でやってみようとする、木工から

の DIY の復権などを目指します。

「木の楽しい科学者」、「木工の楽しい技術者」、「木のおもしろい語り部」、「糸鋸(いとのこ)のマジシャン」、「けん玉や木のパズルのチャンピオン」など、特技を持った木育インストラクターの活躍が期待されます。

例えば、次にあげるような方が「木育のインストラクター」にふさわしい人です。

・木材に親しみを感じさせ、木材を好きにしてくれる人

・木材に関する教育・文化・娯楽事業を企画、立案、プロデュース(1 つのビジョンのもと

に、人々の力を借りて「新しい何か」を創りだし現状を変えること)ができる人

・木材との関わりで特技を持っている人

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3.「木育」をプロデュースするために

「木育」は社会的意義も高く、学校や市民活動の教育現場においても歓迎

される活動ではありますが、あくまで自発的な活動によって支えられている

ものであって、黙っていても勝手に進むわけではありません。「木育」の推

進のためには、「木育インストラクター」を中心とした実践チームが、主体

的な働きかけを行なって「木育」活動をプロデュースする必要があるのです。

「木育」のプロデュースで難しいことの一つが場づくりです。こちらがや

りたいと思っても、場を提供してくれる相手(パートナ-)がその活動を受

け入れてもらえないと実践は出来ません。関心を持ちそうな人、更には場を

提供してもらえそうな人、組織に積極的に働きかけて、「木育」活動の機会

を設定しましょう。

実施にあたっては、メンバーそれぞれの関心や適性を踏まえた役割分担を

考えましょう。関わる人が活動の目的に共感し、やり甲斐を感じて、楽しみ

ながら、より良い方向を目指して続けることが出来れば、「木育」の活動は

確実に広がっていくでしょう。

さらに、活動を継続させることを考えましょう。一度だけの単発の教育活

動では、木の良さを知ってもらうといった本来の目的を達成することは困難

です。関心を持ってくれる人を募ってチームをつくり、組織化してしっかり

としたマネージメントを行い、資金調達を図ったり、行政や様々な団体と協

働したりすることで活動を強化することも検討してみましょう。

なお、具体的な企画の詳細については、次章に細かく記載がありますので

よく読んで、活用してください。

周囲の「木育」に関心を持

ってもらえそうな個人、団

体を探してみましょう。またその中

で実践の場づくりに具体的に役に

立ちそうな方はいないかリストア

ップしてみましょう。

活動の場を提供する相手が

決まったら、日時や場所、

対象、予算、活動内容など細かい内

容を調整します。簡単な資料を提示

して、理解を求めましょう。

場づくりの際に最も大事

なことは、相手の要望、ニ

ーズをよく把握することです。受講

者や参加者が楽しく学んだり、あな

たがやり甲斐を感じたりすること

も重要ですが、それと同じように、

あるいはそれ以上に活動の受け入

れ先が満足することは重要です。

現在行われている「木育」活動のほとんどはボランタリー(自発的)なものです。こうした取り組みを進めるためには、あなたやあなたと一緒になって実践を行うチームが、主体的な働きかけを行なって「木育」活動をプロデュースする必要があります。

「木育」をプロデュースする方法には大きく次の二つがあります。経験を積み重ねながらよ

り良い活動をプロデュースしましょう。

■ねらいや活動内容を考え、人と予算を調達するなど枠組みづくりから始めるという方法で

す。経験を持った人や活動するチーム、人脈や実践、経験の蓄積があればこの方法で大丈夫で

す。これは映画のプロデューサーのような役割です。

■試行錯誤でも、最初の実践をとにかく行ってみるという方法です。誰かがプロデューサー

として役割を担って、いつどこで誰がどのように実践するかといったことを自分なりに整理し

て、関係者との調整を行うことが必要です。